説明

再生装置及び再生方法、並びにフォーマット

【課題】 レイアウト更新と透過度更新のタイミングを同期させることで表示の不具合を解消する再生装置及び再生方法、並びにフォーマットを提供する。
【解決手段】 ストリームをデコードして映像信号を出力するデコーダ部(13)と、透過度情報とレイアウト情報に応じて透過度更新信号とこれに同期したレイアウト更新信号を生成する生成部(12−1)と、映像信号の透過度を透過度更新信号に応じて更新し、これに同期して、映像信号のレイアウト座標をレイアウト更新信号に応じて更新して出力する描画部(21)をもつ再生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ストリーム内の透過度及びレイアウトの更新を同期して行う再生装置及び再生方法、並びにフォーマットに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、HD DVD−Video規格では、従来のDVD−Video規格とは異なり、メインビデオの他にコメンタリ映像などの特典映像をサブビデオとして、メインビデオと同時に表示することが可能となった。サブビデオの表示位置は、コンテンツ製作者がHD DVD−Video規格で定義されているチェンジレイアウト機能をスクリプトに記述することにより、任意の位置に表示位置を定義することが可能である。また、コンテンツ製作者は、サブビデオプレーンの透過度もスクリプトに記述することにより、任意の透過度に設定することも可能である。現在、発売されているアドバンスドコンテンツにおいても、コンテンツ製作者がチェンジレイアウト機能と、透過度設定を用いて、サブビデオプレーンのアニメーションが行われている。
【0003】
特許文献1は、情報再生装置で、アドバンスドコンテンツを再生する再生部を備え、メインビデオ上にサブビデオを表示でき、サブビデオの位置やサイズ、透過度を設定できるので、スケーリングとアルファ処理が一例で行われている。
【特許文献1】特開2007−48348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の従来技術では、チェンジレイアウト設定と、透過度の設定は、それぞれ非同期のタイミングで設定できるため、コンテンツ製作者が意図したとおりに更新が行われない場合がある。また、タイミングの同期をとる仕組みが確立されていないため、再生させるプレーヤにより、動作が異なるケースも発生している。
【0005】
本発明は、レイアウト更新と透過度更新のタイミングを同期させることで表示の不具合を解消する再生装置及び再生方法、並びにフォーマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための一実施形態は、
ストリームをデコードして映像信号を出力するデコーダ部(13)と、
前記透過度情報と前記レイアウト情報に応じて透過度更新信号とこれに同期したレイアウト更新信号を生成する生成部(12−1)と、
前記映像信号の透過度を前記透過度更新信号に応じて更新し、これに同期して、前記映像信号のレイアウト座標を前記レイアウト更新信号に応じて更新して出力する描画部(21)と、を具備することを特徴とする再生装置である。
【発明の効果】
【0007】
レイアウトの更新と透過度の更新が同期して行われるため、意図しない表示が現れる等の画面上の不具合が解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
<本発明の一実施形態である再生装置の構成の一例>
以下、本発明の一実施形態である再生装置の構成の一例を図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る再生装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
本発明の一実施形態に係る再生装置10は、光ディスクドライバ11と、外部からストリームを取得するI/F部23と、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12及び更新信号生成部12−1と、ストリームデコーダ13と、メインビデオデコーダ14と、サブビデオデコーダ15と、サブビデオデコーダ16と、アドバンスドデータデコーダ17と、主音声デコーダ18と、副音声デコーダ19と、アルファ制御部20と、映像レンダラ21と、音声ミキサ22を有している。
【0011】
アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、ストリームデコーダ13から送られるアドバンスドコンテンツ中に含まれるスクリプトを解釈し、アルファ制御部20へ透過度の設定や、映像レンダラ21へチェンジレイアウト機能によって与えられるレイアウト情報の設定や、再生モード(通常再生、停止など)をメインビデオデコーダ14と、サブビデオデコーダ15と、サブビデオデコーダ16と、アドバンスドデータデコーダ17と、メインビデオデコーダ14と、サブビデオデコーダ15へ通知するである。
【0012】
アルファ制御部20は、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12から設定されるプレーンの透過度を保持し、映像レンダラ21へ設定する。
【0013】
ストリームデコーダ13は、ストリームデータをメインビデオデータで構成されるメインビデオパック、サブビデオデータで構成されるサブビデオパック、サブビデオデータで構成されるサブビデオパック、アドバンスドデータで構成されるアドバンスドパック、メインオーディオパックで構成されるオーディオパック、サブオーディオデータで構成されるサブオーディオパックの6つに切り分け、それぞれのデータをメインビデオデコーダ14、サブビデオデコーダ15、サブビデオデコーダ16、アドバンスドデータデコーダ17、メインビデオデコーダ14、サブビデオデコーダ15の各デコーダへ転送する。
【0014】
また、データソース(光ディスクなど)に含まれるコンテンツ製作者が作成したスクリプト記述は、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12へ送られ解釈される。
【0015】
メインビデオデコーダ14は、ストリームデコーダ13から転送されたメインビデオデータをデコードし、映像レンダラ21へデコードデータを転送する。
【0016】
サブビデオデコーダ15は、ストリームデコーダ13から転送されたサブビデオデータをデコードし、映像レンダラ21へデコードデータを転送する。
【0017】
サブビデオデコーダ16は、ストリームデコーダ13から転送されたサブビデオデータをデコードし、映像レンダラ21へデコードデータを転送する。
【0018】
アドバンスドデータデコーダ17は、ストリームデコーダ13から転送されたアドバンスドデータをデコードし、グラフィックデータであれば、映像レンダラ21へ、音声データであれば音声ミキサ22へデコードデータを転送する。
【0019】
主音声デコーダ18は、ストリームデコーダ13から転送されたメインオーディオデータをデコードし、音声ミキサ22へデコードデータを転送する。
【0020】
副音声デコーダ19は、ストリームデコーダ13から転送されたサブオーディオデータをデコードし、音声ミキサ22へデコードデータを転送する。
【0021】
映像レンダラ21は、メインビデオデコーダ14、サブビデオデコーダ15、サブビデオデコーダ16、アドバンスドデータデコーダ17から出力されたデータの多重化を行う。
【0022】
映像レンダラ21は、デコーダから出力されたデータを各プレーンに割り付け、管理を行う。アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12からチェンジレイアウト機能によって与えられるメインビデオプレーン、サブビデオプレーンに対するレイアウト情報の対応も行う。
【0023】
音声ミキサ22は、アドバンスドデータデコーダ17、メインビデオデコーダ14、サブビデオデコーダ15から出力されたデータの多重化を行う。
【0024】
<再生装置による透過度及びレイアウトの更新処理>
次に、上述した構成による再生装置10は、以下のような透過度及びレイアウトの更新処理を示す。すなわち、図2は、同じく再生装置が回避しようとする同期のとれていない表示画面の一例を示す説明図である。コンテンツ製作者は、出画開始時、サブビデオを左上の位置に非透過状態で再生を開始させるべくスクリプトを記述しているものとする。
【0025】
図2において、再生装置10は、透過処理が出画前になされてしまい、出画後にレイアウト変更がなされることにより、意図しない表示となっている。図3は、同じく再生装置の働きにより同期の取れた表示画面の一例を示す説明図である。後述する手法で、透過度更新及びレイアウト変更が同期して行われることにより、期待される動作が行われる。
【0026】
同様に、図4は、同じく再生装置が回避しようとする同期のとれていない表示画面の一例を示す説明図である。
【0027】
コンテンツ製作者は、サブビデオを右上の位置に非透過で表示している状態(初期状態)から、サブビデオを一度透過させた後、サブビデオを左上の位置に非透過状態で再生を開始させるべくスクリプトを記述しているものとする。図4において、再生装置10は、非透過処理がレイアウト変更前になされてしまい、意図しない表示がされてしまう。図5は、同じく再生装置の働きにより同期の取れた表示画面の一例を示す説明図である。後述する手法で、透過度更新及びレイアウト変更が同期して行われることにより、期待される動作が行われる。
【0028】
なお、図2乃至図5において、サブビデオプレーンの破線部分は、サブビデオが画面表示されていないことを示している。
【0029】
<本発明の一実施形態である再生装置での同期した透過度及びレイアウトの更新処理>
次に、本発明の一実施形態である再生装置での同期した透過度及びレイアウトの更新処理を図面を用いて説明する。
【0030】
図6は、同じく再生装置の同期情報により同期の取れた透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すフローチャートである。図7は、同じく再生装置の同期と非同期が混在する透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すフローチャートである。図8は、同じく再生装置の設定期間により同期の取れた透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すタイミングチャートである。図9は、同じく再生装置の同期情報により同期の取れた透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すタイミングチャートである。
【0031】
なお、以下の図6、図7、図10、図12のフローチャートの各ステップは、回路ブロックに置き換えることができ、従って、各フローチャートのステップは、全てブロックに定義しなおすことが可能である。
【0032】
(同期情報を用いる手法)
以下に、透過度情報及びチェンジレイアウト情報の一例を示す。
【0033】
透過度情報は、透過度と、同期モードと、グループ情報で構成される。
【0034】
『透過度』は、透過の程度を示しており、『同期モード』は、同期か非同期かを示しており、『グループ情報』は、グループ1、グループ2等の同期すべきグループ分けが定義される。
【0035】
チェンジレイアウト情報は、
X座標と、Y座標と、スケーリング値(n/d)と、切り取りX座標と、切り取りY座標と、切り取り幅と、切り取り高さと、移動継続時間と、同期モードと、グループ情報とで構成される。
【0036】
『X座標』でレイアウト変更後のX座標を示しており、
『Y座標』でレイアウト変更後のY座標を示しており、
『スケーリング値』で拡大もしくは縮小の倍率を示しており、
『切り取りX座標』で切り取りが開始されるX座標を示しており、
『切り取りY座標』で切り取りが開始されるY座標を示しており、
『切り取り幅』で切り取りの幅を示しており、
『切り取り高さ』で切り取りの高さを示しており、
『移動継続時間』でレイアウト変更を行うフレーム数(何フレームかけて移動するかを表現)を示しており、
『同期モード』で同期か非同期かを示しており、
『グループ情報』でグループ1、グループ2等の同期すべきグループ分けが定義される。
【0037】
この実施形態において、コンテンツ製作者は、出画開始時、サブビデオを左上の位置に非透過状態で再生を開始させるべくスクリプトを記述しているものとする。ユーザからの再生開始要求(プリロール)が行われる。ここで、プリロールとは、再生開始するための準備期間のことである。ストリームの供給が行われ、全てのデコーダが出画、出音が可能となった時点でプリロール終了となり、再生が開始される。プリロールの期間は、ストリームの供給スピードや、デコーダの能力などにより異なるため、同じストリームであってもプレーヤ毎にプリロールの期間は異なる。
【0038】
次に、図6のフローチャートを用いて同期情報を用いて更新処理を説明すると、コンテンツ製作者は、出画開始時、サブビデオを左上の位置に非透過状態で再生を開始させるべくスクリプトを記述しているものとする。この実施形態では、コンテンツ製作者はスクリプト記述において、レイアウト変更時には、レイアウト変更情報だけでなく、透過度設定との同期の有無と、同期を行う透過度設定を識別するための情報(グループID等)とを記述する。透過度設定時においても、透過度情報だけでなく、レイアウト設定との同期の有無と、同期を行うレイアウト設定を識別するための情報(グループID等)とを記述する。
【0039】
再生装置10のアドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、初めに、サブビデオに対して、初期レイアウト及び透過度設定を行う(ステップS21)。サブビデオの初期レイアウトは、右上の位置に1倍の表示で行われる。透過度の初期設定は、透過の状態である。
【0040】
次に、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、ユーザからの再生開始要求(プリロール)に従って、再生開始するための準備処理を行う(ステップS22)。アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12により、プリロール中にスクリプトからの[同期有]、[グループ1]の左上の位置へのレイアウト変更設定が行われる(ステップS23)。プリロール中のレイアウト変更は、出画されるまで延期される。
【0041】
スクリプトには、[同期有]で[グループ1]と記述されているので、プレーヤは、同期を行うべきレイアウト設定があることがわかる。スクリプトから非透過度の設定が行われる(ステップS24)。スクリプトには、[同期有]で[グループ1]と記述されている。
【0042】
そして、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、プリロール終了を待ち(ステップS25)、再生が開始されるまで、レイアウト更新が延期されるので、透過度設定の更新も延期される。再生が開始されると、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、非透過設定をグループ1のタイミングで更新するべく、透過度の更新信号を生成してアルファ制御部20に供給することで透過度を更新する(ステップS26)。更に、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、先の非透過設定に同期して、グループ1のタイミングで、左上の位置へのレイアウト変更を行なうべく、レイアウトの更新信号を生成して映像レンダラ21に供給することでレイアウトを更新する(ステップS27)。
【0043】
このようにコンテンツ製作者がスクリプトに同期を行いたい変更に対し、同期を行うかどうかの情報と、同期する情報を識別する情報(グループ1等)を付加することにより、図3や図5に示すように、コンテンツ製作者が意図する再生が可能となる。
【0044】
又、このような同期した更新処理の動作タイミングが、図8のタイミングチャートに示されている。又、同期する情報を識別する情報(グループ1,グループ2等)が複数ある場合のタイミングについて、図9のタイミングチャートに示されている。
【0045】
次に、このような同期した更新処理に非同期の処理が加わった場合について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0046】
アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、[同期有]で[グループ1]と記述されているスクリプトに基づき、ストリームの透過の要求を検出する(ステップS41)。同じく、[同期有]で[グループ1]と記述されているスクリプトに基づき、レイアウト変更の要求を検出する(ステップS42)。更に、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、スクリプトからの、非同期の非透過要求を検出する(ステップS43)。
【0047】
次に、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12の更新信号生成部12−1は、グループ1のタイミングでレイアウトと透過度の更新信号を生成してアルファ制御部20及び映像レンダラ21に供給することで、レイアウトと透過度を更新する(ステップS44)。その後、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、非同期で非透過の設定を更新するべく更新信号を生成して映像レンダラ21に供給することで透過度を更新する(ステップS45)。ステップS44とステップS45の更新タイミングは、非同期のため、逆になることもあるが、必要な同期した更新が行なわれることで、図4のようなコンテンツ製作者が意図しない表示が行われることはない。
【0048】
以上、説明したように、スクリプトに記述された[同期有],[グループ1等]を含む同期情報を用いて透過度変更、レイアウト変更を行なうことで、コンテンツ製作者が意図した表示を実現することができる。
【0049】
(再生開始時に同期させる手法)
次に、再生開始時に同期させる手法により、レイアウト更新と透過度更新を同期させる実施形態について、以下に図面を用いて説明する。図10は、同じく再生装置の再生開始後に行なわれる透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すフローチャートである。図11は、同じく再生装置の再生開始後に行なわれる透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すタイミングチャートである。
【0050】
すなわち、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、プリロール期間の透過度及びレイアウトの更新処理においては、出画されるまでこれを延期する。この実施形態によっても、コンテンツ製作者は、出画開始時、サブビデオを左上の位置に非透過状態で再生を開始させるべくスクリプトを記述しているものとする。
【0051】
アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、ストリームを受けると、サブビデオに対し、初期レイアウト及び透過度設定を行なう(ステップS55)。サブビデオの初期レイアウトは、右上の位置に1倍の表示で行われる。透過度の初期設定は、透過の状態である。
【0052】
次に、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、ユーザからの再生開始要求(プリロール)を受ける(ステップS56)。アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、プリロール中にストリーム中のスクリプトにより左上の位置へのレイアウト変更要求を受ける(ステップS57)。同じく、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、透過度変更要求を受ける(ステップS58)。
【0053】
ここで、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、直ちに透過度及びレイアウトの更新処理を行なわず、プリロール中の更新処理は、出画されるまで延期する(ステップS59)。
【0054】
次に、再生が開始されると、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、非透過設定を更新するべく、透過度の更新信号を生成してアルファ制御部20に供給することで透過度を更新する(ステップS60)。同様に、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、再生の開始と共に、左上の位置へのレイアウト変更を更新するべく、レイアウトの更新信号を生成して映像レンダラ21に供給することで、レイアウトと透過度を更新する(ステップS61)。図11のタイミングチャートは、このような更新処理のタイミングを示している。
【0055】
上述したように、この実施形態では、プリロール後、ストリームの再生開始時又は開始後に透過度変更とレイアウト変更を行なうことで同期をとることが可能となる。
【0056】
(一定期間毎に分類して同期させる手法)
次に、一定期間毎に更新要求を分類して同期させる手法を説明する。図12は、同じく再生装置の設定期間により同期の取れた透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すフローチャートである。図13は、同じく再生装置の複数種類の同期情報により同期の取れた透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すタイミングチャートである。
【0057】
すなわち、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、上述したスクリプトの同期情報を用いることなく、図13のタイミングチャートのリアルタイムの設定期間T0、T1、T2…毎に更新要求を分類して、その期間毎に同期処理を行なう。
【0058】
アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、図12のフローチャートにおいて、スクリプトから透過度の変更要求を検出する(ステップS71)。同様に、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、スクリプトからレイアウトの変更要求を検出する(ステップS72)。ここで、設定期間(T0、T1、T2…)が終了すると(ステップS73)、その期間の変更要求について、透過度とレイアウトの更新処理を同期して行なうべく、アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、レイアウトと透過度の更新信号を生成してアルファ制御部20及び映像レンダラ21に供給する(ステップS74)。アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン12は、このような設定期間(T0、T1、T2…)毎の同期更新処理を再生処理が終了するまで継続して行なうものである(ステップS75)。
【0059】
このような方法によっても、同期情報を用いなくとも、透過度及びレイアウトの更新処理を同期を取って行なうことが可能となる。こうすることにより、コンテンツ製作者の意図とおりにアドバンスドコンテンツを再生することができるようになる。
【0060】
<フォーマット>
次に、上述したストリーム内の透過度情報及びレイアウト情報を含むフォーマットの一例を以下に説明する。図14は、同期情報を伴う透過度設定情報及びレイアウト設定情報を有する光ディスクのフォーマットの一例を示す説明図である。
【0061】
すなわち、光ディスク等に格納されたHD DVD−Video規格のフォーマット、又は、ストリームの形態をとったフォーマットは、図14に示すように、ビデオオーディオの再生情報とアドバンスドアプリケーションを有している。
【0062】
ここで、ビデオオーディオの再生情報である制御情報であるVTSI(Video Title Set Information)と、EVOBSと、TIME MAP INFORMATIONと、BackupforVTSIと、BackupforTIME MAP INFORMATIONを有している。
【0063】
一方、アドバンスドアプリケーションは、スクリプトファイルを有しており、このスクリプトファイルは、『透過度の程度を示す情報と、同期可否を示すモード情報と、グループ1等の識別情報を含むスクリプトに記載された透過度情報』を有しており、更に、『レイアウト先の座標を示す情報と、同期可否を示すモード情報と、グループ1等の識別情報を含むスクリプトに記載されたレイアウト情報』を含んでいる。
【0064】
なお、ここで挙げたスクリプトに記載された透過度情報とスクリプトに記載されたレイアウト情報は一例であり、この記載に限定されるものではなく、同期情報と更新情報を含む形であれば同等の作用効果を期待することが可能となる。
【0065】
以上記載した様々な実施形態により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る再生装置の構成の一例を示すブロック図。
【図2】同じく再生装置が回避しようとする同期のとれていない表示画面の一例を示す説明図。
【図3】同じく再生装置の働きにより同期の取れた表示画面の一例を示す説明図。
【図4】同じく再生装置が回避しようとする同期のとれていない表示画面の一例を示す説明図。
【図5】同じく再生装置の働きにより同期の取れた表示画面の一例を示す説明図。
【図6】同じく再生装置の同期情報により同期の取れた透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すフローチャート。
【図7】同じく再生装置の同期と非同期が混在する透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すフローチャート。
【図8】同じく再生装置の設定期間により同期の取れた透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すタイミングチャート。
【図9】同じく再生装置の同期情報により同期の取れた透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すタイミングチャート。
【図10】同じく再生装置の再生開始後に行なわれる透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すフローチャート。
【図11】同じく再生装置の再生開始後に行なわれる透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すタイミングチャート。
【図12】同じく再生装置の設定期間により同期の取れた透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すフローチャート。
【図13】同じく再生装置の複数種類の同期情報により同期の取れた透過度及びレイアウトの更新処理の一例を示すタイミングチャート。
【図14】同期情報を伴う透過度設定情報及びレイアウト設定情報を有する光ディスクのフォーマットの一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0067】
D…光ディスク、12…アドバンスドアプリケーションプレゼンテーションエンジン、12−1…更新信号生成部、13…ストリームデコーダ、20…アルファ制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリームをデコードして映像信号を出力するデコーダ部と、
スクリプトファイルに記述された透過度情報とレイアウト情報に応じて透過度更新信号とこれに同期したレイアウト更新信号を生成する生成部と、
前記映像信号の透過度を前記透過度更新信号に応じて更新し、これに同期して、前記映像信号のレイアウト座標を前記レイアウト更新信号に応じて更新して出力する描画部と、
を具備することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記透過度情報が有する識別情報と前記レイアウト情報が有する識別情報とが同一であることにより、二つの情報に基づく更新処理が同期して行われるものと判断することを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記透過度情報及び前記レイアウト情報は、同期すべきであることを示す動作モード情報を更に有していることを特徴とする請求項2記載の再生装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記透過度情報が示す透過度更新のタイミングと前記レイアウト情報が示すレイアウト更新のタイミングが前記映像信号が再生される以前である場合、前記映像信号の再生前は前記透過度更新及び前記レイアウト更新が行われず、前記映像信号の再生開始以降に前記透過度更新及び前記レイアウト更新が行われることを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記ストリーム内の前記透過度情報が示す透過度更新のタイミングと前記レイアウト情報が示すレイアウト更新のタイミングを、一定期間毎に検出しており、同一の期間内に含まれる透過度更新とレイアウト更新を同期して実行するための透過度更新信号とレイアウト更新を生成することを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項6】
前記描画部は、前記デコーダ部からのサブビデオに関して、透過度を前記透過度更新信号に応じて更新し、これに同期して前記映像信号のレイアウト座標を前記レイアウト更新信号に応じて更新して出力することを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項7】
前記透過度情報と前記レイアウト情報の同期情報は、HD DVD−Video規格で定義されているスクリプトに記述された透過度設定情報とチェンジレイアウト情報であることを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項8】
ストリームをデコードして映像信号を出力し、
透過度情報とレイアウト情報に応じて透過度更新信号とこれに同期したレイアウト更新信号を生成し、
前記映像信号の透過度を前記透過度更新信号に応じて更新し、これに同期して、前記映像信号のレイアウト座標を前記レイアウト更新信号に応じて更新することを特徴とする再生方法。
【請求項9】
前記透過度情報が有する識別情報と前記レイアウト情報が有する識別情報とが同一であることにより、二つの情報に基づく更新処理が同期して行われるものと判断することを特徴とする請求項8記載の再生方法。
【請求項10】
HD DVD−Video規格のフォーマットにおいて、
透過度の程度を示す情報と、同期可否を示すモード情報と、同期識別情報を含む、スクリプトに記載された透過度情報と、
レイアウト先の座標を示す情報と、同期可否を示すモード情報と、同期識別情報を含む、スクリプトに記載されたレイアウト情報を有することを特徴とするフォーマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−60254(P2009−60254A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224365(P2007−224365)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】