説明

再生装置

【課題】ディスク再生装置自体の高さ寸法を抑えることができるうえ、、装置の小型化に伴うコスト削減を図ることのできる再生装置を提供する。
【解決手段】ドライブシャーシ300の側板部320にクランパ400の軸部430を嵌入自在な切り欠き部325を形成し、この切り欠き部325の近傍にクランパ400の軸部430に押圧力を付勢しながら、この軸部430を側板部320の上辺部301に沿って移動させるとともに、切り欠き部325内に軸部430を嵌入させるための押圧ばね部材335を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MD(Mini Disc)などに記録された音楽などを再生する再生装置に関し、特に、MDなどディスクの挿排を行なうディスク挿入・排出機構を備えた再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、自動車に備えるオーディオ機器としてMDに記録された音楽を再生する車載用のディスク記録・再生装置が広く普及している。このディスク記録・再生装置は、MDのディスク面に記録された情報をピックアップの対物レンズを介して読み取り音楽などに再生する機能を備えている。具体的には、ピックアップによりレーザビームを対物レンズを介してMDの記録面に照射し、このMDから反射された反射光をRF信号として取得し、このRF信号をアナログ信号に変換することで、MDに記録された情報(例えば、音楽情報)を読み取るようにしている。一方、書き換え可能なMDの場合には、利用者が好みの音楽などをMDに記録することもできる。
【0003】
(従来のディスク記録・再生装置100aの概略構成)
ここで、先ず、図12を参照して、従来のディスク記録・再生装置100aについて説明する。図12は、従来のディスク記録・再生装置100aの概略構成を示す図である。同図に示すように、ディスク記録・再生装置100aは、筐体(メインフレーム)としてのデッキシャーシ200の内部に、ドライブシャーシ300と、クランパ400と、挿排レバー511が連結された挿排ホルダ500と、昇降レバー600aとを組み付けることにより構成されている。また、クランパ400の下方部には、記録・再生部800とピックアップ810とが設けられている。
【0004】
クランパ400は、ディスク記録・再生装置100aの内部で、上下に移動(昇降)することにより、利用者が挿入したMDなどを記録・再生部800まで移送する機能を備えている。
【0005】
挿排ホルダ500は、クランパ400内に挿入されたMDを把持アーム520の爪部530により把持するとともに、この挿排ホルダ500に連結された挿排レバー511の移動とともに、MDをクランパ400内部の所定位置まで移動させる機能を備えている。
【0006】
昇降レバー600aは、ドライブシャーシ300およびクランパ400を支持するとともに、MDの挿入時にクランパ400を記録・再生部800の位置まで降下させる機能を備えている。また、MDの排出時にクランパ400を記録・再生部800から上昇させ、排出する機能を備えている。
【0007】
記録・再生部800は、MDに記録された情報を読み取るピックアップ810と、移送されたMDを載置するターンテーブル811とにより構成されている。また、ドライブシャーシ300の上部位置とデッキシャーシ200との間には、支持スプリング370(図15−1)が取り付けられるとともに、ドライブシャーシ300の底部位置には、ダンパ部材364が設けられている。これによって、ドライブシャーシ300は、支持スプリング370とダンパ部材364とによりフローティング可能に支持されている。
【0008】
また、700aは、クランパ400を記録・再生部800まで移送するための駆動モータ705aと、この駆動モータ705aのウォームギヤ710aおよび複数の伝達ギヤ720a〜740aとからなる移送駆動機構で、この移送駆動機構700aによる駆動力は、挿排レバー511から挿排ホルダ500に伝達され、この挿排ホルダ500をクランパ400の所定位置まで移送させることができる。
【0009】
また、後述するように、挿排ホルダ500が移動した後、さらにこの移送駆動機構700aによる駆動力が、昇降レバー600aに伝達され、この昇降レバー600aの移動にともなってクランパ400は降下を開始し、このクランパ400の降下により挿排ホルダ500の把持アーム520に把持されたMDを記録・再生部800のターンテーブル811まで移送するようにしている。
【0010】
(挿排ホルダ500および昇降レバー600aの移動機構)
次いで、図13および図14を参照して、従来のディスク記録・再生装置100aにおける挿排ホルダ500および昇降レバー600aの移動機構の詳細について説明する。図13は、挿排ホルダ500および昇降レバー600aによる移動機構の概要を、図14は、図13の要部拡大図をそれぞれ示している。
【0011】
すなわち、図13および図14に示すように、挿排ホルダ500に連結された挿排レバー511の側板部には、ラックレバー680aが前後方向(図の上下方向)に摺動可能に取り付けられ、昇降レバー600aの側面部には短尺状のラックレバー680bが固設されている。これらラックレバー680bとラックレバー680aとは、一部が重なるように隣接して配設されている。また、これらラックレバー680aとラックレバー680bにはラック歯688とラック歯689とがそれぞれ形成され、これらラック歯688、689と伝達ギヤ740aに形成されたピニオンギヤ741aとが噛合っている。
【0012】
さらに、ラックレバー680aのほぼ中央部には長通孔681aが形成され、この長通孔681aにはラックレバー680bに設けたダボ685が摺動自在に嵌入されている。なお、挿排レバー511とラックレバー680aとは、引っ張りばね690aにより連結されている。
【0013】
以上のように構成される挿排ホルダ500および昇降レバー600aの移動機構において、駆動モータ705aの駆動がウォームギヤ710aから伝達ギヤ720a〜伝達ギヤ740aに伝達され、この伝達ギヤ740aが時計方向(図14のA方向)に回転すると、この伝達ギヤ740aのピニオンギヤ741aと噛合しているラックレバー680aが後方(図14の上方向)へ移動を開始するため、これにより挿排レバー511はMDの引き込み方向である後方に向けて移動を開始する。
【0014】
次いで、ラックレバー680aに形成した長通孔681aの端部(図14の下側)がラックレバー680bのダボ685の位置まで到達すると(図14の実線部分)、ラックレバー680bはラックレバー680aに引張られて、ラックレバー680aと同様に後方への移動を開始する。
【0015】
以下、さらに移送駆動機構700aの駆動により、伝達ギヤ740aのピニオンギヤ741aは、ラックレバー680aとラックレバー680bとのオーバーラップ部(重なり部分)を乗り越えて、ラックレバー680aのラック歯688との噛合を離脱し、次いで、ラックレバー680bのラック歯689と噛合する。
【0016】
これにより、移送駆動機構700aの駆動力は、ラックレバー680bに伝達されるため、このラックレバー680bに連結された昇降レバー600aが後方へ向けて移動を開始し、以下、この昇降レバー600aの後方への移動によりクランパ400が降下を開始することとなる。なお、このクランパ400の降下動作についての詳細は、後述する。
【0017】
(ディスク記録・再生装置100aにおけるMDの挿排機構)
次いで、図15−1〜図15−3を参照して、ディスク記録・再生装置100aに備えたクランパ400および昇降レバー600aによるMDの挿排動作の概略を説明する。ここで、図15−1は、MDをディスク記録・再生装置100aに挿入する以前の状態を、図15−2は、利用者によりMDが挿入された時の状態を、図15−3は、MDの挿入完了時の状態をそれぞれ示す図である。
【0018】
すなわち、図15−1に示すように、MDの未挿入時、昇降レバー600aは、デッキシャーシ200の前端部(図15−1の右側)に位置し、この時、クランパ400の側面部に固設された4箇所(ただし、図では手前側2箇所のみ記載)の軸部430は、第1の溝部630aの平行溝631にそれぞれ嵌入された状態となっている。また、ドライブシャーシ300の側面部に固設された4箇所(ただし、図では手前側2箇所のみ記載)の軸部340は、第2の溝部640aの平行溝641にそれぞれ嵌入された状態となっている。クランパ400とドライブシャーシ300とは引っ張りばね411により連結されている。
【0019】
次いで、図15−2に示すように、図15−1の状態から、ディスク記録・再生装置100aの利用者がMDを挿入すると、挿排ホルダ500の把持アーム520の爪部530(図19)によりMDが把持されるとともに、この挿排ホルダ500は、僅かに後退し、この後退にともない挿入検知スイッチ(図示せず)が動作するため、移送駆動機構700aによる駆動が開始される。
【0020】
具体的には、駆動モータ705aによる駆動力がウォームギヤ710aにより伝達ギヤ720a〜740aからラックレバー680aを経て挿排レバー511に伝達される。このため、挿排レバー511に連結された挿排ホルダ500がMDを把持した状態でクランパ400内を後方に向けて移動し、MDをクランパ400内の所定位置まで引き込むことができる。
【0021】
さらに、昇降レバー600aは、移送駆動機構700aの駆動により、後部(図12の上側)に向けて移動を開始する。このため、図15−2に示すように、第1の溝部630aの平行溝631に嵌入されている軸部430は、第1の溝部630aの平行溝631から斜行溝632を経て下方に移動するため、これにともなって、クランパ400は引っ張りばね411の弾力により降下を開始する。
【0022】
以下、図15−3に示すように、クランパ400の軸部430およびドライブシャーシ300の軸部340とはそれぞれ第1の溝部630aおよび第2の溝部640aの円孔溝633、643まで移動し停止する。このとき、MDはターンテーブル811(図12)上に載置され、クランパ400の降下動作が停止する。なお、同図に示すように、MDの挿入完了時には、クランパ400およびドライブシャーシ300の軸部430、340は、昇降レバー600aの円孔溝633、643のほぼ中心部に位置しているため、昇降レバー600aとは接触してはおらず、これによって、ダンパ部材364と支持スプリング370とによってデッキシャーシ200の内部でフローティング状態で保持されることとなる。
【0023】
以上説明したように、ディスク記録・再生装置100aにおいて、利用者により挿入されたMDは、クランパ400の内部に設けられた挿排ホルダ500の把持アーム520の爪部530に把持されるとともに、クランパ400の内部を移動し、昇降レバー600aの移動により、記録・再生部800の位置まで下降し、この記録・再生部800のターンテーブル811に載置(セット)される。以下、ターンテーブル811は、スピンドルモータ(図示せず)の駆動により回転し、ピックアップ810によりMDに記録された記録情報の読み取りが行なわれ、MD記録された情報(例えば、音楽情報)を再生することとなる。
【0024】
(MDの概略および防塵シャッタの開閉機構)
次いで、図16を参照して、MDの概略および防塵シャッタの開閉機構について、説明する。すなわち、図16に示すように、MDは、ディスク111と、カートリッジ112と、U字形状をしたスライド自在の防塵シャッタ113および係止ばね114とにより構成されている。ディスク111には音楽情報などが記録され、カートリッジ112内に回転可能に内蔵されている。また、このカートリッジ112の表裏両面には、窓部111aが形成され、この窓部111aにディスク111の記録面に付着する傷、ごみ、汚れなどを保護する防塵シャッタ113が設けられている。
【0025】
また、この防塵シャッタ113の上部には係止爪115が設けられ、さらに側面部(図の右側)には係合孔116が形成されている。すなわち、MDが挿入されていない時(未セット時)には、防塵シャッタ113の係止爪115と、係止ばね114の係止部117とが互いに係合することで、防塵シャッタ113をロックし、これにより防塵シャッタ113が不意に開いてしまうことを防止している。
【0026】
一方、クランパ400を構成する側板部420には、この側板部420の内側からそれぞれ突設した係止ばね118と側板片419とが設けられている。係止ばね118は、防塵シャッタ113の係合孔116内に嵌入可能に形成され、弾力(ばね圧)により防塵シャッタ113を所定の位置に固定する機能を備えている。
【0027】
側板片419は、MDの挿入時に係止ばね114に当接し、この係止ばね114を内方に向けて押圧することにより、この係止ばね114の係止部117と防塵シャッタ113の係止爪115との係合を解除し、その後、さらにMDが挿入されると、側板片419が係止爪115と当接して、防塵シャッタ113を開口させる機能を備えている。
【0028】
一方、MDの排出時は、このMDの排出動作にともない、係止ばね114に対する側板片419による押圧が解除され、一方、係止ばね118が係合孔116に係合して防塵シャッタ113を閉じる方向にスライドさせ、最後に、防塵シャッタ113の係止爪115と係止ばね114の係止部117とが係合して防塵シャッタ113が閉じられる。
【0029】
以上説明したディスク記録・再生装置の従来技術として、例えば、特許文献1には、挿排ホルダや挿排レバーを用いることなくローラを利用して、MDをクランパ内に引き込むカートリッジの搬送装置について記載されている。
【0030】
【特許文献1】特開2000−222805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
上述した従来のディスク記録・再生装置100aは、装置100a自体が大型化してしまうという問題があった。すなわち、従来のドライブシャーシ300の側板部320(図4−4)には、クランパ400の軸部430を上下に昇降移動させるための切り欠き部325が形成されており、これにより、クランパ400は上下動方向にのみ移動する構成としている。そのため、MDの排出ストロークは、全て挿排ホルダ500の移動量に頼らざるを得ず、これによって、挿排ホルダ500の駆動機構が嵩張り、この結果、装置100a自体が大型化するという問題があった。
【0032】
また、従来のディスク記録・再生装置100aの場合には、この装置100a自体の全高を抑えることが難しいという問題があった。すなわち、従来ではクランパ400のガイド部によりMDの上部をガイドしているため、このMDの高さよりもクランパ400のガイド部が高くなることから、構造上このクランパ400の上面を覆っている昇降レバー600aとのクリアランスを確保するためには、この昇降レバー600a自体の高さ寸法を高くする必要があるため、この結果、再生装置100aの全高を抑えることが難しいという問題がある。
【0033】
また、従来では、ディスク記録・再生装置100aの内部に設けられたドライブシャーシ300の高さ位置はほぼ一定となっており、MDの排出時には、クランパ400のみが所定量だけ上昇する機構となっている。
【0034】
このため、従来のディスク記録・再生装置100aの高さは、高さ位置が固定されたドライブシャーシ300の高さと、クランパ400の上昇量と、このクランパ400と昇降レバー600aとのマージンを考慮した厚さとなるため、ディスク記録・再生装置100a全体の厚さ寸法を抑えることができないという問題がある。
【0035】
また、特許文献1に記載されたカートリッジの搬送装置の場合、ローラの利用により、挿排ホルダや挿排レバーを用いることなくMDの挿排を行なうことができ、これにより、装置の小型化を図ることが可能であるが、ローラの駆動力が左右不均一になりやすく、この結果、ディスクを真直に引き込む(押し出す)ことが困難となるという問題がある。具体的には、挿排動作の途中でMDが斜行してしまい内部で引っ掛かるなどの問題を生じる恐れがある。
【0036】
そこで、この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、ディスク再生装置自体の高さ寸法を抑えることができるうえ、装置の小型化に伴うコスト削減を図ることのできる再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る発明は、記録媒体を再生可能位置にセット、又は挿入・排出機構を備えた再生装置であって、前記挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、前記記録媒体を再生する再生部を備えたドライブシャーシとを備え、前記ドライブシャーシには、前記クランパを前後方向および上下方向にガイドするためのガイド部が設けられていることを特徴とする。
【0038】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記クランパには、該クランパを前記ドライブシャーシに摺動可能に保持する押圧力が付勢されていることを特徴とする。
【0039】
また、請求項3に係る発明は、記録媒体を再生可能位置にセット、又は挿入・排出機構を備えた再生装置であって、前記挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、前記記録媒体を再生する再生部を備えたドライブシャーシとを備え、前記ドライブシャーシには、該クランパを前記ドライブシャーシに摺動可能に保持する押圧力が付勢するとともに、前記クランパを前後方向にガイドするガイド部材が設けられていることを特徴とする。
【0040】
また、請求項4に係る発明は、記録面を保護する防塵シャッタを備えた記録媒体を再生可能位置にセット、又は挿入・排出機構を備えた再生装置であって、前記挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパを備え、前記クランパは、前記記録媒体の側面をガイドするとともに、該記録媒体の挿入時に、前記防塵シャッタを開く機能を有する側面ガイド部を備えていることを特徴とする。
【0041】
また、請求項5に係る発明は、請求項4に記載の発明において、前記クランパは、前記記録媒体の上面をガイドする上面ガイド部をさらに有し、前記側面ガイド部と前記上面ガイド部で記録媒体をガイドしつつ保持することを特徴とする。
【0042】
また、請求項6に係る発明は、請求項5に記載の発明において、前記クランパを駆動する駆動部材をさらに備え、該駆動部材の、前記上面ガイド部に対応する部分には、該上面ガイド部が嵌入自在な切り欠き部又は孔が設けられていることを特徴とする。
【0043】
また、請求項7に係る発明は、記録媒体を再生可能位置にセット、又は挿入・排出機構を備えた再生装置であって、前記記録媒体に記録された記録情報の再生を行なう再生部を備えるとともに、該記録媒体を再生中はフローティング状態で保持されるドライブシャーシと、前記記録媒体がセットされていない状態では、前記ドライブシャーシをフローティング状態の位置よりも低い位置で保持する高さ調整機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、記録媒体を再生する再生部を備えたドライブシャーシを備え、該ドライブシャーシには、クランパを前後方向および上下方向にガイドするためのガイド部が設けられているので、ドライブシャーシによってクランパの前後方向および上下方向への移動を安定した状態で行なうことができるという効果を奏する。
【0045】
また、請求項2に係る発明によれば、クランパには、該クランパをドライブシャーシに摺動可能に保持する押圧力が付勢されているので、ドライブシャーシによってクランパの前後方向および上下方向への移動を安定した状態で確実に行なうことができるという効果を奏する。
【0046】
また、請求項3に係る発明によれば、記録媒体を再生可能位置にセット、又は挿入・排出機構を備えた再生装置であって、挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、記録媒体を再生する再生部を備えたドライブシャーシとを備え、ドライブシャーシには、該クランパをドライブシャーシに摺動可能に保持する押圧力を付勢するとともに、クランパを前後方向にガイドするガイド部材が設けられているので、ガイド部材によってクランパの移動を安定した状態で確実に行なうことができるという効果を奏する。
【0047】
また、請求項4に記載の発明によれば、再生装置は、防塵シャッタをえた記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出する挿入・排出機構を備えており、該挿入・排出機構は、記録媒体を保持するためのクランパを備え、該クランパは、記録媒体の挿入・排出時に記録媒体の側面をガイドし、さらに、記録媒体の挿入時に、クランパに備えた側面ガイド部により防塵シャッタを開くことができるので、防塵シャッタを開くための側板片と側面ガイド部を共用することにより、構造の簡略化が図れるという効果がある。また、側面ガイド部は、記録媒体の上部ではなく、当該記録媒体の側面をガイドすることとなり、これによって、記録媒体の高さ以上に側面ガイド部が上方に突出することはないため、この結果、再生装置の高さ寸法が抑えられうえ、再生装置の小型化を実現できるという効果を奏する。
【0048】
また、請求項5に係る発明によれば、クランパは、記録媒体の上面をガイドする上面ガイド部をさらに有し、側面ガイド部と上面ガイド部とにより、クランパ内に挿入された記録媒体をガイドしつつ保持するので、記録媒体の挿入及び排出を安定した状態で確実に行なうことができるという効果を奏する。
【0049】
また、請求項6に係る発明によれば、クランパを駆動する駆動部材をさらに備え、該駆動部材の、上面ガイド部に対応する部分には、該上面ガイド部が嵌入自在な切り欠き部又は孔が設けられているので、クランパを構成する上面ガイド部は、駆動部材に設けられた切り欠き部又は孔に嵌入することができ、これにより、上面ガイド部と駆動部材とが干渉することがなく、この結果、再生装置の高さ寸法が抑えられるうえ、再生装置の小型化を実現できるという効果を奏する。
【0050】
また、請求項7に係る発明によれば、再生装置は、記録媒体の再生中はフローティング状態で保持されるドライブシャーシと、記録媒体がセットされていない状態では、ドライブシャーシをフローティング状態の位置よりも低い位置で保持する高さ調整機構を備えるので、記録媒体の再生時には、ドライブシャーシの高さ位置を上昇させ、記録媒体の排出時には、ドライブシャーシの位置を下降させることが可能となり、これによって、再生装置の高さ寸法が抑えられるうえ、再生装置の小型化を実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る再生装置の好適な実施例を詳細に説明する。図1は、本発明に係るディスク記録・再生装置100の全体構成を示す概略図である。また、図2は、同ディスク記録・再生装置100によるMDの挿入完了状態を示す概略図である。また、図3は、同ディスク記録・再生装置100の内部構成の概略および主要な回路構成を示す図である。
【0052】
ここで、明細書中に記載されているMDの「セット」とは、ディスク記録・再生装置100の挿入・排出機構により、MDを記録・再生部800のターンテーブル811(図12)上に載置させ再生可能な状態にすることを示している。また、「挿入」とは、ユーザによってディスク記録・再生装置100の挿入口に差し込まれたMDを、挿入・排出機構により記録・再生部800の位置まで移送する(引き込む)動作を示しており、「排出」とは、記録・再生部800にセットされたMDを挿入・排出機構により挿入口の位置まで移送する動作を示している。なお、以下に示す各実施例1〜3によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0053】
本実施例1に係るディスク記録・再生装置100は、挿排ホルダ500によるMDの挿排動作とクランパ400の前後移動とを連動させる移動制御部材900を備えたことに構成上の特徴がある。これにより、本実施例1では、MDの挿排動作を確実に行なうことができるうえ、従来、備えていた挿排ホルダの移動を行なう挿排レバーおよび挿排レバーの駆動を行なうラックレバーなどの駆動伝達機構を不要とすることが可能となり、この結果、ディスク記録・再生装置100の小型化を実現することができる。
【0054】
すなわち、従来のディスク記録・再生装置100a(図12)によるクランパ400の動作は、昇降レバー600aの上下移動により昇降する構成としていたが、本実施例1のディスク記録・再生装置100におけるクランパ400は上下に移動するだけでなくディスク記録・再生装置100の前後方向(図1の上下方向)に向けて移動する機能を備えている。
【0055】
また、図1に示すように、移動制御部材900は、クランパ400の前後に移動する動作に連動して、所謂、梃子の原理により、挿排ホルダ500によるMDの移送動作を増幅することができる。すなわち、従来のディスク記録・再生装置100a(図12)では、クランパ400と、挿排ホルダ500とは個別に動作していたが、本実施例1では、挿排ホルダ500とクランパ400の動作とを、移動制御部材900により連動させ、これにより、挿排ホルダ500の移動ストロークを増幅できる構成としている。
【0056】
具体的に説明すると、駆動部材600の前後移動にともなうクランパ400の前後移動に基づいて、移動制御部材900をクランパ400に設けた枢軸465を中心にして前後方向に動作させ、これにともなって、クランパ400の内部に設けた挿排ホルダ500の前後動作を増幅させるようにしている。
【0057】
すなわち、図1に示すように、クランパ400による動程をS1、MDによる動程をS2とすると、移動制御部材900によるクランパ400に対する移動制御によって、クランパ400の動程S1と比較して、MDによる動程S2をほぼ倍以上に増幅させることができる。この結果、投影面積を抑止しつつ十分なイジェクトマージンを確保することができMDの挿排に係る操作性を向上することができる。
【0058】
(ディスク記録・再生装置100の構成)
以下、図1〜図3を参照して、ディスク記録・再生装置100の構成の詳細について説明する。すなわち、図1〜図3に示すように、ディスク記録・再生装置100は、筐体(メインフレーム)としてのデッキシャーシ200と、ドライブシャーシ300と、このドライブシャーシ300の内部に設けられるクランパ400と、同じく、クランパ400の内部で、MDの挿入および排出方向である前後方向(図1、2の上下方向)に移動するための挿排ホルダ500と、クランパ400の上方に設けられる駆動部材600とにより構成されている。また、クランパ400と駆動部材600との間には、移動制御部材900が設けられている。なお、この移動制御部材900についての構成および機能の詳細は、後述する。
【0059】
また、デッキシャーシ200の後部位置(図1の上側)には、クランパ400および駆動部材600を前後方向(図1、2の上下方向)に作動させるための移送駆動機構700が設けられている。この移送駆動機構700は、駆動用の駆動モータ705と、この駆動モータ705の駆動軸に固定されたウォームギヤ710と、伝達ギヤ720、730、740とから構成されており、後述するように、この移送駆動機構700による駆動力は、ウォームギヤ710から伝達ギヤ720、730、740を介して、ラックレバー680に伝達され、これにより、クランパ400および駆動部材600を前後方向に移動させる構成となっている。
【0060】
また、デッキシャーシ200の所定位置(図2の後部側)には、駆動部材600の移動を検知した際に、移送駆動機構700を動作(ON)或いは不動作(OFF)とするための挿入検知スイッチ601および挿入完了検知スイッチ602とが取り付けられている。
【0061】
一方、駆動部材600の後部側には、この駆動部材600が移動した際に、挿入検知スイッチ601および挿入完了検知スイッチ602と当接自在な凸部621が形成されている。
【0062】
挿入検知スイッチ601は、利用者によりMDの挿入が行なわれた際、駆動部材600の後方移動にともなう凸部621との当接により、MDの挿入が開始されたことを検知し、移送駆動機構700による動作を開始させる機能を備えている。
【0063】
また、挿入完了検知スイッチ602は、駆動部材600の後方移動にともなう凸部621との当接により、MDの挿入が完了したことを検知し、移送駆動機構700による動作を停止させる機能を備えている。
【0064】
すなわち、ディスク記録・再生装置100の利用者によるMDの挿入(押し込み)に伴い、挿入検知スイッチ601および挿入完了検知スイッチ602による動作を検知し、これにより、移送駆動機構700による駆動部材600の動作又は、停止制御を行なうようにしている。
【0065】
挿排ホルダ500は、利用者により挿入されたMDを把持するとともに、このMDを所定の位置まで移動させる機能を備えている。図1に示すように、挿排ホルダ500は、平板状に形成された平板部510と、この平板部510の両端部に取り付けた一対の把持アーム520とにより構成されている。この把持アーム520の先端部には、内側に向けて凸部形状となった爪部530が形成されており、この爪部530がMDのカートリッジ部に形成された凹部(図示せず)に係合することにより、MDを両側から把持できるようになっている。
【0066】
また、この挿排ホルダ500の平板部510の2箇所位置(図1の左右)には、長通孔540、540が形成され、これら長通孔540、540には、移動制御部材900の摺動軸部920、920がそれぞれ嵌入されている。これによって、挿排ホルダ500は、クランパ400の移動にともなう、移動制御部材900の作動によりクランパ400の内部で、MDを保持した状態で前後方向(図1の上下方向)に進退可能(移動自在)となっている。
【0067】
(移動制御部材900の構成および機能)
次に、移動制御部材900の構成および機能の詳細について説明する。図1、2に示すように、移動制御部材900は、一対のレバー部材910、910を組み合わせたX字型に構成されている。具体的に説明すると、移動制御部材900を構成するレバー部材910、910のほぼ中央部には、通孔915が形成されるとともに、これらレバー部材910、910同士を交差させた状態で、通孔915には、クランパ400の平板部410に立設された枢軸465が貫通している。
【0068】
また、これらレバー部材910、910の前方(図1、2の下側)には、摺動軸部920、920が固設されている。前述したように、これら摺動軸部920、920は、挿排ホルダ500に形成された長通孔540、540内に摺動自在に嵌入されている。さらに、レバー部材910、910の後方(図1、2の上側)には、長通孔930が形成されており、これら長通孔930には、ドライブシャーシ300の平板部310に固設された軸部350が摺動自在に嵌入されている。
【0069】
すなわち、従来のディスク記録・再生装置100aでは、クランパ400と、挿排ホルダ500とは個別に作動していたが、本実施例では、クランパ400の前後動作にともなう挿排ホルダ500による移動を、移動制御部材900により連動させるようにしている。
【0070】
具体的に説明すると、挿排ホルダ500が後方(図1、2の上側)に向けて移動すると、これにともない、移動制御部材900のレバー部材910、910は枢軸465を中心として、クランパ400を後方に向けて、引き込むとともに、このクランパ400を降下させる位置まで引き込むことができる構成となっている。後述するように、このときクランパ400の動きは移動制御部材900の作用で増幅されて(梃子の原理)、挿排ホルダ500に伝達されているため、クランパ400の少ない動きでMDを内部に引き込むことができる。
【0071】
(ディスク記録・再生装置100および記録・再生部800の概略)
次いで、図3を参照して、ディスク記録・再生装置100の内部構成および記録・再生部800の概略を説明する。すなわち、同図に示すように、記録・再生部800は、ピックアップ810と、MDを載置させて回転するターンテーブル811の駆動(回転)を行なうターンテーブル駆動部816と、制御部820とにより構成されている。制御部820は、ピックアップ810、ターンテーブル駆動部816、移送駆動機構700に対して、駆動信号を送信するとともに、各動作を統括して制御する機能を備えている。
【0072】
また、同図に示すように、ドライブシャーシ300とデッキシャーシ200との間に介在する3箇所位置(図3では、2箇所を記載)でドライブシャーシ300の揺動を防止するダンパ部材364により支持されている。さらに、ドライブシャーシ300の上部4箇所位置(図3では、2箇所を記載)とデッキシャーシ200との間には、支持スプリング370が取り付けられている。従って、ドライブシャーシ300は、デッキシャーシ200に3箇所のダンパ部材364と4箇所の支持スプリング370でフローティング可能に支持されている。
【0073】
(ドライブシャーシ300の構成)
以下、図面を参照して、ディスク記録・再生装置100を構成する各部材の詳細について、説明する。ここで、図4−1は、実施例1に係るドライブシャーシ300の全体構成を示す平面図、図4−2は、ドライブシャーシ300の側面図を示している。また、図4−3は、図4−2に示した側板部320の形状を示す拡大図、図4−4は、従来のドライブシャーシ300の側板部320の形状を示す図である。
【0074】
ドライブシャーシ300は、デッキシャーシ200に3箇所のダンパ部材364(図3)と4箇所の支持スプリング370でフローティング可能に支持されるとともに、クランパ400の下方に配置され、このクランパ400に設けられた4個所の軸部430(図6−2)を切り欠き部325に係合させることにより、クランパ400を支持する機能を備えている。
【0075】
図4−1および図4−2に示すように、ドライブシャーシ300は、平板部310と一対の側板部320とから成る断面コ字型に形成され、一対の側板部320には、4個の軸部340が固設されている。後述するように、これら4個の軸部340は、駆動部材600(図7−2)の側板部620に形成された第2の溝部640にそれぞれ嵌入される構成となっている。
【0076】
また、このドライブシャーシ300を構成する平板部310の2箇所位置には、この平板部310の上方に向けて2個(一対)の軸部350、350が固設されている。前述したように、これら軸部350、350は、移動制御部材900(図1、2)の下方部(図1、2の上側)に形成された長通孔930、930内にそれぞれ摺動自在に嵌入された状態で組み付けられる。
【0077】
また、ドライブシャーシ300を構成する側板部320の上部位置には、平行溝部329が形成され、さらに、この側板部320の上辺部301には、上方(図4−2の上側)に向けて開口する切り欠き部325が形成されている。このうち、平行溝部329は、MDの挿入および排出動作に伴って、クランパ400(図4−3)に固設された4個の軸部430を前後方向(図4−3の左右方向)に摺動させる機能を備えている。
【0078】
また、同様に、切り欠き部325は、MDの挿入および排出動作に伴って、クランパ400の軸部430を嵌入した状態で保持するとともに上下方向(図4−3の上下方向)に昇降移動させる機能を備えている。これにより、クランパ400は、MDの挿入および排出動作に伴って、側板部320の上辺部301に沿っての前後移動および上下方向に昇降移動できるようになっている。
【0079】
また、図4−3に示すように、クランパ400とドライブシャーシ300の側板部320との間には、引っ張りスプリング411が取り付けられている。この引っ張りスプリング411は、クランパ400の軸部430を上辺部301に対して押圧することで、この軸部430を切り欠き部325内に確実に嵌入させる機能を備えている。
【0080】
ここで、図4−3および図4−4を参照して、本実施例1で示したドライブシャーシ300の構成と従来のドライブシャーシ300の構成との差異を説明する。すなわち、図4−4に示すように、従来のドライブシャーシ300の側板部320には、クランパ400の軸部430を上下に昇降移動させるための切り欠き部325が形成されているだけであり、クランパ400は上下動しかしていなかった。そのため、MDの排出ストロークは、全て挿排ホルダ500(図1)の移動量に頼らざるを得ず、これによって、挿排ホルダ500の駆動機構が大型化してしまうという問題があった。
【0081】
一方、本実施例1で示したドライブシャーシ300の構成によると、ドライブシャーシ300の側板部320に形成した切り欠き部325以外に、平行溝部329を形成することで、クランパ400を上下方向および前後方向にスムーズに移動させることができる。すなわち、本実施例1の場合、クランパ400が上下動だけでなく前後にも移動する。そして、クランパ400の前後移動を増幅して挿排ホルダ500に伝達する移動制御部材900の作用によって、駆動機構を大型化することなく十分な排出ストロークを確保することができる。
【実施例2】
【0082】
次に、本発明に係る実施例2によるドライブシャーシ300の構造について説明する。ここで、図5−1は、本実施例2に係るドライブシャーシ300の構成を示す平面図を、図5−2は、同ドライブシャーシ300の構成を示す側面図を、図5−3は、図5−2に示した側板部320の形状を示す拡大図を、図5−4は、ドライブシャーシ300とクランパ400との組み合わせ時の斜視図をそれぞれ示している。
【0083】
すなわち、前述した実施例1によるドライブシャーシ300の構造の場合、平行溝部329を形成することにより、クランパ400を上下方向だけでなく前後方向にも移動させることができる。ところが、この実施例1の場合、平行溝部329を形成するために側板部320の一部を延出させる必要があるため、これにより、クランパ400の高さ位置よりもドライブシャーシ300(側板部320)の高さ位置が高くなることから(図4−3の延出部P)、ディスク記録・再生装置100全体の厚さを抑えることができなくなるという問題がある。
【0084】
そこで、本実施例2では、図5−2〜図5−4に示すように、ドライブシャーシ300の側板部320に平行溝部329を設けるのではなく切り欠き部325の近傍位置(図5−2、3の右側)にひげ状に形成された押圧ばね部材335を設けている。
【0085】
すなわち、この押圧ばね部材335は、引っ張りスプリング411(図4−3)と同様に、クランパ400の軸部430に対して適度な押圧力を付勢するとともに、クランパ400の軸部430を、押圧ばね部材335と上辺部301との間で支持しながらクランパ400を前後方向に移動させる機能を備えている。また、クランパ400の軸部430が側板部320に形成された切り欠き部325に到達した時には、押圧ばね部材335の弾力により軸部430を切り欠き部325内に確実に嵌入させる機能を備えている。
【0086】
このため、本実施例2では、従来のように側板部420に形成する平行溝部329(延出部P)が不要となり、これにより、ドライブシャーシ300を構成する側板部320の高さ位置が演奏時のクランパ400を構成する側板部420の上面位置よりも低くなるように構成することができ、この結果、ディスク記録・再生装置100の厚さ寸法を抑えることができる。
【0087】
以上説明したように、本実施例2ではドライブシャーシ300の側板部320に押圧ばね部材335を設けているので、この押圧ばね部材335は、軸部430に押圧力を付勢しながら、この軸部430を側板部320の上辺部301に沿って移動させるとともに、押圧ばね部材335の弾力により、この軸部430を切り欠き部325内に確実に嵌入させることができるうえ、ドライブシャーシ300を構成する側板部320の高さ寸法が演奏時のクランパ400を構成する側板部420の上面位置よりも低くなるように構成することができる。
【0088】
すなわち、これによって、ドライブシャーシ300と移動制御部材900とのクリアランス(間隔)を大きく確保することができ、この結果、ディスク記録・再生装置100全体の厚さを抑えることができる。
【0089】
(クランパ400の構成)
次に、図6−1〜図6−4を参照して、クランパ400の構成について説明する。ここで、図6−1は、クランパ400の全体構成を示す平面図を、図6−2は、クランパ400の側面図を示している。また、図6−3は、クランパ400の要部斜視図を、図6−4は、図6−3に示したクランパ400の縦断面図を示している。
【0090】
前述したように、クランパ400は、内部にMDの挿排を行なう挿排ホルダ500(図1)を収納する機能を備えている。このため、同図に示すように、クランパ400は、平板部410と一対の側板部420とから成る断面コ字型に形成され、その側板部420には4個の軸部430、430が固設されている。前述したように、これら4個の軸部430、430は、ドライブシャーシ300の側板部320に形成されたきり欠き部325内に嵌入可能となっている。
【0091】
また、平板部410の下半部には、この平板部410がピックアップ810(図12)と干渉することを防止するための開口部415が形成されている。また、前述したように、平板部410の片側には、枢軸465が立設されており、この枢軸465は移動制御部材900(図1)を構成する一対のレバー部材910の交差位置に形成された通孔915を貫通し、移動制御部材900を回動可能に支持している。
【0092】
ここで、クランパ400は、従来のクランパの構成とは異なり、クランパ400を構成する側板部420の少なくとも、MDの挿入口として機能する前半部を前側板部421として残し、後半部を取り除いたことに特徴がある。以下、図6−2〜図6−4を参照して、このクランパ400の特徴部分の構成について詳細に説明する。
【0093】
すなわち、同図に示すように、本例では、クランパ400を構成する側板部420の一部(MDの挿入口として機能する前側板部421)を、MDの上部をカバー(保持)するために残すようにし、後側に位置する後側板部の大半は途中で取り除く構成としている。
【0094】
すなわち、クランパ400の側板部420は、それぞれ内側に向けて90°屈曲させた前側板部421と後側板部422として構成している。このうち、後側板部422は、前側板部421より低い位置で90°内側に向けて屈曲させており、さらにMDに設けられた案内溝110(図6−4)に嵌入可能な位置に形成されている。
【0095】
具体的に説明すると、図6−4に示すように、後側板部422の高さ寸法は、MDに形成された案内溝110の位置と一致するように設定されている。このため、側板部420に形成した後側板部422は、クランパ400内に挿入されたMDの後側を抑える機能およびMDの防塵シャッタ113(図16)を開く機能(正確には係止ばね114と当接して、この係止ばね114の係止部117と係止爪115との係合を解除するとともに、係止爪115と当接して、防塵シャッタ113を開放側(図16の下方)へスライドさせる機能)とを兼用する構成としている。
【0096】
すなわち、これによって、従来のクランパのように、別途、防塵シャッタ113(図16)を開閉するための側板片419(図16)を設ける必要がなくなるため、クランパ400の構造を簡易な構成とすることができる。また、この後側板部422の高さ寸法は、前側板部421と比べほぼ半分程度の高さ寸法とすることができるため、クランパ400と移動制御部材900(図1)との間隔(マージン)を多く確保することができるうえ、前側板部421と後側板部422とによって、MDを前後両側から確実に支持することができる。
【0097】
ここで、前述したように、前側板部421に対応する駆動部材600の平板部610には、この前側板部421との干渉を防ぐための切り欠き部611(図7−1)を形成することにより、クランパ400と駆動部材600との間隔(マージン)を多く確保することができる構成とし、これによって、ディスク記録・再生装置100全体の厚みを抑制することができるようにしている。つまり、側板部420の前側は、前側板部421のみを残し、この前側板部421を切り欠き部611と係合することにより、また、上述したように、後半側は取り除くことにより厚みの抑制を図っている。
【0098】
さらに、上述したように、クランパ400を構成する側板部420の前側部分(MDの挿入口側)を前側板部421として残し、後側部分を取り除いた構成としているが、逆に前側板部421を取り除き、後側板部を残す構成としてもよく、また、前側板部421と後側板部との中間に位置する中間板部のみを残してもよい。
【0099】
この場合、後側板部或いは、中間板部に対応する駆動部材600の平板部610に干渉を防止するための切り欠き部611を形成すればよく、要するにクランパ400内に挿入されたMDを保持する最低限の部分だけクランパ400の側板部として残し、対応する位置の駆動部材600の平板部610に切り欠き部611を設けることで、ディスク記録・再生装置100全体の厚みの抑制を図ることができる。
【0100】
以上説明したように、クランパ400を構成する側板部420は、MDの挿入口およびMDの前部を抑える機能を備えた前側板部421と、この前側板部421の高さ寸法のほぼ半分程度の高さに設定されている後側板部422とから構成され、さらに、前側板部421は、駆動部材600の平板部610に形成された切り欠き部611内に嵌入するように構成されているので、ディスク記録・再生装置100全体の厚さを抑えることができる。
【0101】
さらに、この側板部420に形成した後側板部422により、MDの防塵シャッタ113の開閉を行なう構成としているため、クランパ400に、従来のような防塵シャッタ113を開閉するため側板片419を別途設ける必要がなくなるため、クランパ400を簡易な構成とすることができる。
【0102】
(駆動部材600の構成)
次に、図7−1および図7−2を参照して、駆動部材600の構成について説明する。ここで、図7−1は、駆動部材600の全体構成を示す平面図、図7−2は、駆動部材600の側面図を示している。また、図8−1は、MDの挿入完了時の状態を示す要部拡大図である。また、図8−2は、MDの排出時における駆動部材600の動作を示す拡大側面図である。
【0103】
すなわち、同図に示すように、駆動部材600は、平板部610と一対の側板部620とから成る断面コ字型に形成されている。また、この駆動部材600を構成する平板部610の一端縁(図7−1の左側)には、片側(図7−1の左側)に向け開口する一対の切り欠き部611が形成されている。
【0104】
前述したように、これら切り欠き部611は、ディスク記録・再生装置100の組み付け時に、クランパ400(図4−1)を構成する前側板部421と対応する位置に形成されるとともに、切り欠き部611内に前側板部421が嵌入自在となるように構成されている。これによって、クランパ400と駆動部材600との間隔(マージン)を多く確保することができる構成としている。
【0105】
また、図7−2に示すように、その側板部620には、側板部620の上側に位置する第1の溝部630と、下側に位置する第2の溝部640とが形成されている。第1の溝部630は、斜行溝635と円孔溝636とから成り、この第1の溝部630はクランパ400(図4−2)に固設された一対の軸部430を嵌入した状態で所定の位置に案内する機能を備えている。また、第2の溝部640は、平行溝645と円孔溝646とからなり、この第2の溝部640はドライブシャーシ300(図5−2)に固設された一対の軸部340を嵌入した状態で所定の位置に案内する機能を備えている。
【0106】
ここで、駆動部材600はクランパ400を前後に移動するとともに、このクランパ400を記録・再生部800の位置まで降下させる機能を備えており、この駆動部材600の前後移動により挿排ホルダ500の把持アーム520により把持されたMDは、ディスク記録・再生装置100の記録・再生部800まで移送する機能を備えている。
【0107】
具体的に説明すると、この駆動部材600の前後移動は、移送駆動機構700による駆動力が、複数の伝達ギヤ720〜伝達ギヤ740からラックレバー680により伝達されて行なう構成としている。すなわち、図8−1に示すように、駆動部材600の片側位置(図8−1の右側)には、平板状のラックレバー680と引っ張りばね690とが取り付けられ、このうちラックレバー680には長円孔681が形成され、この長円孔681内に一対の軸部682、683がそれぞれ係合している。
【0108】
また、引っ張りばね690の一端部(図8−1の左側)は、ラックレバー680の一端部(図8−1の左側)に形成された鉤部684に、一方、引っ張りばね690の他端部(図8−1の右側)は、駆動部材600の側板部620に突設された鉤部622にそれぞれ取り付けられている。また、前述したように、このラックレバー680の片側(図1の内側)には、ラック歯686(図1)が形成され、このラック歯686と移送駆動機構700を構成する伝達ギヤ740とが噛合自在となっている。
【0109】
従って、移送駆動機構700(図1)が駆動されると、駆動モータ705の駆動力(回転駆動力)は、移送駆動機構700の駆動軸に固定されたウォームギヤ710、伝達ギヤ720、伝達ギヤ730、伝達ギヤ740を介して、この伝達ギヤ740の回転がラックレバー680に伝達され、この伝達によりラックレバー680が前後(図8−1の左右方向)に移動することができる。この結果、図8−2に示すように、このラックレバー680の移動に伴って、駆動部材600は、MDの排出方向である前側(図8−2の左方向)に移動することができる。この駆動部材600の移動についての詳細は、後述する。
【0110】
(ドライブシャーシ300の高さ位置調整機構)
次いで、駆動部材600に備えたドライブシャーシ300に対する高さ位置調整機構について説明する。すなわち、前述した図7−1および図7−2に示す駆動部材600は、ドライブシャーシ300に対する高さ位置調整機構を備えることにより、ディスク記録・再生装置100全体の厚さを抑える構成としたことに特徴がある。
【0111】
以下、図9を参照して、ドライブシャーシ300の高さ位置調整機構について説明する。図9は、従来と本実施例によるクランパ400とドライブシャーシ300との位置関係である概略図を示している。
【0112】
すなわち、図9に示すように、従来では、ディスク記録・再生装置100aの内部に設けられたドライブシャーシ300は、クランパ400の排出時(MD未挿入時)およびMDの再生時においても、その高さ位置はほぼ一定となっている。
【0113】
つまり、昇降レバー600a(図15−3)に形成した第2の溝部640aを構成する第2の溝部643の中心線P1´と平行溝641の中心線P2´とは、一致するように、これら第2の溝部643と平行溝641との形成位置が設定されており、これにより、ドライブシャーシ300の高さは変化しない機構となっている。このため、MDの排出時には、クランパ400のみが所定量(距離h)上昇する機構となっている。
【0114】
このため、従来では、MDの再生時にドライブシャーシ300の上面に当接した状態のクランパ400は、このMDの排出時に所定量(h)上昇した際に、昇降レバー600aの下面との間で、ある程度の間隔を空ける必要がある。実際には、クランパ400の上面と昇降レバー600の下面との間には、間隔mのマージンが設けられている。このため、従来のディスク記録・再生装置100aの高さは、高さ位置が固定であるドライブシャーシ300と、クランパ40の上昇量hと、マージン(m)を考慮した厚さとしなければならないため、ディスク記録・再生装置100a全体の厚さ寸法を抑えることができなかった。
【0115】
そこで、同図に示すように、本実施例1では、高さ位置調整機構によりMDの排出時には、ドライブシャーシ300の高さ位置を下降させ、このMDの演奏時には、このドライブシャーシ300の高さ位置を上昇させる構成としている。これにより、MDの排出時、ドライブシャーシ300はダンパ部材364を上方から抑え付けた状態で待機しているため、このダンパ部材364を抑え付けた高さ(潰した高さ)だけ、トータルとしての厚さを小さくすることができる。
【0116】
すなわち、MDによる演奏時には、ダンパ部材364によるダンピング(フローティング)が必要なためダンパ部材364によるダンピングを機能させるようにしており、一方、MDの排出時にはダンパ部材364をドライブシャーシ300により抑え付けることによりこのダンパ部材364を抑え付けた高さ(潰した高さ)だけ、トータルとしての厚さを小さくすることができる。
【0117】
そして、フローティング機構が機能しなくてもよい排出時にのみドライブシャーシ300の位置を下降させ、演奏時には、ドライブシャーシ300の位置を所定量(h)上昇させる構成とすることにより、クランパ400の上面と駆動部材600の下面とのマージン(m)と、デッキシャーシ200の上面とドライブシャーシ300の下面とのマージン(m)とをほぼ等しくすることができるため、ディスク記録・再生装置100全体の厚さを抑え小さくすることができる。
【0118】
ここで、本実施例1による高さ位置調整機構は、駆動部材600の側板部620に形成した第2の溝部640を構成する円孔溝646の中心線P1と平行溝645の中心線P2とを僅かにずらして、不一致とする構成としている(図7−2)。すなわち、これによって、駆動部材600の移動によりドライブシャーシ300の軸部340が平行溝645内に嵌入した時(排出時)と、この軸部340が円孔溝646内に移動した時(演奏時)とで、その高さを変化させている。
【0119】
この結果、上述したように、演奏時には、ドライブシャーシ300の高さ位置を上昇させ、排出時には、ドライブシャーシ300の位置を下降させることにより、ディスク記録・再生装置100全体の厚さ寸法を小さくすることができる。
【0120】
なお、本例では、駆動部材600の側板部620に形成される円孔溝646の中心部と平行溝645の中心部とを不一致とすることで、ドライブシャーシ300の高さ位置を調整しているが、このような中心位置を不一致とする構成に限らず、ドライブシャーシ300がMDの排出動作時に下降できる構成であれば、他のいずれの構成を用いてもよい。
【0121】
(MD挿入時の駆動部材600およびクランパ400の動作説明)
以下、図10−1〜図10−4と、図11−1〜図11−4とを参照して、MDをディスク記録・再生装置100に挿入した時の駆動部材600およびクランパ400の動作を詳細に説明する。ここで、図10−1は、利用者がMDをディスク記録・再生装置100に挿入する前の状態を、図10−2および図10−3は、MDの挿入途中時の状態を、図10−4は、MDの挿入完了時の状態をそれぞれ示す図である。また、図11−1〜図11−4は、図10−1〜図10−4の要部を示す拡大図である。
【0122】
(MDを挿入する前の状態)
図10−1に示すように、MDを挿入する以前、駆動部材600は、デッキシャーシ200の前端部の位置(図10−1の左側)に停止しており(停止位置)、この時、クランパ400の側板部420に固設された4箇所の軸部430(ただし、図10−1では、手前側の2箇所のみ記載)は、第1の溝部630の斜行溝635の上部位置(垂直部)にそれぞれ嵌入されている。
【0123】
また、ドライブシャーシ300の側板部320に固設された4箇所の軸部340(ただし、図10−1では、手前側の2箇所のみ記載)は、第2の溝部640の平行溝645にそれぞれ嵌入されている。なお、この時、駆動部材600は停止しているため挿入検知スイッチ601(図2)および挿入完了検知スイッチ602は、ともに不動作となっている。
【0124】
(MDの挿入時の動作:クランパ400の平行移動)
ここで、図10−2に示すように、利用者によりクランパ400内に挿入されたMDは、クランパ400の内部に設けられた挿排ホルダ500(図1)の把持アーム520に把持されるとともに、この時、挿排ホルダ500は、MDに押されて後方(図10−2、図11−2の右側)に向けて移動を開始する。
【0125】
これにより、移動制御部材900(図1)に連結されたクランパ400も後方に向けて移動を開始する。具体的に説明すると、挿排ホルダ500が後方に向けて移動すると、これにともない、移動制御部材900のレバー部材910、910は枢軸465を中心として、クランパ400を後方に向けて、引き込むため、これによりクランパ400も後退することとなる。
【0126】
そして、このクランパ400の後退移動により、クランパ400の軸部430が斜行溝635の後側(図11−2の右側垂直部)に当接(衝合)するため、この当接にともなって、駆動部材600は引っ張りばね690を後方に伸長させつつ、クランパ400と同様に、後方に向けて移動を開始する(図10−2)。ここで、駆動部材600の軸部682、683は、ラックレバー680に形成された長円孔681内を摺動しながら後方へ移動する(図11−2)。
【0127】
また、この時、駆動部材600の後退移動にともない挿入検知スイッチ601が駆動部材600の凸部621に押されて動作するため、これにより、移送駆動機構700が動作し、この移送駆動機構700による駆動力は、ウォームギヤ710から複数の伝達ギヤ720、730、740(図1)を介して、ラックレバー680に伝達される。そして、以降は、利用者が手を離しても移送駆動機構700による動作によってMDの挿入動作が行なわれる。
【0128】
すなわち、伝達ギヤ740の回転駆動力(反時計方向回転)がラックレバー680に伝達されるため、このラックレバー680は後方に向けて移動を開始し、これにより、長円孔681の前端部(図10−2の左側)が軸部682に当接するとともに、この軸部682を後方に向けて押すため、これにより、駆動部材600は後方に向けて移動する。
【0129】
そして、この時、駆動部材600の後退移動にともない、クランパ400の軸部430は、駆動部材600の斜行溝635の前側(図11−2の左側垂直部)が当接し、この斜行溝635により後方に向けて押し込まれる。このため、クランパ400は、ドライブシャーシ300の側板部320の上辺部301をすべりながら、さらに後方へと移動を開始する(図11−2)。このとき、移動制御部材900の作用で挿排ホルダ500がクランパ400の内部に引き込まれるため、それに伴ってMDもクランパ400の内部に引き込まれる。
【0130】
さらに、このときクランパ400動きは移動制御部材900の作用で増幅されて(梃子の原理)、挿排ホルダ500に伝達されているため、クランパ400の少ない動きでMDを内部に引き込むことができる。
【0131】
(MDの挿入時の動作:クランパ400の垂直移動)
以下、図10−3に示すように、さらに駆動部材600が後方に移動し、クランパ400の軸部430の移動位置が切り欠き部325に到達すると(図11−3)、この軸部430は、側板部320の上辺部301から、この切り欠き部325に落ち込むとともに、斜行溝635の斜行部に沿って降下を開始する(この時、MDはその中心がドライブシャーシ300内に搭載されたターンテーブル811の中心に一致する位置までクランパ400内部に引き込まれている)。すなわち、これによりクランパ400の位置は、垂直方向(図11−3の下方)に向かって降下する。
【0132】
(MDの挿入完了動作)
以下、図10−4に示すように、さらに駆動部材600が後方に向けて移動すると、クランパ400の軸部430およびドライブシャーシ300の軸部340とはそれぞれ第1、2溝部630、640の円孔溝636、646のほぼ中心部に到達する。そして、この時、図11−4に示すように、クランパ400の軸部430は、ドライブシャーシ300の切り欠き部325の底部に到達するため、クランパ400はドライブシャーシ300に当接する。
【0133】
なお、この時には、駆動部材600の凸部621(図2)が、挿入完了検知スイッチ602を押すため移送駆動機構700による駆動が停止する。これによって、ラックレバー680、駆動部材600の移動動作が終了し、MDの挿入が完了することとなる。すなわち、以上の図10−1〜図10−4による動作により、利用者により挿入されたMDは、ターンテーブル811(図12)上に載置され記録・再生が可能になる。
【0134】
なお、前述したように、クランパ400の軸部430およびドライブシャーシ300の軸部340は、第1、2溝部630、640の円孔溝636、646のほぼ中心部に位置するため、これら軸部340、430と駆動部材600とは接触しておらず、ドライブシャーシ300とクランパ400とが一体となった状態で、デッキシャーシ200に取り付けた4箇所の支持スプリング370と、3箇所のダンパ部材364のみでフローティング状態で支持されている(図3)。
【0135】
このため、デッキシャーシ200が何らかの要因により振動した場合でも、この振動がMDやドライブシャーシ300に伝達することはなく、良好な記録・再生を実現することができる。
【0136】
以上説明したように、本実施例1に係るディスク記録・再生装置100によれば、移動制御部材900を備えるので、MDの挿排動作を確実に行なうことができるうえ、従来、備えていた挿排ホルダの移動を行なう挿排レバーやこの挿排レバーの駆動を行なうラックレバーなどの駆動伝達機構を不要とすることにより、ディスク記録・再生装置100の小型化を図ることができる。
【0137】
また、この移動制御部材900により、クランパ400の前後移動に伴って、挿排ホルダ500による移動ストロークを増幅させることができるので、ディスク記録・再生装置100自体の大きさ(幅寸法)を抑制しながら、MDを排出した際の動程を大きくすることができる。また、MDの取り出し時に、このMDを取り出す際の充分な排出量を確保することができるうえ、利用者がMDを挿入する際の操作性を向上することができる。
【0138】
なお、上述した実施例1、2において、本発明の再生装置を音楽用のディスク記録・再生装置に適用するものとしているが、本発明は、音楽用のMDを記録・再生するディスク記録・再生装置だけではなくCD(Compact Disk)、DVD(Digital Video Disc)などのディスクを再生する各再生機におけるディスクの挿排機構やフロントローディング機構を対象として適用することができる。
【0139】
また、上述した実施例1、2では、ディスク記録・再生装置100で使用する記録媒体をMDとして説明したが、本発明の再生装置は、実施例で示したMDのように、記録媒体は必ずしもディスク状の記録媒体だけでなく、例えば、カセットテープのようにディスク状ではない記録媒体でも適用することができる。さらに、ICメモリカードなど、記録・再生のために媒体の駆動を必要としない記録媒体にも応用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0140】
以上のように、本発明の再生装置は、自動車に搭載されるオーディオシステムを構成する車載用のディスク記録・再生装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本実施例1に係るディスク記録・再生装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】同MDの挿入完了時の状態を示す概略図である。
【図3】同ディスク記録・再生装置の内部構成および回路構成を示す概略図である。
【図4−1】本実施例1に係るドライブシャーシの構成を示す平面図である。
【図4−2】同ドライブシャーシの構成を示す側面図である。
【図4−3】図4−2に示した側板部の形状を示す拡大図である。
【図4−4】従来のドライブシャーシの側板部の形状を示す拡大図である。
【図5−1】本実施例2に係るドライブシャーシの構成を示す平面図である。
【図5−2】同ドライブシャーシの構成を示す側面図である。
【図5−3】図5−2に示した側板部の形状を示す拡大図である。
【図5−4】クランパとドライブシャーシとの組み付け状態を示す斜視図である。
【図6−1】クランパの構成を示す平面図である。
【図6−2】クランパの構成を示す側面図である。
【図6−3】クランパとドライブシャーシを示す斜視図である
【図6−4】クランパの要部を示す縦断面図である。
【図7−1】駆動部材の構成を示す平面図である。
【図7−2】駆動部材の構成を示す側面図である。
【図8−1】MDの挿入完了時の状態を示す駆動部材の拡大側面図である。
【図8−2】MDの排出時における駆動部材の動作を示す拡大側面図である。
【図9】従来および本実施例1によるクランパとドライブシャーシとの位置関係を示す概略図である。
【図10−1】MDをディスク記録・再生装置に挿入する前の状態を示す駆動部材の側面図である。
【図10−2】MDの挿入途中の状態を示す駆動部材の側面図である(水平移動)。
【図10−3】MDの挿入途中の状態を示す駆動部材の側面図である(垂直移動)。
【図10−4】MDの挿入完了時の状態を示す駆動部材の側面図である。
【図11−1】図10−1の要部拡大図である。
【図11−2】図10−2の要部拡大図である。
【図11−3】図10−3の要部拡大図である。
【図11−4】図10−4の要部拡大図である。
【図12】従来のディスク記録・再生装置の要部を示す概略構成図である。
【図13】挿排ホルダおよび昇降レバーによる移動機構の概略を説明する図である。
【図14】同要部を示す拡大説明図である。
【図15−1】MDをディスク記録・再生装置に挿入する以前の状態を示す昇降レバーの側面図である。
【図15−2】MDの挿入途中状態を示す昇降レバーの側面図である。
【図15−3】MDの挿入完了時の状態を示す昇降レバーの側面図である。
【図16】MDの内部構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0142】
100、100a ディスク記録・再生装置
110 案内溝
113 防塵シャッタ
200 デッキシャーシ
300 ドライブシャーシ
301 上辺部
310、410、510、610 平板部
320、420、620 側板部
325 切り欠き部
329 平行溝部
335 押圧ばね部材
340、350、430、682、683 軸部
400 クランパ
421 前側板部
422 後側板部
500 挿排ホルダ
511 挿排レバー
520 把持アーム
530 爪部
540、681a、930 長通孔
600 駆動部材
600a 昇降レバー
601 挿入検知スイッチ
602 挿入完了検知スイッチ
621 凸部
622、684 鉤部
630、630a 第1の溝部
631、645 平行溝
632、635 斜行溝
636、646 円孔溝
640、640a 第2の溝部
680、680b ラックレバー
685 ダボ
686、688、689 ラック歯
690、690a 引っ張りばね
700、700a 移送駆動機構
900 移動制御部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を再生可能位置にセット、又は挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、
前記記録媒体を再生する再生部を備えたドライブシャーシとを備え、
前記ドライブシャーシには、前記クランパを前後方向および上下方向にガイドするためのガイド部が設けられていることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記クランパには、該クランパを前記ドライブシャーシに摺動可能に保持する押圧力が付勢されていることを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項3】
記録媒体を再生可能位置にセット、又は挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、
前記記録媒体を再生する再生部を備えたドライブシャーシとを備え、
前記ドライブシャーシには、該クランパを前記ドライブシャーシに摺動可能に保持する押圧力を付勢するとともに、前記クランパを前後方向にガイドするガイド部材が設けられていることを特徴とする再生装置。
【請求項4】
記録面を保護する防塵シャッタを有する記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記挿入・排出機構は、前記記録媒体を保持するクランパを備え、
前記クランパは、前記記録媒体の側面をガイドするとともに、該記録媒体の挿入時に、前記防塵シャッタを開く機能を有する側面ガイド部を備えていることを特徴とする再生装置。
【請求項5】
前記クランパは、前記記録媒体の上面をガイドする上面ガイド部をさらに有し、前記側面ガイド部と前記上面ガイド部とで記録媒体をガイドしつつ保持することを特徴とする請求項4に記載の再生装置。
【請求項6】
前記クランパを駆動する駆動部材をさらに備え、該駆動部材の、前記上面ガイド部に対応する部分には、該上面ガイド部が嵌入自在な切り欠き部又は孔が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の再生装置。
【請求項7】
記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出する挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記記録媒体に記録された記録情報の再生を行なう再生部を備えるとともに、該記録媒体を再生中はフローティング状態で保持されるドライブシャーシと、前記記録媒体がセットされていない状態では、前記ドライブシャーシをフローティング状態の位置よりも低い位置で保持する高さ調整機構を備えることを特徴とする再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4−1】
image rotate

【図4−2】
image rotate

【図4−3】
image rotate

【図4−4】
image rotate

【図5−1】
image rotate

【図5−2】
image rotate

【図5−3】
image rotate

【図5−4】
image rotate

【図6−1】
image rotate

【図6−2】
image rotate

【図6−3】
image rotate

【図6−4】
image rotate

【図7−1】
image rotate

【図7−2】
image rotate

【図8−1】
image rotate

【図8−2】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10−1】
image rotate

【図10−2】
image rotate

【図10−3】
image rotate

【図10−4】
image rotate

【図11−1】
image rotate

【図11−2】
image rotate

【図11−3】
image rotate

【図11−4】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15−1】
image rotate

【図15−2】
image rotate

【図15−3】
image rotate

【図16】
image rotate