再生装置および記録装置
【課題】たとえば鑑賞時には内蔵する駆動モータを停止させ、これにより鑑賞時に耳障りな雑音を発生しないようにすること。
【解決手段】再生装置1は、デジタル再生データが記録されたディスクを駆動モータ21,22により駆動するディスク系デバイス14,15と、デジタル再生データを記憶することができる半導体メモリ17と、ディスク系デバイス14,15の再生操作がなされた場合、ディスクに記録されているデジタル再生データを半導体メモリ17にコピーし、さらにディスク系デバイス14,15の停止を指示した後に、半導体メモリ17の再生処理を実行させる制御手段33と、を有する。
【解決手段】再生装置1は、デジタル再生データが記録されたディスクを駆動モータ21,22により駆動するディスク系デバイス14,15と、デジタル再生データを記憶することができる半導体メモリ17と、ディスク系デバイス14,15の再生操作がなされた場合、ディスクに記録されているデジタル再生データを半導体メモリ17にコピーし、さらにディスク系デバイス14,15の停止を指示した後に、半導体メモリ17の再生処理を実行させる制御手段33と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、情報記録ディスクから読み出す情報の情報読み出し長又は情報記録ディスクへ書き込む情報の情報書き込み長に基づいて情報記録ディスクの回転速度を制御することで、低消費電力化、低騒音化、低振動化を図る発明を開示する。
【0003】
【特許文献1】特開2002−133760号公報(要約、特許請求の範囲など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、AV(Audio Visual)機器のデジタル化が進み、楽曲、動画、静止画などはデジタル再生データとして、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)などのディスク型記録媒体やHDD(ハードディスクドライブ)デバイスなどに記録されるようになってきている。
【0005】
しかしながら、CDやDVDを回転駆動してそれらに記録されたデジタル再生データを読み出すディスクデバイスやHDDデバイスでは、ディスクを駆動モータで回転駆動する必要があるため、その再生時に駆動動作音が発生する。このディスクの回転駆動により発生する駆動動作音は、従来のテープデバイスなどによる動作音に比べて大きく、鑑賞時などには雑音として聞こえてしまう。特に、近年のAV機器では、大量のデータを高速に読み書きするために、ディスクデバイスやHDDデバイスとしてディスクの駆動速度が高速化されたものを採用する傾向にあり、この動作音は耳障りとなる傾向にある。つまり、AV機器が再生する音の質を向上するだけでは、ユーザに高音質の音を提供することができない。
【0006】
そこで、AV機器においても、ディスクの駆動速度を常に一定の最高速度にするのではなく、特許文献1にあるようにデータ量に応じて最適化した速度に制御することにより、低騒音化を図ることが考えられる。しかしながら、このようにディスクの駆動速度を最適に制御したとしても、騒音が無くなることにはならない。鑑賞中にデータが読み出されるときには、騒音が発生してしまうことになる。
【0007】
なお、近年のAV機器が発生する音としては、このようなディスクデバイスやHDDデバイスにおける駆動モータの駆動動作音の他にも、冷却ファンの駆動モータの駆動動作音、その他のアクチュエータのノイズ、冷却ファンなどによる風切り音などがある。
【0008】
また、駆動モータやアクチュエータが発生するノイズは、記録時には雑音として記録されてしまうことがある。
【0009】
本発明は、鑑賞時には内蔵する駆動モータを停止させ、これにより鑑賞時に耳障りな雑音を発生することがない再生装置を得ることを目的とする。また、本発明は、記録時には内蔵する駆動モータを停止させ、これにより記録時に耳障りな雑音を記録することがない記録装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る再生装置は、デジタル再生データが記録されたディスクを駆動モータにより駆動するディスク系デバイスと、デジタル再生データを記憶することができる半導体メモリと、ディスク系デバイスの再生操作がなされた場合、ディスクに記録されているデジタル再生データを半導体メモリにコピーし、さらにディスク系デバイスの停止を指示した後に、半導体メモリの再生処理を実行させる制御手段と、を有するものである。
【0011】
本発明に係る再生装置は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、再生装置は、さらに、冷却ファンを駆動モータにより駆動して装置内部を冷却するファンデバイスを有する。そして、制御手段は、ファンデバイスの停止を指示した後に、半導体メモリの再生処理を実行させる。
【0012】
本発明に係る再生装置は、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、再生装置は、さらに、駆動モータなどのアクチュエータを有するデバイスを有する。そして、制御手段は、デバイスの停止を指示した後に、半導体メモリの再生処理を実行させる。
【0013】
本発明に係る再生装置は、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御手段は、ディスク系デバイスに記録されているデジタル再生データを半導体メモリにコピーするときには、当該再生装置からの再生出力をさせない。
【0014】
本発明に係る再生装置は、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御手段は、再生操作により再生対象とされるディスク系デバイスのデジタル再生データに対して半導体メモリの空き容量が不足する場合には、再生可能な単位でディスク系デバイスに記録されているデジタル再生データを半導体メモリにコピーして再生処理を実行させ、再生対象のデジタル再生データによる再生を間欠的に実行させる。
【0015】
本発明に係る再生装置は、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、半導体メモリの少なくとも一部は、当該再生装置と着脱可能なものである。
【0016】
本発明に係る記録装置は、デジタル再生データを記憶することができるディスクを駆動モータにより駆動するディスク系デバイスと、デジタル再生データを記憶することができる半導体メモリと、入力端子と、入力端子に入力される音声信号あるいは映像信号をディスク系デバイスへ記録する操作がなされた場合、ディスク系デバイスの停止を指示した後に、入力端子に入力される音声信号あるいは映像信号を記録データとして半導体メモリに記録し、その後、半導体メモリに記録した記録データをディスク系デバイスへ移動させる制御手段と、を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、鑑賞時には内蔵する駆動モータを停止させ、これにより鑑賞時に耳障りな雑音を発生しないようにすることができる。また、本発明では、記録時には内蔵する駆動モータを停止させ、これにより記録時に耳障りな雑音を記録しないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る再生装置および記録装置を、図面に基づいて説明する。再生装置および記録装置は、1つのAV機器として説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る再生装置としてのAV機器1の構成を示すブロック図である。AV機器1は、たとえばデジタル入力端子2、デジタル出力端子3、アナログの音声信号が入力されるアナログ入力端子としてのアナログ音声入力端子4、アナログ音声出力端子5などの複数の入出力端子を有する。なお、AV機器1は、この他にも、アナログの映像信号が入力されるアナログ映像出力端子、アナログの映像信号を出力するアナログ映像入力端子などを備えていてもよい。
【0020】
デジタル出力端子3には、たとえば図示外の液晶テレビジョン受像機などが接続される。デジタル入力端子2には、たとえば図示外のDVDプレーヤなどが接続される。アナログ音声出力端子5には、たとえば図示外の5.1chのスピーカシステムなどが接続される。アナログ音声入力端子4には、たとえば図示外のマイクロホンなどが接続される。なお、アナログ映像出力端子には、たとえばブラウン管テレビジョン受像機などを接続することができ、アナログ映像入力端子には、たとえばビデオ再生機器などを接続することができる。
【0021】
アナログ音声出力端子5は、DACIC(Digital to Analog Converter Integrated Circuit)11に接続される。DACIC11は、DSPIC13(Digital Signal Processor IC)に接続される。DACIC11は、DSPIC13から供給される音の波形データを音声信号へ変換し、アナログ音声出力端子5へ出力する。これにより、アナログ音声出力端子5に接続される図示外の5.1chのスピーカシステムなどから音が出力される。
【0022】
アナログ音声入力端子4は、ADCIC(Analog to Digital Converter IC)12へ接続される。ADCIC12は、DSPIC13に接続される。ADCIC12は、アナログ音声入力端子4に接続される図示外のマイクロホンが集音した音声信号を波形データへ変換し、DSPIC13へ出力する。
【0023】
DSPIC13は、入力される音や映像のデジタル再生データを処理し、デジタル再生データなどを出力する。DSPIC13は、たとえばデジタル入力端子2などから入力されるストリーミングデータなどを、デジタル出力端子3へ出力する。この他にもたとえば、DSPIC13は、ADCIC12などから供給される音の波形データなどを、DACIC11へ出力する。
【0024】
なお、音や映像のストリーミングデータとしては、たとえばMPEG(Motion Picture Experts Group)4フォーマットによるデジタル再生データ、HD(High Definition)フォーマットによるデジタル再生データなどがある。また、音の波形データには、たとえばPCM(Pulse Code Modulation)フォーマットによるデジタル再生データ、MPEGフォーマットによるデジタル再生データなどがある。
【0025】
AV機器1は、このDSPIC13などの他にも、ディスク系デバイスの一種としてのディスクデバイス14、ディスク系デバイスの一種としてのHDDデバイス15、ファンデバイス16、半導体メモリとしての内蔵半導体メモリIC17、入力デバイス18、表示デバイス19、これらが接続されるFPGAIC(Field Programmable Gate Array IC)20などを有する。
【0026】
ディスクデバイス14は、CD、DVDなどの図示外のディスク型記録媒体を駆動モータ21により回転駆動し、このディスク型記録媒体へのデータの記録やこのディスク型記録媒体からのデータの読み出しを実行する。ディスク型記録媒体には、デジタル再生データとしての、音や映像のストリーミングデータや音の波形データなどが記録される。なお、ストリーミングデータや波形データなどは、データ圧縮された状態にてディスク型記録媒体に記録されていてもよい。
【0027】
HDDデバイス15は、データを記録することができる図示外の内蔵ディスクを駆動モータ22により回転駆動し、この内蔵ディスクへのデータの記録やこの内蔵ディスクからのデータの読み出しを実行する。内蔵ディスクには、デジタル再生データとして音や映像のストリーミングデータや音の波形データなどが記録される。なお、ストリーミングデータや波形データなどは、圧縮されて内蔵ディスクに記録されていてもよい。
【0028】
ファンデバイス16は、図示外の冷却ファンを回転駆動する駆動モータ23を有する。ファンデバイス16は、たとえばAV機器1の電源投入などに基づいて、駆動モータ23により冷却ファンを回転駆動する。なお、ファンデバイス16は、AC機器の内部温度が所定の温度以上になったり、FPGAIC20の温度が所定の温度以上になったりすると、それらの温度がその所定の温度以下となるまで、冷却ファンの回転速度を通常より上げたりするようにしてもよい。
【0029】
なお、ディスクデバイス14の駆動モータ21、HDDデバイス15の駆動モータ22、ファンデバイス16の駆動モータ23などが動作すると、ディスク型記録媒体、内蔵ディスク、冷却ファンなどの駆動動作音が発生する。特に、冷却ファンなどはAV機器1の図示外の通風口に配設されるため、冷却ファンの風切り音はAV機器1の外部において聞き取り易い。
【0030】
また、これらの駆動モータ21〜23などのアクチュエータは、その動作時に比較的大きな電力を消費する。そのため、AV機器1の図示外の電源プレーンやグランドプレーンにはこの電力による電流が脈動的に流れて電流ノイズが大きくなったり、AV機器1内部において内部輻射が発生したりする。そして、たとえば電源プレーンやグランドプレーンの電位を基準として変換処理を実行するADCIC12やDACIC11などのアナログ回路は、これらの電流ノイズや内部輻射によりその性能をフルに発揮することができなくなり、これらの信号の変換精度などが低下してしまう。この場合には、AV機器1内において実際に変換される音や映像の質は、ADCIC12やDACIC11などの単体のスペックより低下してしまうことになる。
【0031】
内蔵半導体メモリIC17は、たとえばSDRAM(Synchronous DRAM)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの、半導体デバイスによりデータを記憶するものである。内蔵半導体メモリIC17には、デジタル再生データとして音や映像のストリーミングデータや音の波形データなどが記録される。なお、ストリーミングデータや波形データなどは、圧縮されて内蔵半導体メモリIC17に記録されていてもよい。そして、この内蔵半導体メモリIC17ではデータの読み書きをする際に駆動モータを動作させる必要がないため、内蔵半導体メモリIC17に記録されたデジタル再生データを読み書きする際に動作音が発生しない。
【0032】
入力デバイス18は、たとえばソース選択ボタン26、再生ボタン27、記録先選択ボタン28、記録ボタン29などの各種の操作ボタンを有する。そして、入力デバイス18は、ユーザにより操作されたボタンに応じた入力データをFPGAIC20へ出力する。
【0033】
なお、AV機器1は、この入力デバイス18に替えて、あるいはこの入力デバイス18とともに、図示外のリモコン受光部を備えるものであってもよい。リモコン受光部は、図示外のリモコン送信機がその操作ボタンの操作に応じて出力する光を受光し、受光光に対応する入力データをFPGAIC20へ出力する。
【0034】
表示デバイス19は、たとえば液晶パネルなどであり、FPGAIC20から供給される表示データを表示する。
【0035】
FPGAIC20は、マイクロコンピュータの一種であり、図示外のメモリ、図示外のCPU(Central Processing Unit)などを有する。CPUは、メモリに記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、FPGAIC20には、ファン制御部31、データ入出力実行部32、記録再生制御部33、UI(User Interface)部34などの機能が実現される。
【0036】
なお、上述したFPGAIC20のメモリに記憶されるプログラムは、AV機器1の出荷前にメモリに記憶されたものであっても、AV機器1の出荷後にメモリに記憶されたものであってもよい。また、プログラムの一部が、AV機器1の出荷後に記憶されたものであってもよい。このように出荷後にメモリに記憶されるプログラムは、たとえばCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)や半導体メモリなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してサーバ装置などからダウンロードしたものであってもよい。
【0037】
ファン制御部31は、冷却ファンの停止を指示するための停止信号や、冷却ファンの起動を指示する起動信号を生成し、ファンデバイス16へ供給する。ファンデバイス16は、たとえば停止信号が入力されると駆動モータ23を停止し、起動信号が入力されると駆動モータ23の駆動を開始する。
【0038】
データ入出力実行部32は、指定されたソースデバイスからデジタル再生データを読み込んで、指定されたシンクデバイスへ読み込んだデジタル再生データを供給する。なお、このAV機器1において、ソースデバイスは、DSPIC13、ディスクデバイス14、HDDデバイス15および内蔵半導体メモリIC17の中から選択された1つのデバイスであり、シンクデバイスは、ソースデバイス以外の選択された1つのデバイスである。
【0039】
UI部34は、入力デバイス18からの入力データに基づいて、たとえばユーザが選択した再生ソースの再生開始要求を記録再生制御部33へ供給する。また、UI部34は、表示デバイス19へ表示データを供給し、入力デバイス18の操作により選択された再生ソースのソース名や再生データのデータ名などを表示デバイス19に表示させる。
【0040】
制御手段としての記録再生制御部33は、AV機器1における再生処理や記録処理を制御する。記録再生制御部33は、具体的にはたとえば、UI部34からの再生開始要求に基づいて、再生や記録などのための各種の制御指示を、ファン制御部31、データ入出力実行部32、DSPIC13、ディスクデバイス14、HDDデバイス15などへ出力する。
【0041】
次に、以上の構成を有するAV機器1の動作を説明する。まず、AV機器1の再生動作を説明する。AV機器1に再生動作をさせる場合、ユーザは、入力デバイス18のソース選択ボタン26を操作し、たとえば所望のソースデバイスの名称が表示デバイス19に表示されている状態において再生ボタン27を操作する。これらの操作がなされると、UI部34は、表示デバイス19に表示しているソースの再生開始要求を記録再生制御部33へ供給する。UI部34は、たとえばHDDデバイス15の再生開始要求などを記録再生制御部33へ供給する。
【0042】
図2は、図1中の記録再生制御部33が実行する再生処理の流れを示すフローチャートである。記録再生制御部33は、ソースデバイスの再生開始要求があると判断すると(ステップST1においてYes)、その再生を要求されたソースデバイスがディスク系デバイスであるか否かを判断する(ステップST2)。図1のAV機器1において、ディスクデバイス14およびHDDデバイス15がディスク系デバイスである。
【0043】
要求されたソースがたとえば内蔵半導体メモリIC17やDSPIC13などの非ディスク系デバイスである場合、記録再生制御部33は、ソースデバイスがディスク系デバイス14,15ではないと判断し(ステップST2でNo)、ファン制御部31へ冷却ファンの停止を指示する(ステップST3)。ファン制御部31は、冷却ファンの停止を指示するための停止信号を生成し、ファンデバイス16へ供給する。ファンデバイス16は、この停止信号が入力されると駆動モータ23を停止する。
【0044】
ファンデバイス16の停止を指示した後、記録再生制御部33は、データ入出力実行部32へ再生を指示されたソースの再生を指示する(ステップST4)。記録再生制御部33は、非ディスク系デバイスであるたとえば内蔵半導体メモリIC17に記録されたデジタル再生データをDSPIC13へ出力する再生を指示する。この場合、データ入出力実行部32は、内蔵半導体メモリIC17に記録されているデジタル再生データを読み込んで、DSPIC13へ供給する。
【0045】
DSPIC13は、供給されたデジタル再生データをストリーミングデータへ変換し、デジタル出力端子3へ出力する。また、DSPIC13は、供給されたデジタル再生データから音の波形データを生成し、DACIC11へ出力する。DACIC11は、供給された音の波形データを音声信号へ変換し、アナログ音声出力端子5へ出力する。
【0046】
これにより、デジタル出力端子3に接続されるたとえば図示外の液晶テレビジョン受像機などは、供給されたストリーミングデータを用いて再生映像を生成して表示する。また、アナログ音声出力端子5に接続されるたとえば図示外の5.1chのスピーカシステムなどは、供給された音声信号に基づく音を出力する。非ディスク系デバイスであるたとえば内蔵半導体メモリIC17に記録されたデジタル再生データは再生される。
【0047】
要求されたソースがディスク系デバイス14,15である場合、記録再生制御部33は、ソースデバイスがディスク系デバイス14,15であると判断し(ステップST2でYes)、まず、DSPIC13へ出力ミュートを指示する(ステップST5)。DSPIC13は、デジタル出力端子3へのストリーミングデータの出力と、DACIC11への音の波形データの出力とを停止する。これにより、デジタル出力端子3に接続されるたとえば図示外の液晶テレビジョン受像機などにおいて映像が再生されなくなり、アナログ音声出力端子5に接続されるたとえば図示外の5.1chのスピーカシステムなどから音が出力されなくなる。
【0048】
出力ミュートを指示した後、記録再生制御部33は、再生を指示された1つのディスク系デバイス14,15に対して、起動を指示する(ステップST6)。再生を指示されたソースデバイス、たとえばHDDデバイス15はその駆動モータ22の駆動を開始する。
【0049】
1つのディスク系デバイス14,15へ起動を指示した後、記録再生制御部33は、データ入出力実行部32に対して、起動したディスク系デバイス14,15のデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17にコピーする指示をする(ステップST7)。これにより、データ入出力実行部32は、たとえばHDDデバイス15に記録されているデジタル再生データを読み込んで、内蔵半導体メモリIC17へ供給する。これにより、内蔵半導体メモリIC17には、HDDデバイス15に記録されているものと同じデジタル再生データが記憶される。
【0050】
内蔵半導体メモリIC17へのコピーが完了すると、記録再生制御部33は、すべてのディスク系デバイス14,15へ停止を指示する(ステップST8)。これにより、再生を指示されたソースデバイス、たとえばHDDデバイス15を含むすべてのデバイスにおいて、駆動モータ21,22が停止する。
【0051】
すべてのディスク系デバイス14,15を停止させた後、記録再生制御部33は、ファン制御部31へ冷却ファンの停止を指示する(ステップST9)。ファン制御部31は、冷却ファンの停止を指示するための停止信号を生成し、ファンデバイス16へ供給する。ファンデバイス16は、この停止信号が入力されると駆動モータ23を停止する。
【0052】
ファンデバイス16の停止を指示した後、記録再生制御部33は、DSPIC13へ出力ミュートの解除を指示する(ステップST10)。これにより、DSPIC13は、デジタル出力端子3へのストリーミングデータの出力と、DACIC11への音の波形データの出力とが可能な状態となる。
【0053】
出力ミュートを解除した後、記録再生制御部33は、データ入出力実行部32に対して、内蔵半導体メモリIC17にコピーしたデジタル再生データの再生を指示する(ステップST11)。データ入出力実行部32は、内蔵半導体メモリIC17に記録されているデジタル再生データを読み込んで、DSPIC13へ読み込んだデジタル再生データを供給する。
【0054】
これにより、DSPIC13において、デジタル再生データはストリーミングデータや音の波形データへ変換され、デジタル出力端子3に接続されるたとえば図示外の液晶テレビジョン受像機などへストリーミングデータが供給され、アナログ音声出力端子5に接続されるたとえば図示外の5.1chのスピーカシステムなどへ音声信号が供給される。AV機器1は、再生を指示された1つのディスク系デバイス14,15のデジタル再生データを再生することができる。
【0055】
次に、AV機器1による記録動作を説明する。AV機器1に記録動作をさせる場合、ユーザは、入力デバイス18の記録先選択ボタン28を操作し、たとえば所望のシンクデバイスの名称が表示デバイス19に表示されている状態において記録ボタン29を操作する。これらの操作がなされると、UI部34は、表示デバイス19に表示しているシンクデバイスへの記録開始要求を記録再生制御部33へ供給する。UI部34は、たとえば図示外のマイクロホンで集音されて、アナログ音声入力端子4に入力される音声信号をサンプリングしてHDDデバイス15に記録する記録開始要求などを記録再生制御部33へ供給する。
【0056】
図3は、図1中の記録再生制御部33が実行する記録処理の流れを示すフローチャートである。記録再生制御部33は、記録開始要求があると判断すると(ステップST21でYes)、その要求がアナログ音声入力端子4に入力される音声信号を録音する要求(すなわち、アナログの外部録音要求)であるか否かを判断する(ステップST22)。
【0057】
アナログの外部録音要求でない場合(ステップST22でNo)、記録再生制御部33は、データ入出力実行部32に対して、記録元のソースデバイス(たとえばHDDデバイス15)のデジタル再生データを記録先のシンクデバイス(たとえば内蔵半導体メモリIC17)に記録する指示をする(ステップST23)。データ入出力実行部32は、たとえばHDDデバイス15に記録されているデジタル再生データを読み込んで、たとえば内蔵半導体メモリIC17へ読み込んだデジタル再生データを供給する。これにより、たとえば内蔵半導体メモリIC17には、たとえばHDDデバイス15に記録されているものと同じデジタル再生データが記憶される。
【0058】
記録開始要求がアナログ外部録音の要求である場合(ステップST22でYes)、記録再生制御部33は、すべてのディスク系デバイス14,15へ停止を指示する(ステップST24)。また、記録再生制御部33は、ファン制御部31へ冷却ファンの停止を指示する(ステップST25)。これにより、AV機器1内のファンデバイス16を含むすべてのデバイスにおいて、駆動モータ21〜23が停止する。AV機器1において、駆動モータ21〜23による駆動動作音や、ディスク型記録媒体、内蔵ディスク、冷却ファンなどによる風切り音などが発生しなくなる。
【0059】
AV機器1内のすべての駆動モータ21〜23を停止するように制御した後、記録再生制御部33は、データ入出力実行部32に対して、DSPIC13が生成する音の波形データを内蔵半導体メモリIC17に記録する指示をする(ステップST26)。データ入出力実行部32は、DSPIC13が生成する音の波形データを読み込んで、内蔵半導体メモリIC17へ供給する。これにより、内蔵半導体メモリIC17には、アナログ音声入力端子4に入力される音のデジタル再生データが記憶される。
【0060】
内蔵半導体メモリIC17へのアナログ外部録音が完了すると、記録再生制御部33は、ファン制御部31へ冷却ファンの起動許可を指示する(ステップST27)。これにより、ファンデバイス16において駆動モータ23が駆動される。
【0061】
冷却ファンの起動を許可した後、記録再生制御部33は、記録開始要求において指定された記録先がディスク系デバイス14,15のいずれかであるか否かを判断する(ステップST28)。指定された記録先がディスク系デバイス14,15のいずれのものではない場合(ステップST28でNo)、すなわちこの実施の形態では既にアナログ外部録音をさせた内蔵半導体メモリIC17である場合、記録再生制御部33は、記録処理を終了する。
【0062】
指定された記録先がディスク系デバイス14,15のいずれかである場合(ステップST28でYes)、記録再生制御部33は、記録先に指定された1つのディスク系デバイス14,15へ起動を指示する(ステップST29)。起動を指示されたディスク系デバイス14,15(たとえばHDDデバイス15)では、駆動モータ22により内蔵ディスクの駆動が開始される。
【0063】
記録先に指定された1つのディスク系デバイス14,15へ起動を指示した後、記録再生制御部33は、データ入出力実行部32に対して、内蔵半導体メモリIC17に一時記録させたデジタル再生データをその1つのディスク系デバイス14,15へ移動する指示をする(ステップST30)。たとえば、データ入出力実行部32は、内蔵半導体メモリIC17に記録した音のデジタル再生データを読み込んで、HDDデバイス15へ供給する。このコピー処理が完了すると、データ入出力実行部32は、内蔵半導体メモリIC17から、コピーしたデジタル再生データを削除する。これにより、ディスク系デバイス14,15(たとえばHDDデバイス15)には、内蔵半導体メモリIC17に記録されていたものと同じデジタル再生データが記憶される。
【0064】
以上のように、この実施の形態によれば、記録再生制御部33は、ディスクデバイス14やHDDデバイス15の再生が要求された場合、それらのディスク系デバイス14,15に記憶されるデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17にコピーし(図2中のステップST7)、さらにディスク系デバイス14,15およびファンデバイス16の停止を指示した(図2中のステップST8)後、その内蔵半導体メモリIC17から再生をさせる(図2中のステップST11)。
【0065】
つまり、ディスク系デバイス14,15に記録されているデジタル再生データは、内蔵半導体メモリIC17にコピーされて、この内蔵半導体メモリIC17から再生される。しかも、その内蔵半導体メモリIC17による再生がなされるときには、図2中のステップST8およびST9の処理により、ディスク系デバイス14,15およびファンデバイス16は停止するように制御されている。したがって、たとえば音楽、動画、静止画などのディスク系デバイス14,15に記録されたデジタル再生データを再生して鑑賞するときには、ディスク系デバイス14,15の駆動モータ21,22やファンデバイス16の駆動モータ23による耳障りな雑音や、冷却ファンなどの風切り音などが発生しないようになる。雑音の無い静かな環境下での鑑賞が可能となる。
【0066】
しかも、内蔵半導体メモリIC17により再生がなされるときには、ディスク系デバイス14,15の駆動モータ21,22およびファンデバイス16の駆動モータ23は停止するように制御される。したがって、このディスク系デバイス14,15の駆動モータ21,22やファンデバイス16の駆動モータ23が駆動されることにより発生してしまう、電流ノイズや内部輻射が生じなくなる。AV機器1内のたとえばDACIC11などのアナログ回路は、この電流ノイズや内部輻射の影響が無い安定した電源の下で、その性能をフルに発揮することができる。その結果、AV機器1により再生される音や映像の質は向上する。
【0067】
また、この実施の形態では、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15に記録されているデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17にコピーするときには、当該AV機器1から再生出力がなされないように制御する(図2中のステップST5およびST10)。したがって、コピーのためにディスク系デバイス14,15から読み出されるデジタル再生データに基づいて、DACIC13などが音や映像などを出力してしまわないようにすることができる。
【0068】
同様に、記録再生制御部33は、アナログ外部入力をディスクデバイス14あるいはHDDデバイス15へ録音することが要求された場合、これらのディスク系デバイス14,15およびファンデバイス16の停止を指示した状態(図3中のステップST24およびST25)でアナログ外部入力を内蔵半導体メモリIC17に記録し(ステップST26)、その後、その内蔵半導体メモリIC17に記録されたデジタル再生データをディスク系デバイス14,15へ移動させる(ステップST30)。したがって、アナログ外部入力を録音するときには、ディスク系デバイス14,15の駆動モータ21,22やファンデバイス16の駆動モータ23による耳障りな雑音や、冷却ファンなどの風切り音などが発生しないようになり、雑音の無い静かな環境下での録音が可能となる。また、ADCIC12も、電流ノイズや内部輻射の影響が無い安定した電源の下で性能をフルに発揮し、AV機器1によりアナログ記録される音や映像の質は向上する。
【0069】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0070】
上記実施の形態では、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15の再生指示があったとき、その再生対象のデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17にコピーし、その後、デバイス14,15などの停止を指示した後に内蔵半導体メモリIC17による再生処理を指示している。この他にもたとえば、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15の再生指示があったとき、まず内蔵半導体メモリIC17にその再生対象のデータが記憶されているか否かを確認し、記憶されている場合にはコピー動作を行わずに、デバイス14,15などの停止を指示した後に内蔵半導体メモリIC17による再生処理を指示するようにしてもよい。なお、再生対象のデータが記憶されているか否かの判断は、たとえば再生指定されたコンテンツのメタデータとメモリ17に記憶されたコンテンツのメタデータとを比較することなどにより実行することができる。
【0071】
これにより、たとえば同じものを繰り返し再生したり、あるいは内蔵半導体メモリIC17の容量が大きいなどのためにたとえば直接再生指示のなかったコンテンツも含めて(例えばコンテンツの含まれているフォルダをまとめて)ディスク系から一度に多くのデータを事前にコピー済みであったりする状況においては、その後の再生時においては再生対象のデータがすでに内蔵半導体メモリIC17にコピー済みとなり、ディスク系デバイス14,15の再生指示がなされてからその再生が実際に開始されるまでの待ち時間を削減することができる。
【0072】
上記実施の形態では、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15を再生するとき、その再生対象のすべてのデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17にコピーしてから、内蔵半導体メモリIC17による再生処理を指示している。この他にもたとえば、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15を再生するとき、その再生対象のデジタル再生データをたとえばファイルなどの再生可能な単位で内蔵半導体メモリIC17にコピーし、そのコピー毎に内蔵半導体メモリIC17による再生処理を指示するようにしてもよい。
【0073】
この変形例の場合、ディスク系デバイス14,15のデジタル再生データは、再生可能な単位で間欠的に再生されることになる。また、ディスク系デバイス14,15中の再生対象のデータ量よりも記憶容量が小さい内蔵半導体メモリIC17を使用して、再生することができる。再生のための一時バッファとして使用する内蔵半導体メモリIC17の容量を減らすことができ、AV機器1の小型化やコスト削減を実現することができる。
【0074】
図4は、図2に示す再生処理の変形例を示すフローチャートである。なお、図4において、図2の再生処理の各ステップと同じ処理のステップには、図2のステップと同一のステップ番号を付している。
【0075】
図4において、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15の再生が指示されたと判断した後(ステップST2でYes)、さらにすべての再生対象のデジタル再生データが内蔵半導体メモリIC17に格納可能であるか否かを判断する(ステップST41)。そして、すべての再生対象のデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17に格納することが可能である場合(ステップST41でYes)、記録再生制御部33は、図2の場合と同様にすべてのデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17にコピーした後、データ入出力実行部32に対して、内蔵半導体メモリIC17からの再生を指示する(ステップST5〜ST11)。
【0076】
これに対して、たとえば内蔵半導体メモリIC17の残りの空き容量が不足するなどの理由により、すべての再生対象のデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17に格納することが可能ではない場合(ステップST41でNo)、あるいは可能とは判断できない場合、記録再生制御部33は、デジタル再生データを1つずつ内蔵半導体メモリIC17にコピーし、データ入出力実行部32に対して、そのコピー毎に内蔵半導体メモリIC17からの再生を指示する(ステップST42〜ST48)。また、記録再生制御部33は、1つの再生が終わる度に、すべての再生対象のデジタル再生データの内蔵半導体メモリIC17による再生処理が終えたか否かを判断し(ステップST49)、終えた場合にはディスク系デバイス14,15の再生処理を終了する。
【0077】
なお、図4において、記録再生制御部33は、すべての再生対象のデジタル再生データの内蔵半導体メモリIC17による再生処理が終えていないと判断した場合(ステップST49でNo)、ファン制御部31にファンデバイス16の起動許可を指示してから(ステップST50)、再生可能単位での所定のコピー処理および再生処理を指示している(ステップST42〜ST48)。このようにファンデバイス16の起動を可能な限り許可することにより、ディスク系デバイス14,15の再生期間が長期化したとしても、各コピー処理中(ステップST50からST46までの期間)に冷却することができ、ステップST48の鑑賞中において冷却ファンが動作してしまう可能性を減らすことができる。
【0078】
また、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15にアナログ外部音声を録音するとき、その録音対象のデジタル再生データをたとえばファイルなどの再生可能な単位で内蔵半導体メモリIC17に保存し、データ入出力実行部32に対して、その保存処理毎に内蔵半導体メモリIC17から指定されたディスク系デバイス14,15への移動処理を指示するようにしてもよい。
【0079】
上記実施の形態では、ディスク系デバイス14,15に記録されているデジタル再生データや、ディスク系デバイス14,15に記録するデジタル再生データは、内蔵半導体メモリIC17に記録されてから、再生あるいは記録に使用される。この他にもたとえば、これらのデジタル再生データは、AV機器1と着脱可能な半導体メモリデバイスに記憶されてもよい。この構成を採用すれば、AV機器1に内蔵半導体メモリIC17を内蔵させる必要がないので、AV機器1そのもののコストを削減することができる。なお、デジタル再生データは、その一部が内蔵半導体メモリIC17に記憶され、残りがAV機器1と着脱可能な半導体メモリデバイスに記憶されていてもよい。
【0080】
図5は、メモリカードリーダライタデバイス41を有するAV機器1の変形例を示すブロック図である。メモリカードリーダライタデバイス41には、着脱可能な半導体メモリとしての図示外のメモリカードを着脱するとができる。また、メモリカードリーダライタデバイス41は、FPGAIC20に接続されている。これにより、データ入出力実行部32は、メモリカードリーダライタデバイス41に装着されたメモリカードに対して、デジタル再生データの書込みをしたり読み出しをしたりすることが可能となる。また、記録再生制御部33は、内臓半導体メモリICおよびメモリカードの中の一方を選択して、ディスク系デバイス14,15から再生するデジタル再生データなどを一時記憶させればよい。
【0081】
図6は、USB(Universal Serial Bus)通信I/F(Interface)デバイス51を有するAV機器1の変形例を示すブロック図である。USB通信I/Fデバイス51には、着脱可能な半導体メモリとしての図示外のUSBメモリデバイスを着脱するとができる。また、USB通信I/Fデバイス51は、FPGAIC20に接続されている。これにより、データ入出力実行部32は、USB通信I/Fデバイス51に装着されたUSBメモリデバイスに対して、デジタル再生データの書込みをしたり読み出しをしたりすることが可能となる。また、記録再生制御部33は、内臓半導体メモリICおよびUSBメモリデバイスの中の一方を選択して、ディスク系デバイス14,15から再生するデジタル再生データなどを一時記憶させればよい。
【0082】
上記実施の形態では、AV機器1の記録再生制御部33は、アナログ音声入力端子4に入力される音声信号をディスクデバイス14あるいはHDDデバイス15へ録音する際に、これらディスク系に停止を指示した状態で内蔵半導体メモリIC17に記録し、さらに内蔵半導体メモリIC17から所望のデバイス14,15へ記録データを移動させている。この他にもたとえば、AV機器1の記録再生制御部33は、デジタル入力端子2に入力される音声データなどをディスクデバイス14あるいはHDDデバイス15へ録音する際に、これらディスク系に停止を指示した状態で内蔵半導体メモリIC17に記録し、さらに内蔵半導体メモリIC17から所望のデバイス14,15へ記録データを移動させるようにしてもよい。
【0083】
上記実施の形態のAV機器1は、アナログ外部録音時において、アナログ音声入力端子4に入力される音声信号をサンプリングして波形データへ変換して記録している。この他にもたとえば、AV機器1は、アナログ外部録音時において、映像信号をサンプリングして映像データへ変換して記録したり、映像信号および音声信号をサンプリングして映像および音のストリーミングデータを生成して記録したりするようにしてもよい。この場合でも、AV機器1のすべての駆動モータ21〜23を停止制御することにより、高品質の映像や音を録音することができる。
【0084】
上記実施の形態の記録再生制御部33は、再生時やアナログ外部録音時において、AV機器1のすべての駆動モータ21〜23を停止するように制御している。この他にもたとえば、記録再生制御部33は、再生時やアナログ外部録音時において、動作時に音を発生するたとえばリレースイッチ、開閉カバー、駆動モータ21〜23以外のアクチュエータなどの動作を停止するように制御するようにしてもよい。さらに他にもたとえば、記録再生制御部33は、AV機器1に接続される他の機器、たとえば液晶テレビジョン受像機、5.1chのスピーカシステム、DVDプレーヤなどへ、それらの駆動モータなどのアクチュエータの動作を停止する信号を出力するようにしてもよい。
【0085】
上記実施の形態のAV機器1は、再生機能および録音機能を有している。この他にもたとえば、AV機器1は、再生機能のみ、あるいは録音機能のみを有するものであってもよい。また、本発明の再生装置あるいは記録装置は、液晶テレビジョン受像機やDVDプレーヤなどであっても、携帯プレーヤなどのポータブル再生デバイスなどであっても、車両などに搭載されるオーディオ装置やヘッド装置やナビゲーション装置であってもよい。
【0086】
以下、ディスクデバイス14などの再生指示があったときに、記録再生制御部33が内蔵半導体メモリIC17などにその再生対象のデータが記憶されているか否かを確認し、且つ、内蔵半導体メモリIC17により再生をする場合の変形例を具体的に説明する。
【0087】
図7は、ディスクデバイス14の再生が指示された場合に記録再生部33が実行する再生処理の一変形例を示すフローチャートである。このフローチャートでは、記録再生部33は、CD−DBなどのデータベースにアクセスし、データベースから取得した情報を用いてコピー処理のための分岐判断をする。
【0088】
記録再生部33は、ディスクデバイス14の再生が指示される(ステップST61)と、DSPIC13へ出力ミュートを指示した後(ステップST62)、ディスク駆動を開始してディスクのTOC(Table Of Contents)情報を抽出する(ステップST63)。記録再生部33は、抽出したTOC情報とウェブ上のデータベース(たとえばCD−DB)の情報あるいはHDDデバイス15中の図示外のデータベースの情報とを比較し(ステップST64,ST65)、合致するデータの情報をデータベースから抽出する(ステップST66)。なお、データベース中に合致するデータが無い場合(ステップST65でNoの場合)には、記録再生部33は、ディスクの再生処理を終了する。
【0089】
ディスクのTOC情報と合致する情報をデータベースから抽出した後、記録再生部33は、その情報を用いてコピー処理のための分岐判断をする。具体的には、記録再生部33は、内蔵半導体メモリIC17内に抽出情報と同一のデータがある場合(ステップST67でYesの場合)、ディスクデバイス14を完全停止させた後(ステップST68)、ファンデバイス16に停止を指示し(ステップST69)、出力ミュートを解除し(ステップST70)、データ入出力実行部32に対して、内蔵半導体メモリIC17に既にコピーされているデジタル再生データの再生を指示する(ステップST71)。
【0090】
また、内蔵半導体メモリIC17内に抽出情報と同一のデータが無い場合(ステップST67でNoの場合)、記録再生部33は、さらにHDDデバイス15内に抽出情報と同一のデータがあるか否かを判断する(ステップST72)。そして、HDDデバイス15内に抽出情報と同一のデータがある場合(ステップST72でYesの場合)、記録再生部33は、再生するデータをHDDデバイス15から内蔵半導体メモリIC17へコピーし(ステップST73,ST74)、さらにHDDデバイス15を完全停止させた後(ステップST75)、ファンデバイス16に停止を指示し(ステップST69)、出力ミュートを解除し(ステップST70)、データ入出力実行部32に対して、内蔵半導体メモリIC17に既にコピーされているデジタル再生データの再生を指示する(ステップST71)。
【0091】
さらに、HDDデバイス15内に抽出情報と同一のデータが無い場合(ステップST72でNoの場合)、記録再生部33は、再生するデータをディスクから内蔵半導体メモリIC17へコピーし(ステップST76,ST77)、さらにディスクデバイス14を完全停止させた後(ステップST78)、ファンデバイス16に停止を指示し(ステップST69)、出力ミュートを解除し(ステップST70)、データ入出力実行部32に対して、内蔵半導体メモリIC17に既にコピーされているデジタル再生データの再生を指示する(ステップST71)。
【0092】
図8は、ディスクデバイス14のリッピングが指示された場合に記録再生部33が実行するリッピング処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートでは、記録再生部33は、リッピングコンテンツタグなどにTOC情報を書き込む。
【0093】
記録再生部33は、ディスクデバイス14のリッピングが指示されると(ステップST81)、ディスク駆動を開始してディスクのTOC(Table Of Contents)情報を抽出した後(ステップST82)、ウェブ上のデータベース(たとえばCD−DB)あるいはHDDデバイス15中の図示外のデータベースにアクセスし(ステップST83)、抽出したTOC情報に対応する情報がこれらのデータベースに存在するか否かを判断する(ステップST84)。
【0094】
抽出したTOC情報に対応する情報がこれらのデータベースに存在する場合(ステップST84でYesの場合)、記録再生部33は、その情報を取得し(ステップST85)、リッピングを開始する(ステップST86)。また、リッピングが終了すると、記録再生部33は、取得したTOC情報およびデータベースの情報とを、リッピングしたデータのタグ情報として記録する(ステップST87)。
【0095】
これに対して、抽出したTOC情報に対応する情報がこれらのデータベースに存在しない場合(ステップST84でNoの場合)、記録再生部33は、リッピングを実行し(ステップST88)、取得したTOC情報を、リッピングしたデータのタグ情報として記録する(ステップST89)。
【0096】
図9は、図8のリッピング処理に対応するディスク再生処理の流れを示すフローチャートである。なお、図9中の各ステップは、図7中の各ステップと同様であり、同一のステップ番号を付与して説明を省略する。図9の再生処理では、記録再生部33は、ウェブ上のデータベースあるいはHDDデバイス15中の図示外のデータベースにアクセスすることなく、抽出したTOC情報を用いてコピーのための分岐判断を実行する(ステップST67,ST72)。
【0097】
図10は、ディスクデバイス14のリッピングが指示された場合に、記録再生部33が実行するリッピング処理の他の例を示すフローチャートである。このフローチャートでは、記録再生部33は、リッピングコンテンツタグにTOC情報、ウェブ上のデータベースなどから取得した情報、ユーザが入力デバイス18を用いて設定した曲名などを書き込んだ後(ステップST87,ST89)、それらとリッピング先とを関連付けた情報を格納先データベースに登録する(ステップST91,ST92)。なお、格納先データベースは、たとえばHDDデバイス15内に設けられればよい。図10のこれ以外の各ステップは、図8中の各ステップと同様であり、同一のステップ番号を付与して説明を省略する。
【0098】
図11は、図10のリッピング処理に対応するディスク再生処理の流れを示すフローチャートである。図11のフローチャートにおいて、記録再生部33は、再生のために読み込んだTOC情報を用いて再生元を選択する。具体的には、記録再生部33は、まず、TOC情報と同一の情報であって、内蔵半導体メモリIC17と対応付けられたものが格納先データベースに存在するか否かを判断し(ステップST101)、存在にしない場合にはさらに、TOC情報と同一の情報であって、HDDデバイス15と対応付けられたものが格納先データベースに存在するか否かを判断する(ステップST102)。
【0099】
そして、格納先データベース中に内蔵半導体メモリIC17と対応付けられた情報が存在する場合(ステップST101でYesの場合)、記録再生部33は、ディスクデバイス14を完全停止し(ステップST68)、内蔵半導体メモリIC17からの再生処理を指示する(ステップST69〜ST71)。また、格納先データベース中にHDDデバイス15と対応付けられた情報が存在する場合(ステップST102でYesの場合)、記録再生部33は、その再生対象のデータをHDDデバイス15から内蔵半導体メモリIC17へコピーし(ステップST73,ST74)、ディスク系デバイス14,15を完全停止し(ステップST75)、格納先データベースに今回のコピーに関する情報を登録し(ステップST103)、内蔵半導体メモリIC17からの再生処理を指示する(ステップST69〜ST71)。また、格納先データベース中にHDDデバイス15と対応付けられた情報が存在しない場合(ステップST102でNoの場合)、記録再生部33は、その再生対象のデータをディスクから内蔵半導体メモリIC17へコピーし(ステップST76,ST77)、ディスクデバイス14を完全停止し(ステップST78)、格納先データベースに今回のコピーに関する情報を登録し(ステップST104)、内蔵半導体メモリIC17からの再生処理を指示する(ステップST69〜ST71)。なお、図11中のこれ以外のステップは、図9中の各ステップと同様であり、同一のステップ番号を付与して説明を省略する。
【0100】
図12は、図10のリッピング処理に対応するHDD再生処理の流れを示すフローチャートである。記録再生部33は、HDDデバイス15の再生が指示されると(ステップST111)、DSPIC13へ出力ミュートを指示した後(ステップST62)、HDDの駆動を開始して情報を抽出し(ステップST112)、コピーのための分岐判断を実行する。具体的には、記録再生部33は、HDDから抽出した情報と同一の情報であって、内蔵半導体メモリIC17と対応付けられたものが格納先データベースに存在するか否かを判断する(ステップST101)。
【0101】
そして、格納先データベース中に内蔵半導体メモリIC17と対応付けられた情報が存在する場合(ステップST101でYesの場合)、記録再生部33は、ディスクデバイス14を完全停止し(ステップST113)、内蔵半導体メモリIC17からの再生処理を指示する(ステップST69〜ST71)。また、格納先データベース中に内蔵半導体メモリIC17と対応付けられた情報が存在しない場合(ステップST101でNoの場合)、記録再生部33は、その再生対象のデータをHDDデバイス15から内蔵半導体メモリIC17へコピーし(ステップST73,ST74)、HDDデバイス15を完全停止し(ステップST75)、格納先データベースに今回のコピーに基づく情報を登録し(ステップST103)、内蔵半導体メモリIC17からの再生処理を指示する(ステップST69〜ST71)。なお、図12中のこれ以外のステップは、図1中の各ステップと同様であり、同一のステップ番号を付与して説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、AV機器などにおいて好適利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る再生装置としてのAV機器の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1中の記録再生制御部が実行する再生処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図3は、図1中の記録再生制御部が実行する記録処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図4は、図2に示す再生処理の変形例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、メモリカードリーダライタデバイスを有するAV機器の変形例を示すブロック図である。
【図6】図6は、USB通信I/Fデバイスを有するAV機器の変形例を示すブロック図である。
【図7】図7は、ディスクデバイスの再生が指示された場合に記録再生部が実行する再生処理の一変形例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、ディスクデバイスのリッピングが指示された場合に記録再生部が実行するリッピング処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、図8のリッピング処理に対応するディスク再生処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図10は、ディスクデバイスのリッピングが指示された場合に記録再生部が実行するリッピング処理の他の例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、図10のリッピング処理に対応するディスク再生処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は、図10のリッピング処理に対応するHDD再生処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
1 AV機器(再生装置)
4 アナログ音声入力端子(アナログ入力端子)
14 ディスクデバイス(ディスク系デバイスの一種)
15 HDDデバイス(ディスク系デバイスの一種)
16 ファンデバイス
17 内蔵半導体メモリIC(半導体メモリ)
21〜23 駆動モータ
33 記録再生制御部(制御手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、情報記録ディスクから読み出す情報の情報読み出し長又は情報記録ディスクへ書き込む情報の情報書き込み長に基づいて情報記録ディスクの回転速度を制御することで、低消費電力化、低騒音化、低振動化を図る発明を開示する。
【0003】
【特許文献1】特開2002−133760号公報(要約、特許請求の範囲など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、AV(Audio Visual)機器のデジタル化が進み、楽曲、動画、静止画などはデジタル再生データとして、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)などのディスク型記録媒体やHDD(ハードディスクドライブ)デバイスなどに記録されるようになってきている。
【0005】
しかしながら、CDやDVDを回転駆動してそれらに記録されたデジタル再生データを読み出すディスクデバイスやHDDデバイスでは、ディスクを駆動モータで回転駆動する必要があるため、その再生時に駆動動作音が発生する。このディスクの回転駆動により発生する駆動動作音は、従来のテープデバイスなどによる動作音に比べて大きく、鑑賞時などには雑音として聞こえてしまう。特に、近年のAV機器では、大量のデータを高速に読み書きするために、ディスクデバイスやHDDデバイスとしてディスクの駆動速度が高速化されたものを採用する傾向にあり、この動作音は耳障りとなる傾向にある。つまり、AV機器が再生する音の質を向上するだけでは、ユーザに高音質の音を提供することができない。
【0006】
そこで、AV機器においても、ディスクの駆動速度を常に一定の最高速度にするのではなく、特許文献1にあるようにデータ量に応じて最適化した速度に制御することにより、低騒音化を図ることが考えられる。しかしながら、このようにディスクの駆動速度を最適に制御したとしても、騒音が無くなることにはならない。鑑賞中にデータが読み出されるときには、騒音が発生してしまうことになる。
【0007】
なお、近年のAV機器が発生する音としては、このようなディスクデバイスやHDDデバイスにおける駆動モータの駆動動作音の他にも、冷却ファンの駆動モータの駆動動作音、その他のアクチュエータのノイズ、冷却ファンなどによる風切り音などがある。
【0008】
また、駆動モータやアクチュエータが発生するノイズは、記録時には雑音として記録されてしまうことがある。
【0009】
本発明は、鑑賞時には内蔵する駆動モータを停止させ、これにより鑑賞時に耳障りな雑音を発生することがない再生装置を得ることを目的とする。また、本発明は、記録時には内蔵する駆動モータを停止させ、これにより記録時に耳障りな雑音を記録することがない記録装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る再生装置は、デジタル再生データが記録されたディスクを駆動モータにより駆動するディスク系デバイスと、デジタル再生データを記憶することができる半導体メモリと、ディスク系デバイスの再生操作がなされた場合、ディスクに記録されているデジタル再生データを半導体メモリにコピーし、さらにディスク系デバイスの停止を指示した後に、半導体メモリの再生処理を実行させる制御手段と、を有するものである。
【0011】
本発明に係る再生装置は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、再生装置は、さらに、冷却ファンを駆動モータにより駆動して装置内部を冷却するファンデバイスを有する。そして、制御手段は、ファンデバイスの停止を指示した後に、半導体メモリの再生処理を実行させる。
【0012】
本発明に係る再生装置は、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、再生装置は、さらに、駆動モータなどのアクチュエータを有するデバイスを有する。そして、制御手段は、デバイスの停止を指示した後に、半導体メモリの再生処理を実行させる。
【0013】
本発明に係る再生装置は、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御手段は、ディスク系デバイスに記録されているデジタル再生データを半導体メモリにコピーするときには、当該再生装置からの再生出力をさせない。
【0014】
本発明に係る再生装置は、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御手段は、再生操作により再生対象とされるディスク系デバイスのデジタル再生データに対して半導体メモリの空き容量が不足する場合には、再生可能な単位でディスク系デバイスに記録されているデジタル再生データを半導体メモリにコピーして再生処理を実行させ、再生対象のデジタル再生データによる再生を間欠的に実行させる。
【0015】
本発明に係る再生装置は、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、半導体メモリの少なくとも一部は、当該再生装置と着脱可能なものである。
【0016】
本発明に係る記録装置は、デジタル再生データを記憶することができるディスクを駆動モータにより駆動するディスク系デバイスと、デジタル再生データを記憶することができる半導体メモリと、入力端子と、入力端子に入力される音声信号あるいは映像信号をディスク系デバイスへ記録する操作がなされた場合、ディスク系デバイスの停止を指示した後に、入力端子に入力される音声信号あるいは映像信号を記録データとして半導体メモリに記録し、その後、半導体メモリに記録した記録データをディスク系デバイスへ移動させる制御手段と、を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、鑑賞時には内蔵する駆動モータを停止させ、これにより鑑賞時に耳障りな雑音を発生しないようにすることができる。また、本発明では、記録時には内蔵する駆動モータを停止させ、これにより記録時に耳障りな雑音を記録しないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る再生装置および記録装置を、図面に基づいて説明する。再生装置および記録装置は、1つのAV機器として説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る再生装置としてのAV機器1の構成を示すブロック図である。AV機器1は、たとえばデジタル入力端子2、デジタル出力端子3、アナログの音声信号が入力されるアナログ入力端子としてのアナログ音声入力端子4、アナログ音声出力端子5などの複数の入出力端子を有する。なお、AV機器1は、この他にも、アナログの映像信号が入力されるアナログ映像出力端子、アナログの映像信号を出力するアナログ映像入力端子などを備えていてもよい。
【0020】
デジタル出力端子3には、たとえば図示外の液晶テレビジョン受像機などが接続される。デジタル入力端子2には、たとえば図示外のDVDプレーヤなどが接続される。アナログ音声出力端子5には、たとえば図示外の5.1chのスピーカシステムなどが接続される。アナログ音声入力端子4には、たとえば図示外のマイクロホンなどが接続される。なお、アナログ映像出力端子には、たとえばブラウン管テレビジョン受像機などを接続することができ、アナログ映像入力端子には、たとえばビデオ再生機器などを接続することができる。
【0021】
アナログ音声出力端子5は、DACIC(Digital to Analog Converter Integrated Circuit)11に接続される。DACIC11は、DSPIC13(Digital Signal Processor IC)に接続される。DACIC11は、DSPIC13から供給される音の波形データを音声信号へ変換し、アナログ音声出力端子5へ出力する。これにより、アナログ音声出力端子5に接続される図示外の5.1chのスピーカシステムなどから音が出力される。
【0022】
アナログ音声入力端子4は、ADCIC(Analog to Digital Converter IC)12へ接続される。ADCIC12は、DSPIC13に接続される。ADCIC12は、アナログ音声入力端子4に接続される図示外のマイクロホンが集音した音声信号を波形データへ変換し、DSPIC13へ出力する。
【0023】
DSPIC13は、入力される音や映像のデジタル再生データを処理し、デジタル再生データなどを出力する。DSPIC13は、たとえばデジタル入力端子2などから入力されるストリーミングデータなどを、デジタル出力端子3へ出力する。この他にもたとえば、DSPIC13は、ADCIC12などから供給される音の波形データなどを、DACIC11へ出力する。
【0024】
なお、音や映像のストリーミングデータとしては、たとえばMPEG(Motion Picture Experts Group)4フォーマットによるデジタル再生データ、HD(High Definition)フォーマットによるデジタル再生データなどがある。また、音の波形データには、たとえばPCM(Pulse Code Modulation)フォーマットによるデジタル再生データ、MPEGフォーマットによるデジタル再生データなどがある。
【0025】
AV機器1は、このDSPIC13などの他にも、ディスク系デバイスの一種としてのディスクデバイス14、ディスク系デバイスの一種としてのHDDデバイス15、ファンデバイス16、半導体メモリとしての内蔵半導体メモリIC17、入力デバイス18、表示デバイス19、これらが接続されるFPGAIC(Field Programmable Gate Array IC)20などを有する。
【0026】
ディスクデバイス14は、CD、DVDなどの図示外のディスク型記録媒体を駆動モータ21により回転駆動し、このディスク型記録媒体へのデータの記録やこのディスク型記録媒体からのデータの読み出しを実行する。ディスク型記録媒体には、デジタル再生データとしての、音や映像のストリーミングデータや音の波形データなどが記録される。なお、ストリーミングデータや波形データなどは、データ圧縮された状態にてディスク型記録媒体に記録されていてもよい。
【0027】
HDDデバイス15は、データを記録することができる図示外の内蔵ディスクを駆動モータ22により回転駆動し、この内蔵ディスクへのデータの記録やこの内蔵ディスクからのデータの読み出しを実行する。内蔵ディスクには、デジタル再生データとして音や映像のストリーミングデータや音の波形データなどが記録される。なお、ストリーミングデータや波形データなどは、圧縮されて内蔵ディスクに記録されていてもよい。
【0028】
ファンデバイス16は、図示外の冷却ファンを回転駆動する駆動モータ23を有する。ファンデバイス16は、たとえばAV機器1の電源投入などに基づいて、駆動モータ23により冷却ファンを回転駆動する。なお、ファンデバイス16は、AC機器の内部温度が所定の温度以上になったり、FPGAIC20の温度が所定の温度以上になったりすると、それらの温度がその所定の温度以下となるまで、冷却ファンの回転速度を通常より上げたりするようにしてもよい。
【0029】
なお、ディスクデバイス14の駆動モータ21、HDDデバイス15の駆動モータ22、ファンデバイス16の駆動モータ23などが動作すると、ディスク型記録媒体、内蔵ディスク、冷却ファンなどの駆動動作音が発生する。特に、冷却ファンなどはAV機器1の図示外の通風口に配設されるため、冷却ファンの風切り音はAV機器1の外部において聞き取り易い。
【0030】
また、これらの駆動モータ21〜23などのアクチュエータは、その動作時に比較的大きな電力を消費する。そのため、AV機器1の図示外の電源プレーンやグランドプレーンにはこの電力による電流が脈動的に流れて電流ノイズが大きくなったり、AV機器1内部において内部輻射が発生したりする。そして、たとえば電源プレーンやグランドプレーンの電位を基準として変換処理を実行するADCIC12やDACIC11などのアナログ回路は、これらの電流ノイズや内部輻射によりその性能をフルに発揮することができなくなり、これらの信号の変換精度などが低下してしまう。この場合には、AV機器1内において実際に変換される音や映像の質は、ADCIC12やDACIC11などの単体のスペックより低下してしまうことになる。
【0031】
内蔵半導体メモリIC17は、たとえばSDRAM(Synchronous DRAM)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの、半導体デバイスによりデータを記憶するものである。内蔵半導体メモリIC17には、デジタル再生データとして音や映像のストリーミングデータや音の波形データなどが記録される。なお、ストリーミングデータや波形データなどは、圧縮されて内蔵半導体メモリIC17に記録されていてもよい。そして、この内蔵半導体メモリIC17ではデータの読み書きをする際に駆動モータを動作させる必要がないため、内蔵半導体メモリIC17に記録されたデジタル再生データを読み書きする際に動作音が発生しない。
【0032】
入力デバイス18は、たとえばソース選択ボタン26、再生ボタン27、記録先選択ボタン28、記録ボタン29などの各種の操作ボタンを有する。そして、入力デバイス18は、ユーザにより操作されたボタンに応じた入力データをFPGAIC20へ出力する。
【0033】
なお、AV機器1は、この入力デバイス18に替えて、あるいはこの入力デバイス18とともに、図示外のリモコン受光部を備えるものであってもよい。リモコン受光部は、図示外のリモコン送信機がその操作ボタンの操作に応じて出力する光を受光し、受光光に対応する入力データをFPGAIC20へ出力する。
【0034】
表示デバイス19は、たとえば液晶パネルなどであり、FPGAIC20から供給される表示データを表示する。
【0035】
FPGAIC20は、マイクロコンピュータの一種であり、図示外のメモリ、図示外のCPU(Central Processing Unit)などを有する。CPUは、メモリに記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、FPGAIC20には、ファン制御部31、データ入出力実行部32、記録再生制御部33、UI(User Interface)部34などの機能が実現される。
【0036】
なお、上述したFPGAIC20のメモリに記憶されるプログラムは、AV機器1の出荷前にメモリに記憶されたものであっても、AV機器1の出荷後にメモリに記憶されたものであってもよい。また、プログラムの一部が、AV機器1の出荷後に記憶されたものであってもよい。このように出荷後にメモリに記憶されるプログラムは、たとえばCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)や半導体メモリなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してサーバ装置などからダウンロードしたものであってもよい。
【0037】
ファン制御部31は、冷却ファンの停止を指示するための停止信号や、冷却ファンの起動を指示する起動信号を生成し、ファンデバイス16へ供給する。ファンデバイス16は、たとえば停止信号が入力されると駆動モータ23を停止し、起動信号が入力されると駆動モータ23の駆動を開始する。
【0038】
データ入出力実行部32は、指定されたソースデバイスからデジタル再生データを読み込んで、指定されたシンクデバイスへ読み込んだデジタル再生データを供給する。なお、このAV機器1において、ソースデバイスは、DSPIC13、ディスクデバイス14、HDDデバイス15および内蔵半導体メモリIC17の中から選択された1つのデバイスであり、シンクデバイスは、ソースデバイス以外の選択された1つのデバイスである。
【0039】
UI部34は、入力デバイス18からの入力データに基づいて、たとえばユーザが選択した再生ソースの再生開始要求を記録再生制御部33へ供給する。また、UI部34は、表示デバイス19へ表示データを供給し、入力デバイス18の操作により選択された再生ソースのソース名や再生データのデータ名などを表示デバイス19に表示させる。
【0040】
制御手段としての記録再生制御部33は、AV機器1における再生処理や記録処理を制御する。記録再生制御部33は、具体的にはたとえば、UI部34からの再生開始要求に基づいて、再生や記録などのための各種の制御指示を、ファン制御部31、データ入出力実行部32、DSPIC13、ディスクデバイス14、HDDデバイス15などへ出力する。
【0041】
次に、以上の構成を有するAV機器1の動作を説明する。まず、AV機器1の再生動作を説明する。AV機器1に再生動作をさせる場合、ユーザは、入力デバイス18のソース選択ボタン26を操作し、たとえば所望のソースデバイスの名称が表示デバイス19に表示されている状態において再生ボタン27を操作する。これらの操作がなされると、UI部34は、表示デバイス19に表示しているソースの再生開始要求を記録再生制御部33へ供給する。UI部34は、たとえばHDDデバイス15の再生開始要求などを記録再生制御部33へ供給する。
【0042】
図2は、図1中の記録再生制御部33が実行する再生処理の流れを示すフローチャートである。記録再生制御部33は、ソースデバイスの再生開始要求があると判断すると(ステップST1においてYes)、その再生を要求されたソースデバイスがディスク系デバイスであるか否かを判断する(ステップST2)。図1のAV機器1において、ディスクデバイス14およびHDDデバイス15がディスク系デバイスである。
【0043】
要求されたソースがたとえば内蔵半導体メモリIC17やDSPIC13などの非ディスク系デバイスである場合、記録再生制御部33は、ソースデバイスがディスク系デバイス14,15ではないと判断し(ステップST2でNo)、ファン制御部31へ冷却ファンの停止を指示する(ステップST3)。ファン制御部31は、冷却ファンの停止を指示するための停止信号を生成し、ファンデバイス16へ供給する。ファンデバイス16は、この停止信号が入力されると駆動モータ23を停止する。
【0044】
ファンデバイス16の停止を指示した後、記録再生制御部33は、データ入出力実行部32へ再生を指示されたソースの再生を指示する(ステップST4)。記録再生制御部33は、非ディスク系デバイスであるたとえば内蔵半導体メモリIC17に記録されたデジタル再生データをDSPIC13へ出力する再生を指示する。この場合、データ入出力実行部32は、内蔵半導体メモリIC17に記録されているデジタル再生データを読み込んで、DSPIC13へ供給する。
【0045】
DSPIC13は、供給されたデジタル再生データをストリーミングデータへ変換し、デジタル出力端子3へ出力する。また、DSPIC13は、供給されたデジタル再生データから音の波形データを生成し、DACIC11へ出力する。DACIC11は、供給された音の波形データを音声信号へ変換し、アナログ音声出力端子5へ出力する。
【0046】
これにより、デジタル出力端子3に接続されるたとえば図示外の液晶テレビジョン受像機などは、供給されたストリーミングデータを用いて再生映像を生成して表示する。また、アナログ音声出力端子5に接続されるたとえば図示外の5.1chのスピーカシステムなどは、供給された音声信号に基づく音を出力する。非ディスク系デバイスであるたとえば内蔵半導体メモリIC17に記録されたデジタル再生データは再生される。
【0047】
要求されたソースがディスク系デバイス14,15である場合、記録再生制御部33は、ソースデバイスがディスク系デバイス14,15であると判断し(ステップST2でYes)、まず、DSPIC13へ出力ミュートを指示する(ステップST5)。DSPIC13は、デジタル出力端子3へのストリーミングデータの出力と、DACIC11への音の波形データの出力とを停止する。これにより、デジタル出力端子3に接続されるたとえば図示外の液晶テレビジョン受像機などにおいて映像が再生されなくなり、アナログ音声出力端子5に接続されるたとえば図示外の5.1chのスピーカシステムなどから音が出力されなくなる。
【0048】
出力ミュートを指示した後、記録再生制御部33は、再生を指示された1つのディスク系デバイス14,15に対して、起動を指示する(ステップST6)。再生を指示されたソースデバイス、たとえばHDDデバイス15はその駆動モータ22の駆動を開始する。
【0049】
1つのディスク系デバイス14,15へ起動を指示した後、記録再生制御部33は、データ入出力実行部32に対して、起動したディスク系デバイス14,15のデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17にコピーする指示をする(ステップST7)。これにより、データ入出力実行部32は、たとえばHDDデバイス15に記録されているデジタル再生データを読み込んで、内蔵半導体メモリIC17へ供給する。これにより、内蔵半導体メモリIC17には、HDDデバイス15に記録されているものと同じデジタル再生データが記憶される。
【0050】
内蔵半導体メモリIC17へのコピーが完了すると、記録再生制御部33は、すべてのディスク系デバイス14,15へ停止を指示する(ステップST8)。これにより、再生を指示されたソースデバイス、たとえばHDDデバイス15を含むすべてのデバイスにおいて、駆動モータ21,22が停止する。
【0051】
すべてのディスク系デバイス14,15を停止させた後、記録再生制御部33は、ファン制御部31へ冷却ファンの停止を指示する(ステップST9)。ファン制御部31は、冷却ファンの停止を指示するための停止信号を生成し、ファンデバイス16へ供給する。ファンデバイス16は、この停止信号が入力されると駆動モータ23を停止する。
【0052】
ファンデバイス16の停止を指示した後、記録再生制御部33は、DSPIC13へ出力ミュートの解除を指示する(ステップST10)。これにより、DSPIC13は、デジタル出力端子3へのストリーミングデータの出力と、DACIC11への音の波形データの出力とが可能な状態となる。
【0053】
出力ミュートを解除した後、記録再生制御部33は、データ入出力実行部32に対して、内蔵半導体メモリIC17にコピーしたデジタル再生データの再生を指示する(ステップST11)。データ入出力実行部32は、内蔵半導体メモリIC17に記録されているデジタル再生データを読み込んで、DSPIC13へ読み込んだデジタル再生データを供給する。
【0054】
これにより、DSPIC13において、デジタル再生データはストリーミングデータや音の波形データへ変換され、デジタル出力端子3に接続されるたとえば図示外の液晶テレビジョン受像機などへストリーミングデータが供給され、アナログ音声出力端子5に接続されるたとえば図示外の5.1chのスピーカシステムなどへ音声信号が供給される。AV機器1は、再生を指示された1つのディスク系デバイス14,15のデジタル再生データを再生することができる。
【0055】
次に、AV機器1による記録動作を説明する。AV機器1に記録動作をさせる場合、ユーザは、入力デバイス18の記録先選択ボタン28を操作し、たとえば所望のシンクデバイスの名称が表示デバイス19に表示されている状態において記録ボタン29を操作する。これらの操作がなされると、UI部34は、表示デバイス19に表示しているシンクデバイスへの記録開始要求を記録再生制御部33へ供給する。UI部34は、たとえば図示外のマイクロホンで集音されて、アナログ音声入力端子4に入力される音声信号をサンプリングしてHDDデバイス15に記録する記録開始要求などを記録再生制御部33へ供給する。
【0056】
図3は、図1中の記録再生制御部33が実行する記録処理の流れを示すフローチャートである。記録再生制御部33は、記録開始要求があると判断すると(ステップST21でYes)、その要求がアナログ音声入力端子4に入力される音声信号を録音する要求(すなわち、アナログの外部録音要求)であるか否かを判断する(ステップST22)。
【0057】
アナログの外部録音要求でない場合(ステップST22でNo)、記録再生制御部33は、データ入出力実行部32に対して、記録元のソースデバイス(たとえばHDDデバイス15)のデジタル再生データを記録先のシンクデバイス(たとえば内蔵半導体メモリIC17)に記録する指示をする(ステップST23)。データ入出力実行部32は、たとえばHDDデバイス15に記録されているデジタル再生データを読み込んで、たとえば内蔵半導体メモリIC17へ読み込んだデジタル再生データを供給する。これにより、たとえば内蔵半導体メモリIC17には、たとえばHDDデバイス15に記録されているものと同じデジタル再生データが記憶される。
【0058】
記録開始要求がアナログ外部録音の要求である場合(ステップST22でYes)、記録再生制御部33は、すべてのディスク系デバイス14,15へ停止を指示する(ステップST24)。また、記録再生制御部33は、ファン制御部31へ冷却ファンの停止を指示する(ステップST25)。これにより、AV機器1内のファンデバイス16を含むすべてのデバイスにおいて、駆動モータ21〜23が停止する。AV機器1において、駆動モータ21〜23による駆動動作音や、ディスク型記録媒体、内蔵ディスク、冷却ファンなどによる風切り音などが発生しなくなる。
【0059】
AV機器1内のすべての駆動モータ21〜23を停止するように制御した後、記録再生制御部33は、データ入出力実行部32に対して、DSPIC13が生成する音の波形データを内蔵半導体メモリIC17に記録する指示をする(ステップST26)。データ入出力実行部32は、DSPIC13が生成する音の波形データを読み込んで、内蔵半導体メモリIC17へ供給する。これにより、内蔵半導体メモリIC17には、アナログ音声入力端子4に入力される音のデジタル再生データが記憶される。
【0060】
内蔵半導体メモリIC17へのアナログ外部録音が完了すると、記録再生制御部33は、ファン制御部31へ冷却ファンの起動許可を指示する(ステップST27)。これにより、ファンデバイス16において駆動モータ23が駆動される。
【0061】
冷却ファンの起動を許可した後、記録再生制御部33は、記録開始要求において指定された記録先がディスク系デバイス14,15のいずれかであるか否かを判断する(ステップST28)。指定された記録先がディスク系デバイス14,15のいずれのものではない場合(ステップST28でNo)、すなわちこの実施の形態では既にアナログ外部録音をさせた内蔵半導体メモリIC17である場合、記録再生制御部33は、記録処理を終了する。
【0062】
指定された記録先がディスク系デバイス14,15のいずれかである場合(ステップST28でYes)、記録再生制御部33は、記録先に指定された1つのディスク系デバイス14,15へ起動を指示する(ステップST29)。起動を指示されたディスク系デバイス14,15(たとえばHDDデバイス15)では、駆動モータ22により内蔵ディスクの駆動が開始される。
【0063】
記録先に指定された1つのディスク系デバイス14,15へ起動を指示した後、記録再生制御部33は、データ入出力実行部32に対して、内蔵半導体メモリIC17に一時記録させたデジタル再生データをその1つのディスク系デバイス14,15へ移動する指示をする(ステップST30)。たとえば、データ入出力実行部32は、内蔵半導体メモリIC17に記録した音のデジタル再生データを読み込んで、HDDデバイス15へ供給する。このコピー処理が完了すると、データ入出力実行部32は、内蔵半導体メモリIC17から、コピーしたデジタル再生データを削除する。これにより、ディスク系デバイス14,15(たとえばHDDデバイス15)には、内蔵半導体メモリIC17に記録されていたものと同じデジタル再生データが記憶される。
【0064】
以上のように、この実施の形態によれば、記録再生制御部33は、ディスクデバイス14やHDDデバイス15の再生が要求された場合、それらのディスク系デバイス14,15に記憶されるデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17にコピーし(図2中のステップST7)、さらにディスク系デバイス14,15およびファンデバイス16の停止を指示した(図2中のステップST8)後、その内蔵半導体メモリIC17から再生をさせる(図2中のステップST11)。
【0065】
つまり、ディスク系デバイス14,15に記録されているデジタル再生データは、内蔵半導体メモリIC17にコピーされて、この内蔵半導体メモリIC17から再生される。しかも、その内蔵半導体メモリIC17による再生がなされるときには、図2中のステップST8およびST9の処理により、ディスク系デバイス14,15およびファンデバイス16は停止するように制御されている。したがって、たとえば音楽、動画、静止画などのディスク系デバイス14,15に記録されたデジタル再生データを再生して鑑賞するときには、ディスク系デバイス14,15の駆動モータ21,22やファンデバイス16の駆動モータ23による耳障りな雑音や、冷却ファンなどの風切り音などが発生しないようになる。雑音の無い静かな環境下での鑑賞が可能となる。
【0066】
しかも、内蔵半導体メモリIC17により再生がなされるときには、ディスク系デバイス14,15の駆動モータ21,22およびファンデバイス16の駆動モータ23は停止するように制御される。したがって、このディスク系デバイス14,15の駆動モータ21,22やファンデバイス16の駆動モータ23が駆動されることにより発生してしまう、電流ノイズや内部輻射が生じなくなる。AV機器1内のたとえばDACIC11などのアナログ回路は、この電流ノイズや内部輻射の影響が無い安定した電源の下で、その性能をフルに発揮することができる。その結果、AV機器1により再生される音や映像の質は向上する。
【0067】
また、この実施の形態では、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15に記録されているデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17にコピーするときには、当該AV機器1から再生出力がなされないように制御する(図2中のステップST5およびST10)。したがって、コピーのためにディスク系デバイス14,15から読み出されるデジタル再生データに基づいて、DACIC13などが音や映像などを出力してしまわないようにすることができる。
【0068】
同様に、記録再生制御部33は、アナログ外部入力をディスクデバイス14あるいはHDDデバイス15へ録音することが要求された場合、これらのディスク系デバイス14,15およびファンデバイス16の停止を指示した状態(図3中のステップST24およびST25)でアナログ外部入力を内蔵半導体メモリIC17に記録し(ステップST26)、その後、その内蔵半導体メモリIC17に記録されたデジタル再生データをディスク系デバイス14,15へ移動させる(ステップST30)。したがって、アナログ外部入力を録音するときには、ディスク系デバイス14,15の駆動モータ21,22やファンデバイス16の駆動モータ23による耳障りな雑音や、冷却ファンなどの風切り音などが発生しないようになり、雑音の無い静かな環境下での録音が可能となる。また、ADCIC12も、電流ノイズや内部輻射の影響が無い安定した電源の下で性能をフルに発揮し、AV機器1によりアナログ記録される音や映像の質は向上する。
【0069】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0070】
上記実施の形態では、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15の再生指示があったとき、その再生対象のデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17にコピーし、その後、デバイス14,15などの停止を指示した後に内蔵半導体メモリIC17による再生処理を指示している。この他にもたとえば、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15の再生指示があったとき、まず内蔵半導体メモリIC17にその再生対象のデータが記憶されているか否かを確認し、記憶されている場合にはコピー動作を行わずに、デバイス14,15などの停止を指示した後に内蔵半導体メモリIC17による再生処理を指示するようにしてもよい。なお、再生対象のデータが記憶されているか否かの判断は、たとえば再生指定されたコンテンツのメタデータとメモリ17に記憶されたコンテンツのメタデータとを比較することなどにより実行することができる。
【0071】
これにより、たとえば同じものを繰り返し再生したり、あるいは内蔵半導体メモリIC17の容量が大きいなどのためにたとえば直接再生指示のなかったコンテンツも含めて(例えばコンテンツの含まれているフォルダをまとめて)ディスク系から一度に多くのデータを事前にコピー済みであったりする状況においては、その後の再生時においては再生対象のデータがすでに内蔵半導体メモリIC17にコピー済みとなり、ディスク系デバイス14,15の再生指示がなされてからその再生が実際に開始されるまでの待ち時間を削減することができる。
【0072】
上記実施の形態では、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15を再生するとき、その再生対象のすべてのデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17にコピーしてから、内蔵半導体メモリIC17による再生処理を指示している。この他にもたとえば、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15を再生するとき、その再生対象のデジタル再生データをたとえばファイルなどの再生可能な単位で内蔵半導体メモリIC17にコピーし、そのコピー毎に内蔵半導体メモリIC17による再生処理を指示するようにしてもよい。
【0073】
この変形例の場合、ディスク系デバイス14,15のデジタル再生データは、再生可能な単位で間欠的に再生されることになる。また、ディスク系デバイス14,15中の再生対象のデータ量よりも記憶容量が小さい内蔵半導体メモリIC17を使用して、再生することができる。再生のための一時バッファとして使用する内蔵半導体メモリIC17の容量を減らすことができ、AV機器1の小型化やコスト削減を実現することができる。
【0074】
図4は、図2に示す再生処理の変形例を示すフローチャートである。なお、図4において、図2の再生処理の各ステップと同じ処理のステップには、図2のステップと同一のステップ番号を付している。
【0075】
図4において、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15の再生が指示されたと判断した後(ステップST2でYes)、さらにすべての再生対象のデジタル再生データが内蔵半導体メモリIC17に格納可能であるか否かを判断する(ステップST41)。そして、すべての再生対象のデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17に格納することが可能である場合(ステップST41でYes)、記録再生制御部33は、図2の場合と同様にすべてのデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17にコピーした後、データ入出力実行部32に対して、内蔵半導体メモリIC17からの再生を指示する(ステップST5〜ST11)。
【0076】
これに対して、たとえば内蔵半導体メモリIC17の残りの空き容量が不足するなどの理由により、すべての再生対象のデジタル再生データを内蔵半導体メモリIC17に格納することが可能ではない場合(ステップST41でNo)、あるいは可能とは判断できない場合、記録再生制御部33は、デジタル再生データを1つずつ内蔵半導体メモリIC17にコピーし、データ入出力実行部32に対して、そのコピー毎に内蔵半導体メモリIC17からの再生を指示する(ステップST42〜ST48)。また、記録再生制御部33は、1つの再生が終わる度に、すべての再生対象のデジタル再生データの内蔵半導体メモリIC17による再生処理が終えたか否かを判断し(ステップST49)、終えた場合にはディスク系デバイス14,15の再生処理を終了する。
【0077】
なお、図4において、記録再生制御部33は、すべての再生対象のデジタル再生データの内蔵半導体メモリIC17による再生処理が終えていないと判断した場合(ステップST49でNo)、ファン制御部31にファンデバイス16の起動許可を指示してから(ステップST50)、再生可能単位での所定のコピー処理および再生処理を指示している(ステップST42〜ST48)。このようにファンデバイス16の起動を可能な限り許可することにより、ディスク系デバイス14,15の再生期間が長期化したとしても、各コピー処理中(ステップST50からST46までの期間)に冷却することができ、ステップST48の鑑賞中において冷却ファンが動作してしまう可能性を減らすことができる。
【0078】
また、記録再生制御部33は、ディスク系デバイス14,15にアナログ外部音声を録音するとき、その録音対象のデジタル再生データをたとえばファイルなどの再生可能な単位で内蔵半導体メモリIC17に保存し、データ入出力実行部32に対して、その保存処理毎に内蔵半導体メモリIC17から指定されたディスク系デバイス14,15への移動処理を指示するようにしてもよい。
【0079】
上記実施の形態では、ディスク系デバイス14,15に記録されているデジタル再生データや、ディスク系デバイス14,15に記録するデジタル再生データは、内蔵半導体メモリIC17に記録されてから、再生あるいは記録に使用される。この他にもたとえば、これらのデジタル再生データは、AV機器1と着脱可能な半導体メモリデバイスに記憶されてもよい。この構成を採用すれば、AV機器1に内蔵半導体メモリIC17を内蔵させる必要がないので、AV機器1そのもののコストを削減することができる。なお、デジタル再生データは、その一部が内蔵半導体メモリIC17に記憶され、残りがAV機器1と着脱可能な半導体メモリデバイスに記憶されていてもよい。
【0080】
図5は、メモリカードリーダライタデバイス41を有するAV機器1の変形例を示すブロック図である。メモリカードリーダライタデバイス41には、着脱可能な半導体メモリとしての図示外のメモリカードを着脱するとができる。また、メモリカードリーダライタデバイス41は、FPGAIC20に接続されている。これにより、データ入出力実行部32は、メモリカードリーダライタデバイス41に装着されたメモリカードに対して、デジタル再生データの書込みをしたり読み出しをしたりすることが可能となる。また、記録再生制御部33は、内臓半導体メモリICおよびメモリカードの中の一方を選択して、ディスク系デバイス14,15から再生するデジタル再生データなどを一時記憶させればよい。
【0081】
図6は、USB(Universal Serial Bus)通信I/F(Interface)デバイス51を有するAV機器1の変形例を示すブロック図である。USB通信I/Fデバイス51には、着脱可能な半導体メモリとしての図示外のUSBメモリデバイスを着脱するとができる。また、USB通信I/Fデバイス51は、FPGAIC20に接続されている。これにより、データ入出力実行部32は、USB通信I/Fデバイス51に装着されたUSBメモリデバイスに対して、デジタル再生データの書込みをしたり読み出しをしたりすることが可能となる。また、記録再生制御部33は、内臓半導体メモリICおよびUSBメモリデバイスの中の一方を選択して、ディスク系デバイス14,15から再生するデジタル再生データなどを一時記憶させればよい。
【0082】
上記実施の形態では、AV機器1の記録再生制御部33は、アナログ音声入力端子4に入力される音声信号をディスクデバイス14あるいはHDDデバイス15へ録音する際に、これらディスク系に停止を指示した状態で内蔵半導体メモリIC17に記録し、さらに内蔵半導体メモリIC17から所望のデバイス14,15へ記録データを移動させている。この他にもたとえば、AV機器1の記録再生制御部33は、デジタル入力端子2に入力される音声データなどをディスクデバイス14あるいはHDDデバイス15へ録音する際に、これらディスク系に停止を指示した状態で内蔵半導体メモリIC17に記録し、さらに内蔵半導体メモリIC17から所望のデバイス14,15へ記録データを移動させるようにしてもよい。
【0083】
上記実施の形態のAV機器1は、アナログ外部録音時において、アナログ音声入力端子4に入力される音声信号をサンプリングして波形データへ変換して記録している。この他にもたとえば、AV機器1は、アナログ外部録音時において、映像信号をサンプリングして映像データへ変換して記録したり、映像信号および音声信号をサンプリングして映像および音のストリーミングデータを生成して記録したりするようにしてもよい。この場合でも、AV機器1のすべての駆動モータ21〜23を停止制御することにより、高品質の映像や音を録音することができる。
【0084】
上記実施の形態の記録再生制御部33は、再生時やアナログ外部録音時において、AV機器1のすべての駆動モータ21〜23を停止するように制御している。この他にもたとえば、記録再生制御部33は、再生時やアナログ外部録音時において、動作時に音を発生するたとえばリレースイッチ、開閉カバー、駆動モータ21〜23以外のアクチュエータなどの動作を停止するように制御するようにしてもよい。さらに他にもたとえば、記録再生制御部33は、AV機器1に接続される他の機器、たとえば液晶テレビジョン受像機、5.1chのスピーカシステム、DVDプレーヤなどへ、それらの駆動モータなどのアクチュエータの動作を停止する信号を出力するようにしてもよい。
【0085】
上記実施の形態のAV機器1は、再生機能および録音機能を有している。この他にもたとえば、AV機器1は、再生機能のみ、あるいは録音機能のみを有するものであってもよい。また、本発明の再生装置あるいは記録装置は、液晶テレビジョン受像機やDVDプレーヤなどであっても、携帯プレーヤなどのポータブル再生デバイスなどであっても、車両などに搭載されるオーディオ装置やヘッド装置やナビゲーション装置であってもよい。
【0086】
以下、ディスクデバイス14などの再生指示があったときに、記録再生制御部33が内蔵半導体メモリIC17などにその再生対象のデータが記憶されているか否かを確認し、且つ、内蔵半導体メモリIC17により再生をする場合の変形例を具体的に説明する。
【0087】
図7は、ディスクデバイス14の再生が指示された場合に記録再生部33が実行する再生処理の一変形例を示すフローチャートである。このフローチャートでは、記録再生部33は、CD−DBなどのデータベースにアクセスし、データベースから取得した情報を用いてコピー処理のための分岐判断をする。
【0088】
記録再生部33は、ディスクデバイス14の再生が指示される(ステップST61)と、DSPIC13へ出力ミュートを指示した後(ステップST62)、ディスク駆動を開始してディスクのTOC(Table Of Contents)情報を抽出する(ステップST63)。記録再生部33は、抽出したTOC情報とウェブ上のデータベース(たとえばCD−DB)の情報あるいはHDDデバイス15中の図示外のデータベースの情報とを比較し(ステップST64,ST65)、合致するデータの情報をデータベースから抽出する(ステップST66)。なお、データベース中に合致するデータが無い場合(ステップST65でNoの場合)には、記録再生部33は、ディスクの再生処理を終了する。
【0089】
ディスクのTOC情報と合致する情報をデータベースから抽出した後、記録再生部33は、その情報を用いてコピー処理のための分岐判断をする。具体的には、記録再生部33は、内蔵半導体メモリIC17内に抽出情報と同一のデータがある場合(ステップST67でYesの場合)、ディスクデバイス14を完全停止させた後(ステップST68)、ファンデバイス16に停止を指示し(ステップST69)、出力ミュートを解除し(ステップST70)、データ入出力実行部32に対して、内蔵半導体メモリIC17に既にコピーされているデジタル再生データの再生を指示する(ステップST71)。
【0090】
また、内蔵半導体メモリIC17内に抽出情報と同一のデータが無い場合(ステップST67でNoの場合)、記録再生部33は、さらにHDDデバイス15内に抽出情報と同一のデータがあるか否かを判断する(ステップST72)。そして、HDDデバイス15内に抽出情報と同一のデータがある場合(ステップST72でYesの場合)、記録再生部33は、再生するデータをHDDデバイス15から内蔵半導体メモリIC17へコピーし(ステップST73,ST74)、さらにHDDデバイス15を完全停止させた後(ステップST75)、ファンデバイス16に停止を指示し(ステップST69)、出力ミュートを解除し(ステップST70)、データ入出力実行部32に対して、内蔵半導体メモリIC17に既にコピーされているデジタル再生データの再生を指示する(ステップST71)。
【0091】
さらに、HDDデバイス15内に抽出情報と同一のデータが無い場合(ステップST72でNoの場合)、記録再生部33は、再生するデータをディスクから内蔵半導体メモリIC17へコピーし(ステップST76,ST77)、さらにディスクデバイス14を完全停止させた後(ステップST78)、ファンデバイス16に停止を指示し(ステップST69)、出力ミュートを解除し(ステップST70)、データ入出力実行部32に対して、内蔵半導体メモリIC17に既にコピーされているデジタル再生データの再生を指示する(ステップST71)。
【0092】
図8は、ディスクデバイス14のリッピングが指示された場合に記録再生部33が実行するリッピング処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートでは、記録再生部33は、リッピングコンテンツタグなどにTOC情報を書き込む。
【0093】
記録再生部33は、ディスクデバイス14のリッピングが指示されると(ステップST81)、ディスク駆動を開始してディスクのTOC(Table Of Contents)情報を抽出した後(ステップST82)、ウェブ上のデータベース(たとえばCD−DB)あるいはHDDデバイス15中の図示外のデータベースにアクセスし(ステップST83)、抽出したTOC情報に対応する情報がこれらのデータベースに存在するか否かを判断する(ステップST84)。
【0094】
抽出したTOC情報に対応する情報がこれらのデータベースに存在する場合(ステップST84でYesの場合)、記録再生部33は、その情報を取得し(ステップST85)、リッピングを開始する(ステップST86)。また、リッピングが終了すると、記録再生部33は、取得したTOC情報およびデータベースの情報とを、リッピングしたデータのタグ情報として記録する(ステップST87)。
【0095】
これに対して、抽出したTOC情報に対応する情報がこれらのデータベースに存在しない場合(ステップST84でNoの場合)、記録再生部33は、リッピングを実行し(ステップST88)、取得したTOC情報を、リッピングしたデータのタグ情報として記録する(ステップST89)。
【0096】
図9は、図8のリッピング処理に対応するディスク再生処理の流れを示すフローチャートである。なお、図9中の各ステップは、図7中の各ステップと同様であり、同一のステップ番号を付与して説明を省略する。図9の再生処理では、記録再生部33は、ウェブ上のデータベースあるいはHDDデバイス15中の図示外のデータベースにアクセスすることなく、抽出したTOC情報を用いてコピーのための分岐判断を実行する(ステップST67,ST72)。
【0097】
図10は、ディスクデバイス14のリッピングが指示された場合に、記録再生部33が実行するリッピング処理の他の例を示すフローチャートである。このフローチャートでは、記録再生部33は、リッピングコンテンツタグにTOC情報、ウェブ上のデータベースなどから取得した情報、ユーザが入力デバイス18を用いて設定した曲名などを書き込んだ後(ステップST87,ST89)、それらとリッピング先とを関連付けた情報を格納先データベースに登録する(ステップST91,ST92)。なお、格納先データベースは、たとえばHDDデバイス15内に設けられればよい。図10のこれ以外の各ステップは、図8中の各ステップと同様であり、同一のステップ番号を付与して説明を省略する。
【0098】
図11は、図10のリッピング処理に対応するディスク再生処理の流れを示すフローチャートである。図11のフローチャートにおいて、記録再生部33は、再生のために読み込んだTOC情報を用いて再生元を選択する。具体的には、記録再生部33は、まず、TOC情報と同一の情報であって、内蔵半導体メモリIC17と対応付けられたものが格納先データベースに存在するか否かを判断し(ステップST101)、存在にしない場合にはさらに、TOC情報と同一の情報であって、HDDデバイス15と対応付けられたものが格納先データベースに存在するか否かを判断する(ステップST102)。
【0099】
そして、格納先データベース中に内蔵半導体メモリIC17と対応付けられた情報が存在する場合(ステップST101でYesの場合)、記録再生部33は、ディスクデバイス14を完全停止し(ステップST68)、内蔵半導体メモリIC17からの再生処理を指示する(ステップST69〜ST71)。また、格納先データベース中にHDDデバイス15と対応付けられた情報が存在する場合(ステップST102でYesの場合)、記録再生部33は、その再生対象のデータをHDDデバイス15から内蔵半導体メモリIC17へコピーし(ステップST73,ST74)、ディスク系デバイス14,15を完全停止し(ステップST75)、格納先データベースに今回のコピーに関する情報を登録し(ステップST103)、内蔵半導体メモリIC17からの再生処理を指示する(ステップST69〜ST71)。また、格納先データベース中にHDDデバイス15と対応付けられた情報が存在しない場合(ステップST102でNoの場合)、記録再生部33は、その再生対象のデータをディスクから内蔵半導体メモリIC17へコピーし(ステップST76,ST77)、ディスクデバイス14を完全停止し(ステップST78)、格納先データベースに今回のコピーに関する情報を登録し(ステップST104)、内蔵半導体メモリIC17からの再生処理を指示する(ステップST69〜ST71)。なお、図11中のこれ以外のステップは、図9中の各ステップと同様であり、同一のステップ番号を付与して説明を省略する。
【0100】
図12は、図10のリッピング処理に対応するHDD再生処理の流れを示すフローチャートである。記録再生部33は、HDDデバイス15の再生が指示されると(ステップST111)、DSPIC13へ出力ミュートを指示した後(ステップST62)、HDDの駆動を開始して情報を抽出し(ステップST112)、コピーのための分岐判断を実行する。具体的には、記録再生部33は、HDDから抽出した情報と同一の情報であって、内蔵半導体メモリIC17と対応付けられたものが格納先データベースに存在するか否かを判断する(ステップST101)。
【0101】
そして、格納先データベース中に内蔵半導体メモリIC17と対応付けられた情報が存在する場合(ステップST101でYesの場合)、記録再生部33は、ディスクデバイス14を完全停止し(ステップST113)、内蔵半導体メモリIC17からの再生処理を指示する(ステップST69〜ST71)。また、格納先データベース中に内蔵半導体メモリIC17と対応付けられた情報が存在しない場合(ステップST101でNoの場合)、記録再生部33は、その再生対象のデータをHDDデバイス15から内蔵半導体メモリIC17へコピーし(ステップST73,ST74)、HDDデバイス15を完全停止し(ステップST75)、格納先データベースに今回のコピーに基づく情報を登録し(ステップST103)、内蔵半導体メモリIC17からの再生処理を指示する(ステップST69〜ST71)。なお、図12中のこれ以外のステップは、図1中の各ステップと同様であり、同一のステップ番号を付与して説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、AV機器などにおいて好適利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る再生装置としてのAV機器の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1中の記録再生制御部が実行する再生処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図3は、図1中の記録再生制御部が実行する記録処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図4は、図2に示す再生処理の変形例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、メモリカードリーダライタデバイスを有するAV機器の変形例を示すブロック図である。
【図6】図6は、USB通信I/Fデバイスを有するAV機器の変形例を示すブロック図である。
【図7】図7は、ディスクデバイスの再生が指示された場合に記録再生部が実行する再生処理の一変形例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、ディスクデバイスのリッピングが指示された場合に記録再生部が実行するリッピング処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、図8のリッピング処理に対応するディスク再生処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図10は、ディスクデバイスのリッピングが指示された場合に記録再生部が実行するリッピング処理の他の例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、図10のリッピング処理に対応するディスク再生処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は、図10のリッピング処理に対応するHDD再生処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
1 AV機器(再生装置)
4 アナログ音声入力端子(アナログ入力端子)
14 ディスクデバイス(ディスク系デバイスの一種)
15 HDDデバイス(ディスク系デバイスの一種)
16 ファンデバイス
17 内蔵半導体メモリIC(半導体メモリ)
21〜23 駆動モータ
33 記録再生制御部(制御手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル再生データが記録されたディスクを駆動モータにより駆動するディスク系デバイスと、
上記デジタル再生データを記憶することができる半導体メモリと、
上記ディスク系デバイスの再生操作がなされた場合、上記ディスクに記録されている上記デジタル再生データを上記半導体メモリにコピーし、さらに上記ディスク系デバイスの停止を指示した後に、上記半導体メモリの再生処理を実行させる制御手段と、
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
冷却ファンを駆動モータにより駆動して装置内部を冷却するファンデバイスを有し、
前記制御手段は、上記ファンデバイスの停止を指示した後に、前記半導体メモリの再生処理を実行させること、
を特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
駆動モータなどのアクチュエータを有するデバイスを有し、
前記制御手段は、上記デバイスの停止を指示した後に、前記半導体メモリの再生処理を実行させること、
を特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ディスク系デバイスに記録されている前記デジタル再生データを前記半導体メモリにコピーするときには、当該再生装置からの再生出力をさせないこと、を特徴とする請求項1から3の中のいずれか1項記載の再生装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記再生操作により再生対象とされる前記ディスク系デバイスの前記デジタル再生データに対して前記半導体メモリの空き容量が不足する場合には、再生可能な単位で前記ディスク系デバイスに記録されている前記デジタル再生データを前記半導体メモリにコピーして再生処理を実行させ、上記再生対象の前記デジタル再生データによる再生を間欠的に実行させること、を特徴とする請求項1から3の中のいずれか1項記載の再生装置。
【請求項6】
前記半導体メモリの少なくとも一部は、当該再生装置と着脱可能なものであること、を特徴とする請求項1から3の中のいずれか1項記載の再生装置。
【請求項7】
デジタル再生データを記憶することができるディスクを駆動モータにより駆動するディスク系デバイスと、
上記デジタル再生データを記憶することができる半導体メモリと、
入力端子と、
上記入力端子に入力される音声信号あるいは映像信号を上記ディスク系デバイスへ記録する操作がなされた場合、上記ディスク系デバイスの停止を指示した後に、上記入力端子に入力される音声信号あるいは映像信号を記録データとして上記半導体メモリに記録し、その後、上記半導体メモリに記録した上記記録データを上記ディスク系デバイスへ移動させる制御手段と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項1】
デジタル再生データが記録されたディスクを駆動モータにより駆動するディスク系デバイスと、
上記デジタル再生データを記憶することができる半導体メモリと、
上記ディスク系デバイスの再生操作がなされた場合、上記ディスクに記録されている上記デジタル再生データを上記半導体メモリにコピーし、さらに上記ディスク系デバイスの停止を指示した後に、上記半導体メモリの再生処理を実行させる制御手段と、
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
冷却ファンを駆動モータにより駆動して装置内部を冷却するファンデバイスを有し、
前記制御手段は、上記ファンデバイスの停止を指示した後に、前記半導体メモリの再生処理を実行させること、
を特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
駆動モータなどのアクチュエータを有するデバイスを有し、
前記制御手段は、上記デバイスの停止を指示した後に、前記半導体メモリの再生処理を実行させること、
を特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ディスク系デバイスに記録されている前記デジタル再生データを前記半導体メモリにコピーするときには、当該再生装置からの再生出力をさせないこと、を特徴とする請求項1から3の中のいずれか1項記載の再生装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記再生操作により再生対象とされる前記ディスク系デバイスの前記デジタル再生データに対して前記半導体メモリの空き容量が不足する場合には、再生可能な単位で前記ディスク系デバイスに記録されている前記デジタル再生データを前記半導体メモリにコピーして再生処理を実行させ、上記再生対象の前記デジタル再生データによる再生を間欠的に実行させること、を特徴とする請求項1から3の中のいずれか1項記載の再生装置。
【請求項6】
前記半導体メモリの少なくとも一部は、当該再生装置と着脱可能なものであること、を特徴とする請求項1から3の中のいずれか1項記載の再生装置。
【請求項7】
デジタル再生データを記憶することができるディスクを駆動モータにより駆動するディスク系デバイスと、
上記デジタル再生データを記憶することができる半導体メモリと、
入力端子と、
上記入力端子に入力される音声信号あるいは映像信号を上記ディスク系デバイスへ記録する操作がなされた場合、上記ディスク系デバイスの停止を指示した後に、上記入力端子に入力される音声信号あるいは映像信号を記録データとして上記半導体メモリに記録し、その後、上記半導体メモリに記録した上記記録データを上記ディスク系デバイスへ移動させる制御手段と、
を有することを特徴とする記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−243300(P2008−243300A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83390(P2007−83390)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
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