説明

内部人工器官装置用の被覆及び動脈瘤治療に使用する方法

【課題】適切且つ予測可能な動脈瘤封止特徴を有し、他方では動脈瘤の頸部回りの遠位血管に対するばかりでなく、小さい枝分かれ血管に対する影響も最小限である動脈瘤修復装置の提供。
【解決手段】被覆されたステントのような内部人工器官装置。被覆された内部人工器官装置は内部人工器官及びシースを備える。シースは中心部分及び外側部分を備え、中心部分は血流を優先的に制限するか又はその制限をもたらす。血流が、シースの透過性を変更することにより、又はシース面上に血流を減速する突起を有することにより、シースの中心部分によって低減され得る。透過性が、シースの材料の中の穿孔若しくは穴によって、又はシース自体を構成する重合体構造を変更することによって提供される。シースの外側部分は実質的に血流を低減させることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部人工器官装置用の被覆に関する。動脈瘤を治療するために、本発明のシース(sheath)によって被覆された内部人工器官装置を使用する方法も包含される。被覆は、動脈瘤への血流を優先的に制限し、他方で周囲区域を実質的に無影響の状態に残す。特定の実施形態では、小さい貫通血管又は動脈に近接する動脈瘤が、本発明の装置及び方法を使用して治療される。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤は、血管、典型的には動脈の壁が、血管壁の脆弱化により異常に拡張され、頸部(neck)によって血管につながった電球又はボール形状の空間ができる現象である。体内のどこに動脈瘤が位置するかに応じて、破裂した動脈瘤が致命的になる恐れがある。
【0003】
近年まで、破裂及び未破裂の頭蓋内動脈瘤の主な治療は、外科手術で動脈瘤を露出させ、且つ外科用クリップを使用して動脈瘤の頸部をクリップ止めするものであった。これらの切開外科手術は、かなりの程度の後遺症及び死亡率を伴う。さらには、頭蓋内動脈瘤のなかには、それが脳組織内の深部に位置することにより、切開手術では到達不能なものもある。
【0004】
近年では、動脈瘤修復装置を使用して、動脈瘤が大きくなって最終的に破裂するのを防止するようになった。1つの普及している最小限の侵襲性処置は、カテーテルを介して動脈瘤の中へ詰め込まれ、次いでカテーテルから脱着されるワイヤである脱着可能コイル(DC)である。このワイヤの十分な塊を動脈瘤の中へ詰め込む目的は、動脈瘤に流入する流れに対する抵抗を増大させることである。動脈瘤が破裂する恐れは、動脈瘤に流入する流れを減速することで、動脈瘤をさらにより多くの流れから遮断する血栓を形成させれば、さらに低減される。この方策の多くの欠点には、この手技の予測不能性(よってかなりの数の動脈瘤を多量の血流に曝された状態に残す)、必要とされる多数のコイル(手技に掛かる時間及び費用が嵩む)、及びコイルが遠位血管の中へ塞栓形成する可能性(それによってこれらの血管を閉塞させる)が含まれる。これらの問題は、特に広口の動脈瘤(例えば、血管と広いつながりを有する動脈瘤)の治療時に該当する。
【0005】
多くの医療専門家は、治療的動脈瘤処置に、切開手術を必要とせず且つその成功が動脈瘤の構造に依存しない内部人工器官装置の提供を試みてきた。例えば、動脈瘤嚢を健康な動脈管から隔離するために、動脈瘤に橋掛けする腔内移植片を配置するための幾つかの提案が存在した。しかし、この方法も、動脈瘤の当該区域の小さい貫通動脈又は血管枝(入口枝及び出力枝の両方)をいずれも閉塞させ、よってこれらの血管枝に血流損失を引き起こす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、適切且つ予測可能な動脈瘤封止特徴を有し、他方では動脈瘤の頸部回りの遠位血管に対するばかりでなく、小さい枝分かれ血管に対する影響も最小限である動脈瘤修復装置に対する要望が当業に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内部人工器官装置用の被覆に関する。このような内部人工器官装置は、内部人工器官と、被覆された部分又はシースとを備える。内部人工器官は、その外部表面の全部又は一部が、中心部分及び外側部分を備えるシースによって被覆される。このシースは、動脈瘤への血流を優先的に制限するか又はその制限をもたらし、他方で周囲区域(例えば、動脈瘤の頸部回りの小さい貫通血管又は動脈)への血流は、実質的に影響を受けない状態に残す。1つの実施形態では、動脈瘤への血流がシースの透過性を変更することで制限される。シースの透過性(即ち、有孔率)は、シースの材料、このシース面上の重合体被膜中の穿孔若しくは穴によって、シース自体を構成する重合体構造を変更することによって、又はシース面上に差別的な細胞成長を誘導することによって設けることが可能である。
【0008】
特定の実施形態では、シースが、外側部分よりも血流に対する透過率が小さい中心部分を備える。その結果として、被覆された内部人工器官を通過する血流が、所望通りに制御及び変更され得る。シースの中心部分は、例えば、シースの外側部分よりも少ない及び/若しくは小さい穿孔及び/若しくは有孔性の低い構造を有することによって、並びに/又は優先的な細胞成長を有することによって、この外側部分よりも血流に対して透過性が低くなり得る。
【0009】
別の実施形態では、動脈瘤への血流が、シース面上の突起によって制限される。特定の実施形態では、シースが、突起を有する中心部分を備える。これらの突起は動脈瘤の中へその首部を通って延びる。動脈瘤の頚部に対向しない区域の中にある、シース面上の突起は、シースと血管の壁との間に捕らわれ、よって延びることがない。突起は、動脈瘤に流入する血流を減速するように働き、よって血栓を助長し得る。本実施形態では、突起は、長さが0.5mm〜5.0mmである。突起は、動脈瘤に近接する任意の貫通血管又は動脈の直径よりも長いことが好ましい。
【0010】
別の実施形態では、シースが、血流に対して外側部分と実質的に同じ透過率を有する中心部分を備える。このシースの透過率は、流出量を有する区域(貫通血管など)に血流が流入することを許容するが、流出量を有していない区域(動脈瘤など)に対して血流が制限されるようになっている。本実施形態では、シースが10〜100マイクロメートルの範囲内の孔を有する。
【0011】
シースは、内部人工器官装置に恒久的に又は過渡的に装着され得る。シースは、内部人工器官がシースの内腔の中へ送達されるとき、シースが内部人工器官の外部構造になるように拡張可能であり得る。内部人工器官は、当業で知られた任意の内部人工器官でよい。好ましい実施形態では、内部人工器官がステントである。
【0012】
シースは、形状が概ね円筒であり、それを貫通する内腔を有し得る。シースによって引き起こされる血流の変動は、シースの全周囲の回りに延びる区間内で生じ得る。別法では、シースによって引き起こされる血流の変動は、シースの全周囲の回りに延びることがない、より小さい区域に限定される区間内で生じ得る。幾つかの実施形態では、シースは中心部分のみを有する。
【0013】
本発明の内部人工器官装置を、例えば、動脈瘤を治療するために使用する方法も本発明によって包含される。このような方法では、被覆された内部人工器官装置が、動脈瘤の区域内の血管又は動脈の内腔の中に配置され、シースの中心部分が動脈瘤に面しているように位置決めされる。したがって、血流が動脈瘤の中で減少する。動脈瘤への血流の減少した速度及び量は、さらに動脈瘤を血圧から遮断する血栓を誘発し得る。それは動脈瘤破裂の危険性を低下させる。
【0014】
動脈瘤がいずれも本発明の方法に従って治療され得る。1つの実施形態では、動脈瘤が頭蓋内動脈瘤である。さらに詳細には、頭蓋内動脈瘤は、1つ又は複数の貫通血管に近接し得る。動脈瘤が1つ又は複数の貫通血管に近接する実施形態では、シース被覆された内部人工器官による貫通血管に対する血流妨害が、1)中心部分、例えば、血流を制限する部分が、動脈瘤の頚部に面しており、他方では外側部分、例えば、血流を実質的に制限しない部分が、貫通血管に面するように、貫通血管に面するシースの外側部分を配置することによって、又は2)流出量を有する区域に流入を許容するが、流出量を有していない区域への流れを制限するシースで、内部人工器官を被覆することによって最小化される。こうして、動脈瘤に近接する任意の貫通血管への血流に決定的な影響を及ぼすことなく、動脈瘤に流入する血流が最終的に低減又は排除される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の詳細な説明は、異なる図面中の同様の要素に同一の数字が付けられている図面を参照して読まれるべきである。図面は、必ずしも一定の比率に従っているわけではないが、選択された実施形態を図示するものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0016】
構造、材料、寸法、及び製造法の実施例が、選択された要素に関して提供されている。他の全ての要素は、本発明の分野の当業者には知られているものを使用する。当業者は、提供された実施例の多くには、同様に使用可能な適切な別法があることを認識しよう。
【0017】
本発明の被覆された内部人工器官装置はシースで被覆される。このシースは、動脈瘤への血流を優先的に制限するか、又はその制限をもたらし、他方で周囲区域(例えば、動脈瘤の頚部回りの小さい貫通血管又は動脈)への血流を実質的に無影響の状態に残す。1つの実施形態では、動脈瘤への血流が、シースの透過率を変更することによって制限される(図1〜5、及び9参照)。別の実施形態では、動脈瘤への血流がシースからの突起によって減速され、血栓形成をもたらし得る(図10参照)。
【0018】
本発明のシースは、内部人工器官装置の全部又は一部を被覆してもよい。幾つかの実施形態では、シースが、外側部分が両側に位置する中央部分を備える。他の実施形態では、シースが中心部分のみを備える。シースの中心部分は、動脈瘤への血流を制限するか又はその制限をもたらす。この動脈瘤への血流の減少は、1)血流に対する低透過率(例えば、シースの材料の中の小さい穿孔若しくは穿孔がないこと、シース面上の重合体皮膜、シース自体の材料の重合体構造、又はシース面上における細胞成長によってもたらされる)、或いは2)動脈瘤の頚部の中へ延びる突起を有する中心部分によって引き起こすことが可能である。シースの外側部分は、外側部分に面する貫通血管若しくは動脈がいずれも実質的に影響を受けることがないように十分な血流を許容する。外側部分は、相互に比較されるとき、同じ血流量を許容しても又はしなくてもよいが、外側部分は中心部分よりも多量の血流を許容することが好ましい。
【0019】
幾つかの実施形態では、中心部分がシースの全周囲の回りで均一である(図1、2、4、9、及び10参照)。他の実施形態では、中心部分がシースの全周囲の回りに均一ではない(図3及び5参照)。このような実施形態では、動脈瘤の頚部に対向して位置決めされ得る、血流を制限するか又はその制限をもたらす中心部分の区間が存在する。実質的に血流を制限しない、中心部分の他の区間は、動脈瘤の頚部回りの小さい貫通血管又は動脈に対向して、これらに対する血流が損なわれることなく位置決めされる。実質的に血流を制限しない、中心部分のこれらの区間は、血流に対して外側部分と同じ透過率を有していても又は有していなくてもよい。
【0020】
シースはまた、例えば、シースが、単一の装置で被覆される程に十分に至近距離にある多動脈瘤を被覆することが企図されるとき、複数の「中心」部分を有してもよい。このような実施形態では、中心部分がこのような動脈瘤を被覆するように位置決め可能であるが、他方で外側部分は、中心部分を包囲するように配置されることが推奨され得る。本明細書に説明される実施形態の多くは、複数の中心部分に対応するように適合可能であることが理解されている。
【0021】
シースは、近位開口部及び遠位開口部をさらに含み得る。その拡張していない形状では、シースが概ね円筒を形成し得る。シースは、シース及び内部人工器官の作製に使用される材料に適切な装着方法であれば、当業で知られる任意の方法によって内部人工器官に装着されてもよい。1つの実施形態では、接着剤による接合を使用して、シースを内部人工器官に装着する。このような接着剤は、任意所望の時点又は任意所望の力で脱着できるように設計可能である。接着剤による接合は、任意の医学的に承認された接着剤で形成可能である。
【0022】
1つの実施形態では、内部人工器官がステントである。シース被覆ステントを作製するために、任意のステントが本発明のシースによって被覆され得る。当業で利用可能な数多くのステントに当業者は精通している。このような任意のステントが、本発明で使用するのに適切であり得る。ステントは、自己拡張式であってもよいし、又はバルーン拡張可能なステントであってもよい。装着方法がステント及びシースを作製するために使用される材料に適切であれば、任意の方法を使用してシースをステントに装着することができる。1つの実施形態では、シースが、接着剤による接合を使用してステントに装着される。シースはステントに恒久的に又は一時的に装着されてもよい。
【0023】
図1は、内部人工器官装置の被覆された部分を形成するシース1を例示する。シースの中実部分2は、被覆された内部人工器官装置が患部に到達し得ることを可能にする特性を有する、当業者に知られた任意の材料から作製可能である。例えば、シース1は、エラストマー又は他の高度にコンプライアントな重合体から作製することができる。このような重合体には、ラテックス;Kratonという商標名のShell社製のSBS及びSEBSなどのスチレンブロック共重合体;Hvtrelという商標名のDuPont社製のコポリエステルであるポリエーテル−エステルブロックコポリマー(COPE);Pebaxという商標名のAtochem社製の熱可塑性ポリアミドエラストマー(PEBA);及びPellathaneという商標名のDow社製の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPUR)又は熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)が含まれ得る。材料自体は生体適合性であってもよいし、又はそれらは生体適合性材料で覆われてもよい。さらには、これらの材料が生分解性であっても又はそうでなくてもよい。同様に、シースは、DACRON、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又は他の任意適切な材料など、任意の繊維、薄膜、又は材料から作製されてもよい。コンプライアントな材料が好ましい。
【0024】
シースが差別的な透過率を有する実施形態では、この差別的な透過率は、シースを構成する特定の材料の選択によって設けられてもよい。多くの透過性材料が当業者に知られており、それらを本発明のシースで使用することが本発明に包含される。透過性(permeability)、有孔率(porosity)、穿孔(perforations)(その密度)という用語は、本明細書では互換可能に使用されている。
【0025】
幾つかの実施形態では、シース1が、多少の血液がシースを通過して流れることを可能にする穿孔3、4、即ち、有孔率を有する。円形の穿孔3、4が図1に示されているが、シース中の穿孔は任意の形状でよい。シース中の穿孔は全て同じ形状であり得るし、又はそれらが2つ以上の形状でもよい。図1に例示された実施形態では、穿孔のサイズがシース1の中で異なる。例えば、シースの中心部分5は、外側部分6の中のものよりも小さい穿孔を有し得る(例えば、穴3と穴又は穿孔4との比較によって示されているように)。中心部分5及び外側部分6の中の穿孔は、サイズが均一であるものとして図1に示されているが、本発明のシース中の穿孔は、部分の中で異なるサイズでもよい。
【0026】
外側部分6の中の穿孔は、この外側部分に面する貫通血管又は動脈がいずれも実質的に影響を受けないように、十分な血流がシースを通過することを許容する程に十分に大きいことが好ましい。外側部分6は、相互に比較されるとき、同じサイズの穿孔を有してもよいし又は有しなくてもよいが、外側部分のそれぞれは、中心部分の平均穴サイズよりも大きい平均穴サイズを有することになる。
【0027】
中心部分5の中の穿孔は、シースが存在しない状態の血流量及び圧力に比べて、中心部分に面する動脈瘤の血流量及び圧力が減少するように、シースによって透過率が多少制限され得るようなサイズ及び/又は有孔率である。本実施形態では、シースの他の部分が、より大きい透過性を提供するためにより大きな穿孔を含む。穿孔のサイズは、血管の種類及びサイズ、並びに治療されている動脈瘤のサイズ/形態などの物理的要因に基づいて当業者によって経験的に決定され得る。
【0028】
1つの実施形態では、中心部分の有孔率は、シースの全周囲の回りで均一である。図1に示された特定の実施形態では、シースは、中心部分全体を通して均一の有孔率を有する。別の特定の実施形態では、中心部分の有孔率全体がシースの全周囲の回りに均一である限りにおいて、シースがこの部分における有孔率は均一でない。
【0029】
本発明の別の実施形態が図2に例示されている。本実施形態では、シース1が、このシースの中に多少の透過性を可能にするように穿孔7、8を有する。穿孔7、8は、外側部分6の中におけるよりも中心部分5において密度が低い。シース中の穿孔の密度は、シースの外側部分よりも中心部分において全体的に透過性が低い。
【0030】
外側部分6の中の穿孔の密度は、外側部分に面する貫通血管又は動脈がいずれも実質的に影響を受けないように、十分な血流を許容する程に十分に高い。外側部分は、相互に比較されるとき、同じ穿孔の密度(即ち、有孔率)を有しても又は有しなくてもよいが、外側部分は中心部分5の有孔率よりも大きい有孔率を有することが好ましい。
【0031】
穿孔7、8は図2では同じサイズであるが、シース中の穿孔は異なるサイズ及び/又は形状であってもよい。幾つかの実施形態では、シースの外側部分に異なるサイズの複数の穿孔を有し、且つシースの中心部分により少ない及び/又はより小さい開口を有するシースを設けるために、図1及び2の実施形態を組み合わせることも推奨され得る。
【0032】
別の実施形態では、中心部分の有孔率がシースの全周囲の回りに均一である。図2に示された特定の実施形態では、シースが中心部分で均一なサイズの穿孔を有する。別の特定の実施形態では、シースは中心部分に非均一のサイズの穿孔を有するが、中心部分の有孔率全体はシースの全周囲の回りに均一である。
【0033】
本発明の別の実施形態が図3に例示されている。本実施形態では、シース1は、このシースの中に不定の透過性を可能とするために不定のサイズの穿孔を有する。中心部分5は、外側部分6のいずれよりも減少した有孔率を有する。しかし、中心部分5の有孔率は、本実施形態のシースの全周囲の回りに均一ではない。中心部分5の減少した有孔率の領域は、外側部分6の穿孔よりもサイズが小さい穿孔を有する区域によって与えられる。この領域は、シースの中心部分全体よりも小さい区域に限定され、よってシースの全周囲の回りに連続することはない。中心部分の残りの部分は、外側部分の有孔率と実質的に同様の有孔率を有する。
【0034】
図3は、より小さい穿孔の区域の存在によって与えられた減少した有孔率の領域を有する中心部分を示すが、任意の手段を使用して有孔率を減少させてもよい。例えば、中心部分の減少した穿孔の領域は、外側部分おけるよりも粗く間隔を空けた穿孔を有することによって与えられ得る。
【0035】
本発明の別の実施形態が図4に例示されている。本実施形態では、シース1は、このシース自体の材料を構成する異なる重合体構造により、外側部分6に比べて減少した有孔率の中心部分を有する。1つの実施形態では、中心部分を構成する1つ又は複数の重合体が、外側部分を構成する1つ又は複数の重合体とは異なる(例えば、減少した有孔率を与える)。別の実施形態では、中心部分を構成する1つ又は複数の重合体が、外側部分を構成する1つ又は複数の重合体と同じである。このような実施形態では、シースの異なる領域の物理的構造が異なってもよい。例えば、図4に示されたように、1つ又は複数の重合体が、異なる有孔率を与えるために、中心部分では外側部分におけるよりも緊密な様態で織られるか又は編まれてもよい。
【0036】
本実施形態では、中心部分の有孔率は、シースの全周囲の回りに均一であってもよい。
【0037】
本発明の別の実施形態が図5に例示されている。本実施形態では、シース1が、図4に関して上で説明されたように、シース自体の材料を構成する異なる重合体構造により、外側部分6に比べて減少した有孔率の中心部分5を有する。中心部分5の有孔率は外側部分6に比べて全体的に減少するが、中心部分は、本実施形態のシースの全周囲の回りに均一の有孔率を有していない。中心部分5の中の減少した有孔率の領域は、シースの他の部分を構成する重合体とは異なる(例えば、減少した有孔率)であるか、又は異なるように構成される(例えば、より緊密に織られるか又は編まれる)重合体から構成される。この領域は、シースの中間部全体よりも小さい区域に限定される。中間部の残りの部分は、外側部分の有孔率と実質的に同様の有孔率を有する。
【0038】
図6は、シース被覆された内部人工器官装置9の模式図を例示する。内部人工器官10の一部を被覆するシース1が示されている。図示のシースは図3のシースを示すが、シースの実施形態のいずれを使用しても内部人工器官装置を被覆することができる。内部人工器官装置9の一部のみを被覆するシース1が示されている。他の実施形態では、シースが、内部人工器官の全長に達し且つそれを含むように内部人工器官のより多くを被覆することが推奨され得る。
【0039】
幾つかの実施形態では、シースの中心部分がシースの全周囲の回りに均一の有孔率を有する(図1、2、及び4参照)。このような実施形態では、中心部分の均一な有孔率が、外側部分の有孔率に比べて減少している。他の実施形態では、減少した有孔率の領域が、シースの中心部分全体よりの小さい区域に限定される(例えば、図3及び5参照)。中心部分の残りの部分は、外側部分の有孔率と実質的に同様の有孔率を有する。このような実施形態では、中心部分の減少した有孔率の領域が、動脈瘤に面するシースの側のみに存在する(例えば、ステントの周囲の6分の1、4分の1、3分の1、又は2分の1)。シース被覆されたステントの本実施形態は、シースの中心部分で生じる減少した透過性を蒙ることになる貫通血管が動脈瘤に対向する血管の側に存在するときに、有用である。
【0040】
図7は、動脈瘤12がある血管11の内腔の中に位置決めされている、シース被覆された内部人工器官装置9を例示する。シース被覆された内部人工器官9は、当業で知られた方法によって血管の内腔11の内側に配置される。シース被覆された内部人工器官9は、シース1の中心部分が動脈瘤12に面しているように位置決めされる。シースの中心部分5は、適切に配置されるとき、動脈瘤の頚部に面しており、他方で1つ又は複数の外側部分6は動脈瘤の頚部を越えて位置決めされ得る。図7では、外側部分が動脈瘤の頚部に対して長手方向へ遠位及び近位に位置決めされる。
【0041】
当業で知られた任意の手段を使用して患部(例えば、動脈瘤に近接する血管又は動脈の内腔)を見つけ、シース被覆された内部人工器官の配置を監視することができる。好ましい実施形態では、患部が当業で知られた診断方法、即ち、MRI又は血管造影法によって識別される。
【0042】
図8は、動脈瘤12がある血管14の内腔11の中に位置決めされた、シース1によって被覆された内部人工器官装置10の断面図を例示する。ステント10は、シース1の中心部分5が、動脈瘤12を有する血管の区域に面しているように、血管14の内腔11の中に位置決めされる。本実施形態では、シースの中心部分5が動脈瘤の頚部に面しており、他方で外側部分6が動脈瘤の頚部の両側に周方向へ配置されている。したがって、動脈瘤に近接する貫通血管はいずれも、その血流が実質的に妨害されることがない。
【0043】
図9は、内皮細胞増殖を促進する材料15の層が埋め込まれたシース1によって被覆される内部人工器官10を例示する。本実施形態では、内部人工器官10の有孔率が、内皮細胞増殖を促進する材料15の層上に内皮細胞の層が最終的に優先的に追加されることによって変更される。幾つかの実施形態では、血流をさらに減速するために、内皮細胞増殖(endothelialization)を促進する材料の層が、本発明の別のシースの中心部分に追加され得る(例えば、図1〜5、10、及び11のいずれかに示されているように)。このような実施形態が図9Bに示されており、その図では、内皮細胞増殖を促進する材料の層が図11の重合体シースの中に埋め込まれている。
【0044】
内皮細胞増殖を促進する材料の層は、内皮細胞又はその前駆細胞の表面上にある第2の分子と相互作用する能力がある第1の分子を含む。第1の分子と第2の分子との間の相互作用は、内皮細胞又はその前駆細胞がセンサに付着するように誘導する。第1の分子の非限定的な実施例は、抗体又はその抗原結合断片、小分子、及び細胞外マトリックス分子である。
【0045】
1つの特定の実施形態では、内皮細胞増殖を促進する材料の層が、1つ若しくは複数の抗体又はその抗原結合断片を含む。抗体又はその抗原結合断片は、細胞膜又は内皮細胞及び/若しくはその前駆細胞の細胞表面の上の抗原に特異的に結合するか又はそれと相互作用し、よって循環及び包囲組織から細胞をシースに補充する。抗体が特異的に結合する細胞膜又は細胞表面抗原は、所望の細胞型(例えば、内皮細胞若しくはその前駆細胞の上にのみ又は主として見いだされる)に特異的である。本発明に有用な抗体又はその抗原結合断片の幾つかの非限定的な実施例は、次の抗原、例えば、血管内皮細胞増殖因子受容体1、2、及び3(VEGFR−1、VEGFR−2及びVEGFR−3並びにVEGFR受容体系統のアイソフォーム)、Tie−1、Tie−2、Thy−1、Thy−2、Muc−18(CD146)、幹細胞抗原1(Sca−1)、幹細胞因子(SCF又はc−Kitリガンド)、VE−カドヘリン、P1H12、TEK、Ang−1、Ang−2、HLA−DR、CD30、CD31、CD34、CDw90、CD117、並びにCD133を対象とする。別法として、抗体が特異的に結合する細胞膜又は表面抗原は、所望の細胞型の上のみに見いだされなくてもよく、例えば、細胞膜又は表面抗原は、内皮細胞又はその前駆細胞に加えて他の細胞の上にも見いだされる。このような実施形態では、認識された抗原のプロフィールが所望の細胞型に特有であるように、非特異的な細胞膜又は表面抗原に特異的に結合する抗体の混合物を使用することが推奨可能であり、例えば、抗体の混合物によって特異的に結合された細胞膜又は表面抗原は、内皮細胞及び/又はその前駆細胞上にその組合せのみで若しくは主としてその組合せで見いだされる。
【0046】
別の特定の実施形態では、内皮細胞増殖を促進する材料の層が、所望の細胞の細胞膜又は細胞表面上の1つ若しくは複数のリガンドを結合する1つ又は複数の小分子を含む。小分子は、センサの表面上の細胞を固定して内皮細胞の層を形成するために、内皮細胞又はその前駆細胞の上のリガンドを認識し且つそれと相互作用する。本発明の方法で使用され得る小分子には、限定するものではないが、無機及び有機化合物;限定するものではないが、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、修飾タンパク質、又は同様物を含むタンパク質類の分子;限定するものではないが、二重鎖DNA、一本鎖DNA、二重鎖RNA、一本鎖RNA、又は三重らせん核酸分子、若しくはそれらの雑種を含む核酸分子;脂肪酸;或いは糖類が含まれる。小分子は、任意の知られた有機体(限定するものではないが、動物、植物、細菌、菌類、原生生物、又はウイルスを含む)に由来する天然生成物であってもよいし、又は1つ若しくは複数の合成分子であってもよい。1つの実施形態では、本発明の方法で使用される小分子は、レクチンである。レクチンは、内皮細胞に特異的なレクチン抗原に結合する、非免疫由来の糖質結合ペプチドである(Schatz et al., 2000, Biol Reprod 62: 691-697)。他の実施形態では、様々な内皮及び/又は先駆細胞表面受容体を標的にするために作り出された小分子が、本発明の方法に使用可能である。例えば、VEGF受容体は、SU11248(Sugen Inc.社製)(Mendel et al., 2003, Clin Cancer Res. 9:327-37)、PTK787/ZK222584(Drevs et al., 2003, Curr Drug Targets 4:113-21)、及びSU6668(Laird et al., 2002, FASEB J. 16:681-90)によって結合可能であり、他方で、アルファvベータ3インテグリン受容体は、SM256及びSD983(Kerr et al., 1999, Anticancer Res. 19:959-68)によって結合可能である。
【0047】
別の特定の実施形態では、内皮細胞増殖を促進する材料の層が、内皮細胞及び/又はその先駆細胞が自然に付着する1つ若しくは複数の細胞外マトリックス(ECM)分子を含む。本発明に従って使用するためのECM分子の実施例は、例えば、コラーゲン、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチンなどの基底膜成分ばかりでなく、基底膜調製物、ヘパリン、及びフィブリンである。
【0048】
内皮細胞増殖を促進する材料の層は、内皮細胞及び/又はその先駆細胞の生存を促進し、その成長を加速し、或いはその分化を引き起こすか又は促進する化合物を含んでもよい。内皮細胞の生存、増殖、及び/又は分化を刺激する任意の成長因子、サイトカイン、若しくは同様物が、本発明の方法で使用可能である。本発明の方法で使用される化合物は、限定するものではないが、アンジオゲニン−1、アンジオゲニン−2、血小板由来増殖因子(PDE−CGF)、血管内皮細胞増殖因子121(VEGF 121)、血管内皮細胞増殖因子145(VEGF 145)、血管内皮細胞増殖因子165(VEGF 165)、血管内皮細胞増殖因子189(VEGF 189)、血管内皮細胞増殖因子206(VEGF 206)、血管内皮細胞増殖因子B(VEGF−B)、血管内皮細胞増殖因子C(VEGF−C)、血管内皮細胞増殖因子D(VEGF−D)、血管内皮細胞増殖因子E(VEGF−E)、血管内皮細胞増殖因子F(VEGF−F)、プロリフェリン、内皮PASタンパク質1、及びレプチンを含めて、内皮細胞に特異的であり得る。本発明の方法で使用された化合物は、限定するものではないが、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、線維芽細胞増殖因子3−9(FGF 3−9)、血小板誘導増殖因子(platelet-induced growth factor)(PIGF)、形質転換増殖因子β1(TGFβ1)、形質転換増殖因子α(TGFα)、肝細胞増殖因子散乱因子(scatter factor)(HGF/SF)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、オステオネクチン、アンギオポイエチン(angiopoietin)−1、アンギオポイエチン−2、インスリン様増殖因子(ILGF)、血小板由来増殖因子AA(PDGF−AA)、血小板由来増殖因子BB(PDGF−BB)、血小板由来増殖因子AB(PDGF−AB)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、ヘパリン、インターロイキン8、チロキシン、又はそれらの官能性断片を含めて、内皮細胞に非特異的であり得る。
【0049】
図10は、突起16を有するシース1によって被覆された内部人工器官10を例示する。これらの突起はその一端がシースに付着され、他方で突起の他端は付着されない状態に留まる。突起16は、動脈瘤の頚部に対向して配置されるとき、動脈瘤12の頚部の中へ延び、動脈瘤に流入する血流を減速する。この減少した血流は血栓を発生させ、よって動脈瘤に流入する血流をさらに減少させることができる。動脈瘤の頚部に対向していない突起はいずれも延びることはなく、シース1と血管14の壁との間に捕獲されることになる。長さが0.5〜5.0mmの間にある突起は、任意の細くて柔軟性のある材料から作製され得ることが好ましい。突起が動脈瘤に近接する任意の貫通血管又は動脈の直径よりも長いことが好ましい。幾つかの実施形態では、突起は血流をさらに減速するために、本発明の別のシース(例えば、図1〜5、9、及び11のいずれかに示した)の中心部分に追加され得る。このような実施形態が図10Cに示されており、その図では突起が図11の重合体シースに付着されている。
【0050】
図11Aはシース1で被覆された内部人工器官10の写真であり、その写真では、中心部分5が、血流に対して外側部分6と実質的に同じ透過率を有する。シース1は、10〜100マイクロメートルの範囲内の孔を有する重合体から作製される。シースは、その全長に亘って実質的に均一の材料から作製されるが、貫通血管及び動脈瘤自体の特性がシースに機能差を付与する。流出量を有する、シースの対向区域(貫通血管など)は、血液がシースを流れて通過することを許容する。流出量がない、シースの対向区域(動脈瘤など)は、シースによって血流が制限されることをもたらす。図11Bは、本実施形態におけるシースを構成した重合体のより糸の500倍の拡大写真を示す。重合体の他に、シースは10〜100マイクロメートルの範囲内にある間隙又は穿孔を担持できる任意の材料から作製可能である。このシースは、中心部分の中に追加的な被膜を有してもよい。この被膜は、生分解性重合体と、炎症及び/又は血栓形成を助長する1つ若しくは複数の作用物質とを含んでもよい。
【0051】
本明細書に引用された公開論文、図書、解説書、要約の全ての内容は、本発明が関連する最新技術をより十分に説明するために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0052】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、様々な変更が以上に説明された主題に対して実施され得るので、以上の説明に含まれるか又は添付の特許請求の範囲において画定された全ての主題は、本発明を説明及び例示するものとして解釈されることが企図されている。上の教示に照らして、本発明の変更及び変型が実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1A〜1Bは本発明の1つの実施形態におけるシース1の模式図である。本実施形態では、穿孔のサイズは、このシースの中心部分5と外側部分6との間で異なる。血流透過率の変動を決定する区間は、シースの周囲の回りに且つその全長に沿って延びる。(A)で平らなシースは、(B)で円筒にされている。中心部分5の小さい穿孔は、(B)で分かるようにシースの全周囲の回りに延びる。
【図2】図2A〜2Bは本発明のシース1の別の実施形態の模式図である。これらの図で、穿孔の数は、このシースの中心部分5と外側部分6との間で異なる。血流透過率の変動を決定する区間は、シースの周囲の回りに且つその全長に沿って延びる。(A)で平らなシースは、(B)で円筒にされている。中心部分5のより低密度の穿孔は、(B)で分かるようにシースの全周囲の回りに延びる。
【図3】図3A〜3Bは本発明の別の実施形態における、シース1の別の実施形態の模式図である。本実施形態では、穿孔のサイズが、このシースの中心部分5と外側部分6との間で異なる。中心部分5のより小さい穿孔は、シースの中間部全体のサイズよりも小さい領域に限定される。(A)で平らなシースは、(B)で円筒にされている。中心部分5のより小さい穿孔は、(B)で分かるようにシースの全周囲の回りに延びることはない。
【図4】図4A〜4Bは本発明の別の実施形態におけるシース1の模式図である。本実施形態では、シース自体を構成する重合体構造の有孔率が、このシースの中心部分5と外側部分6との間で異なる。血流透過率の変動を決定する区間は、このシースの周囲の回りに且つその全長に沿って延びる。(A)で平らなシースは、(B)で円筒にされている。中心部分5のより低い透過性の区域は、(B)で分かるようにシースの全周囲の回りに延びる。
【図5】図5A〜5Bは本発明の別の実施形態におけるシース1の模式図である。本実施形態では、シース自体を構成する重合体構造の有孔率が、このシースの中心部分5と外側部分6との間で異なる。中心部分5のより低い透過性の区域は、シースの中間部のサイズよりも小さい領域に限定される。(A)で平らなシースは、(B)で円筒にされている。より低い透過性の中心部分5は、(B)で分かるようにシースの全周囲の回りに延びることはない。
【図6】シース被覆された内部人工器官9の模式図である。このシース1はステント10の一部に装着されて示されている。
【図7】シース被覆された内部人工器官9が動脈瘤12に面する位置にある内腔11を有する血管の模式図である。シース1の中心部分5は動脈瘤の頚部に面しており、他方で、シース1の外側部分6は動脈瘤の頚部の両側にある。シース被覆された内部人工器官9は、シース1が装着されたステント10を備える。
【図8】血管内腔11の中でシース1によって一部が被覆された内部人工器官装置10を備える血管14及び動脈瘤12の図7で指定された平面13を通過して取った模式的な断面図である。シース被覆された内部人工器官装置は、動脈瘤12に面する位置にある。本実施形態では、シース1の中心部分5は動脈瘤の頚部に面しており、他方で、外側部分6は動脈瘤の頚部の側に円周方向へ配置されている。内部人工器官10及びシース1は、血管14の壁に隣接している。
【図9A】図9A〜9Bはシース1によって被覆される内部人工器官10に、内皮細胞増殖を促進する材料15の層が埋め込まれた、本発明の別の実施形態の模式図である。この模式図(A)では、シース1は外側部分がない中心部分を有する。しかし、本実施形態のシースは、血流に対して透過性があり、且つ内皮細胞増殖を促進する材料の層が埋め込まれていない外側部分を有し得る。本実施形態では、内部人工器官10の有孔率は、内皮細胞増殖を促進する材料15の層上に内皮細胞の層を優先的に追加することによって変更される。(B)中心部分に埋め込まれた、内皮細胞増殖を促進する材料15の層を備える重合体シース19を有する内部人工器官10が図示されている。
【図9B】図9A〜9Bはシース1によって被覆される内部人工器官10に、内皮細胞増殖を促進する材料15の層が埋め込まれた、本発明の別の実施形態の模式図である。この模式図(A)では、シース1は外側部分がない中心部分を有する。しかし、本実施形態のシースは、血流に対して透過性があり、且つ内皮細胞増殖を促進する材料の層が埋め込まれていない外側部分を有し得る。本実施形態では、内部人工器官10の有孔率は、内皮細胞増殖を促進する材料15の層上に内皮細胞の層を優先的に追加することによって変更される。(B)中心部分に埋め込まれた、内皮細胞増殖を促進する材料15の層を備える重合体シース19を有する内部人工器官10が図示されている。
【図10A−B】図10A〜10Dは突起16を有するシース1によって内部人工器官10が被覆されている、本発明の別の実施形態の模式図を示す。この模式図(A)では、シース1は、外側部分がない中心部分を有する。しかし、本実施形態のシースは、血流に透過性であり、且つ血栓症を助長する突起を有しない外側部分を有することが可能である。(B)血管内腔11の中に突起16を有するシース1によって一部が被覆された内部人工器官装置10を備える血管14及び動脈瘤12の模式的な断面図が図示されている。内部人工器官装置は動脈瘤12に面する位置にある。本実施形態では、シースの突起担持部分が動脈瘤の頚部に面している。突起16は、動脈瘤12の頚部の中へ延びるが、シース1と、動脈瘤12の頚部に対向していない区域の中の血管14の壁との間に捕らわれている(よって延びることはない)。(C)中心部分の中に突起16を備える重合体シース19を有する内部人工器官10が図示されている。(D)動脈瘤12に面する位置にある中心部分の中に突起16を備える重合体シース19を有する内部人工器官10を含む血管14の模式図である。本実施形態では、シースの突起担持部分は動脈瘤の頚部に面している。突起16は、動脈瘤12の頚部の中へ延びるが、シース1と、動脈瘤12の頚部に対向していない区域17の中の血管14の壁との間に捕らわれている(よって延びることはない)。動脈瘤に近接する小さい貫通血管又は動脈18は突起によって影響を受けることはない。
【図10C−D】図10A〜10Dは突起16を有するシース1によって内部人工器官10が被覆されている、本発明の別の実施形態の模式図を示す。この模式図(A)では、シース1は、外側部分がない中心部分を有する。しかし、本実施形態のシースは、血流に透過性であり、且つ血栓症を助長する突起を有しない外側部分を有することが可能である。(B)血管内腔11の中に突起16を有するシース1によって一部が被覆された内部人工器官装置10を備える血管14及び動脈瘤12の模式的な断面図が図示されている。内部人工器官装置は動脈瘤12に面する位置にある。本実施形態では、シースの突起担持部分が動脈瘤の頚部に面している。突起16は、動脈瘤12の頚部の中へ延びるが、シース1と、動脈瘤12の頚部に対向していない区域の中の血管14の壁との間に捕らわれている(よって延びることはない)。(C)中心部分の中に突起16を備える重合体シース19を有する内部人工器官10が図示されている。(D)動脈瘤12に面する位置にある中心部分の中に突起16を備える重合体シース19を有する内部人工器官10を含む血管14の模式図である。本実施形態では、シースの突起担持部分は動脈瘤の頚部に面している。突起16は、動脈瘤12の頚部の中へ延びるが、シース1と、動脈瘤12の頚部に対向していない区域17の中の血管14の壁との間に捕らわれている(よって延びることはない)。動脈瘤に近接する小さい貫通血管又は動脈18は突起によって影響を受けることはない。
【図11】図11A〜11Bは中心部分5及び外側部分6で血流に対して実質的に均一の透過率のシース1によって被覆された内部人工器官10の写真である。シース1は、その全長に亘って10〜100マイクロメートルの範囲内の孔を有する重合体から作製される。シース被覆された内部人工器官装置9(A)及びシース1の500倍の拡大写真(B)が示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部人工器官装置及びシースを備えた、動脈瘤を治療する装置であって、
前記シースが複数の突起を有し、各突起が前記シースに付着した一端と、付着していない他端を有し、前記突起の構造が、前記動脈瘤の中へ延びるが、隣接する血管には延びないことを可能にする構造である、装置。
【請求項2】
シースが中心部分と外側部分とを有し、突起が外側部分ではなく中心部分上に位置している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
内部人工器官装置がステントである、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
突起の長さが約0.5と5.0mmとの間である、請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
突起が隣接する貫通血管の直径より長い、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図10A−B】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10C−D】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−156372(P2011−156372A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66513(P2011−66513)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【分割の表示】特願2008−507178(P2008−507178)の分割
【原出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(598081805)メディノール リミテッド (10)
【Fターム(参考)】