説明

円錐スプレー形態を伴う超音波噴霧ノズル

取り込まれた液滴の円錐形状スプレーパターンを生成するノズルアセンブリを開示する。ノズルは、噴霧ステムの端部に位置される噴霧面で液体を噴霧するための超音波噴霧器を含む。ノズルアセンブリには、互いに連通するポート、チャンバ、および/または、チャンネルによって噴霧面へと方向付けられる加圧空気が供給される。円錐形状スプレーパターンを形成するため、ポート、チャンバ、および/または、チャンネルは、噴霧ステムの周囲で加圧ガスを回転させ或いは回転させるように方向付ける。回転する加圧ガスが噴霧面の近傍を介してノズルアセンブリから抜け出ると、噴霧液滴がガス中に取り込まれるようになる。回転する加圧ガスは、液滴を前方へ推進させて、少なくとも一部の液滴を円錐形状スプレーパターンで周方向外側に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]例えば表面を液体でコーティングすることを含む多種多様な工業用途において吹き付けを行なうためにスプレーノズルを使用することが知られている。一般に、スプレーノズルコーティング用途において、液体は、スプレーノズルにより、コーティングされるべき表面または基体へと方向付けられて堆積される液滴の霧またはスプレーの状態となって噴霧される。噴霧液体の実際の液滴サイズ、および、ノズルから排出されるスプレーの形状またはパターンは、コーティングされるべき対象物のサイズや噴霧されるべき液体を含む様々なファクタに応じて選択することができる。ノズルにおける他の用途は、冷却用途またはガスの混合を含むことができる。
【0002】
[0002]液体を液滴の状態で噴霧するための1つの公知の技術は、空気などの加圧ガスを液体へと方向付け、それにより、液体を液滴の状態へと機械的に分断することである。そのようなガス噴霧技術では、液滴のサイズおよび一貫性を制御するおよび/または最小にすることが難しい可能性がある。他の既知のタイプのスプレーノズルは、液体を一貫してほぼ煙状の一群の小さい微細な液滴の状態で噴霧するために超音波エネルギを利用する超音波噴霧ノズルアセンブリである。しかしながら、液滴の細かいサイズと噴霧液滴の霧状の一貫性とに起因して、液滴を制御して、コーティングされるべき表面へ向けて液滴をスプレーとして方向付けることが難しい可能性がある。また、細かい液滴は僅かな質量しか有していないため、スプレーノズルからの排出直後に液滴がそれてしまう場合があり或いは細かく分散されるようになる場合がある。パターン内での液滴の均一性および/または分布は、制御することが難しい場合があり、また、ノズルアセンブリからの排出後に急速に悪化する場合があり、そのため、表面を均一にコーティングすることが困難になる場合がある。そのような細かい液滴から形成される超音波生成されたスプレーパターンは形作って制御することが困難であるため、多くの工業用途でのそれらの使用が不都合になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]本発明の目的は、小さい微細な超音波噴霧液滴の液状スプレーを生成すること、および、そのようなスプレーをコーティングされるべき表面または基体へ向けて前方へと推進させることである。
【0004】
[0004]本発明の他の目的は、超音波噴霧液滴群を様々な工業用途で使用できる円錐形状ファンスプレーパターンの状態に形作るようになっているスプレーノズルアセンブリを提供することである。
【0005】
[0005]本発明の更なる目的は、円錐形状スプレーパターンの角度幅および/または円錐形状スプレーパターン内での噴霧液滴の分布を制御して調整できるスプレーノズルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]前述した目的は、液体を細かい液滴群の状態で噴霧するために超音波噴霧を利用するとともに、液滴を略円錐形状パターンの状態で前方へ推進させるために空気またはガスも利用する本発明のスプレーノズルアセンブリによって達成される。また、円錐スプレーパターンの正確な形状およびパターン内での液滴の分布は、噴霧液滴を形作って推進させるために使用されるガス流の操作によって選択的に調整できる。
【0007】
[0007]本明細書中に組み入れられて本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明の幾つかの態様を示しており、明細書本文と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】液滴の円錐形状スプレーパターンを生成するために本発明にしたがって設計されたノズルアセンブリの側面図である。
【図2】図示のノズルアセンブリの図1の2−2線に沿う断面図であり、加圧ガスを流して方向付けるためのノズルアセンブリの内側のガス入口ポート、チャンバ、および、キャビティを示している。
【図3】ノズルアセンブリの内側の入口ポート、チャンバ、および、キャビティの一部の拡大された細部を示す図2の円3−3によって示される領域の詳細図である。
【図4】ノズルアセンブリの一部として含まれてもよい回転ディスクを貫通して角度を成して配置されるチャンネルを示す図1の円4−4に示される領域の断面図である。
【図5】液滴の円錐形状スプレーパターンを生成するためのノズルアセンブリの内側の入口ポート、チャンバ、および、キャビティの異なる配置を示すノズルアセンブリの他の実施形態の図3に示される詳細図に類似する詳細図である。
【図6】ノズルアセンブリの一部として含まれてもよいフィンディスクを貫通して配置されるチャンネルを示す図5のノズルアセンブリの実施形態の図4に示される断面図と類似する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0014]特定の好ましい実施形態に関連して本発明を説明するが、本発明をこれらの実施形態に限定しようとするものではない。逆に、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の思想および範囲内に含まれる全ての代替的手段、変更、および、等価物を網羅しようとしている。
【0010】
[0015]ここで、同様の参照符号が同様の特徴を示す図面を参照すると、図1には、液体を細かい液滴の状態へと超音波噴霧して該液滴を円錐形状スプレーパターンで前方へ推進させることができるノズルアセンブリ100が示されている。ノズルアセンブリ100は、段付き円筒形状を有してもよいノズル本体102を含んでおり、該ノズル本体からは液体注入チューブ104が後方へと延び、該液体注入チューブによって液体がノズルアセンブリ内に取り入れられてもよい。参照目的のため、ノズル本体102および液体注入チューブ104の段付き円筒形状は、中心に位置される軸線106に沿って延びて該軸線を概ね規定することができる。ノズル本体102の前面にはエアキャップ110を装着することができ、該エアキャップから液体を細かい液滴または粒子の円錐形状噴霧スプレーの形態で前方へと排出できる。図示の実施形態において、エアキャップ110は、軸線106に対して軸方向に垂直な最前の平面頂部111で終端する円錐台形状またはピラミッド形状を有する。しかしながら、他の実施形態では、エアキャップ110が他の形状を有することができる。なお、“前方”および「後方」などの方向用語は、単に参照目的のためであり、ノズルアセンブリを何ら限定しようとするものではない。エアキャップ110をノズル本体102に装着するため、図示の実施形態では、環状ネジ込み保持ナット108がノズル本体にネジ込まれてエアキャップがノズル本体に締結保持される。
【0011】
[0016]液体を超音波噴霧するため、図2に示されるように、ノズルアセンブリ100は、ノズル本体102の後面中に配置される中心孔114内に受けられる超音波噴霧器112も含む。超音波噴霧器112は超音波ドライバ116を含み、該超音波ドライバからはロッド状の管状噴霧ステム118が前方へと延びている。図示の実施形態において、超音波ドライバおよび噴霧ステムは円筒形状であってもよく、その場合、超音波ドライバは、噴霧ステムよりもかなり大きい直径を有する。円筒状の超音波ドライバ116および管状噴霧ステム118を、中心に位置される軸線106にほぼ沿って配置することもできる。噴霧ステム118は、その軸方向前端または端部が噴霧面122で終端する。噴霧されるべき液体を噴霧面122へと方向付けるため、管状噴霧ステム118は、液体出口オリフィス126を形成するように噴霧面を貫通して配置される液体供給通路124を形成する。液体供給通路124は、軸線106に沿って延びてノズル本体102の液体注入チューブ104と流体連通する。超音波噴霧器は、チタンなどの適した材料から形成されることができる。
【0012】
[0017]噴霧面122を振動させるための超音波振動を生み出すため、超音波ドライバ116は、隣接して積層される複数の圧電トランスデューサプレートまたはディスク128を含むことができる。トランスデューサディスク128は、ノズル本体102の後面から延びる電気通信ポート130を介して電子発生器に対して電気的に結合される。また、トランスデューサディスク128は、各ディスクが直接に隣接するディスクと反対の或いは逆の極性を有するように電気的に結合させることができる。電荷が圧電ディスク128の積層体に結合されると、ディスクが互いに対して拡張および収縮し、それにより、超音波ドライバ116が振動する。高周波振動は噴霧ステム118を介して噴霧面122へ伝えられ、それにより、噴霧面に存在する任意の液体が一群の非常に細かい液滴または粒子となって放出する。
【0013】
[0018]本発明の一態様によれば、ノズルアセンブリ100は、噴霧液滴群をノズルアセンブリの前方へ推進させてコーティングされるべき表面に衝突させるために、加圧ガスを受けて方向付ける相互に連通するガス通路を伴って構成される。ガス通路は、加圧ガスが噴霧液滴群を使用可能な円錐形状スプレーパターンへと形成するように配置させることもできる。円錐形状パターン内での液滴の分布を制御して調整するため、また、円錐形状パターンの角度幅を変えるため、流入ガスの圧力および/または速度を可変的に調整することができる。
【0014】
[0019]図2および図3を参照すると、加圧ガスを受けるため、ノズル本体102は、ノズル本体の円筒側壁中に径方向に配置されて加圧ガス源と連通できる少なくとも1つの入口ポート132を含む。様々な実施形態において、入口ポート132は、加圧ガス源に対して漏れ止め様態で強固に接続するために螺合することができ或いは他の接続形態を含むことができる。流入する加圧ガスは、入口ポート132からノズル本体の軸方向前方の面へ向けて配置されるガス通路134により、ノズル本体102とエアキャップ110との間の界面へ向けて軸方向前方に方向変換させることができる。
【0015】
[0020]円錐形状スプレーパターンの形成を容易にするため、前方へ向けられる加圧ガス流に対して回転速度が与えられ、それにより、ガス流がノズルアセンブリ100の軸線106を中心に回転され或いは旋回される。図示の実施形態では、ガスの回転を引き起こすために、ノズルアセンブリは、ノズル本体102とエアキャップ110との間に位置される回転ディスク140の形態を成す回転変向部材を含むことができる。具体的には、ノズル本体102の軸方向前方の面が凹陥状にされ、それにより、エアキャップ110がノズル本体に装着されるときに回転ディスク140を受けて収容できる円形キャビティまたは凹部138が設けられる。回転ディスク140は、そのようにして組み付けられると、軸線106に対して略垂直となる。
【0016】
[0021]回転ディスク140は、それを貫通して中心穴または開口142が配置されて成るリング形状構造である。リング形状回転ディスク140は、ノズル本体102とエアキャップ110との間にセットされると、軸線106周りで径方向にオフセットするように延び、また、超音波噴霧器112の噴霧ステム118が中心開口142を貫通して延びる。また、回転ディスク140は、その外側円形面144がノズル本体102の円形凹部138の直径よりも小さい直径を有する一方でその内側円形面146が噴霧ステム118よりも大きい直径を有するように寸法付けられる。したがって、回転ディスク140は、円形凹部138内に配置されると、凹部138を、外側円形面144とノズル本体102との間に形成される外側環状チャンバ150と、内側円形面146と噴霧ステム118との間に形成される内側環状チャンバ152とに分ける。外側環状チャンバ150および内側環状チャンバ152は、両方のチャンバがほぼ同じ軸方向平面内にあるように外側チャンバが内側チャンバを取り囲む状態で軸線106周りに位置合わせすることができる。外側および内側環状チャンバは円形側壁間に形成されるように示されているが、他の実施形態では、壁および/またはチャンバが任意の他の適した形状を有してもよいことは言うまでもない。
【0017】
[0022]図2および図3を参照すると、ノズルアセンブリが組み付けられると、入口ポート132からの通路134は、それが外側環状チャンバ150と連通するように配置される。図4を参照すると、ガスに対して回転または旋回を与えるように加圧ガスを外側環状チャンバ150から内側環状チャンバ152へと方向付けるために、外側円形面144と内側円形面146との間で延びる1つ以上のチャンネル148を、回転ディスク140を貫通して配置させることができる。チャンネル148は、それらが内側環状チャンバ152と略接線方向で交差するように軸線106に対して角度を成して配置させることができる。言い換えると、チャンネル148を軸線106に対して垂直に且つ軸線106から径方向にオフセットさせることができる。したがって、流入する加圧ガスが接線角度で内側環状チャンバ152へ導入されると、内側チャンバの環状形状により流入ガスが噴霧ステム118および軸線106の周りで回転する。そのため、加圧ガス流に回転または旋回が与えられる。図4に示される実施形態において、回転ディスク140は、互いに直交して配置される4つの直線チャンネル148を含む。他の実施形態では、例えば湾曲チャンネルを含む異なる数および方向のチャンネルを使用できる。
【0018】
[0023]図2および図3に戻って参照すると、内側環状チャンバ152は、エアキャップ110の軸方向後面中に配置されるテーパ状の空隙160と連通する。空隙160は、軸方向前方にテーパが付けられており、エアキャップ110の平面頂部111を貫通して配置させることができる。テーパ状空隙160と平面頂部111との交差部は、軸線106周りに位置合わせされる円形排出オリフィス162を形成できる。超音波噴霧器112の噴霧ステム118は、ノズルアセンブリ100に組み込まれると、テーパ状空隙160および排出オリフィス162に挿通して受けられ得る。円筒状の噴霧ステム118を収容するため、排出オリフィス162はステムよりも僅かに大きい直径を有することができる。噴霧ステム118の先端は、噴霧面122がエアキャップ110の平面頂部111の僅かに軸方向前方に位置されるように排出オリフィス162を通じて突出することが好ましい。円筒状の噴霧ステム118が大きい円形排出オリフィス162を通じて受けられるため、排出オリフィスが環状の形状をとる。
【0019】
[0024]動作時、噴射されるべき液体は、液体供給通路124内に供給されて、管状噴霧ステム118を通じて噴霧面122へと至る。液体を噴霧面122へと押し進めるのを助けるため、液体を重力供給する或いは低圧ポンプによって加圧することができる。液体供給通路124からの液体は、液体出口オリフィス126から抜け出て、毛細管のような或いはウィッキングのような伝達作用によって噴霧面122の周囲に集まることができる。超音波ドライバ116は、圧電ディスク128が拡張・収縮して噴霧ステム118および噴霧面122の横方向または径方向振動を生み出すように電気的に作動することができる。噴霧面122で受けられる振動は約60キロヘルツ(kHz)の周波数となり得るが、噴霧されるべき液体、望まれる液滴サイズ、または、他のファクタに応じて周波数を調整できる。横方向または径方向振動は、液体供給通路124内の液体および噴霧面122上に集められた液体を攪拌し、それにより、液体は、小さい細かい液滴の状態で噴霧面から振り落とされ或いは分離される。液滴のサイズは、約5−60ミクロン程度となることができ、好ましくは約8−20ミクロンであってもよい。液滴は、噴霧面122のほぼ近傍に方向性のない群または柱状噴流を形成する。
【0020】
[0025]噴霧液滴を円錐形状スプレーの状態で噴霧面の前方に推進させるため、加圧空気または他のガスが入口ポート132に導入されて外側環状チャンバ150へと向けられる。ガスは、用途に応じて空気または任意の他の適したガスであってもよく、1−3PSI程度の圧力で供給できる。加圧ガスは、外側環状チャンバ150から角度のあるチャンネル148によって方向付けられて、内側環状チャンバ152へと略接線方向様態で導入され、該内側環状チャンバにおいてガスが噴霧ステム118周りで回転される。旋回するガスは、更に軸方向前方に送られて、エアキャップ110のテーパ状空隙160を介して排出オリフィス162へ流される。言うまでもなく、空隙160のテーパ形状により、空隙を通じて流れる旋回加圧ガス流を更に圧縮させて加速させることができる。
【0021】
[0026]排出オリフィス162を通じて出る加圧ガスは、噴霧面122の周囲に存在する液滴群を取り込む。それにより、排出ガスは、コーティングされるべき表面へ向けて液滴を前方へと運ぶ。排出オリフィス162の環状形状により、加圧ガス−液滴混合物のスプレーパターンは、通常、円筒形状または場合により狭い円錐形状をとる。しかしながら、排出加圧ガスが回転または旋回しているため、取り込まれた液滴に対して周方向モーメントが与えられ、それにより、前方へ推進される液滴の少なくとも一部も軸線106に対して径方向外側に移動する。そのため、液滴が外側に広がる傾向があり、それにより、ノズルアセンブリは、ガスを旋回または回転させずに成し得るスプレーパターンよりも幅広くなることができる円錐スプレーパターンを生成する。
【0022】
[0027]特定の実施例に拘束される意図を伴うことなく、前述のノズルアセンブリは、推進ガスを旋回または回転させずに成し得る約15°の排出角度とは対照的に、30°程度の円錐排出角度を有する円錐スプレーパターンを生成できると考えられる。幅広い円錐スプレーパターンの1つの利点は、ノズルアセンブリが所与の時間内でコーティングされるべき表面上の大きい面積をカバーできるという点である。
【0023】
[0028]スプレーノズルアセンブリ100の有利な実施形態では、前方推進円錐形状スプレーパターンを与えるために供給されるべきガスの圧力を操作して、円錐形状スプレーパターンの形状を調整できるとともに、円錐形状スプレーパターン内での液滴分布を変えることができる。例えば、入口ポート132に通じるガスの圧力を増大させることにより、内側環状チャンバ152内の回転ガスに伴って起こる周方向の力を増大させることができる。加圧ガス中の増大された周方向の力は、ガスが出口オリフィス162を通って排出して液滴群を収集するにつれて、多数の液滴を軸線106から径方向外側に押し進める。これは、円錐形状スプレーパターンの幅広い角度、および、円錐形状スプレーパターンの外径へと向かう液滴の大きい分布の両方をもたらす。対応してガスの圧力を減少させると、円錐形状スプレーパターンが狭くなり、多数の液滴が軸線106の方に更に近づいて分布される。ガスの圧力を調整するため、ノズルアセンブリを圧力レギュレータに接続することができる。
【0024】
[0029]図5および図6を参照すると、円錐形状スプレーパターンを生成するのを助けるためにフィンディスク240の形態を成す回転変向部材が利用されるノズルアセンブリ200の他の実施形態が示されている。図5に示されるように、フィンディスク240はノズル本体202とエアキャップ210との間に位置させることができる。フィンディスク240を収容するため、ノズル本体202の前面中に円形凹部238を配置させることができる。フィンディスク240は、中心開口242を形成するリング形状構造体となることができ、外側円形周面244と内側円形周面246とを有することができる。リング形状フィンディスク240は、ノズル本体202とエアキャップ210との間に組み付けられると、噴霧ステム218が中心開口242を通過するように軸線206周りで軸方向に中心付けられる。また、外側円形周面244は円形凹部238の直径よりも小さい直径を有することができ、一方、内側円形周面246は円筒状の噴霧ステム218の直径よりも大きい直径を有することができる。したがって、ノズル本体202中に配置される円形凹部238は、外側円形周面244と凹部との間の外側環状チャンバ250と、内側円形周面246と噴霧ステム218との間の内側環状チャンバ252とに分けられる。
【0025】
[0030]図5および図6に示されるように、フィンディスク240は、構造材料から形成される複数の周方向に配置されるフィン249を含むことができる。それぞれのフィン249間には、外側環状チャンバ250と内側環状チャンバ252との間の連通を果たすチャンネル248が形成される。また、フィン249は、それらがフィンディスク240の外側円形周面244と内側円形周面246との間で湾曲するように略弓形形状を成すことができる。そのため、チャンネル248は、少なくとも噴霧ステム218および軸線206に対して略接線方向で内側環状チャンバ252と交差する。様々な実施形態において、複数のフィン249は、チャンネル248が外側円形周面244と内側円形周面246との間で延びるにつれて、チャンネル248が減少する断面を有するように互いに収束する様態で形成して配置させることができる。
【0026】
[0031]動作時、入口ポートから外側環状チャンバ250内へと方向付けられる加圧ガスは、外側円形周面244を介してフィンディスク240のチャンネル248に入ることができる。その後、チャンネル248は、フィン249の湾曲形状に起因してガスに回転またはスピンを与えつつ、加圧ガスを内側環状チャンバ252へと方向付ける。そのため、ガスが内側環状チャンネル内に略接線方向様態で入ると、ガスが軸線206および噴霧ステム218を中心に回転する。言うまでもなく、ガスは、それがエアキャップ210中に配置されるテーパ状空隙260に入る際に、また、ノズルアセンブリ200から排出する際に、スピンまたは回転をし続け、それにより、前述したような円錐形状スプレーパターンの形成を助ける。チャンネル248が減少する断面積を有するように形成される実施形態では、面積の減少により、加圧ガスは、それが外側環状チャンバから内側環状チャンバへとチャンネルを通じて進行するにつれて加速する。
【0027】
[0032]当業者であれば分かるように、前述した機能およびプロセスを実行できる本発明のノズルアセンブリの実施形態は、前述した実施形態と構造的に異なっていてもよい。例えば、回転変向部材を排除することができ、また、角度を成すチャンネル、環状チャンバ、および/または、フィンをノズル本体、エアキャップ、または、ノズルアセンブリの他の構成要素中に配置することができる。他の実施形態では、環状チャンバが排除されてもよく、また、加圧ガスが回転変向部材を介して直接にエアキャップ内へと排出できる。また、チャンネル、チャンバ、および、通路の他の配置および方向も考えられて本発明の範囲内に入る。
【0028】
[0033]本明細書中で引用された刊行物、特許出願、および、特許を含む全ての引用文献は、あたかも各引用文献が個別に具体的に示され且つ本明細書中にその全体が記載されたかのような程度まで、参照により本明細書に組み入れられる。
【0029】
[0034]本発明を説明する文脈中(特に、以下の請求の範囲の文脈中)における用語「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」または同様の指示物の使用は、本明細書中で他に示唆されていなければ或いは文脈によって明らかに矛盾しなければ、単数および複数の両方を網羅するように解釈されるべきである。用語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および、「包含するcontaining」は、他に言及されていなければ非制限的用語(すなわち、「〜を含むがそれに限定されない」ことを意味する)として解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中で他に示唆されていなければ、その範囲内に入るそれぞれの別個の値を個々に示す速記法としての役目を単に果たすように意図されているだけであり、また、それぞれの別個の値は、あたかもそれが本明細書中に個々に列挙されたかのように本明細書中に組み入れられる。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中で他に示唆されていなければ或いは文脈によって明らかに矛盾しなければ、任意の適した順序で行なうことができる。本明細書中で与えられる任意のおよび全ての例、または、典型的用語(例えば「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにしようとするだけのものであり、他に主張されていなければ、本発明の範囲に限定をもたらさない。明細書中の用語は、本発明の実施に不可欠な任意の非請求要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0030】
[0035]本明細書中では、本発明を実行するために本発明者等に知られる最良の形態を含むこの発明の好ましい実施形態が記載されている。前述した説明を読むことにより、それらの好ましい実施形態の変形が当業者に明らかとなり得る。本発明者等は、当業者がそのような変形を必要に応じて使用することを予期し、また、本発明者等は、本明細書で具体的に説明される以外の手段で本発明が実施されることを意図する。したがって、この発明は、適用可能な法律によって認められる本明細書に添付の請求項に記載される主題の全ての変更および等価物を含む。また、前述した要素のその全ての想定し得る変形例での任意の組み合わせは、本明細書中で他に示唆されていなければ或いは文脈によって明らかに矛盾しなければ、本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス入口ポートを含むノズル本体と、
前記ノズル本体に装着されるエアキャップであって、前記ノズル本体と前記エアキャップとの間に配置されるチャンバを介して前記入口ポートと流体連通する排出オリフィスを含むエアキャップと、
前記チャンバを貫通して延びるとともに前記排出オリフィスに隣接する噴霧面で終端する噴霧ステムを含む超音波噴霧器と、
を備え、
前記チャンバに通じる前記ガス入口ポートからのガスが前記噴霧ステム周りで回転する、ノズルアセンブリ。
【請求項2】
前記噴霧ステムが、前記チャンバが前記噴霧ステムの周囲で環状に延びるように前記チャンバのほぼ中心を貫通して延びる請求項1に記載のノズルアセンブリ。
【請求項3】
前記ガス入口ポートからのガスが、約30°の円錐形状パターンを成して前記排出オリフィスから出る請求項2に記載のノズルアセンブリ。
【請求項4】
前記第1のチャンバを環状に取り囲む第2のチャンバを更に備え、前記第2のチャンバが前記入口ポートと連通する請求項3に記載のノズルアセンブリ。
【請求項5】
前記内側の第1のチャンバと前記外側の第2のチャンバとの間に設けられて前記第1のチャンバを前記第2のチャンバからほぼ分離するリング状ディスクを更に備える請求項4に記載のノズルアセンブリ。
【請求項6】
前記ディスクが、該ディスク中に配置される少なくとも1つのチャンネルを含み、前記チャンネルが、前記外側の第2のチャンバと前記内側の第1のチャンバとの間の連通を果たす請求項5に記載のノズルアセンブリ。
【請求項7】
前記チャンネルが略接線方向態様で前記内側の第1のチャンバと交差する請求項6に記載のノズルアセンブリ。
【請求項8】
前記ディスクが互いに直交して配置される4つのチャンネルを含む請求項7に記載のノズルアセンブリ。
【請求項9】
前記ディスクが複数のフィンを含み、前記少なくとも1つのチャンネルが2つのフィン間にある請求項8に記載のノズルアセンブリ。
【請求項10】
前記フィンのそれぞれが収束様態で形成されており、前記少なくとも1つのチャンネルが前記外側の第2のチャンバから前記内側の第1のチャンバへと進むにつれて、前記少なくとも1つのチャンネルが、減少する断面積を有するようになっている、請求項8に記載のノズルアセンブリ。
【請求項11】
超音波噴霧器と、ノズル本体と、エアキャップと、回転変向部材とを備える、空気の補助を伴う超音波噴霧ノズルアセンブリであって、
前記超音波噴霧器は、超音波ドライバと、前記超音波ドライバから軸線に沿って延びる管状噴霧ステムとを含み、前記噴霧ステムが噴霧面で終端し、前記管状噴霧ステムが液体を前記噴霧面へと方向付けるための液体通路を備え、
前記ノズル本体は、前記超音波噴霧器を受けるための孔を含み、前記孔は、前記噴霧ステムが前記ノズル本体から前方へ延びるように前記超音波噴霧器を受け、前記ノズル本体はガス入口ポートを更に含み、
前記エアキャップは、前記ノズル本体の前方に装着され、前記エアキャップは、前記噴霧ステムが挿入されて受けられる排出オリフィスを含み、前記排出オリフィスおよび前記噴霧ステムが前記第1のガス入口ポートと連通する環形状の隙間を形成しており、
回転変向部材は、中心開口を有し、前記噴霧ステムが前記中心開口を貫通して延びて環状チャンバを形成するように前記回転変向部材は前記ノズル本体と前記エアキャップとの間に配置され、前記回転変向部材は、該回転変向部材の外側周面から該回転変向部材の内側周面へ向けて前記軸線に対して角度を成して配置される少なくとも1つのチャンネルを更に含み、
前記ガス入口ポートへ導入される加圧ガスが前記少なくとも1つのチャンネルによって前記環状チャンバへと方向付けられ、前記加圧ガスが前記環状チャンバによって前記噴霧ステム周りで回転され、前記回転する加圧ガスが前記排出オリフィスによって前記噴霧面へと更に方向付けられるようになっている、超音波噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項12】
前記入口ポートからのガスが、約30°の円錐形状パターンを成して前記排出オリフィスから出る請求項11に記載の超音波噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項13】
前記第1の環状チャンバを取り囲んで前記回転変向部材によって前記第1のチャンバから分離される第2の環状チャンバを更に備え、前記第2の環状チャンバが前記入口ポートおよび前記少なくとも1つのチャンネルと流体連通する請求項11に記載の超音波噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項14】
前記第1および第2の環状チャンバが前記軸線と径方向に位置合わせされる請求項13に記載の超音波噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項15】
前記回転変向部材が複数のフィンを含み、前記少なくとも1つのチャンネルが前記フィンのうちの2つの間にある請求項14に記載の超音波噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項16】
前記回転変向部材が互いに対して直交して配置される4つのチャンネルを含む請求項15に記載の超音波噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項17】
前記超音波ドライバが互いに積層される複数の圧電トランスデューサディスクを含む請求項16に記載の超音波噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項18】
前記エアキャップが平面を含み、該平面を貫通して前記排出オリフィスが配置され、前記噴霧面が前記平面の前方へ突出する請求項17に記載の超音波噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項19】
液体を霧化して噴射する方法であって、
噴霧面で終端する管状噴霧ステムを含む超音波噴霧器を設けるステップと、
前記管状噴霧ステムによって形成される液体通路を介して液体を前記噴霧面へと方向付けるステップと、
液体を前記噴霧面で超音波噴霧するステップと、
前記管状噴霧ステムの周囲でほぼ延びる環状チャンバによってガスを方向付けて回転旋回させるステップと、
前記回転するガスを前記噴霧面近傍の排出オリフィスを介して前記噴霧面へと方向付けるステップと、
を備える方法。
【請求項20】
前記排出オリフィスから出る前記回転ガス中に噴霧液滴を取り込むステップを更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
液滴を取り込む前記回転ガスが約30°の円錐形状スプレーパターンを形成する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
液体を超音波噴霧する前記ステップが、
積層状態で隣接して配置される複数の圧電トランスデューサディスクを拡張・収縮させる工程を更に備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ガスが加圧される請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−502784(P2011−502784A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534274(P2010−534274)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/083993
【国際公開番号】WO2009/067488
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(595170502)スプレイング システムズ カンパニー (18)
【Fターム(参考)】