説明

内部参照スポットを用いるマイクロアレイのばらつきの低減

本発明は、マイクロアレイアッセイのばらつきを低減するために内部参照スポットを用いるシステムを提供する。サンプル中の複数の標的リガンドを定量するためのマイクロアレイ装置は、複数のテスト領域を有する固体支持体と、前記テスト領域上に固定化された複数の異なる標的捕捉リガンドと、前記テスト領域上に固定化された少なくとも1種類の参照捕捉リガンドとを含む。前記参照捕捉リガンドは、前記サンプル中に通常は存在しない参照リガンドを捕捉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精度を上げ、マイクロアレイのばらつきを低減するために内部参照スポットを用いるシステムに関する。本発明のシステムは、マイクロアッセイ装置、アッセイ方法およびマイクロアッセイ作成方法を含む。
【背景技術】
【0002】
以下の説明は本発明に関する情報の概要を提供するものであって、本明細書に提供される情報または本明細書に引用される刊行物のいずれかが本発明の先行技術であると認めるものではない。
【0003】
マイクロアレイとは、適当な固体支持体上に(約1mm以下の)小さなスポットとして配置された離散した捕捉試薬のアレイまたはパターンをいう。前記マイクロアレイの適当な固体支持体の例は、ポリプロピレンのプレートその他のプレートであって、スポットのアレイが配置される複数のテスト領域を有するプレートである。試薬および一定体積のサンプルが、標的リガンドを検出するために前記テスト領域に添加される。
【0004】
マイクロアレイを用いるアッセイは、周知のサンドイッチ法を含む多数の方法で実施することができる。サンドイッチ法では、標的リガンド(target ligand)、標的リガンド検出剤(detector)および捕捉リガンド(capture ligand)が前記アッセイに用いられる。「標的リガンド」および「抗リガンド(anti−ligand)」は、抗原、抗体、結合タンパク、ハプテン、ホルモンレセプターその他の生体分子であって、他の分子と結合することにより複合体を形成することができる生体分子である。捕捉リガンドは、前記標的リガンドと結合する抗リガンドである。「標的リガンド検出剤」は、前記標的リガンドかまたは標的リガンド−捕捉リガンド複合体と結合する標識された抗リガンドである。
【0005】
サンドイッチアッセイでは、捕捉リガンドは、第1複合体を形成するために標的リガンド上の少なくとも1つの部位に結合して、前記標的リガンドを捕捉し、あるいは、連結する。標的リガンド検出剤も、第2複合体を形成するために前記標的リガンドに結合する。前記複合体のサンドイッチのうちの標識された成分が、マイクロアレイ内の特定の場所に標的リガンドが存在することを表示することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マイクロアレイは、少量のサンプルを用いて1または2種類以上の標的リガンドの存在を検出するうえで有用である。しかし、マイクロアレイはある標的リガンドが存在するかを決定するものであって、該標的リガンドの定量はしないのが一般的である。マイクロアレイ中の各標的リガンドの定量は、多くの用途において非常に有用であるか、あるいは、不可欠である場合があり、マイクロアレイの有用性を向上し、拡張するであろう。
【0007】
マイクロアレイフォーマットでの標的リガンドの正確な定量は複雑であり、アッセイ手順のいずれかの段階での変動可能な条件が精度に影響を与える。これらの変動は、意味があって精度を下げる場合がある。変動可能な条件は、(1)マイクロアレイ上のスポットとして捕捉試薬を配置すること、(2)マイクロアレイ上にサンプルおよび試薬を配置すること、(3)前記サンプルおよび試薬をインキュベーションすること、および/または(4)各標的リガンドに対応するシグナルを検出および計測する際、というアッセイ手順の1つまたは2つ以上の段階で発生する場合がある。マイクロアレイにサンプルまたは捕捉試薬を添加する工程は、配置される量をばらつかせる結果になる場合がある。可視性の標識が標的リガンドを検出するのに用いられる場合には、埃、不均一な照明、合焦の問題および/または設備の問題が、前記標識強度の検出および計測のばらつきを起こす可能性がある。温度、湿度、インキュベーション時間および揺動攪拌(shaking)は、マイクロアレイを用いるアッセイの際に発生しうる他の変動要因である。ばらつきは、アレイ内の異なるテスト領域の間でも発生する場合がある。これらの要因の全てが、標的リガンドの検出および計測におけるマイクロアレイの性能および精度に影響を与える場合がある。標的リガンドの検出および計測における変動要因を考慮し調整する、マイクロアレイアッセイ方法の必要性がある。
【0008】
各標的リガンドに直接的あるいは間接的に結合した各標識に対応するシグナル強度を検出および定量することは、スポットのサイズが小さいためにさらに複雑である。各テスト領域内の各捕捉部位の位置と、標識複合体中の各標的リガンドの対応する正体(identity)を正確に同定することが不可欠である。マイクロアレイには、ユーザが該マイクロアレイにおいてテストされる各標的リガンドに対応するスポットを容易かつ迅速に決定することができる内部マーカーまたは参照ポイントはないのが典型的である。内部参照ポイントがないことは、マイクロアレイ中に捕捉された標的リガンドに対応するスポットの方向を決定し、あるいは、整列させるために時間のかかる手順にユーザが従事しなければならないことにつながる。マイクロアレイにおいてテストされる異なる標的リガンドの数によっては、これはアッセイ結果の解析を遅らせる場合がある。
【0009】
したがって、定量的で、マイクロアレイアッセイの精度を向上させ、各アレイ中のスポットの正確な検出を可能にするために、マイクロアレイの方向決定または整列を容易にし、高価で時間のかかる手順を要することなく捕捉された標的リガンドを定量する、マイクロアレイ用アッセイ方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本発明は上記の必要性を満足する。本発明は、精度を向上させ、マイクロアレイのばらつきを低減するために内部参照スポットを用いるシステムを提供する。本発明のシステムは、マイクロアレイ装置、アッセイ方法およびマイクロアッセイ作成方法を含む。
【0011】
本発明によれば、サンプル中の複数の標的リガンドの量を決定するためのマイクロアレイ装置は、複数のテスト領域を有する固体支持体と、前記テスト領域上に固定化された複数の異なるターゲット捕捉リガンドと、前記テスト領域上に固定化された少なくとも1個の参照捕捉リガンドてあって、前記サンプル中に通常存在しない参照リガンドを捕捉するために選択される参照捕捉リガンドとを含む。
【0012】
本発明によると、サンプル中の複数の標的リガンドの量を決定するための別のマイクロアレイ装置は、実質的に同じ幾何学的形状の複数のテスト領域を有する固体支持体と、前記テスト領域上に固定化された複数の異なる標的捕捉リガンドと、前記テスト領域上に固定化された少なくとも1種類の参照捕捉リガンドであって、前記サンプル中に通常存在しない参照リガンドを捕捉するために選択され、各テスト領域内の実質的に同じ場所にある参照捕捉リガンドとを含む。
【0013】
上記マイクロアレイ装置の実施態様は、参照捕捉リガンドのない少なくとも1個のテスト領域と、標的捕捉リガンドのない少なくとも1個のテスト領域とのうちの1つまたは2つ以上を有し、前記標的捕捉リガンドは予め定められたアレイに配置される装置を含む。
【0014】
上記のマイクロアレイの好ましい実施態様は、前記標的捕捉リガンドおよび参照捕捉リガンドの配置が予め定められたアレイにあり、前記参照捕捉リガンドは前記アレイ内の少なくとも2カ所の間隔を置いて離れた場所に配置される装置を含む。より好ましくは、前記参照捕捉リガンドは前記アレイ内の少なくとも2カ所の隅の場所に配置される。最も好ましくは、前記参照捕捉リガンドは、前記アレイ内の少なくとも3カ所の隅の場所に配置される。
【0015】
本発明によれば、複数の異なる標的リガンドの量を決定するアッセイ方法は、上記の本発明のマイクロアレイ装置を選択するステップを含む。別のステップは、(i)標的リガンドを含むサンプルと、(ii)参照リガンドと、(iii)捕捉された参照リガンドとの複合体を形成するための参照リガンド検出剤と、(iv)捕捉された標的リガンドとの複合体を形成するための標的リガンド検出剤とを前記テスト領域の少なくとも1つに配置するステップであって、前記標的リガンドの少なくとも一部は標的捕捉リガンドによって捕捉され、前記参照リガンドの少なくとも一部は前記参照捕捉リガンドによって捕捉される、ステップである。本方法における別のステップは、複合体を形成する参照リガンド検出剤および標的リガンド検出剤の量を検出するステップである。
【0016】
上記アッセイ方法の実施態様では、標的捕捉リガンドおよび参照捕捉リガンドが前記マイクロアレイ装置上の予め定められたアレイ内に固定化され、前記参照捕捉リガンドは前記アレイ内の少なくとも2カ所の隅の場所に固定化される。
【0017】
本発明によれば、サンプル中の複数の標的リガンドの量を決定するためのマイクロアレイの作成方法は、実質的に同じ幾何学的形状を有する複数のテスト領域を有する固体支持体を選択するステップを含む。別のステップは、複数の異なる標的捕捉リガンドと、少なくとも1種類の参照捕捉リガンドとを前記テスト領域上の予め定められたアレイ内に固定化するステップであって、前記参照捕捉リガンドは前記サンプル中に通常は存在しない参照リガンドを捕捉するために選択される、ステップである。
【0018】
上記マイクロアレイ作成方法の実施態様は、少なくとも1個のテスト領域は参照捕捉リガンドがなく、少なくとも1個のテスト領域は標的捕捉リガンドがない、マイクロアレイを作成するステップを含む。好ましくは、上記マイクロアレイ作成方法においてと同様に、少なくとも1種類の参照捕捉リガンドを固定化するステップは、前記参照捕捉リガンドが前記アレイ内の少なくとも2カ所の隅の場所に固定化されることを含む。最も好ましくは、上記マイクロアレイ作成方法において、少なくとも1種類の参照捕捉リガンドを固定化するステップは、前記参照捕捉リガンドが前記アレイ内の少なくとも3カ所の隅の場所に固定化されることを含む。
【0019】
発明の詳細な説明
以下の記載は、本発明の実施態様と、これらの実施態様の複数の変形とを説明する。しかしこの記載は、本発明をこれらの特定の実施態様に限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の技術分野の当業者は、同様に他の多数の実施態様を認識するであろう。
【0020】
a.定義
ここで用いられるところの用語「マイクロアレイ」とは、適当な固体支持体上のテスト領域内の小さなスポットとして配置される、離散した捕捉試薬のアレイまたはパターンをいう。
【0021】
ここで用いられるところの用語「テスト領域」とは、前記マイクロアレイ内のアレイと対応し、該アレイを直接取り囲むいずれかの表面領域をいう。例えば、「テスト領域」は、スポットがアレイ状に配置される、マイクロプレートのウェル内の表面領域、顕微鏡ガラススライドの表面領域またはビーズの表面領域を含む。
【0022】
ここで用いられるところの用語「テストウェル」とは、スポットが明確なアレイ状に配置される、マイクロプレート中のウェル内の表面領域または顕微鏡ガラススライドの表面領域をいう。
【0023】
ここで用いられるところの用語「捕捉試薬」とは、捕捉リガンドに結合した相補的なオリゴヌクレオチドに適当な条件下で雑種形成することが可能な「捕捉リガンド」か、捕捉オリゴヌクレオチドかのいずれかをいう。
【0024】
ここで用いられるところの用語「捕捉リガンド」とは、「標的リガンド」を捕捉するか、あるいは、「標的リガンド」に結合する、いずれかの生体分子をいう。
【0025】
ここで用いられるところの用語「捕捉オリゴヌクレオチド」とは、捕捉リガンドに結合する相補的なオリゴヌクレオチドと結合することが可能な、固体支持体に固定化または結合したオリゴヌクレオチドをいう。
【0026】
ここで用いられるところの用語「相補的なオリゴヌクレオチド」または「捕捉オリゴヌクレオチドに相補的なオリゴヌクレオチド」とは、2本鎖核酸複合体を形成するような雑種形成に適当な条件下で前記捕捉オリゴヌクレオチドと雑種形成する、捕捉リガンドに結合したヌクレオチド配列をいう。
【0027】
ここで用いられるところの用語「生体分子」、「標的リガンド」または「抗リガンド」とは、オリゴヌクレオチド、DNAおよびRNAのような核酸、ポリペプチド、ハプテンおよび炭水化物を含むが、これらに限られない、いずれか有機分子を含む。
【0028】
ここで用いられるところの用語「ポリペプチド」とは、タンパクおよび抗体と、これらのいずれかの断片とを含むが、これらに限られない。
【0029】
ここで用いられるところの用語「ハプテン」とは、薬剤と、ホルモンと、治療薬および乱用薬物の使用に関連する化合物を含むが、これらに限られない、合成化合物とのような低分子量分子をいう。乱用薬剤と関連するハプテンの例は、コカイン、モルフィネおよびニコチンの代謝または使用と関連する化合物を含むが、これらに限られない。治療薬と関連するハプテンの例は、トブラマイシン(tobramycin)、フェノバルビタール、テオフィリン、ジゴキシンおよびジェンタマイシンの使用に関連する化合物を含むが、これらに限られない。
【0030】
ここで用いられるところの用語「標的リガンド検出剤」とは、前記標的リガンドと結合してコンジュゲートを形成する、標識された抗リガンドをいう。
【0031】
ここで用いられるところの用語「参照リガンド」とは、「標的リガンド」と同じタイプの生体分子であり、前記アレイ中の標的リガンドについてマイクロアレイアッセイ結果を正規化するために用いられる、「生体分子」をいう。
【0032】
ここで用いられるところの用語「参照リガンド検出剤」とは、前記参照リガンドと結合してコンジュゲートを形成する、標識された抗リガンドをいう。
【0033】
ここで用いられるところの用語である、マイクロアレイの「方向を決定する(orienting)」、「方位決定(orientation)」または「整列(alignment)」とは、検出および計測のために各スポットを整列するために、前記マイクロアレイまたは検出装置の位置を決定することをいう。各テスト領域内のスポットの場所は、配置の工程に基づいて少しばらつく場合があり、小さなスポットの場所の小さなばらつきが精度に影響を与える場合がある。
【0034】
ここで用いられるところの用語「シグナルを正規化する(normalizing the signal)」とは、前記標的リガンドに関連するシグナルを
検出された参照リガンドの既知量の強度に応答して調整し、これにより、標的リガンドの計測精度を向上させることをいう。
【0035】
b.本発明
本発明は、マイクロアレイ中の標的リガンドの定量計測方法と、マイクロアレイアッセイの精度を向上させるために該マイクロアレイアッセイの際に発生することがあるばらつきを調整する方法と、より正確な分析のためにマイクロアレイの方位決定を容易にする方法とを提供し、比較的安価で時間を節約する手順を用いて捕捉された標的リガンドの計測を可能にする。
【0036】
本発明は、さまざまな標的リガンドまたは生体分子のアッセイのような診断の手順に有用である。本発明は、例えば、サイトカインの量および存在と、生物における疾病の存在と、治療薬の量および存在と、感染に起因する核酸の検出とに関するアッセイにおいて用いられる場合がある。
【0037】
本発明は、適当なマイクロアレイ基質上の離散したスポットとして配置される捕捉試薬を用いる。適当なマイクロアレイ基質は、マイクロアレイプリンタその他の装置が該基質上の微視的なスポットとして捕捉試薬を配置するために使用可能な、適当な化学的性質を有するなんらかの表面である場合がある。マイクロアレイ基質は、平坦な顕微鏡スライドと、ニトロセルロース、ナイロンおよびPVDFでできた可撓性膜と、ガラス、ポリアクリル酸、ポリスチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネートでできたマイクロウェルプレートとの表面を含むが、これらに限られない。その表面に既に固定化された捕捉試薬を有するマイクロアレイは、製造者から商業的に購入できる場合もある。例えば、イリノイ州61105、Rockford、私書箱117のピアース・ケミカル社(Pierce Chemical Co)は、捕捉試薬の低密度アレイを有するウェルを含む96穴マイクロプレート(部品番号84682ないし84689)を販売する。
【0038】
本発明では捕捉試薬は、マイクロアレイ中の各特異的標的リガンドおよび参照リガンドの存在を同定および定量するための場所に対応する指定されたパターンで、前記マイクロアレイの基質上の小さいスポットとして配置される。前記パターンの各スポットは、特定の標的リガンドまたは参照リガンド用の捕捉試薬に対応するか、あるいは、前記アレイ中のスポットは空っぽ(すなわち捕捉試薬がない)場合がある。前記参照リガンドは、内部参照スポット、あるいは、前記標的リガンド用の捕捉試薬と同一の条件に供される各テスト領域内のスポットを提供する。前記アッセイの間中、各テスト領域中の前記内部参照スポットは、スポット、サンプル、試薬を配置する際のばらつきや、温度その他のアッセイ手順の変動要因のような、前記テスト領域内の標的リガンドの検出および計測に影響する同一の条件に供される。
【0039】
指定されたパターンまたは標的リガンドおよび参照リガンドが捕捉されるであろうグリッドの特定の位置に対応する「予め定められたグリッド」の1つの例が図4に示される。図4では、スポットは、標的リガンドまたは参照リガンドが本発明のアッセイによって捕捉される場所に対応する。
【0040】
図4に示されるパターンで捕捉されるはずの具体的な標的リガンドは、IL−1b(インターロイキン1b)、IL−2(インターロイキン2)、IL−4(インターロイキン4)、IL−6(インターロイキン6)、IL−8(インターロイキン8)、IL−10(インターロイキン10)、IL−12(インターロイキン12)、FGFb(塩基性繊維芽細胞増殖因子)、GM−CSF(顆粒球−マクロファージ コロニー刺激因子)、INFg(インターフェロン ガンマ)、TNFa(腫瘍壊死因子アルファ)、VEGF(血管内皮成長因子)およびUSER(ユーザによって選択され、通常は前記標的リガンドとは異なる標的リガンドまたは空っぽのスポット(標的リガンドなし))である。当業者は理解するであろうが、テスト領域のアレイ内に配置可能な指定パターンはさまざまな異なる組み合わせがある。
【0041】
図4の名称REFは、前記アッセイに供されるサンプル中に通常は存在しない参照リガンドである。実施例1に説明される実験では、参照リガンドREFはTNFaで、USER標的リガンド部位は未使用(すなわち空っぽのスポット)であった。
【0042】
本発明では、1または2個以上の内部参照スポットが前記テスト領域に配置される場合があり、前記テスト領域中のスポットの数によってのみ限定される。しかし、前記テスト領域中の内部参照スポットの数が増加すると、これに付随して、標的リガンドのテストに利用可能なスポットの数が減少する。
【0043】
本発明では、内部参照スポットは各テスト領域内の同一の場所に配置される。前記内部参照スポットは前記テスト領域内のどの場所に配置されてもかまわない。しかし、内部参照スポットの好ましい場所は、スポットの配置の輪郭形状に隅が存在する場合には、1または2カ所以上の隅である。図1はマイクロアレイのテスト領域内のアレイを示し、テストスポット(すなわち標的リガンド捕捉スポット)と、参照スポット(すなわち内部参照リガンド捕捉スポット)とを特定する。
【0044】
本発明の好ましい実施態様では、前記参照リガンド用捕捉試薬は各テスト領域の同じ3カ所の隅に配置される。前記参照リガンド用捕捉試薬の場所を隅と特定することは、前記アレイ中の各スポットのより正確な検出のために前記装置またはマイクロアレイを方位決定または整列することを容易にする。定量を改善するための参照として、前記参照スポットはどこに配置される場合もある。4カ所の隅のうちの3カ所に前記スポットを配置することは、残りのスポットを同定および定量するために用いられる「マップ」を配置するために、離散し、かつ、再現可能な参照点を解析ソフトウェアに与える。離散し、かつ、再現可能なこれらの参照点の補助により、実験者の側の介入なしに、デジタル写真の取得に続けて自動的に前記マイクロアレイの場所を決定しマッピングするためのソフトウェアが設計され、あるいは、改変される場合がある。
【0045】
本発明の方法において捕捉試薬として用いられる生体分子は、マイクロアレイ上に捕捉試薬を配置するステップにおいて適当なマイクロアレイ基質に結合する反応基を有する分子である。少なくとも1個の反応性のアミノ基、チオール基または水酸基を有する生体分子は、本発明用のマイクロアレイ基質に結合することができる。少なくとも1個の反応性のアミノ基、チオール基または水酸基を有するポリペプチド、ハプテンおよび炭水化物は、ミズーリ州63178セントルイス私書箱14508のシグマ社から購入可能である。マイクロアレイ上に捕捉試薬を配置するステップの際に適当なマイクロアレイ基質に結合可能なオリゴヌクレオチドは、アミノ誘導体化オリゴヌクレオチドと、少なくとも1個の遊離チオール基を有するオリゴヌクレオチドとを含む。アミノ化オリゴヌクレオチドは、DNAシンセサイザーABI394(カリフォルニア州94404、Foster City、850 Lincoln Center Driveのアプライド・バイオシステムズ社から購入)を用いて、3’アミノ・モディファイアC7CPG(バージニア州20164、Sterling、22825 Davis DriveのGlen Research社から購入)上で製造者のプロトコールに従って合成可能である。アミノ基はオリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端に配置することができる。好ましくは、3’末端アミノ化オリゴヌクレオチドが本発明のアミノ化オリゴヌクレオチドの調製に用いられる。アミノ誘導体化オリゴヌクレオチドの調製方法は、引用により本明細書に取り込まれる、米国特許第6,110,669号明細書にも説明される。さらに、少なくとも1個の遊離チオール基を有するオリゴヌクレオチドは、Glen Research社から購入される基質上で製造者のプロトコールに従って合成可能である。
【0046】
スポットは、さまざまな異なる方法を用いて適当なマイクロアレイ基質上に配置またはプリントされる場合がある。マイクロアレイ上にスポットを配置する方法は当業者に周知である。例えば、引用により本明細書に取り込まれる米国特許第6,312,960号明細書を参照せよ。例えば、インクジェット法および圧電微小ジェットプリント法が少量の溶液を送達するために用いられており、固体支持体上にスポットを「プリント」するとよばれるが、これらに限定されない。固体支持体上に生物学的分子をプリントする1つの方法は、引用により本明細書に取り込まれる米国特許第6,146,833号明細書に説明される。スポットを配置する別の方法は、ピンがプリントされるべき分子の溶液に浸漬され、少なくともに接触させられて、再現可能な量の液体を放出する、接触プリント法である。毛管プリント法は、マイクロアレイにスポットを配置するさらに別の方法である。
【0047】
マイクロアレイ上にスポットとして配置された捕捉試薬のタイプに応じて、アッセイを効果的に実施するために必要な条件は異なる。しかし、オリゴヌクレオチド、細胞、抗体のようなポリペプチドのような捕捉試薬を用いるアッセイを含むが、これらに限定されない、特異的なアッセイを実施する条件は当業者に周知である。例えば、Wang H、Wang H、Zhang W、Fuller GN.、Tissue microarrays: applications in neuropathology research、diagnosis、and education.(組織マイクロアレイ:神経病理学研究、診断および教育における応用)、Brain Pathol 2002 Jan;12(1):95−107 (組織マイクロアレイ)と、Mousses S、Kallioniemi A、Kauraniemi P、Elkahloun A、Kallioniemi OP.、Clinical and functional target validation using tissue and cell microarrays(組織および細胞のマイクロアレイを用いた臨床的機能的ターゲットバリデーション)、Curr Opin Chem Biol 2002 Feb;6(1):97−101(細胞マイクロアレイ)と、Wilson DS、Nock S.、Functional protein microarrays(機能的タンパクマイクロアレイ)、Curr Opin Chem Biol 2002 Feb;6(1):81−5 (一般的タンパクマイクロアレイ)と、Schweitzer B、Kingsmore SF.、Measuring proteins on microarrays(マイクロアレイ上のタンパク計測)、Curr Opin Biotechnol 2002 Feb;13(1):14−9 (抗体マイクロアレイ)と、Shoemaker、DDおよびLinsley、PS Recent developments in DNA microarrays(DNAマイクロアレイの最近の進歩).Curr Opin Microbiol 5(3):334−7、June 2002(DNAマイクロアレイ)とを参照せよ。
【0048】
捕捉ポリヌクレオチドがスポットとしてマイクロアレイ上に配置されるとき、相補的オリゴヌクレオチドに結合した捕捉リガンドがアッセイのどこかの時点で添加される。前記相補的オリゴヌクレオチドに結合する捕捉リガンドは、抗原、抗体、結合タンパク、ハプテン、ホルモンレセプター、ホルモン、レクチン、炭水化物、代謝中間体、薬物、酵素基質またはウイルスタンパクの場合がある。抗原、抗体、結合タンパク、ハプテン、ホルモンレセプター、ホルモン、レクチン、炭水化物、代謝中間体、薬物、酵素基質およびウイルスタンパクへのオリゴヌクレオチドの結合方法は当業者に周知である。引用により本明細書に取り込まれる米国特許第5,648,213号明細書を参照せよ。抗体をコンジュゲートとしてオリゴヌクレオチドに結合する好ましい方法は、引用により本明細書に取り込まれる、「タンパク−オリゴヌクレオチドコンジュゲートの効率的な合成」という名称の2001年10月24日出願の米国出願第10,032,592号明細書に説明される。
【0049】
オリゴヌクレオチドを用いるアッセイのいずれかの時点で、相補的オリゴヌクレオチドが捕捉オリゴヌクレオチドと雑種形成して核酸2本鎖複合体を形成することができるように適当な条件にしなければならない。オリゴヌクレオチドによる核酸複合体を形成する条件は当業者に周知である。(例えば、SambrookおよびRussell、Molecular Cloning: A Laboratory Manual(分子クローニング:実験室マニュアル)、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New Yorkか、Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学最新プロトコール)、Frederick Ausubel編、John Wiley and Sons Publishing、New York、1987かに説明されるとおりである。)
【0050】
本発明に用いられる捕捉オリゴヌクレオチドおよび相補的オリゴヌクレオチドは、約15個から約45個までの塩基の範囲のオリゴヌクレオチドである。前記捕捉オリゴヌクレオチドおよび相補的オリゴヌクレオチドは、それぞれ約20ないし約30個の塩基のオリゴヌクレオチドであることが好ましい。
【0051】
捕捉オリゴヌクレオチドおよび相補的オリゴヌクレオチドの好ましい対は、引用により本明細書に取り込まれる「多重結合アレイ用オリゴヌクレオチド対」という名称の事務所整理番号13796号で2003年4月18日出願の米国出願第10/419,020号明細書に説明される。前記好ましいオリゴヌクレオチドの対は、室温で雑種形成して核酸2本鎖複合体を形成し、実質的にクロスハイブリダイゼーションをしない。これは、複数の標的リガンドの存在をテストするアッセイに有用である。本発明に従って複数の標的リガンドをテストするとき、これらが好ましい配列である。
【0052】
本発明の好ましい実施態様では、マイクロアレイ上に配置されたスポットは各標的リガンドおよび参照リガンドごとに異なる捕捉オリゴヌクレオチドである。前記捕捉オリゴヌクレオチドおよび相補的オリゴヌクレオチドは、上記のとおり特定される対から選択される。
【0053】
さまざまな異なるタイプの検出可能な標識が前記捕捉オリゴヌクレオチドおよび相補的オリゴヌクレオチドに直接結合されて、本発明に用いられる場合がある。これらの検出可能な標識は、蛍光発色団、放射能、化学発光、生物発光、酵素、比朧法、比濁法および可視的標識を含むが、これらに限定されない。本発明に使用可能な蛍光発色団の例は、ローダミン110、ロダール(rhodal)、フルオレセインおよびクマリンと、ローダミン110、ロダールまたはフルオレセインの誘導体とを含むが、これらに限定されない。Cy2、Cy3、Cy5、Cy5.5およびCy7のようなシアニン色素。本発明に使用可能な放射性標識の例は、32P、33P、35S、Hおよび125Iを含むが、これらに限定されない。本発明に使用可能な化学発光標識の例は、アクリジニウムエステル、ルテニウム複合体、金属複合体、シュウ酸エステル−過酸化物の組み合わせを含むが、これらに限定されない。本発明に使用可能な酵素標識の例は、アルカリフォスファターゼ、ホースラディッシュペロキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼを含むが、これらに限定されない。本発明に使用可能な可視的標識の例は、チオペプチド、アントラキノン(anthroquinone)色素、ニトロブルーテトラゾリウム、O−ニトロフェニルβ−D−ガラクト−ピラノシド(ONPG)、コロイド金および微細粒子を含むが、これらに限定されない。上記で説明したのと同じタイプの標識が検出剤リガンド上で使用可能である。検出可能な標識をオリゴヌクレオチドに結合する方法は当業者に周知である。例えばかかる方法は、YangおよびMillar、Methods in Enzymology、Vol.278、pages 417−444、1997に説明される。
【0054】
前記標識の計測および検出は、アッセイに用いられる標識のタイプに依存し、製造者その他の当業者に周知のプロトコールに基づく。例えば、蛍光性の沈殿を形成する酵素基質の使用法を説明する、引用により本明細書に取り込まれる米国特許第5,316,906号明細書を参照せよ。アッセイにおいて蛍光発色団を標識として用いるとき、データはマイクロアレイ全体のデジタル写真の形で収集される場合がある。参照スポットおよび標的リガンド特異的スポットは前記デジタル写真で同時に検出される場合がある。
【0055】
前記標識の検出の際または検出の後で、前記マイクロアレイ中の他のスポットに関するデータを正規化するか、スケーリング変換(scaling)するためのアルゴリズムが、前記参照スポットから収集されたデータとともに用いられる。多くの正規化アルゴリズムが考えられるが、1つのアルゴリズムが表に示されるデータおよび本発明の実施例を作成するために用いられた。すなわち、標的リガンド特異的シグナル(スポット)は複数の参照スポットからの結果の平均で除算された。
【0056】
参照スポットの定量は同じマイクロアレイ上の他のスポットと同じ条件に供された参照リガンドの既知量に基づくため、未知濃度の標的リガンド由来の結果はスケーリング変換可能で、ウェル間の再現性を向上できる。図2は本発明のIL−8マイクロアレイの正規化された結果を用いるグラフであって、アッセイでのプリント工程および混合工程について調整がおこなわれる。図2は、1000、100、10および1pg/mLのIL−8での本方法により得られるシグナル強度の精度の向上(すなわちCVの減少)を示すが、これは前記アッセイ手順の前のプリント工程およびアッセイ手順の際の攪拌がばらつくためである。図3は、図2と同様のグラフで、変数としての30、45、60および75分間のような異なるインキュベーション時間について調整が行われる、本発明のIL−8マイクロアレイアッセイの正規化された結果のグラフである。
【0057】
本発明は、マイクロアレイのばらつきを減少するために内部参照スポットを用いるシステムを提供する。本発明のシステムは、マイクロアッセイ装置、アッセイ方法およびマイクロアッセイ作成方法を含む。
【0058】
本発明によると、サンプル中の複数の標的リガンドの量を決定するためのマイクロアレイ装置は、複数のテスト領域を有する固体支持体と、前記テスト領域上に固定化された複数の異なる標的捕捉リガンドと、前記テスト領域上に固定化された少なくとも1種類の参照捕捉リガンドとを含み、前記参照捕捉リガンドは前記サンプル中に通常は存在しない参照リガンドを捕捉するために選択される。
【0059】
本発明によると、サンプル中の複数の標的リガンドの量を決定するための別のマイクロアレイ装置は、複数のテスト領域を有する固体支持体と、前記テスト領域上に固定化された複数の異なる標的捕捉リガンドと、前記テスト領域上に固定化された少なくとも1種類の参照捕捉リガンドとを含み、前記テスタートリプトファンは前記固体支持体上で実質的に同じ幾何学的形状を有し、前記参照捕捉リガンドは、前記サンプル中に通常は存在しない参照リガンドを捕捉するために選択され、前記参照捕捉リガンドは各テスト領域の実質的に同じ場所にある。
【0060】
上記のマイクロアッセイ装置の実施態様は、参照捕捉リガンドのない少なくとも1個のテスト領域と、標的捕捉リガンドのない少なくとも1個のテスト領域とのうちの1つまたは2つ以上を有する装置を含み、前記標的捕捉リガンドは予め定められたアレイに配置される。
【0061】
前記マイクロアッセイ装置の好ましい実施態様は、前記標的捕捉リガンドおよび参照捕捉リガンドは予め定められたアレイに配置され、前記参照捕捉リガンドは少なくとも2カ所の前記アレイ中の間隔を置いて離れた場所に配置される。より好ましくは、前記参照捕捉リガンドは前記アレイ中の少なくとも2カ所の隅の場所に配置される。最も好ましくは、前記参照捕捉リガンドは前記アレイ中の少なくとも3カ所の隅の場所に配置される。
【0062】
本発明によると、複数の異なる標的リガンドの量を決定するためのアッセイ方法は、前記本発明のマイクロアレイ装置を選択するステップを含む。別のステップは、少なくとも1個の前記テスト領域に、(i)標的リガンドを含むサンプルと、(ii)参照リガンドと、(iii)捕捉された参照リガンドと複合体を形成するための参照リガンド検出剤と、(iv)捕捉された標的リガンドと複合体を形成するために標的リガンド検出剤とを配置するステップであって、前記標的リガンドの少なくとも一部は標的捕捉リガンドによって捕捉され、前記参照リガンドの少なくとも一部は前記参照捕捉リガンドによって捕捉されるステップである。本方法の別のステップは、複合体になっている参照リガンド検出剤および標的リガンド検出剤の量を検出するステップである。
【0063】
前記アッセイ方法の実施態様では、標的捕捉リガンドおよび参照捕捉リガンドは前記マイクロアレイ装置上に予め定められたアレイに固定化され、前記参照捕捉リガンドは前記アレイ中の少なくとも2カ所の隅の場所に固定化される。
【0064】
本発明によると、サンプル中の複数の標的リガンドの量を決定するためのマイクロアレイ作成方法は、実質的に同じ幾何学的形状の複数のテスト領域を有する固体支持体を選択するステップを含む。別のステップは、複数の異なる標的リガンドと、少なくとも1種類の参照捕捉リガンドとを前記テスト領域上の予め定められたアレイに固定化するステップであって、前記参照捕捉リガンドは前記サンプル中に通常は存在しない参照リガンドを捕捉するために選択するように選択されるステップである。
【0065】
前記マイクロアレイ作成方法の実施態様は、少なくとも1個のテスト領域は参照捕捉リガンドを有さず、少なくとも1個のテスト領域は標的捕捉リガンドを有しないようなマイクロアレイを作成するステップを含む。好ましくは、上記のマイクロアレイ作成方法において、少なくとも1種類の参照捕捉リガンドをを固定化するステップは、該参照捕捉リガンドが前記アレイ中の少なくとも2カ所の隅の場所に固定化されることを含む。最も好ましくは、上記のマイクロアレイ作成方法において、少なくとも1種類の参照捕捉リガンドを固定化するステップは、該参照捕捉リガンドが前記アレイ中の少なくとも3カ所の隅の場所に固定化されることを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
本発明は本セクションで説明される好ましい実施態様に限定されない。本実施態様は単に例示にすぎず、当業者は多くの他の実施態様が本発明に従って考えられることを認識するであろう。本発明を一般的に説明したので、以下の実施例を参照して本発明はより容易に理解されるであろうが、以下の実施例は例示のために提供されるのであって、特記されないかぎり本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0067】
本発明のマイクロプレートを用いるマイクロアレイアッセイの用意および解析
本実施例では、Aプレート(Aはアレイ内アレイの略称である。)はマイクロアレイ基質として用いられるマイクロタイタープレートであった。前記Aプレートはまだ市販されていない。前記Aプレートは96個のテストウェルからなるポリプロピレンプレートで、ベックマン・コールター社によって製造された。前記Aプレートをオリゴヌクレオチドのアミノ基と反応する化学的特性を与えるために前記プレートの表面に前処理が施されたが、この前処理は、引用により本明細書に取り込まれる、生物学的分子の固定化という名称の2001年10月24日出願の米国特許出願第10/033,308号明細書に説明されている。
【0068】
捕捉オリゴヌクレオチドを含む42個のスポットが、市販の非接触アレイプリンターPixSys4200(カリフォルニア州、92614、アーバイン、17851 Sky Park Circle Suite CのCartesian Technologies社)を用いて、前記96個のテストウェルのそれぞれにマイクロアレイとしてプリントされた。
【0069】
本実施例で使用されるプリント溶液は、50mM重炭酸+4%w/v硫酸ナトリウムのアルカリバッファー中の20μM捕捉アミノ化オリゴヌクレオチドからなり、10nLの液滴として用いられた。前記捕捉オリゴヌクレオチドは、埃の少ない、高湿度の環境で前記Aプレートの前処理された表面にプリントされた。いったん前記表面に配置されると、前記スポットは洗浄される前に終夜(約16時間)インキュベーションされた。前記プレート上に残存する活性化化学特性は前記プレートを大過剰のアミン含有分子溶液と反応させることにより不活性化された。リンスおよび乾燥した後、前記プレートは使用可能になった。
【0070】
各テストウェル中の42個の捕捉オリゴヌクレオチドのスポットは、
a.各スポットで検出および定量されるべき異なる標的リガンド12種類と、
b.参照スポット1組と、
c.図4のグリッド(碁盤目)に示された、ユーザ選択標的リガンドに対応する前記12種類の標的リガンド以外の標的リガンドのスポットか、あるいは、捕捉標的リガンドなしのユーザ選択スポット(USER)1組とに対応した。
【0071】
前記捕捉オリゴヌクレオチドのそれぞれは、前記アレイの予め定められた場所に3重に配置された。したがって、14個のスポットの3倍で合計42個のスポットが前記アレイに配置された。参照スポット3個は隅に配置され、前記マイクロアレイの配向および位置についての情報を提供した。
【0072】
実施例1のアレイ中の特定の標的リガンドに対応する捕捉オリゴヌクレオチドをプリントするための予め定められたグリッド(位置)は、図4に示される。図4では、REFは参照リガンドを指し、USERは上記のとおりユーザ選択標的リガンドまたは空っぽの場所を指す。実施例に用いられた参照リガンドはTNFaで、USERスポットは捕捉標的リガンドなしであった。
【0073】
本実施例では、前記13組のスポットのそれぞれについて異なる捕捉オリゴヌクレオチドが配置され、USERスポットについては捕捉オリゴヌクレオチドは配置されなかった。前記捕捉オリゴヌクレオチドは予め特定された好ましい配列の対から選択され、前記マイクロアレイ基質上にプリントされた。各配列の対の相補的オリゴヌクレオチドは、引用によりここに取り込まれた、タンパク−オリゴヌクレオチド・コンジュゲートの効率的な合成という名称の2001年10月24日出願の米国出願第10/033,308号明細書に説明された方法を用いて、標的リガンドに対応する抗体とコンジュゲートされた。適当な条件下では、前記配列の対は雑種形成して、核酸2本鎖複合体を形成する。
【0074】
ハイブリダイゼーション・バッファー
スーパーブロックバッファーが製造者の指示に従って調製された(Pierce Biotechnology、イリノイ州61105、Rochford、私書箱117)。スーパーブロックバッファーは、スーパーブロック:ホルムアミド=3:1となるようにホルムアミドと混合された。前記バッファーは調合後速やかに使用された。
【0075】
方法
(a)所望のモノクローナル抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲート(各1.4μg/mL)混合物のハイブリダイゼーション・バッファー2溶液を調製した。本実施例では、被検体特異的コンジュゲート12種類全てとオバルブミンの参照コンジュゲートとが用いられた。
(b)ウェルは洗浄バッファーで速やかにリンスされ、70μLの前記抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲート混合液が各ウェルに添加された。
(c)プレートはポリスチレンの蓋で覆われ、室温で1時間混合された。
(d)前記プレートは各ウェルに200μLの洗浄バッファーを添加して1分間混合することによって洗浄された。洗浄バッファーの大部分はシンクの上で前記プレートを素早くひっくり返すことによって除去された。前記プレートは数層のペーパータオルの上で軽くたたかれて、残存するバッファーを除去された。この工程は2回繰り返され、合計3回行われた。
(e)スーパーブロックのTBSへの1:10希釈液が次のステップで使用するために調製された。
(f)35μLの前記スーパーブロック希釈液が各ウェルに添加され、さらに各ウェルに35μLのサンプルが添加された。
(g)前記(c)に記載のとおりインキュベーションされた。
(h)前記(d)に記載のとおり洗浄された。
(i)所望のポリクローナル抗体−ビオチンコンジュゲート混合物の希釈スーパーブロックバッファーへの溶液(各0.25μg/mL)が調製された。
(j)70μLの前記ポリクローナル抗体−ビオチンコンジュゲート混合溶液が各ウェルに添加された。
(k)前記ステップ(c)に記載のとおりインキュベーションされた。
(l)前記ステップ(d)に記載のとおり洗浄された。
(m)ストレプトアビジン−PBXL1(Martek Biosciences Corporation、メリーランド州コロンビア)の希釈スーパーブロック液への6.7μg/mL(1mg/mLストック液の1:150希釈)希釈液が調製された。
(n)70μLの前記ストレプトアビジン−PBXL1希釈液が各ウェルに添加された。
(o)前記ステップ(c)に記載のとおりインキュベーションされた
(p)前記ステップ(d)に記載のとおり洗浄された。
(q)200μLの洗浄バッファーが各ウェルに添加され、プレートは撮像まで4°Cで暗所に保存された。前記ウェルの洗浄バッファーは、PBXL蛍光を保存するために、撮像中は除去されなかった。
【0076】
蛍光測定に用いられた機器は未だ市販されていないベックマン・コールター社の試作バージョンのAプレートリーダであった。この機器は、前記プレートを保持する自動化ステージと、CCDカメラ(Roper Coolsnap CF)と、白色光源とからなる。前記プレートは550nmの励起光源を用いて照射され、前記アレイに結合したPBXL標識を検出するための675nm発光フィルターを取り付けたCCDカメラで可視化された。抗原は、図4に示されたグリッド上で同定される位置に対応した。前記アレイのデジタル写真が前記Roper Coolsnap CFを用いて撮影された。
【0077】
得られた像は市販のソフトウェアである上記のImageneを用いて製造者の指示に従って定量化された。結果の正規化に用いられた方程式は、多数の参照スポット由来の結果の平均で除算された標的リガンド特異的シグナル(スポット)であった。
【実施例2】
【0078】
マイクロプレートとビオチン原子団とを用いる本発明のマイクロアレイアッセイの用意と解析
本実施例では、Aプレートはマイクロアレイ基質として用いられるマイクロタイタープレートであった。前記Aプレートはまだ市販されていない。前記Aプレートは96個のテストウェルからなるポリプロピレンプレートで、ベックマン・コールター社によって製造された。前記Aマイクロタイタープレートの表面に前記オリゴヌクレオチドのアミノ基と反応する化学特性を付与するために前記Aプレートの表面の前処理手順が施され、その手順は、引用により本明細書に取り込まれる、固定化生体分子という名称の2001年10月24日出願の米国特許出願第10/033,308号明細書に説明されている。
【0079】
捕捉オリゴヌクレオチドを含む溶液の42個のスポットは、市販の非接触アレイプリンターPixSys4200(カリフォルニア州、92614、アーバイン、17851 Sky Park Circle Suite CのCartesian Technologies社)を用いて、前記96個のテストウェルのそれぞれにマイクロアレイとしてプリントされた。
【0080】
本実施例で用いられたプリント溶液は、20μMの捕捉アミノ化オリゴヌクレオチドのアルカリバッファー溶液からなり、12nLの液滴が用いられた。前記捕捉オリゴヌクレオチドは、埃の少ない高湿度の環境で、前記Aプレートの前処理された表面にプリントされた。いったん前記表面に配置されると、洗浄される前に前記スポットは終夜(約16時間)インキュベーションされた。前記プレート上に残存する活性化化学特性は、前記プレートを大過剰のアミン含有分子溶液と反応させることにより不活性化された。リンスおよび乾燥した後、前記プレートは使用可能になった。
【0081】
各テストウェル中の42個の捕捉オリゴヌクレオチドのスポットは、
a.各スポットで検出および定量されるべき異なる標的リガンド12個と、
b.参照スポット1組と、
c.図4のグリッド(碁盤目)に示された、ユーザ選択標的リガンドに対応する上記12種類の標的リガンド以外の標的リガンドのスポットか、あるいは、捕捉標的リガンドなしのユーザ選択スポット(USER)1組とに対応した。
【0082】
前記捕捉オリゴヌクレオチドのそれぞれは、前記アレイの予め定められた場所に3重に配置された。したがって、14個のスポットの3倍で合計42個のスポットが前記アレイに配置された。参照スポット3個は隅に配置され、前記マイクロアレイの配向および位置についての情報を提供した。
【0083】
実施例1のアレイ中の特定の標的リガンドに対応する捕捉オリゴヌクレオチドをプリントするための予め定められたグリッド(位置)は、図4に示される。図4では、REFは参照リガンドを指し、USERは上記のとおりユーザ選択標的リガンドまたは空っぽの場所を指す。実施例に用いられた参照リガンドはTNFaで、USERスポットは捕捉標的リガンドなしであった。
【0084】
本実施例では、参照スポットを含む前記14組のスポットのそれぞれについて異なる捕捉オリゴヌクレオチドが配置された。前記捕捉オリゴヌクレオチドは予め特定された好ましい配列の対から選択され、前記マイクロアレイ基質上にプリントされた。各配列の対の相補的オリゴヌクレオチドは、前記マイクロアレイの参照スポットに結合した配列に相補的なオリゴヌクレオチドを除いて、引用によりここに取り込まれた、タンパク−オリゴヌクレオチドコンジュゲートの効率的な合成という名称の2001年10月24日出願の米国出願第10/033,308号明細書に説明された方法を用いて、標的リガンドに対応する抗体とコンジュゲートされた。前記参照スポットに相補的な配列は、ビオチン原子団が3’位置に含むように合成された。適当な条件下では、前記配列の対は雑種形成して、核酸2本鎖複合体を形成する。
【0085】
ハイブリダイゼーション・バッファー
スーパーブロックバッファーが製造者の指示に従って調製された(Pierce Biotechnology、イリノイ州61105、Rochford、私書箱117)。スーパーブロックバッファーは、スーパーブロック:ホルムアミド=3:1となるようにホルムアミドと混合された。前記バッファーは調合後速やかに使用された。
【0086】
方法
(a)所望のモノクローナル抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲート(各1.4μg/mL)混合物のハイブリダイゼーション・バッファー溶液を調製した。本実施例では、被検体特異的コンジュゲート12種類全てとオバルブミンの参照コンジュゲートとが用いられた。
(b)ウェルは洗浄バッファーで速やかにリンスされ、70μLの前記抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲート混合液が各ウェルに添加された。
(c)プレートはポリスチレンの蓋で覆われ、室温で1時間混合された。
(d)前記プレートは各ウェルに200μLの洗浄バッファーを添加して1分間混合することによって洗浄された。洗浄バッファーの大部分はシンクの上で前記プレートを素早くひっくり返すことによって除去された。前記プレートは数層のペーパータオルの上で軽くたたかれて、残存するバッファーを除去された。この工程は2回繰り返され、合計3回行われた。
(e)スーパーブロックのTBSへの1:10希釈液が次のステップで使用するために調製された。
(f)35μLの前記スーパーブロック希釈液が各ウェルに添加され、さらに各ウェルに35μLのサンプルが添加された。
(g)前記(c)に記載のとおりインキュベーションされた。
(h)前記(d)に記載のとおり洗浄された。
(i)所望のポリクローナル抗体−ビオチンコンジュゲート混合物の希釈スーパーブロックバッファーへの溶液(各0.25μg/mL)が調製された。
(j)70μLの前記ポリクローナル抗体−ビオチンコンジュゲート混合溶液が各ウェルに添加された。
(k)前記ステップ(c)に記載のとおりインキュベーションされた。
(l)前記ステップ(d)に記載のとおり洗浄された。
(m)ストレプトアビジン−PBXL1(Martek Biosciences Corporation、メリーランド州コロンビア)の希釈スーパーブロック液への6.7μg/mL(1mg/mLストック液の1:150希釈)希釈液が調製された。
(n)70μLの前記ストレプトアビジン−PBXL1希釈液が各ウェルに添加された。
(o)前記ステップ(c)に記載のとおりインキュベーションされた
(p)前記ステップ(d)に記載のとおり洗浄された。
(q)200μLの洗浄バッファーが各ウェルに添加され、プレートは撮像まで4°Cで暗所に保存された。前記ウェルの洗浄バッファーは、PBXL蛍光を保存するために、撮像中は除去されなかった。
【0087】
蛍光測定に用いられた機器は未だ市販されていないベックマン・コールター社の試作バージョンのAプレートリーダであった。この機器は、前記プレートを保持する自動化ステージと、CCDカメラ(Roper Coolsnap CF)と、白色光源とからなる。前記プレートは550nmの励起光源を用いて照射され、前記アレイに結合したPBXL標識を検出するための675nm発光フィルターを取り付けたCCDカメラで可視化された。抗原は、図4に示されたグリッド上で同定される位置に対応した。前記アレイのデジタル写真が前記Roper Coolsnap CFを用いて撮影された。
【0088】
得られた像は市販のソフトウェアである上記のImageneを用いて製造者の指示に従って定量化された。結果の正規化に用いられた方程式は、多数の参照スポット由来の結果の平均で除算された標的リガンド特異的シグナル(スポット)であった。
【実施例3】
【0089】
抗体利用アッセイの発明を用いる有望な実施例
異なる特異抗体からなるマイクロアレイが、タンパクマイクロアレイに現在用いられている技術、化学的特性および表面を利用して作成可能である。これらは、競合アッセイまたは非競合アッセイのいずれかによる特異抗原の定量に利用される。競合アッセイは、サンプル中の抗原が、特異抗体との結合に関して、標識された(しばしばビオチン化された)抗原または抗原アナログの制限的な量と競合できるようにすることによって実施される。特異抗体に結合する標識抗原の量は、サンプル中の抗原濃度と逆相関する。サンプル中に存在しない被検体に対する抗体からなる参照スポットが、注意深く制御された濃度の標識参照抗原とともに、マイクロアレイ内の他のアッセイ結果の正規化のための内部参照と、1組の自動データ取得のための内部参照点との両方を提供するために用いられる場合がある。非競合アッセイは、サンプル中の抗原が固定化された特異抗体に結合できるようにすることによって実施される場合がある。過剰な材料は洗浄により除去でき、その後、2次抗体か、同一の抗原分子上の異なる部位に特異的な1組の抗体かが添加され、結合させられる。これらは蛍光または酵素の「タグ(tag)」分子に直接標識されるか、後のステップで標識される(ビオチンのような)原子団で間接的に標識される場合がある。いずれの場合でも、前記部位に結合する2次抗体の量はサンプル中の抗原濃度に正比例する。(1)前記サンプル中に存在しない被検体に対する抗体と、(2)前記参照抗原上の異なる部位に対する第2の参照抗原特異的抗体とからなる参照スポットとが、注意深く制御された濃度の標識参照抗原とともに、マイクロアレイ内の他のアッセイ結果の正規化のための内部参照と、1組の自動データ取得のための内部参照点との両方を提供するために用いられる場合がある。
【実施例4】
【0090】
細胞利用アッセイの発明を用いる有望な実施例
細胞または組織のマイクロアレイは、異なる細胞タイプまたは特定の組織から得られた薄切切片を固体表面上に分配することによって構築される場合がある。これらの中身はDNAまたはRNAプローブを用いるin situハイブリダイゼーション法によって遺伝子組成について研究され、標識抗体を用いる免疫染色法によって特異タンパクについて研究される場合がある。レプリカマイクロアレイの使用が、さまざまな異なるプローブおよび/または抗体によって同一の標本を特徴づけることを可能にする。1組の標準細胞および組織標品からなる参照スポットが、定量ソフトウェアのための方位決定の目印を提供することに加えて、標的被検体の相対的定量を可能にするであろう。
【0091】
以上本発明を説明してきたが、上記および添付する特許請求の範囲に記載される本発明の範囲および正当な意味から逸脱することなく多数の改変および改良が実行可能な場合があることが明らかなはずである。
【0092】
本発明は特定の好ましい実施態様を参照してかなり詳細に説明されたが、他の実施態様は想定可能である。したがって、添付する特許請求の範囲の精神および範囲は本明細書に記載された好ましい実施態様の説明に限定されるべきではない。
【0093】
特許請求の範囲、要約および図面を含む本明細書に説明された全ての特徴と、開示された方法または工程の全てのステップとは、かかる特徴および/またはステップの少なくとも一部が相互に排除的である組み合わせを除いて、いかなる組み合わせで組み合わされてもかまわない。特許請求の範囲、要約および図面を含む本明細書において開示された特徴のそれぞれは、特記されないかぎり、同一、均等または類似の目的に役立つ代替的な特徴によって置換可能である。したがって、特記されないかぎり、開示された特徴のそれぞれは均等または類似の特徴の一連の上位概念うちの単なる1つの実施例にすぎない。
【0094】
特定の機能を実行するための「手段」か、特定の機能を実行するための「ステップ」かで有ることを明示して表明しない特許請求の範囲に記載のいかなる要素も、米国特許法第112条に定められる「手段」または「ステップ」の規定のとおりに解釈されるべきではない。
【0095】
本発明の特徴、局面および利点は以下の説明、添付される特許請求の範囲および図面を参照するとよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】マイクロアレイのテスト領域内のアレイと、内部参照スポットおよびテストスポットすなわち標的リガンドスポットに対応する前記アレイ内の場所とを示す模式図。
【図2】本発明に基づくIL−8マイクロアレイ利用免疫アッセイの正規化され、プリント工程およびアッセイ中の混合における相違について調整された結果を用いて変動係数(CV)を比較するグラフ。
【図3】変数として30、45、60および75分間のような異なるインキュベーション時間について調整された、本発明のIL−8マイクロアレイアッセイの正規化された結果を用いる、図2と類似のグラフ。
【図4】テスト領域内のアレイに捕捉されるべき特異的標的リガンドに対応する特異的捕捉オリゴヌクレオチドを配置するために本発明で用いられる予め定められたグリッドまたはパターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の複数の標的リガンドを検出および定量するためのマイクロアレイ装置であって、
(a)複数のテスト領域を有する固体支持体と、
(b)前記テスト領域上に固定化された複数の異なる標的捕捉リガンドと、
(c)前記テスト領域上に固定化された少なくとも1種類の参照捕捉リガンドとを含み、
前記参照捕捉リガンドは前記サンプル中に通常は存在しない参照リガンドを捕捉するように選択され、前記参照捕捉リガンドは各テスト領域において実質的に同じ場所にある、マイクロアレイ装置。
【請求項2】
前記複数のテスト領域は複数のテストウェルである、請求項1に記載のマイクロアレイ装置。
【請求項3】
前記複数のテスト領域は、実質的に同じ幾何学的形状の複数のテストウェルである、請求項1に記載のマイクロアレイ装置。
【請求項4】
少なくとも1個のテストウェルは参照捕捉リガンドがない、請求項3に記載のマイクロアレイ装置。
【請求項5】
少なくとも1個のテストウェルは標的捕捉リガンドを含まない、請求項3または4に記載のマイクロアレイ装置。
【請求項6】
前記標的捕捉リガンドは予め定められたアレイに配置される、請求項2または3に記載のマイクロアレイ装置。
【請求項7】
前記標的捕捉リガンドおよび参照捕捉リガンドは予め定められたアレイに配置され、前記参照捕捉リガンドは前記アレイの少なくとも2カ所の隅の場所に配置される、請求項3に記載のマイクロアレイ装置。
【請求項8】
前記標的捕捉リガンドおよび参照捕捉リガンドは予め定められたアレイに配置され、前記参照捕捉リガンドは前記アレイの少なくとも2カ所の隅の場所に配置される、請求項3に記載のマイクロアレイ装置。
【請求項9】
前記標的捕捉リガンドおよび参照捕捉リガンドは予め定められたアレイに配置され、前記参照捕捉リガンドは前記アレイの少なくとも3カ所の隅の場所に配置される、請求項3に記載のマイクロアレイ装置。
【請求項10】
サンプル中の複数の異なる標的リガンドの量を決定する方法であって、
(a)請求項2または3に記載のマイクロアレイを選択するステップと、
(b)(i)標的リガンドを含むサンプルと、(ii)前記サンプル中に通常は存在しない参照リガンドと、(iii)捕捉された参照リガンドとの複合体を形成するための参照リガンド検出剤と、(iv)捕捉された標的リガンドとの複合体を形成するための標的リガンド検出剤とを前記テストウェルの少なくとも1個に配置するステップと、
(c)複合体を形成している参照リガンド検出剤および標的リガンド検出剤の量を検出および定量するステップと含み、
前記標的リガンドの少なくとも一部は標的捕捉リガンドによって捕捉され、前記参照リガンドの少なくとも一部は前記参照捕捉リガンドによって捕捉される、サンプル中の複数の異なる標的リガンドの量を決定する方法。
【請求項11】
前記少なくとも1個のテストウェルに配置するステップは、前記標的捕捉リガンドおよび参照捕捉リガンドを予め定められたアレイに固定化するステップと、前記参照捕捉リガンドを前記アレイの少なくとも2カ所の隅の場所に固定化するステップとを含む、請求項10に記載のアッセイ方法。
【請求項12】
サンプル中の複数の標的リガンドを検出および定量するためのマイクロアレイ作成方法であって、
(a)実質的に同じ幾何学的形状の複数のテストウェルを有する固体支持体を選択するステップと、
(b)複数の異なる標的捕捉リガンドと、少なくとも1種類の参照捕捉リガンドとを前記テストウェル上の予め定められたアレイに固定化するステップとを含み、
前記参照捕捉リガンドは前記サンプル中に通常は存在しない参照リガンドを捕捉するように選択される、サンプル中の複数の標的リガンドを検出および定量するためのマイクロアレイ作成方法。
【請求項13】
少なくとも1個のウェルは参照捕捉リガンドがない、請求項12に記載のマイクロアレイ作成方法。
【請求項14】
少なくとも1個のウェルは標的捕捉リガンドを含まない、請求項12または13に記載のマイクロアレイ作成方法。
【請求項15】
前記少なくとも1種類の参照捕捉リガンドを固定化するステップは、前記参照捕捉リガンドを前記アレイの少なくとも2カ所の隅の場所に固定化するステップを含む、請求項12に記載のマイクロアレイ作成方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種類の参照捕捉リガンドを固定化するステップは、前記参照捕捉リガンドを前記アレイの少なくとも3カ所の隅の場所に固定化するステップを含む、請求項12に記載のマイクロアレイ作成方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−500851(P2007−500851A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533087(P2006−533087)
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/015209
【国際公開番号】WO2004/104230
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(591028256)ベックマン コールター インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】BECKMAN COULTER,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】4300N.Harbor Boulevard Fullerton,California 92834−3100 U.S.A.
【Fターム(参考)】