説明

再利用可能な自己注入器

注入装置は、流体を保持するチャンバ(112)を含む第1のサブアセンブリ(110)、およびチャンバ内部に移動可能に配された運搬アセンブリ(116)を含む。チャンバは、出口孔および内表面を含み、運搬アセンブリは、その周辺部の周りで内表面と実質的に接触する外表面を有する。運搬アセンブリは、運搬アセンブリがチャンバ内部で動くと流体をチャンバ内へ運ぶように構成される。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、注入装置、特に、患者に皮下注射する前にバイアルから薬剤が内部に運ばれ得る、再利用可能な自己注入器装置に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
薬物を患者に送達するため自動注入装置(一般的に自己注入器として知られる)を使用することは、手動注射器にまさる多くの利益を提供してきた。特に、自己注入器は、薬剤を患者に送達するために病院職員にかかる負担を軽減するのに役立ってきた。これは、患者が、確実かつ安全に、また自宅で、その装置を自分自身に使用することができるためである。
【0003】
既知の自己注入器は、WO95/35126およびEP−A−O 516 473に記載されている。これらの、また同様の自己注入器は、典型的には、下準備をして(primed)(すなわち予めバネ付きで)提供され、患者に注入するために使用される用意ができている。このような理由で、薬剤を自己注入器に挿入することが困難であり、結果として、このような自己注入器の製造業者は、典型的には、自己注入器に使用される予め充填された注射器、または特定の薬剤が予め充填されている完成した自己注入器ユニットを提供してきた。
【0004】
このことは、別の状況で自己注入器に必要とされるよりも、複雑で高価な製造プロセスを必要とする。これは、製造業者が、薬剤を入手および提供し、かつそれらの薬剤を保管し取り扱う施設を維持しなければならないためである。さらに、製造業者は、必要とされる各薬剤について、別々の生産ラインを動かさなくてはならない。
【0005】
医学的用途の薬剤はしばしば、標準的なバイアル中で製造および分配される。このように、薬剤は、薬剤が最終的に使用される方法に関わらず、便利に、また比較的安価に、大量に供給されることができる。
【0006】
予め充填された注射器に頼るのではなく、標準的なバイアルから薬剤を抜き出すことのできる自己注入器装置を提供する際、著しいコスト削減を行うことができる。このような装置は、あつらえの薬剤充填済み装置をもはや提供する必要がなくなる製造業者だけでなく、簡易化された在庫システムを享受し、習慣的に(on a regular basis)使用される標準的なバイアルを利用することができる病院、および、自己投与のためのバイアルの蓄え(supply)を備えることのできる患者にも恩恵を与える。
【0007】
さらに、バイアルの使用により、より大きな割合の自己注入器装置を再利用する可能性が許容される。典型的には、自己注入器は、2つのサブアセンブリで提供される。第1のサブアセンブリは、操作機構、および他の全ての再利用可能な構成要素を含み、第2のサブアセンブリは、装置を使用するたびに取り替えなければならない注入構成要素を収容する。
【0008】
第2のサブアセンブリのコストにおける主要因子は、注入されるべき薬剤が予め充填されたチャンバを設けることである。前記に説明したように、様々な範囲の注射器を提供することは、自己注入器の製造プロセスの、高価で時間のかかる側面である。標準的なバイアルの使用により、このコストを減らすことができる。
【0009】
〔発明の概要〕
本発明は、前記の問題を解決することを目的とする。したがって、注入装置は、流体を保持し、かつ出口孔および内表面を含む、チャンバを含む、第1のサブアセンブリと、チャンバ内部に移動可能に配され、外表面を有する運搬アセンブリであって、この外表面は、その周辺部の周りで内表面と実質的に接触する、運搬アセンブリと、を含み、運搬アセンブリは、運搬アセンブリがチャンバ内で動かされると、流体をチャンバ内へ運ぶように構成されている。
【0010】
あつらえの運搬アセンブリによって流体が内部に運ばれ得るチャンバを有する、自己注入器などの注入装置を提供することは、先行技術にまさる少なくとも2つの利益を有する。まず、自己注入器装置の製造業者は、再利用可能なサブアセンブリに挿入されるべき様々な範囲の予め充填された注射器を製造する必要がなくなる。むしろ、製造業者は、注入の直前に任意の様々な薬剤が内部に運ばれ得る、本発明による1種類のサブアセンブリを代わりに提供することができる。この1種類のサブアセンブリは、大量に生産されることができるので、製造コストが減少する。
【0011】
この利点は、本発明があらゆる種類の容器(薬剤がその容器からチャンバ内へ運ばれ得る)と共に使用されることができる第2の利益につながる。特に、本発明は、標準的なバイアルと共に使用されることができる。
【0012】
さらに、本発明により、より多くの割合の針アセンブリを再利用することができる。既知の自己注入器システムは、予め充填された注射器を必要とするが、針装置内部のチャンバの中に流体を運ぶ能力により、より大きな再利用性の範囲が可能となる。
【0013】
流体が内部に運ばれるチャンバの容量は、運搬アセンブリの遠位端部と出口孔との間の空間によって定められる。その結果、この容量は、ストッパーが出口孔から遠ざかると増大する。容量の増大は、チャンバ内の圧力の初期減少を引き起こし、これによって、チャンバ内へ流体が引き込まれる。当然、代替的な実施形態では、チャンバ容量の増大、および対応する効果は、運搬アセンブリを出口孔に向かって動かすことにより達成されることができる。チャンバ内に流体を引き込むためチャンバ容量の増大を達成する他の実施形態も想定される。
【0014】
好ましくは、運搬アセンブリは、運搬アセンブリが出口孔から離れるようにチャンバに対して動かされると、チャンバ内に流体を運ぶように構成される。
【0015】
オプションとして、運搬アセンブリは、流体容器を受容するように構成される。そのような実施形態では、アセンブリは、出口孔から離れるようにチャンバに対して動かされたときに、容器からチャンバ内へ流体を運ぶようにさらに構成されることができる。流体源として容器を使用することにより、追加の利益がもたらされる。注入されるべき流体の容器を入手し、設置し、取り替えることは簡単であり、装置を何ら改変することなく異なる流体が提供されることができる。流体源を提供する他の方法が企図されるが、流体容器を運搬アセンブリに直接挿入することは、簡単であり、必要な構成要素の数を減らす。装置の他の所に位置する容器に流体経路を提供するなどの、他のアプローチは、例えば、アクセスしやすさの点で、さらなる利益を提供することができる。
【0016】
適切な容器は、薬剤を収容し、運搬アセンブリと何らかの形で協調するように構成された任意の容器を含むことができる。したがって、流体薬物を収容および輸送するのに使用される標準的なバイアルが、本発明と組み合わせて使用され得る。このようにして、薬剤を注射器内に運ぶプロセスが完全に患者によって行われ得るので、自己注入器システムを提供するコストは、大いに減少し、標準的なバイアルは、入手しやすく、コストが低い。
【0017】
ある実施形態では、運搬アセンブリは、中空の流体運搬針を含んでよく、この針は、この中空の針を通って流体容器からチャンバ内に入る流体経路を形成するため、流体容器に係合するように構成される。あるいは、針は、一方向弁を含む流体通路を含んでよい。これにより、チャンバ内への運搬が可能となるが、チャンバから外へは運搬されない。
【0018】
典型的には、薬剤を収容するのに使用される容器は、貫通可能なホイルまたはゴムのキャップを備えている。運搬アセンブリ上に設けられ、キャップを貫通するように構成された中空の針は、容器とチャンバとの間で流体導管の一部を形成することができる。当然、針は単に好ましいだけである。容器の特定の構成に従って他の手段を提供することもできる。例えば、容器が弁を含むものである場合、流体をチャンバ内に運ぶ手段は、流体密封シールによって弁に接続された中空通路を含むことができる。流体を容器から運ぶ手段を含む他の実施形態も、想定される。
【0019】
オプションとして、運搬アセンブリは、運搬アセンブリから出る流体の動きを遮断するためストッパーを含むことができる。そのような実施形態では、流体運搬針は、ストッパーを通してチャンバ内へ流体を送達するためにストッパーを貫通するように構成される。ストッパーは、運搬アセンブリとチャンバとの間でシールを保持する上でさらなる利益をもたらす。ストッパーはまた、出口孔以外を通ってチャンバから流体が出るのを防ぐ。
【0020】
ある実施形態では、運搬アセンブリは、流体運搬針に取り付けられ、運搬アセンブリ内部に移動可能に配されたグリップを含む。グリップは、容器が運搬アセンブリに挿入されると容器と共に動くように構成され、それにより、出口孔に向けて流体運搬針を動かしてチャンバと流体連通させる。このような実施形態は、容器とチャンバとの間の流体導管を確立する容易さを改善する。好ましくは、針は、グリップから十分に突出して、容器が運搬アセンブリと係合されると容器のキャップを貫通する。容器を運搬アセンブリに押し込むことにより、容器のキャップは、運搬アセンブリ内部で針と共に、グリップに隣接しグリップを駆動することができ、針はストッパーを貫通する。
【0021】
容器が運搬アセンブリと係合された際に容器を固定するため、容器を受容し固定するように構成された開口部を有するポートが提供されてもよい。このポートは、出口孔に近位の端部とは反対側の、運搬アセンブリ端部に位置するのが好ましい。
【0022】
ある実施形態では、運搬アセンブリは、機構の作動時にチャンバ内部で出口孔から離れるように構成されてよく、それにより、流体がチャンバに引き込まれる。好ましくは、機構は、使用者により作動され、問題のアクチュエータは、装置上で容易にアクセス可能である。さらに好ましくは、作動は、注入器のハウジングの一部を作動させることにより達成される。一実施形態では、運搬アセンブリは、第1のサブアセンブリの回転時に出口孔から離れるように構成される。しかしながら、この作動は、単に好ましいに過ぎず、運搬アセンブリをチャンバ内部で動かす任意の機構を用いることができる。
【0023】
他の実施形態では、注入装置は、第2のサブアセンブリを含む。オプションとして、第1のサブアセンブリおよび運搬アセンブリは、第2のサブアセンブリから分離可能である。分離性により、装置のある部分を再利用し、他の部分を取り替えることができる。好ましくは、第2のサブアセンブリは再利用可能である。第1のサブアセンブリは、衛生的理由から、または使用済みであるという理由で廃棄されなければならない構成要素を含み得るが、第2のサブアセンブリは、針装置を操作する駆動機構を含み得る。
【0024】
前記の実施形態では、運搬アセンブリは、第1のねじ山を含んでよく、第2のサブアセンブリは、第1のねじ山と係合可能な第2のねじ山を含んでよい。ねじ山を設けることにより、第1のサブアセンブリは第2のサブアセンブリに対して回転するように構成されることができる。回転の結果、第2のサブアセンブリは、チャンバ内部で運搬アセンブリを出口孔から遠ざける。
【0025】
他の実施形態では、運搬アセンブリは、運搬アセンブリが出口孔に向かって動くとチャンバ内部に保持された流体を放出するようにさらに構成される。
【0026】
本発明は、添付図面を参照して、例として説明される。
【0027】
〔図面の詳細な説明〕
図1〜図3は、本発明による注入装置100の第1のサブアセンブリ110を示す。
【0028】
第1のサブアセンブリ110は、流体を保持するチャンバ112を含む。チャンバ112は、出口孔114、および内表面を含む。運搬アセンブリ116が、チャンバ112内部に移動可能に配されており、運搬アセンブリ116は、その周辺部の周りで内表面と実質的に接触する外表面を有している。運搬アセンブリ116は、以下にさらに詳細に説明するように、運搬アセンブリ116がチャンバ112内部で動くとチャンバ内に流体を運ぶように構成されている。
【0029】
第1のサブアセンブリ110は、支持構造体134をさらに含み、支持構造体134は、チャンバ112の外周辺部を定め、運搬アセンブリ116を収容する。運搬アセンブリ116は、支持構造体134内部で動くように構成される。
【0030】
注入針136が、出口孔114と流体連通している。注入針は、患者の皮膚を貫通し、流体を皮下注入するように構成されている。
【0031】
運搬アセンブリ116は、近位端部および遠位端部を含む。図1に描くように、運搬アセンブリ116の遠位端部は、出口孔114と実質的に接触している。
【0032】
近位端部には、運搬アセンブリは、キャップ122を含み流体124を収容するバイアル120を受容するように構成されたポート126を含む。ポート126は、バイアル120を受容し、バイアルを運搬アセンブリ116内部で固定するようなサイズである。
【0033】
遠位端部には、運搬アセンブリ116は、運搬アセンブリ116を出入りする流体の動きを遮断するためのストッパー128を含む。ストッパー128は、ゴムから作られるが、他の柔軟な材料を使用してもよい。
【0034】
運搬アセンブリ116は、中空の流体運搬針118をさらに含む。運搬針118は、ポート126から、ストッパー128に隣接する位置まで延び、バイアルキャップ120およびストッパー128をそれぞれ貫通するように構成された近位端部および遠位端部を含む。
【0035】
グリップ130が、針118を取り囲み、針118に取り付けられている。グリップ130は、針118と共に、運搬アセンブリ116内部で移動可能である。図1に示すように、グリップ130は、ポート126内へ突出している。
【0036】
図2は、バイアル120と係合した第1のサブアセンブリ110を示す。示すように、バイアル120は、針118の近位端部が、バイアル120のキャップ122を貫通し、流体124の中へ延び、かつバイアル120とチャンバ112との間の流体導管の第1の部分を形成することができるように、ポート126と係合している。
【0037】
いったんポート内で係合すると、バイアル120のキャップ122は、針118に取り付けられたグリップ130に隣接する。グリップ130は、針の近位端部から十分な距離で、針118上に位置し、針118がキャップ122を貫通して流体へのアクセスを得ることを可能にする。
【0038】
図3に示すように、バイアル120のさらなる係合により、キャップ122は、グリップ130に力を及ぼし、運搬アセンブリ116を通して針118と共にグリップ130を動かす。この動きにより、針118の遠位端部はストッパー128を貫通して、バイアル120とチャンバ112との間の流体導管の第2の部分を形成する。
【0039】
このように、運搬アセンブリ116とのバイアル120の係合により、バイアル120とチャンバ112との間に完全な流体経路が作り出され、流体がバイアル120とチャンバ112との間で運ばれる。
【0040】
図3の構成では、第1のサブアセンブリ110は、バイアル120からチャンバ112まで流体を運ぶように構成されている。キャップおよびストッパーを貫通した中空の針により、流体導管がバイアル120とチャンバ112との間に存在する。運搬アセンブリ116がチャンバ112の出口孔114から遠ざかることで、流体がバイアル120から、針を通って、チャンバ112内に運ばれる。
【0041】
図4〜図8は、第2のサブアセンブリ210との第1のサブアセンブリ110の係合を示す。いったん係合すると、2つのサブアセンブリは、自己注入器を形成する。
【0042】
第2のサブアセンブリ210は、ハウジング220、およびトリガー機構222を含む。ハウジング220内部には、バイアル120からチャンバ112に流体を運ぶため、バネ214、駆動ロッド216、および運搬アセンブリ116に係合する係合機構218を含む駆動手段212がある。
【0043】
図4で分かるように、運搬アセンブリ116は、アセンブリ116の外表面上に配された第1のねじ山132を含む。係合機構218は、機構218の内表面上の第2のねじ山(不図示)を含む。第2のねじ山は、第1のねじ山132と係合できるように構成される。
【0044】
第2のサブアセンブリ210は、第2のサブアセンブリの遠位端部における開口部を通して第1のサブアセンブリ110を第2のサブアセンブリ210内部でスライドさせることによって、第1のサブアセンブリ110と係合される。バイアル120および運搬アセンブリ116は、第1および第2のねじ山を係合させるために、係合機構218内に納まるように構成される。適切な整列を支援するため、支持構造体134の近位端部は、図5に示すように、第1のサブアセンブリ110および第2のサブアセンブリ210が完全に係合したときに、係合機構218の遠位端部と接触する。
【0045】
係合機構218の凹部224は、空間を提供し、その空間の中に、バイアル120および運搬アセンブリが動かされて、流体をバイアルからチャンバに運ぶことができる。この動きは、第2のサブアセンブリ210に関して第1のサブアセンブリ110が回転することにより生じる。第1のサブアセンブリ110の回転により、運搬アセンブリ116の第1のねじ山が係合機構218の第2のねじ山に関連して回転し、それにより、運搬アセンブリ116がチャンバ112の出口孔から遠ざかって係合機構218の凹部224に入る。
【0046】
図6は、運搬アセンブリ116およびバイアル120が、相互接続する第1および第2のねじ山132の操作によって、凹部の中に後退している、注入装置100を示す。運搬アセンブリ116が出口孔114から遠ざかると、チャンバ112の利用可能容量は増大する。図6に描かれた構成では、チャンバ112は、実質的に最大容量である。
【0047】
チャンバの容量が増大すると、その容量の圧力は減少し、バイアルとチャンバとの間の圧力差により、流体がバイアルから針を通ってチャンバ112に引き込まれる。図示のとおり、注入装置100は、チャンバ112から、出口孔を通って患者内へ流体を注入することを可能にするように下準備される。
【0048】
図6〜図8は、バイアル120からチャンバ112へ、チャンバ112から患者へ運ばれている流体の注入を示す。
【0049】
自己注入器は、駆動手段212を作動させるように構成されたトリガー222を含む。作動すると、駆動手段212は、流体を患者に注入するために2つの別個の工程を実行するように構成される。最初に、駆動手段は、注入アセンブリ(駆動ロッド216、係合機構218、運搬アセンブリ116、バイアル120、支持構造体134、チャンバ112、出口孔112、および送達針136を含む)を、ハウジング220に関して患者に向けて延ばすように構成される。この工程により、送達針136の少なくとも一部が、図6に示すようにハウジング222の外側に露出される。支持構造体134は、第1のサブアセンブリのフランジ140に隣接するアーム138を含んで、注入アセンブリが所望の点より遠くまで延びるのを防ぐ。
【0050】
第2に、駆動手段は、出口孔114に向けて運搬アセンブリ116を駆動するように構成される。運搬アセンブリが動くと、チャンバ内側の利用可能容量は減少し、チャンバ112内部の流体が、出口孔114から押し出される。流体を出口孔114に通すのに必要な力は、流体を運搬針118の中に戻すのに必要な力より小さい。その結果、流体は、チャンバ112から、出口孔114および注入針136を通って患者の中に入る。
【0051】
図7に示すように、第2の工程は、ハウジング220に関して患者に向かって延びる駆動ロッド216により行われる。駆動ロッド216は、バイアル120に接触し、チャンバ112を通して運搬アセンブリ116と共にバイアル120を駆動して、チャンバ112内の流体に圧力を及ぼす。圧力が十分である場合、流体は、チャンバ112から出て、注入針136を通って患者の中に入る。
【0052】
流体の注入後、駆動手段212は、図8に描くように、針136を含む針アセンブリをハウジング内に後退させるように構成される。
【0053】
いったん流体が注入されると、第2のサブアセンブリ210は、第1のサブアセンブリ110から分解されて、再利用されることができる。第1のサブアセンブリ110は、廃棄されてよく、新しい第1のサブアセンブリ110が、次の注入のために提供されるか、または再利用のため滅菌されることができる。
【0054】
請求項で定義される、本発明の範囲から逸脱せずに、説明した実施形態に対して改変が行われてよいことが理解されるであろう。
【0055】
〔実施の態様〕
(1) 注入装置において、
第1のサブアセンブリであって、
流体を保持し、出口孔および内表面を含む、チャンバ、
を含む、第1のサブアセンブリと、
前記チャンバ内部に移動可能に配され、外表面を有する運搬アセンブリであって、前記外表面は、その周辺部の周りで前記内表面と実質的に接触し、前記運搬アセンブリは、前記運搬アセンブリが前記チャンバ内部で動くと流体を前記チャンバ内に運ぶように構成されている、運搬アセンブリと、
を含む、注入装置。
(2) 実施態様1に記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、前記運搬アセンブリが前記チャンバに対してその出口孔から離れるように動くと、流体を前記チャンバ内に運ぶように構成される、注入装置。
(3) 実施態様1または2に記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、流体容器を受容し、前記運搬アセンブリが前記チャンバに対して動くと前記容器から前記チャンバの中へ流体を運ぶように構成される、注入装置。
(4) 実施態様3に記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、中空の流体運搬針を含み、前記中空の流体運搬針は、前記中空の針を通って前記容器から前記チャンバ内へ入る流体経路を形成するために前記流体容器に係合するように構成される、注入装置。
(5) 実施態様4に記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、前記運搬アセンブリから出る流体の動きを遮断するためのストッパーをさらに含み、
前記流体運搬針は、前記ストッパーを通して前記チャンバ内へ流体を送達するために前記ストッパーを貫通するように構成される、注入装置。
【0056】
(6) 実施態様5に記載の注入装置において、
前記流体運搬針に取り付けられ、前記運搬アセンブリ内部に移動可能に配された、グリップ、
をさらに含み、
前記グリップは、前記容器が前記運搬アセンブリに挿入されると前記容器と共に移動するように構成され、それにより、前記出口孔に向けて前記流体運搬針を動かして前記チャンバと流体連通させる、注入装置。
(7) 実施態様3〜6のいずれかに記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、前記出口孔とは反対側の端部で前記容器を受容および固定するように構成された開口部を有するポートをさらに含む、注入装置。
(8) 実施態様1〜7のいずれかに記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、前記第1のサブアセンブリが回転すると前記チャンバ内部で前記出口孔から遠ざかるように構成され、それにより流体を前記チャンバに引き込む、注入装置。
(9) 実施態様8に記載の注入装置において、
第2のサブアセンブリ、
をさらに含み、
前記運搬アセンブリは、第1のねじ山を含み、
前記第2のサブアセンブリは、前記第1のねじ山と係合可能な第2のねじ山を含み、
前記第1のサブアセンブリは、前記第2のサブアセンブリに対して回転するように構成され、前記第2のサブアセンブリは、前記出口孔から離れるように前記チャンバ内部で前記運搬アセンブリを動かすように構成される、注入装置。
(10) 実施態様1〜9のいずれかに記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、前記運搬アセンブリが前記出口孔に向かって動くと、前記チャンバ内部に保持された流体を放出するようにさらに構成される、注入装置。
【0057】
(11) 実施態様1〜10のいずれかに記載の注入装置において、
前記出口孔と流体連通する注入針、
をさらに含む、注入装置。
(12) 実施態様11に記載の注入装置において、
解放可能な駆動機構、
をさらに含み、
前記解放可能な駆動機構は、作動されると、
(a)前記注入針が前記注入装置のハウジングの完全に内側にある後退位置から、前記注入針が少なくとも部分的に前記ハウジングの外側にある延出位置まで、前記チャンバおよび前記注入針を動かし、
(b)その後、前記出口孔に向けて前記チャンバ内部で前記運搬アセンブリを動かして、流体を前記注入針から放出する、
ように構成される、注入装置。
(13) 実施態様12に記載の注入装置において、
前記流体が放出された後で前記注入針を前記ハウジング内に後退させるように構成された、後退機構、
をさらに含む、注入装置。
(14) 実施態様9、または実施態様9に従属する実施態様10〜13のいずれかに記載の注入装置において、
前記第1のサブアセンブリおよび前記運搬アセンブリは、前記第2のサブアセンブリから分離可能であり、
前記第2のサブアセンブリは、再利用可能である、注入装置。
(15) 運搬アセンブリを有する注入装置を下準備する方法において、
前記注入装置の前記運搬アセンブリに容器を挿入することであって、前記注入装置は、出口孔を有するチャンバを含み、前記運搬アセンブリは、中空の針を含み、前記チャンバ内部に移動可能に配されている、挿入することと、
前記容器と前記チャンバとの間に流体導管を形成するために前記中空の針で前記容器を貫通することと、
前記運搬アセンブリを前記チャンバ内部で動かし、それによって流体を前記容器から前記チャンバに引き込むことと、
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による自己注入器に使用される第1のサブアセンブリの側面図である。
【図2】バイアルと係合した図1の第1のサブアセンブリの側面図である。
【図3】バイアルと係合した第1のサブアセンブリの第2の側面図である。
【図4】本発明による自己注入器に使用される第2のサブアセンブリと係合した第1のサブアセンブリの側面図である。
【図5】第1および第2のサブアセンブリで構成される、本発明による自己注入器の側面図である。
【図6】バイアルからチャンバ内に流体を運ぶことによって下準備されている自己注入器の側面図である。
【図7】針を露出し流体を注入するために作動されている自己注入器の側面図である。
【図8】針が作動後に後退している、自己注入器の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入装置において、
第1のサブアセンブリであって、
流体を保持し、出口孔および内表面を含む、チャンバ、
を含む、第1のサブアセンブリと、
前記チャンバ内部に移動可能に配され、外表面を有する運搬アセンブリであって、前記外表面は、その周辺部の周りで前記内表面と実質的に接触し、前記運搬アセンブリは、前記運搬アセンブリが前記チャンバ内部で動くと流体を前記チャンバ内に運ぶように構成されている、運搬アセンブリと、
を含む、注入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、前記運搬アセンブリが前記チャンバに対してその出口孔から離れるように動くと、流体を前記チャンバ内に運ぶように構成される、注入装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、流体容器を受容し、前記運搬アセンブリが前記チャンバに対して動くと前記容器から前記チャンバの中へ流体を運ぶように構成される、注入装置。
【請求項4】
請求項3に記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、中空の流体運搬針を含み、前記中空の流体運搬針は、前記中空の針を通って前記容器から前記チャンバ内へ入る流体経路を形成するために前記流体容器に係合するように構成される、注入装置。
【請求項5】
請求項4に記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、前記運搬アセンブリから出る流体の動きを遮断するためのストッパーをさらに含み、
前記流体運搬針は、前記ストッパーを通して前記チャンバ内へ流体を送達するために前記ストッパーを貫通するように構成される、注入装置。
【請求項6】
請求項5に記載の注入装置において、
前記流体運搬針に取り付けられ、前記運搬アセンブリ内部に移動可能に配された、グリップ、
をさらに含み、
前記グリップは、前記容器が前記運搬アセンブリに挿入されると前記容器と共に移動するように構成され、それにより、前記出口孔に向けて前記流体運搬針を動かして前記チャンバと流体連通させる、注入装置。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項に記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、前記出口孔とは反対側の端部で前記容器を受容および固定するように構成された開口部を有するポートをさらに含む、注入装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、前記第1のサブアセンブリが回転すると前記チャンバ内部で前記出口孔から遠ざかるように構成され、それにより流体を前記チャンバに引き込む、注入装置。
【請求項9】
請求項8に記載の注入装置において、
第2のサブアセンブリ、
をさらに含み、
前記運搬アセンブリは、第1のねじ山を含み、
前記第2のサブアセンブリは、前記第1のねじ山と係合可能な第2のねじ山を含み、
前記第1のサブアセンブリは、前記第2のサブアセンブリに対して回転するように構成され、前記第2のサブアセンブリは、前記出口孔から離れるように前記チャンバ内部で前記運搬アセンブリを動かすように構成される、注入装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の注入装置において、
前記運搬アセンブリは、前記運搬アセンブリが前記出口孔に向かって動くと、前記チャンバ内部に保持された流体を放出するようにさらに構成される、注入装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の注入装置において、
前記出口孔と流体連通する注入針、
をさらに含む、注入装置。
【請求項12】
請求項11に記載の注入装置において、
解放可能な駆動機構、
をさらに含み、
前記解放可能な駆動機構は、作動されると、
(a)前記注入針が前記注入装置のハウジングの完全に内側にある後退位置から、前記注入針が少なくとも部分的に前記ハウジングの外側にある延出位置まで、前記チャンバおよび前記注入針を動かし、
(b)その後、前記出口孔に向けて前記チャンバ内部で前記運搬アセンブリを動かして、流体を前記注入針から放出する、
ように構成される、注入装置。
【請求項13】
請求項12に記載の注入装置において、
前記流体が放出された後で前記注入針を前記ハウジング内に後退させるように構成された、後退機構、
をさらに含む、注入装置。
【請求項14】
請求項9、または請求項9に従属する請求項10〜13のいずれか1項に記載の注入装置において、
前記第1のサブアセンブリおよび前記運搬アセンブリは、前記第2のサブアセンブリから分離可能であり、
前記第2のサブアセンブリは、再利用可能である、注入装置。
【請求項15】
運搬アセンブリを有する注入装置を下準備する方法において、
前記注入装置の前記運搬アセンブリに容器を挿入することであって、前記注入装置は、出口孔を有するチャンバを含み、前記運搬アセンブリは、中空の針を含み、前記チャンバ内部に移動可能に配されている、挿入することと、
前記容器と前記チャンバとの間に流体導管を形成するために前記中空の針で前記容器を貫通することと、
前記運搬アセンブリを前記チャンバ内部で動かし、それによって流体を前記容器から前記チャンバに引き込むことと、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−524762(P2011−524762A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514109(P2011−514109)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001445
【国際公開番号】WO2009/153540
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(506157570)シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル (39)
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
【住所又は居所原語表記】Landis & Gyrstrasse 1,Zug, CH−6300, Switzerland
【Fターム(参考)】