説明

再生装置および再生装置の制御方法

【課題】 複数の表示装置の少なくとも何れかに動画データに基づく映像が表示している場合に、ティアリングの発生を抑制することが可能な再生装置および再生装置の制御方法を提供することにある。
【解決手段】 符号化されている動画データを復号し、復号された動画データに基づいて動画データを生成するメディアファンデーション510であって、動画データに対応する第1のフレームレートの動画データを出力する第1モードおよび第2のフレームレートの動画データを出力する第2モードを有するメディアファンデーション510と、第2表示装置に動画映像が表示されていない場合に復号手段を第1モードに設定し、第2表示装置に動画映像が表示されている場合に復号手段を第2のモードに設定するグラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、動画データを生成する再生装置および再生装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータは、複数のモニタに映像信号を同時に出力することが可能である。複数の表示装置に同時にそれぞれ映像信号を出力する場合、それぞれの映像信号に対応する映像のフレームレートは、同一のフレームレートである。そして、そのフレームレートは、複数の表示装置内の1台の表示装置(プライマリモニタ)のリフレッシュレートに応じて決まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−338944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リフレッシュレートが異なるモニタに同時に映像信号を出力した状況を考える。この状況で動画データの再生映像をプライマリモニタと異なるセカンダリモニタに表示した場合、ティアリングが発生することがある。
【0005】
本発明の目的は、複数の表示装置の少なくとも何れかに動画データに基づく映像が表示している場合に、ティアリングの発生を抑制することが可能な再生装置および再生装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係わる再生装置は、符号化されている第1動画データを復号し、前記復号された第2動画データに基づいて第3動画データを生成する復号手段であって、第1のフレームレートの前記第3動画データを出力する第1モードおよび第2のフレームレートの前記第3動画データを出力する第2モードを有する復号手段と、第1表示装置および第2表示装置に前記第1表示装置の第1リフレッシュレートに対応する第3のフレームレートの複数の映像信号を出力するグラフィックプロセッサであって、前記複数の映像信号に基づいて前記第1表示装置および前記第2表示装置の少なくとも一方の表示装置に前記第2動画データに基づいた動画映像を表示させるグラフィックプロセッサと、前記第2表示装置に前記動画映像が表示されていない場合に前記復号手段を前記第1モードに設定し、前記第2表示装置に前記動画映像が表示されている場合に前記復号手段を第2モードに設定する設定手段とを具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係わる再生装置の外観を示す模式図。
【図2】図1に示す再生装置のシステム構成を示すブロック図。
【図3】本発明の一実施形態に係わるDVDアプリケーションの構成を示すブロック図。
【図4】本発明の一実施形態に係わる60FPSの動画データを出力する場合のI/P変換を説明するための図。
【図5】本発明の一実施形態に係わる30FPSの動画データを出力する場合のI/P変換を説明するための図。
【図6】動画データの再生映像を含むウィンドウがプライマリモニタおよびセカンダリモニタの両方に跨って表示されている状態を示す図。
【図7】本発明の一実施形態に係わるミキサの動作モードを設定する処理の手順を示すフローチャート。
【図8】本発明の一実施形態に係わるミキサの動作モードを設定する処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
【0009】
まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係る再生装置および表示装置の構成を説明する。本実施形態の再生表示装置は、例えば、ノートブック型の携帯型パーソナルコンピュータ10から実現されている。また、例えば、表示装置は、テレビ受像機から実現されている。
【0010】
このパーソナルコンピュータ10は、DVDに格納されているDVD−Videoを再生するDVD再生機能を有している。このDVD再生機能は、例えば、パーソナルコンピュータ10に予めインストールされているDVDアプリケーションプログラムによって実現されている。
【0011】
図1はコンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。本コンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12には、TFT−LCD(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)17から構成される表示装置が組み込まれている。
【0012】
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対し、コンピュータ本体11の上面が露出される開放位置とコンピュータ本体11の上面を覆う閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。コンピュータ本体11は薄い箱形の筐体を有しており、その上面にはキーボード13、本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフするためのパワーボタン14、タッチパッド16、およびスピーカ18A,18Bなどが配置されている。
【0013】
コンピュータ本体11の例えば背面には、例えばHDMI(high-definition multimedia interface)規格に対応した外部ディスプレイ接続端子が設けられている。この外部ディスプレイ接続端子は、放送番組データのような映像コンテンツデータに含まれる映像データ(動画像データ)をHDMIケーブルを介してテレビ受像器20に出力するために用いられる。
【0014】
テレビ受像器20は、PAL(Phase Alternating Line)方式の放送規格に対応している。テレビ受像器20には、TFT−LCD21から構成される表示パネルが組み込まれている。
【0015】
次に、図2を参照して、本コンピュータ10のシステム構成およびテレビ受像器20の構成について説明する。
【0016】
テレビ受像器20は、EDID(extended display identification data)22を有する。EDID22はフラッシュメモリ等に格納されている。EDID22は、ディスプレイの固有情報(ベンダ名、型番、解像度、リフレッシュレート等)を接続している後述するGPU105に通知するためのデータである。また、コンピュータ10内で動作するアプリケーションは、GPU105を制御するドライバを介してEDID22を取得することができる。
【0017】
本コンピュータ10は、図2に示されているように、CPU101、ノースブリッジ102、主メモリ103、サウスブリッジ104、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)105、ビデオメモリ(VRAM)105A、サウンドコントローラ106、BIOS−ROM109、LANコントローラ110、ハードディスクドライブ(HDD)111、DVDドライブ112、無線LANコントローラ114、IEEE 1394コントローラ115、およびエンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116等を備えている。
【0018】
CPU101は本コンピュータ10の動作を制御するプロセッサであり、ハードディスクドライブ(HDD)111から主メモリ103にロードされる、オペレーティングシステム(OS)201、およびDVDアプリケーションプログラム202のような各種アプリケーションプログラムを実行する。DVDアプリケーションプログラム202はDVDドライブ112に装填されたDVDを再生するためのソフトウェアである。また、CPU101は、BIOS−ROM109に格納されたBIOS(Basic Input Output System)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0019】
ノースブリッジ102はCPU101のローカルバスとサウスブリッジ104との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ102には、主メモリ103をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ102は、PCI EXPRESS規格のシリアルバスなどを介してGPU105との通信を実行する機能も有している。
【0020】
GPU105は、本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。GPU105は、VRAM105をワークメモリとして使用する。このGPU105によって生成される映像信号はLCD17に送られる。また、GPU105は、HDMI制御回路3およびHDMI端子2を介して、テレビ受像器20内のLCD21にデジタル映像信号を送出することもできる。GPU105は、複数の演算プロセッサを有し、表示信号を生成すると同時に、複数の演算プロセッサの少なくとも一部を用いてピクセルシェーダを実行することが可能である。また、GPU105は、プログラミングされたピクセルシェーダを実行することができる。例えば、ピクセルシェーダによってビデオデータの高画質化処理が行われる。
【0021】
また、LCD17およびLCD21にそれぞれ映像信号が出力される場合、それぞれの映像信号に対応する映像のフレームレートは同じである。そのフレームレートは、LCD17のリフレッシュレートに対応する。
【0022】
HDMI端子2は上述の外部ディスプレイ接続端子である。HDMI端子2は、非圧縮のデジタル映像信号と、デジタルオーディオ信号とを一本のケーブルでテレビのようなテレビ受像器20に送出することができる。HDMI制御回路3は、HDMIモニタと称されるテレビ受像器20にデジタル映像信号をHDMI端子2を介して送出するためのインタフェースである。
【0023】
サウスブリッジ104は、LPC(Low Pin Count)バス上の各デバイス、およびPCI(Peripheral Component Interconnect)バス上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ104は、ハードディスクドライブ(HDD)111およびDVDドライブ112を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ104は、サウンドコントローラ106との通信を実行する機能も有している。
【0024】
サウンドコントローラ106は音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ18A,18BまたはHDMI制御回路3に出力する。
【0025】
無線LANコントローラ114は、たとえばIEEE 802.11規格の無線通信を実行する無線通信デバイスである。IEEE 1394コントローラ115は、IEEE 1394規格のシリアルバスを介して外部機器との通信を実行する。
【0026】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)13およびタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。このエンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、ユーザによるパワーボタン14の操作に応じて本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。
【0027】
次に、再生を行うために本装置のCPU101で実行されるDVDアプリケーションプログラム202の構成を図3に示す。このプレイヤソフトは、コンテンツの再生を行うためにマイクロソフト社製のOSであるWindows(登録商標)環境下で実行されるメディアファンデーションといわれる技術を用いる。メディアファンデーションはWindowsのマルチメディアプラットフォームである。Media Source、Transform、Media Sinkという3種類のパイプラインコンポーネントを用いてメディアデータを流すトポロジーを生成する。Media Sourceとは主に入力データを扱い、メディアデータを生成するコンポーネントであり、Transformはデコーダなどメディアデータを処理する中間に位置するコンポーネントで、Media Sinkはレンダラなどメディアデータを出力するコンポーネントである。
【0028】
DVDドライブ112によって再生されたDVD−VIDEOのデータはナビゲーション501に送られる。DVD−VIDEOのデータはCSS(Content Scramble System)によって暗号化されている。ナビゲーション501は、暗合されているデータを復号し、復号されたデータからビデオパック(V_PCK)、サブピクチャパック(SP_PCK)、及びオーディオパック(A_PCK)を分離する。ナビゲーション501はオーディオパック(A_PCK)をオーディオデコーダ511に渡す。また、ナビゲーション501はビデオパック(V_PCK)およびサブピクチャパック(SP_PCK)をサブピクチャデコーダ541に渡す。
【0029】
なお、DVD―VIDEOには30FPSのインターレス方式の動画データが格納されている。DVDを再生してLCD17に動画像を表示する場合、隣接するフィールド画像から1枚のフレーム画像を生成することによって60FPSのプログレッシブ方式の動画がLCD17に表示される。
【0030】
オーディオデコーダ511は圧縮符号化されている音声情報を伸張して無圧縮のオーディオデータに変換し、オーディオデータをオーディオレートコンバータ512に渡す。オーディオレートコンバータ512は、オーディオデータを適切なサンプリングレートに変換して、サウンドレンダラ513に渡す。サウンドレンダラ513は渡されたオーディオデータとコンピュータ上で動作する他のソフトウェア等が生成したオーディオデータと合成してオーディオドライバ514に渡す。オーディオドライバ514はサウンドコントローラ106を制御して、スピーカ18A,18Bからオーディオを出力する。
【0031】
ビデオデコーダ521において、ライン21のデータが含まれる場合はライン21のデータをライン21デコーダ522に渡す。ビデオデコーダ521は、ビデオパック(V_PCK)をデコードすることによってフィールド画像を生成する。サブピクチャデコーダ541はサブピクチャパック(SP_PCK)をデコードする。デコードされたデータは拡張ビデオレンダラ523に送られる。
【0032】
拡張ビデオレンダラ523内のミキサ523Aは、ビデオデコーダ521から渡された複数のフレームに対してインターレス/プログレッシブ変換(I/P変換)を行って、フィールド画像からフレーム画像を生成する。生成されたフレーム画像はプレゼンタ523Bに渡される。
【0033】
プレゼンタ523Bは、フレーム画像にサブピクチャ(伸張されたサブピクチャパック)やクローズドキャプションを合成する等の処理を実行したり、フレームをレンダリングしたりする処理を行う。
【0034】
プレゼンタ523Bから出力された動画データはディスプレイドライバ524に渡される。ディスプレイドライバ524はGPU105を制御して、LCD17に動画を表示する。
【0035】
プレイヤシェル/ユーザインタフェース531は再生コントロールパネルの表示に係わる処理を行う。また、プレイヤシェル/ユーザインタフェース531はユーザによって操作されたボタンに応じたコマンドをグラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532を介してメディアファンデーション510に通知する。メディアファンデーション510は通知されたコマンドに応じてナビゲーション501、オーディオデコーダ511、およびビデオデコーダ521から構成されるトポロジーを制御する。
【0036】
ところで、パーソナルコンピュータ10に搭載されるLCD17のリフレッシュレートは一般的に60Hzである。GPU105からLCD17に出力される映像のフレームレートは、60FPS(Flame Per Second)である。ところが、PAL方式の放送規格に対応しているテレビ受像器20内のLCD21のリフレッシュレートは50Hzである。
【0037】
フレームレートが60FPSであるDVD−Videoの再生映像がリフレッシュレートが50HzであるLCD21に表示されていると、再生映像にティアリングが生じることがある。
【0038】
発明者等の鋭意研究により、ティアリングの発生は、GPU105に入力されるDVD−Videoの再生映像のフレームレートを変更することによって防止することができることが判明した。例えば、フレームレートを30FPSに変更することによって、ティアリングの発生を防止することができる。
【0039】
グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、通常ミキサ523Aを第1のモードに設定し、LCD21に表示される再生映像にティアリングが発生する場合に通常ミキサ523Aを第2のモードに設定する。
【0040】
より具体的には、DVD−Videoの再生映像がLCD21に表示されていない場合に、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、GPU105に60FPSの映像データが入力される第1のモードに設定する。また、DVD−Videoの再生映像がLCD21に表示されている場合に、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、GPU105に60FPSの映像データが入力される第2のモードに設定する。
【0041】
60FPSの映像を出力する第1のモードの場合、ミキサ523Aは、隣接するフィールド画像を用いてフレーム画像を生成する。ミキサ523Aは、図4に示すように、ビデオデコーダ521から順次入力されるフィールド画像Fi1A、Fi1B、Fi2A、Fi2B、…、Fi9A、Fi9B、…から隣接するフィールド画像を用いて60FPSでフレーム画像Fl1、Fl2、…、Fl17、…を順次生成し、生成されたフレーム画像Fl1、Fl2、…、Fl17、…をプレゼンタ523Bに出力する。その結果、プレゼンタ523Bから60FPSの動画データがドライバ524を介してGPU105に出力される。
【0042】
また、30FPSの映像を出力する第2のモードの場合、ミキサ523Aは、同一フレーム内のフィールド画像を用いてフレーム画像を生成する。ミキサ523Aは、図5に示すように、順次入力されるフィールド画像Fi1A、Fi1B、Fi2A、Fi2B、…、Fi9A、Fi9B、…から同一フレームのフィールド画像を用いて30FPSでフレーム画像Fl1、Fl3、Fl5、…、Fl17、…を順次生成し生成されたフレーム画像Fl1、Fl3、Fl5、…、Fl17、…をプレゼンタ523Bに出力する。その結果、プレゼンタ523Bから30FPSの動画データがドライバ524を介してGPU105に出力される。
【0043】
このように、ミキサ523Aのフレーム画像の生成方法を変更するだけで、フレームレートを変更することができるので容易である。
【0044】
次に、フレームレートを変更する手順を説明する。なお、以下ではコンピュータ10内のLCD17をプライマリモニタ17とし、テレビ受像器20内のLCD21をセカンダリモニタ21とする。
【0045】
先ず、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、起動時にHDMI端子2にHDMIケーブル30を介して外部ディスプレイであるセカンダリモニタ21に対して映像信号が出力されているかを判別する。そして、セカンダリモニタ21に映像信号が出力されていると判別された場合に、表示モードがクローンモードか拡張デスクトップモード(デュアルビュー)の何れかであるかを判別する。クローンモードとは、プライマリモニタ17とセカンダリモニタ21とに同じ映像が表示されるモードのことである。また、拡張デスクトップモードは、プライマリモニタ17の表示エリアとセカンダリモニタ21の表示エリアとを一つのデスクトップとして取り扱って、プライマリモニタ17とセカンダリモニタ21とに別の映像が表示されるモードである。
【0046】
クローンモードであると判断された場合、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、ミキサ523Aに30FPSの映像を出力するように命令する。
【0047】
また、拡張デスクトップモードであると判断された場合、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、DVD−Videoを再生するウィンドウが、プライマリモニタ17とセカンダリモニタ21の何れかに表示されているかをオペレーティングシステム201に問い合わせる。
【0048】
オペレーティングシステム201が、DVD−Videoの再生ウィンドウの全体がプライマリモニタ17に表示されていれば、再生ウィンドウはプライマリモニタ17内にあると判断する。また、オペレーティングシステム201が、再生ウィンドウの全体がセカンダリモニタ21に表示されていれば、再生ウィンドウはセカンダリモニタ21にあると判断する。
【0049】
再生ウィンドウがプライマリモニタ17とセカンダリモニタ21との両方に跨っている場合に、再生ウィンドウがプライマリモニタ17とセカンダリモニタ21の何れかに表示されているかを判断する方法について図6を参照して説明する。図6に示すように、再生ウィンドウ301がプライマリモニタ17とセカンダリモニタ21との両方に跨って表示されている。この場合、プライマリモニタ17に表示されている再生ウィンドウ301の大きさと、セカンダリモニタ21に表示されている再生ウィンドウ301の大きさとを比較し、大きく表示されている方のLCDに再生ウィンドウ301が表示されていると判断する。なお、再生ウィンドウ301の横方向の半分の位置を示すラインHLがどちらのLCDに表示されているかを判定することによって、再生ウィンドウ301がどちらのLCDに表示されているかを判断しても良い。
【0050】
なお、再生ウィンドウ301の表示位置が変更され、再生ウィンドウ301が表示されているLCDが変更された場合、オペレーティングシステム201はグラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532に再生ウィンドウ301が表示されているモニタが変更されたことを割り込み通知する。
【0051】
以上の処理の流れを、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
DVDアプリケーションプログラム202の起動時に、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、オペレーティングシステム201に映像信号を出力しているモニタの情報を問い合わせることによって、オペレーティングシステム201からオペレーティングシステム201からモニタの情報を取得する(ステップ401)。
【0052】
取得された情報に基づいて、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、セカンダリモニタ21に映像信号が出力されているかを判断する(ステップ402)。セカンダリモニタ21に映像信号が出力されていると判断した場合(ステップ402のNo)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、60FPSの映像データが出力されるI/P変換が行われる第1のモードに設定するための命令をミキサ523Aに送信する(ステップ403)。
【0053】
セカンダリモニタ21に映像信号が出力されていると判断された場合(ステップ402のYes)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、オペレーティングシステム201にセカンダリモニタ21の表示モードを問い合わせ、問い合わせ結果に基づいて表示モードがクローンモードであるかを判断する(ステップ404)。クローンモードであると判断された場合(ステップ404のYes)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、30FPSの映像データが出力されるI/P変換が行われる第2のモードに設定するための命令をミキサ523Aに送信する(ステップ405)。クローンモードではないと判断された場合(ステップ443のNo)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、再生ウィンドウ301が表示されているモニタの情報をドライバ524から取得する(ステップ406)。
【0054】
グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、取得結果に基づいて再生ウィンドウ301がセカンダリモニタ21に表示されているかを判断する(ステップ407)。再生ウィンドウ301がセカンダリモニタ21に表示されていると判断された場合(ステップ407のYes)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、30FPSの映像データが出力されるI/P変換が行われる第2のモードに設定するための命令をミキサ523Aに送信する(ステップ408)。再生ウィンドウ301がセカンダリモニタ21に表示されていないと判断された場合(ステップ407のNo)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、60FPSの映像データが出力されるI/P変換が行われる第1のモードに設定するための命令をミキサ523Aに送信する(ステップ409)。
【0055】
ステップ408またはステップ409の後に、オペレーティングシステム201から再生ウィンドウ301の表示モニタが変更された旨の通知を受けた場合、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、再生ウィンドウ301がセカンダリモニタ21に表示されているかを判断する(ステップ410)。再生ウィンドウ301がセカンダリモニタ21に表示されていると判断された場合(ステップ410のYes)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、30FPSの映像データが出力されるI/P変換が行われるための命令をミキサ523Aに送信する(ステップ411)。再生ウィンドウ301がセカンダリモニタ21に表示されていないと判断された場合(ステップ410のNo)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、60FPSの映像データが出力されるI/P変換が行われるための命令をミキサ523Aに送信する(ステップ412)。
【0056】
以上の処理で、セカンダリモニタ21に再生ウィンドウ301が表示されている場合に、映像データのフレームレートを変更することで、ティアリングの発生を抑制することができる。
【0057】
なお、上記説明した処理では、セカンダリモニタ21のリフレッシュレートに係わらず、セカンダリモニタ21に再生ウィンドウ301が表示されている場合に映像データのフレームレートを変更している。これは、オペレーティングシステム201上で動作するアプリケーションは、、セカンダリモニタ21のEDID22を取得することができないというWindowsの仕様があるためである。次の実施形態では、Windowsの仕様が変更され、オペレーティングシステム201上で動作するアプリケーションがセカンダリモニタ21のリフレッシュレートが取得できるようになった場合の処理の手順を説明する。
【0058】
DVDアプリケーションプログラム202の起動時に、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、ディスプレイドライバ524から映像信号を出力しているモニタの情報を取得する(ステップ501)。取得された情報に基づいて、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、セカンダリモニタ21に映像信号が出力されているかを判断する(ステップ502)。
【0059】
セカンダリモニタ21に映像信号が出力されていないと判断された場合(ステップ502のNo)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、60FPSの映像データが出力されるI/P変換が行われるための命令をミキサ523Aに送信する(ステップ503)。セカンダリモニタ21に映像信号が出力されていると判断した場合、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、ドライバ524を介してセカンダリモニタ21のEDID22を取得する(ステップ504)。
【0060】
グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、取得したEDID22に基づいて、プライマリモニタ17のリフレッシュレートとセカンダリモニタ21のリフレッシュレートとが異なるかを判断する(ステップ505)。
【0061】
リフレッシュレートが異なっていないと判断された場合(ステップ505のNo)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、60FPSの映像データが出力されるI/P変換が行われるための命令をミキサ523Aに送信する(ステップ503)。
【0062】
リフレッシュレートが異なっていると判断された場合(ステップ505のYes)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、セカンダリモニタ21の表示モードをオペレーティングシステム201に問い合わせ、問い合わせ結果に基づいて表示モードがクローンモードであるかを判断する(ステップ506)。クローンモードであると判断された場合(ステップ506のYes)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、30FPSの映像データが出力されるI/P変換が行われるための命令をミキサ523Aに送信する(ステップ507)。クローンモードではないと判断された場合(ステップ506のNo)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、再生ウィンドウ301が表示されているモニタの情報をオペレーティングシステム201から取得する(ステップ508)。
【0063】
グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、取得結果に基づいて再生ウィンドウ301がセカンダリモニタ21に表示されているかを判断する(ステップ509)。再生ウィンドウ301がセカンダリモニタ21に表示されていると判断された場合(ステップ509のYes)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、30FPSの映像データが出力されるI/P変換が行われる第2のモードに設定するための命令をミキサ523Aに送信する(ステップ510)。再生ウィンドウ301がセカンダリモニタ21に表示されていないと判断された場合(ステップ509のNo)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、60FPSの映像データが出力されるI/P変換が行われる第1のモードに設定するための命令をミキサ523Aに送信する(ステップ511)。
【0064】
ステップ510またはステップ511の後に、オペレーティングシステム201から再生ウィンドウ301の表示モニタが変更された旨の通知を受けた場合、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、再生ウィンドウ301がセカンダリモニタ21に表示されているかを判断する(ステップ512)。再生ウィンドウ301がセカンダリモニタ21に表示されていると判断された場合(ステップ512のYes)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、30FPSの映像データが出力されるI/P変換が行われる第2のモードに設定するための命令をミキサ523Aに送信する(ステップ513)。再生ウィンドウ301がセカンダリモニタ21に表示されていないと判断された場合(ステップ512のNo)、グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ532は、60FPSの映像データが出力されるI/P変換が行われる第1のモードに設定するための命令をミキサ523Aに送信する(ステップ514)。
【0065】
以上の処理で、セカンダリモニタ21のリフレッシュレートがプライマリモニタ17のリフレッシュレートと異なる状態で、再生ウィンドウ301が表示されている場合に、映像データのフレームレートを変更することで、ティアリングの発生を抑制することができる。
【0066】
なお、本実施形態の符号化されている動画データを復号し、前記復号された動画データに基づいてグラフィックプロセッサに入力される動画データを生成する処理はコンピュータプログラムによって実現されているので、このコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じて通常のコンピュータにインストールするだけで、本実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。また、このコンピュータプログラムは、パーソナルコンピュータのみならず、プロセッサを内蔵した電子機器上で実行することができる。
【0067】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…携帯型パーソナルコンピュータ(再生装置),17…LCD(第1の表示装置),20…テレビ受像器,21…LCD(第2の表示装置),105…グラフィクスプロセッシングユニット(グラフィックプロセッサ),201…オペレーティングシステム(判断手段),202…DVDアプリケーションプログラム,510…メディアファンデーション(復号手段),532…グラフマネージャ/メディアファンデーションプレイヤ(設定手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化されている第1動画データを復号し、前記復号された第2動画データに基づいて第3動画データを生成する復号手段であって、第1のフレームレートの前記第3動画データを出力する第1モードおよび第2のフレームレートの前記第3動画データを出力する第2モードを有する復号手段と、
第1表示装置および第2表示装置に前記第1表示装置の第1リフレッシュレートに対応する第3のフレームレートの複数の映像信号を出力するグラフィックプロセッサであって、前記複数の映像信号に基づいて前記第1表示装置および前記第2表示装置の少なくとも一方の表示装置に前記第3動画データに基づいた動画映像を表示させるグラフィックプロセッサと、
前記第2表示装置に前記動画映像が表示されていない場合に前記復号手段を前記第1モードに設定し、前記第2表示装置に前記動画映像が表示されている場合に前記復号手段を第2モードに設定する設定手段とを具備することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記第1表示装置は前記再生装置に内蔵され、
前記第2表示装置は外部表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記第2表示装置の表示モードが拡張デスクトップモードであり、前記動画映像を含むウィンドウが前記第1表示装置および前記第2表示装置に跨って表示されている場合、前記第2表示装置に表示されている前記ウィンドウの割合が前記第1表示装置に表示されている前記ウィンドウの割合より大きい場合に前記動画映像が前記第2表示装置に表示されていると判断し、前記第1表示装置に表示されている前記ウィンドウの割合が前記第2表示装置に表示されている前記ウィンドウの割合より大きい場合に前記動画映像が前記第2表示装置に表示されていると判断し、判断結果を前記設定手段に通知する判断手段を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記ウィンドウが前記第1表示装置および前記第2表示装置の何れに表示されているかを監視し、前記ウィンドウが表示されている表示装置が変更された場合に前記ウィンドウが表示されている表示装置が変更された旨を前記設定手段に通知し、
前記設定手段は、前記通知に基づいて前記復号手段を前記第1モードおよび前記第2モードの何れかに設定することを特徴とする請求項3記載の再生装置。
【請求項5】
前記第2表示装置の第2リフレッシュレートを取得する手段を更に具備し、
前記設定手段は、
前記第1リフレッシュレートと前記第2リフレッシュレートとが同じ、且つ前記第2表示装置に前記動画映像が表示されている場合、前記復号手段を前記第1モードに設定し、
前記第1リフレッシュレートと前記第2リフレッシュレートとが異なり、且つ前記第2表示装置に前記動画映像が表示されている場合、前記復号手段を前記第2モードに設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項6】
符号化されている動画データを復号し、前記復号された動画データに基づいた動画映像を第1表示装置および第2表示装置の少なくとも一方の表示装置に表示する再生装置の制御方法であって、
前記再生装置は、前記第1表示装置の第1リフレッシュレートに対応する第3のフレームレートの複数の映像信号をグラフィックプロセッサから前記第1表示装置および前記第2表示装置に出力し、
前記制御方法は、
前記第2表示装置に前記動画映像が表示されていない場合、前記動画データのフレームレートを第1のフレームレートに切り替え、
前記第2表示装置に前記動画映像が表示されている場合、前記動画データのフレームレートを第2のフレームレートに切り替えることを特徴とする再生装置の制御方法。
【請求項7】
前記第2表示装置の表示モードが拡張デスクトップモードであり、前記動画映像を含むウィンドウが前記第1表示装置および前記第2表示装置に跨って表示されている場合、前記第2表示装置に表示されている前記ウィンドウの割合が前記第1表示装置に表示されている前記ウィンドウの割合より大きい場合に前記動画映像が前記第2表示装置に表示されている判断し、前記第1表示装置に表示されている前記ウィンドウの割合が前記第2表示装置に表示されている前記ウィンドウの割合より大きい場合に前記動画映像が前記第2表示装置に表示されている判断することを特徴とする請求項6に記載の再生装置の制御方法。
【請求項8】
前記ウィンドウが前記第1表示装置および前記第2表示装置の何れに表示されているかを監視し、
前記ウィンドウが表示されている表示装置が変更された場合に前記動画データのフレームレートを前記第1のフレームレートおよび前記第2のフレームレートの何れかに切り替えることを特徴とする請求項7記載の再生装置の制御方法。
【請求項9】
前記第2表示装置の第2リフレッシュレートを取得し、
前記第1リフレッシュレートと前記第2リフレッシュレートとが同じ、且つ前記第2表示装置に前記動画データに基づいた映像が表示されている場合、前記動画データのフレームレートを前記第1のフレームレートに切り替え、
前記切り替え手段は、前記第1リフレッシュレートと第2リフレッシュレートとが異なる、且つ前記第2表示装置に前記動画データに基づいた映像が表示されている場合、前記動画データのフレームレートを前記第2のフレームレートに切り替えることを特徴とする請求項6に記載の再生装置の制御方法。
【請求項10】
コンピュータに符号化されている動画データを復号し、前記復号された動画データに基づいてグラフィックプロセッサに入力される動画データを生成する処理を実行させるプログラムであって、
前記グラフィックプロセッサは、前記第1表示装置の第1リフレッシュレートに対応する第1のフレームレートの複数の映像信号をグラフィックプロセッサから前記第1表示装置および前記第2表示装置に出力し、前記複数の映像信号に応じて前記第1表示装置および前記第2表示装置の少なくとも一方の表示装置に前記動画データに基づいた動画映像が表示され、
前記第2表示装置に前記動画データに基づいた映像が表示されていない場合、前記動画データのフレームレートを第1のフレームレートに切り替える手順と、
前記第2表示装置に前記動画データに基づいた映像が表示されている場合、前記動画データのフレームレートを第2のフレームレートに切り替える手順とを
前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
前記第2表示装置の第2リフレッシュレートを前記グラフィックプロセッサを制御するドライバから取得する手順と、
前記第1リフレッシュレートと第2リフレッシュレートとが同じ、且つ前記第2表示装置に前記動画データに基づいた映像が表示されている場合、前記動画データのフレームレートを前記第1のフレームレートに切り替える手順と、
前記切り替え手段は、前記第1リフレッシュレートと第2リフレッシュレートとが異なる、且つ前記第2表示装置に前記動画データに基づいた映像が表示されている場合、前記動画データのフレームレートを前記第2のフレームレートに切り替える手順とを
更に具備することを特徴とする請求項10に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−223271(P2011−223271A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89772(P2010−89772)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】