説明

再利用可能な注入バッグ

真空含浸(VARTM)により複合部品を形成する再利用可能な装置及び方法を提供する。再利用可能な装置は、ツールに対して、複合材のような硬化性材料を真空吸引し、硬化性材料を介して液体樹脂のような浸透物質を分散するように構成される。再利用可能な装置は、硬化性材料及びツールと対向する複数の表面段差を有するゴムのような材料シートからなる。材料シートとツールとの間から空気が吸引されると、表面段差は気流が均等に分散されるような経路を提供する。さらに、表面段差は、硬化性材料全体にわたって浸透物質を均等に分散させる。ツールの吸引出口は、空気の漏れを防ぐために、2つの密封具の間に位置づけられ、材料シートの外周に近接した部分に対する連続した真空吸引を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の部品に関するものである。より具体的には、本発明は、再利用可能な真空バッグを用いた真空含浸工法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空含浸(Vacuum assisted resin transfer molding:VARTM)工法は、複合材からなるドライファイバーが、ナイロン真空バッグの下にあるツール上に置かれて真空密封され、液状樹脂が真空ポンプにより複合材を通して引き出される複合材製造方法である。従来、ナイロン、プラスチックまたは金属で作製され、高浸透性を有するフローメディアまたは樹脂拡散メディアが複合材を覆うように配置され、これにより樹脂がその上を流れた後、複合材の全体にわたって均等に分散されるようになる。さらに、複合材を通した樹脂の引き出しを助長するとともに空気をナイロン真空バッグとツールとの間から排出するために、ファイバガラスまたはピールプライで作製されたブリーザークロスがナイロン真空バッグの下に配置される。次に、ナイロン真空バッグが、複合材、フローメディア及びブリーザークロスを覆うように配置され、ツールにクロメート真空バッグテープで密封される。吸引出口及び吸引入口により、液体樹脂が複合材を通して引き出される。液体樹脂が複合材全体にわたって分散され、真空バッグが吸引力により複合材に押し付けられると、真空ポンプが取り除かれ、樹脂が加熱により硬化され、複合部品を強固にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
VARTM工法の課題は、特に、複雑な形状をした複合部品を製造するとき、複合材を覆って配置するフローメディア、ブリーザークロス及び真空バッグをそれぞれ切断する必要があることである。これは、時間がかかり、間違いが起きやすい。さらに、複雑な形状をした複合部品の場合、フローメディアが樹脂分散のための所望の形状に適合するように、フローメディアを加熱して固める、あるいは、多数の断片を継ぎ合わせる必要がある。また、フローメディア、ブリーザークロス及び真空バッグは、ともに配置されるが互いに分離した部品であるので、それらは、真空及び硬化プロセス中に意図せずに移動したり、ずれたりすることがある。
【0004】
従来のVARTM工法の他の課題は、真空バッグ、フローメディア及びブリーザークロスが再利用可能でないことである。液体樹脂は、複合部品全体にわたって分散されながら、真空バッグ、フローメディア、及びブリーザークロスに浸透するので、硬化プロセスにおいて、これらの部品も硬化されることとなる。従って、同一の部品を製造する時であっても、個々の部品の製造に合わせて、それぞれ新しい真空バッグ、フローメディア及びブリーザークロスを用いなければならない。
【0005】
さらに、従来のVARTM工法においては、真空ポンプが取り除かれると、真空バッグテープは、しばしば、真空漏れを生じるので、吸引源が切り替えられたり、遮断されたときに、真空バッグが真空状態を失ってしまう。これは、次に、その結果物として製造された部品の構造に対して悪影響を与えるおそれがある。
【0006】
そこで、真空含浸(VARTM)工法により複合部品を形成するための改良された装置及び方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、真空含浸(VARTM)工法により複合部品を形成するための再利用可能な装置及び方法を提供する。この再利用可能な装置は、ツールに対して複合材のような硬化性材料を真空密封し、硬化性材料全体にわたって液体樹脂のような浸透物質を分散するために使用することができる。
【0008】
この再利用可能な装置は、ゴムまたはゴム状の物質で作られた材料シートと、ツールへ材料シートを密封する少なくとも1つの密封具とを含むことができる。材料シートは、周縁部と、硬化性材料に対向しない第1面と、硬化性材料に対向し且つ複数の表面段差を有する第2面とを含むことができる。表面段差は、第1の流路領域と、第1の流路領域の一側部に配置されるトラフと、第1の流路領域及びトラフを部分的に取り囲むダムと、材料シートの周縁部に近接する第2の流路領域とを含むことができる。
【0009】
第1の流路領域は、浸透物質がトラフからトラフとは第1の流路領域の反対側にあるダム開口部へ流れるときに、浸透物質を硬化性材料全体にわたって均等に分散するための複数の流路を提供することができる。ツールの浸透物質入口がトラフに近接して位置すると共に第1の流路領域がツールの浸透物質入口及び浸透物質出口の間に位置するように、材料シートが硬化性材料及びツールを覆って配置されてもよい。真空ポンプを浸透物質出口に取り付けて、浸透物質を浸透物質入口から内部に吸引し、浸透物質出口から外部に排出することができる。
【0010】
密封具は、第2の流路領域の外側に位置する第1の密封具と第2の流路領域の内側に位置する第2の密封具とを備えることができる。空気は、第1及び第2の密封具との間からツールのシール出口を通じて吸引され、それによって、ツール方向へ第2の流路領域を押し付けることができる。第2の流路領域は、VARTMプロセス中及び硬化性材料を硬化する間、シール出口を通じて連続的に真空吸引される。
【0011】
再利用可能な装置を用いて複合部品を形成する方法は、ツール上に硬化性材料を配置する工程及び材料シートの第2面が硬化性材料に対向するように、材料シートを硬化性材料の上に配置する工程を含むことができる。次に、周縁部に近接する材料シートの第2面がツールに密封され、第2流路領域が連続的に真空吸引されて、気密シールが維持される。空気は、真空吸引により浸透物質出口を通して材料シートとツールとの間から排出される。続いて、この真空吸引により、浸透物質が浸透物質入口を通じてトラフ内へ注入される。さらに、トラフから第1流路領域を通じて浸透物質が流れ、一部の浸透物質が硬化性材料に浸透する。余分な浸透物質は、浸透物質出口から排出される。最後に、浸透物質出口及び浸透物質入口が封鎖され、シール出口が真空吸引を続けて、硬化性材料の周りにおける材料シート及びツールの間の気密シールを提供しながら、硬化性材料が加熱により硬化される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、硬化性材料及びツール上に配置された、この発明の一実施形態に係る再利用可能な装置の分解側面断面図である。
【図2】図2は、図1のツールの斜視図である。
【図3】図3は、図1の再利用可能な装置及びツールの上面図である。
【図4】図4は、図1の再利用可能な装置の使用方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に示す本発明の詳細な説明は、本発明が実施される特定の実施の形態を示す添付図面を参照する。この実施の形態は、当業者が本発明を実施できるほど十分詳細に本発明の態様を記載するように意図されたものである。他の実施の形態も利用することができ、本発明の範囲を逸脱しなければ変更も可能である。従って、以下に示す詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきでない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により与えられる均等物の全範囲と共に、特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0014】
図1〜4に示されるように、本発明の実施形態は、真空含浸(VARTM)により複合部品を形成する再利用可能な装置10及び方法200を提供する。再利用可能な装置10は、硬化性材料12をツール14に対して真空密封し、硬化性材料12を通して浸透物質(図示されない)を分散するように構成されている。硬化性材料12は、複合材または複合材からなるドライファイバーのように、硬化処理を通して固められる、いかなる種類の透過材料であってもよい。浸透物質は、液体樹脂または他の流動可能な物質を含む。ツール14は、空気及び/または浸透物質を再利用可能な装置10とツール14との間の領域の内外へ移送するために、図2に示されるような、複数の入口16及び出口18、20を有する。具体的には、ツール14は、この明細書中に記載されているような、浸透物質入口16、浸透物質出口18及びシール出口20を有する。
【0015】
再利用可能な装置10は、周縁部24、硬化性材料12に対向しない第1面26、及び硬化性材料12に近接し対向する第2面28を有する1枚の材料シート22を備える。第2面28は、以下により詳細に説明される、複数の表面段差30を備える。周縁部24に近接する材料シート22の第2面28は、少なくとも1つの密封具32、34により、ツール14に密封される。
【0016】
材料シート22は、複合材を硬化するプロセス中など、高圧力及び/または高熱に曝されても、様々な種類の樹脂にほとんど接着されない可撓性材料で形成される。一実施形態において、材料シート22は、可撓性があり耐久性のあるゴムまたはシリコンのようなゴム状の材料から形成される。ゴム及び/またはゴム状の材料は、シート及び/またはスプレー形状に成形可能である。
【0017】
材料シート22は、航空機の部品または複合部品の形状のような所望の形状に合うように切断されるか、または、その他の方法で成形される。例えば、材料シート22は、図3に示されるように、4つの辺を有し且つツール14のほぼ平坦な表面上に置かれた硬化性材料を覆って配置されるように、4つの辺を備えた形状に形成される。または、例えば、材料シートは、マンドリル(図示されない)上の硬化性材料に巻きつけられてもよい。
【0018】
図3は、ツール14の浸透物質入口16、浸透物質出口18及びシール出口20が再利用可能な装置10に対してどのような位置に配置されるかを示すために、ツール14上に配置された再利用可能な装置10の模式的な上面図を示している。図3は、材料シート22の第2面28上の複数の表面段差30が第1面26から見られるように、材料シート22をほぼ透明であるものとして示している。しかしながら、材料シート22は、本発明の範囲から逸脱しなければ、透明でも、不透明でも、それらの組み合わせであってもよい。
【0019】
表面段差30は、材料シート22とツール14との間で、空気及び/または浸透物質の流れを助長する。表面段差30は、材料シート22に様々な形状をエンボス加工することにより形成される。あるいは、材料シート22が、様々な表面段差を含むような型(図示されない)で形成される。表面段差30は、図3に示されるように、第1の流路領域36、トラフ38、ダム40及び第2の流路領域42を備える。
【0020】
第1の流路領域36は、浸透物質の流れを硬化性材料12の全体に均等に向けるように形成され、複数の流路突起48を備える。例えば、流路突起48は、図3に示されるような、エンボス加工または成型された十文字パターン、あるいは、材料シート22の第2面から突出する複数の千鳥状に配置された円柱体を含むことができる。流路突起48は、硬化性材料12の上にほぼ均等に分布する複数の流路を提供するのに十分な、任意のパターンで配列された表面段差を備える。第1の流路領域36は、任意の形状及び寸法であってもよいが、硬化性材料12の形状及び寸法に適合することが好ましい。
【0021】
トラフ38は、浸透物質が第1の流路領域36を通過する前に分散される材料シート22の第2面28にエンボス加工または成型された細長い溝である。あるいは、トラフ38は、その内部に浸透物質が分散される細長い高浸透領域である。トラフ38は、第1の流路領域36の一端に配置され、硬化性材料12の幅全体にわたって均等に分散された流れをつくるために、第1の流路領域36及び/または硬化性材料12の幅に沿って延びている。
【0022】
ダム40は、材料シート22の第2面28の外側に広がる壁状の突出物である。ダム40は少なくとも部分的にトラフ38及び第1の流路領域36を取り囲んでいる。ダム40は、材料シート22に成型またはエンボス加工され、浸透物質が望まない方向へ流れるのを遮っている。ダム40は、第1の流路領域36とは反対側でトラフ38を囲むと共に第1の流路領域36の一部を囲む多数の壁またはほぼ連続した一つの壁を備える。しかしながら、本発明の様々な実施の形態において、ダム40は、第1の流路領域36の周りを完全に囲む連続的な境界を形成するのではなく、トラフ38とは逆の第1の流路領域36の端部に近接する開口部50を備え、この開口部50を通して第1の流路領域36から浸透物質を排出する方がよい。
【0023】
第2の流路領域42は、ダム40の外側で材料シート22の周縁部24に近接して位置している。第2の流路領域42は、複数の真空経路突起52を有している。例えば、真空経路突起52は、エンボス加工または成型された十文字パターン、あるいは、材料シート22の周縁部24に近接する材料シート22の第2面28から突出する複数の千鳥状に配置された円柱体を含むことができる。真空経路突起52は、材料シート12をツール14へ密封するために使用される第2の流路領域42の全体にわたってほぼ均等に分散された複数の流路を提供するのに十分な、任意のパターンに配列された表面段差を備える。
【0024】
密封具32、34は、材料シート22とツール14との間に気密シールを生じさせるための任意の装置または材料であってもよい。例えば、密封具32、34は、密封テープでもよい。あるいはまた、密封具32、34は、同時係属中の米国出願12/264,973号に開示されるような、ゴムまたはシリコンからなる密封具であってもよく、この米国出願に開示される内容はそのまま本明細書に参照として含まれる。米国出願12/264,973号に開示される一実施の形態は、ツール14に向かって下方へ力が加えられたとき、ツール14と共に吸盤のような密封をもたらす、ほぼ三日月形状の断面を有するゴムまたはシリコンからなる密封具である。
【0025】
密封具32、34は、材料シート22の第2面28に接着されるかまたは一体成形されている。密封具32、34の推奨すべき実施の形態は、周縁部24に近接し、第1の流路領域36、トラフ38及びダム40の周りを完全に取り囲むものである。本発明の様々な実施の形態において、密封具32、34は、第2の流路領域42の外側で且つ第2の流路領域42にほぼ隣接する第1の密封具32と、第2の流路領域42の内側で且つ第2の流路領域42にほぼ隣接する第2の密封具34を備えている。
【0026】
例えば、複合部品の形成において、再利用可能な装置10を利用する方法200が、図4に示されている。方法200の工程は、様々な命令及び/または本発明の範囲を逸脱することなく、追加または省略された工程とともに実行することができる。方法200は、はじめに、ステップ202に示されるように、ツール14上に硬化性材料12を配置する工程を有する。次に、ステップ204に示されるように、材料シート22が、硬化性材料12の上に配置される。材料シート22は、硬化性材料12より広い面積を有しており、周縁部24に近接する材料シート22の第2面28がツール14に密封される。
【0027】
図3に示されるように、材料シート22は、トラフ38がツール14の浸透物質入口16に近接して位置づけられるように、ツール14上に配置される。この位置において、浸透物質は、浸透物質入口16を通じてトラフ38内へ流入した後、トラフ38全体に広がり、さらに、トラフ38から第1の流路領域36の幅全体にわたって均等に流出する。第1の流路領域36の第2の周縁部46及び/またはダム40の開口部50は、ツール14の浸透物質出口18に近接して位置づけられる。真空ポンプ(図示されない)は、材料シート22とツール14との間から、空気及び/または少なくとも浸透物質の一部を吸引するために浸透物質出口18に接続される。そのため、浸透物質は、真空ポンプにより、浸透物質入口16を通じて中に吸引され、トラフ38内へ入り、第1の流路領域36を抜け、浸透物質出口18を介して排出される。
【0028】
第1及び第2の密封具32、34は、ツール14のシール出口20が第1及び第2の密封具32、34の間に配置され、ツール14に対して材料シート22の真空吸引を維持するように位置づけられる。複数の真空経路突起52の間に形成された流路により、空気がシール出口20を通じて吸引されると、第2の流路領域42は、第1及び第2の密封具32、34の間でツール14に対して均等に押圧される。
【0029】
ステップ206に示されるように、材料シート22がツール14に適切に位置合わせされると、方法200は、密封具32、34を用いて、材料シート22の周縁部24に近接する材料シート22の第2面28をツール14へ密封する工程を有する。例えば、材料シート22に接着されるまたは一体成形されている密封具32、34は、ツール14のシール出口20が第1及び第2の密封具32、34の間に位置するようにツール14に対して配置される。そして、吸引力を作用させて、シール出口20から空気を排出し、これにより、第1及び第2の密封具32、34と第2の流路領域42がツール14に対してしっかりと押圧される。第1及び第2の密封具32、34がツール14に押圧されることで、材料シート22とツール14との間で硬化性材料12の周りに気密シールが形成される。
【0030】
さらに、ステップ208に示されるように、方法200は、浸透物質出口18を通じて材料シート22とツール14との間から空気を吸引する工程も有する。先述したように、これは、真空ポンプを浸透物質出口18に取り付けることにより達成される。材料シート22とツール14との間から空気がポンプその他の方法で排出されると、同時に、浸透物質が、少なくとも1つの浸透物質入口16を通じて引かれ、また、第1の流路領域36及び硬化性材料12を通じて引かれる。それから、ステップ210に示されるように、浸透物質の少なくとも一部が、浸透物質出口18から流出する。しかしながら、浸透物質は、硬化性材料12を通して流れるため、少なくとも浸透物質の一部は、硬化性材料12に浸透し、浸透物質出口18から流出されない。
【0031】
浸透物質が、第1の流路領域36を通して引かれると、空気だけでなく浸透物質も浸透物質出口18及び浸透物質入口16を通過しないように、浸透物質入口16及び浸透物質出口18はそれぞれ覆われるか、密封されるか、または閉鎖される。しかしながら、シール出口20は、材料シート22の第2の流路領域42を真空吸引するための真空ポンプまたはその他の装置に接続したままとされる。次に、ステップ212に示されているように、硬化性材料12が、加熱により硬化される。硬化性材料12を硬化する間、シール出口20を介して真空吸引することにより、空気が材料シート22とツール14との間から漏入することが防止される。
【0032】
硬化性材料12が硬化されると、材料シート22は取り除かれる。材料シート22が、特に、ゴムやシリコンで作られた場合、従来の真空バッグと違い、材料シート22は、浸透物質が材料シート22に接着しないような自己解放機能を有するので、再利用可能である。それにより、材料シート22が可撓性を有したまま、硬化性材料12が硬化されるので、材料シート22は再利用が可能となる。さらに、第1及び第2の密封具32、34のいずれかが、ゴムまたはシリコンのような材料シート22と同じ材料で構成されれば、それらもまた再利用されることが可能である。
【0033】
本発明は、添付図面に示される実施の形態を参照して説明されたが、請求項に記載される発明の範囲から逸脱しなければ、均等物の使用及び代替物による置き換えが可能である。例えば、再利用可能な装置10は、密封具32、34の一方または両方と材料シート22を備えていてもよいが、あるいは、再利用可能な装置10が材料シート22のみを備え、代わりに他の再利用可能でない密封具が材料シート22をツール14へ密封するために用いられてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールに対して硬化性材料を密封し、硬化性材料を介して浸透物質を分散する再利用可能な装置であって、
前記硬化性材料と対向しないように形成された第1面と、
前記硬化性材料と対向するように形成された第2面と、
前記第1面と前記第2面との間に広がる周縁部と、
前記第2面に形成され、浸透物質の流れを硬化性材料全体に均等に向けるように形成された複数の表面段差と
を備えた再利用可能な装置。
【請求項2】
表面上に前記表面段差が形成されているゴムまたはゴム状の材料シートから形成された請求項1に記載の再利用可能な装置。
【請求項3】
前記浸透物質は液体樹脂である請求項1に記載の再利用可能な装置。
【請求項4】
前記硬化性材料は、乾燥複合材である請求項1に記載の再利用可能な装置。
【請求項5】
前記材料シートは、ゴム及びシリコンの少なくとも一方からなる請求項2に記載の再利用可能な装置。
【請求項6】
前記表面段差は、前記浸透物質を前記硬化性材料全体にわたって均等に分散するための複数の流路を提供するように形成された複数の流路突起を有する第1の流路領域を備えている請求項1に記載の再利用可能な装置。
【請求項7】
前記表面段差は、ほぼ前記硬化性材料の幅に沿って延び、前記流路領域の一端に配置された伸長トラフをさらに備える請求項6に記載の再利用可能な装置。
【請求項8】
前記表面段差は、前記材料シートの前記第2面から突出し且つ少なくとも部分的に前記第1の流路領域及び前記伸長トラフを取り囲むダムをさらに備える請求項7に記載の再利用可能な装置。
【請求項9】
前記表面段差は、前記周縁部に近接する前記材料シートの第2面を前記ツールに対し均等に押圧して密封するための複数の真空経路突起を有した第2の流路領域をさらに備える請求項1に記載の再利用可能な装置。
【請求項10】
前記周縁部に隣接する前記第2の流路経路の外側にある第1の密封具と、
前記第2の流路経路の内側にある第2の密封具と
をさらに備え、
前記第1及び第2の密封具は、前記ツールに前記材料シートの第2面を密封して前記硬化性材料の周りに完全な境界を形成するように構成される請求項9に記載の再利用可能な装置。
【請求項11】
前記第1及び第2の密封具の少なくとも一方は、前記ツールに向かって下方へ力が加えられたときに、前記ツールに対して吸盤状の密封をもたらすほぼ三日月形状の断面を有する請求項10に記載の再利用可能な装置。
【請求項12】
前記第1の流路領域は、前記ツールの浸透物質入口と浸透物質出口との間に位置づけられ、前記伸長トラフは、前記ツールの前記浸透物質入口に近接して位置づけられる請求項7に記載の再利用可能な装置。
【請求項13】
前記第1及び第2の密封具は、前記ツールのシール出口の片側に位置づけられ、前記シール出口は、真空ポンプに取り付けられて前記ツールに対する前記第1及び第2の密封具の真空吸引を維持する請求項10に記載の再利用可能な装置。
【請求項14】
ツールに対し硬化性材料を真空密封するとともに硬化性材料を介して浸透物質を分散するための所望の形状にほぼ適合するのに十分な薄さと可撓性を有するゴムシートであって、
前記硬化性材料と対向しない第1面と、
前記硬化性材料に隣接するとともに対向する第2面と、
前記第1面と前記第2面との間に沿って延びる周縁部と、
前記第2面と一体化し且つ前記硬化性材料全体にわたって前記浸透物質を均等に分散する複数の流路を提供する流路段差を備える第1の流路領域と、
前記第2面に形成され、ほぼ前記硬化性材料の幅に沿って延び、前記第1の流路領域に近接して配置される伸長トラフと、
前記第2面と一体化するとともに前記第2面から突出し、前記第1の流路領域と前記伸長トラフを少なくとも部分的に取り囲むダムと、
前記周縁部に近接する前記第2面を前記ツールに対して均等に吸引する複数の流路を提供する表面段差を備える第2の流路領域と、
前記第2の流路領域の外側に位置する連続した第1の密封具と第2の流路領域の内側に位置する連続した第2の密封具とを有して前記第2面と前記ツールとの間に気密シールを形成するための密封具と
を備えたゴムシート。
【請求項15】
前記伸長トラフが前記ツールの浸透物質入口に近接して位置づけられ、前記第1の流路領域が前記ツールの前記浸透物質入口と前記浸透物質出口との間に位置づけられ、前記第1及び第2の密封具の間に前記ツールのシール出口が配置されて前記ツールに対する前記ゴムシートの真空吸引を維持すべく前記第1及び第2の密封具が位置づけられるように前記ゴムシートが形成される請求項14に記載の再利用可能な装置。
【請求項16】
前記浸透物質は、液体樹脂である請求項14に記載の再利用可能な装置。
【請求項17】
前記硬化性材料は、乾燥複合材である請求項14に記載の再利用可能な装置。
【請求項18】
前記ゴムシートは、シリコンからなる請求項14に記載の再利用可能な装置。
【請求項19】
前記ダムは、前記トラフとは反対側の前記第1の流路領域の端部に近接する開口部を備え、前記浸透物質が前記開口部を通じて前記第1の流路領域へ排出される請求項14に記載の再利用可能な装置。
【請求項20】
前記第1及び第2の密封具はゴムからなり、前記ゴムシートと一体化し、前記ツールに向かって下方に力が加えられたとき、前記第1及び第2の密封具のそれぞれが、前記ツールに対して吸盤状の密封をもたらすほぼ三日月形状の断面を有する請求項14に記載の再利用可能な装置。
【請求項21】
少なくとも1つの真空ポンプ入口と少なくとも1つの真空ポンプ出口とを有するツール上に複合材を配置する工程と、
前記複合材と対向しない第1面と、前記複合材に隣接するとともに対向する第2面と、前記第1面と前記第2面との間との間に沿って延びる周縁部と、前記第2面と一体化し且つ前記複合材全体にわたって浸透物質を均等に分散するための複数の流路を提供するように形成されたパターンの表面段差を有する第1の流路領域とを含むゴムシートを前記複合材の上に配置する工程と、
密封具を用いて前記ゴムシートの前記周縁部に近接する前記ゴムシートの前記第2面を前記ツールに密封する工程と、
前記ゴムシートと前記ツールとの間から少なくとも1つの真空ポンプ出口を通じて空気を吸引する工程と、
少なくとも1つの真空ポンプ入口から前記第1の流路領域と前記複合材を通して液体樹脂を注入し、少なくとも1つの真空ポンプ出口から排出する工程と、
前記複合材を加熱により硬化する工程と
を備えた、再利用可能な材料で複合部品を形成するための方法。
【請求項22】
前記ゴムシートを密封する工程は、
前記第2の流路領域の外側に位置する第1の密封装置と前記第2の流路領域の内側に位置する第2の密封装置との間で且つ前記ゴムシートの前記第2面の第2流路領域に近接して位置づけられる前記ツールのシール出口を通じて真空吸引する工程を含み、
前記ゴムシートと前記ツールとの間で空気が漏れるのを防止するために、加熱により前記複合材を硬化する間にわたって前記真空吸引が行われる請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−507416(P2012−507416A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534599(P2011−534599)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/060595
【国際公開番号】WO2010/053666
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(510150145)スピリット アエロシステムズ,アイエヌシー. (3)
【Fターム(参考)】