説明

内視鏡

【課題】従来よりも供給圧力の高いポンプを用いる必要がないばかりか体腔内を従来よりも膨張させてしまうことなく、流速を速めた流体をレンズ表面に流量を多くして供給することができる構成を具備する内視鏡を提供する。
【解決手段】挿入部と、挿入部の先端側に設けられた観察用レンズ24と、挿入部の先端側に被覆されたカバー部材20と、カバー部材20に対して、入口27a及び出口27bがカバー部材20外に開口されているとともに入口27aから出口27bに向かって流路径が小さく形成された、出口27bから流体Mを観察用レンズ24に向けて供給する流路27と、流路27の入口27aと出口27bとの間の位置において開口された、流路27に流体Rを供給するノズル25と、を具備し、流路27は、ノズル25から供給された流体Rと、入口27aから導入された体腔内の気体Aとを、出口27bから観察用レンズ24に向けて供給することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内に挿入される挿入部を具備する内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡は、医療分野において広く利用されている。医療分野において用いられる内視鏡は、細長い挿入部を被検体となる体腔内に挿入することによって、体腔内の臓器を観察したり、必要に応じて内視鏡が具備する処置具の挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種処置をしたりすることができる。
【0003】
ここで、体腔内の観察は、挿入部の挿入方向の先端側(以下、単に先端側と称す)に設けられたレンズが用いられて行われるが、観察中においてレンズ表面に汚物等の汚れが付着してしまうと汚れによって視野が遮られ、体腔内の観察が行い難くなってしまう。
【0004】
そこで、挿入部には、レンズに臨む位置に開口するノズルを具備する送気送水管路が設けられているのが一般的であり、内視鏡外に位置するポンプの駆動により送気送水管路を介して、気体や、液体等の流体をノズルからレンズ表面に対して供給することにより、観察中にレンズ表面に付着した汚れを除去する構成が周知である。尚、レンズ表面に対してノズルから液体を供給した後は、ノズルから気体を供給することにより、レンズ表面に付着した水滴を除去する構成も周知である。
【0005】
しかしながら、レンズ表面に付着した汚れや水滴は、ポンプからの流体の吐出圧力(以下、ポンプの圧力と称す)が低い場合、即ち、ポンプの定格容量が低い場合や、レンズ表面に対する汚れの付着力が高い場合、さらには、水滴の大きさが大きい場合には、ノズルからレンズ表面に流体を供給しても汚れや水滴が完全に除去しきれない場合があった。
【0006】
よって、送気送水管路に流体を供給するポンプに、圧力の高い、即ち定格容量の大きい大きなポンプを用いることも考えられるが、この場合、ポンプが大型化する他、ポンプを具備する装置も大型化してしまい、操作性が低下するといった問題があるばかりか、圧力の高いポンプは、通常のポンプよりも高価なため、経済性に劣るといった問題があった。
【0007】
さらには、体腔内に通常よりも多くの気体を供給すると、例えば挿入部を胃に挿入している場合、胃が通常よりも膨張してしまい、被検者に苦痛を与えてしまうといった問題もあった。
【0008】
このような問題に鑑み、特許文献1には、レンズ表面に流体を供給するノズルの先端側の流路径を小さくする、即ちノズルの先端側の流路を絞ることによって、流体を通常よりも流速を速めてレンズ表面に供給することにより、ポンプに圧力の高いものを用いなくとも、レンズ表面の汚れや水滴を除去する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−153416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された構成においては、確かに流体の流速を速めることはできるが、レンズ表面へ供給される流体の流量を多くすることが出来ず、レンズ表面の汚れを確実に除去することは難しいといった問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、従来よりも吐出圧力の高いポンプを用いる必要がないばかりか体腔内を従来よりも膨張させてしまうことなく、流速を速めた流体をレンズ表面に流量を多くして供給することができる構成を具備する内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため本発明の一態様における内視鏡は、体腔内に挿入される挿入部と、前記挿入部の挿入方向先端側に設けられた、前記体腔内を観察するレンズと、前記挿入部の前記先端側を、前記レンズが露出されるよう被覆されたカバー部材と、前記カバー部材に対して、入口及び出口が前記カバー部材外に開口されているとともに前記入口から前記出口に向かって流路径が小さく形成された、前記出口から流体を前記レンズに向けて供給する流路と、前記流路の前記入口と前記出口との間の位置において開口された、前記流路に流体を供給するノズルと、を具備し、前記流路は、前記ノズルから供給された流体と、前記入口から導入された前記体腔内の気体とを、前記出口から前記レンズに向けて供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来よりも供給圧力の高いポンプを用いる必要がないばかりか体腔内を従来よりも膨張させてしまうことなく、流速を速めた流体をレンズ表面に流量を多くして供給することができる構成を具備する内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施の形態の内視鏡の構成の概略を示す図
【図2】図1の内視鏡の挿入部の先端側を拡大して概略的に示す部分斜視図
【図3】図2の挿入部の先端側を、図2中のIII方向からみた正面図
【図4】図2中のIV-IV線に沿う、挿入部の先端側の断面図
【図5】第2実施の形態の内視鏡の挿入部の先端側を概略的に示す部分斜視図
【図6】図5中のVI-VI線に沿う、挿入部の先端側の断面図
【図7】第3実施の形態の内視鏡の挿入部の先端側を拡大して概略的に示す部分斜視図
【図8】図7の挿入部の先端側を、図7中のVIII方向からみた正面図
【図9】図7中のXI-XI線に沿う、挿入部の先端側の断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態の内視鏡の構成の概略を示す図、図2は、図1の内視鏡の挿入部の先端側を拡大して概略的に示す部分斜視図、図3は、図2の挿入部の先端側を、図2中のIII方向からみた正面図、図4は、図2中のIV-IV線に沿う、挿入部の先端側の断面図である。
【0017】
図1に示すように、内視鏡1は、体腔内に挿入される細長な挿入部2と、該挿入部2の挿入方向Sの基端側(以下、単に基端側と称す)に連設された操作部12と、該操作部12から延出されたユニバーサルコード10と、該ユニバーサルコード10の延出端に設けられたコネクタ11とを具備して主要部が構成されている。
【0018】
尚、コネクタ11を介して、内視鏡1は、制御装置や照明装置等の外部装置と電気的に接続されるとともに、ポンプ等を具備する流体供給装置等の外部装置とチューブ等を介して接続される。
【0019】
操作部12に、後述する湾曲部4を湾曲操作する上下湾曲操作用ノブ8及び左右湾曲操作用ノブ9や、後述するノズル25(図2参照)の先端から流体を噴出させる際押下操作される送気送水操作用釦13や、後述する吸引チャンネル22(図2参照)を介して体腔内の体液等を吸引する際押下操作される吸引操作用釦14等が設けられている。
【0020】
挿入部2は、先端側に設けられた先端部3と、該先端部3の基端側に設けられた湾曲部4と、湾曲部4の基端側に設けられた可撓管部7とにより構成されており、挿入方向Sに沿って細長に形成されている。
【0021】
図2、図4に示すように、先端部3は、外周面3sの一部に、該外周面3sの一側を切り欠かれた切り欠き部3kが形成されている。
【0022】
具体的には、先端部3は、挿入方向Sに沿って略円柱形状を有する硬質な先端部材33を具備しており、先端部材33の外周面の一部が切り欠かれることにより、切り欠き部3kが形成されている。尚、図4に示すように、先端部材33の基端側には、湾曲部4を構成する湾曲管34の先端側が固定されている。
【0023】
図2、図4に示すように、先端部材33の切り欠かれた部位の底面33tには、体腔内を観察する観察用レンズ24や、体腔内を照明する照明用レンズ23が設けられている。即ち、本実施の形態の内視鏡1は、挿入方向Sとは異なる側方の体腔内の観察部位を観察用レンズ24によって観察する、既知の側視型内視鏡である。
【0024】
また、図2に示すように、底面33tには、後述する吸引チャンネル22の先端開口から突出された処置具やガイドワイヤ等の進行方向を、挿入方向Sから該挿入方向Sとは異なる方向に変更する、既知の処置具起上台21が設けられている。
【0025】
また、図4に示すように、先端部材33には、複数の孔が形成されており、該孔の一つには、観察用レンズ24によって観察された体腔内の観察部位の像を撮像する、CCD等の撮像素子30や、観察用レンズ24によって観察された体腔内の観察部位の像を撮像素子30の受光面へと入光させるプリズム31等が設けられている。
【0026】
撮像素子30には、該撮像素子30によって撮像された体腔内の観察部位の像の電気信号を、上述した制御装置へと伝送する信号線29の先端が電気的に接続されている。尚、信号線29は、挿入部2、操作部12、ユニバーサルコード10、コネクタ11内に挿通されている。
【0027】
さらに、先端部材33の他の孔には、ライトガイド32の先端側が挿通されている。ライトガイド32は、挿入部2、操作部12、ユニバーサルコード10、コネクタ11内に挿通されており、コネクタ11を介して、上述した照明装置から発光された照明光を、照明用レンズ23に供給するものである。
【0028】
尚、ライトガイド32、照明用レンズ23を用いずに、底面33tに、LED等の発光素子を設けて、該発光素子により体腔内を照明する構成であっても構わない。
【0029】
また、先端部材33の他の孔には、吸引チャンネル22を具備する吸引管路の先端側が挿通されており、吸引管路の先端は、処置具起上台21の近傍において、処置具起上台21に対して臨む位置に開口されている。尚、吸引管路の先端開口は、先端部材33に開口されていても構わないし、後述するカバー部材20に開口されていても構わない。
【0030】
吸引チャンネル22は、操作部12に設けられた吸引操作用釦14の押下操作に伴い、先端開口から体腔内の体液等を吸引する機能を有している他、各種処置具や、ガイドワイヤ等が挿通されるものである。
【0031】
また、先端部材33の外周面33sや、底面33t、先端面33mには、切り欠き部3kにおいて、照明用レンズ23、観察用レンズ24、処置具起上台21等が露出するよう、カバー部材20が被覆されている。
【0032】
即ち、底面33tは、照明用レンズ23、観察用レンズ24、処置具起上台21以外は、カバー部材20によって覆われており、切り欠き部3kにおけるカバー部材20の露出面は、照明用レンズ23の表面及び観察用レンズ24の表面と、略同じ高さに位置している。
【0033】
また、先端部材33において、切り欠き部3kを構成する底面33tから起立する面33fもカバー部材20によって覆われている。尚、カバー部材20は、面33fに吸引チャンネル22の先端開口が形成されている場合には、該先端開口が露出するように面33fに被覆されている。
【0034】
また、図2、図4に示すように、切り欠き部3kに位置するカバー部材20には、入口27a及び出口27bがカバー部材20の外に開口された流路27が形成されている。即ち、流路27の入口27a及び出口27bは、挿入部2を体腔内に挿入した際、体腔内に開口される。
【0035】
図2、図4に示すように、入口27aは、先端部3の外周面3sに開口されており、図2〜図4に示すように、出口27bは、観察用レンズ24の近傍において、観察用レンズ24に臨む位置に開口されている。
【0036】
また、流路27は、出口27bよりも入口27aの方が、開口面積が大きく形成されており、入口27aから出口27bに向かって流路径が小さくなるよう、カバー部材20に形成されている。
【0037】
また、図2〜図4に示すように、流路27において、入口27aと出口27bとの間の位置に、ノズル25の先端が出口27bに臨むよう開口されている。ノズル25は、先端部材33の他の孔に先端側が挿通された送気送水管路28の先端側に固定されている。尚、送気送水管路28は、挿入部2、操作部12、ユニバーサルコード10、コネクタ11内に挿通されている。
【0038】
ノズル25は、上述した流体供給装置から送気送水管路28を介して供給された流体Rを、先端の開口から流路27に供給するものである。尚、流路27に供給される流体Rとしては、気体と、液体と、気体に液体が混入されたものとのいずれか1つが挙げられる。また、ノズル25の先端の開口から吐出される流体Rの流速Vを速めるため、ノズル25内の流路は、先端側に向かうに従って絞られた形状を有していても構わない。
【0039】
流路27は、入口27aから取り入れた体腔内の気体Aと、ノズル25の先端開口から供給された流体Rとが混ざった流体Mを、出口27bから観察用レンズ24の表面24iに供給することにより、観察用レンズ24の汚れや水滴を除去するものである。
【0040】
尚、その他の内視鏡1の構成は、通常の側視型の内視鏡の構成と同じであるため、詳しい説明は省略する。
【0041】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
挿入部2を体腔内に挿入し、照明用レンズ23によって照明された体腔内の部位を、観察用レンズ24によって観察している場合において、観察用レンズ24の表面に汚物等の汚れが付着した場合、操作者は、先ず、送気送水操作用釦13を押下する。
【0042】
その後、上述した流体供給装置から供給された、気体、液体、気体に液体が混入されたもののいずれかの流体Rは、送気送水管路28を介して、ノズル25に供給され、ノズル25の先端開口から流路27に進入する。このことにより、流体Rは、流路27の出口27bから観察用レンズ24に向けて供給される。
【0043】
ここで、流路27にノズル25から流速Vで流体Rが供給されることにより、ノズル25の先端開口付近の流路27の静圧P+動圧は、P+CVとなり、上述したように、流路27は、入口27aから出口27bに向かって流路径が小さくなるよう形成されていることから、既知のベルヌーイの定理により、入口27a付近の静圧P0は、P0=P+CV(Cは定数)となり、該静圧P0は、静圧Pよりも大きくなるため(P<P0)、体腔内の入口27a付近の体腔内の気体Aは、入口27aから流路27に流入される。
【0044】
その結果、入口27aから流路27に流入された気体Aは、ノズル25の先端開口から流路27に吐出された流体Rとともに、観察用レンズ24の表面24iに流体Mとして供給される。
【0045】
即ち、ノズル25からの流体Rのみならず、体腔内の気体Aまでもが出口27bから観察用レンズ24の表面24iに供給されるため、流体Rのみを供給する場合よりも流量が多く、さらには、気体Aによって流速が速められた流体Rが、流体Mとして観察用レンズ24の表面24iに供給される。その結果、観察用レンズ24の表面24iの汚れは除去されやすくなる。
【0046】
尚、観察用レンズ24の表面24iに水滴が付着している場合には、ノズル25の先端開口から流路27に気体Aを供給することにより、上述と同様に、入口27aから流入された気体Aによって、出口27bから流速が速められた気体Aを供給することができるとともに、気体Aを、流量を多くして供給することができることから、観察用レンズ24の表面24iの水滴は除去されやすくなる。
【0047】
このように、本実施の形態においては、カバー部材20に形成された流路27の出口27bから、ノズル25の先端開口から流路27に供給された流体Rと、入口27aから流路27に静圧の違いにより流入された体腔内の気体Aとが混ざった流体Mを、観察用レンズ24の表面24iに供給すると示した。
【0048】
このことによれば、ノズル25から供給される流体Rのみならず、体腔内の気体Aも観察用レンズ24の表面24iに供給することができる。このことから、従来と同じ吐出圧力のポンプを用いてノズル25に流体を供給したとしても、入口27aから流入された体腔内の気体Aにより流速が速められ、流量が多くなった流体Mを観察用レンズ24の表面24iに供給できるため、ノズル25から観察用レンズ24の表面24iに流体を供給するのみの従来の構成よりも、確実に観察用レンズ24の表面24iの汚れや水滴を除去することができる。
【0049】
また、入口27aから流路27に導入される気体Aは、もともと体腔内に存在している気体であることから、体腔内に気体Aを多く供給してしまうことがない。即ち、体腔内が必要以上に膨張してしまうことがない。
【0050】
以上から、従来よりも供給圧力の高いポンプを用いる必要がないばかりか体腔内を従来よりも膨張させてしまうことなく、流速を速めた流体をレンズ表面に流量を多くして供給することができる構成を具備する内視鏡1を提供することができる。
【0051】
尚、本実施の形態においては、出口27bから供給される流体Mにより、観察用レンズ24の表面24iの汚れや水滴を除去すると示したが、これに限らず、照明用レンズ23の表面23iの汚れや水滴を除去しても構わないことは勿論である。
【0052】
(第2実施の形態)
図5は、本実施の形態の内視鏡の挿入部の先端側を概略的に示す部分斜視図、図6は、図5中のVI-VI線に沿う、挿入部の先端側の断面図である。
【0053】
この第2実施の形態の内視鏡の構成は、上述した図1〜図4に示した第1実施の形態の内視鏡と比して、先端部の先端面に設けられた観察用レンズの汚れや水滴を除去する構成を具備している点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0054】
図5、図6に示すように、本実施の形態においては、観察用レンズ44及び照明用レンズ43は、先端部3の先端面3m、即ち、先端部材53の先端面53mに設けられている。即ち、本実施の形態における内視鏡は、挿入方向Sの前方(以下、単に前方と称す)に位置する体腔内の観察部位を観察用レンズ44によって観察する既知の直視型の内視鏡である。
【0055】
よって、本実施の形態においては、観察用レンズ44によって観察された観察部位の像を撮像素子30の受光面へと入光させるのに、上述した第1実施の形態において用いたプリズム31は不要となる。また、先端部3が具備する先端部材53の外周面に形成された切り欠き部3kや、処置具起上台21も不要となる。
【0056】
また、本実施の形態においては、挿入方向Sに沿って略円柱状に形成された先端部材53には、挿入方向Sに貫通する複数の孔が形成されており、その孔の1つに、観察用レンズ44や、撮像素子30や、観察用レンズ44及び撮像素子30を保持するレンズ枠49が設けられているとともに、他の孔に、照明用レンズ43や、該照明用レンズ43に照明光を供給するライトガイド32の先端側が設けられている。
【0057】
また、先端部材53の他の孔には、吸引チャンネル42を具備する吸引管路の先端側が挿通されており、吸引チャンネル42の先端側は、先端面3mにおいて開口されている。
【0058】
さらに、先端部材53の他の孔には、送気送水管路48の先端側が挿通されており、該送気送水管路48の先端側には、後述する流路47に流体Rを供給するL字状に折り曲げられたノズル45が固定されている。尚、図6に示すように、先端部材53の基端側には、湾曲部4を構成する湾曲管34の先端側が固定されている。
【0059】
また、先端部材53の外周面53s及び先端面53mには、観察用レンズ44、照明用レンズ43、吸引チャンネル42の開口が露出されるようにカバー部材40が被覆されている。
【0060】
また、図5、図6に示すように、カバー部材40の一部、具体的には、先端部3の先端側の外周の一部には、入口47a及び出口47bがカバー部材40の外に開口された断面略S字状の流路47が形成されている。即ち、流路47の入口47a及び出口47bは、挿入部2を体腔内に挿入した際、体腔内に開口される。
【0061】
入口47aは、先端部3の外周面3sに開口されており、出口47bは、挿入方向Sに直交する方向Zにおいて、観察用レンズ44の近傍における観察用レンズ44に臨む位置に開口されている。
【0062】
また、流路47は、出口47bよりも入口47aの方が、開口面積が大きく形成されており、入口47aから出口47bに向かって流路径が小さくなるよう、カバー部材40に形成されている。
【0063】
また、流路47において、入口47aと出口47bとの間の位置に、出口47bに臨むようノズル45の先端が開口されている。
【0064】
ノズル45は、上述した流体供給装置から送気送水管路48を介して供給された流体Rを、先端の開口から流路47に供給するものである。尚、流路47に供給される流体Rとしては、第1実施の形態と同様に、気体と、液体と、気体に液体が混入されたものとのいずれか1つが挙げられる。また、ノズル45の先端の開口から吐出される流体Rの流速Vを速めるため、ノズル45内の流路は、先端側に向かうに従って絞られた形状を有していても構わない。
【0065】
流路47は、入口47aから取り入れた体腔内の気体Aと、ノズル45の先端開口から供給された流体Rとが混ざった流体Mを、出口47bから、観察用レンズ44の表面44iに供給することにより、観察用レンズ44の表面44iの汚れや水滴を除去するものである。
【0066】
尚、その他の内視鏡の構成は、通常の直視型の内視鏡の構成と同じであるため、詳しい説明は省略する。
【0067】
また、流路47の出口47bから観察用レンズ44に流体Mを供給する作用についても、上述した第1実施の形態と同じであるため、その説明は省略する。
【0068】
このように、直視型の内視鏡に適用しても、上述した第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
尚、本実施の形態においても、出口47bから供給される流体Mにより、照明用レンズ43の表面43iの汚れや水滴を除去しても構わないことは勿論である。
【0070】
(第3実施の形態)
図7は、本実施の形態の内視鏡の挿入部の先端側を拡大して概略的に示す部分斜視図、図8は、図7の挿入部の先端側を、図7中のVIII方向からみた正面図、図9は、図7中のXI-XI線に沿う、挿入部の先端側の断面図である。
【0071】
この第3実施の形態の内視鏡の構成は、上述した図1〜図4に示した第1実施の形態の内視鏡と比して、先端部の外周面において周方向に沿って設けられている観察用レンズの汚れや水滴を除去する構成を有している点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0072】
図7に示すように、先端部3の先端側の第1の先端面3pから、挿入方向Sの前方に、先端部3を構成する断面略8の字形状を有する突出部90が突出されている。
【0073】
突出部90の先端側の第2の先端面90pに、該先端面90pよりも前方に位置する体腔内の第1の被検部位を観察する前方観察用レンズ64が、図9に示すように、先端部3を構成する先端部材73に対して枠体98を介して固定されている。尚、前方観察用レンズ64及び枠体98は、先端部材73に形成された挿入方向Sに沿った複数の貫通孔の1つに設けられている。
【0074】
また、突出部90内において、前方観察用レンズ64が設けられた貫通孔の該前方観察用レンズ64の挿入方向Sの後方(以下、単に後方と称す)には、図9に示すように、挿入方向Sに沿って短い円柱形状を有する前方側方観察兼用レンズ(以下、単に兼用レンズと称す)50が、表面50iが突出部90の外周側面の周方向Wに沿って臨むように、即ち、表面50iが突出部90の外周側面の一部に露出されるように、枠体98に固定されて設けられている。
【0075】
尚、表面50iの先端部材73によって遮られている部位は、突出部90の外周側面から露出されていない。また、枠体98は、兼用レンズ50の後方において、撮像素子30を保持している。
【0076】
兼用レンズ50は、前方観察用レンズ64とともに第1の被検部位を観察するとともに、突出部90の外周側面の周囲に対向して位置する体腔内の第2の被検部位を観察するものである。即ち、周囲方向視野を有するものである。
【0077】
また、図7〜図9に示すように、第2の先端面90pには、第1の被検部位を照明する照明用レンズ63が設けられている。
【0078】
照明用レンズ63は、先端部材73に設けられた、枠体98が設けられた貫通孔とは異なる貫通孔に設けられており、該貫通孔には、照明用レンズ63に照明光を供給するライトガイド32の先端側も挿通されている。
【0079】
また、図8に示すように、第1の先端面3pには、吸引チャンネル62を具備する吸引管路の先端側が開口されている。
【0080】
さらに、先端部材73の基端側には、湾曲部4を構成する湾曲管34の先端側が固定されている。
【0081】
また、先端部材73の外周面73s、第1の先端面3p及び第2の先端面90pには、前方観察用レンズ64、照明用レンズ63、吸引チャンネル62の開口、兼用レンズ50の表面50iが露出されるように、カバー部材60が被覆されている。
【0082】
また、図7〜図9に示すように、カバー部材60の一部、具体的には、第1の先端面3pを被覆するカバー部材60の部位には、入口67a及び出口67bがカバー部材60の外に開口された流路67が、図8に示すように、例えば3つ形成されている。即ち、各流路67の入口67a及び出口67bは、挿入部2を体腔内に挿入した際、体腔内に開口される。尚、流路67の数は、3つに限定されない。
【0083】
各入口67aは、先端部3の外周面3sにそれぞれ開口されており、各出口67bは、兼用レンズ50の近傍における兼用レンズ50に臨む位置にそれぞれ開口されている。
【0084】
また、図9に示すように、各流路67は、出口67bよりも入口67aの方が、開口面積が大きく形成されており、入口67aから出口67bに向かって流路径が小さくなるよう、カバー部材60に形成されている。
【0085】
また、各流路67において、入口67aと出口67bとの間の位置に、出口67bに臨むようノズル65の先端が開口されている。
【0086】
ノズル65は、上述した流体供給装置から送気送水管路68を介して供給された流体Rを、先端の開口から流路67に供給するものであり、3本の送気送水管路68にそれぞれ装着されていても構わないし、1本の送気送水管路68から3本に分岐した管路にそれぞれ装着されていても構わない。
【0087】
尚、流路67に供給される流体Rとしては、第1実施の形態と同様に、気体と、液体と、気体に液体が混入されたものとのいずれか1つが挙げられる。また、各ノズル65の先端の開口から吐出される流体Rの流速Vを速めるため、ノズル65内の流路は、先端側に向かうに従って絞られた形状を有していても構わない。
【0088】
各流路67は、入口67aから取り入れた体腔内の気体Aと、ノズル65の先端開口から供給された流体Rとが混ざった流体Mを、出口67bから、兼用レンズ50の露出された部位に供給することにより、兼用レンズ50の表面50iの汚れや水滴を除去するものである。
【0089】
尚、その他の内視鏡の構成は、通常の前方視野及び周囲方向視野を有する兼用レンズ50を具備する内視鏡の構成と同じであるため、詳しい説明は省略する。
【0090】
また、各流路67の出口67bから兼用レンズ50に流体Mを供給する作用についても、上述した第1実施の形態と同じであるため、その説明は省略する。
【0091】
このように、前方視野及び周囲方向視野を有する兼用レンズ50を具備する内視鏡に適用しても、上述した第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0092】
1…内視鏡
2…挿入部
3…先端部
3m…先端部の先端面
3s…先端部の側面
20…カバー部材
24…観察用レンズ
25…ノズル
27…流路
27a…入口
27b…出口
40…カバー部材
44…観察用レンズ
45…ノズル
47…流路
47a…入口
47b…出口
50…前方側方観察兼用レンズ
60…カバー部材
65…ノズル
67…流路
67a…入口
67b…出口
A…気体
M…流体
R…流体
S…挿入方向
W…周方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入される挿入部と、
前記挿入部の挿入方向先端側に設けられた、前記体腔内を観察するレンズと、
前記挿入部の前記先端側を、前記レンズが露出されるよう被覆されたカバー部材と、
前記カバー部材に対して、入口及び出口が前記カバー部材外に開口されているとともに前記入口から前記出口に向かって流路径が小さく形成された、前記出口から流体を前記レンズに向けて供給する流路と、
前記流路の前記入口と前記出口との間の位置において開口された、前記流路に流体を供給するノズルと、
を具備し、
前記流路は、前記ノズルから供給された流体と、前記入口から導入された前記体腔内の気体とを、前記出口から前記レンズに向けて供給することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記レンズは、前記挿入部の前記先端側に設けられた先端部の外周面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記レンズは、前記挿入部の前記先端側に設けられた先端部の前記先端側の面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記レンズは、前記外周面において、前記先端部の周方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記流路の前記出口は、前記カバー部材に対して、前記レンズに臨む位置に開口されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記ノズルから前記流路に供給される前記流体は、気体と、液体と、気体に液体が混入されたものとのいずれか1つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−157478(P2012−157478A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18497(P2011−18497)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】