説明

再生葉書用紙ならびにその製造方法

【課題】古紙パルプを原紙中に40質量%以上含有しても、宛名記載面に印刷されたステルスバーコードの読み取りが良好であり、宛名面にオフセット印刷を問題なく行え、印刷後のカール性も極めて良好な、再生葉書用紙ならび再生葉書用紙の製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】古紙パルプを用紙中に40%以上含有し、3層以上の多層抄き合わせにより抄造され、可逆カールが、MD方向およびCD方向で−0.60〜0.60m−1/%、かつねじれ方向で−0.30〜0.30m−1/%である再生葉書用紙であり、原料パルプ全体に古紙パルプを40質量%以上使用し、中層を中心にして表裏対称になるように各層の坪量を調整し、パルプ含有液の吐出速度(J)とワイヤー速度(W)との比(以下J/Wと表記)が表・裏層では0.98〜1.02の範囲になるように、それ以外の該各層では0.97〜1.03の範囲になるように調節して、多層抄紙する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宛名面にオフセット印刷を問題なく行うことが出来、オフセット印刷後のカール性も極めて良好な、古紙を多配合した再生葉書用紙ならび再生葉書用紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保全、省資源、ゴミ減量などの知見から、各種用紙において古紙パルプの利用が増えてきている状況にあり、今後も環境問題への意識の高まりを背景に、葉書用紙への古紙パルプの多配合化への要求は高まる一方である。
【0003】
しかし、近年の葉書の仕分けは、葉書にステルスバーコードを印刷して、自動区分機で選別されている。そのため、蛍光反応の強い古紙パルプを用いた葉書では、ステルスバーコードの誤認が多く発生するため、古紙パルプを多配合した用紙を葉書用に使用することは難しいのが現状である。
【0004】
また、葉書用紙に要求される品質のひとつとしてカール適性が挙げられるが、一般的に古紙パルプは、脱墨工程における長繊維のフィブリル化や微細繊維の増加により寸法安定性が悪化する。そのため、古紙パルプの多配合化に伴いカール適性が悪化し、宛名面へのオフセット印刷時における用紙乗り上げによる給紙ストップや紙折れの発生による印刷作業性の低下や、オフセット印刷後に発生するカールにより外観を著しく損なってしまうという問題がある。
【0005】
古紙を配合した葉書についてはいろいろな技術が開示されているが、実施に至っていないのが現状である。
葉書用紙としては、カール適性の他に各種印刷適性、筆記適性が要求され、さらに、紙粉、剛度適正等が求められており、葉書用紙としては1層抄きが主流であった。宛名面のオフセット印刷適性と通信文記載面の印刷適性を両立する目的で裏層の吸油量の高い填料を配合してインクのにじみを防止した技術を開示したものがある(特許文献1、2参照)。多層で古紙を中層に配合した記載はあるが、配合量が30質量%以下のものであり、葉書としての評価は印刷適性のみが記載されている。
【特許文献1】特許第2763868号
【特許文献2】特許第3253259号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記再生葉書用紙として、古紙パルプを原紙中に40質量%以上含有しても、宛名記載面に印刷されたステルスバーコードの読み取りが良好であり、さらに、宛名面にオフセット印刷を問題なく行うことができ、オフセット印刷後のカール性も極めて良好な、再生葉書用紙ならび再生葉書用紙の製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは葉書用紙への古紙の多配合について鋭意検討した結果、以下の(1)〜(3)の本発明を完成するに至った。
(1)古紙パルプを用紙中に40%以上含有し、3層以上の多層抄き合わせにより抄造され、可逆カールが、MD方向およびCD方向で−0.60〜0.60m−1/%、かつねじれ方向で−0.30〜0.30m−1/%である再生葉書用紙。
(2)前記多層抄き合わせによる多層構造において、蛍光顕微鏡で観察される蛍光強度が110以下である前記(1)記載の再生葉書用紙。
(3)原料パルプ全体に古紙パルプを40質量%以上使用し、中層を中心にして表裏対称になるように各層の坪量を調整し、パルプ含有液の吐出速度(J)とワイヤー速度(W)との比(以下J/Wと表記)が表・裏層では0.98〜1.02の範囲になるように、それ以外の該各層では0.97〜1.03の範囲になるように調節して、多層抄紙する再生葉書用紙の製造方法。
(4)前記中層および各層のパルプ含有流入ヘッダー管の入り側と出側の圧力差(以下テーパーヘッダ差圧と表記)の絶対値が1.20kPa以下に調節して多層抄紙する前記(3)記載の再生葉書用紙の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の再生葉書用紙は、古紙を多配合しながらもオフセット印刷における走行性、印刷後の外観品質および宛名記載面に印刷されたステルスバーコードの読み取りが良好であるため、資源の有効活用に寄与する。
本発明の再生葉書用紙の製造方法によれば、古紙を多配合しても宛名面へのオフセット印刷を問題なく行うことができ、オフセット印刷後のカール性も極めて良好な再生葉書用紙を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】可逆カールの測定方法の図
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明では葉書用紙中に古紙パルプを多く配合するために、表層・中層・裏層の3層抄き以上にする。古紙パルプは塵以外に、一般の脱墨工程を含む古紙処理では除去できない蛍光物質が多く含まれるため1層抄きでは、ステルスバーコード印刷面に影響があり、古紙の配合量は制限される。
3層以上の多層抄きにすることにより、ステルスバーコード印刷面を含まない層に古紙パルプを配合することが可能となる。用紙の坪量、厚さ、各層の地合い、原料配合、付け量等で多層抄きの層数が決められ、各層は原料パルプ配合、フリーネス及びサイズ剤、硫酸バンド、填料等薬品の種類および添加率を変えることができるので、表面・裏面の品質特性を変えることができる。例えば、表・中・裏の3層では中層に、表・表下・中・裏下・裏の5層では表下・中・裏下の各層に古紙再生パルプをそれぞれ配合して、用紙中に40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上含有させることが考えられる。また、各層にLBKPやNBKPと混合して配合し、用紙中に40質量%以上含有させることも可能である。
ステルス印刷が施される宛名記載面(表面とする)を含む表層は、平滑性や、地合いの取りやすい、LBKP100%が好ましい。
【0011】
本発明の再生葉書用紙は可逆カールが、MD方向およびCD方向で−0.60〜0.60m−1/%、かつねじれ方向で−0.30〜0.30m−1/%であることが好ましく、MD方向およびCD方向で−0.50〜0.50m−1/%、かつねじれ方向で−0.25〜0.25m−1/%であることがより好ましい。ここでいう可逆カールがMD方向およびCD方向で−0.60〜0.60m−1/%、かつねじれ方向で−0.30〜0.30m−1/%という定義は、実際にサンプルの宛名面にオフセット印刷したカール結果から得られたものである。可逆カールが上記の範囲を外れる場合は流れ方向或いはクロス方向或いはねじれ方向でのカールが発生し、宛名面へのオフセット印刷時における用紙乗り上げによる給紙ストップや紙折れの発生による作業性の低下や、オフセット印刷後に発生するカールにより外観を著しく損なってしまうという問題がある。
【0012】
本発明の再生葉書用紙は、蛍光顕微鏡で観察される蛍光強度が110以下であることが好ましい。上記蛍光強度が110以下であるように調整すれば、良好なステルスバーコードの読み取りが得られる。
【0013】
本発明の蛍光顕微鏡で観察される蛍光強度の測定方法について説明する。本発明では、葉書用紙を蛍光顕微鏡(ECLIPSE E600、(株)ニコン社製)を用い、波長365nmの紫外線を照射した時発生する可視光の蛍光画像をカメラで取り込みファイルに保存する。次に、保存した画像を解析ソフト(IO−MATE2007、(株)アイ・スペック社製)を用いて、蛍光強度を数値化する。
本発明では、蛍光強度を、110以下にすることにより葉書用紙に印刷されるステルスバーコード印刷が読み取れることを見出した。
【0014】
本発明では、蛍光顕微鏡で観察される蛍光強度が110以下であるように調整する方法として以下に記述する。
古紙パルプは蛍光染料の含有量が多いため、古紙パルプを含有させて蛍光強度を110以下にするためには、表層を品質のよいクラフトパルプなどで構成し、表層の構成比率を上げることが考えられるが、表層の構成比率を上げることにより、古紙の配合割合が制限される。
本発明では、表層以外で使用する古紙パルプを調整することにより、古紙の配合率を多くする。また、クッション性や他の筆記特性付与のために配合される機械パルプが配合されることがあるが、機械パルプは褪色性が悪いため好ましくない。
【0015】
古紙パルプの原料としては各種古紙を使用することが可能であり、例えば、上白、罫白など一度使用されているが印刷部の極めて少ないもの、また、カード、模造、色上、ケント、白アート等の印刷物や色づけされ一度は使用された紙類、印刷用塗工紙、飲料用パック、オフィスペーパー等使用済みの上質系古紙、更には特上切、中質反古、ケントマニラ等の事業系中質古紙、新聞、雑誌、雑紙等の一般中質古紙、切茶、無地茶、雑袋、段ボール等の茶系古紙等から得られる。中でも、10%以上の灰分量をもつものが好ましい。
【0016】
本発明の古紙パルプは、水あるいは水酸化ナトリウムのようなアルカリ成分を含んだ水溶液で混合・離解し、その後除塵工程(クリーナーまたはスクリーン)で、パルプ繊維以外の異物を取り除かれ、フローテーターと呼ばれるインキ分離工程後に所望の白色度にするために漂白工程を行った後に、二―ダーやディスパーザーと呼ばれる分散機により細かく分散される。この工程中のいずれかの箇所に設置されるパルプ洗浄工程により灰分を10〜20%の範囲に調整することが可能であり、DNTウオッシャー、コンパクトウオッシャー、ホールウオッシャー、バリオスプリット、SPフィルター、DPコスモ、キャップウオッシャー等の洗浄装置が例として挙げられるが、これに限定されるわけではない。
【0017】
本発明の古紙パルプはカナダスタンダードフリーネスで250〜450mlに処理して使用される。450mlを越えて高いと層間強度が低下するため好ましくない。また、250mlを越えて叩解を進めるとパルプの歩留の低下、伸縮率の増加、原紙の高密度化が起こり好ましくない。
【0018】
更に、古紙パルプに蛍光消色処理を施すことにより、表層にも古紙パルプを配合することが可能となる。本発明の古紙パルプの蛍光消色処理とは、脱墨処理後の古紙パルプをチオ硫酸ナトリウム五水和物(ハイポ)、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウムのいずれかをパルプ濃度10%以上で添加率1%以上、温度40度以上、反応時間60分以上で処理することである。中でも作業環境の安全性から二酸化塩素が好ましい。前記処理により、古紙パルプの蛍光強度を90%以上下げられ、表層にも古紙パルプを配合することが可能となり、古紙パルプの配合率を上げることが可能となる。但し、古紙100%では自動区分処理機で剛度不足による問題が発生する恐れがあるので現状では古紙パルプは80質量%程度が上限と考える。
【0019】
蛍光消色処理の方法は上記以外にも、多価金属処理、酵素処理、過酸化物処理、オゾン処理、マスキング処理などがあり、本発明では、いずれの処理も使用できる。具体的には、多価金属処理は、古紙パルプスラリーに、例えばアルミニウム箔を挿入し、20℃で24時間処理することで、蛍光を消すことが出きる。酵素処理は、レドックスメディエーターの存在化pH2〜12、および常温〜70℃の範囲の温度で、ラッカーゼを更に含有することで、蛍光増白剤を分解できる。過酸化物処理は、2%濃度の古紙パルプスラリーに、過硫酸アンモニウム1%と硫酸鉄0.2%を配合し、反応温度60℃以上、反応時間2時間以上、pH8以下の条件で反応させると、酸化分解で蛍光が消される。オゾン処理は、パルプ濃度0.5〜3質量%のスラリーをpH9〜11.5に保持した状態で、オゾンの存在下で、スラリーを攪拌することで、脱色できる。マスキング処理は、約1%濃度の古紙スラリーのpHを7以下に保持した状態で、ポリアルキレンポリアミン・ジカルボン酸縮合物のポリアルキル4級アンモニウム塩を適量添加、攪拌することにより蛍光を消すことができる。
【0020】
本発明で古紙パルプ以外に使用するパルプについては、特に限定するものではなく、KP、SP等化学パルプ、SGP、RGP、BCTMP、CTMP等の機械パルプや、あるいはケフナ、竹、藁、麻等のような非木材パルプ、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリノジック繊維等の有機合成繊維、さらにはガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等の無機質繊維も使用出来る。
【0021】
また、各層中には、必要に応じて、填料が配合出来る。この場合の填料としては、特に限定するものではないが、一般に上質紙に用いられるもので、例えばカオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質や、ポリスチレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂並びにそれらの微小中空粒子等の有機系粒子が挙げられる。
【0022】
なお紙料中にはパルプ繊維や填料の他に、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の各種抄紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用することができる。さらに染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤も紙の用途に応じて適宜添加することができる。
【0023】
本発明の再生葉書用紙は、多層構造を形成する各層において各層の坪量が表裏対称となるように調整して製造することが好ましい。例えば、表・中・裏の3層では表・裏層の坪量が同等になるように、表・表下・中・裏下・裏の5層では表・裏層と表下・裏下層の二対の坪量がそれぞれ同等になるように調整して製造することが好ましい。多層構造を形成する各層の坪量が表裏対称ではない場合は表裏の伸縮率に差が生じ、可逆カールがMD方向およびCD方向で−0.60〜0.60m−1/%、かつねじれ方向で−0.30〜0.30m−1/%の範囲を外れてしまう可能性がある。
更に伸縮率の表裏差を少なくする方法としては、多層構造を形成する各層において表裏対称となる各層に使用する原料パルプの、パルプ配合、フリーネス及びサイズ剤、填料等薬品の種類および添加率を同等にして製造することが有効である。
【0024】
本発明の再生葉書用紙は抄紙時に、パルプ含有液の吐出速度(J)とワイヤー速度(W)との比(J/W)が表・裏層では0.98〜1.02の範囲になるように、それ以外の該各層では0.97〜1.03の範囲になるように調節して製造することが好ましく、表・裏層は0.99〜1.01の範囲になるように調節して製造することがより好ましい。J/Wを表・裏層では0.98〜1.02の範囲に、それ以外の該各層では0.97〜1.03の範囲にすることにより、紙の可逆カールをMD方向およびCD方向で−0.60〜0.60m−1/%範囲内に入れることができる。J/Wが上記範囲の場合は、紙の繊維配向強度が高くなりすぎるため、MD軸のカールが発生しやすくなる。本発明の再生葉書用紙のように多層構造により形成された紙では、最表層を形成する層ほど、多層構造を形成した際にカールに与える影響が大きい。従って本発明では、表・裏層のJ/Wの範囲がそれ以外の該各層よりも狭くなっている。
【0025】
抄紙機のヘッドボックスにおいてパルプ含有液は、テーパーヘッダーに供給された後、スライスを通ってワイヤー上へ供給される。このテーパーヘッダーの一方の側壁に接続された供給管からパルプ含有液が供給され、他方の側壁に接続された排出管から余剰のパルプ含有液が排出される。テーパーヘッダーの入り側と出側の圧力差が小さいほど、スライスからのパルプ含有液の噴出速度が幅方向において均一になり、それに伴い繊維配向角度も小さくなる。
【0026】
本発明の再生葉書用紙は、多層構造を形成する各層のパルプ含有液流入ヘッダー管の入り側と出側の圧力差の絶対値が1.20kPa以下に調節して製造することが好ましい。パルプ含有液流入ヘッダー管の入り側と出側の圧力差の絶対値が1.20kPa以下にして製造すると、各層の繊維配向角度が小さくなり紙の可逆カールをねじれ方向で−0.30〜0.30m−1/%の範囲内に入れることができ、ネジレカールの発生を防ぐことができる。
【0027】
抄紙方法については多層抄き以外では、特に限定するものではなく、例えば抄紙pHが4.5付近である酸性抄紙法、炭酸カルシウム等のアルカリ性填料を主成分として含み抄紙pH約6の弱酸性から抄紙pH約9の弱アルカリ性の中性抄紙法等の全ての抄紙方法に適用することができ、抄紙機も長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機を適宜組み合わせて使用することができる。
【0028】
本発明の再生葉書には、宛名面の裏面に、インクジェットプリンターや電子写真プリンター或いはオフセット印刷が可能な塗工層を設けることも出来る。塗工層に用いる顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、微粒子状珪酸カルシウム、微粒子状炭酸マグネシウム、微粒子状軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等の中空型、密実型並びに貫通孔型樹脂等の有機顔料も用いることが可能であり、これらの中から1種あるいは2種以上が適宜選択して用いられる。
【0029】
塗工層の接着剤としては、水溶性及び/または水分散性の高分子化合物を用いることが出来、例えば、カチオン性澱粉、両性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エステル化澱粉、エ−テル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白、天然ゴム等の天然あるいは半合成高分子化合物、ポリビニルアルコール、イソプレン、ネオプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリアルケン類、ビニルハライド、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、メチルビニルエーテル等のビニル系重合体や共重合体類、スチレン−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系等の合成ゴムラテックス、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン−無水マレイン酸系樹脂、メラミン系樹脂等の合成高分子化合物等が例示できる。これらの中から目的に応じて1種あるいは2種以上が適宜選択して使用される。
【0030】
前記塗工層の接着剤の配合割合は、顔料100質量部(固型分)に対して、5〜50質量部(固型分)の範囲である。ちなみに5質量部未満では、塗工層の塗膜の強度が弱く、塗工層が剥がれる原因となることがある。一方、これが50質量部を越えると、インクジェットプリンター印字時に印字ニジミが発生、電子写真プリンター印字時にブリスターが発生、また、オフセット印刷時にインクの乾燥性が悪くなることがある。
【0031】
この塗工液中には、これら顔料や接着剤の他に各種助剤、例えば界面活性剤、pH調節剤、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、ワックス類、分散剤、流動変性剤、導電防止剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、滑剤、防腐剤、香料等が必要に応じて適宜使用することも可能である。
【0032】
本発明再生葉書用紙に塗工層を設ける場合には塗被量は、1〜20g/mが好ましく、更には1〜10g/mが好ましい。塗工量が1g/m未満では、シート状紙基体表面の凹凸を十分に覆うことが出来ないため、印刷インクの受理性が著しく低下することがある。一方、20g/mを越えると、塗工時の乾燥性が悪くなるなどの操業性が低下し、製造原価も高くなることがある。
【0033】
前記塗工層を形成する塗工方法としては、一般に公知の塗工装置、例えばブレードコータ、エヤーナイフコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイスロットコータ、グラビアコータ、チャンプレックスコータ、ブラシコータ、ツーロールあるいはメータリングブレード式のサイズプレスコータ、ビルブレードコータ、ショートドウェルコータ、ゲートロールコータ等の装置が適宜用いられる。
【0034】
塗工層は、必要に応じ、1層あるいは必要に応じて2層以上の中間層を設け、多層構造にすることも可能である。なお両面塗工や多層構造にする場合、各々の塗工液が同一または同一塗工量である必要はなく、所要の品質レベルに応じて適宜調整して配合すればよく、特に限定されるものではない。またシート状紙基体の片面に塗工層を設けた場合、裏面に合成樹脂層、顔料と接着剤等からなる塗工層や、帯電防止層等を設けてカール防止、印刷適性付与、給排紙適性等を付与することも可能である。さらにシート状紙基体の裏面に種々の加工、例えば粘着、磁性、難燃、耐熱、耐水、耐油、防滑等の後加工を施すことにより、用途適性を付加して使用することも勿論可能である。
【0035】
本発明は、塗工層を設けた後、通常の乾燥工程や表面処理工程等で平滑化処理されて、水分が3〜10%、好ましくは4〜8%程度となるように調整して仕上げられる。また平滑化処理する際は、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ等の平滑化処理装置で行われ、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も通常の平滑化処理装置に準じて適宜調節される。
【0036】
本発明の再生葉書用紙では、宛名面裏面に、最表層に湿潤状態の塗工層を高温のキャストドラムに貼り付け、裏面から蒸気を逃がして乾燥させドラムの鏡面を写し取る、いわゆるキャスト法によって光沢発現層を設けることで、より一層美しいインクジェット印刷の仕上がりを得ることも可能である。
【0037】
本発明における光沢発現層は、無機あるいは有機の光沢発現能のある微粒子と、有機あるいは無機のバインダーを主成分とする。
光沢発現能のある微粒子としては、例えばヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ等の乾式製法による無機微粒子や、コロイダルシリカ、ベーマイト、擬ベーマイト等のコロイダルアルミナやアルミナゾルに代表されるコロイド状懸濁物、ゲル化法や沈降法による非晶質シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン等の白色顔料やカオリン、タルク、珪藻土等の天然鉱物の粉砕物あるいは分級された微細粒子、あるいはこれらの無機微粒子に表面処理を施したもの、あるいはポリスチレン、メチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル共重合体、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機微粒子を例示することができ、またこれらを二種以上組み合わせて使用することも可能である。
【0038】
光沢発現層に用いるバインダーとしては、例えばポリビニルアルコール又はその誘導体、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、グルテン等の蛋白質、澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、燐酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体あるいは共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、ウレタン樹脂、あるいはこれらの官能基変性重合体、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化型樹脂、あるいは珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等の珪酸の金属塩、アルミナゾル、ポリ塩化アルミニウム、重リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等の無機バインダーを例示することができる。バインダー含有量としては、顔料100質量部に対して5〜70質量部が適当量で、5質量部よりバインダーが少ないと塗膜強度が不足し、バインダーが70質量部を超えるとインク吸収性が低下する。
【0039】
光沢発現層には、添加剤として、インク定着剤、離型剤、増粘剤、流動性改良剤、分散剤、消泡剤、浸透剤、耐水化剤、pH調整剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤等を必要に応じて添加しても良い。
【0040】
このようにして調製された光沢発現層塗工液の塗工には、例えばブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、リップコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ダイコーター、チャンブレックスコーター等の各種のコーターが使用できる。光沢発現層の塗設量は、下塗りのインク受容層の構成や平滑性、原紙の吸液性や平滑性、要求される光沢面品質により異なるが、概ね乾燥塗工量で0.5g/m以上であれば光沢は発現する。
【0041】
キャスト処理とは、光沢発現層を形成する塗工液を塗設し、該塗設面が湿潤状態にある間に、該塗設面を加熱した鏡面ロール(キャストドラム)に圧着、乾燥して剥がし、塗設層表面に鏡面ロールの表面形状を写し取り、光沢発現層とするもので、キャストドラムに圧着する際の塗設層の乾燥・凝固状態により、ウェット法、ゲル化法、リウェット法に分類できる。本発明にはいずれのキャスト法も適用可能だが、特に美しい光沢面を得るためには、ゲル化法を用いることが好ましい。また、高速処理が可能で低コスト化には、リウエット法が好ましく、目的に応じて適宜選択される。
【0042】
また、キャスト処理後に、必要に応じてキャレンダー処理を行っても良い。キャレンダーは、スーパーキャレンダー、マシンキャレンダー、ソフトキャレンダー等の一般的な装置を用いることができる。また、エンボス加工や穴あけ加工、裏面のタック加工など、各種の製品外観に応じた後加工処理も可能である。
【実施例】
【0043】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例及び明細書において示す「部」および「%」は、特に明示しない限り、質量部および質量%を示す。
下記実施例1〜7および比較例1〜10により得られた再生葉書用紙について、下記の測定方法により測定した結果を表1、表2に示す。
【0044】
(可逆カールの測定方法)
葉書用紙のMD方向・CD方向およびMD軸に対し45°斜め方向において幅5mm、長さ100mmの短冊状の紙片を試料とし、湿度25℃に環境下に片持梁で紙片長を50mmになるように支持し、湿度を50%RH(7時間)−85%RH(7時間)−25%RH(7時間)−80%RH(7時間)−25%RH(7時間)と変化させ、紙片中の水分を変化させて紙片にカールを発生させ、この時のΔxとΔyを測定し、各湿度におけるMD方向・CD方向・45°斜め方向のカールK(KMD、CD、45)をそれぞれ次式によって求める。
K=2Δy/(Δx+Δy
また、ねじれ方向のカールKは次式によって求める。
=K45−(KMD+KCD)/2
80%RHのときと25%RHの時のカール曲率(KRH80・KRH25)および紙の水分量(H80・H25)を測定し、MD方向・CD方向・ねじれ方向の可逆カールR(RMD、RCD、R)をそれぞれ次式によって求める。
R=(KRH80−KRH25)/(H80−H25
可逆カール(R)の絶対値が小さいほどカールが小さいことを示し、符号が正の場合は裏側の伸縮率が高いことを示し、負の場合は表側の伸縮率が高いことを示す。
【0045】
(蛍光強度)
暗室で、蛍光顕微鏡(ECLIPSE E600、(株)ニコン社製)を用い、波長365nmの紫外線を葉書に照射したとき発生する可視光の蛍光画像をカメラコントロールユニット(DS−L1)にカラー表示して、JPEG形式でファイルに保存する。次に、保存した画像をTIFF形式に変換した後、解析ソフト(IO−MATE2007、(株)アスペック社製)を用いて画素のレベル値の平均値を蛍光強度とした。
(画像取り込み条件)
装置 : ECLIPSE E600、(株)ニコン社製
カメラヘッド : DSカメラヘッド DS−5M
カメラコントロールユニット:DS−L1
TV LENSE: C−0.6x
倍率 : 対物レンズ ×4 接眼レンズ ×10
表示モード: 1.3Mp
露出モード:MANU
シャッター速度 : 1/90秒
カメラゲイン(C_gn):170
画像レベル調節(GAIN): Y100 R100 B100
色の濃さ(CHRM): +25
色相調節 (HUE): −25 SFT +50
(画像解析)
処理ソフト: 汎用画像処理・画像解析ソフト IO−METE2007、バージョン3.3.0(IO Ver. 2.0.0.0)、(株)アイ・スペック社製 画像検査ツールで「全コンポーネントで表示」を指定し、測定箇所を指定し、表示している画像の画素のレベル値の平均値を読み取り、蛍光強度とした(0〜255の256段階)。
【0046】
(オフセット印刷作業性)
本発明の再生葉書用紙に4色機平判オフセット印刷を行った際の、給紙部での用紙詰まりの有無や、排紙部での紙揃え状態を下記基準で評価した。尚、オフセット印刷は23℃、50%RH環境下で行った。
◎ : 給・排紙トラブルが全く発生せず、オフセット印刷は問題無く可能。
○ : 給紙部での用紙詰まりは発生せず印刷機が停止することは無かったが、排紙部での紙揃えは若干乱れた。
× : 給紙部での用紙詰まりや、排紙部での用紙の不揃いが発生し、印刷機が停止した。
【0047】
(小判断裁後カール)
オフセット印刷後、葉書用紙サイズに断裁した葉書用紙を平坦な机の上に静置しカールを測定した。カールは4隅の持ち上がり高さの平均値をもって表わす。尚、測定は23℃、50%RH環境下で行った。
【0048】
古紙パルプの製造方法
(パルプA)
パルパーにてケント古紙(灰分33.2%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、傾斜エキストラクター及びスクリュープレス脱水機で固形分濃度30%程度まで濃縮し、フォスフォスルフォンアミジン(FAS)を添加し漂白を行いながらディスパーザーを用いて分散処理を行い、さらに水で希釈しながらパルプ洗浄機(DNTウォッシャー:相川鉄工製)に通した後、フリーネスを300mlに調整し、パルプAを得た。このパルプの灰分は11.8%であった。
【0049】
(パルプB)
パルパーにて雑誌古紙(灰分20.3%)を離解し、除塵装置(クリーナーおよびスクリーン)を通過させた後、ダブルデイスクリファイナーにより、フリーネスを350mlに調整し、パルプBを得た。このパルプの灰分は18.8%であった。
【0050】
(パルプC)
パルプAをパルプ濃度10%に調整した後、二酸化塩素を対パルプ1%となるように添加し、60℃1時間処理することにより蛍光強度を97%低下させたパルプCを得た。
【0051】
(パルプD)
パルプAをパルプ濃度2%に調整した後、過硫酸アンモニウムを対パルプ1%(Kayaclean AW:日本化薬社製)と硫酸鉄を対パルプ0.4%(Kayaclean IK:日本化薬製)を配合し、pH2.5の条件下、60℃、5時間処理することにより蛍光強度を97%低下させてパルプDを得た。
【0052】
(パルプE)
パルパーにてケント古紙(灰分33.2%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、傾斜エキストラクター及びスクリュープレス脱水機で固形分濃度30%程度まで濃縮し、フォスフォスルフォンアミジン(FAS)を添加し漂白を行いながらディスパーザーを用いて分散処理を行い、さらに水で希釈しながらパルプ洗浄機(DNTウォッシャー:相川鉄工製)に通した後、フリーネスを230mlに調整し、パルプEを得た。このパルプの灰分は11.8%であった。
【0053】
(パルプF)
パルパーにて雑誌古紙(灰分20.3%)を離解し、除塵装置(クリーナーおよびスクリーン)を通過させた後、ダブルデイスクリファイナーにより、フリーネスを230mlに調整し、パルプFを得た。このパルプの灰分は18.8%であった。
【0054】
実施例1
以下に示す紙料・条件にて多層抄き合せ長網抄紙機により、5層により構成された米坪195g/m、紙厚220μmの再生葉書用紙を作成した。各層の張合は、表−表下層、表下−中層の層間にそれぞれ3.0%の酸化澱粉水溶液を絶乾固形分で0.3g/m塗布し、中−裏下層、裏下−裏層の層間にそれぞれ7.0%酸化澱粉水溶液を絶乾固形分で0.3g/m塗布し、各層を貼合した。また、表裏面サイズ処理として、酸化澱粉とオレフィン系表面サイズ剤の比率が9:1である固形分が20%の表裏面サイズ液を、ブレードコーターにて表面に絶乾固形分で2g/m、裏面に2g/m塗布した。
【0055】
(表層)
坪量:45g/m
J/W:1.00
テーパーヘッダ差圧:−0.39kPa
パルプ配合:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ0.3%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.025%添加。
硫酸バンド:Al2O3として8%の水溶液品を有姿で対パルプ0.5%添加。
(表下層)
坪量:30g/m
J/W:0.97
テーパーヘッダ差圧:0.26kPa
パルプ配合:古紙パルプA 100%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.0%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.07%添加。
硫酸バンド:Al2O3として8%の水溶液品を有姿で対パルプ10.0%添加。
(中層)
坪量:40g/m
J/W:1.03
テーパーヘッダ差圧:−0.19kPa
パルプ配合:古紙パルプB 100%
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.02%添加。
硫酸バンド:Al2O3として8%の水溶液品を有姿で対パルプ10.0%添加。
(裏下層)
坪量:30g/m
J/W:1.00
テーパーヘッダ差圧:1.00kPa
パルプ配合:古紙パルプA 100%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.0%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.07%添加。
硫酸バンド:Al2O3として8%の水溶液品を有姿で対パルプ10.0%添加。
(裏層)
坪量:45g/m
J/W:1.00
テーパーヘッダ差圧:0.16kPa
パルプ配合:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ0.3%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.025%添加。
硫酸バンド:Al2O3として8%の水溶液品を有姿で対パルプ0.5%添加。
【0056】
実施例2
各層の坪量を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:35g/m
表下層:40g/m
中層:40g/m
裏下層:40g/m
裏層:35g/m
【0057】
実施例3
以下に示す紙料・条件にて多層抄き合せ長網抄紙機により、3層により構成された米坪195g/m、紙厚220μmの再生葉書用紙を作成した。各層の張合は、表−中層の層間に3.0%の酸化澱粉水溶液を絶乾固形分で0.3g/m塗布し、中−裏層の層間に7.0%酸化澱粉水溶液を絶乾固形分で0.3g/m塗布し、各層を貼合した。また、表裏面サイズ処理として、酸化澱粉とオレフィン系表面サイズ剤の比率が9:1である固形分が20%の表裏面サイズ液を、ブレードコーターにて表面に絶乾固形分で2g/m、裏面に2g/m塗布した。
(表層)
坪量:50g/m
J/W:1.00
テーパーヘッダ差圧:−0.39kPa
パルプ配合:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ0.3%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.025%添加。
硫酸バンド:Al2O3として8%の水溶液品を有姿で対パルプ0.5%添加。
(中層)
坪量:90g/m
J/W:1.03
テーパーヘッダ差圧:−0.19kPa
パルプ配合:古紙パルプB 100%
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.02%添加。
硫酸バンド:Al2O3として8%の水溶液品を有姿で対パルプ10.0%添加。
(裏層)
坪量:50g/m
J/W:1.00
テーパーヘッダ差圧:0.16kPa
パルプ配合:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ0.3%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.025%添加。
硫酸バンド:Al2O3として8%の水溶液品を有姿で対パルプ0.5%添加。
【0058】
実施例4
各層のパルプ配合を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプC50%
表下層:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプC50%
中層:古紙パルプB 100%
裏下層:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプC50%
裏層:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプC50%
【0059】
実施例5
各層のパルプ配合を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプD50%
表下層:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプD50%
中層:古紙パルプB 100%
裏下層:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプD50%
裏層:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプD50%
【0060】
実施例6
各層のJ/Wを以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:1.02
表下層:0.97
中層:1.03
裏下層:1.00
裏層:0.98
【0061】
実施例7
各層のJ/Wを以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:1.01
表下層:0.97
中層:1.03
裏下層:1.00
裏層:0.99
【0062】
比較例1
各層のパルプ配合を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプA50%
表下層:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプA50%
中層:古紙パルプB 100%
裏下層:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプA50%
裏層:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプA50%
【0063】
比較例2
各層のパルプ配合を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP) 100%
表下層:古紙パルプE 100%
中層:古紙パルプF 100%
裏下層:古紙パルプE 100%
裏層:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP) 100%
【0064】
比較例3
各層の坪量を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:40g/m
表下層:30g/m
中層:40g/m
裏下層:30g/m
裏層:50g/m
【0065】
比較例4
各層の坪量を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:45g/m
表下層:25g/m
中層:40g/m
裏下層:35g/m
裏層:45g/m
【0066】
比較例5
各層のパルプ配合を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP) 50%、古紙パルプC 50%
表下層:古紙パルプA 100%
中層:古紙パルプB 100%
裏下層:古紙パルプA 100%
裏層:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP) 100%
【0067】
比較例6
各層のパルプ配合を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:フリーネスを400mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP) 100%
表下層:古紙パルプA 100%
中層:古紙パルプB 100%
裏下層:古紙パルプA 100%
裏層:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP) 100%
【0068】
比較例7
各層のJ/Wを以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:1.00
表下層:0.97
中層:1.03
裏下層:1.00
裏層:1.03
【0069】
比較例8
各層のJ/Wを以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:1.01
表下層:0.96
中層:1.03
裏下層:1.00
裏層:1.00
【0070】
比較例9
各層のテーパーヘッダの差圧を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:1.25kPa
表下層:0.26kPa
中層:−0.19kPa
裏下層:1.00kPa
裏層:0.16kPa
【0071】
比較例10
各層のテーパーヘッダの差圧を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層により構成された再生葉書用紙を作成した。
表層:−0.39kPa
表下層:0.26kPa
中層:−0.19kPa
裏下層:1.33kPa
裏層:0.16kPa
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
表1から明らかなように、古紙パルプを用紙中に40%以上含有し、3層以上の多層抄き合わせにより製造され、可逆カールが特定の範囲内である、実施例1〜7の再生葉書用紙は、宛名面へのオフセット印刷を問題なく行うことができ、オフセット印刷後のカール性も良好であった。また、蛍光顕微鏡で観察される蛍光強度が適切な範囲であるため、宛名面に印刷されたステルスバーコードの読み取りが良好であった。
これに対し、蛍光消色処理を施さなかった古紙パルプを表層に配合した比較例1の再生葉書用紙は、蛍光強度が110より大きく、宛名面に印刷されたステルスバーコードの誤認が発生した。
フリーネスが250mlを超えて叩解を進めた古紙パルプを配合した比較例2の再生葉書用紙は、MD方向を軸とした可逆カールが特定の範囲を超過し、オフセット印刷後の小判断裁後カールが大きかった。
多層構造を形成する各層の坪量が表裏非対称である比較例3、4の再生葉書用紙は、MD方向を軸とした可逆カールが特定の範囲を超過し、オフセット印刷後の小判断裁後カールが大きかった。特に、最表層の表層と裏層の坪量が非対称である比較例4の再生葉書用紙は、小判断裁後カールに加え、オフセット印刷の作業性も低下した。
多層構造を形成する各層のパルプ配合が表裏非対称である比較例5の再生葉書用紙は、MD方向を軸とした可逆カールが特定の範囲を超過し、オフセット印刷後の小判断裁後カールが大きかった。
多層構造を形成する各層のフリーネスが表裏非対称である比較例6の再生葉書用紙は、MD方向を軸とした可逆カールが特定の範囲を超過し、オフセット印刷後の小判断裁後カールが大きかった。
裏層のJ/Wが1.02を超えて製造した比較例7の再生葉書用紙は、可逆カールが特定の範囲を超過し、オフセット印刷の作業性が低く、オフセット印刷後の小判断裁後カールも大きかった。
表下層のJ/Wが0.97未満で製造した比較例8の再生葉書用紙は、MD方向を軸とした可逆カールが特定の範囲を超過し、オフセット印刷の作業性が低く、オフセット印刷後の小判断裁後カールも大きかった。
表層のテーパーヘッダ差圧が1.20kPaを超えて製造した比較例9の再生葉書用紙は、ネジレ方向を軸とした可逆カールが特定の範囲を超過し、オフセット印刷の作業性が低く、オフセット印刷後の小判断裁後カールも大きかった。
裏下層のテーパーヘッダ差圧が1.20kPaを超えて製造した比較例10の再生葉書用紙は、ネジレ方向を軸とした可逆カールが特定の範囲を超過し、オフセット印刷の作業性が低く、オフセット印刷後の小判断裁後カールも大きかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙パルプを用紙中に40%以上含有し、3層以上の多層抄き合わせにより抄造され、下記方法で測定される紙の可逆カールが、MD方向およびCD方向で−0.60〜0.60m−1/%、かつねじれ方向で−0.30〜0.30m−1/%であることを特徴とする再生葉書用紙。
(可逆カールの測定方法)
葉書用紙のMD方向・CD方向およびMD軸に対し45°斜め方向において幅5mm、長さ100mmの短冊状の紙片を試料とし、湿度25℃に環境下に片持梁で紙片長を50mmになるように支持し、湿度を50%RH(7時間)−85%RH(7時間)−25%RH(7時間)−80%RH8(7時間)−25%RH(7時間)と変化させ、紙片中の水分を変化させて紙片にカールを発生させ、この時のΔxとΔyを測定し、各湿度におけるMD方向・CD方向・45°斜め方向のカールK(KMD、KCD、K45)をそれぞれ次式によって求める。
K=2Δy/(Δx+Δy
また、ねじれ方向のカールKは次式によって求める。
N=K45−(KMD+KCD)/2
80%RHのときと25%RHの時のカール曲率(KRH80・KRH25)および紙の水分量(H80・H25)を測定し、MD方向・CD方向・ねじれ方向の可逆カールR(RMD、RCD、R)をそれぞれ次式によって求める。
R=(KRH80−KRH25)/(H80−H25
【請求項2】
前記3層以上の合わせによる多層構造において、蛍光顕微鏡で観察される蛍光強度が110以下であることを特徴とする請求項1記載の再生葉書用紙。
【請求項3】
原料パルプ全体に古紙パルプを40質量%以上使用し、中層を中心にして表裏対称になるように各層の坪量を調整し、パルプ含有液の吐出速度(J)とワイヤー速度(W)との比が表・裏層では0.98〜1.02の範囲になるように、それ以外の該各層では0.97〜1.03の範囲になるように調節して、多層抄紙することを特徴とする請求項1又は2に記載の再生葉書用紙の製造方法。
【請求項4】
前記中層および各層のパルプ含有流入ヘッダー管の入り側と出側の圧力差の絶対値が1.20kPa以下に調節して多層抄紙することを特徴とする請求項3記載の再生葉書用紙の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−208334(P2011−208334A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79947(P2010−79947)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】