説明

内部通気ブレード

例えば、高圧タービンのブレードは、後縁(7)に最も近い内部隔壁(9)であって、先端(11)に新しい開口部(14’)を形成することにより、または第2の空洞から始まり後縁の領域の腹面へと通じる開口部(12)を移動させることにより、後縁の開口部(15)の領域の冷却ガスの通気、より詳細には、ブレードの上方の角部の通気を改善するために、上部(20)が後縁に向かって傾斜している内部隔壁(9)を有するように設計される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、内部通気ブレードである。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械のブレードは、非常に高い温度にさらされることが多く、例えば、圧縮機の領域の主気流から取り出された比較的冷たいガスを使用したガス通気による冷却装置が取り付けられ得る。ガスは、ブレード内部に穿たれた空洞まで流れ込み、特に、腹面および後縁に形成される穿孔を通って空洞から排気される。この場合、外圧の方が低いことでガスが流れることになる。現在、これらの装置が試験されて、全体的に満足できる結果が得られているが、特に、困難な条件のために(例えば、最も高い温度を受ける高圧タービンブレードの場合)通気が不十分である場合、またはブレードの特定の領域において通気が不十分である場合、まださらに改良する必要がある。仏国特許出願公開第2833298号明細書および仏国特許出願公開第2834015号明細書では、後縁の通気について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2833298号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2834015号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却不良は、ブレードが非常に高温になり、ある種の損傷(焼け)を引き起こすが、この冷却不良は、特定のブレードの先端、より詳細には、後縁と外縁との間の角部で生じた。本発明の目的は、この特定の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、最も一般的な形態では、冷却ガスが流れる内部空洞を含むブレードで、空洞は隔壁によって分割され、隔壁の1つでブレードの後縁に最も近い隔壁は、プラットフォームから外縁の半径にあるブレードの先端まで測定した場合、ブレードの少なくとも70%の高さから、後縁に向かってより大きく傾斜した(この測定は、以下で説明する理由から、後縁の通気を改善することでブレードの角部の冷却を改善する)ブレードであって、ブレードの後縁に向かってブレードの後縁に最も近い前記隔壁によって区切られた空洞の1つは、ブレードの側面に通じる一連の穿孔を含み、前記穿孔は、前記空洞内に前記隔壁に平行な線上に作られた開口部を通って形成されることを特徴とするブレードに関する。したがって、この改良は、この場合は側面(腹面または背面)の通気を改善することで、ブレードの角部の冷却を改善することができる。
【0006】
有利には、傾斜は徐々に大きくなるので、隔壁は全体が曲線的な形状になる。
【0007】
以下で、添付図面に関連する例示的な実施形態を挙げて本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のブレードの全体図である。
【図2】本発明のブレードの全体図である。
【図3】本発明によって改良された先行技術の構造を示す詳細図である。
【図4】対応する本発明の構造の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1および図2は、ディスク(図示せず))に収容される根元部(2)に取り付けられるブレード(1)で、プラットフォーム(3)が取り付けられたブレード(1)を示している。ブレード(1)は、中空構造であり、基本的には根元部(2)からブレード(1)の先端(11)まで半径方向に延びる隔壁(5)によって互いに分離された複数の空洞(4)が設けられている。以降の説明では、ブレード(1)の後縁(7)に最も近い空洞(6)、空洞(6)に隣接した空洞(8)、およびこれらの空洞を分離する隔壁(9)を区別する。したがって、隔壁は後縁(7)に最も近い隔壁である。
【0010】
通気ガスは、ブレード(1)を含む機械の別の領域から根元部(2)の起点(10)を通って空洞(4)(および空洞(6)(8))に流れ込み、ブレード(1)の先端(11)まで上昇する。通気ガスは、ブレード(1)の腹部(13)および/または背部(22)に形成される穿孔(12)を通って徐々に空洞から出て(さらに他の穿孔(14)(図3および図4に示されている)が先端(11)に形成され)、最後に、後縁(7)に形成される他の穿孔(15)によって空洞(6)からのみ流出する。
【0011】
ブレード(1)の先端(11)の通気は、より難しい。それは、穿孔(14)が空洞(4)の端部に位置するためであり、また、通気ガスの流量が少なく、通気ガスの圧力が低いためである。また、先端(11)が、ブレードの背部側および腹部側に延びて「ベイスン(basin)」(17)と呼ばれる中空の空洞を形成する薄い外側稜線部(16)から成るために、別の不利な状況も生じる。稜線部(16)によりブレードの先端とその向かい側にあるケーシングとの間の高温ガスの流出が制限され、稜線部(16)は、ブレードが熱膨張と遠心力との複合的影響を受けて反対側のケーシングまで延びて接触する際に、摩耗や亀裂が生じるゾーンになる。ベイスン(17)および稜線部(16)は、冷却が難しい領域であり、特に、ブレード(1)の後縁(7)に隣接する上方の角部(18)では、空洞(6)が最も狭く、状況はとりわけ切実である。
【0012】
図3を参照して説明する。従来の設計では、後縁(7)に最も近い隔壁(この場合、9’)は、ブレードの製造を簡素化するために他の隔壁と同様に直線状であり、全体的に完全に半径方向の隔壁である。本発明の発明者は、空洞(6)内の隔壁(9’)とベイスン(17)の基部の壁とが交わる所に低速の再循環ゾーン(19)が存在することに気付いた。この位置における通気ガスの動的圧力は低いので、先端(11)を通気するための上方の穿孔は役に立たず、ベイスン(17)の縁部が全く通気されない。また、先端(11)に最も近い後縁(7)に通じる穿孔(15)、一般には、3個または4個の最も近い穿孔は、ガスの低い圧力が低いために特に少ない流量を受けることがわかる。
【0013】
図4に見られる本発明に特有の改良は、後縁(7)に最も近い隔壁(9)の上端(20)が隔壁(9)の残りの部分よりも後縁(7)に向かって大きく傾斜し、有利には、徐々に傾斜が大きくなり、曲線的な形状で、ベイスン(17)の基部の壁にほぼ均一に接続された形にすることにある。上部(20)は、プラットフォーム(3)から外縁まで、すなわち、ベイスン(17)の基部の壁までのブレード(1)の高さの80%、あるいは70%の位置から始まってもよい。他の隔壁は直線状のままである。技術的効果は、以下の通りである。低速再循環ゾーン(19)がなくなる、通気ガスの先端(11)に近い穿孔(15)への案内が改善される、通気ガスの圧力が増加し、さらにそのことで上方の穿孔(15)を通る流量が多くなる、第2の空洞(8)から腹部(13)(または背部)に通じる穿孔(12)が後縁(7)の方に移動されて、第2の空洞(8)の開口部(21)が上部(20)に平行な線上に位置する、そして第2の空洞(8)が先端で広くなるために少なくとも1つの追加の先端穿孔(14’)が追加される(ここで示されている設計では、さらに先行技術の設計では、通気がより難しくなるので、通常第1の空洞(6)には先端の穿孔(12)および(14)がない)。上述の全ての改良により得られる効果は、ブレード(1)の上部の角部(18)において、後縁(7)は穿孔(15)によって、側面の腹部(13)または背部の面は移動した穿孔(12)によって、さらにベイスン(17)は追加の先端穿孔(複数可)(14’)によって十分に通気され冷却されるということである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却ガスを循環させるための内部空洞(4、6、8)を含むブレード(1)にして、空洞は隔壁(5、9)によって分割され、隔壁の1つでブレードの後縁(7)に最も近い隔壁(9)は、ブレードのプラットフォーム(3)から外縁の半径まで測定した場合、ブレードの少なくとも70%の高さから後縁に向かってより大きく傾斜したブレード(1)であって、ブレードの後縁の領域でブレードの後縁に最も近い前記隔壁(9)によって区切られた空洞の1つ(8)は、ブレードの側面に通じる一連の穿孔を含み、前記穿孔は、前記空洞(8)内に前記隔壁(9)に平行な線上に配置された開口部(21)を通って形成されることを特徴とするブレード。
【請求項2】
傾斜の大きさが徐々に小さくなることを特徴とする、請求項1に記載のブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−516563(P2013−516563A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546450(P2012−546450)
【出願日】平成22年12月30日(2010.12.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070933
【国際公開番号】WO2011/080319
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)
【Fターム(参考)】