説明

再挿入不能型コネクタ

【課題】コネクタカバーを用いることなく、コネクタ自体の構造によりコネクタの実質的な挿抜、特に、抜き取り後の再挿入を不能とするものでありながら、部品点数の増加や構造の複雑化を伴わず、成形金型の工夫等で実現でき、低コストでの実施を可能とする。
【解決手段】凹室21を有する雄コネクタ2と、凹室21に挿入されることで、雄コネクタ2と電気的に接続される雌コネクタ3とを備える遊技機用コネクタ1であって、凹室21は、挿入状態の雌コネクタ3が抜かれると、幅狭方向に弾性復元して雌コネクタ3の再挿入を規制する幅狭部24を備える構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスロットマシン、パチンコ機等の遊技機に設けられる遊技機用のコネクタに関し、特に、遊技機における不正部品の取り付け等による不正行為を効果的に抑止できる再挿入不能型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン、パチンコ機等の遊技機においては、多種・多様な回路基板間を接続ケーブルで接続するために、多くのコネクタが用いられている。
このような遊技機のコネクタには、正規のコネクタを脱抜し、替わりに不正信号等を発信させる不正部品のコネクタを装着されるような悪用されるコネクタも存在する。
例えば、スロットマシンでは、遊技者の操作に伴う、所定の信号を擬似的に発生させる、いわゆる「打ち込み機」と称する不正部品が、コネクタを介して取り付けられる場合がある。
【0003】
元来、スロットマシンは、リールの回動を始動させるスタートレバーや回動を停止させる停止ボタン等の遊技者の入力操作に係る操作部を備え、これらの操作部には、遊技者の操作を検出するスイッチ等が設けられている。
そして、これらのスイッチにおいて検出された入力信号が、スイッチに接続された接続ケーブルを介して、所定の中継基板で中継され、さらに中継基板から、接続ケーブルを介して、遊技機を制御する主基板に入力されることで、遊技者の入力操作が伝達され、一連の遊技が進行するようになっている。
【0004】
「打ち込み機」は、これらの遊技者の操作に係る入力信号を擬似的に発生させる不正部品で、前述の中継基板等に設けられたコネクタから正規なコネクタを脱抜し、替わりに「打ち込み機」からの擬似信号を入力するコネクタを装着し、この擬似信号を主基板に入力することで、一連の遊技を自動で進行させるものである。
その結果、例えば、ビッグボーナスの当せんを検出したときに、「打ち込み機」の作動を停止し、このままの状態で遊技場を開店させ、遊技者に当該遊技機を提供する、いわゆる「モーニングサービス」と称するサービスを行なう遊技場も存在する。このような行為は、遊技者の射幸心を悪戯に煽り、遊技資金の過剰な投資を招く一因にもなっている。
上述の「打ち込み機」に限らず、遊技機に不正部品を取り付けるためには、コネクタを脱抜して、当該コネクタに不正部品を接続する事例が多く、このような不正行為に対処すべく、いくつかの関連する技術が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、不正防止の観点から、コネクタとコネクタが実装される回路基板を収容する基板ケースとの間隙を外部に露出させないとともに、コネクタの不正脱抜を防止するコネクタカバーの発明が開示されている。
このコネクタカバーは、挿入側のコネクタに接着等により接合されるとともに、コネクタカバーの下端部に形成された係止突起部が、基板ケースのコネクタ孔(コネクタを外部に露出させる開口部)に潜り込んで係止されることで、基板ケースと一体になって、コネクタを挿抜不能にしている。
これにより、コネクタの周辺に不可避的に形成される間隙をなくすることで、基板回路に対する針金等の挿入などによる不正アクセスを防止するとともに、コネクタを挿抜不能にすることで、不正部品の装着を排除することができる。
【0006】
また、特許文献2には、コネクタの脱抜を許すものの、コネクタの脱抜により使用不能となるコネクタの発明が開示されている。
このコネクタは、雌雄一対からなるコネクタのうち、雌コネクタを第一ハウジングと第二ハウジングで構成し、雌コネクタを雄コネクタに挿入した後、雌コネクタを抜くと、第二ハウジングが雄コネクタ内に残り、使用不能状態となる。
これにより、コネクタの挿抜が実質的に不能となるので、不正部品の装着を排除することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2006−130229号公報
【特許文献2】特開2005−93284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、コネクタを挿抜不能とできるものの、不正の対象となり得るコネクタにそれぞれコネクタカバーを設ける必要があるので、遊技機の部品点数や組立工数が増加し、製造コストが大幅に上昇してしまうという問題がある。
【0009】
一方、特許文献2に記載された発明では、コネクタ自体の構造を変更することで、コネクタの挿抜を実質的に不能にするので、コネクタカバーを追加することなく、不正部品の装着を排除することができる。
しかしながら、特許文献2に記載された発明では、雄コネクタを第一ハウジングと第二ハウジングで構成する必要があるので、コネクタの構成部品が増加するだけでなく、コネクタ自体の構造が複雑になるとともに、コネクタの製造コストが上昇してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、コネクタカバーを用いることなく、コネクタ自体の構造によりコネクタの実質的な挿抜、特に、抜き取り後の再挿入を不能とするものでありながら、部品点数の増加や構造の複雑化を伴わず、成形金型の工夫等で実現でき、低コストで実施することができる、遊技機用コネクタに好適な再挿入不能型コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の再挿入不能型コネクタは、凹室を有する一側コネクタと、前記凹室に挿入されることで、前記一側コネクタと電気的に接続される他側コネクタとを備えるコネクタであって、前記凹室は、挿入状態の前記他側コネクタが抜かれると、幅狭方向に弾性復元して前記他側コネクタの再挿入を規制する幅狭部を備える構成としてある。
このようにすると、雄コネクタ(一側コネクタ)の凹室に、雌コネクタ(他側コネクタ)よりも幅狭な幅狭部を形成する程度の極めて容易な構造変更により、コネクタの実質的な挿抜、特に、抜き取り後の再挿入を不能とすることができる。
これにより、コネクタカバーを追加することなく、不正部品の装着を排除することができるとともに、コネクタ自体における部品点数の増加や構造の複雑化も回避し、低コストでの実施が可能となる。
【0012】
また、本発明の再挿入不能型コネクタは、前記幅狭部が、前記凹室を挟んで対向する一対の側壁のうち、一方の側壁の一部又は全体に形成される構成としてある。
このようにすると、雄コネクタ(一側コネクタ)の他方の側壁に、雌コネクタ(他側コネクタ)を抜止めする爪やフックが形成されるコネクタでも、本発明を問題なく実施することができる。
【0013】
また、本発明の再挿入不能型コネクタは、前記幅狭部が、前記凹室を挟んで対向する一対の側壁のうち、両方の側壁の一部又は全体に形成される構成としてある。
このようにすると、雌コネクタが抜かれたとき、雄コネクタの両方の側壁が幅狭方向に弾性復元し、雌コネクタの再挿入を確実に規制することができる。
【0014】
また、本発明の再挿入不能型コネクタは、前記幅狭部が、治具による拡開方向の弾性変形操作を許容する拡開操作部を備える構成としてある。
このようにすると、正規のコネクタ接続作業に際し、幅狭部を容易に拡開させて、雌コネクタを雄コネクタに挿入することができる。
【0015】
また、本発明の再挿入不能型コネクタは、前記一側コネクタが、基板ケースに収容される回路基板に設けられ、前記基板ケースのコネクタ孔を介して前記他側コネクタと接続され、前記拡開操作部が、前記基板ケースの外から操作不能となる位置に形成される構成としてある。
このようにすると、基板ケースを開けない限り、幅狭部を拡開させることが困難になるので、コネクタに対する不正部品の装着を効果的に抑止することができる。
【0016】
また、本発明の再挿入不能型コネクタは、前記一側コネクタが、基板ケースに収容される回路基板に設けられ、前記基板ケースのコネクタ孔を介して前記他側コネクタと接続され、前記幅狭部が、幅狭方向に弾性復元したとき、前記基板ケース側に係合することで、前記幅狭部の拡開方向への弾性変形操作を規制する係合部を備える構成としてある。
このようにすると、基板ケースを開けない限り、幅狭部を拡開させることが困難になるので、コネクタに対する不正部品の装着を効果的に抑止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の再挿入不能型コネクタによれば、コネクタカバーを用いることなく、コネクタ自体の構造によりコネクタの実質的な挿抜、特に、抜き取り後の再挿入を不能とするものでありながら、部品点数の増加や構造の複雑化を伴わず、低コストで実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る再挿入不能型コネクタの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
各実施形態において、本発明が適用される対象は、遊技場に設置され、コネクタが実装された所定の回路基板が配設されている遊技機とし、この場合の遊技機は、遊技者のスタート操作により3つのリールが順次回動を開始するとともに、停止操作により当該リールが停止し、停止したリール上に表示された図柄の組合せにより、所定枚数の遊技媒体が払い出されるスロットマシンとする。
なお、適用の対象となるスロットマシンは、公知のスロットマシンとなんら変わりないため、スロットマシンの詳細な説明については省略する。
【0019】
[第一実施形態]
まず、図1〜3を参照して、本発明の一実施形態に係る再挿入不能型コネクタの構成について説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る再挿入不能型コネクタを備える遊技機用基板ケースを示す概略斜視図であり、図2は、同じく本実施形態に係る遊技機用基板ケースが遊技機に配設された状態を示す概略斜視図である。
また、図3は、本実施形態に係る再挿入不能型コネクタの斜視図である。
【0020】
これらの図に示すように、本実施形態の再挿入不能型コネクタは、遊技機用の基板に実装される遊技機用コネクタ1となっている。
本実施形態に係る遊技機用基板ケースは、遊技機全体を制御する主基板300を収容する主基板ケース200に適用しており、この主基板ケース200が配設される遊技機として、スロットマシン100を適用するものとする。
スロットマシン100は、図2に示すように、前扉101と前扉101を開閉自在に支持する筐体102から構成される公知の回胴式遊技機であるため、詳細な内部構成に関する説明は省略する。
【0021】
主基板ケース200は、スロットマシン100全体を制御し、所定の電子部品の実装された主基板300と、主基板300の部品実装面を覆う表側ケース201と、主基板300の部品実装面の裏面を覆う裏側ケース202から構成されている。
そして、この主基板ケース200に収納される主基板300の部品実装面に、本実施形態に係る再挿入不能型のコネクタ1が搭載,実装されるようになっている(図1参照)。
具体的には、本実施形態のコネクタ1は、図3に示すように、両端に抜け止め用のロック機構を備えるタイプのものであり、凹室21を有する雄コネクタ2が主基板ケース200に収納された主基板300の部品実装面に実装されており、雌コネクタ3が、主基板ケース200の表側ケース201に形成されたコネクタ孔201a(図1参照)を介して雄コネクタ2の凹室21に挿入されることで、雄コネクタ2と電気的に接続される雌コネクタ3とを備えている。
そして、この雄コネクタ2が本発明に係る「一側コネクタ」を、雌コネクタ3が本発明に係る「他側コネクタ」を構成している。
【0022】
雄コネクタ2には、凹室21の底部を貫通するように所定数のピン22が設けられており、これらのピン22の下端部を回路基板に半田接続することにより、雄コネクタ2が回路基板に実装されるようになっている。
雄コネクタ2の両端には、抜け止め用のロック機構を構成する一対のロックレバー23が回動自在に設けられている。これらのロックレバー23は、雄コネクタ2の凹室21に雌コネクタ3が挿入されたとき、先端のフック部が雌コネクタ3の肩部に係合することで、挿入された雌コネクタ3を抜止めするようになっている。
【0023】
雌コネクタ3には、ケーブルCに接続される所定数のターミナル(図示せず)が設けられている。雌コネクタ3を雄コネクタ2の凹室21に挿入すると、雄コネクタ2のピン22と雌コネクタのターミナルが嵌合し、雄コネクタ2のピン22とケーブルCが電気的に接続されることになる。
以上の構成は、従来のコネクタと共通であり、本実施形態に係るコネクタ1の特徴的な構成を以下に説明する。
【0024】
雄コネクタ2の凹室21は、通常、雌コネクタ3の長さ及び幅寸法に合わせ、若干の挿入クリアランスを付加した寸法に形成されるものであるが、本発明に係るコネクタ1においては、凹室21の一部又は全体に、雌コネクタ3よりも幅が狭い幅狭部24が形成されている。この幅狭部24は、拡開方向に弾性変形可能となっており、幅狭部24を拡開方向に弾性変形させた状態で、雌コネクタ3の正規の挿入接続作業が行われる。
このように構成されたコネクタ1においては、雄コネクタ2から挿入状態の雌コネクタ3が抜かれると、雄コネクタ2の幅狭部24が幅狭方向に弾性復元し、雄コネクタ2の凹室21を幅狭状態にするので、雌コネクタ3の再挿入が規制されることになる。
【0025】
つまり、雄コネクタ2の凹室21に、雌コネクタ3よりも幅狭な幅狭部24を形成する程度の極めて容易な構造変更により、コネクタ1の実質的な挿抜、特に、抜き取り後の再挿入を不能とすることができる。
これにより、コネクタカバーを追加することなく、不正部品の装着を排除することができるとともに、コネクタ自体における部品点数の増加や構造の複雑化も回避し、低コストでの実施が可能となる。
【0026】
また、本実施形態のコネクタ1では、凹室21を挟んで対向する一対の側壁25のうち、両方の側壁25の一部又は全体に幅狭部24を形成している。
このようにすると、雌コネクタ3が抜かれたとき、雄コネクタ2の両方の側壁25が幅狭方向に弾性復元するので、雌コネクタ3の再挿入を確実に規制することが可能になる。つまり、一方の側壁25を押し広げても、凹室21の幅が雌コネクタ3の幅未満に保たれるので、雌コネクタ3の再挿入がより困難なものとなる。
【0027】
以上のように構成されるコネクタ1において、幅狭部24を拡開方向に弾性変形させるのに必要な力の大きさは、不正行為を防止する上では大きくすることが好ましいが、これを大きくし過ぎると、正規のコネクタ接続作業に際し、幅狭部24の拡開操作が困難になってしまう。
そこで、本実施形態では、幅狭部24に、治具4による拡開方向の弾性変形操作を許容する拡開操作部26を形成している。例えば、幅狭部24の上端から外側方に延出するフランジ部を形成し、その下面に治具4の先端を係合可能な係合溝を形成し、この係合溝を拡開操作部26として用いる。そして、図3に示すようなJ字状の治具4の先端を下方から拡開操作部26に係合させた状態で、治具4の基端を下方に押し下げると、雄コネクタ2の側面(又は回路基板)を支点とする梃子の作用で、幅狭部24を容易に拡開させることが可能になる。
このようにすると、正規のコネクタ接続作業に際し、幅狭部24を容易に拡開させて、雌コネクタ3を雄コネクタ2に挿入することができる。
【0028】
[第二実施形態]
次に、本発明に係る再挿入不能型コネクタの第二実施形態について、図4を参照しつつ説明する。
ただし、第一実施形態と同様の構成部分については、図中で第一実施形態と同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0029】
図4は、本発明の第二実施形態に係るコネクタの斜視図である。
この図に示すように、本実施形態では、雄コネクタ(一側コネクタ)2が、フックと爪の係合で雌コネクタ3を抜止めする側面フック付きタイプのコネクタ1Bに適用されている点が第一実施形態と相違している。
側面フック付きタイプのコネクタ1Bは、例えば、図4に示すように、雄コネクタ2の側面に爪部27を形成する一方、雌コネクタ3の側面にフック部(図示せず)を形成しておき、雄コネクタ2に雌コネクタ3を挿入したとき、フック部が爪部27に係合することで、雌コネクタ3を抜止めするようになっている。
【0030】
このような側面フック付きタイプのコネクタ1Bに本発明を適用する場合は、凹室21を挟んで対向する一対の側壁25のうち、一方の側壁25の一部又は全体に幅狭部24を形成することが好ましい。例えば、図4に示すように、一方の側壁25の両端にスリット溝28を形成し、側壁25の全体を幅狭方向に入り込んだ形状とする。
このようにすると、雄コネクタ2の他方の側壁25に、雌コネクタ3を抜止めする爪部27(又はフック部)が形成されるコネクタ1Bでも、本発明を問題なく実施することができる。
【0031】
[第三実施形態]
次に、本発明に係る再挿入不能型コネクタの第三実施形態について、図5〜図7を参照しつつ説明する。
ただし、第一実施形態と同様の構成部分については、図中で第一実施形態と同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0032】
図5は、本発明の第三実施形態に係る雄コネクタ(一側コネクタ)の平面図、図6は、本実施形態に係るコネクタの雌コネクタ(他側コネクタ)の挿入状態を示す断面図、図7は、本実施形態に係るコネクタの雌コネクタ脱抜状態を示す断面図である。
これらの図に示すように、第三実施形態に係るコネクタ1Cは、第一実施形態に係るコネクタ1の雄コネクタ2と同様に、雄コネクタ2の各側壁25に幅狭部24と拡開操作部26が形成されるものであるが、拡開操作部26が形成されるフランジ部を、幅狭部24の拡開方向への弾性変形操作を規制する係合部29としても機能させる点が第一実施形態と相違している。
【0033】
図6及び図7に示すように、雄コネクタ2は、主基板ケース200(図1参照)に収容される主基板300等の遊技機用の回路基板に設けられており、主基板ケース200の表側ケース201に形成されるコネクタ孔201aを介して雌コネクタ3が挿入接続される。
具体的には、主基板ケース200の表側ケース201と裏側ケース202を閉じて封止する前に、ケーブル付きの雌コネクタ3を表側ケース201のコネクタ孔201aに挿通させるとともに、治具4を用いて雄コネクタ2の幅狭部24を拡開させた状態で、雄コネクタ2の凹室21に雌コネクタ3を挿入し、その後、表側ケース201と裏側ケース202を閉じ合わせて、主基板ケース200を封止する。
【0034】
このように接続されたコネクタ1Cにおいて、雄コネクタ2から雌コネクタ3が抜かれると、幅狭部24が幅狭方向に弾性復元し、雌コネクタ3の再挿入を規制することになるが、さらに、本実施形態では、上側ケース201のコネクタ孔201aの内面側に段差部201bを形成してあり、雄コネクタ2の側壁25に形成される係合部29が、コネクタ孔201aの段差部201bに係合することで、幅狭部24の拡開方向への弾性変形操作も規制されるようになっている。
このようにすると、主基板ケース200の封止を解除して表側ケース201と裏側ケース202を開けない限り、幅狭部24を拡開させることが困難になるので、コネクタ1Cに対する不正部品の装着を効果的に抑止することができる。
また、拡開操作部26も、主基板ケース200の外から操作不能となる位置に形成されているので、主基板ケース200の外から治具4を挿入し、幅狭部24を拡開させるような行為も確実に抑止することができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、弾性復元時における幅狭部24からコネクタ孔201aの端縁までの距離a1、a2と、雌コネクタ3の幅寸法bと、コネクタ孔201aの幅寸法cとを下記のような条件が成立するように設定することで、雄コネクタ2に対する雌コネクタ3の再挿入を一層困難にしている。
a1>c−b
a2>c−b
このようにすると、雌コネクタ3の一側で一方の幅狭部24を押し広げながら、雌コネクタ3の他側を凹室21内に押し込むといった再挿入操作を困難にすることができる。
【0036】
以上、本発明の再挿入不能型コネクタについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る再挿入不能型コネクタは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、コネクタのタイプ、大きさ、ピン数等には制限されず、様々なコネクタに適用することができる。
また、本発明に係るコネクタが搭載,実装される基板や電子機器等は、遊技機用のものに限られるものではなく、挿抜可能なコネクタが備えられる各種の基板,電子機器等に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、スロットマシン、パチンコ機等の遊技機に設けられる遊技機用コネクタとして好適に利用することができる。特に、不正部品の取り付け等による不正行為の対象となり得る遊技機のコネクタとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第一実施形態に係る再挿入不能型コネクタが備えられる遊技機用基板ケースを示す概略斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る再挿入不能型コネクタを備える遊技機用基板ケースを配設した状態を示す遊技機の概略斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る再挿入不能型コネクタの斜視図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る再挿入不能型コネクタの斜視図である。
【図5】本発明の第三実施形態に係る再挿入不能型コネクタの雄コネクタを示す平面図である。
【図6】本発明の第三実施形態に係る再挿入不能型コネクタの雌コネクタ挿入状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係る再挿入不能型コネクタの雌コネクタの脱抜状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 コネクタ
2 雄コネクタ(一側コネクタ)
21 凹室
22 ピン
23 ロックレバー
24 幅狭部
25 側壁
26 拡開操作部
27 爪部
28 スリット溝
29 係合部
3 雌コネクタ(他側コネクタ)
4 治具
200 基板ケース
201 表側ケース
201a コネクタ孔
201b 段差部
300 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹室を有する一側コネクタと、前記凹室に挿入されることで、前記一側コネクタと電気的に接続される他側コネクタとを備えるコネクタであって、
前記凹室は、挿入状態の前記他側コネクタが抜かれると、幅狭方向に弾性復元して、他側コネクタの再挿入を規制する幅狭部を備えることを特徴とする再挿入不能型コネクタ。
【請求項2】
前記幅狭部が、前記凹室を挟んで対向する一対の側壁のうち、一方の側壁の一部又は全体に形成される請求項1記載の再挿入不能型コネクタ。
【請求項3】
前記幅狭部が、前記凹室を挟んで対向する一対の側壁のうち、両方の側壁の一部又は全体に形成される請求項1記載の再挿入不能型コネクタ。
【請求項4】
前記幅狭部が、治具による拡開方向の弾性変形操作を許容する拡開操作部を備える請求項1〜3のいずれかに記載の再挿入不能型コネクタ。
【請求項5】
前記一側コネクタが、基板ケースに収容される回路基板に設けられ、前記基板ケースのコネクタ孔を介して前記他側コネクタと接続され、
前記拡開操作部が、前記基板ケースの外から操作不能となる位置に形成される請求項4記載の再挿入不能型コネクタ。
【請求項6】
前記一側コネクタが、基板ケースに収容される回路基板に設けられ、前記基板ケースのコネクタ孔を介して前記他側コネクタと接続され、
前記幅狭部が、幅狭方向に弾性復元したとき、前記基板ケース側に係合することで、前記幅狭部の拡開方向への弾性変形操作を規制する係合部を備える請求項1〜5のいずれかに記載の再挿入不能型コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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