説明

再利用が可能な薄葉紙収納箱及び箱詰型薄葉紙製品

【課題】ピペットスタンド、サンプル収納箱等としての再利用に適した形態を有する箱詰型薄葉紙製品、特に箱詰め型紙ワイプ製品を提供する。
【解決手段】紙ワイプ製品を収納する紙箱に上面から両側面に至る切り取り補助線を配する。前記切り取り補助線は、両側面部の切り取り補助線に波型構造を含み、前記切り取り補助線を切断することにより、上面から両側面上側の一部に至る開口部を形成可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄葉紙製品、特に実験室、研究室等で使用される箱詰型の紙ワイプ(紙製ウエス)製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボックス型ティシュペーパーなどの箱詰型薄葉紙製品は、立方体状または直方体状の紙箱内に収容された状態で販売および使用されている。紙箱の上面には取出口が形成されるようになっており、箱内に収容された薄葉紙は取出口を通して取り出されるように構成されたものが一般的である(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
紙ワイプは、一般に広く流通しているティシュペーパーなどと比較して、毛羽立ちがない、水に溶けにくい、使用の際にパルプくずが出ない等の特徴がある。試験管など実験器具の清掃、液体の吸い取り、電子部品のワイピング、色素の吸着など用途は広く、理学・工学・農学・医学・薬学・家政学などの実験、それらの延長線上にある実務(各種化学、光学、その他精密機器を用いる作業など)に広く用いられている。紙ワイプは、ボックス型ティシュペーパーなどと類似した紙箱内に収納された状態で販売および使用されている。
【特許文献1】特開平11−130167号公報
【特許文献2】特開2002−249183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
薄葉紙製品、特に紙ワイプ製品は、使用時まで紙ワイプを清浄に保つため、収納箱に積層した紙ワイプを収納した状態で販売及び使用されるのが通常であるが、使用後に廃棄物が生じるという問題があった。
一方、従来実験室等で使用されるピペット、ガラス棒、薬さじ等は、それ自体の汚染防止のため、あるいは逆に感染物質や汚染物質を実験台に付着させないために、使用時には専用のスタンドに立てかける、実験台にシート等を敷いてその上に置く、などの方法がとられてきた。しかし、専用スタンドは比較的高価である上に、実験試料の汚染防止のために常に清浄に保つ必要がある上に、専用スタンドは樹脂製あるいは金属製であるため、取り扱う試薬・溶媒等によっては、素材による使い分けが必要であった。また、シート等を敷く場合は、シートを使用毎に廃棄することになり、廃棄物を増加させる要因となっていた。
本発明の主たる課題は、ピペットスタンド等としての再利用に適した形態を有する箱詰型薄葉紙製品、特に箱詰め型紙ワイプ製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
内部に薄葉紙の積層物を収納するための薄葉紙収納用紙箱であって、
前記紙箱の上面から両側面に至る直線状の切り取り補助線を有し、
両側面に波型の切り取り補助線を有し、
前記直線状及び波型の切り取り補助線を全て切断することにより、上面から両側面上側の一部に至る開口部を形成可能であることを特徴とする薄葉紙収納用紙箱。
【0005】
(作用効果)
使用後、空になった紙箱の上面から両側面に至る切り取り線を切り取ることにより、上面から両側面の一部に至る開口部ができるため、空箱を試薬ビン等の収納に使用することが可能となる。また、両側面に波型を有することで、波型の間にピペット、ガラス棒、薬さじ等を保持することが可能となる。
【0006】
<請求項2記載の発明>
側面に、前記波型の切り取り補助線に接する、波型の隣接する山部分の2つの頂点を結ぶ山折り補助線、または波型の1つの山部分の頂点と前記直線状切り取り補助線を結ぶ山折り補助線のうちいずれかを1つ以上有する請求項1に記載の薄葉紙収納用紙箱。
【0007】
(作用効果)
波型の谷部分の1つを紙箱内部に折り込めるように、波型上部に接するように山折り補助線を配する。使用者が紙箱の切り取り補助線を切り取る際、前記谷部分に容易に指を差しこむことが可能である。指を差しこんで引き上げることによって、十分な力が切り取り線にかかるため、切り取りが容易となる。
【0008】
<請求項3記載の発明>
両側面の波型の切り取り補助線において、波型の谷部分のすべての頂点が上面に平行な直線上にあり、かつ波型の山部分のすべての頂点が上面に平行な直線上にある請求項1または2に記載の薄葉紙収納用紙箱。
【0009】
(作用効果)
切り取り後の紙箱には、高さの揃った波型が形成されているため、使用者が容易に複数のピペット、ガラス棒、薬さじ等を置くことが可能である。
【0010】
<請求項4記載の発明>
側面に、山部分の頂点を結ぶ線及び谷部分の頂点を結ぶ線がそれぞれV字型を形成する波型の切り取り補助線を有し、前記V字型の頂点付近に山折り補助線を有する請求項1または2に記載の薄葉紙収納用紙箱。
【0011】
(作用効果)
側面の切り取り線が全体的にV字型構造を有し、かつ、V字型の頂点部分に山折り補助線を有するため、側面の中央付近に指の差し込み口が形成され、指の差し込み口に対して、切り取り補助線は左右対称となる。また、切り取り線は全体的に鈍角のみを有する六角形を形成する。そのため、左右にバランスよく力がかかるため切り取りやすく、また、切り取り線以外の箇所が破れる等の問題が起きにくい。
【0012】
<請求項5記載の発明>
上面に取出口又は取出口形成部を有する請求項1から4のいずれかに記載の薄葉紙収納用紙箱。
【0013】
(作用効果)
請求項1に記載の開口部とは別に、上面のみに薄葉紙を取出すための取出口を有する。薄葉紙使用時は、紙箱内部に外部からホコリ等が混入しないことが望まれることから、上面から側面の一部まで達する前記開口部を薄葉紙取出口と兼ねることは好ましくない。
【0014】
<請求項6記載の発明>
内壁が不透液性である請求項1から5のいずれかに記載の薄葉紙収納用紙箱。
【0015】
(作用効果)
紙箱は、試薬ビン等、液体を含むものの収納に使用されることも想定される。紙箱内壁を不透液性とすることにより、前記液体、特に劇毒物、危険物等が紙箱内部で漏えいした際、外部の汚染を軽減することが可能である。
【0016】
<請求項7記載の発明>
紙箱内部に薄葉紙の積層物を有する箱詰薄葉紙製品であって、
請求項1から6のいずれかに記載の紙箱を含む箱詰薄葉紙製品。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり、本発明によれば、箱詰薄葉紙製品において、薄葉紙使用後の空箱を簡便に、ピペットスタンド、試薬・試料の収納箱等として再利用することが可能である。また、再利用された紙箱は、試薬等で汚染されれば簡便に廃棄して新たな紙箱と交換することが可能であり、実験器具等を常に清浄に使用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る薄葉紙としては、紙ワイプ、ティシュペーパー、トイレットペーパー、ちり紙等を挙げることができるが、実験室等で汎用される実験用紙ワイプ(紙製ウエス)とすることがより好適である。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の薄葉紙収納用紙箱の斜視図を示しており、図2に正面図を示している。本発明では、紙箱1の薄葉紙取出口を有する面を上面と定義しているが、製造段階、販売段階、使用段階において必ずしも薄葉紙取出口が上とならなくても良い。
紙箱1は従来製品と同様の立方体状または直方体状をなす。紙箱1内壁は、パラフィン塗布、ラミネート加工等が施されて、不透液性であるとより好ましい。
【0020】
上面1A、側面1B、及び1Bの反対側の側面には、ミシン目などの切り取り補助線が予め形成されている。切り取り補助線は、通常のミシン目の他、二重ミシン目、スリット線等切り取り補助線として通常使用される形態を採用できる。
上面1Aには、切り取り補助線2で囲まれる部分があり、この部分を剥いで折り返す若しくは剥ぎ取ることにより、取出口3が形成されるようになっている。取出口は、長手方向に沿うスリットを形成したフィルムで覆いスリットを通して紙ワイプを取り出すフィルムタイプと、フィルムを貼らないフィルムレスタイプとがあるが、本発明ではいずれも採用できる。
取出口とは別に、上面1Aには面を横断する直線状の切り取り補助線4が2本平行に形成されている。側面1B,1Cには、面を縦断しない直線状の切り取り補助線5が2本上下方向に形成されており、前記の上面1Aを横断する切り取り補助線4とつながっている。側面1B,1Cの2本の直線5の下端は、それぞれ左右方向に形成された波型のきりとり補助線6でつながっている。2本の直線5の長さは等しく、切り取り補助線6の各波の頂点を結んだ直線6Lは、上面と平行である。
【0021】
波型の切り取り補助線6において、波と波の間隔(隣接する頂点間の距離)は水平方向に20mmから22mm、波の谷から山までの高さは5mm程度にすることが望ましい。波の間隔が20mmより狭いと、汎用されるピペットの一部の胴径がこれを上回るため、使用範囲が限られてしまい、22mmより広いと一度におけるピペット等の数が限られてしまう。また、波の高さについて、低すぎればピペットの固定が困難となり、高すぎれば切り取り時に切り取り線以外の部分が切れる可能性が高い。
切り取り時に切り取り部分以外に力がかかって切れてしまわないよう、波型切り取り線の山部分、谷部分の頂点7,8は、ミシン目ではなく、切り離された状態(スリット)にしておくことが望ましい。
【0022】
波型の切り取り補助線の左右どちらか(図中では左)の末端から1つめの山の頂点から、同じ側の直線5の上端にかけて、山折り補助線9がある。切り取り時には、波型の切り取り補助線6より上、山折り補助線9より下の差し込み部10に指が入れられ、図中では右斜め上方向に引き上げられる。差し込み部10の面積を確保するため、直線5の長さは15mm程度であることが望ましい。山折り補助線9及び差し込み部10は側面1B,1Cの両方に配してもよいし、どちらか一方のみに配してもよい。
【0023】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態の薄葉紙収納用紙箱の斜視図を示している。上面3Aの構造は、第1の実施形態と同様である。側面3B,3Cには、上面3Aの切り取り補助線34とつながる直線状の切り取り補助線35があり、2つの直線35は、波型の切り取り補助線36でつながっている。波型の切り取り補助線36は、各波の頂点を結んだ線36LがV字状になるように配されている。V字構造の頂点36Tは、左右方向の中心付近、上下方向の中心より上にあるのが望ましい。36Tが低すぎると切り取り後の紙箱の壁部分が少なくなり、ピペット等を保持する強度が保てず、また、試薬、サンプル等の収納箱としての使用が困難となる。
【0024】
波型の切り取り補助線36の各波の谷部分の深さは、隣接する低い方の山部分から5mm程度であることが好ましい。また、各波の間隔は、水平方向に20mmから22mmであることが好ましい。各波の中心線は、上面に対して垂直であることが望ましい。
【0025】
V字構造の頂点36Tに隣接する2つの山の頂点に、山折り補助線39がある。頂点36Tの上、山折り補助線39の下に差し込み部40が存在する。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、紙ワイプ、ティシュペーパー、トイレットペーパー、ちり紙等の薄葉紙の収納用紙箱、および薄葉紙を箱詰めしてなる箱詰型薄葉紙製品に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態の斜視図である。
【図2】第1の実施形態の正面図である。
【図3】第2の実施形態の斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1…紙箱、2,4,5,6,32,34,35,36…切り取り補助線、3…取出口、9,39…山折り補助線、10,40…差し込み部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に薄葉紙の積層物を収納するための薄葉紙収納用紙箱であって、
前記紙箱の上面から両側面に至る直線状の切り取り補助線を有し、
両側面に波型の切り取り補助線を有し、
前記直線状及び波型の切り取り補助線を全て切断することにより、上面から両側面上側の一部に至る開口部を形成可能であることを特徴とする薄葉紙収納用紙箱。
【請求項2】
側面に、前記波型の切り取り補助線に接する、波型の隣接する山部分の2つの頂点を結ぶ山折り補助線、または波型の1つの山部分の頂点と前記直線状切り取り補助線を結ぶ山折り補助線のうちいずれかを1つ以上有する請求項1に記載の薄葉紙収納用紙箱。
【請求項3】
両側面の波型の切り取り補助線において、波型の谷部分のすべての頂点が上面に平行な直線上にあり、かつ波型の山部分のすべての頂点が上面に平行な直線上にある請求項1または2に記載の薄葉紙収納用紙箱。
【請求項4】
側面に、山部分の頂点を結ぶ線及び谷部分の頂点を結ぶ線がそれぞれV字型を形成する波型の切り取り補助線を有し、前記V字型の頂点付近に山折り補助線を有する請求項1または2に記載の薄葉紙収納用紙箱。
【請求項5】
上面に取出口又は取出口形成部を有する請求項1から4のいずれかに記載の薄葉紙収納用紙箱。
【請求項6】
内壁が不透液性である請求項1から5のいずれかに記載の薄葉紙収納用紙箱。
【請求項7】
紙箱内部に薄葉紙の積層物を有する箱詰薄葉紙製品であって、
請求項1から6のいずれかに記載の紙箱を含む箱詰薄葉紙製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−126223(P2010−126223A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304790(P2008−304790)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】