説明

円盤状記録媒体の管理システムおよびこの管理システムのための円盤状記録媒体用収納ケース

【課題】円盤状記録媒体を収納するための偏平な収納ケースに設けられている電子タグに記録されている情報を、リーダアンテナ装置のリーダアンテナでもって、安定して状態で読み取ることができる、円盤状記録媒体の管理システムおよびこの管理システムのための円盤状記録媒体用収納ケースを提供する。
【解決手段】円盤状記録媒体11を収納するための偏平な収納ケース12と、この収納ケースに設けられた電子タグ5と、上記電子タグと無線通信し得るリーダアンテナを有するリーダアンテナ装置とを備えている。上記電子タグが、上記収納ケースを平面的に見たときに、上記収納ケースの1つのコーナ部12aと上記円盤状記録媒体の外周囲とによってほぼ囲まれる領域付近に配置されるとともに、上記電子タグのアンテナ22の中央穴24が、上記収納ケースを平面的に見たときに、上記円盤状記録媒体に重ならないように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円盤状記録媒体を収納するための収納ケースを管理するようにした、円盤状記録媒体の管理システムに関するものである。また、本発明は、このような管理システムのための円盤状記録媒体用収納ケースにも関するものである。
【背景技術】
【0002】
固有の識別番号、物品情報などの情報を記録した電子タグを管理対象物品に貼り付け、この電子タグと非接触で交信を行うリーダライタ装置を用いて物品を管理するようにした物品管理システムが、従来から知られている。特に、書籍、CDケース、DVDケースなどのように、その形状が互いに類似しかつ多数個が狭い間隔で積層されて並置される管理対象物品の場合でも、管理対象物品に貼り付けられた電子タグと交信することができるリーダライタ装置も、例えば特許文献1に開示されているように、従来から知られている。この特許文献1に開示されている物品検索システムにおいては、リーダアンテナは、書籍、CDケース、DVDケースなどの管理対象物品が載置される物品棚の棚板または背板に敷設されるとともに、上記リーダアンテナが上記管理対象物品の電子タグと交信するように構成されている。
【特許文献1】特開2007−164479号公報
【0003】
一方、特許文献2には、書籍のように互いに類似した形状を有する管理対象物品の表紙面に電子タグが貼り付けられるとともに、多数個の管理対象物品が互いに積層された状態で棚板上に載置された場合に、複数個が狭い間隔でほぼ積層されることになる電子タグ同士の相互の干渉を防止するために、管理対象物品に部分的に遮蔽シートを設けるようにした物品管理システムが開示されている。また、特許文献3には、導電体に近接して配設された電子タグがリーダアンテナとの良好な通信状態を確保するために、電子タグの背面に磁性シートを敷設するようにした物品管理システムが開示されている。そして、特許文献4には、ディスク(すなわち、円盤状記録媒体)の内周囲付近に電子タグを敷設するとともに、棒状の読み取り機をディスクの中央穴に挿入させた状態でもって、ディスクに貼り付けられた電子タグに記録された情報を読み取り機のリーダアンテナに読み取らせるようにした物品管理システムが開示されている。さらに、特許文献5には、円盤状記録媒体を収納した収納ケース(以下、「ディスク入りケース」という。)にプログラマブルROMのようなメモリを搭載するとともに、このメモリに記録されている履歴情報を履歴情報読み取り手段によって読み取るようにした物品管理システムが開示されている。なお、特許文献1〜5にそれぞれ開示されている物品管理システムに関連して平成16年に実施されたレコード業界の実証実験が、我が国の経済産業省によって報告されているが、この報告によれば、CD、DVDなどの個別の物品についての管理は、成功していない。
【特許文献2】特開2004−246816号公報
【特許文献3】特開2006−331101号公報
【特許文献4】特開2006−39967号公報
【特許文献5】特開平6−131806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1〜5に開示されているような従来の物品管理システムには、つぎの(A)項〜(F)項に記載するような問題点があった。これらの問題点が生じる理由は、これらの(A)項〜(F)項のそれぞれの記載のつぎに順次記載する(a)項〜(f)項に記載のとおりである。
(A)特許文献4に開示されている物品管理システムでは、音楽、映像などの著作権が発生するCD、DVDなどの円盤状記録媒体を、製造から店舗での販売までの流通段階では、管理することができない。
(a)音楽、映像などの著作権が発生するCD、DVDなどの代表的な円盤状記録媒体は、一般的に、偏平な直方体形状の収納ケースに収納されるとともに、このディスク入りケースを外装フィルムによって封入しているから、棒状の読み取り機を円盤状記録媒体の中央穴に挿入させた状態でもって、電子タグに記録された情報を読み取るようにした読み取り機は、利用することができない。
(B)特許文献1に開示されている物品管理システムでは、CD、DVDなどのドーナツ型の円盤状記録媒体の表面には、導電膜が形成されているから、リーダアンテナは、この導電膜とほぼ平行な状態でもってCD、DVDなどの収納ケースに貼り付けられている電子タグとは、良好に交信することはできず、このために、電子タグに記録されている情報の読み取り性能が低下する。
(b)リーダアンテナから放出される磁界が、ドーナツ型の円盤状記録媒体の表面に形成されている導電膜の表面に入射すると、この導電膜の表面に発生した渦電流によって反磁界(すなわち、リーダアンテナからの磁界とは反対方向の磁界)が発生する。また、リーダアンテナからの磁界がドーナツ型の円盤状記録媒体の中央穴を通過すると、円盤状記録媒体の表面の導電膜から反磁界が発生する。このために、リーダアンテナからの磁界の強度が弱められるから、円盤状記録媒体とほぼ平行な状態で貼り付けられている電子タグの通信可能距離は、低下する。
(C)特許文献1に開示されている物品管理システムでは、電子タグが小さいほど、電子タグ内のICチップを励起させるためにはリーダアンテナから強い強度の磁界が放出される必要があるが、リーダアンテナから強い磁界が放出されると、リーダアンテナによる電子タグの情報の読み取り性能が低下する。
(c)電子タグは、この電子タグ内のコイルアンテナを通過する磁束の変化量によって起電力を得るようにしている。このために、小さな電子タグほど、この電子タグ内のコイルアンテナを通過する磁束の量も減少するから、電子タグ内のコイルアンテナを励起させるためには、リーダアンテナからの磁界が強い磁界強度を有している必要がある。しかし、リーダアンテナから強い磁界が放出されるほど、この強い磁界が遠方まで放出されてしまうから、円盤状記録媒体からの反磁界の影響を受け易くなり、この結果、リーダアンテナによる電子タグの情報の読み取り性能が低下する。
(D)特許文献2に開示されている物品管理システムでは、リーダアンテナが10mm程度もしくはそれ以下の狭い間隔で多数個配列された電子タグの情報を有効に読み取るとは、必ずしも限らない。特に、CD、DVDなどの円盤状磁気記録媒体のように導電膜を含む場合には、有効な読み取りが行われにくくなる。
(d)多数枚の円盤状記録媒体を積層して配列した場合には、これら多数枚の円盤状記録媒体にそれぞれ貼り付けられている多数個の電子タグも、円盤状記録媒体のほぼ積層方向に多少の間隔をあけて積層されることになるから、これらの電子タグの共振周波数のずれによって読み取り性能が低下する。なお、上述のような電子タグの共振周波数のずれは、複数個の電子タグが互いに接近しているときに、複数個の電子タグの間で互いに電磁的に干渉しあうことによって生じる。そして、この低下は、電子タグ同士の間隔が小さいほど顕著であるから、薄い書籍や5mm〜10mm厚のCDケースなどでは、リーダアンテナによる電子タグの情報の読み取りが必ずしも有効には行われない。さらに、CD、DVDなどのように導電膜がその表面に形成されている円盤状磁気記録媒体の場合には、導電膜による影響も加わるから、上記読み取りがますます有効には行われにくくなる。しかも、管理対象物品に遮蔽シートを設けることによって、コストアップとデザイン上の問題とが発生する。
(E)特許文献3に開示されている物品管理システムでは、一般的には、導電膜が円盤状記録媒体の両面に存在しているから、リーダアンテナによる電子タグの情報の読み取り性能の改善は、あまり期待することができない。
(e)電子タグ自体のケースの一方の側を金属体にするとともに、この金属体と電子タグとの間に磁性シートを配置するようにしても、上記金属体がない場合や電子タグ自体のケースの両側に金属体がある場合も生じるから、リーダアンテナによる電子タグの情報の読み取りには、磁性シートはそれほど有効には機能しない。
(F)特許文献5に開示されている物品管理システムでは、管理対象物品の流通段階での個品管理に多大な人件費が必要である。
(f)識別可能なメモリについては、個々の管理は可能であるが、読み取り機によってメモリを個々に照合させる必要があるから、多数個のメモリを非接触によって一括して読み取ることはできない。このために、管理対象物品を流通段階(すなわち、製造から販売まで)において短時間で個品管理することはできないから、流通段階での人件費を削減することはできない。
【特許文献1】特開2007−164479号公報
【特許文献2】特開2004−246816号公報
【特許文献3】特開2006−331101号公報
【特許文献4】特開2006−39967号公報
【特許文献5】特開平6−131806号公報
【0005】
本発明は、上述のような問題点に着目して、このような問題点を解決するために発明されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その第1の観点においては、円盤状記録媒体を収納するための扁平な収納ケースと、この収納ケースに設けられた電子タグと、上記電子タグと無線通信し得るリーダアンテナを有するリーダアンテナ装置とを備え、上記電子タグが、上記収納ケースを平面的に見たときに、上記収納ケースの1つのコーナ部と上記円盤状記録媒体の外周囲とによってほぼ囲まれるコーナ領域付近に配置されるとともに、上記電子タグのアンテナの中央穴が、上記収納ケースを平面的に見たときに、上記円盤状記録媒体に重ならないように構成されていることを特徴とする、円盤状記録媒体の管理システムに係るものである。この場合、電子タグは、上記収納ケースに直接に取り付けられている必要は必ずしもなく、上記収納ケースに取り付けられるジャケットシート、インデックスシート、外装フィルムなどの他の部材(換言すれば、上記収納ケースに間接的)に取り付けられていてもよい。本発明の第1の観点において用いられる電子タグは、一般的に比較的小型であって、この電子タグを平面的に見たときの面積は、実用性の観点から見て一般的に、1,000mm以下であるのが好ましく、600mm以下であるのがさらに好ましい。また、上記電子タグを平面的に見たときのこの電子タグの面積は、実用性の観点から見て一般的に、75mm以上であるのが好ましく、150mm以上であるのがさらに好ましい。さらに、本発明の第1の観点において用いられる電子タグが設けられる収納ケースの厚みは、実用性の観点から見て一般的に、3mm以上であるのが好ましく、5mm以上であるのがさらに好ましい。また、上記収納ケースの厚みは、実用性の観点から見て一般的に、50mm以下であるのが好ましく、30mm以下であるのがさらに好ましい。
【0007】
また、本発明は、その第2の観点においては、円盤状記録媒体を収納するための扁平な収納ケースと、この収納ケースに設けられた電子タグと、上記電子タグと無線通信し得るリーダアンテナを有するリーダアンテナ装置とを備え、上記収納ケースの厚みが、0.5〜20mmの範囲であり、上記電子タグの面積が、上記収納ケースを平面的に見たときに、1,000〜10,000mmの範囲であることを特徴とする、円盤状記録媒体の管理システムに係るものである。この場合にも、電子タグは、上記収納ケースに直接に取り付けられている必要は必ずしもなく、上記収納ケースに取り付けられるジャケットシート、インデックスシート、外装フィルムなどの他の部材(換言すれば、上記収納ケースに間接的)に取り付けられていてもよい。本発明の第2の観点において用いられる電子タグは、一般的に比較的大型であって、この電子タグを平面的に見たときのこの電子タグの面積は、実用性の観点から見て一般的に、1,500mm以上であるのが好ましく、3,000mm以上であるのがさらに好ましい。また、上記電子タグを平面的に見たときのこの電子タグの面積は、実用性の観点から見て一般的に、8,000mm以下であるのが好ましく、6,000mm以下であるのがさらに好ましい。さらに、本発明の第2の観点において用いられる電子タグが設けられる収納ケースの厚みは、実用性の観点から見て一般的に、9mm以下であるのが好ましく、8mm以下であるのがさらに好ましい。また、上記収納ケースの厚みは、実用性の観点から見て一般的に、1mm以上であるのが好ましく、1.5mm以上であるのがさらに好ましい。
【0008】
本発明の第1および第2の観点においては、上記収納ケースが、ケース本体と蓋体とを備え、上記ケース本体が、このケース本体の上面開口に上記円盤状記録媒体の一方の面を露出させた状態で、上記円盤状記録媒体を位置決めして配置し得るように構成され、上記蓋体が、上記ケース本体の上記上面開口を開閉し得るように構成され、上記電子タグが、上記蓋体の内側面に取り付けられていることができる。また、本発明の第1および第2の観点においては、上記収納ケースが、ケース本体と蓋体とを備え、上記ケース本体が、このケース本体の上面開口に上記円盤状記録媒体の一方の面を露出させた状態で、上記円盤状記録媒体を位置決めして配置し得るように構成され、上記蓋体が、上記ケース本体の上記上面開口を開閉し得るように構成され、上記ケース本体が、内側ケース本体と外側ケース本体とから成り、上記電子タグが、上記外側ケース本体の内側面または上記内側ケース本体の上記外側ケース本体側の面に取り付けられていることもできる。
【0009】
また、本発明の第1および第2の観点においては、上記リーダアンテナが、アンテナ形成対象部材にそれぞれ設けられている第1および第2のループアンテナ部分から成り、上記第1および第2のループアンテナ部分のそれぞれが、ほぼループ形状のアンテナパターンを備え、上記第1のループアンテナ部分の上記ほぼループ形状のアンテナパターンと、上記第2のループアンテナ部分の上記ほぼループ形状のアンテナパターンとのそれぞれが、上記アンテナ形成対象部材の所定の方向をx軸方向としかつこのx軸方向とほぼ直交する方向をy軸方向としたときに、ほぼ上記x軸方向に延在する上記y軸方向の第1の側に設けられた第1のパターン部分と、ほぼ上記y軸方向に延在する上記x軸方向の第1の側に設けられた第2のパターン部分と、ほぼ上記x軸方向に延在する上記y軸方向の上記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第3のパターン部分と、ほぼ上記y軸方向に延在する上記x軸方向の上記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第4のパターン部分とを備え、上記第1のループアンテナ部分の上記第1のパターン部分と、上記第2のループアンテナ部分の上記第3のパターン部分とのそれぞれが、互いに間欠的に配置されている複数本のベースライン部と、これら複数本のベースライン部の間に設けられている少なくとも1個の屈曲部とをそれぞれ備え、上記屈曲部のそれぞれが、第1の立上り部および第2の立上り部をそれぞれ備えるほぼ凸形状に構成され、上記第1のループアンテナ部分の上記第1の立上り部または上記第2の立上り部が上記第2のループアンテナ部分のこれと対応する第1の立上り部とこれと対応する第2の立上り部との間に配置されるように、上記第1のループアンテナ部分が上記第2のループアンテナ部分に対してほぼ上記x軸方向にずれているのが好ましい。この場合、上記第1のループアンテナ部分が上記第2のループアンテナ部分に対して上記x軸方向にずれているずれの大きさが、上記屈曲部の1個を共同で構成している上記第1および第2の立上り部の間隔の0.6〜0.75の範囲であるのがさらに好ましい。また、上記屈曲部のそれぞれが、上記第1および第2の立上り部のそれぞれの先端部を連結するために、上記x軸方向に延在している連結部をさらに備え、上記第1のループアンテナ部分の上記連結部と、上記第2のループアンテナ部分の上記ベースライン部とによって、長手状重複部位および/または長手状近接部位が構成され、上記第1のループアンテナ部分の上記ベースライン部と、上記第2のループアンテナ部分の上記連結部とによって、長手状重複部位および/または長手状近接部位が構成されているのがさらに好ましい。
【0010】
また、本発明の第1および第2の観点においては、上記円盤状記録媒体入りの上記収納ケースの多数個が束になった状態で物品移動空間を移動するように構成され、上記収納ケース束が上記物品移動空間を移動しているときに、上記多数個の収納ケースのそれぞれの上記電子タグが上記リーダアンテナと無線通信し得るように構成されているのが好ましい。
【0011】
また、本発明は、その第3の観点においては、上記第1の観点における円盤状記録媒体の管理システムのための円盤状記録媒体用収納ケースであって、上記収納ケースが、上記円盤状記録媒体を収納するために扁平に構成され、電子タグが、上記収納ケースに設けられ、上記電子タグが、上記収納ケースを平面的に見たときに、上記収納ケースの1つのコーナ部と上記円盤状記録媒体の外周囲とによってほぼ囲まれる領域付近に配置されるとともに、上記電子タグのアンテナの中央穴が、上記収納ケースを平面的に見たときに、上記円盤状記録媒体に重ならないように構成されていることを特徴とする円盤状記録媒体用収納ケースに係るものである。さらに、本発明は、その第4の観点においては、上記第2の観点における円盤状記録媒体の管理システムのための円盤状記録媒体用収納ケースであって、上記収納ケースが、上記円盤状記録媒体を収納するために扁平に構成され、電子タグが、上記収納ケースに設けられ、上記収納ケースの厚みが、0.5〜20mmの範囲であり、上記電子タグの面積が、上記収納ケースを平面的に見たときに、1,000〜10,000mmの範囲であることを特徴とする、円盤状記録媒体の管理システムに係るものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜4、11および12に係る発明によれば、円盤状記録媒体を収納するための扁平な収納ケースに設けられた電子タグに記録されている情報を、リーダアンテナ装置のリーダアンテナでもって、比較的安定した状態で読み取ることができる。特に、請求項2、3および12に係る発明によれば、特に薄い収納ケースに設けられた電子タグに記録されている情報を、上記リーダアンテナでもって、比較的安定した状態で読み取ることができ、さらに、請求項4に係る発明によれば、この読み取りをさらに安定した状態で行うことができる。
【0013】
また、請求項5および6に係る発明によれば、扁平な収納ケースへの電子タグの取り付けが容易であり、また、電子タグの損傷や扁平な収納ケースからの電子タグの喪失を生じる恐れがあまりない。
【0014】
また、請求項7に係る発明によれば、扁平な収納ケースに設けられた電子タグに記録されている情報を、リーダアンテナ装置のリーダアンテナでもって、一層安定した状態で読み取ることができる。
【0015】
また、請求項8および9に係る発明によれば、リーダアンテナをそれぞれ構成している第1および第2のリーダアンテナ部分のうちの一方のリーダアンテナ部分への給電によって他方のリーダアンテナ部分に生じる誘導電流が、上記他方のリーダアンテナ部分において相殺されるのを実質的に回避することができるから、第1および第2のリーダアンテナ部分が発生する磁界を互いに強め合うことができる。このために、比較的少ないリーダアンテナ部分の数(すなわち、2個)でかつ比較的小さい駆動電力でもって、電子タグの向きには実質的に無関係に、上記電子タグとの交信が可能であるリーダアンテナを提供することができる。
【0016】
さらに、請求項10に係る発明によれば、多数個の扁平な収納ケースにそれぞれ設けられている多数個の電子タグにそれぞれ記録されている情報を、リーダアンテナ装置のリーダアンテナでもって、きわめて容易にかつさらに一層安定した状態で読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
つぎに、本発明による円盤状記録媒体の管理システムの実施例を、「1、円盤状記録媒体の管理システムの概略的な構成」、「2、電子タグ付きのディスク入りケースの構成」、「3、リーダアンテナのパターン形状」および「4、リーダアンテナの動作実験」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
1、円盤状記録媒体の管理システムの概略的構成
図1には、円盤状記録媒体の管理システム(以下、「ディスク管理システム」という。)の第1の実施例が示されている。この第1の実施例におけるディスク管理システムは、ベルトコンベア装置などのコンベア装置1と、このコンベア装置1のコンベアベルトなどの物品移送手段2上などの物品移送空間を移送されるディスク入りケース3の束4とを備えていてよい。なお、物品移送手段2がエンドレスなコンベアベルトである場合には、このコンベアベルト2は、駆動源としての電動モータ(図示せず)によって駆動されるように構成されることができる。したがって、コンベアベルト2は、周知のように、複数個のプーリまたは複数個の歯車(何れも図示せず)にそれぞれ巻き掛けられることによって支持されていてよい。そして、これら複数個のプーリまたは複数個の歯車のうちの少なくとも1個が上記電動モータにより駆動力伝達機構(図示せず)を介して駆動されることによって、コンベアベルト2がその上に載置されているディスク入りケース3の全体としてほぼ直方体形状の束4を所定の移送方向にほぼ一定の速度で順次移送することができる。また、この束4を構成している例えば25枚のディスク入りケース3のそれぞれには、電子タグ5(図7参照)が貼り付けなどによって取り付けられている。さらに、リーダアンテナ装置6がケース束4の物品移送空間(換言すれば、コンベアベルト2上における物品移動空間)の下側にほぼ沿ってほぼ水平な状態で配設されている。このリーダアンテナ装置6は、上記物品移送空間にほぼ沿って横長なほぼ長方形状などの基板(換言すれば、アンテナ形成対象部材)7に、リーダアンテナ8が形成されたものであってよい。
【0019】
図1に示すコンベア装置1は、物品移送手段としてエンドレスなコンベアベルト2を用いている。しかし、この物品移送手段としては、周知のように、物品移送空間の下側に沿って多数個が敷きつめられたローラ(図示せず)によって構成することもできる。この場合、これらのローラのそれぞれは、物品の移送方向に対してほぼ直交するように延在することができる。さらに、上記物品移送手段としては、コンベアベルト2に代えて配設された左右一対のエンドレスチェーン(図示せず)に物品載置用または物品収納用のパレット(図示せず)が取り付けられたものであってもよい。
【0020】
図2には、図1に示す第1の実施例における第1〜第5の変形例がそれぞれ示されている。これら第1〜第5の変形例のいずれにおいても、図1に示すコンベア装置1は用いられておらず、ケース束4は、リーダアンテナ装置6の上面に直接または間接的に載置される。そして、図2(A)に示す第1の変形例においては、全体としてほぼ直方体形状のケース束4は、ほぼ水平な状態に配置されているリーダアンテナ装置6上に載置されて静止した状態でもって、多数枚のディスク入りケース3のそれぞれの電子タグ5に記録されている情報がリーダアンテナ8によって読み取られる。また、図2(B)に示す第2の変形例においては、全体としてほぼ直方体形状のケース束4は、ほぼ水平な状態に配置されているリーダアンテナ装置6上に載置されてからリーダアンテナ装置6の基板7の長さ方向に手動でまたは移送機構(図示せず)により自動的に移送されながら、多数枚のディスク入りケース3のそれぞれの電子タグ5に記録されている情報がリーダアンテナ8によって読み取られる。
【0021】
図2(C)に示す第3の変形例は、ケース束4を構成している25枚のディスク入りケース3がリーダアンテナ装置6に対してそれぞれ同方向(例えば、移送方向とは逆の方向)にほぼ同じ角度(例えば、30°)だけ傾斜していて、ケース束4が側方から見たときに全体としてほぼ平行四辺形になっていることを除いて、図2(B)に示す第2の変形例と実質的に同一であってよい。そして、図2(D)に示す第4の変形例は、リーダアンテナ装置6が、ケース束4をともなって、このケース束4の移送方向に向かうにしたがって次第に低くなるように傾斜(例えば、約20°)していることを除いて、図2(B)に示す第2の変形例と実質的に同一であってよい。この場合、リーダアンテナ装置6がほぼ水平な状態(または予め多少傾斜した状態)になっているときに、ケース束4をリーダアンテナ装置6の上面に載置してから、リーダアンテナ装置6を上述のように傾斜させてもよい。また、リーダアンテナ装置6を上述のように予め傾斜した状態にしておいて、この傾斜しているリーダアンテナ装置6の上面にケース束4を載置するようにしてもよい。さらに、図2(E)に示す第5の変形例は、上記第3の変形例と上記第4の変形例とを組み合わせた構成を有している。換言すれば、図2(E)に示す第5の変形例は、ケース束4を構成している25枚のディスク入りケース3がリーダアンテナ装置6に対して図2(C)の場合と同様に傾斜(例えば、約30°)しているためにディスク入りケース3のそれぞれがほぼ鉛直になっていて、側方から見たときにケース束4が全体としてほぼ平行四辺形になっていることを除いて、図2(D)に示す第4の変形例と実質的に同一であってよい。なお、図2(D)に示す第4の変形例および図2(E)に示す第5の変形例のいずれの場合にも、ケース束4は、リーダアンテナ装置6の上記傾斜を利用して、自動的に(または検査者の手を多少添えることによって)移送方向に移送されることができる。
【0022】
図3には、ディスク管理システムの第2の実施例が示されている。この第2の実施例におけるディスク管理システムが図1に示す上記第1の実施例におけるディスク管理システムと相違している点は、図3においては、図1に示すケース束4とそれぞれ実質的に同一であってよい左右一対のケース束4a、4b(換言すれば、合計50枚のディスク入りケース3)が用いられていることである。この場合、左右一対のケース束4a、4bは、適当な連結具(図示せず)によって必要に応じて互いに連結されていてもよい。そして、図4には、ディスク管理システムの第3の実施例が示されている。この第3の実施例におけるディスク管理システムが図2に示す第2の実施例におけるディスク管理システムと相違している点は、リーダアンテナ装置6が所定の移送方向にそれぞれ移送される左右一対のケース束4a、4bの間にほぼ垂直な状態で相対的に配置されるように構成されていることである。この場合、リーダアンテナ装置6の下端がコンベアベルト2の上面の少し上方に位置するように配設されていてもよい。また、コンベアベルト2のうちのリーダアンテナ装置6の下端と対向する部分を移送方向の全長にわたって凹条部(図示せず)にしてもよい。さらに、コンベアベルト2に代えて、リーダアンテナ装置6の左右両側に左右一対のコンベアベルト2a、2bをそれぞれ設けて、これら左右一対のコンベアベルト2a、2bによって左右一対のケース束4a、4bをそれぞれ移送するようにしてもよい。また、上記左右一対のコンベアベルト2a、2bのそれぞれを、上述のように、左右一対のエンドレスチェーンと物品載置用または物品収納用のパレットとから成る物品移送手段に代えてもよい。
【0023】
図5には、ディスク管理システムの第4の実施例が示されている。この第4の実施例におけるディスク管理システムが図4に示す第3の実施例におけるディスク管理システムと相違している点は、図5においては、図4に示す左右一対のケース束4a、4bのそれぞれが上下一対のケース束4a、4cおよび上下一対のケース束4b、4d(換言すれば、合計100枚のディスク入りケース3)に置き換えられていることである。この場合、上下一対のケース束4a、4cおよび上下一対のケース束4b、4dのそれぞれは、適当な連結具(図示せず)によって必要に応じて互いに上下に連結されていてもよい。また、図5に示す場合には、リーダアンテナ装置6の下端が、コンベアベルト2の上面よりも上方に位置しているが、この上面よりも下方に位置する場合には、図4に示すコンベアベルトの場合のように、凹条部を設けたり、左右一対に分割したり、これら左右一対のコンベアベルト2a、2bのそれぞれを、左右一対のエンドレスチェーンとパレットとから成る物品移送手段に代えたりすればよい。
【0024】
図6には、ディスク管理システムの第5の実施例が示されている。この第5の実施例におけるディスク管理システムが図5に示す第4の実施例におけるディスク管理システムと相違している点は、リーダアンテナ装置6が全体としてほぼコ字状の断面を有していることである。したがって、リーダアンテナ装置6は、3枚の平面型リーダアンテナ装置6a、6b、6cが順次連設された構造を有している。しかし、3枚の平面型リーダアンテナ装置6a、6b、6cは、必ずしも連設されている必要はなく、個別(換言すれば、3枚別々)に構成されていてもよい。さらに、上下一対のケース束4a、4cと上下一対のケース束4b、4dとは、適当な連結具(図示せず)によって必要に応じて互いに連結されていてもよい。また、3枚の平面型リーダアンテナ装置6a〜6cのうちの1枚(例えば、平面型リーダアンテナ装置6aまたは6c)を省略することによって、リーダアンテナ装置6を全体としてほぼL字状の断面(図20参照)を有するように構成することもできる。
【0025】
図1〜図6に示すディスク管理システムにおいては、リーダアンテナ装置6、6a〜6c(ひいては、これらのリーダアンテナ装置6、6a〜6cにそれぞれ形成されているリーダアンテナ8)は、コンベア装置1の物品移送空間を所定の移送方向に移送されるケース束4、4a〜4d(ひいては、これらのケース束4、4a〜4dを構成しているディスク入りケース3)と直接またはコンベアベルト2、2a、2bなどを介して間接的に対向することができる。また、上述の第1〜第5の実施例においては、リーダアンテナ装置6に対してケース束4が移送方向に移動するようにしたが、ケース束4に対してリーダアンテナ装置6が上記移送方向またはその逆方向などに移動するようにしてもよい。また、図2〜図6において、図1と共通の部分には、同一の符号を付するとともに、その説明を必要に応じて省略している。
【0026】
2、電子タグ付きディスク入りケースの構成
電子タグ5が設けられているディスク入りケース3は、図7〜図9に示すように、CD、DVDなどの円盤状記録媒体(以下、「ディスク」という。)11と、このディスク11を収納するための収納ケース12と、この収納ケース12に貼り付けなどによって取り付けられている電子タグ5とから成っている。収納ケース12は、周知のように、ディスク11が位置決めされて配置されるケース本体13と、このケース本体13にヒンジ部14によって開閉自在に結合されている蓋体15とを備えている。具体的には、ケース本体13は、このケース本体13の上面開口19にディスク11の一方の面(具体的には、上面)11aを露出した状態で、ディスク11を位置決めして配置し得るように構成されている。そして、蓋体15は、ケース本体13の上面開口19を開閉し得るように構成されている。このために、ケース本体13は、ディスク11の中央穴16に相対的に挿入されて、このディスク11の内周囲を位置決めするほぼ筒状の内側ハブ部16と、ディスク11の外周囲が挿入されて、このディスク11の外周囲を位置決めする例えば4本の外側リブ部18とを備えている。なお、ケース本体13および蓋体15のそれぞれは、平面的に見て、ほぼ長方形であるが、これらの長方形の一辺または複数の辺もしくは全部の辺が全体的または部分的にリブ状に突出した突出部21を備えていてもよい。さらに、ディスク11は、ほぼ円形であってよい上記中央穴16を有するほぼ円盤形状であってよい。そして、この円盤形状のディスク11の一方の面または両方の面には、導電膜が形成されていてよい。
【0027】
電子タグ5は、プラスチック製などのケース本体13、プラスチック製などの蓋体15、紙製などのジャケットシート(図示せず)、紙製などのインデックスシート(図示せず)などの一方の面(例えば、内側面)や他方の面(例えば、外側面)に貼り付けなどによって取り付けられることができる。なお、ケース本体13などが内側部分(例えば、内側ケース本体)と外側部分(例えば、外側ケース本体)とから成っている場合には、これらの内側部分および外側部分の上記一方の面または上記他方の面(例えば、外側ケース本体の内側面または内側ケース本体の外側ケース本体側の面)に貼り付けなどにより取り付けられることができる。さらに、電子タグ5は、ケース本体13、蓋体15などの各種の部材に埋め込みなどによって内蔵させることもできる。
【0028】
図示の実施例においては、ディスク入りケース3は、10mm厚のディスク11を収納する収納ケース12を備えている。そして、電子タグ5は、図7に示すように、平面的に見てディスク11に実質的に重ならない位置に配設されている。具体的には、電子タグ5は、平面的に見て、蓋体15の1つのコーナ部15a(換言すれば、収納ケース12の1つのコーナ部12a)とディスク11の外周囲とによって囲まれる領域20付近に配設されている。このような電子タグ5は、図10に示すように、1回巻きまたは複数回巻きのほぼループ形状の小型アンテナ(例えば、コイルアンテナ)22と、情報が記録されるメモリ(図示せず)が組み込まれかつほぼループ形状の小型アンテナ22に隣接して配されたICチップ23とを含む通信回路を備えていてよい。そして、小型アンテナ22の内周端および外周端は、必要があればジャンパ線構造を採用して、ICチップ23にそれぞれ接続されていてよい。そして、電子タグ5(特に、コイルアンテナ22)は、図7に示すように、平面的に見てディスク11(特に、上記導電性磁性膜)に重なっていないのが好ましい。また、電子タグ5のコイルアンテナ22の中央穴24が平面的に見てディスク11(特に、上記導電性磁性膜)に重なっていないのが特に好ましい。
【0029】
規格寸法のCDまたはDVDから成るディスク11を収納したディスク入りケース3の各部の寸法などを図7〜図10を参照して例示すれば、つぎの(ア)項〜(カ)項に記載のとおりである。
(ア)ディスク11の外径および内径:120mmおよび15mm、
(イ)収納ケース12の横、縦および厚さ:142mm×125mm×10mm、
(ウ)収納ケース12のうちのヒンジ部14を除いた部分の横および縦:125mm×122mm、
(エ)電子タグ5のアンテナコイル22のほぼ長方形状の外周囲の横および縦:30mm×10mm、
(オ)電子タグ5のアンテナコイル22のほぼ長方形状の内周囲(換言すれば、中央穴24)の横および縦:15mm×2mm、および
(カ)電子タグ5の、収納ケース12における貼り付け位置:収納ケース12の蓋体15の内側面のうちの下側のコーナ領域20(ただし、ヒンジ部14とは反対側)。
【0030】
この場合、図1に示す第1の実施例において、ディスク入りケース3がリーダアンテナ装置6上を移動するときの各部の寸法などを例示すれば、つぎの(キ)項〜(ス)項に記載のとおりである。
(キ)リーダアンテナ装置6の上面(換言すれば、リーダアンテナ8が形成されている側の面)から電子タグ5の下端(換言すれば、下辺)までの高さ方向の距離:7mm、
(ク)リーダアンテナ装置6の上面から電子タグ5の上端(換言すれば、上辺)までの高さ方向の距離:17mm、
(ケ)リーダアンテナ装置6の上面からディスク入りケース3の下端(換言すれば、下辺)までの高さ方向の距離:4.5mm、
(コ)リーダアンテナ装置6の上面からディスク入りケース3内のディスク11の下端(換言すれば、下辺)までの高さ方向の距離:7.5mm、
(サ)リーダアンテナ装置6:日本板硝子株式会社製のガラスアンテナ、
(シ)リーダアンテナ8の出力:4W、および
(ス)収納幅860mmの収納空間に10mm厚のディスク入りケース3を83枚収納して配置したときのリーダアンテナ8による電子タグ5の情報の読み取り率:100%。
【0031】
上述のように構成されたディスク入りケース3を、図1などに示すように、例えば25枚束にしてケース束4にする場合には、図11に示すように、25枚の電子タグ5が一軸方向にほぼ重ね合わせられた状態にすればよい。このように束にするには、25枚のディスク入りケース3を単一の大きな紙箱、単一の大きなプラスチックケースなどの大きな容器(図示せず)に互いに重ね合せられた状態で収納したり、互いに重ね合せられた状態で紐で縛ったりすればよい。この図11に示すケース束4は、図1〜図6に示す第1〜第5の実施例において用いることができる。図12には、図11に示すケース束4を、図3などに示すように、左右一対配置した場合が示されている。この場合には、右側の25枚の電子タグ5は、左側の25枚の電子タグ5に隣接するように配置されていてよい。また、図4に示す第3の実施例においては、右側のケース束4が左側のケース束4から多少離間して配置されている。
【0032】
図13には、図12に示す左右一対のケース束4を、図5などに示すように、下側に配置するとともに、上側にも重ね合わせて配置した場合が示されている。この場合には、上側の左右一対のケース束4の左右一対の多数枚の電子タグ5は、下側の左右一対のケース束4の左右一対の多数枚の電子タグ5から上下方向に離れて配置されている。図14には、図13に示す上側および下側の左右一対のケース束4をそれらの上下をひっくり返して配置した場合が示されている。この場合には、上側の左右一対のケース束4の左右一対の多数枚の電子タグ5は、下側の左右一対の多数枚の電子タグ5とは上下方向に隣接して配置されている。また、図5に示す第4の実施例においては、右側の上下一対のケース束4が左側の上下一対のケース束4から多少離間して配置されている。
【0033】
3、リーダアンテナのパターン形状
つぎに、本発明の第1〜第5の実施例において用いられることができるリーダアンテナ8のパターン形状を、「(1)第1の具体例」、「(2)第2の具体例」、「(3)第3の具体例」、「(4)第4の具体例」、「(5)第5の具体例」および「(6)第6の具体例」に項分けして、図15〜図21を参照しつつ説明する。なお、図15〜図19に示す第1〜第4の具体例のリーダアンテナ8が形成されているリーダアンテナ装置6は、図1および図2に示す第1の実施例のリーダアンテナ装置6、図3に示す第2の実施例のリーダアンテナ装置6、図4に示す第3の実施例のリーダアンテナ装置6および図5に示す第4の実施例のリーダアンテナ装置6のいずれにも、そのままの状態(換言すれば、平板形状)で用いられることができる。そして、図20に示す第5の具体例のリーダアンテナ8が形成されているリーダアンテナ装置6は、断面がほぼL字状になるように1箇所でほぼ直角に折り曲げることによって、図6に示す第5の実施例のリーダアンテナ装置6a、6bまたは6b、6cとして(換言すれば、1個のリーダアンテナ装置6のリーダアンテナ8でありながら、2個分のリーダアンテナ装置6a、6bまたは6b、6cのリーダアンテナ8として)用いられることができる。また、図21に示す第6の具体例のリーダアンテナ8が形成されているリーダアンテナ装置6は、断面がほぼU字状になるように互いにほぼ平行な2箇所でそれぞれほぼ直角に折り曲げることによって、図6に示す第5の実施例のリーダアンテナ装置として(換言すれば、1個のリーダアンテナ装置6のリーダアンテナ8でありながら、3個分のリーダアンテナ装置6a、6b、6cのリーダアンテナ8として)用いられることができる。さらに、図20に示す第5の具体例のリーダアンテナ8が形成されているリーダアンテナ装置6は、図15〜図19に示す第1〜第4の具体例のリーダアンテナ8が形成されているリーダアンテナ装置6と全体として断面がほぼU字状になるように組み合わせることによって、図6に示す第5の実施例のリーダアンテナ装置6a、6b、6cとして(換言すれば、2個のリーダアンテナ8でありながら、3個分のリーダアンテナ8として)用いられることができる。
【0034】
(1)第1の具体例
第1の具体例のリーダアンテナ装置6は、図15(ただし、投影図−図16〜図21の場合も同じ)に示されている。そして、このリーダアンテナ8は、図16Aに示す第1のループアンテナ部分Aと、図16Bに示す第2のループアンテナ部分Bとから成っている。なお、図15〜図17、図20および図21において、図示の都合上、第1のループアンテナ部分Aを実線で示し、第2のループアンテナ部分Bを破線で示している。また、第1および第2のループアンテナ部分A、Bのアンテナパターン25の各パターン部分の幅も、図示の都合上、実際よりは太く示している。さらに、第1および第2のループアンテナ部分A、Bのアンテナパターン25の各パターン部分の実際の幅は、実質的に互いに同一であってよい。
【0035】
第1および第2のループアンテナ部分A、Bは、いずれも、図16Aおよび図16Bに示すように、ワンループなどのループ型のものであってよく、電磁結合方式の電子タグ5に対応したパターン形状を有している。そして、第1および第2のループアンテナ部分A、Bは、いずれも、図16Aおよび図16Bに示すように、ほぼループ形状のアンテナパターン25と、このほぼループ形状のアンテナパターン25の両端部にそれぞれ連設されて互いに近接している一対の端子部26a、26bとから成っている。これら一対の端子部26a、26bの間には、隙間27が設けられているので、ほぼループ形状のアンテナパターン25の両端部の間にも、隙間27が同様に存在している。これら一対の端子部26a、26bは、適当なリード線などによって、リーダライタ装置(図示せず)の切替器(図示せず)に電気的に接続されていてよい。第1および第2のループアンテナ部分A、Bのそれぞれのほぼループ形状のアンテナパターン25は、ほぼ等幅に形成されることができる。また、一対の端子部26a、26bも、必要に応じて、これらのほぼループ形状のアンテナパターン25とほぼ等幅(例えば、約20mmの幅)に形成されることができる。
【0036】
第1のアンテナ部分Aのほぼループ形状のアンテナパターン25は、図16Aに示すように、基板7の長さ方向xに延在する一方の側(図16Aにおける後縁側)に位置する第1のパターン部分31と、基板7の幅方向yに延在する一方の側(図16Aにおける左縁側)に位置する第2のパターン部分32と、端子部26aが連設されかつ基板7の長さ方向xに延在する他方の側(図16Aにおける前縁側)に位置する第3のパターン33と、端子部26bが連設されかつ基板7の幅方向yに延在する他方の側(図16Aにおける右縁側)に位置する第4のパターン部分34とが順次連設されたものであってよい。そして、第1のアンテナ部分Aのほぼループ形状のアンテナパターン25は、全体として、隙間27を除いてループ形状に構成されていてよい。なお、第1のアンテナ部分Aのほぼループ形状のアンテナパターン25は、その一部分と別の一部分とが交差する交差部位を有していないワンループのものである。本文において、「交差」とは、電気的には接続交差していないが、基板7を上面から見た投影図において(換言すれば、平面的に見て)交差していることを意味している。
【0037】
図16Aに示すように、第1のアンテナ部分Aの第1のパターン部分31は、ミアンダ形状(換言すれば、蛇行形状)に構成されている。この第1のパターン部分31は、具体的には、基板7の長さ方向xに延在する上記一方の側の縁部35から多少離れかつこの縁部35にほぼ平行な状態(換言すれば、基板7の長さ方向xにほぼ延在する状態)でもって、相互の間に間欠部分36が生じるように間欠的に延在している複数本のベースライン部37と、これら間欠的に延在しているベースライン部37の間(換言すれば、間欠部分36)にそれぞれ存在している好ましくは複数個の屈曲部38とから成っている。各ベースライン部37は、基板7の幅方向yにおけるほぼループ形状のアンテナパターン25の中心に沿って基板7の長さ方向xに延在するアンテナパターン25の仮想の中心線Cよりも、上記一方の側の縁部35側に延在している。そして、第1のパターン部分31は、基板7の長さ方向xのほぼ全長にわたって延在している。
【0038】
図16Aに示すように、第1のアンテナ部分Aの第2のパターン部分32は、基板7の幅方向yに延在する上記一方の側の縁部41から多少離れかつこの縁部41に対してほぼ平行な状態(換言すれば、基板7の幅方向yに対してほぼ平行な状態であって、ほぼ直線的)でもって、基板7の幅方向yのほぼ全長にわたって延在している。そして、第1のアンテナ部分Aの第3のパターン部分33は、基板7の長さ方向xに延在する上記他方の側の縁部42に近接しかつこの縁部42にほぼ平行な状態(換言すれば、基板7の長さ方向xにほぼ平行な状態であって、ほぼ直線的)でもって、基板7の長さ方向xのほぼ全長にわたって延在している。また、第1のアンテナ部分Aの第4のパターン部分34は、基板7の幅方向yに延在する上記他方の側の縁部43に近接しかつこの縁部43に対してほぼ平行な状態(換言すれば、基板7の幅方向yに対してほぼ平行な状態であって、ほぼ直線的)でもって、基板7の幅方向yのほぼ全長にわたって延在している。
【0039】
図16Aに示すように、第1のパターン部分31の各屈曲部38は、縁部41側のベースライン部37の縁部43側の端部にその縁部35側の端部を連設されかつ縁部42にほぼ向って立上っている第1の立上り部44と、縁部43側のベースライン部37の縁部41側の端部にその縁部35側の端部を連設されかつ縁部42にほぼ向って立上っている第2の立上り部45と、これら第1および第2の立上り部44、45の縁部42側のそれぞれの端部(換言すれば、先端部)を連設するように、基板7の長さ方向xにほぼ延在している連結部46とから成っている。そして、各屈曲部38は、全体として、ほぼ長方形の凸形状部分となっている。この場合、連結部46は、中心線Cよりも縁部42側の基板7の長さ方向xにほぼ延在しているのが好ましい。したがって第1および第2の立上り部44、45は、中心線Cによって2つに区分される基板7の一方の側(具体的には、縁部35側の部分)から他方の側(具体的には、縁部42側の部分)まで、中心線Cにほぼ直交するように交差延在しているのが好ましい。また、各屈曲部38の第1および第2の立上り部44、45の、基板7の長さ方向xにおける間隔L(換言すれば、各連結部46の長さ)は、互いに隣接する一対の屈曲部38の、基板7の長さ方向xにおける間隔L(換言すれば、各ベースライン部37の長さ)とほぼ同一であってよい。
【0040】
図15を観察すれば明らかなように、図16Bに示す第2のアンテナ部分Bのほぼループ状のアンテナパターン25は、図16Aに示す第1のアンテナ部分Aのほぼループ形状のアンテナパターン25とは、中心線Cを対称軸として、実質的に線対称に構成されている。換言すれば、第2のアンテナ部分Bのアンテナパターン25は、第1のアンテナ部分Aのアンテナパターン25とは、中心線Cの長さ方向xにおけるほぼ中間点(換言すれば、第1のアンテナ部分Aのアンテナパターン25のほぼ中心点)を対称点として、実質的に180°回転した点対称に構成されている。ただし、第2のアンテナ部分Bのアンテナパターン25は、図15から明らかなように、第1のアンテナ部分Aのアンテナパターン25とは間隔L(換言すれば、間隔L)のほぼ2/3(図示の実施例においては、約100mm)だけ縁部41側(換言すれば、長さ方向x)にずれた状態でもって、基板7に形成されている。したがって、第1のアンテナ部分Aのアンテナパターン25についての以上の説明は、上述のように縁部41側にずれていることと、上述のように線対称または点対称であることとによって生じる変更事項を除いて、第2のアンテナ部分Bのアンテナパターン25についても同様に当てはまる。
【0041】
第2のアンテナ部分Bのアンテナパターン25について図16Bを参照して説明を多少追加すると、第2のパターン部分32は、縁部41に近接しかつこの縁部41にほぼ平行な状態(換言すれば、基板7の幅方向yにほぼ平行な状態)でもって延在している。第2のアンテナ部分Bの第4のパターン部分34は、縁部43から多少離れかつこの縁部43にほぼ平行な状態(換言すれば、基板7の幅方向yにほぼ平行な状態)でもって延在している。図15から明らかなように、第1のアンテナ部分Aの各ベースライン部37は、平面的に見て、第2のアンテナ部分Bの各連結部46とは基板7の幅方向yにおけるほぼ同一の位置に存在しているので、平面的に見て、上記各連結部46とはほぼ2/3ずつ重なっている。そして、第1のアンテナ部分Aの各連結部46は、平面的に見て、第2のアンテナ部分Bの各ベースライン部37とは基板7の幅方向yにおけるほぼ同一の位置に存在しているので、平面的に見て、上記各ベースライン部37とはほぼ2/3ずつ重なっている。これは、ほぼ長方形状の凸形状部分によってそれぞれ構成されている第1および第2のアンテナ部分A、Bの各屈曲部38の、基板7の幅方向yにおける中心線が、中心線Cとほぼ一致しているためである。本発明においては、一方のアンテナ部分A、Bのベースライン部37と他方のアンテナ部分B、Aの連結部46とは、上述のように互いに重なり合う必要は特になく、基板7の幅方向yに互いに或る程度ずれていてもよいが、両者は近接しているのが好ましい。
【0042】
本発明においては、図15に示す第2のアンテナ部分Bのアンテナパターン25が第1のアンテナ部分Aのアンテナパターン25に対して長さ方向xにずれている大きさは、実用性の観点から見て一般的に、間隔L(換言すれば、間隔L)の0.6〜0.75の範囲であるのが好ましく、0.65〜0.7の範囲であるのがさらに好ましい。したがって、後述の長手状近接部位51〜59における第1のアンテナ部分Aの立上り部44、45と第2のアンテナ部分Bの立上り部45、44との相互の間隔(換言すれば、長さ方向xにおけるずれの大きさ)は、図示の実施例においては、間隔L(換言すれば、間隔L)のほぼ1/3であるが、実用性の観点から見て一般的に、間隔L(換言すれば、間隔L)の0.25〜0.4の範囲であるのが好ましく、0.3〜0.35の範囲であるのがさらに好ましい。また、一方のアンテナ部分A、Bのベースライン部37が他方のアンテナ部分B、Aの連結部46に対して幅方向yにずれている場合のこのずれの大きさは、実用性の観点から見て一般的に、第1のアンテナ部分Aの連結部46と第1のアンテナ部分Aの第3のパターン部分33との間隔L(換言すれば、第2のアンテナ部分Bの連結部分46と第2のアンテナ部分Bの第1のパターン部分31との間隔L)の0.35以内であるのが好ましく、0.3以内であるのがさらに好ましい。また、上記ずれの大きさは、観点を変えれば、間隔L(換言すれば、間隔L)の0.4以内であるのが好ましく、0.35以内であるのがさらに好ましい。さらに、上記ずれが0(すなわち、一方のアンテナ部分A、Bのベースライン部37が他方のアンテナ部分B、Aの連結部46とほぼ完全に重複していること)であるのが最も好ましい。
【0043】
図15に示すように、リーダアンテナ8の第1および第2のアンテナ部分A、Bが共通の基板7に形成された状態においては、第1のアンテナ部分Aの第3のパターン部33は、基板7の縁部42に近接しかつこの縁部42にほぼ平行な状態でもって基板7の長さ方向xのほぼ全長にわたって延在している。また、第2のアンテナ部分Bの第1のパターン部分31は、縁部35に近接しかつこの縁部35にほぼ平行な状態でもって基板7の長さ方向xのほぼ全長にわたって延在している。また、第1のアンテナ部分Aの第2のパターン部分32は、縁部41から多少離れかつこの縁部41にほぼ平行な状態でもって基板7の幅方向yのほぼ全長にわたって延在している。また、第2のアンテナ部分Bの第4のパターン部分34は、縁部43から多少離れかつこの縁部43にほぼ平行な状態でもって基板7の幅方向yのほぼ全長にわたって延在している。また、第1のアンテナ部分Aのベースライン部37と第2のアンテナ部分Bの連結部46とは、中心線Cと縁部35との間にそれぞれ位置している。さらに、第1のアンテナ部分Aの連結部46と第2のアンテナ部分Bのベースライン部37とは、中心線Cと縁部42との間にそれぞれ位置している。
【0044】
図15に示すように、第2のアンテナ部分Bの第2のパターン部分32と第1のアンテナ部分Aの第4のパターン部分34との間には、第1のアンテナ部分Aのパターン部分32、第2のアンテナ部分Bの屈曲部38の第1の立上り部44、第1のアンテナ部分Aの屈曲部38の第1の立上り部44、第2のアンテナ部分Bの屈曲部38の第2の立上り部45、第1のアンテナ部分Aの屈曲部38の第2の立上り部45が、それぞれほぼ1/3L(換言すれば、ほぼ1/3L)の間隔またはほぼ2/3L(換言すれば、ほぼ2/3L)の間隔でもって、縁部41側から縁部43側にかけて順次配置されている。
【0045】
図15および図16に示す第1の具体例のリーダアンテナ8の場合には、第1および第2のアンテナ部分A、Bに交互に給電を行うことによって、リーダアンテナ8を安定した状態で良好に通信させることができる。しかし、この第1の具体例のリーダアンテナ8の場合には、第1および第2のアンテナ部分A、Bのうちの一方のアンテナ部分に給電した際に、他方のアンテナ部分に発生する誘導電流が一方向(換言すれば、共通の電流方向)のみに流れ易いように、第1および第2のアンテナ部分A、Bを組み合わせて配置しているので、一方のアンテナ部分のみに給電するだけでリーダアンテナ8を電子タグ5と良好に交信させることもできる。例えば、図15に示すリーダアンテナ8の場合には、第1のアンテナ部分Aに図15における実線の向き(またはその逆の向き)に給電したときに、第1および第2のアンテナ部分A、Bの長手状重複部位61〜68において第2のアンテナ部分Bに発生する誘導電流は、図15における上記実線の矢印の向き(またはその逆の向き)とは逆の破線の矢印の向き(またはその逆の向き)になる。また、図15に示すリーダアンテナ8の場合には、第1のアンテナ部分Aにおける実線の向き(またはその逆の向き)に給電したときに、第1および第2のアンテナ部分A、Bの長手状近接部位51〜59において第2のアンテナ部分Bに発生する誘導電流は、図15における上記実線の矢印の向き(またはその逆の向き)とは逆の破線の矢印の向き(またはその逆の向き)になる。
【0046】
上述のように一方のアンテナ部分のみに連続的に給電すれば、第1および第2のアンテナ部分A、Bによって空間的にも時間的にも連続した磁界を形成することができる。したがって、電子タグ5が高速(例えば、1.5m/秒程度)で移動する場合や、薄い物品であるディスク入りケース3に貼り付けられた電子タグ5がほぼ積層された状態で多数個並べられている場合や、多数個の電子タグ5が連続的に流れている場合などのように、電子タグ5の読み取りが難しいと思われる状態においても、コンベア装置1の物品移送空間を移動する電子タグ5を安定した状態で読み取ることができる。
【0047】
つぎに、ディスク入りケース3に電子タグ5を貼り付けることによって生じる効果について説明すると、つぎのとおりである。すなわち、電子タグ5の利用方法は、多種多様であるが、電子タグ5自体の価格は、従来のバーコード方式に比べて高価である。したがって、ディスク入りケース3に貼り付けられる電子タグ5の価格の上昇分は、ディスク入りケース3の生産、物流、販売などの工程で発生するコスト(人件費、管理費など)の低減に寄与しなければ、消費者側への負担につながる。電子タグ5の価格を実質的に減らすためには、このようなコストの低減効果を期待することができる工程が多いほど、電子タグ5の利点が大きくなるので、ディスク入りケース3の実質的な価格低下につなげることが可能になる。すなわち、製造段階から電子タグ5の貼り付けを行い、図1などに示す高速のコンベア装置1や図2(B)〜図2(E)に示す落下式の物品移動装置などで短時間での一括管理を行えるようにすることによって、物流コストを大きく削減することができれば、ディスク入りケース3に電子タグ5を貼り付ける利点が大きくなる。このような電子タグ5は、店舗などでディスク入りケース3を販売するときにも利用することができるとともに、店舗での在庫管理や、盗難防止、偽造防止などにも利用することができるから、電子タグ5をディスク入りケース3に貼り付ける利点を最大限、活かすことができる。
【0048】
上述のような利点を音楽用CDや映像用DVDを例にとってつぎに説明すると、製造工程において、CDやDVDの収納ケース12に図7〜図9に示すように電子タグ5を貼り付けることによって、つぎの(ア)項〜(ウ)項に記載の利点が得られる。
(ア)物流拠点
→瞬時の一括読み取りによる商品管理の効率化および適正化によって、人件費の削減および効率の上昇を達成することができること、
(イ)店舗
→瞬時の一括読み取りによる入庫、出庫などの在庫管理、棚卸時の人件費の削減および効率の上昇を達成すること、
→視聴可能な情報端末などとの組み合せによって、顧客に対して購買を喚起し得ること、
→ゲートアンテナを併設することによって、万引きを防止し得ること、
(ウ)不正流通防止
→偽造防止によって、著作権を保護し得ること。
【0049】
(2)第2の具体例
図17には、第2の具体例のリーダアンテナ8が形成されているリーダアンテナ装置6が示されている。この図17に示すリーダアンテナ8が図15に示すリーダアンテナ8と相違している点は、第1のアンテナ部分Aの第2のパターン部分32、第2のアンテナ部分Bの第4のパターン部分34ならびに第1および第2のアンテナ部分A、Bの第1および第2の立上り部44、45のそれぞれが基板7の幅方向yに対して傾斜角度θだけ傾斜していることである。換言すれば、第1のアンテナ部分Aの第2のパターン部分32、第2のアンテナ部分Bの第4のパターン部分34ならびに第1および第2のアンテナ部分A、Bの第1および第2の立上り部44、45が互いにほぼ平行になるようにそれぞれ傾斜していることである。したがって、上記第1の具体例において記述した事項は、特に矛盾を生じない限り、この第2の具体例についても同様に当てはまる。なお、傾斜角度θは、基板7の幅方向yに対していずれの方向に傾斜していてもよいが、図示の実施例においては、縁部42側から縁部35側に向うにしたがって、縁部41側から縁部43側へと約20°傾斜している。上記傾斜角度θは、実用性の観点から見て一般的に、30°以内であるのが好ましく、25°以内であるのがさらに好ましい。
【0050】
上述のように構成された第2の具体例のリーダアンテナ8の場合にも、第1の具体例のリーダアンテナ8の場合とほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【0051】
(3)第3の具体例
図18には、第3の具体例のリーダアンテナ8が形成されているリーダアンテナ装置6が示されている。この図18に示すリーダアンテナ8が図15に示すリーダアンテナ8と相違している点は、図15に示すリーダアンテナ8の第1のアンテナ部分Aに相当している第1のアンテナ部分Dと、図6に示すリーダアンテナ8の第2のアンテナ部分Bに相当している第2のアンテナ部分Eとが接続点Fにおいて互いに接続されているために、図18に示すリーダアンテナ8が全体として1本の一連のアンテナによって構成されていることである。したがって、上記第1および第2の具体例において記述した事項は、特に矛盾を生じない限り、この第3の具体例についても同様に当てはまる。なお、図18および図19において、図示の都合上、第1のアンテナ部分Dを実線で示し、第2のアンテナ部分Eを破線で示している。また、第1および第2のアンテナ部分D、Eのアンテナパターン25の各パターン部分の幅も、図示の都合上、実際よりも太く示している。さらに、第1および第2のアンテナ部分D、Eのアンテナパターン25の各パターン部分の実際の幅は、実質的に互いに同一であってよい。
【0052】
具体的には、図18に示す第1のアンテナ部分Dは、図16Aに示す第1のアンテナ部分Aの場合のような一対の端子部26a、26bおよび間隙27を有しておらず、これら一対の端子部26a、26bにおいて間隙27がなくなるように一連に接続されている。また、第1のアンテナ部分Dにおいては、第3のパターン部分33の縁部41側の端部が、第2のパターン部分32の縁部42側の端部と切り離されていて、両者の間に間隙71が形成されるとともに、図16Bの第2のアンテナ部分Bの端子部26bに相当している端子部26bに接続されている。そして、この端子部26bと第2のアンテナ部分Eの端子部26aとの間に間隙27が形成されているので、これらの端子部26a、26bがリーダアンテナ8に全体として一対だけ形成されている。さらに、第1のアンテナ部分Dの第2のパターン部分32の縁部42側の端部と、第2のアンテナ部分Eの最も縁部41側のベースライン部37の縁部41側の端部とは、接続点Fにおいて互いに接続されている。
【0053】
上述のように構成された第3の具体例のリーダアンテナ8の場合にも、第1の具体例のリーダアンテナ8の場合とほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【0054】
(4)第4の具体例
図19には、第4の具体例のリーダアンテナ8が形成されているリーダアンテナ装置6が示されている。この図19に示すリーダアンテナ8が図18に示すリーダアンテナ8と相違している点は、第1のアンテナ部分Dの第2のパターン部分32、第2のアンテナ部分Eの第4のパターン部分34ならびに第1および第2のアンテナ部分D、Eの第1および第2の立上り部44、45のそれぞれが図17に示す第2の具体例の場合と同様に基板7の幅方向yに対して傾斜角度θだけ傾斜していることである。したがって、上記第1〜第3の具体例において記述した事項は、特に矛盾を生じない限り、この第4の具体例にも、同様に当てはまる。
【0055】
上述のように構成された第4の具体例のリーダアンテナ8の場合にも、第1〜第3の具体例のリーダアンテナ8の場合とほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
(5)第5の具体例
図20には、第5の具体例のリーダアンテナ8が形成されているリーダアンテナ装置6が示されている。この図20に示すリーダアンテナ8が図15に示すリーダアンテナ8と相違している点は、基板7と第1および第2のアンテナ部分A、Bの第2および第4のパターン部分32、34ならびに第1および第2の立上り部44、45との幅方向yにおけるそれぞれの長さがほぼ2倍になっている点である。したがって、上記第1〜第4の具体例において記述した事項は、特に矛盾を生じない限り、この第5の具体例についても同様に当てはまる。なお、図20においては、アンテナパターン25の仮想の中心線Cは、基板7(換言すれば、リーダアンテナ装置6)の折り曲げ予定線Gを兼用することができる。そして、既述のように、リーダアンテナ装置6をこの折り曲げ予定線Gにおいて2つ折りして断面がほぼL字状になるように構成することによって、図6に示す第5の実施例のリーダアンテナ装置6a、6bまたは6b、6cの組合せ体として用いることができる。
【0057】
上述のように構成された第5の具体例のリーダアンテナ8の場合にも、リーダアンテナ装置6a、6bまたは6b、6cにそれぞれ形成されたリーダアンテナ部分が第1の具体例のリーダアンテナ8の場合とほぼ同様の作用効果をそれぞれ奏することができる。
【0058】
(6)第6の具体例
図21には、第6の具体例のリーダアンテナ8が形成されているリーダアンテナ装置6が示されている。この図21に示すリーダアンテナ8が図15に示すリーダアンテナ8と相違している点は、基板7と第1および第2のアンテナ部分A、Bの第2および第4のパターン部分32、34ならびに第1および第2の立上り部44、45との幅方向yにおけるそれぞれの長さがほぼ3倍になっている点である。したがって、上記第1〜第5の具体例において記述した事項は、特に矛盾を生じない限り、この第6の具体例についても同様に当てはまる。なお、図21においては、基板7(換言すれば、リーダアンテナ装置6)の2本の折り曲げ予定線G、Gが幅方向yにおいてずれて存在している。そして、既述のように、リーダアンテナ装置6をこれら2本の折り曲げ予定線G、Gにおいて3つ折りして断面がほぼU字状になるように構成することによって、図6に示す第5の実施例のリーダアンテナ装置6a、6b、6cの組み合せ体として用いることができる。
【0059】
上述のように構成された第6の具体例のリーダアンテナ8の場合にも、リーダアンテナ装置6a、6b、6cにそれぞれ形成されたリーダアンテナ部分が第1および第5の具体例のリーダアンテナ8の場合とほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【0060】
4、リーダアンテナの動作実験
図23には、特許文献6に開示されているような、従来の物品管理システムを例示するコンベア装置1が示されている。そして、この図23に示すコンベア装置1においては、リーダアンテナ装置72の、互いに直交する状態で配設されたリーダアンテナ8a、8b、8cが、コンベアベルト2上の物品移送空間(換言すれば、ほぼ立方体形状の空間)を下側、側面および前面からそれぞれ取り囲むように、配設されている。また、上記物品移送空間を通過する3個の管理対象物品(図示せず)には、電子タグ5a、5b、5cがそれぞれ貼り付けられている。この場合、電子タグ5aは、リーダアンテナ8cに対してはほぼ平行な状態でリーダアンテナ8a、8bに対してはほぼ垂直な状態になっている。そして、電子タグ5bは、リーダアンテナ8aに対してはほぼ平行な状態でリーダアンテナ8b、8cに対してはほぼ垂直な状態になっている。また、電子タグ5cは、リーダアンテナ8bに対してはほぼ平行な状態でリーダアンテナ8a、8cに対してはほぼ垂直な状態になっている。
【特許文献6】特開2002−74279号公報
【0061】
図24においては、3個のリーダアンテナ8a、8b、8cが3個の電子タグ5a、5b、5cと交信し得る通信可能領域73が、平行斜線領域として示されている。この図24から明らかなように、図23に示すリーダアンテナ付きコンベア装置1において電子タグ5aがリーダアンテナ8a、8bと交信し得る通信可能領域73は、図24(a)および図24(b)に示すように、ほぼ長方形状のリーダアンテナ8a、8bの左右両側のアンテナ部分付近のみである。これに対し、電子タグ5aがリーダアンテナ8cと交信し得る通信可能領域73は、図24(c)に示すように、ほぼ長方形状のリーダアンテナ8cおよびその外周部分の全体である。しかし、この場合でも、図24(c)のB−B線における矢視図である図24(d)に示すように、上記通信可能領域73は、前後方向の幅が比較的狭くなっている。さらに、電子タグ5b、5cについても、図24(e)〜図24(g)および図24(h)〜図24(j)に示すように、電子タグ5aについての上述の場合とほぼ同様な結果になっている。
【0062】
一方、本発明の図1に示す第1の実施例(特に、図15に示す第1の具体例)の場合には、図22(a)〜図22(c)に示すように、3個の電子タグ5a、5b、5cのいずれについても、基板7のほぼ全面が通信可能領域73になっている。
【0063】
図25には、多数個の電子タグ5が、図23に示すコンベア装置1の物品移送空間を移送される場合(従来例a、b)と、図1に示すコンベア装置1の物品移送空間を移送される場合(第1の実施例)とにおける電子タグ5(換言すれば、収納ケース12)の移動速度(換言すれば、コンベアベルト2の移動速度)に対する電子タグ5の情報の読み取り率を示している。そして、図25における符号(A)、(B)、(C)は、図26Aにおける従来例aのグラフ部分(A)、(B)、(C)をそれぞれ示している。また、図25における符号(D)、(E)、(F)は、図26Bにおける従来例bのグラフ部分(D)、(E)、(F)をそれぞれ示している。さらに、図25における符号(G)、(H)、(I)は、図26Cにおける第1の実施例のグラフ部分(G)、(H)、(I)をそれぞれ示している。なお、図25における従来例aとは、図23に示すリーダアンテナ装置72においてリーダアンテナ8cのみに通電した場合を意味している。そして、図25における従来例bとは、図23に示すリーダアンテナ装置72においてリーダアンテナ8bのみに通電した場合を意味している。
【0064】
図25におけるグラフ部分(A)、(D)、(G)は、10mmピッチで前後方向に配列された25枚の電子タグ5がコンベアベルト2上の物品移送空間を移動する第1の場合を示している。また、図25におけるグラフ部分(B)、(E)、(H)は、5mmピッチで前後方向に配列された25枚の電子タグ5がコンベアベルト2上の物品移送空間を移動する第2の場合を示している。さらに、図16におけるグラフ部分(C)、(F)、(I)は、5mmピッチで前後方向に配列された50枚の電子タグ5がコンベアベルト2上の物品移送空間を移動する第3の場合を示している。これら第1〜第3の場合は、円盤状記録媒体11が収納されていなくて空っぽである約10mm厚または約5mm厚の25個または50個の収納ケース12と、これらの収納ケース12にそれぞれ貼り付けられた25枚または50枚の電子タグ5とから成る多数個の電子タグ付き収納ケース12を用いて実現することができる。この場合、多数個の電子タグ付き収納ケース12は、単一の大きな紙箱、単一の大きなプラスチック容器などの大きな容器(図示せず)に互いに重ね合せられた状態で収納されるか、あるいは、互いに重ね合せられた状態で紐で縛られるかすればよい。
【0065】
これらの図25および図26A〜図26Cから、つぎの(ア)項〜(ウ)項に記載の事項が判る。
(ア)従来例a(電子タグ5が、通電されるリーダアンテナ8cに対して平行な状態)では、電子タグ5の移動速度が大きくなると、読み取り率が急激に低下すること、
(イ)従来例b(電子タグ5が、通電されるリーダアンテナ8bに対して垂直な状態)では、電子タグ5の移動速度が大きくなると、読み取り率がかなり急激に低下すること、および
(ウ)第1の実施例では、10mmピッチで配列された25枚の電子タグ5に対しては、電子タグ5の移動速度とは無関係に、ほぼ100%の読み取り率が得られるとともに、それ以外の場合でも、電子タグ5の移動速度が或る程度大きくなっても、読み取り率がそれ程急激には低下しないこと。
【0066】
図27には、図2(A)に示す第1の変形例(換言すれば、第1の実施例の第1の変形例)において、図7〜図9に示すディスク入りケース3の場合(第1の実施例)と、このディスク入りケース3において電子タグ5の貼り付け位置を変更した場合(参考例a)とにおける電子タグ5同士の間隔に対する情報を読み取られた電子タグ5の枚数および読み取り率を示している。図27においては、第1の実施例の電子タグ付きディスク入りケース3および参考例aの電子タグ付きディスク入りケース3aのそれぞれは、透視図で示されている。そして、このディスク入りケース3は、平面的には、図7に示すディスク入りケース3と実質的に同一であってよい。また、ディスク入りケース3aにおいては、電子タグ5は、収納ケース12の蓋体15の内側面の下側の左右一対のコーナ部15aのほぼ中央部分(換言すれば、蓋体15の内側面の下端中央部)に貼り付けられている。
【0067】
図27の表から、つぎの(エ)項および(オ)項に記載の事項が判る。
(エ)図7〜図9に示すように、電子タグ5が収納ケース12のコーナ部12a付近に貼り付けられているディスク入りケース3(第1の実施例)の場合には、電子タグ5同士の間隔が10mmおよび5mmのいずれであっても、読み取り率が良好であること、および
(オ)電子タグ5が収納ケース12の下端中央部付近に貼り付けられているディスク入りケース3a(参考例a)の場合には、電子タグ5同士の間隔が10mmおよび5mmのいずれであっても、読み取り率があまり良くないこと。
【0068】
図28には、図2(C)に示す第3の変形例(換言すれば、第1の実施例の第3の変形例)の場合のように、ほぼ水平な状態に配置されたリーダアンテナ装置6(換言すれば、リーダアンテナ8)に対してディスク入りケース3(換言すれば、ケース束4)が傾斜角度αだけ傾斜している場合における、図27の場合と同様の読み取り枚数(図28における上側の表)および読み取り率(図28の下側の表)が示されている。そして、図28の最も下側に示されているグラフは、読み取り率の表(図28の下側の表)をグラフ化したものである。また、図28における「静止」とは、図2(A)の場合のように、ケース束4がリーダアンテナ装置6上に静止した状態で載置されている場合を意味している。さらに、「移動」とは、図2(C)に示すように、ケース束4がリーダアンテナ装置6上を10m/分で移動する場合を意味している。そして、図28における「端部貼付」とは、図27のディスク入りケース3のように、電子タグ5が収納ケース12のコーナ部12a付近に貼り付けられている場合を意味している。また、図28における「中央貼付」とは、図27のディスク入りケース3aのように、電子タグ5が収納ケース12の下端中央部に貼り付けられている場合を意味している。さらに、図28に示すディスク付けケース3のそれぞれの厚みは、1.8mmであるから、25枚を束にすると、このケース束4の厚みは約45mmになる。
【0069】
図28の表およびグラフから、つぎの(カ)項〜(ケ)項に記載の事項が判る。
(カ)図27のディスク入りケース3の場合のように「端部貼付」で、「移動」の場合には、傾斜角度αが20°〜90°の総ての範囲において、読み取り率が良好であること、
(オ)図27のディスク入りケース3の場合のように「端部貼付」であって、「静止」の場合でも、傾斜角度αが20°〜50°の範囲においては、読み取り率がかなり良好であること、
(ク)図27のディスク入りケース3aの場合のように「中央貼付」であれば、「移動」の場合でも、傾斜角度αが50°よりも大きくなると、読み取り率が悪くなること、および
(ケ)図27のディスク入りケース3aの場合のように「中央貼付」で、「静止」の場合には、傾斜角度αが30°よりも大きくなると、読み取り率が悪くなること。
【0070】
図29には、図7〜図9に示す小型(30×11mm)の電子タグ付きのディスク入りケース3の場合(第1の実施例)と、大型(86×54mm)の電子タグ付きのディスク入りケース3bの場合(第1の実施例における電子タグ付きディスク入りケースの変形例)とが、図28の場合と同様にして、表にして示されている。図29においては、ディスク入りケース3、3bが5mm厚の場合と、図28の場合のように1.8mm厚の場合との2種類がそれぞれ示されている。また、図29における下側の表に記載されている事項は、図28の上側の表中にすでに示されている。
【0071】
図29から、つぎの(コ)項〜(シ)項に記載の事項が新たに判る。
(コ)電子タグ5同士の間隔が5mmの場合(換言すれば、電子タグ付きディスク入りケース3、3bの厚みが5mmの場合)には、電子タグ5の大小や、「静止」および「移動」の相違や、傾斜角度αの相違にはあまり関係なく、読み取り率がほぼ良好であること、
(サ)電子タグ5同士の間隔が1.8mmの場合(換言すれば、電子タグ付きディスク入りケース3、3bの厚みが1.8mmの場合)には、小型の電子タグ付きのディスク入りケース3(第1の実施例)でも、大型の電子タグ付きのディスク入りケース3b(第1の実施例の変形例)の場合とほぼ同様に、読み取り率がまずまず良好であること、および
(シ)大型の電子タグ5の場合には、読み取り率が、ディスク11の表面の導電膜の影響をあまり受けないで、電子タグ5同士の間隔が小さくて薄いディスク入りケース3aであっても、ほぼ良好であること。
【0072】
以上において、本発明の第1〜第5の実施例について説明したが、本発明は、これら第1〜第5の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づいて、各種の変更および修正が可能である。
【0073】
例えば、既述の第1〜第5の実施例においては、リーダアンテナ8の第1および第2のアンテナ部分A、Bの各アンテナパターン要素31〜34、37、44〜46などの相互の間のつながり部位の大部分をあまり丸みのないほぼ尖った形状に構成した。しかし、これらのつながり部位の一箇所または複数箇所もしくは全部の箇所が、さらに丸みを帯びた形状に構成されていてもよい。
【0074】
また、既述の第1〜第5の実施例においては、リーダアンテナ8の第1および第2のアンテナ部分A、Bのそれぞれの屈曲部38の個数をそれぞれ4個にした。しかし、上記屈曲部38の個数は、4個である必要は必ずしもなくて、それよりも多いかあるいは少ないかの任意の個数であってよく、2個以上であるのが好ましいが、場合によっては、1個であってもよい。
【0075】
また、既述の第1〜第5の実施例におけるリーダアンテナ8が、ライタアンテナを兼用し得るように、リーダライタアンテナであってもよい。
【0076】
また、既述の第1〜第5の実施例においては、リーダアンテナ8が1つまたは複数のほぼ平らな平面形状に構成されている。しかし、リーダアンテナ8は、コンベア装置1の物品移送空間の周囲からこの物品移送空間にほぼ対向する湾曲面形状(例えば、ディスク入りケース3の移送方向にほぼ延在する軸線を有するほぼ半円筒面形状)に構成されることもできる。
【0077】
また、既述の第1〜第5の実施例においては、電子タグ5、この電子タグ5のアンテナ22およびこのアンテナ22の中央穴24のそれぞれがほぼ長方形状に構成されている。しかし、電子タグ5、アンテナ22および中央穴24のそれぞれは、必ずしも長方形状である必要はなく、三角形状、台形状、長円形状、楕円形状、円形状などの任意の形状であってよい。
【0078】
さらに、既述の第1〜第5の実施例においては、1個の収納ケース12に1個の電子タグ5を設けたが、複数個の電子タグ5が、平面的に見て、1個の収納ケース12の複数個のコーナ領域20付近にそれぞれ設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施例におけるディスク管理システムの概略的な斜視図である。(実施例1)
【図2】図1に示す第1の実施例におけるディスク管理システムの第1〜第5の変形例を示す概略的な斜視図である。(実施例1)
【図3】本発明の第2の実施例におけるディスク管理システムの概略的な斜視図である。(実施例2)
【図4】本発明の第3の実施例におけるディスク管理システムの概略的な斜視図である。(実施例3)
【図5】本発明の第4の実施例におけるディスク管理システムの概略的な斜視図である。(実施例4)
【図6】本発明の第5の実施例におけるディスク管理システムの概略的な斜視図である。(実施例5)
【図7】ディスク入りケースの平面図である。(実施例1〜5)
【図8】図7のA−A線断面図である。(実施例1〜5)
【図9】図7に示すディスク入りケースの、蓋体を開いた状態における斜視図である。(実施例1〜5)
【図10】図7に示す電子タグの概略的な拡大平面図である。(実施例1〜5)
【図11】図1に示すケース束の拡大斜視図である。(実施例1〜5)
【図12】図3に示す左右一対のケース束の拡大斜視図である。(実施例2〜5)
【図13】図6に示す上下および左右一対ずつのケース束の第1の具体例の拡大斜視図である。(実施例4および5)
【図14】図6に示す上下および左右一対ずつのケース束の第2の具体例の拡大斜視図である。(実施例4および5)
【図15】図1〜図6に示すリーダアンテナ装置の第1の具体例の平面図である。(実施例1〜5)
【図16A】図15に示すリーダアンテナ装置の、リーダアンテナを構成する2個のアンテナ部分のうちの第1のアンテナ部分のみを示す平面図である。(実施例1〜5)
【図16B】図15に示すリーダアンテナ装置の、リーダアンテナを構成する2個のアンテナ部分のうちの第2のアンテナ部分のみを示す平面図である。(実施例1〜5)
【図17】図1〜図6に示すリーダアンテナ装置の第2の具体例の平面図である。(実施例1〜5)
【図18】図1〜図6に示すリーダアンテナ装置の第3の具体例の平面図である。(実施例1〜5)
【図19】図1〜図6に示すリーダアンテナ装置の第4の具体例の平面図である。(実施例1〜5)
【図20】図6示すリーダアンテナ装置の第5の具体例の平面図である。(実施例1〜5)
【図21】図6に示すリーダアンテナ装置の第6の具体例の平面図である。(実施例5)
【図22】図1に示すリーダアンテナ装置の、各種の状態における通信可能領域をそれぞれ書き加えた平面図である。(実施例1)
【図23】従来のコンベア装置の一部分の概略的な斜視図である。(従来例1)
【図24】図23に示すリーダアンテナ装置の、各種の状態における通信可能領域をそれぞれ書き加えた平面図である。(従来例1)
【図25】図23に示すコンベア装置および図1に示すコンベア装置の各種の状態における電子タグの移動速度に対する電子タグの情報の読み取り率をそれぞれ示すグラフである。(従来例1および実施例1)
【図26A】図25に示すグラフのうちの従来例aのグラフ部分である。(従来例1)
【図26B】図25に示すグラフのうちの従来例bのグラフ部分である。(従来例1)
【図26C】図25に示すグラフのうちの第1の実施例のグラフ部分である。(実施例1)
【図27】図2(A)に示す第1の変形例と参考例aとにおける電子タグ同士の間隔に対する電子タグの読み取り枚数および読み取り率を示す概略的な複合図である。(実施例1および参考例1)
【図28】図2(C)に示す第3の変形例における電子タグの傾斜角度に対する電子タグの読み取り枚数および読み取り率を示す概略的な複合図である。(実施例1)
【図29】図1に示す第1の実施例における小型の電子タグ付きのディスク入りケースおよび第1の実施例の変形例における大型の電子タグ付きのディスク入りケースについての電子タグの傾斜角度に対する電子タグの読み取り枚数を示す概略的な複合図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0080】
3、3b ディスク入りケース
4、4a〜4d ディスク入りケースの束(ケース束)
5 電子タグ
6、6a〜6c リーダアンテナ装置
7 基板(アンテナ形成対象部材)
8、8a〜8c リーダアンテナ
11 ディスク(円盤状記録媒体)
11a 上面(一方の面)
12 収納ケース
12a コーナ部
13 ケース本体
15 蓋体
19 上面開口
20 コーナ領域
22 小型アンテナ(コイルアンテナ)
24 中央穴
25 ほぼループ形状のアンテナパターン
31 第1のパターン部分
32 第2のパターン部分
33 第3のパターン部分
34 第4のパターン部分
37 ベースライン部
38 屈曲部
44 第1の立上り部
45 第2の立上り部
46 連結部
51〜59 長手状近接部位
61〜68 長手状重複部位
A、D 第1のループアンテナ部分
B、E 第2のループアンテナ部分
、L 間隔
x 長さ方向(x軸の方向)
y 幅方向(y軸の方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状記録媒体を収納するための偏平な収納ケースと、
この収納ケースに設けられた電子タグと、
上記電子タグと無線通信し得るリーダアンテナを有するリーダアンテナ装置とを備え、
上記電子タグが、上記収納ケースを平面的に見たときに、上記収納ケースの1つのコーナ部と上記円盤状記録媒体の外周囲とによってほぼ囲まれるコーナ領域付近に配置されるとともに、上記電子タグのアンテナの中央穴が、上記収納ケースを平面的に見たときに、上記円盤状記録媒体に重ならないように構成されていることを特徴とする、円盤状記録媒体の管理システム。
【請求項2】
円盤状記録媒体を収納するための偏平な収納ケースと、
この収納ケースに設けられた電子タグと、
上記電子タグと無線通信し得るリーダアンテナを有するリーダアンテナ装置とを備え、
上記収納ケースの厚みが、0.5〜20mmの範囲であり、
上記電子タグの面積が、上記収納ケースを平面的に見たときに、1,000〜10,000mmの範囲であることを特徴とする、円盤状記録媒体の管理システム。
【請求項3】
上記収納ケースの厚みが、1〜9mmの範囲であることを特徴とする、請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
上記電子タグが、上記収納ケースを平面的に見たときに、上記収納ケースの1つのコーナ部と上記円盤状記録媒体の外周囲とによってほぼ囲まれるコーナ領域を少なくとも1つ含む領域に配置されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の管理システム。
【請求項5】
上記収納ケースが、ケース本体と蓋体とを備え、
上記ケース本体が、このケース本体の上面開口に上記円盤状記録媒体の一方の面を露出させた状態で、上記円盤状記録媒体を位置決めして配置し得るように構成され、
上記蓋体が、上記ケース本体の上記上面開口を開閉し得るように構成され、
上記電子タグが、上記蓋体の内側面に取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の管理システム。
【請求項6】
上記収納ケースが、ケース本体と蓋体とを備え、
上記ケース本体が、このケース本体の上面開口に上記円盤状記録媒体の一方の面を露出させた状態で、上記円盤状記録媒体を位置決めして配置し得るように構成され、
上記蓋体が、上記ケース本体の上記上面開口を開閉し得るように構成され、
上記ケース本体が、内側ケース本体と外側ケース本体とから成り、
上記電子タグが、上記外側ケース本体の内側面または上記内側ケース本体の上記外側ケース本体側の面に取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の管理システム。
【請求項7】
上記リーダアンテナが、アンテナ形成対象部材にそれぞれ設けられている第1および第2のループアンテナ部分から成り、
上記第1および第2のループアンテナ部分のそれぞれが、ほぼループ形状のアンテナパターンを備え、
上記第1のループアンテナ部分の上記ほぼループ形状のアンテナパターンと、上記第2のループアンテナ部分の上記ほぼループ形状のアンテナパターンとのそれぞれが、上記アンテナ形成対象部材の所定の方向をx軸方向としかつこのx軸方向とほぼ直交する方向をy軸方向としたときに、ほぼ上記x軸方向に延在する上記y軸方向の第1の側に設けられた第1のパターン部分と、ほぼ上記y軸方向に延在する上記x軸方向の第1の側に設けられた第2のパターン部分と、ほぼ上記x軸方向に延在する上記y軸方向の上記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第3のパターン部分と、ほぼ上記y軸方向に延在する上記x軸方向の上記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第4のパターン部分とを備え、
上記第1のループアンテナ部分の上記第1のパターン部分と、上記第2のループアンテナ部分の上記第3のパターン部分とのそれぞれが、互いに間欠的に配置されている複数本のベースライン部と、これら複数本のベースライン部の間に設けられている少なくとも1個の屈曲部とをそれぞれ備え、
上記屈曲部のそれぞれが、第1の立上り部および第2の立上り部をそれぞれ備えるほぼ凸形状に構成され、
上記第1のループアンテナ部分の上記第1の立上り部または上記第2の立上り部が上記第2のループアンテナ部分のこれと対応する第1の立上り部とこれと対応する第2の立上り部との間に配置されるように、上記第1のループアンテナ部分が上記第2のループアンテナ部分に対してほぼ上記x軸方向にずれていることを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の管理システム。
【請求項8】
上記第1のループアンテナ部分が上記第2のループアンテナ部分に対して上記x軸方向にずれているずれの大きさが、上記屈曲部の1個を共同で構成している上記第1および第2の立上り部の間隔の0.6〜0.75の範囲であることを特徴とする、請求項7に記載の管理システム。
【請求項9】
上記屈曲部のそれぞれが、上記第1および第2の立上り部のそれぞれの先端部を連結するために、上記x軸方向に延在している連結部をさらに備え、
上記第1のループアンテナ部分の上記連結部と、上記第2のループアンテナ部分の上記ベースライン部とによって、長手状重複部位および/または長手状近接部位が構成され、
上記第1のループアンテナ部分の上記ベースライン部と、上記第2のループアンテナ部分の上記連結部とによって、長手状重複部位および/または長手状近接部位が構成されていることを特徴とする、請求項7または8に記載の管理システム。
【請求項10】
上記円盤状記録媒体入りの上記収納ケースの多数個が束になった状態で物品移動空間を移動するように構成され、
上記収納ケース束が上記物品移動空間を移動しているときに、上記多数個の収納ケースのそれぞれの上記電子タグが上記リーダアンテナと無線通信し得るように構成されていることを特徴とする、請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載の管理システム。
【請求項11】
請求項1および5〜10のうちのいずれか1つに記載の円盤状記録媒体の管理システムのための円盤状記録媒体用収納ケースであって、
上記収納ケースが、上記円盤状記録媒体を収納するために偏平に構成され、
電子タグが、上記収納ケースに設けられ、
上記電子タグが、上記収納ケースを平面的に見たときに、上記収納ケースの1つのコーナ部と上記円盤状記録媒体の外周囲とによってほぼ囲まれる領域付近に配置されるとともに、上記電子タグのアンテナの中央穴が、上記収納ケースを平面的に見たときに、上記円盤状記録媒体に重ならないように構成されていることを特徴とする、円盤状記録媒体用収納ケース。
【請求項12】
請求項2〜10のうちのいずれか1つに記載の円盤状記録媒体の管理システムのための円盤状記録媒体用収納ケースであって、
上記収納ケースが、上記円盤状記録媒体を収納するために偏平に構成され、
電子タグが、上記収納ケースに設けられ、
上記収納ケースの厚みが、0.5〜20mmの範囲であり、
上記電子タグの面積が、上記収納ケースを平面的に見たときに、1,000〜10,000mmの範囲であることを特徴とする、円盤状記録媒体用収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−69956(P2009−69956A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235308(P2007−235308)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】