説明

再生装置

【課題】MDなどを再生するディスク記録・再生装置に関し、特にMDの挿排をおこなう挿排機構による挿排動作を駆動制御部材によりおこなうことにより、装置の小型化を図ることのできるディスク記録・再生装置を提供する。
【解決手段】ディスク記録・再生装置100は、MDを把持する挿排ホルダ500と、当該挿排ホルダ500を内部に設けるとともに、挿排ホルダ500により把持されたMDを移送するクランパ400と、クランパ400を記録・再生部の位置まで上下移動させる駆動部材600と、このクランパ400の前後移動に伴って、クランパ400の内部に設けられたMDを把持する挿排ホルダ500による移動ストロークを増幅させる移動制御部材900とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MD(Mini Disc)などを再生するディスク記録・再生装置に関し、特に、MDの挿排をおこなうディスク挿入・排出機構を備えた再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、自動車に備えるオーディオ機器としてMDに記録された音楽を再生することのできる車載用のディスク記録・再生装置が広く普及している。このディスク記録・再生装置は、MDのディスク面に記録された情報をピックアップの対物レンズを介して読み取ることにより再生する機能を備えている。
【0003】
具体的には、ピックアップによりレーザビームを対物レンズを介してMDの記録面に照射し、このMDから反射された反射光をRF信号として取得し、このRF信号をアナログ信号に変換することで、MDに記録された情報(例えば、音楽情報)を読み取るようにしている。一方、書き換え可能なMDの場合には、利用者が好みの音楽などをMDに記録することもできる。
【0004】
(従来のディスク記録・再生装置100aの概略構成)
ここで、先ず、図20を参照して、従来のディスク記録・再生装置100aについて説明する。図20は、従来のディスク記録・再生装置100aの概略構成を示す図である。
【0005】
すなわち、同図に示すように、ディスク記録・再生装置100aは、筐体(メインフレーム)としてのデッキシャーシ200の内部に、ドライブシャーシ300と、クランパ400と、挿排レバー511が連結された挿排ホルダ500と、昇降レバー600aとを組み付けることにより構成されている。また、クランパ400の下方部には、記録・再生部800とピックアップ810とが設けられている。
【0006】
クランパ400は、ディスク記録・再生装置100aの内部で、上下に移動(昇降移動)することにより、利用者によって挿入されたMDを記録・再生部800まで移送する機能を備えている。
【0007】
挿排ホルダ500は、クランパ400内に挿入されたMDを把持アーム520の爪部530により把持するとともに、この挿排ホルダ500に連結された挿排レバー511の移動とともに、MDをクランパ400の所定の位置まで移動させる機能を備えている。
【0008】
昇降レバー600aは、ドライブシャーシ300およびクランパ400を支持するとともに、MDの挿入時にクランパ400を記録・再生部800の位置まで降下させる機能を備えており、平板部と一対の側板部とから成る断面コ字型に形成され、その側板部には、平行溝631と円孔溝633とを有する第1の溝部630aと、平行溝641と円孔溝643とを有する第2の溝部640aとが形成されている(図23−1)。
【0009】
記録・再生部800は、MDに記録された情報を読み取るピックアップ810と、移送されたMDを載置するターンテーブル811とにより構成されている。また、ドライブシャーシ300の上部位置とデッキシャーシ200との間には、支持スプリング370が取り付けられるとともに、ドライブシャーシ300の底部位置には、ダンパ部材364が設けられている。これによって、ドライブシャーシ300は、支持スプリング370とダンパ部材364によりフローティング可能に支持されている(図23−1)。
【0010】
700aは、クランパ400を記録・再生部800まで移送するための駆動モータ705a、駆動モータ705aのウォームギヤ710aおよび複数の伝達ギヤ720a〜740aとからなる移送駆動機構で、この移送駆動機構700aによる駆動力は、挿排レバー511から挿排ホルダ500に伝達され、この挿排ホルダ500をクランパ400の所定位置まで移送させることができる。
【0011】
また、後述するように、挿排ホルダ500が移動した後、さらにこの移送駆動機構700aによる駆動力が、昇降レバー600aに伝達され、この昇降レバー600aの移動にともなってクランパ400は降下を開始し、このクランパ400の降下により挿排ホルダ500の把持アーム520に把持されたMDを記録・再生部800のターンテーブル811まで移送するようにしている。
【0012】
(挿排ホルダ500および昇降レバー600aの移動機構)
次いで、図21および図22を参照して、従来のディスク記録・再生装置100aにおける挿排ホルダ500および昇降レバー600aの移動機構の詳細について説明する。
【0013】
すなわち、図21および図22に示すように、挿排ホルダ500に連結された挿排レバー511の側板部には、ラックレバー680aが前後方向(図の上下方向)に摺動可能に取り付けられ、昇降レバー600aの側面部には短尺状のラックレバー680bが固設されており、このラックレバー680bとラックレバー680aは一部が重なるように隣接して配設されている。
【0014】
また、これらラックレバー680aとラックレバー680bにはラック歯688とラック歯689とがそれぞれ形成され、これらラック歯688、689と伝達ギヤ740aに形成されたピニオンギヤ741aとが噛合っている。
【0015】
さらに、ラックレバー680aのほぼ中央部には長通孔681aが形成され、この長通孔681aにはラックレバー680bに設けたダボ685が摺動自在に嵌入されている。なお、挿排レバー511とラックレバー680aとは、引っ張りばね690aにより連結されている。
【0016】
以上のように構成される挿排ホルダ500および昇降レバー600aの移動機構において、駆動モータ705aの駆動がウォームギヤ710aから伝達ギヤ720a〜伝達ギヤ740aに伝達され、この伝達ギヤ740aが時計方向(図22のA方向)に回転すると、この伝達ギヤ740aのピニオンギヤ741aと噛合しているラックレバー680aが後方(図22の上側)へ移動を開始するため、これにより挿排レバー511はMDの引き込み方向である後方に向けて移動を開始する。
【0017】
次いで、ラックレバー680aに形成した長通孔681aの端部(図22の下側)がラックレバー680bのダボ682まで到達すると(図22の実線部分)、ラックレバー680bはラックレバー680aに押されて、ラックレバー680aと同様に後方への移動を開始する。
【0018】
以下、さらに移送駆動機構700aの駆動により、伝達ギヤ740aのピニオンギヤ741aは、ラックレバー680aとラックレバー680bとのオーバーラップ部(重なり部分)を乗り越えて、ラックレバー680aのラック歯688との噛合を離脱し、次いで、ラックレバー680bのラック歯689と噛合する。
【0019】
これにより、移送駆動機構700aの駆動力は、ラックレバー680bに伝達されるため、このラックレバー680bに連結された昇降レバー600aが後方へ向けて移動を開始し、以下、この昇降レバー600aの後方への移動によりクランパ400が降下を開始することとなる。なお、このクランパ400の降下動作についての詳細は、後述する。
【0020】
(ディスク記録・再生装置100aにおけるMD挿排機構の詳細)
次いで、図23−1〜図23−3を参照して、ディスク記録・再生装置100aに備えたクランパ400および昇降レバー600aによるMDの挿排動作の概略を説明する。ここで、図23−1は、MDをディスク記録・再生装置100aに挿入する以前の状態を、図23−2は、利用者によりMDが挿入された時の状態を、図23−3は、MDの挿入完了時の状態をそれぞれ示す図である。
【0021】
すなわち、図23−1に示すように、MDの未挿入時、駆動部材600は、デッキシャーシ200の前端部(図23−1の右側)に位置し、この時、クランパ400の側面部に固設された4箇所(ただし、図では手前側2箇所のみ記載)の軸部430は、第1の溝部630aの平行溝631にそれぞれ嵌入された状態となっている。
【0022】
また、ドライブシャーシ300の側面部に固設された4箇所(ただし、図では手前側2箇所のみ記載)の軸部340は、第2の溝部640aの平行溝641にそれぞれ嵌入された状態となっている。クランパ400とドライブシャーシ300とは引っ張りばね411により連結されている。
【0023】
次いで、図23−2に示すように、図23−1の状態から、ディスク記録・再生装置100aの利用者がMDを挿入すると、挿排ホルダ500の把持アーム520の爪部530(図20)によりMDが把持されるとともに、この挿排ホルダ500は、僅かに後退し、この後退にともない挿入検知スイッチ(図示せず)が動作するため、移送駆動機構700aによる駆動が開始される。具体的には、駆動モータ705aによる駆動力がのウォームギヤ710aにより伝達ギヤ720a〜740aからラックレバー680aを経て挿排レバー511に伝達される。
【0024】
このため、挿排レバー511に連結された挿排ホルダ500がMDを把持した状態でクランパ400内を後方に向けて移動し、MDをクランパ400内の所定位置まで引き込む。さらに、昇降レバー600aは、移送駆動機構700aの駆動により、後部(図21の左側)に向けて移動を開始する。このため、図23−2に示すように、第1の溝部630aの平行溝631に嵌入されている軸部430は、第1の溝部630aの平行溝631から斜行溝632を経て下方に移動するため、これにともなって、クランパ400は引っ張りばね411の弾力により降下を開始する。
【0025】
以下、図23−3に示すように、クランパ400の軸部430およびドライブシャーシ300の軸部340とはそれぞれ第1の溝部630aおよび第2の溝部640aの円孔溝633、643まで移動し停止する。
【0026】
このとき、MDはターンテーブル811(図20)上に載置され、クランパ400の降下動作が停止する。なお、同図に示すように、MDの挿入完了時には、クランパ400およびドライブシャーシ300の軸部430、340は、昇降レバー部材600aの円孔溝633、643のほぼ中心部に位置しているため、昇降レバー600aとは接触してはおらず、これによって、ダンパ部材364と支持スプリング370とによってデッキシャーシ200の内部でフローティング状態で保持されることとなる。
【0027】
以上説明したように、ディスク記録・再生装置100aにおいて、利用者により挿入されたMDは、クランパ400の内部に設けられた挿排ホルダ500の把持アーム520の爪部530に把持されるとともに、クランパ400の内部を移動し、昇降レバー600aの移動により、記録・再生部800の位置まで下降し、この記録・再生部800のターンテーブル811に載置される。以下、ターンテーブル811は、スピンドルモータ(図示せず)の駆動により回転し、ピックアップ810によりMDに記録された記録情報の読み取りがおこなわれ、MD記録された情報(例えば、音楽情報)を再生することとなる。
【0028】
次いで、図24を参照して、MDの概略および防塵シャッタ開閉機構について、説明する。すなわち、図24に示すように、MDは、ディスク111と、カートリッジ112と、U字形状をしたスライド自在の防塵シャッタ113および係止ばね114とにより構成されている。ディスク111は音楽情報などが記録されたミニディスクで、カートリッジ112内に回転可能に内蔵されている。
【0029】
また、このカートリッジ112の表裏両面には、窓部111aが形成され、この窓部111aに、U字形状をしたスライド自在の防塵シャッタ113が設けられており、この防塵シャッタ113は、ディスク111の記録面に付着する傷、ごみ、汚れなどを保護する機能を備えている。また、この防塵シャッタ113の上部には係止爪115が設けられ、さらに側面部(図の右側)には係合孔116が形成されている。
【0030】
すなわち、MDの挿入時(セット時)に、このMDの挿入にともない、防塵シャッタ113の係止爪115と、係止ばね114の係止部117とが互いに係合することで、防塵シャッタ113によって窓部111aを閉める構成となっている。
【0031】
一方、クランパ400を構成する側板部420には、この側板部420の内側から突設した係止ばね118と側板片419とが設けられている。このうち係止ばね118は、MDの挿入時に、前述したように、防塵シャッタ113の片面(図の右側)に形成された係合孔116に嵌入しロックし、MDを一時的に所定位置に固定するように構成されている。
【0032】
また、側板片419は、MDの挿入時に係止ばね114に当接し、内方に向けて押圧することにより、この係止ばね114の係止部117と防塵シャッタ113の係止爪115との係合を解除し、この解除により防塵シャッタ113を開口させる機能を備えている。一方、MDの排出時は、このMDの排出にともない、係止ばね114に対する側板片419による押圧が解除されるため、防塵シャッタ113の係止爪115と係止ばね114の係止部117とが係合し、この係合により防塵シャッタ113を閉めて、排出することができる。
【0033】
この種のディスク記録・再生装置の従来技術として、例えば、特許文献1には、挿排ホルダや挿排レバーを用いることなくローラを利用して、MDをクランパ内に引き込むカートリッジの搬送装置について記載されている。
【0034】
【特許文献1】特開2000−222805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
すなわち、上述したように、従来のディスク記録・再生装置100aは、内部に挿入されたMDを把持して、クランパ400の内部を移動させる挿排ホルダ500を備えており、この挿排ホルダ500の移動は、挿排ホルダ500に連結された挿排レバー511を移送駆動機構700aにより移動させることによりおこなわれている。このため、挿排ホルダ500を所定の位置まで移動する挿排レバー511および挿排レバー511を移動するための駆動機構などの複雑な構成が必要なうえ、これらの構成が嵩張ることとなり、この結果、装置が大型化するという問題があった。
【0036】
また、特許文献1によると、ローラの利用により、挿排ホルダや挿排レバーを用いることなくMDの挿排をおこなうことができ、これにより、装置の小型化を図ることが可能であるが、ローラの駆動力が左右不均一になりやすく、この結果、ディスクを真直に引き込む(押し出す)ことが困難となるという問題がある。具体的には、挿排動作の途中でMDが斜行してしまい内部で引っ掛かるなどの問題を生じる恐れがある。
【0037】
そこで、この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、MDの挿排動作を確実におこなえるうえ、小型化およびコスト削減を図ることのできる再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る発明は、記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、前記挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、前記記録媒体を前記クランパに対して引き込み、又は、押し出す挿排ホルダと、前記クランパの移動に伴って、前記挿排ホルダを移動させる移動制御部材とを備えることを特徴とする。
【0039】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記移動制御部材は、前記挿排ホルダの移動ストロークが、前記クランパの移動ストロークより大となるように前記クランパの動作を増幅して前記挿排ホルダに伝達することを特徴とする。
【0040】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、前記移動制御部材は、前記クランパと前記挿排ホルダを連結するレバーで構成され、該レバーは前記クランパの移動に伴って、梃子の原理によって前記挿排ホルダの移動を増幅することを特徴とする。
【0041】
また、請求項4に係る発明は、記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、前記再生装置は記録媒体の挿入・排出口を備え、前記挿入・排出機構は記録媒体を保持するクランパを備え、前記クランパの記録媒体を挿入・排出する側の端部が、前記クランパが記録媒体を排出した位置にある場合には、記録媒体挿入・排出口と係合していることを特徴とする。
【0042】
また、請求項5に係る発明は、請求項4に記載の発明において、前記クランパの記録媒体を挿入・排出する側の端部に延長部分が設けられ、前記記録媒体挿入・排出口には、切り欠き部分が設けられ、前記延長部分は、前記切り欠き部分に係合することを特徴とする。
【0043】
また、請求項6に係る発明は、記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、前記挿入・排出機構は記録媒体を保持するクランパを備え、前記クランパが記録媒体を、排出した位置にある場合には、前記クランパの下面を支持する支持部材を備えたことを特徴とする。
【0044】
また、請求項7に係る発明は、請求項6に記載の発明において、前記支持部材は、記録媒体が記録・再生位置にセットされたときに、該記録媒体を位置決めするための位置決めピンを兼ねることを特徴とする。
【発明の効果】
【0045】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、再生装置を構成する挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、前記記録媒体を前記クランパに対して引き込み、又は、押し出す挿排ホルダと、前記クランパの移動に伴って、前記挿排ホルダを移動させる移動制御部材とを備えるので、移動制御部材により挿排ホルダの前後移動は、クランパの前後移動に連動させておこなうことができることから、挿排ホルダを移動させるための挿排レバーなどの駆動機構が不要となり、これによって、装置を小型化とすることができるとともに、省スペース化と部品点数を削減した低コストとなる再生装置を実現することができるという効果を奏する。
【0046】
また、請求項2に係る発明によれば、前記移動制御部材は、前記挿排ホルダの移動ストロークが、前記クランパの移動ストロークより大となるように前記クランパの動作を増幅して前記挿排ホルダに伝達するので、請求項1に記載の発明と同様に、移動制御部材により挿排ホルダの前後移動は、クランパの前後移動に連動させておこなうことができることから、挿排ホルダを移動させるための挿排レバーなどの駆動機構が不要となり、これによって、装置を小型化とすることができるとともに、省スペース化と部品点数を削減した低コストとなる再生装置を実現することができるという効果を奏する。
【0047】
また、請求項3に係る発明によれば、前記移動制御部材は、前記クランパと前記挿排ホルダを連結するレバーで構成され、該レバーは前記クランパの移動に伴って、梃子の原理によって前記挿排ホルダの移動を増幅するので、請求項1に記載の発明と同様の作用効果とともに、クランパの内部に設けた挿排ホルダの前後動作をより容易に増幅させることができるという効果を奏する。
【0048】
また、請求項4に係る発明によれば、再生装置は、記録媒体の挿入・排出口を備え、前記挿入・排出機構は記録媒体を保持するクランパを備え、前記クランパの記録媒体を挿入・排出する側の端部が、前記クランパが記録媒体を排出した位置にある場合には、記録媒体挿入・排出口と係合しているので、利用者によるMDの無理な押し込みなどによるクランパの変形を防止することができるという効果を奏する。
【0049】
そのため、クランパを構成する材料として、コストが嵩むSUS(ステンレス鋼:Stainless used Steel)などの強度の高い材料を使用することなく、亜鉛メッキ鋼板などの強度は劣るが安価な材料を使用することができ、これによって、コスト削減を実現することができるという効果を奏する。また、MD自体の損傷も防止することができるうえ、利用者がMDを挿入する際の操作性を向上することができるという効果を奏する。
【0050】
また、請求項5に係る発明によれば、前記クランパの記録媒体を挿入・排出する側の端部に延長部分が設けられ、前記記録媒体挿入・排出口には、切り欠き部分が設けられ、前記延長部分は、前記切り欠き部分に係合するので、ディスク記録・再生装置の利用者によるMDの無理な押し込みなどによるクランパの変形を防止することができるとともに、利用者がMDを挿入する際の操作性を向上することができるという効果を奏する。また、クランパの剛性(強度)が向上することから、MDの挿入を容易におこなうことができ、これにより、MD自体の傷付きや変形などを防止することができるという効果を奏する。
【0051】
そのため、クランパを構成する材料として、コストが嵩むSUS(ステンレス鋼:Stainless used Steel)などの強度の高い材料を使用することなく、亜鉛メッキ鋼板などの強度は劣るが安価な材料を使用することができ、これによって、コスト削減を実現することができるという効果を奏する。
【0052】
また、請求項6に係る発明によれば、再生装置を構成する挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパを備え、前記クランパが記録媒体を、排出した位置にある場合には、前記クランパの下面を支持する支持部材を備えたので、利用者によるMDの無理な押し込みなどによるクランパの変形を防止することができるという効果を奏する。
【0053】
また、クランパの強度が向上することから、このクランパを構成する材料として、コストが嵩むSUS(ステンレス鋼:Stainless used Steel)などの強度の高い材料を使用することなく、亜鉛メッキ鋼板などの強度は劣るが安価な材料を使用することができ、これによって、コスト削減を実現することができるという効果を奏する。また、MD自体の損傷も防止することができうえ、利用者がMDを挿入する際の操作性を向上することができるという効果を奏する。
【0054】
また、請求項7に係る発明によれば、前記支持部材は、記録媒体が記録・再生位置にセットされたときに、該記録媒体を位置決めするための位置決めピンを兼ねるので、既存の位置決めピンをそのままクランパの下面を支持する支持部材として利用できるとともに、請求項6に記載の発明と同様の作用効果を実現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るディスク記録・再生装置の好適な実施例を詳細に説明する。図1は、本発明に係るディスク記録・再生装置100の全体構成を示す概略図である。また、図2は、同ディスク記録・再生装置100によるMDの挿入完了状態を示す概略図である。また、図3は、同ディスク記録・再生装置100の内部構成の概略および主要な回路構成を示す図である。なお、以下に示す実施例1〜9によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0056】
ここで、本実施例1に係るディスク記録・再生装置100の特徴は、挿排ホルダ500によるMDの挿排動作をクランパ400の前後動作と連動させる移動制御部材900を備えることにより、MDの挿排動作を確実におこなうことができるうえ、従来、備えていた挿排ホルダの移動をおこなう挿排レバーやこの挿排レバーの駆動をおこなうラックレバーなどの駆動伝達機構を不要とすることにより、ディスク記録・再生装置100の小型化を実現したことにある。
【0057】
すなわち、従来のディスク記録・再生装置100aによるクランパ400の動作は、昇降レバー600a(図20)の動作により、上下に移動するのみであったが、本実施例1によると、クランパ400は上下に移動するだけでなくディスク記録・再生装置100の前後方向(図1の上下方向)に移動する機能を備えている。
【0058】
また、図1に示すように、移動制御部材900は、クランパ400の前後に移動する動作に連動して、所謂、梃子の原理により、挿排ホルダ500によるMDの移送動作を増幅することができる。すなわち、従来のディスク記録・再生装置100a(図20)では、クランパ400と、挿排ホルダ500とは個別に動作していたが、本実施例1では、挿排ホルダ500とクランパ400の動作とを、移動制御部材900により連動させ、これにより、挿排ホルダ500の移動ストロークを増幅できる構成としている。
【0059】
具体的に説明すると、駆動部材600の前後移動にともなうクランパ400の前後移動に基づいて、移動制御部材900をクランパ400に設けた枢軸465を中心にして前後方向に動作させ、これにともなって、クランパ400の内部に設けた挿排ホルダ500の前後動作を増幅させるようにしている。
【0060】
すなわち、図1において、クランパ400による動程をS1、MDによる動程をS2とすると、移動制御部材900によるクランパ400に対する移動制御によって、クランパ400の動程S1と比較して、MDによる動程S2をほぼ倍以上に増幅させることができる。この結果、投影面積を抑止しつつ十分なイジェクトマージンを確保することができMDの挿排に係る操作性を向上することができる。
【0061】
(ディスク記録・再生装置100の構成)
以下、図1〜図3を参照して、ディスク記録・再生装置100の構成の詳細について説明する。すなわち、図1〜図3に示すように、ディスク記録・再生装置100は、筐体(メインフレーム)としてのデッキシャーシ200と、ドライブシャーシ300と、このドライブシャーシ300の内部に設けられるクランパ400と、同じく、クランパ400の内部で、MDを前後方向(図1、2の上下方向)に移動するための挿排ホルダ500と、クランパ400の上方に設けられる駆動部材600とにより構成されている。
【0062】
また、本発明の特徴部分である移動制御部材900は、クランパ400と駆動部材600との間に設けられている(図3)。なお、この移動制御部材900についての構成および機能の詳細は、後述する。
【0063】
図1に示すように、デッキシャーシ200の後部位置(図1の上側)には、クランパ400および駆動部材600を前後方向に作動させるための移送駆動機構700が設けられている。この移送駆動機構700は、駆動用の駆動モータ705と、この駆動モータ705の駆動軸に固定されたウォームギヤ710と、伝達ギヤ720、730、740とから構成されており、後述するように、この移送駆動機構700による駆動力は、ウォームギヤ710から伝達ギヤ720、730、740を介して、ラックレバー680に伝達され、これにより、クランパ400および駆動部材600を前後方向(MDの挿入方向/排出方向)に移動させる構成となっている。
【0064】
また、デッキシャーシ200の所定位置(図2の後部側)には、駆動部材600の移動を検知した際に、移送駆動機構700を動作(ON)或いは不動作(OFF)とするための挿入検知スイッチ601および挿入完了検知スイッチ602とが取り付けられている。一方、駆動部材600の後部側には、この駆動部材600が移動した際に、挿入検知スイッチ601および挿入完了検知スイッチ602と当接自在な凸部621が形成されている。挿入検知スイッチ601は、利用者によりMDの挿入がおこなわれた際、駆動部材600の後方移動にともなう凸部621との当接により、MDが挿入が開始されたことを検知し、移送駆動機構700による動作を開始させる機能を備えている。
【0065】
また、挿入完了検知スイッチ602は、駆動部材600の後方移動にともなう凸部621との当接により、MDが挿入が完了したことを検知し、移送駆動機構700による動作を停止させる機能を備えている。すなわち、ディスク記録・再生装置100の利用者によるMDの挿入(押し込み)に伴い、挿入検知スイッチ601および挿入完了検知スイッチ602による動作を検知し、これにより、移送駆動機構700による駆動部材600の動作または、停止制御をおこなうこととなる。これら挿入検知スイッチ601および挿入完了検知スイッチ602の動作による移送駆動機構700の動作および駆動部材600の移動制御についての詳細は、後述する(図9−1〜図9−5、図11−1〜図11−2)。
【0066】
また、同図に示すように、クランパ400の内部には、利用者により挿入されたMDを把持するとともに、このMDを所定の位置まで移動させるための挿排ホルダ500が備えられている。この挿排ホルダ500は、クランパ400の移動にともなう、移動制御部材900の作動によりクランパ400の内部で、MDを保持した状態で前後方向(図1の上下方向)に進退可能(移動自在)となっている。
【0067】
すなわち、挿排ホルダ500は、平板状に形成された平板部510と、この平板部510の両端部に取り付けた一対の把持アーム520とにより構成されている。この把持アーム520の先端部には、内側に向けて凸部形状となった爪部530が形成されており、この爪部530がMDのカートリッジ部に形成された凹部に係合することにより、MDを両側から把持できるようになっている。
【0068】
また、この挿排ホルダ500の平板部510の2箇所位置(図1の左右)には、長通孔540、540が形成され、これら長通孔540、540には、移動制御部材900の摺動軸部920、920がそれぞれ嵌入されている。
【0069】
(移動制御部材900の構成および機能)
次に、移動制御部材900の構成および機能の詳細について説明する。図1、2に示すように、移動制御部材900は、一対のレバー部材910、910を組み合わせたX字型に構成されている。具体的に説明すると、移動制御部材900を構成するレバー部材910、910のほぼ中央部には、通孔915が形成されるとともに、これらレバー部材910、910同士を交差させた状態で、通孔915には、クランパ400の平板部410に立設された枢軸465が貫通している。
【0070】
また、これらレバー部材910、910の前方(図1、2の下側)には、摺動軸部920、920が固設されており、これら摺動軸部920、920は、挿排ホルダ500に形成された長通孔540、540内に摺動自在に嵌入されている。さらに、レバー部材910、910の後方(図1、2の上側)には、長通孔930が形成されており、これら長通孔930には、ドライブシャーシ300の平板部310に固設された軸部350が摺動自在に嵌入されている。
【0071】
すなわち、従来のディスク記録・再生装置100aでは、クランパ400と、挿排ホルダ500とは個別に作動していたが、本実施例1では、クランパ400の前後動作にともなう挿排ホルダ500による移動を、移動制御部材900により連動させるようにしている。
【0072】
具体的に説明すると、挿排ホルダ500が後方に向けて移動すると、これにともない、移動制御部材900のレバー部材910、910は枢軸465を中心として、クランパ400を後方に向けて、引き込むとともに、このクランパ400を降下させる位置まで引き込むことができる構成となっている。後述するように、このときクランパ400の動きは移動制御部材900の作用で増幅されて(梃子の原理)、挿排ホルダ500に伝達されているため、クランパ400の少ない動きでMDを内部に引き込むことができる。
【0073】
(ディスク記録・再生装置100および記録・再生部800の概略)
次いで、図3を参照して、ディスク記録・再生装置100の内部構成および記録・再生部800の概略を説明する。すなわち、同図に示すように、記録・再生部800は、ピックアップ810と、MDを載置させて回転するターンテーブル811の駆動(回転)をおこなうターンテーブル駆動部816と、制御部820とにより構成されている。制御部820は、ピックアップ810、ターンテーブル駆動部816、移送駆動機構700に対して、駆動信号を送信するとともに、各動作を統括して制御する機能を備えている。
【0074】
また、同図に示すように、ドライブシャーシ300とデッキシャーシ200との間に介在する3箇所位置(図3では、2箇所を記載)でドライブシャーシ300の揺動を防止するダンパ部材364により支持されている。さらに、ドライブシャーシ300の上部4箇所位置(図3では、2箇所を記載)とデッキシャーシ200との間には、支持スプリング370が取り付けられている。従って、ドライブシャーシ300は、デッキシャーシ200に3箇所のダンパ部材364と4箇所の支持スプリング370でフローティング可能に支持されている。
【0075】
(ドライブシャーシ300の構成)
以下、図面を参照して、ディスク記録・再生装置100を構成する各部材の詳細について、説明する。ここで、図4−1は、ドライブシャーシ300の全体構成を示す平面図、図4−2は、ドライブシャーシ300の側面図を示している。
【0076】
すなわち、図4−1および図4−2に示すように、ドライブシャーシ300は、平板部310と一対の側板部320とから成る断面コ字型に形成され、一対の側板部320には、4個の軸部340が固設されている。後述するように、これら4個の軸部340は、駆動部材600(図6−2)に形成された第2の溝部640に、それぞれ嵌入されることとなる。また、側板部320の上半部端縁には、切り欠き部325が形成されている。
【0077】
後述するように、この切り欠き部325は、MDの挿入時に、クランパ400(図5−1)に固設された軸部430を嵌入した状態で保持する機能を備えている。
【0078】
また、このドライブシャーシ300を構成する平板部310の2箇所位置には、この平板部310の上方に向けて2個(一対)の軸部350、350が固設されている。前述したように、これら軸部350、350は、移動制御部材900(図1、2)の下方部(図1、2の上側)に形成された長通孔930、930内にそれぞれ摺動自在に嵌入された状態で組み付けられている。
【0079】
以上説明したように、ドライブシャーシ300は、クランパ400の下方に配置され、このクランパ400に設けられた4個所の軸部430を切り欠き部325に係合させることにより、クランパ400を支持する機能を備えている。また、前述したように、このドライブシャーシ300は、デッキシャーシ200に3箇所のダンパ部材364(図3)と4箇所の支持スプリング370でフローティング可能に支持されている。
【0080】
(クランパ400の構成)
次に、図5−1および図5−2を参照して、クランパ400の構成について説明する。ここで、図5−1は、クランパ400の全体構成を示す平面図を、図5−2は、クランパ400の側面図を示している。クランパ400は、内部にMDの挿排をおこなう挿排ホルダ500(図1)を収納する機能を備えている。このため、同図に示すように、クランパ400は、平板部410と一対の側板部420とから成る断面コ字型に形成され、その側板部420には4個の軸部430、430が固設されている。
【0081】
また、後述するように、これら4個の軸部430、430は、駆動部材600(図6−2)に形成された第1の溝部630にそれぞれ嵌入された状態となっている。また、平板部410の下半部には、この平板部410がピックアップ810(図3)と干渉することを防止するための開口部415が形成されている。
【0082】
また、平板部410の片側には、枢軸465が立設されており、この枢軸465は移動制御部材900を構成する一対のレバー部材910の交差位置に形成された通孔915を貫通し、移動制御部材900を回動可能に支持している。
【0083】
ここで、本実施例1におけるクランパ400は、従来のクランパとは異なり、クランパ400を構成する側板部420の少なくとも、MDの挿入口として機能する前半部を残し、後半部を取り除いたことに特徴がある。以下、図5−3および図5−4を参照して、このクランパ400の構成について詳細に説明する。
【0084】
図5−3は、クランパ400の斜視図を、図5−4は、図5−3に示したクランパ400の縦断面図を示している。すなわち、図5−3に示すように、本例では、クランパ400を構成する側板部420の一部(MDの挿入口として機能する前側板部421)を、MDの上部をカバー(保持)するために残すようにし、後側に位置する垂直板部は途中で取り除く構成とし、さらに、前側板部421に対応する駆動部材600の平板部610には、この前側板部421との干渉を防ぐための切り欠き部611(図6−1)を形成することにより、クランパ400と駆動部材600との間隔(マージン)を多く確保することができる構成とし、これによって、ディスク記録・再生装置100全体の厚みを抑制することができるようにしている。
【0085】
つまり、側板部420の前側は、前側板部421のみを残し、この前側板部421を切り欠き部611と係合することにより、また、後半側は取り除くことにより厚みの抑制を図っている。
【0086】
ここで、本例では、クランパ400を構成する側板部420の前側部分(MDの挿入口側)を前側板部421として残し、後側部分(上半部)を取り除いた構成としているが、逆にこの後側部分を残す構成としてもよく、また、中間部分だけ残してもよい。この場合は、この後側板部に対応する駆動部材600の平板部610に干渉を防止するための切り欠き部を形成すればよく、要するにMDを保持する最低限の部分だけクランパ400の側板部を残して、対応する位置の駆動部材600の平板部に切り欠き部を設けることで厚みに抑制を図ることができる。
【0087】
また、クランパ400はMDの上面部を抑えるようにしているが、MDに形成された案内溝110(図5−4)を、クランパ400の側板部420で抑えるようにしてもよい。例えば、MDの挿入口としての前側板部421によりMDの前側上面部を抑えるようにし、後側板部422によりMDの案内溝110を抑えることとしてもよい。さらに、側板部420を構成する後側板部422の高さ寸法を、MDに形成された案内溝110の位置と一致するように設定し、これにより後側板部422をMDに形成された案内溝110と係合自在とすることにより、MDの挿入時に、防塵シャッタ113を開閉する機能を兼用するように構成してもよい。
【0088】
具体的に説明すると、図5−3に示すように、クランパ400を構成する側板部420は、それぞれ内側に向けて90°屈曲した前側板部421と、側板部420を前側板部より低い位置で90°内側に向けて屈曲することにより形成された後側板部422とにより構成されるとともに、後側板部422の高さ寸法は、MDに形成された案内溝110の位置と一致するように設定されており、後側板部422によりMDの後側を抑えるとともに、防塵シャッタ113を開閉する機能(正確には係止部117を解除する機能)を兼用する構成としてもよい。
【0089】
すなわち、これによって、従来のクランパのように、別途、解除用の側板片419(図24)を設ける必要はなく、これにより構造が簡単となり、また、この後側板部422の高さ寸法は、前側側板部と比べほぼ半分程度の高さとなるため、前述したと同様、クランパ400と駆動部材600との間隔(マージン)を多く確保することができる。また、MDを前後両側から支持することができる。
【0090】
以上説明したように、クランパ400を構成する側板部420は、MDの挿入口として機能する前側板部421と、この前側板部421の高さ寸法のほぼ半分程度に設定されている後側板部422とから構成されるとともに、前側板部421は、駆動部材600の上板部610に形成された切り欠き部611に係合するように構成され、また、後側板部422の高さ寸法は、MDに形成された案内溝110の位置と一致するように設定されているので、ディスク記録・再生装置100全体の厚さを抑えることができ、さらに、後側板部422により防塵シャッタ113の開閉をおこなうことができる。この結果、クランパ400に、従来のような防塵シャッタ113を開閉するため側板片419を別途設ける必要がなくなる。
【0091】
(駆動部材600の構成)
次に、図6−1および図6−2を参照して、駆動部材600の構成について説明する。ここで、図6−1は、駆動部材600の全体構成を示す平面図、図6−2は、駆動部材600の側面図を示している。すなわち、同図に示すように、駆動部材600は、平板部610と一対の側板部620とから成る断面コ字型に形成され、その側板部620には、側板部620の上側に位置する第1の溝部630と、下側に位置する第2の溝部640とが形成されている。第1の溝部630は、斜行溝635と円孔溝636とから成り、この第1の溝部630はクランパ400(図5−2)に固設された一対の軸部430を嵌入した状態で所定の位置に案内する機能を備えている。
【0092】
また、第2の溝部640は、平行溝645と円孔溝646とからなり、この第2の溝部640はドライブシャーシ300(図4−2)に固設された一対の軸部340を嵌入した状態で所定の位置に案内する機能を備えている。
【0093】
ここで、この駆動部材600は、クランパ400を前後に移動するとともに、このクランパ400を記録・再生部800の位置まで降下させる機能を備えており、この駆動部材600の前後移動により挿排ホルダ500の把持アーム520により把持されたMDは、ディスク記録・再生装置100の記録・再生部800まで移送する機能を備えている。
【0094】
ここで、この駆動部材600の前後移動は、移送駆動機構700による駆動力が、複数の伝達ギヤ720〜伝達ギヤ740からラックレバー680により伝達されておこなう構成としている。すなわち、図7−1に示すように、駆動部材600の片側位置(図7−1の右側)には、平板状のラックレバー680と引っ張りばね690とが取り付けられている。具体的に説明すると、ラックレバー680は、駆動部材600の側板部620の内側に配設されており、このラックレバー680のほぼ中央部には、長通孔681が形成され、この長通孔681には、駆動部材600の側板部620(内側)に突設された一対の軸部682、683がそれぞれ係合している。
【0095】
また、ラックレバー680の一端部(図7−1の左側)に形成された鉤部684に引っ張りばね690の一端部(図7−1の左側)が、この引っ張りばね690の他端部(図7−1の右側)は、駆動部材600の側板部620に突設された鉤部622にそれぞれ取り付けられている。また、このラックレバー680の片側(図1の内側)には、ラック歯686(図1)が形成され、このラック歯686と移送駆動機構700を構成する伝達ギヤ740とが噛合自在となっている。
【0096】
従って、後述するように移送駆動機構700が駆動され、この駆動モータ705の駆動力(回転駆動力)は、移送駆動機構700の駆動軸に固定されウォームギヤ710、伝達ギヤ720、伝達ギヤ730、伝達ギヤ740を介して、この伝達ギヤ740の回転がラックレバー680に伝達され、この伝達によりラックレバー680が前後(図7−1の左右方向)に移動することができる。この結果、このラックレバー680の移動に伴って、駆動部材600が前後方向に移動(図7−1の左右方向)することとなる。
【0097】
なお、本例では、移送駆動機構700を構成する駆動モータ705は、MDの挿入動作時には正回転し伝達ギヤ740を反時計方向に回転させラックレバー680を後方に向けて移動させ、MDの排出動作時には逆回し、伝達ギヤ740を時計方向に回転させラックレバー680を後方に向けて移動させる機能を備えることとする。
【0098】
(MD挿入時の駆動部材600およびクランパ400の動作説明)
以下、図7−1〜図7−4と、図8−1〜図8−4と、図9−1〜図9−5と、図10−1および図10−5と、図11−1および図11−2とを参照して、MDをディスク記録・再生装置100に挿入した時の駆動部材600およびクランパ400の動作を詳細に説明する。ここで、図7−1は、利用者がMDをディスク記録・再生装置100に挿入する前の状態を、図7−2および図7−3は、MDの挿入途中時の状態を、図7−4は、MDの挿入完了時の状態をそれぞれ示す図である。
【0099】
また、図8−1〜図8−4は、図7−1〜図7−4に対応する要部の拡大図を、図9−1〜図9−5は、挿入検知スイッチ601および挿入完了検知スイッチ602の配設位置および動作/不動作状態(駆動部材600の凸部621との位置関係)を説明する図である。また、図10−1および図10−2は、MDの排出動作をそれぞれ説明する図である。また、図11−1は、MDを挿入した時の、図11−2は、MDを排出した時の挿入検知スイッチ601および挿入完了検知スイッチ602によるタイミングチャートを示している。
【0100】
(MDを挿入する前の状態)
図7−1に示すように、MDを挿入する以前、駆動部材600は、デッキシャーシ200の前端部の位置(図7−1の左側)に停止しており(停止位置)、この時、クランパ400の側板部420に固設された4箇所の軸部430(ただし、図7−1では、手前側の2箇所のみ記載)は、第1の溝部630の斜行溝635の上部位置(垂直部)にそれぞれ嵌入されている。
【0101】
また、ドライブシャーシ300の側板部320に固設された4箇所の軸部340(ただし、図7−1では、手前側の2箇所のみ記載)は、第2の溝部640の平行溝645にそれぞれ嵌入されている。なお、この時、駆動部材600は停止しているため挿入検知スイッチ601および挿入完了検知スイッチ602は、ともに不動作となっている(図9−1)。
【0102】
(MDの挿入時の動作:クランパ400の平行移動)
ここで、図7−2に示すように、利用者によりクランパ400内に挿入されたMDは、クランパ400の内部に設けられた挿排ホルダ500(図1)の把持アーム520に把持されるとともに、この時、挿排ホルダ500は、MDに押されて後方(図7−2、図8−2の右側)に向けて移動を開始する。これにより、移動制御部材900(図1)に連結されたクランパ400も後方に向けて移動を開始する。
【0103】
具体的に説明すると、挿排ホルダ500が後方に向けて移動すると、これにともない、移動制御部材900のレバー部材910、910は枢軸465を中心として、クランパ400を後方に向けて、引き込むため、これによりクランパ400も後退することとなる。そして、このクランパ400の後退移動により、クランパ400の軸部430が斜行溝635の後側(図8−2の右側垂直部)に当接(衝合)するため、この当接にともなって、駆動部材600は引っ張りばね690を後方に伸長させつつ、クランパ400と同様に、後方に向けて移動を開始する(図7−2)。ここで、駆動部材600の軸部682、683は、ラックレバー680に形成された長円孔681内を摺動しながら後方へ移動する(図7−2)。
【0104】
また、この時、図9−2および図11−1に示すように、駆動部材600の後退移動にともない挿入検知スイッチ601が駆動部材600の凸部621に押されて動作するため、これにより、移送駆動機構700が動作し、この移送駆動機構700による駆動力は、ウォームギヤ710から複数の伝達ギヤ720、730、740(図1)を介して、ラックレバー680に伝達される。そして、以降は、利用者が手を離しても移送駆動機構700による動作によってMDの挿入動作がおこなわれる。
【0105】
すなわち、伝達ギヤ740の回転駆動力(反時計方向回転)がラックレバー680に伝達されるため、このラックレバー680は後方に向けて移動を開始し、これにより、長円孔681の前端部(図8−2の左側)が軸部682に当接するとともに、この軸部682を後方に向けて押すため、これにより、駆動部材600は後方に向けて移動する。
【0106】
そして、この時、駆動部材600の後退移動にともない、クランパ400の軸部430は、駆動部材600の斜行溝635の前側(図8−2の左側垂直部)が当接し、この斜行溝635により後方に向けて押し込まれる。このため、クランパ400は、ドライブシャーシ300の側板部320の上辺部301をすべりながら、さらに後方へと移動を開始する(図8−2)。
【0107】
このとき、移動制御部材900の作用で挿排ホルダ500がクランパ400の内部に引き込まれるため、それに伴ってMDもクランパ400の内部に引き込まれる。さらに、このときクランパ400動きは移動制御部材900の作用で増幅されて(梃子の原理)、挿排ホルダ500に伝達されているため、クランパ400の少ない動きでMDを内部に引き込むことができる。なお、この時、駆動部材600の凸部621は挿入検知スイッチ601と挿入完了検知スイッチ602との間に位置する(図9−3)。
【0108】
(MDの挿入時の動作:クランパ400の垂直移動)
以下、図7−3に示すように、さらに駆動部材600が後方に移動し、クランパ400の軸部430の移動位置が切り欠き部325に到達すると(図8−3)、この軸部430は、側板部320の上部301から、この切り欠き部325に落ち込むとともに、斜行溝635の斜行部に沿って降下を開始する(このときMDは、その中心がドライブシャーシ300内に搭載されたターンテーブル811の中心に一致する位置までクランパ400内部に引き込まれている)。すなわち、これによりクランパ400の位置は、垂直方向(図8−3の下方)に向かって降下する。
【0109】
(MDの挿入完了動作)
以下、図7−4に示すように、さらに駆動部材600が後方に向けて移動すると、クランパ400の軸部430およびドライブシャーシ300の軸部340とはそれぞれ第1、2溝部630、640の円孔溝636、646のほぼ中心部に到達する。そして、この時、クランパ400の軸部430は、ドライブシャーシ300の切り欠き部325の底部に到達するため、クランパ400はドライブシャーシ300に当接する。
【0110】
また、ほぼ同時に、図9−5に示すように、駆動部材600のの凸部621が、挿入完了検知スイッチ602を押すため移送駆動機構700による駆動が停止する。これによって、ラックレバー680、駆動部材600の移動動作が終了し、MDの挿入が完了することとなる。すなわち、以上の図7−1〜図7−4による動作により、利用者により挿入されたMDは、ターンテーブル811(図3)上に載置され記録・再生が可能になる。
【0111】
なお、前述したように、クランパ400の軸部430およびドライブシャーシ300の軸部340は、第1、2溝部630、640の円孔溝636、646のほぼ中心部に位置するため、これら軸部340、430と駆動部材600とは接触しておらず、ドライブシャーシ300とクランパ400とが一体となった状態で、デッキシャーシ200に取り付けた4箇所の支持スプリング370と、3箇所のダンパ部材364のみでフローティング状態で支持されている(図3)。
【0112】
このため、デッキシャーシ200が何らかの要因により振動した場合でも、この振動がMDやドライブシャーシ300に伝達することはなく、良好な記録・再生を実現することができる。
【0113】
(MDの排出動作)
次に、図10−1および図10−2を参照して、MDの排出動作の詳細について説明する。ここで、図10−1は、MDの挿入完了時の状態を、図10−2は、MDの排出途中の状態を示している。
【0114】
すなわち、利用者によるMDの排出指示(例えば、イジェクトボタンの押下)がある場合、移送駆動機構700は、MDを排出すべく駆動モータ705を逆回転させるため、これにより、この移送駆動機構700による逆回転の駆動力が伝達ギヤ740を介して、ラックレバー680に伝達される。これにより、ラックレバー680は、停止状態(図10−1)からMDの排出方向(図10−2の左側)に向けて移動を開始する。
【0115】
具体的には、移送駆動機構700による逆回転の駆動力が伝達ギヤ740に伝達されると、この伝達ギヤ740は、図1の時計方向に回転するため、この伝達ギヤ740とラック歯686により噛合しているラックレバー680は、前方(図10−1の左側)に向けて移動を開始することになる。
【0116】
ここで、前述したように、駆動部材600とラックレバー680とは、長円孔681と軸部682、683との係合および引っ張りばね690を介して、連結されているため、ラックレバー680が排出方向(図10−2の左側)に向けて移動を開始すると、駆動部材600は引っ張りばね690を介して、ラックレバー680の移動方向に向けて引っ張られることとなる。すなわち、図10−2に示すように、駆動部材600もMDの排出方向(図10−2の左側)へと移動を開始する。
【0117】
次いで、駆動部材600の前側への移動にともないクランパ400の軸部430は、切り欠き部325の底部から離脱するとともに(図8−4)、斜行溝365の斜行部により上方へと案内されるため、クランパ400は上方へと移動を開始するとともに、さらに切り欠き部325から離脱した軸部430は、ドライブシャーシ300の上部301に沿って、すべりながら前側(図10−2の左側)に向かって移動する。
【0118】
この際、このクランパ400と連結された移動制御部材900の作用により挿排ホルダ500は前方に向けて押し出される。この一連の動作により、デッキシャーシ200のターンテーブル811に載置されたMDはデッキシャーシ200から離間され、さらにクランパ400から押し出されてイジェクトが完了する。さらに、このときクランパ400前後の動きは移動制御部材900の作用で増幅されて挿排ホルダ500に伝達されているため、クランパ400の少ない動きでMDの排出ストロークを大きく取ることができる。
【0119】
次いで、移送駆動機構700の駆動が停止することによりラックレバー680の移動が停止すると、駆動部材600の移動も停止し、これにより、MDの排出完了となる。ここで、図9−5に示すように、MDが排出した際、挿入検知スイッチ601と駆動部材600の凸部621とは所定距離(距離L)だけ離隔した位置となるように設定されている。これは、利用者によるMDの利用時、このMDを押し込もうとした時に、凸部621が挿入検知スイッチ601を押すために、少し後退する距離として設定されている。
【0120】
すなわち、図11−2に示すように、MDの挿入完了の状態から、利用者によるMDの排出指示(イジェクトボタンのON操作)がおこなわれた場合、駆動部材600は、排出方向(図10−2の左側)へと移動を開始するため、挿入完了検知スイッチ602は不動作となり、次いで、所定時間(t)経過した後、挿入検知スイッチ601が一旦、動作となり、さらに凸部621と挿入検知スイッチ601とが離隔し、所定時間(Δt)経過した後に、MDの排出完了と判断している。
【0121】
すなわち、この所定時間(Δt)を設定することにより、利用者によるMDの押し込み時に、この押し込みに伴って駆動部材600が挿入検知スイッチ601を動作させるまでに、駆動部材600が後退する移動する距離L(図9−5)を確保している。
【0122】
以上説明したように、実施例1に係るディスク記録・再生装置100によれば、移動制御部材900を備えるので、MDの挿排動作を確実におこなうことができるうえ、従来、備えていた挿排ホルダの移動をおこなう挿排レバーやこの挿排レバーの駆動をおこなうラックレバーなどの駆動伝達機構を不要とすることにより、ディスク記録・再生装置100の小型化を図ることができる。
【0123】
また、この移動制御部材900により、クランパ400の前後移動に伴って、挿排ホルダ500による移動ストロークを増幅させることができるので、ディスク記録・再生装置100自体の大きさ(幅寸法)を抑制しながら、MDを排出した際の動程を大きくすることができる。また、MDの取り出し時に、このMDを取り出す際の充分な排出量を確保することができるうえ、利用者がMDを挿入する際の操作性を向上することができる。
【実施例2】
【0124】
(クランパ400の変形防止機構)
次に、図12−1〜図12−4および図13−1〜図13−2を参照して、本実施例2に係るディスク記録・再生装置100におけるクランパ400の変形防止機構を説明する。ここで、図12−1は、従来のクランパ400の形状を示す要部拡大図、図12−2〜図12−4および図13−1〜図13−2は、本実施例2によるクランパ400に対する変形防止機構を示す要部拡大断面図である。なお、図13−1は、変形防止機構を示す要部の斜視図を、図13−2は、図13−1の縦断面図をそれぞれ示している。
【0125】
すなわち、図12−1に示すように、従来のディスク記録・再生装置100aに備えているクランパ400は、クランパ400を構成する平板部410の側板部420のうちの平板部410の前端部411とデッキシャーシ200の前板部211とは僅かに隙間を空けた状態で組み付けられている。これは、従来はクランパ400が上下動しかしないため、この上下動に伴ってデッキシャーシ200とクランパ400とが干渉しないようにするため、デッキシャーシ200とクランパ400の間に隙間を設ける必要があるためである。
【0126】
このため、従来では、利用者によるMDの無理な押し込みなどによりクランパ400の先端部(前端部411)などに変形が生じるという不具合があった。このため、従来のディスク記録・再生装置100aに使用されるクランパ400は、多少の無理なMDの押し込みなどがあっても、クランパ400に変形が生じないように、このクランパ400を構成する材料として、コストが嵩むバネ特性を備えたSUS(ステンレス鋼:Stainless used Steel)などを使用する必要があった。
【0127】
そこで、本実施例2では、上述した問題点を解決すべく、クランパ400が上下だけでなく前後にも移動することに着目し、図12−2に示すように、クランパ400を構成する平板部410の前端部411に、前方(図12−2の右側)および下方に向けて延出する延出片412を形成し、クランパ400の移動位置(MDの排出動作時)がMDを排出可能な位置まで移動した際には、このクランパ400の前端部411に形成した延出片412がデッキシャーシ200の前板部211に係合する構成としている。
【0128】
すなわち、クランパ400の位置がMDを排出可能な位置まで移動した際には、このクランパ400の前端部411に形成した延出片412は、デッキシャーシ200の前板部211に係合するため、クランパ400の前端部411は、デッキシャーシ200の前板部211によって支えられることとなる。これによって、クランパ400の前端部411の剛性を向上させることができ、クランパ400に対する変形防止対策を実現することができる。
【0129】
また、図12−3の例では、延出片412の前端部をさらに前方に向けて屈曲させた屈曲部413とし、この屈曲部413をデッキシャーシ200の前板部211に係合させる構成としている。本例においては、図12−2の例よりもさらにクランパ400の前端部411の剛性を向上させることができ、これにより、クランパ400に対するより効果的な変形防止対策を実現することができる。
【0130】
また、図12−4の例では、デッキシャーシ200の前板部211を内側に屈曲させ、この屈曲部の上面とクランパ400の前端部411の下面とを係合させることにより、クランパ400の前端部411を下側から支持するクランパ400に対する変形防止機構としている。本例においても、図12−3の例と同様に、図12−2の例よりもさらにクランパ400の前端部411の剛性を向上させることにより、このクランパ400に対する効果的な変形防止対策を実現することができる。
【0131】
また、図13−1および図13−2に示す例では、デッキシャーシ200の前板部211に、複数の切り欠き部213を形成し、クランパ400を構成する平板部410の前端部411に、前方(図13−1、2の左側)および下方に向けて屈曲した複数の延出片412を形成し、これら延出片412をそれぞれ切り欠き部213に係合させる変形防止機構としている。本例の場合、延出片412と切り欠き部213との係合により、クランパ400に対する上下方向の剛性だけでなく、複数の延出片412と切り欠き部213との係合により横方向の剛性を増大させることができ、さらに効果的なクランパ400に対する変形防止対策を実現することができる。
【0132】
以上説明したように、本実施例2では、MDの未挿入の状態においてクランパ400の前端部411とデッキシャーシ200とが係合するようにし、クランパ400の前端部411をデッキシャーシ200が支持する構成としたので、クランパ400の前端部411に対する剛性や強度を向上させることができ、これによって、ディスク記録・再生装置100の利用者によるMDの無理な押し込みなどによるクランパ400の変形を防止することができるうえ、利用者がMDを挿入する際の操作性を向上することができる。また、クランパ400(前端部411)の剛性が向上することから、MDの挿入を容易におこなうことができ、これにより、MD自体の傷付きや変形などを防止することができる。
【0133】
また、本実施例2の場合、上述したように、クランパ400に対する変形防止対策が施されているので、従来のように、クランパ400を構成する材料として、コストが嵩むSUS(ステンレス鋼:Stainless used Steel)などを使用する必要はなく、このクランパ400の材料として、例えば、安価な電気亜鉛メッキ鋼板などを使用することができ、これにより、コスト削減を実現することができる。
【0134】
なお、以上の実施例では、クランパ400の、前端部をデッキシャーシ200と係合させるようにしたが、デッキシャーシ200でなく他の部材と係合させるようにしてもよい。例えば、本発明のディスク記録・再生装置100が搭載される記録・再生機器の外板(筐体)に係合部を設けてもよいし、デッキシャーシ200か筐体に別途、係合部材を取り付けてもよい。具体的には、筐体に設けられたMDを挿入・排出するための開口部の内側に係合部を設けたり、又は、係合部材を取り付けることが考えられる。
【実施例3】
【0135】
(位置決めピンによるクランパ400に対する変形防止機構)
次に、図14−1および図14−2を参照して、本実施例3に係るディスク記録・再生装置100におけるクランパ400の変形防止機構を説明する。すなわち、図14−1は、従来のクランパ400の形状および位置決めピン315の配設位置を示す拡大説明図、図14−2は、本実施例3によるクランパ400の形状および位置決めピン315の配設位置を示す拡大説明図である。
【0136】
ここで、本実施例3におけるクランパ400に対する変形防止機構は、クランパ400が上下の移動に加え前後に移動することに着目するとともに、ドライブシャーシ300の前側上部位置に立設されている位置決めピン315による支持力を利用することに特徴がある。
【0137】
すなわち、図14−1に示すように、従来のディスク記録・再生装置100aを構成するドライブシャーシ300の上面部には、利用者からクランパ400内に挿入されたMDの位置決めをおこなうための位置決めピン315が立設されている。この位置決めピン315の先端部は、クランパ400の平板部410に形成された通孔414を通過し、さらにMDを保護するカートリッジに形成された位置決め部(図示せず)と係合することにより、MDの挿入時に、このMDの位置決めをおこなうようにしている。通孔414は、位置決めピン315と干渉することを防止するために設けられている。
【0138】
そこで、この実施例3では、この従来からドライブシャーシ300に設けられている位置決めピン315を利用し、この位置決めピン315の先端部によりクランパ400の平板部410(底面部)を下側から支持する構成としている。
【0139】
具体的に説明すると、本発明によるクランパ400は上下の移動に加え前後に移動するため、MDが未挿入の状態(クランパ400の位置がMDを挿入可能な位置に排出した位置にある時)では、クランパ400を構成する平板部410の底面を、位置決めピン315の先端部が当接するとともに、下側から支持するようにしている。ここで、本実施例3では、クランパ400は、前後方向に移動するため、従来のようにクランパ400の平板部410に形成していた通孔414を不要とすることができる。
【0140】
すなわち、本実施例3では、位置決めピン315によりクランパ400の平板部410を下側から支持する構成としているので、利用者によるMDの無理な押し込みなどによるクランパ400の変形を防止することができるとともに、利用者がMDを挿入する際の操作を向上することができる。また、クランパ400(前端部411)の強度が向上することから、MDの挿入を容易におこなうことができ、これにより、MD自体の傷付きや変形などを防止することができる。
【0141】
なお、本実施例3では、クランパ400を支持する部材としてMDの位置きめピンを兼用しているが、この位置決めピンと独立に支持部材を設けることもできる。この場合、位置決めピン自体は必須ではなくなるため、カセットテープなどのように位置きめピンを必要としないメディアに対しても、本発明を適用することができる。
【0142】
以上説明したように、本実施例3に係るディスク記録・再生装置100では、クランパ400が上下の移動(図14−2の上下方向)に加え前後に移動することに着目するとともに、デッキシャーシ200に設けらている既存の位置決めピン315を利用し、この位置決めピン315により、MDの未挿入時には、クランパ400の平板部410を下側から支持する構成としているので、利用者によるMDの無理な押し込みなどによるクランパ400の変形を防止することができる。
【0143】
また、本実施例3では、位置決めピン315によるクランパ400に対する変形防止対策が施されているので、前述した実施例2と同様に、クランパ400を構成する材料として、コストが嵩むSUS(ステンレス鋼:Stainless used Steel)など強度の高い材料を使用することなく、亜鉛メッキ鋼板などの強度は劣るが安価な材料を使用することができるため、コスト削減を実現することができる。
【実施例4】
【0144】
次に、本発明のディスク記録・再生装置100に係る実施例4の詳細を説明する。図15−1は、本実施例4に係るドライブシャーシ300を構成する側板部320の形状を示す側面図である。すなわち、前述したように、本発明のディスク記録・再生装置100において、クランパ400は、ドライブシャーシ300の側板部320に形成された切り欠き部325に落ち込んで上下に動くとともに、ドライブシャーシ300の側板部320の上辺部301に沿って前後に動くことができる構成としている(図8−1〜図8−5)。
【0145】
このため、図15−1に示すように、本実施例4では、ドライブシャーシ300を構成する側板部320に略L字型の溝部329と、クランパ400の軸部430を上下に昇降させるための案内溝として切り欠き部325を形成し、軸部430を溝部329とドライブシャーシ300の上辺部301との間に介在させ、この軸部430を上辺部301に沿って、且つ、クランパ400とドライブシャーシ300との間に連結された引っ張りばね411のばね圧により押圧させながら移動させるとともに、さらに、軸部430が切り欠き部325に到達した際には、この引っ張りばね411のばね圧により切り欠き部325内に嵌入させ、これにより、クランパ400を前後方向(図の左右方向)および上下方向(図の上下方向)に移動できる構成としている。
【実施例5】
【0146】
次に、本発明のディスク記録・再生装置100に係る実施例5の詳細を説明する。図15−2は、本実施例5に係るドライブシャーシ300を構成する側板部320の形状を示す側面図である。また、図15−3は、ドライブシャーシ300およびクランパ400の組み付け状態を示す要部斜視図である。すなわち、前述した図15−1に示した側板部320の構成によると、この側板部320にクランパ400の軸部430を摺動させるための溝部329を形成する必要があるため、クランパ400の高さ位置よりもドライブシャーシ300の高さ位置が高くなってしまい、これにより、ディスク記録・再生装置100の厚さを抑えることができないという問題がある。
【0147】
このため、この問題点を解決すべく、図15−2および図15−3に示す実施例5では、ドライブシャーシ300を構成する側板部320の高さ位置が演奏時のクランパ400を構成する側板部420の上面位置よりも低くなるように構成されている。具体的には、図15−1に示す側板部320の上部側(溝部329を含む)を取り除いた構成としており、さらに、本実施例5では、このようにドライブシャーシ300を構成する側板部320の高さ位置を低くするとともに、クランパ400の前後移動および上下移動を実現するために、従来例および図15−1で示したクランパ400を下降させるための引っ張りばね411の替わりに、押圧ばね部材335を備えている。
【0148】
具体的に説明すると、図15−2に示すように、このドライブシャーシ300を構成する側板部320の上辺部301(切り欠き部325の近傍位置)には、クランパ400を上辺部301に沿って移動させつつ、このクランパ400の軸部430に対して適度な押圧力を付勢する押圧ばね部材335が設けられている。
【0149】
すなわち、押圧ばね部材335によってクランパ400の軸部430は、この押圧ばね部材325と側板部320の上辺部301とで案内されながら、この上辺部301を移動しながら、側板部320に形成された切り欠き部325に到達した時に、この軸部430を切り欠き部325内に押圧により確実に嵌入できるように構成されている。
【0150】
以上説明したように、本実施例5によれば、ドライブシャーシ300を構成する側板部320の高さ位置が演奏時のクランパ400を構成する側板部420の上面位置よりも低くなるように構成されている。また、押圧ばね部材325は、軸部430に押圧力を付勢しながら、この軸部430を側板部320の上辺部301に沿って移動させるとともに、この軸部430を切り欠き部325内に確実に嵌入させる機能を兼用しているため、ドライブシャーシ300を構成する側板部320の高さ寸法が演奏時のクランパ400を構成する側板部420の上面位置よりも低くなるように構成することができる。
【0151】
すなわち、これによって、ドライブシャーシ300と駆動部材600とのクリアランス(間隔)を大きく確保することができ、これによってディスク記録・再生装置100全体の厚さを抑えることができる。
【実施例6】
【0152】
(排出支援機構)
次に、図16−1、図16−2を参照して、ディスク記録・再生装置100の実施例6について説明する。図16−1は、本実施例6におけるMDの排出動作前(演奏時)の駆動部材600の位置を、図16−2は、MDの排出動作完了時の駆動部材600の位置をそれぞれ示す説明図である。以下、図16−1、図16−2を参照して、クランパ400に対する排出支援機構の構成概略および作用について詳細に説明する。ここで、本実施例6の特徴は、駆動部材600の移動に伴うクランパ400に対する排出支援機構を備えていることにある。
【0153】
すなわち、図16−1に示すように、排出支援機構は、駆動部材600を構成する側板部620の所定位置に取り付けられた排出支援レバー780により成り、この排出支援レバー780は、枢軸781が側板部620に取り付けられるとともに、この枢軸781を中心に回動する回動腕部782と、この回動腕部782の基端側から下側に向けて形成された突片783を有する略く字型の板部材により構成されている。
【0154】
上述のように構成される排出支援レバー780において、この排出支援レバー780の先端部780a(図16−1の右端部)は、ラックレバー680の先端部680a(図16−1の左端部)と当接する位置に配置されている。また、突片783は、デッキシャーシ200に形成された切り欠き部212内に入り込むとともに、駆動部材600の移動時に、この切り欠き部212と衝合するように構成されている。
【0155】
具体的に説明すると、排出支援レバー780の先端部とデッキシャーシ200との間には、引っ張りばね785が取り付けられており、この引っ張りばね785により排出支援レバー780は、時計方向(図16−1の下側)に向けての付勢力が作用されている。また、突片783の突き出し量(突出量)は、切り欠き部212に衝合するように設定されており、この突片783は、駆動部材600の移動時にのみ切り欠き部212と衝合する位置に配置されている。なお、本例では排出支援レバー780の先端部とデッキシャーシ200との間に、引っ張りばね785を取り付ける構成としているが、排出支援レバー780を時計方向へ不勢する部材であれば、引っ張りばね785ではなく単にぜんまいばねなどのばね部材としても良い。
【0156】
以下、上述した排出支援機構を構成する排出支援レバー780による動作の詳細を説明する。すなわち、図16−1に示すように、MDの挿入完了時(排出初期状態)では、排出支援レバー780の先端部780a(図16−1の右端部)と、ラックレバー680の先端部680a(図16−1の左端部)とは当接されているため、これにより、両者が互いに固定状態を維持している。
【0157】
次に、図16−2に示すように、イジェクト指示(MDの排出動作)があると、移送駆動機構700(図10)による駆動力がウォームギヤ710、伝達ギヤ720〜740、ラック歯686を介して、ラックレバー680に伝達され、この駆動力によりラックレバー680は、前側(図16−2の左方向)に向けて移動を開始するため、このラックレバー690により排出支援レバー780を前方向(図16−2の左側方向)に向けて押圧が開始される。これによって、このラックレバー680と一体となって排出支援レバー780も前側に向けて移動を開始する。これにともなって、排出支援レバー780が連結された駆動部材600も前側に向けて移動を開始する。
【0158】
そして、同図に示すように、排出支援レバー780の移動により、この排出支援レバー780の突片783が、切り欠き部212に衝合すると、支援レバー780の回動腕部782は枢軸781を支点として、引っ張りばね785のばね力に抗して反時計方向に回動し、これにより、互いに当接していた排出支援レバー780とラックレバー680との当接が外れる(固定が解除される)。
【0159】
つまり、ラックレバー680による排出方向への駆動力は、この排出支援レバー780の突片783が、切り欠き部212に衝合するまでは(排出初期)、排出支援レバー780によって駆動部材600に直接伝達される。そして、この排出支援レバー780の突片783が、切り欠き部212に衝合した後では(排出後期)、駆動部材600に対する移動力は、ラックレバー680の引っ張りばね690によるばね力を介して伝達されることとなる。
【0160】
以上説明した、排出支援機構の場合、排出時に過大な負荷がかかった際にも、クランパ400を確実に排出することができる。すなわち、ドライブシャーシ300の切り欠き部325(図8−1)内に嵌入されたクランパ400の軸部430を、この切り欠き部325から離脱させるために、比較的大きな力(駆動力)を必要とするが、ラックレバー680による排出方向への駆動力は、排出支援レバー780の突片783が、切り欠き部212に衝合するまでは(排出初期)、排出支援レバー780によって駆動部材600に直接伝達されるため、この排出支援レバー780による伝達駆動力によりクランパ400を確実に排出することができる。
【0161】
なお、排出支援レバー780の突片783が、切り欠き部212に衝合するタイミングは、例えばドライブシャーシ300の切り欠き部325内に嵌入されたクランパ400の軸部430が、この切り欠き部325から離脱するタイミングとほぼ一致するように、排出支援レバー780の突片783と、切り欠き部212の位置関係を設定しておけばよい。
【0162】
すなわち、排出支援レバー780による固定機能(排出支援レバー780とラックレバー680との当接)は、排出完了時には解除されているため、例えば、利用者がMDを挿入する際、駆動部材600の移動は、引っ張りばね690の弾力を利用しておこなわれるため、これによって、利用者がMDを挿入する際の使用感および操作性を良好とすることができる。
【0163】
ここで、例えば、MDが排出されかかった時に、このMDを利用者が無理に挿入しようとした場合でも、この時、排出支援レバー780とラックレバー680との当接状態(固定状態)は解除され離隔しているため(図16−2)、MDの挿入に伴う押圧力は、排出支援レバー780とラックレバー680とを介して、移送駆動機構700に伝達されることは無く、引っ張りばね690によって吸収することができる。
【0164】
これにより、移送駆動機構700を構成する駆動モータ705などに大きな負荷(無理な力)がかかることはなく、移送駆動機構700の破損などを回避することができる。この場合、遅くともMDが再生装置外に排出され始める時点までに排出支援レバー780による固定機能が解除されているように、排出支援レバー780の突片783と、切り欠き部212の位置関係を設定しておけばよい。
【0165】
なお、前述した図16−2に示すように、駆動部材600による排出完了時(排出後期)、排出支援レバー780とラックレバー680との当接が外れるため、固定状態は解除されることとなる。一方、利用者によりMDが挿入され駆動部材600が右方向(図16−2の右側)に移動した際には、この移動にともなって、排出支援レバー780の突片783と切り欠き部212の衝合が外れ、これにともない排出支援レバー780は引っ張りばね690によるばね力により時計方向に回動し、前記図16−1に示した固定状態に復帰することとなる。
【実施例7】
【0166】
(ロック部材660によるドライブシャーシ300に対する移動ロック機構)
次に、本発明に係る実施例7について詳細に説明する。ここで、本実施例7では、ドライブシャーシ300が排出状態の位置にある時に(MDの排出完了時)、このドライブシャーシ300の前後移動を規制する移動ロック機構(ロック部材660)を備えていることに特徴がある。以下、図17−1および図17−2を参照して、本実施例1の特徴であるドライブシャーシ300の前後移動に対する移動ロック機構の詳細について説明する。
【0167】
ここで、図17−1は、MDの排出完了時の状態(移動ロック機構の動作時)、図17−2は、MDの挿入完了時の状態(移動ロック機構の解除時)をそれぞれ示す図である。なお、後述するように、利用者によるMDの挿入時には、駆動部材600の移動に伴って、ロック部材660によるロック機構は解除される。
【0168】
すなわち、ディスク記録・再生装置100は、製造工場からの搬送中の落下事故などに起因する衝撃(駆動部材600の急激な前後移動)により、ディスク記録・再生装置100の内部に設けたドライブシャーシ300が破損する恐れがある。具体的に説明すると、ディスク記録・再生装置100内に配置されているドライブシャーシ300の側板部320に設けられた軸部340は平行溝645により支持されているため、MDの排出完了時に何らかの衝撃により前後方向(図17−1の左右方向)に動く可能性がある。
【0169】
このため、本実施例7では、駆動部材600を構成する側板部620の所定位置には、ドライブシャーシ300が排出状態位置(図17−1)にある時に、このドライブシャーシ300の前後移動を規制する移動ロック機構(ロック部材660)を備えている。
【0170】
図17−1に示すように、駆動部材600を構成する側板部620の所定位置には、上下一対の平行溝651、651を斜行溝652とで連続する摺動溝650が形成され、この摺動溝650に、移動ロック機構を構成するロック部材660が取り付けられている。具体的に説明すると、ロック部材660の上端部には、内側に向けて摺動軸653が突設され、この摺動軸653が摺動溝650の上側に位置する平行溝651内に嵌入されている。
【0171】
後述するように、MDの排出完了時、このロック部材660の摺動軸650は、平行溝651の端縁部(図の右端縁)に押し付けられた状態で当接している。また、ロック部材660の下側位置には、デッキシャーシ200から突設された枢軸341を挿通する通孔655が形成され、この通孔655内に枢軸341が挿通されている。
【0172】
また、このロック部材660の一端側(図の左側)には、下側に向けて形成された突部654が設けられ、この突部654の下端縁は、デッキシャーシ200の上面部200a)に対して真上から当接しており、これによって、ロック部材60は直立した状態で取り付けられている。このためロック部材660は、枢軸341を中心として片側(図の時計方向)に向けてのみ偏奇する構成となっている。
【0173】
また、ロック部材660には、突部654の端縁部から下側(図17−1の下方)に向けて開口する切り欠き部654が形成されており、この切り欠き部654には、ドライブシャーシ300の軸部340が係合している。さらに、この切り欠き部654の上部位置には係合部659が形成され、この係合部659にも軸部340が係合する構成となっている。後述するように、この係合部655と軸部340とは、ドライブシャーシ300が図中のB方向に移動した場合に係合するようになっている。
【0174】
(ロック部材660によるロック動作)
以下、移動ロック機構を構成するロック部材660によるロック動作を説明する。すなわち、図17−1に示すように、MDの排出完了時、駆動部材600は排出方向(図の左側)に移動しているため、ロック部材660の摺動軸653は、駆動部材600に形成された平行溝651の端縁部(図の右端部)に押し付けられた状態で当接している。また、突部654の下端部とデッキシャーシ200の上面部200aとが当接され、さらに、このロック部材660の切り欠き部654は、ドライブシャーシ300の軸部340と係合しているため、ドライブシャーシ300は、このロック部材660によりA方向への移動が阻止された構成となっている。
【0175】
これによって、ディスク記録・再生装置100に対して、図中A方向への落下などが加わっ場合でも、ドライブシャーシ300の急激な移動を阻止し、この結果、ドライブシャーシ300が破損することを防止することができる。
【0176】
(ロック部材660によるロック解除)
一方、図17−2に示すように、利用者によってMDが挿入された場合、駆動部材600は、後方(図の右方向)に移動するため、これにより、この駆動部材600の移動にともないロック部材660は枢軸341を中心として、時計方向に偏奇するためロック部材660の切り欠き部654とドライブシャーシ300の軸部340との係合が解除され、さらに、ロック部材660の下面部660aとデッキシャーシ200の上面部200aとが離隔するため、このロック部材660によるロックは解除される。すなわち、利用者によるMDの挿入時(セット時)には、駆動部材600の移動に伴って、ロック部材660によるロック機構は容易に解除されることとなる。
【0177】
ここで、上述した移動ロック機構では、落下方向が、図中のA方向の場合に機能するロック部材660による移動ロック機構を説明したが、例えば、落下方向がA方向ではなくB方向に作用した際には、駆動部材600もB方向に移動してしまうため、この駆動部材600に形成された平行溝651の端縁部(図の右端部)とロック部材660の摺動軸653との当接が離隔することとなり、ロック部材660の上部側の支えがなくなり、ロック部材660の切り欠き部654とドライブシャーシ300の軸部340との係合が外れてしまうことから、この結果、ロック機構が機能しないという問題が生じる恐れがある。このため、本実施例5では、前述したように、ロック部材660の切り欠き部654の上端部に係合部655を設けることにより、ロック部材660自体でロック機構を機能させる構成としている。
【0178】
具体的に説明すると、落下方向がB方向である場合、この方向に向けて駆動部材600が移動するため、摺動軸653と平行溝651の端縁部(図の右端部)との当接が外れ、ドライブシャーシ300もB方向に移動しようとするが、この時、ロック部材660の切り欠き部654の上端部に形成された係合部655にドライブシャーシ300の軸部342が係合するため、ドライブシャーシ300自身の移動しようとする力によってロック部材660の回転が阻止され、これによって、ドライブシャーシ300の移動をロック部材660によりロックすることができる。
【0179】
なお、図17−1および図17−2ではロック部材は一つしか描かれていないが、駆動部材600の反対側の側面にも同様の機構を設けることもできる。この場合、両側でドライブシャーシ300をロックすることになるので、より確実にドライブシャーシ300を落下等の衝撃から保護することができる。
【実施例8】
【0180】
(ドライブシャーシ300の高さ位置調整機構)
次に、本発明に係る実施例8の詳細について説明する。ここで、本実施例8で示す駆動部材600は、ドライブシャーシ300に対する高さ位置調整機構を備えることにより、ディスク記録・再生装置100全体の厚さを抑えるように構成したことに特徴がある。以下、図18を参照して、本実施例8の特徴部分であるドライブシャーシ300の高さ位置調整機構について説明する。ここで、図18は、従来と本実施例8によるクランパ400とドライブシャーシ300との位置関係を示す概略図である。
【0181】
すなわち、図23−3に示すように、従来では、ディスク記録・再生装置100aの内部に設けられたドライブシャーシ300は、クランパ400の排出時(MD未挿入時)およびMDの再生時においても、その高さ位置はほぼ一定となっている。
【0182】
つまり、昇降レバー600aに形成した第2の溝部640aを構成する円孔溝643の中心線P1´と平行溝641の中心線P2´とは、一致するように、これら円孔溝643と平行溝641との形成位置が設定されており、これにより、ドライブシャーシ300の高さは変化しない機構となっている。このため、MDの排出時には、クランパ400のみが所定量(距離h)上昇する機構となっている。
【0183】
このため、従来では、MDの再生時にドライブシャーシ300の上面に当接した状態のクランパ400は、このMDの排出時に所定量(h)上昇した際に、昇降レバー600の下面との間で、ある程度の間隔を空ける必要がある。実際には、クランパ400の上面と昇降レバー600の下面との間には、間隔mのマージンが設けられている。
【0184】
このため、従来のディスク記録・再生装置100aの高さH´は、高さ位置が固定であるドライブシャーシ300と、クランパ40の上昇量hと、マージン(m)を考慮した厚さとしなければならないため、ディスク記録・再生装置100a全体の厚さ寸法を抑えることができなかった。
【0185】
そこで、本実施例7では、高さ位置調整機構によりMDの排出時には、ドライブシャーシ300の高さ位置を下降させ、このMDの演奏時には、このドライブシャーシ300の高さ位置を上昇させる構成としている。これにより、MDの排出時、ドライブシャーシ300はダンパ部材364(図7−1)を上方から抑え付けた状態で待機しているため、このダンパ部材364を抑え付けた高さ(潰した高さ)だけ、トータルとしての厚さを小さくすることができる。
【0186】
すなわち、MDによる演奏時には、ダンパ部材364によるダンピング(フローティング)が必要なためダンパ部材364によるダンピングを機能させるようにしており、一方、MDの排出時にはダンパ部材364をドライブシャーシ300により抑え付けることによりこのダンパ部材364を抑え付けた高さ(潰した高さ)だけ、トータルとしての厚さを小さくすることができる。
【0187】
そして、フローティング機構が機能しなくてもよい排出時にのみドライブシャーシ300の位置を下降させ、演奏時には、ドライブシャーシ300の位置を所定量(h)上昇させる構成とすることにより、クランパ400の上面と駆動部材600の下面とのマージン(m)と、デッキシャーシ200の上面とドライブシャーシ300の下面とのマージン(m)とをほぼ等しくすることができるため、ディスク記録・再生装置100全体の厚さを抑え小さくすることができる。
【0188】
ここで、本実施例8による高さ位置調整機構は、駆動部材600の側板部620に形成した第2の溝部640を構成する円孔溝646の中心線P1と平行溝645の中心線P2とを僅かにずらして、不一致とすることにより(図6−2)、駆動部材600の移動によりドライブシャーシ300の軸部340が平行溝645内に嵌入した時(排出時)と、この軸部340が円形溝646内に移動した時(演奏時)とで、その高さを変化させている。
【0189】
すなわち、上述したように、演奏時には、ドライブシャーシ300の高さ位置を上昇させ、排出時には、ドライブシャーシ300の位置を下降させることにより、ディスク記録・再生装置100全体の厚さ寸法を小さくすることができる。
【0190】
なお、本実施例8では、駆動部材600の側面620に形成される円孔溝646の中心部と平行溝645の中心部とを不一致とすることで、ドライブシャーシ300の高さ位置を調整しているが、このような中心位置を不一致とする構成に限らず、ドライブシャーシ300がMDの排出動作時に下降できる構成であれば、他のいずれの構成を用いてもよい。
【実施例9】
【0191】
次に、本発明に係る実施例9の詳細について説明する。図19は、従来と本実施例9によるMD排出動作完了時(イジェクト完了時)のクランパ400の位置をそれぞれ示す図である。
【0192】
ここで、本実施例9は、本発明のディスク記録・再生装置の特徴である移動制御部材900によるクランパ400の前後移動を利用することにより、MDのシャッタ開閉用の係止ばね118の位置が、このMDの排出動作完了時にも防塵シャッタ113の係合孔116に係合する位置となるように構成し、これにより、MDのシャッタを閉じる動作を、移送駆動機構700の駆動力を用いずに、実質的に利用者がMDを再生装置から取り出す際の操作力によって行うようにしたものである。
【0193】
すなわち、図19に示すように、前述した従来例として示したMDの挿排機構の場合、このMDの排出は、挿排ホルダ500の移動および係止ばね118の作用により防塵シャッタ113を閉めた後、さらに前方(図19の下側)に向けてMDを押し出して、排出を完了する構成としている。従って、この場合、防塵シャッタ113の係合孔116と係合している係止ばね118との係合を、移送駆動機構700の駆動力により解除する構成としている。つまり、従来の挿排機構では、クランパ400の移動は上下方向のみであったため、イジェクト時にMDの突出量を確保するためには、係止ばね118を乗り越えてさらに前方までMDを排出しなければならず、係止ばね118を乗り越える駆動力は移送駆動機構700aに頼る必要があった。
【0194】
このため、従来では、係止ばね118が変形していたり、防塵シャッタ113の側面部に形成されている係合孔116にバリなどがあると、移送駆動機構700に余分な負荷がかかるという問題があった。また、係止ばね118のばね圧が弱すぎると、防塵シャッタ113が閉まらない状態でMDが排出されてしまう可能性があり、一方、係止ばね118のばね圧が大き過ぎると、この係止ばね118を乗り越えるための大きな駆動力が必要となる。
【0195】
そこで、本実施例9では、上述した問題点を解決すべく、クランパ400が前後方向にも移動することを利用して、従来のように挿排ホルダ500の移動させることにより、防塵シャッタ113の係合孔116と係止ばね118との係合を解除し、MDの突出量を確保するのではなく、利用者に直接、係合孔116と係止ばね118との係合を解除させMD110の取り出しを行うようにしている。すなわち、図19に示すように、イジェクト完了時(MD110の排出完了時)、防塵シャッタ113の係合孔116と、係止ばね118とが係合する位置となるように構成している。
【0196】
つまり、同図に示すように、MDの係合孔116に係止ばね118が係合している状態がMDの排出完了状態となっている(係合孔116が係止ばね118を乗り越えない位置)ため、係止ばね118を乗り越えるための力は実質的に利用者が手でMDを取り出すときの操作力に依存することになり、これによって、移送駆動機構700に余分な負荷を掛けることがなく、さらに、前述したように、例えば、係止ばね118が変形していたり、係合孔116にバリなどがある場合でも、人手により容易にMDの取り出しをおこなうことができる。
【0197】
この結果、両者の係合状態の負荷(変形やバリ)にバラツキがあっても、人手により容易にMDの取り出しをおこなうことができる。本実施例9では、同図に示すように、クランパ400が前後方向にも移動するため、上記の効果を奏しつつ挿入口から突出されるMDの突出量tを、従来と同様に確保することができる。
【0198】
以上説明したように、本実施例9に係る発明によれば、防塵シャッタ113の開閉をおこなう係止ばね118の配設位置は、MDの排出動作完了時に係合孔116と係止ばね118とが係合する位置となるように構成しているので、この係止ばね118を駆動力により乗り越える(係合孔116と係止ばね118との係合解除)ための比較的大きな駆動力が不要となり移送駆動機構700に対する負荷を低減し、このMDの取り出しを確実におこなうことができる。また、MDの取り出しは、手動によりおこなうこととなり、これによって、係止ばね118に使用する部材にばね圧や形状を考慮しない部材を採用することができコスト削減が可能となる。
【0199】
なお、前述した実施例1では、移動制御部材を図1に示すようなX字型に交差させたレバーで実現しているが、本実施の形態は、これに限定されるものではない。例えば、図25−1に示す移動制御部材900aのように2本のレバー910aでリンクを構成し、このリンクの中点がクランパ400に形成した長円孔433に摺動可能に支持されるようにし、さらに、リンクの両端が挿排ホルダ500とドライブシャーシ300にそれぞれ回転可能に支持されるように構成しても良い(図では、挿排ホルダ500を平行に移動させるために同じ構造のリンクを二つ用いている)。
【0200】
また、図25−2に示す移動制御部材900bのように、リンクを構成する一方のレバー910a´の長さを、もう一方のレバー910aより長くすることにより、スロトークをより大きく増幅することができる構成としても良い。
【0201】
さらに、本実施の形態による移動制御部材の構成は、必ずしもレバーを用いたものに限定されない。例えば、図25−3に示す移動制御部材900cのように、クランパ400にプーリ498を設け挿排ホルダ500とドライブシャーシ300との間に、このプーリ498を介してワイヤ499を張架するとともに、挿排ホルダ500を引き込むための引っ張りばね390を設ける構成としても良い。このように構成しておき、クランパ400が前方(図の左方向)に移動すると、プーリ498がワイヤ499を引っ張ることで挿排ホルダ500が前方(図の左方行)に移動する。このとき、挿排ホルダ500の移動ストロークは、クランパ400の移動ストロークの約2倍となることは明らかである。要するに、移動制御部材はクランパ400の動作を増幅して、挿排ホルダ500に伝達すればよいのであって、そのための構造は、上述した以外のものでも本質的な違いはない。
【0202】
以上の実施形態ではクランパ400の動作と挿排ホルダ500の動作がリニアに対応付けられているが、必ずしもリニアでなくてもよく、また挿入時と排出時でクランパの動作と挿排ホルダの動作の対応関係が異なるようにしても良い。例えば、図25−4に示す移動制御部材900dのように、この移動制御部材900dをバネ性を持ったバネ部材533で構成することにより、クランパ400の動作と挿排ホルダ500の動作に違いを持たせることができる。
【0203】
このように構成すると、図25−5に示すように、排出時においては、排出初期の静止摩擦力が大きい時には移動制御部材900dがバネ性によって撓んで、力を吸収することにより、駆動部にかかる負荷を軽減することができる。また挿入時においては移動制御部材900dのバネ性により利用者の操作力が吸収されるため、利用者に良好な操作感を与えることができる。
【0204】
なお、上述した各実施例1〜9において、本発明のディスク記録・再生装置を音楽用のディスク記録・再生装置に適用するものとしているが、本発明は、音楽用のMDを記録・再生するディスク記録・再生装置だけではなくCD(Compact Disk)、DVD(Digital Video Disc)などのディスクを再生する各再生機におけるディスクの挿排機構やフロントローディング機構を対象として適用することができる。
【0205】
また本発明は、必ずしもディスク状の記録媒体だけでなく、例えばカセットテープのようにディスク状でない記録媒体にも適用できる。さらにICメモリカードなど、記録・再生のために媒体の駆動を必要としない記録媒体にも応用できることはいうまでもない。
【0206】
(付記1)記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、
前記記録媒体を前記クランパに対して引き込み、又は、押し出す挿排ホルダと、
前記クランパの移動に伴って、前記挿排ホルダを移動させる移動制御部材とを備えることを特徴とする再生装置。
【0207】
(付記2)前記移動制御部材は、前記挿排ホルダの移動ストロークが、前記クランパの移動ストロークより大となるように前記クランパの動作を増幅して前記挿排ホルダに伝達することを特徴とする付記1に記載の再生装置。
【0208】
(付記3)前記移動制御部材は、前記クランパと前記挿排ホルダを連結するレバーで構成され、該レバーは前記クランパの移動に伴って、梃子の原理によって前記挿排ホルダの移動を増幅することを特徴とする付記2に記載の再生装置。
【0209】
(付記4)記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記再生装置は記録媒体の挿入・排出口を備え、
前記挿入・排出機構は記録媒体を保持するクランパを備え、
前記クランパの記録媒体を挿入・排出する側の端部が、前記クランパが記録媒体を排出した位置にある場合には、記録媒体挿入・排出口と係合していることを特徴とする再生装置。
【0210】
(付記5)前記クランパの記録媒体を挿入・排出する側の端部に延長部分が設けられ、前記記録媒体挿入・排出口には、切り欠き部分が設けられ、前記延長部分は、前記切り欠き部分に係合することを特徴とする付記4に記載の再生装置。
【0211】
(付記6)記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記挿入・排出機構は記録媒体を保持するクランパを備え、前記クランパが記録媒体を、排出した位置にある場合には、前記クランパの下面を支持する支持部材を備えたことを特徴とする再生装置。
【0212】
(付記7)前記支持部材は、記録媒体が記録・再生位置にセットされたときに、該記録媒体を位置決めするための位置決めピンを兼ねることを特徴とする付記6に記載の再生装置。
【0213】
(付記8)記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、
前記記録媒体を前記クランパに対して引き込み、又は、押し出す挿排ホルダと、
前記クランパの移動に伴って、前記挿排ホルダを移動させる移動制御部材と、
前記クランパの移動をおこなう駆動部材と、
前記クランパを内部に収納するドライブシャーシと、
前記ドライブシャーシの移動を阻止する移動ロック機構を備えていることを特徴とする再生装置。
【0214】
(付記9)前記移動ロック機構は、略三角形状に構成されるとともに、一端側に設けた枢軸を中心として、前記記録媒体の挿入方向にのみ回動するロック部材からなり、前記記録媒体の未挿入時には、当該ロック部材の底部と、再生装置を構成するディスクシャーシの上面部との当接により移動ロック機構が作動することを特徴とする付記8に記載の再生装置。
【0215】
(付記10)前記ロック部材の他端側には、下方に向かって開口する切り欠き部が形成され、再生装置を構成する駆動部材の所定位置には、前記切り欠き部に係合自在なロック軸部が設けられ、前記記録媒体の未挿入時には、前記切り欠き部と前記ロック軸部との係合にともなって移動ロック機構が作動することを特徴とする付記9に記載の再生装置。
【0216】
(付記11)前記切り欠き部には、記記録媒体の挿入方向に向けて形成された第2の切り欠き部が形成されていることを特徴とする付記10に記載の再生装置。
【0217】
(付記12)前記移動ロック機構は、前記記録媒体の挿入時には、前記駆動部材の移動にともなって、前記ロック部材による移動ロック機構が解除されることを特徴とする付記8〜11のうちのいずれか一つに記載の再生装置。
【0218】
(付記13)記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、
前記記録媒体を前記クランパに対して引き込み、又は、押し出す挿排ホルダと、
前記クランパの移動に伴って、前記挿排ホルダを移動させる移動制御部材と、
前記クランパの移動をおこなう駆動部材と、
前記クランパを内部に収納するドライブシャーシと、
前記駆動部材に対する排出方向への移動を支援する排出支援機構とを備え、
前記排出支援機構は、前記挿排機構による記録媒体の排出動作時に、前記駆動部材を、排出方向へ移動させる移動力を付勢する移動力付勢部材と、当該移動力付勢部材による移動力の作動タイミングを制御する移動力制御部材とを備え、当該移動力制御部材は、前記駆動部材の移動途中時に、当該駆動部材に対する移動力の付勢をおこなうことを特徴とする再生装置。
【0219】
(付記14)前記排出支援機構は、前記駆動部材に対して、前記挿排機構を駆動する駆動力を伝達する伝達部材と、前記駆動部材と前記伝達部材とを弾性的に連結する引っ張りばねとを備え、前記移動力制御部材は、前記挿排機構の作動にともなう、前記駆動部材の移動初期時には、前記引っ張りばねによる弾力に基づく駆動部材の移動支援を停止し、前記駆動部材の移動途中時には、前記引っ張りばねによる弾力に基づいて、駆動部材の移動支援をおこなうことを特徴とする付記13に記載の再生装置。
【0220】
(付記15)前記記録媒体は、記録面を保護する防塵シャッタと、当該防塵シャッタを開閉するための防塵シャッタ開閉機構を備え、前記クランパを構成する側板部には、前記防塵シャッタ開閉機構を作動するための側板片と、前記記録媒体のセット時に、前記クランパの内部で、前記防塵シャッタを押圧力により所定位置に保持する板ばね部材とが固設され、前記板ばね部材の固設位置は、前記記録媒体の排出完了時に、前記防塵シャッタの少なくとも一端面を押圧する位置に選定されていることを特徴とする付記8から14のいずれか一つに記載の再生装置。
【0221】
(付記16)前記防塵シャッタの挿排方向の側面部には、前記板ばね部材と係合自在の係合孔が形成され、前記記録媒体の排出完了時に、前記板ばね部材と前記係合孔との係合がおこなわれることを特徴とする付記15に記載の再生装置。
【0222】
(付記17)記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、
前記記録媒体を前記クランパに対して引き込み、又は、押し出す挿排ホルダと、
前記クランパの移動に伴って、前記挿排ホルダを移動させる移動制御部材とを備え、
前記記録媒体は、記録面を保護する防塵シャッタを備え、
前記クランパは、平板状の平板部と、当該平板部に対してほぼ直角に屈曲する側板部と、当該側板部に対してほぼ直角に屈曲する上側板部とを備え、当該上側板部は、前記記録媒体の挿入時には、前記防塵シャッタを開閉する機能を備えていることを特徴とする再生装置。
【0223】
(付記18)前記クランパを構成する側板部は、前記ディスク収納媒体の厚さ寸法とほぼ同一の高さ寸法に設定された第一の上側板部と、当該第一の上側板部よりも高さ寸法が小さい第ニの上側板部とから構成され、前記ディスク収納媒体の挿入にともなって、前記第ニの上側板部により、前記防塵シャッタ開閉機構に対する防塵シャッタの開口機能が作動することを特徴とする付記17に記載の再生装置。
【0224】
(付記19)前記第ニの上側板部の高さ寸法は、前記第一の上側板部の高さ寸法のほぼ半分程度の高さ寸法に設定されていることを特徴とする付記18に記載の再生装置。
【0225】
(付記20)記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、
前記記録媒体を前記クランパに対して引き込み、又は、押し出す挿排ホルダと、
前記クランパの移動に伴って、前記挿排ホルダを移動させる移動制御部材と、
前記クランパを内部に収納するドライブシャーシとを備え、
前記ドライブシャーシは、平板状の平板部と、当該平板部に対してほぼ直角に屈曲する一対の側板部とを備え、当該側板部は、前記移動制御部材の作動に基づいて、前記クランパを載置した状態で、当該クランパの前後動作を支持する機能を備えるとともに、前記側板部の高さ寸法Tは、前記クランパの上面位置よりも低くなるように設定されていることを特徴とする再生装置。
【0226】
(付記21)前記側板部の上面位置には、前記クランパによる前後移動を支持するとともに、下方に向けて押圧するための係止押圧部材が備えられていることを特徴とする付記20に記載の再生装置。
【0227】
(付記22)記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、
前記記録媒体を前記クランパに対して引き込み、又は、押し出す挿排ホルダと、
前記クランパの移動に伴って、前記挿排ホルダを移動させる移動制御部材と、
前記クランパを内部に収納するドライブシャーシとを備え、
再生装置による記録媒体の再生時には、前記ドライブシャーシの位置を所定距離だけ上昇させる機能および前記記録媒体の排出時には、前記ドライブシャーシ位置を、所定距離だけ下降させる高さ位置調整機構とを備えることを特徴とする再生装置。
【0228】
(付記23)前記高さ位置調整機構は、前記駆動部材に形成された前記クランパの前後移動位置を案内する円孔状に形成された第一の案内溝部の中心軸と、前記クランパの前後移動方向に沿って平行に形成された第ニの案内溝部の中心軸とを不一致とする設定により構成されることを特徴とする付記22に記載の再生装置。
【産業上の利用可能性】
【0229】
以上のように、本発明の再生装置は、自動車に搭載されるオーディオ装置などの小スペースで利用することができる車載用の再生装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0230】
【図1】本実施例1に係るディスク記録・再生装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】同ディスク記録・再生装置によるMDの挿入完了時の状態を示す要部概略図である。
【図3】同ディスク記録・再生装置および記録・再生部の概略構成を示す図である。
【図4−1】ドライブシャーシの構成を示す平面図である。
【図4−2】ドライブシャーシの構成を示す側面図である。
【図5−1】クランパの構成を示す平面図である。
【図5−2】クランパの構成を示す側面図である。
【図5−3】クランパの形状を示す斜視図である。
【図5−4】図5−3に示したクランパの要部を示す縦断面図である。
【図6−1】駆動部材の構成を示す平面図である。
【図6−2】駆動部材の構成を示す側面図である。
【図7−1】MDをディスク記録・再生装置に挿入する前の状態を示す駆動部材の側面図である。
【図7−2】MDの挿入途中の状態を示す駆動部材の側面図である(水平移動)。
【図7−3】MDの挿入途中の状態を示す駆動部材の側面図である(垂直移動)。
【図7−4】MDの挿入完了時の状態を示す駆動部材の側面図である。
【図8−1】図7−1の要部拡大図である。
【図8−2】図7−2の要部拡大図である。
【図8−3】図7−3の要部拡大図である。
【図8−4】図7−4の要部拡大図である。
【図9−1】挿入検知スイッチおよび挿入完了検知スイッチと駆動部材の凸部との位置関係を説明する図である。
【図9−2】挿入検知スイッチの動作時を示す模式図である。
【図9−3】駆動部材の移動途中を示す模式図である。
【図9−4】挿入完了検知スイッチの動作状態を示す模式図である。
【図9−5】駆動部材の排出動作時を示す模式図である。
【図10−1】MDの挿入完了時の状態を示す駆動部材の側面図である。
【図10−2】MDの排出時における駆動部材の動作を示す拡大概略図である。
【図11−1】MDの挿入時の挿入検知スイッチおよび挿入完了検知スイッチの動作/不動作を示すタイミングチャートである。
【図11−2】MDの排出時の挿入検知スイッチおよび挿入完了検知スイッチの動作/不動作を示すタイミングチャートである。
【図12−1】従来のクランパの形状を示す要部拡大図である。
【図12−2】第2実施例に係るクランパの形状を示す要部拡大断面図である(その1)。
【図12−3】同クランパの形状を示す要部拡大断面図である(その2)。
【図12−4】同クランパの形状を示す要部拡大断面図ある(その3)。
【図13−1】同クランパの形状を示す斜視図である(その4)。
【図13−2】図13−1の要部を示す拡大断面図である。
【図14−1】従来のクランパの形状および位置決めピンの配設位置を示す要部拡大図である。
【図14−2】第3実施例に係るクランパの形状および位置決めピンの配設位置を示す要部拡大図である。
【図15−1】本実施例4に係るドライブシャーシの側板部の形状を示す図である。
【図15−2】本実施例5に係るドライブシャーシの側板部の形状を示す図である。
【図15−3】図15−2に示したクランパとドライブシャーシを示す斜視図である。
【図16−1】本実施例6におけるMDの排出動作前(演奏時)の駆動部材の位置を説明する図である。
【図16−2】同MDの排出完了時の駆動部材の位置を説明する図である。
【図17−1】本実施例7におけるMDの排出完了時の状態を示す図である(移動ロック機構動作時)。
【図17−2】MDの挿入完了時の状態を示す図である(移動ロック機構解除時)。
【図18】従来と実施例8によるクランパとドライブシャーシとの位置関係を示す概略図である。
【図19】従来と本実施例9によるMD排出動作完了時(イジェクト完了時)のクランパの位置をそれぞれ示す図である。
【図20】従来のディスク記録・再生装置の要部を示す概略構成図である。
【図21】挿排ホルダおよび昇降レバー部材による移動機構の概略を説明する図である。
【図22】同要部を示す拡大説明図である。
【図23−1】MDをディスク記録・再生装置に挿入する以前の状態を示す昇降レバーの側面図である。
【図23−2】MDの挿入途中状態を示す昇降レバーの側面図である。
【図23−3】MDの挿入完了時の状態を示す駆動部材の側面図である。
【図24】同ディスク収納媒体(MD)の要部を示す概略構成図である。
【図25−1】移動制御部材の別例を示す構成図である(その1)。
【図25−2】移動制御部材の別例を示す構成図である(その2)。
【図25−3】移動制御部材の別例を示す構成図である(その3)。
【図25−4】移動制御部材の別例を示す構成図である(その4)。
【図25−5】クランパの位置と挿排ホルダの位置による挿入時/排出時それぞれの軌跡を表すグラフ図である。
【符号の説明】
【0231】
100、100a ディスク記録・再生装置
110 案内溝
113 防塵シャッタ
200 デッキシャーシ
215 位置決めピン
213、325 切り欠き部
300 ドライブシャーシ
310、410、510、610 平板部
315 位置決めピン
320、420、620 側板部
340、430、682、683 軸部
400 クランパ
411 前端部
412 延出片
413 屈曲部
414 通孔前
419 側板片
421 前側板部
422 後側板部
500 挿排ホルダ
511 挿排レバー
520 把持アーム
530 爪部
540、681a、930 長通孔
600 駆動部材
600a 昇降レバー
601 挿入検知スイッチ
602 挿入完了検知スイッチ
621 凸部
622、684 鉤部
630、630a 第1の溝部
631、645 平行溝
632、635 斜行溝
636、646 円孔溝
640、640a 第2の溝部
655 通孔
659 係合部
680、680b ラックレバー
680a 先端部
685 ダボ
686、688、689 ラック歯
690、690a、785 引っ張りばね
700、700a 移送駆動機構
705、705a 駆動モータ
710、710a ウォームギヤ
720、720a、730、730a、740、740a 伝達ギヤ
741a ピニオンギヤ
800 記録・再生部
810 ピックアップ
811 ターンテーブル
816 ターンテーブル駆動部
820 制御部
900、900a、900b、900c、900d 移動制御部材
910 レバー部材
920 摺動軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記挿入・排出機構は、記録媒体を保持するクランパと、
前記記録媒体を前記クランパに対して引き込み、又は、押し出す挿排ホルダと、
前記クランパの移動に伴って、前記挿排ホルダを移動させる移動制御部材とを備えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記移動制御部材は、前記挿排ホルダの移動ストロークが、前記クランパの移動ストロークより大となるように前記クランパの動作を増幅して前記挿排ホルダに伝達することを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記移動制御部材は、前記クランパと前記挿排ホルダを連結するレバーで構成され、該レバーは前記クランパの移動に伴って、梃子の原理によって前記挿排ホルダの移動を増幅することを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記再生装置は記録媒体の挿入・排出口を備え、
前記挿入・排出機構は記録媒体を保持するクランパを備え、
前記クランパの記録媒体を挿入・排出する側の端部が、前記クランパが記録媒体を排出した位置にある場合には、記録媒体挿入・排出口と係合していることを特徴とする再生装置。
【請求項5】
前記クランパの記録媒体を挿入・排出する側の端部に延長部分が設けられ、前記記録媒体挿入・排出口には、切り欠き部分が設けられ、前記延長部分は、前記切り欠き部分に係合することを特徴とする請求項4に記載の再生装置。
【請求項6】
記録媒体を再生可能位置にセット、又は排出するための挿入・排出機構を備えた再生装置であって、
前記挿入・排出機構は記録媒体を保持するクランパを備え、前記クランパが記録媒体を、排出した位置にある場合には、前記クランパの下面を支持する支持部材を備えたことを特徴とする再生装置。
【請求項7】
前記支持部材は、記録媒体が記録・再生位置にセットされたときに、該記録媒体を位置決めするための位置決めピンを兼ねることを特徴とする請求項6に記載の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図8−4】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図9−4】
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【図9−5】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図12−3】
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【図12−4】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図15−3】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図17−1】
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【図17−2】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23−1】
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【図23−2】
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【図23−3】
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【図24】
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【図25−1】
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【図25−2】
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【図25−3】
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【図25−4】
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【図25−5】
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