説明

冗長回線の切替制御を行う装置

【課題】
リンクアグリゲーションやポート冗長機能などで回線を冗長化した装置において、各回線の部品寿命を均等化することを目的とする。
【解決手段】
前記装置は、ポート毎に稼働時間、通信量、優先度、トランシーバ差込回数などの情報を保持し、これらの情報から各回線の稼動値を計算し、運用回線と待機用回線の切替有無を決定し、切り替える回線がある場合に、運用回線と待機用回線を切り替える処理を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冗長回線の切替制御を行う装置に関し、特に回線を冗長構成とした装置において、冗長とした各回線の部品寿命を均等化する回線切替制御方式に関する。
【背景技術】
【0002】
ルータやスイッチ等のネットワーク装置間の接続を冗長化する技術として、装置間を接続する複数の回線を束ねて1つの仮想的な回線として扱うリンクアグリゲーション(IEEE802.3adで規定されている)や、アップリンクに使用する二つのポートのうち一方を運用回線とし他方を待機用回線とするポート冗長機能のアップリンク・リダンダントがある。
【0003】
リンクアグリゲーションは、全回線を常時運用回線として使用する機能だけでなく、運用回線と待機用回線を設けることで、運用回線障害時のみ待機用回線を運用回線として使用するスタンバイリンク機能がある。どの回線を待機用回線として選択するかは、リンクアグリゲーションの「運用回線数」と、前記リンクアグリゲーションを構成する各回線に割り当てた「ポート優先度」と呼ぶユーザで指定したコンフィグレーションの値により決定する。
【0004】
アップリンク・リダンダントは、アップリンク側の接続について、プライマリポートと呼ぶ運用回線とセカンダリポートと呼ぶ待機用回線を設けることで、プライマリポート障害時にセカンダリポートを運用回線として使用する機能である。
【0005】
一方で、回線を含めた装置を構成する部品について、その部品寿命を管理することは運用として重要である。その管理方法として、特許文献1に示す二重化装置を定期的に切り替える方法や、特許文献2に示す使用温度条件に基づいて管理する方法がある。
【0006】
また、スケジュールによる時間帯を指定して回線の電力を制御する省電力機能を、リンクアグリゲーションを構成する各回線に適用することで、「時間」指定で運用回線と待機用回線を切り替える方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11-252210
【特許文献2】特開2005-265774
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
運用回線と待機用回線で冗長構成とするスタンバイリンク機能を使用したリンクアグリゲーションにおいて、「運用回線数」と「ポート優先度」だけに基づいてどの回線を待機用回線として選択するかを決定したのでは、障害時を除き運用回線が常に固定的な回線となり、運用し続けることで、運用回線の部品寿命だけが短くなるという課題がある。
【0009】
また、スケジュールを使用した省電力機能により、リンクアグリゲーションを構成する回線を「時間」により切替えるだけでは、通信量といった要因により各回線の経年劣化に差が生じ、結果として特定の回線の経年劣化だけが進む可能性があるという課題がある。
【0010】
またポート冗長機能であるアップリンク・リダンダントについても、スタンバイリンク機能を使用したリンクアグリゲーションと同様に、プライマリポートを構成する回線が常に固定的な回線となり、運用し続けることで、運用回線の部品寿命だけが短くなるという課題がある。
【0011】
さらにポートからトランシーバを抜き差しすることにより、トランシーバの端子が磨耗することで、トランシーバの経年劣化が進むという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上述の課題を解決するために、ネットワークを介して他の装置と接続する装置であって、前記ネットワークを介してパケットを送受信する複数のポートと、前記ポートを制御するポート制御部と、前記ポートの消耗情報として前記ポート毎の稼働時間または通信量またはトランシーバ差込回数のうち少なくとも2以上の項目を管理する消耗情報管理部を備え、前記消耗情報管理部は、前記ポート毎に管理する前記消耗情報に基づいて稼動値を計算し、前記ポート毎に稼動値を保持する装置を提供する。
【0013】
また、本発明では、前記装置であって、前記複数のポートのうち、少なくとも1つの運用ポートである第1のポートと少なくとも1つの待機用ポートである第2のポートが冗長構成となっており、前記ポート制御部は、前記消耗情報管理部が保持する前記第1のポートの稼動値と前記第2のポートの稼動値の差分に基づいて、前記第1のポートを待機用ポートに、前記第2のポートを運用ポートに切り替える装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、冗長構成を採用する各回線の稼動値を評価することにより、運用回線と待機用回線を均等化して使用することで、回線寿命を均等化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第一の実施形態における装置の内部ブロック図である。
【図2】トランシーバテーブルの例を説明する図である。
【図3】ポート管理テーブルの例を説明する図である。
【図4】消耗係数管理テーブルの例を説明する図である。
【図5】ポート稼動記録テーブルの例を説明する図である。
【図6】稼動値計算式の例を説明する図である。
【図7】リンクアグリゲーション管理テーブルの例を説明する図である。
【図8】トランシーバ抜差処理の処理フローを示す説明図である。
【図9】消耗情報収集部の処理フローを示す説明図である。
【図10】リンクアグリゲーション制御部の処理フローを示す説明図である。
【図11】リンクアグリゲーションのポート切替判定処理の処理フローを示す説明図である。
【図12】リンクアグリゲーションのポート切替処理の処理フローを示す説明図である。
【図13】切替処理部52のポート切替処理の処理フローを示す説明図である。
【図14】所定の時点におけるトランシーバテーブルの例を説明する図である。
【図15】所定の時点におけるポート管理テーブルの例を説明する図である。
【図16】所定の時点におけるリンクアグリゲーション管理テーブルの例を説明する図である。
【図17】所定の時点におけるポート稼動記録テーブルの例を説明する図である。
【図18】所定の時点におけるポート管理テーブルの例を説明する図である。
【図19】所定の時点におけるトランシーバテーブルの例を説明する図である。
【図20】所定の時点におけるポート管理テーブルの例を説明する図である。
【図21】所定の時点におけるトランシーバテーブルの例を説明する図である。
【図22】所定の時点におけるポート管理テーブルの例を説明する図である。
【図23】所定の時点におけるポート管理テーブルの例を説明する図である。
【図24】所定の時点におけるポート稼動記録テーブルの例を説明する図である。
【図25】所定の時点におけるリンクアグリゲーション管理テーブルの例を説明する図である。
【図26】所定の時点におけるリンクアグリゲーション管理テーブルの例を説明する図である。
【図27】所定の時点におけるポート管理テーブルの例を説明する図である。
【図28】所定の時点におけるリンクアグリゲーション管理テーブルの例を説明する図である。
【図29】所定の時点におけるポート管理テーブルの例を説明する図である。
【図30】所定の時点におけるリンクアグリゲーション管理テーブルの例を説明する図である。
【図31】第二の実施形態における装置の内部ブロック図である。
【図32】ポート冗長テーブルの例を説明する図である。
【図33】消耗情報収集部の処理フローを示す説明図である。
【図34】ポート冗長制御部の処理フローを示す説明図である。
【図35】ポート冗長のポート切替判定処理の処理フローを示す説明図である。
【図36】ポート冗長のポート切替処理の処理フローを示す説明図である。
【図37】所定の時点におけるトランシーバテーブルの例を説明する図である。
【図38】所定の時点におけるポート管理テーブルの例を説明する図である。
【図39】所定の時点におけるポート冗長テーブルの例を説明する図である。
【図40】所定の時点におけるポート稼動記録テーブルの例を説明する図である。
【図41】所定の時点におけるポート管理テーブルの例を説明する図である。
【図42】所定の時点におけるポート稼動記録テーブルの例を説明する図である。
【図43】所定の時点におけるポート冗長管理テーブルの例を説明する図である。
【図44】所定の時点におけるポート冗長管理テーブルの例を説明する図である。
【図45】所定の時点におけるポート冗長管理テーブルの例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
以下本発明の実施の形態について、実施例を用いて図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素は同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0017】
図1は、本発明の第一の実施形態における装置の内部ブロック図である。装置10は、消耗情報を収集する消耗情報収集部20と、他装置との通信に使用するポート1 60,ポート2 61,ポート3 62,ポート4 63と、各ポートを制御するポート制御部50と、ポートをリンクアグリゲーションで構成する場合に当該リンクアグリゲーションを制御するためのリンクアグリゲーション制御部30と、各ポートに格納するトランシーバ1 70,トランシーバ2 71,トランシーバ3 72,トランシーバ4 73と、を含む。なお各トランシーバは、物理的なケーブルを格納および前記ケーブル上に流れる信号と装置内の信号を相互変換する。また、装置10はさらに、消耗係数を管理する消耗係数管理テーブル100と、稼働時間を管理するポート稼動記録テーブル200と、リンクアグリゲーション管理テーブル300と、トランシーバ情報を格納するトランシーバテーブル500と、ポート情報を格納するポート管理テーブル600とを含み、各部位はバスで接続されている。ポート制御部50は、トランシーバ処理部51と切替処理部52を含む。
【0018】
図2は、トランシーバテーブル500の例を説明する図である。トランシーバテーブル500は、少なくともポートに格納されたトランシーバ分のエントリからなり、トランシーバ番号501と、トランシーバのベンダ名を示すベンダ名502と、トランシーバのベンダシリアル番号を示すベンダシリアル番号503と、トランシーバの差込回数を記録する差込回数504、の項目を含む。
【0019】
図3は、ポート管理テーブル600の例を説明する図である。ポート管理テーブル600は、ポート数分のエントリからなり、ポート番号601と、ポートがUpまたはDownであるかの状態を示すポート状態602と、該当ポートに格納したトランシーバのトランシーバ番号(トランシーバテーブル500に記録したトランシーバ番号501に対応するトランシーバ番号)を格納するトランシーバ番号603と、ポートで送受信時に通過した通信量604、の項目を含む。通信量604は、例えば通過したパケットのバイト数やパケット数である。本実施例では通信量604はパケット数であるとして以下説明する。
【0020】
なお通信量604は、パケットまたはフレームがポート1 60〜ポート4 63を通過した際に、該当ポート60〜63がカウントし、ポート管理テーブル600の該当ポートに該当する通信量604に記録、更新する。ポート状態602が「Up」とはポートに電力が供給されている状態であり、ポート状態602が「Down」とはポートに電力が供給されていない状態であることを示す。トランシーバ番号603のエントリ部分が「−」である場合、該当ポートにトランシーバが格納されていないことを示す。
【0021】
図4は、消耗係数管理テーブル100の例を説明する図である。消耗係数管理テーブル100は、ポート管理テーブル600の通信量604に重み付けをするための重み値である通信量重み値101と、トランシーバテーブル500の差込回数504に重み付けをするための重み値である差込回数重み値102と、ポートの切替有無を判断するために使用する値である閾値103、の項目を含む。本テーブル100の各値は、ユーザによるコンフィグレーション入力等により設定する。あるいは、装置内に固定的に保持してもよい。
【0022】
図5は、ポート稼動記録テーブル200の例を説明する図である。ポート稼動記録テーブル200は、ポート数分のエントリからなり、ポート番号201と、各ポートが稼動した時間を示す稼働時間202と、ポート毎の稼動値203、の項目を含む。
【0023】
図6は、ポート稼動記録テーブル200の稼動値203について、計算手段の一例を説明する図である。稼動値203は、ポート稼動記録テーブル200の稼働時間202と、ポート管理テーブル600の通信量604と消耗係数管理テーブル100の通信量重み値101の乗算結果と、トランシーバテーブル500の差込回数504と消耗係数管理テーブル100の差込回数重み値102の乗算結果と、をそれぞれ加算することにより算出する。なお稼動値203の計算手段は、重み付けをせずに計算してもよいし、別の計算手段を利用してもよい。また、稼動値203を算出するに当たり、通信量604と差込回数504の両方を使用したが、いずれか一方のみを使用して稼動値203を算出してもよいし、稼働時間202を使用せずに稼動値203を算出することも可能である。
【0024】
図7は、リンクアグリゲーション管理テーブル300の例を説明する図である。リンクアグリゲーション管理テーブル300は、構成するリンクアグリゲーション数分のエントリからなり、LAG番号301と、各リンクアグリゲーションのスタンバイリンク機能における運用ポート数を示す運用ポート数302と、待機用ポート数を示す待機用ポート数303と、各リンクアグリゲーションを構成するポート数分のエントリからなり、各リンクアグリゲーションを構成するポートのポート番号を示すポート番号304と、ポート番号304について切替有無の結果を記録する切替後状態305、の項目を含む。切替後状態305は、初期状態「未」と、切替後にUp状態にする「Up」と、切替後にDown状態にする「Down」と、切り替えないことを示す「済」を示す。
【0025】
図8は、ポート制御部50内のトランシーバ処理部51のトランシーバ抜差処理の処理フローを示す説明図である(S1000)。
まず、ポート1 60〜ポート4 63においてトランシーバが抜差された場合、トランシーバ処理部51は該当ポートにトランシーバが差されたのか、トランシーバが抜かれたのかを確認する(S1001)。確認した結果、トランシーバが差された場合、トランシーバ処理部51は差されたトランシーバのベンダ名とベンダシリアル番号を取得する(S1002)。トランシーバ処理部51は、取得したトランシーバのベンダ名とベンダシリアル番号について、トランシーバテーブル500のベンダ名502とベンダシリアル番号503が同一であるトランシーバ番号501のエントリを検索する(S1003)。検索した結果、同一エントリがある場合、該当するトランシーバ番号501に対応する差込回数504の値を+1して記録する(S1004)。次に、トランシーバ番号501に該当する番号を、ポート管理テーブル600のトランシーバが差されたポートのポート番号に対応するトランシーバ番号603に記録する(S1005)。
【0026】
一方、S1003において、同一エントリがない場合、トランシーバテーブル500に新規エントリを作成し、ベンダ名502に取得したベンダ名を記録し、ベンダシリアル番号503に取得したベンダシリアル番号を記録する(S1006)。次に、新規に作成したエントリの差込回数504の値を「0」として記録する(S1007)。最後に、新規に作成したエントリのトランシーバ番号501に該当する番号を、ポート管理テーブル600のトランシーバが差されたポートのポート番号601に対応するトランシーバ番号603に記録する(S1005)。
【0027】
一方、S1001において、トランシーバが抜かれた場合、ポート管理テーブル600のトランシーバが抜かれたポートのポート番号に対応するトランシーバ番号603に「−」を記録する(S1008)。
【0028】
図9は、消耗情報収集部20の処理フローを示す説明図である(S1100)。本処理は周期的に実行する。本実施例では、T秒毎に実行するものとする。
消耗情報収集部20は、ポート管理テーブル600のポート数分、以下の繰り返し処理をおこなう(S1101、S1105)。最初にポート番号601に該当するポート状態602を確認する(S1102)。確認したポート状態602がUpの場合、前回処理した時間からの差分時間であるT秒を、ポート稼動記録テーブル200のポート番号201に該当する稼働時間202のエントリに加算して記録する(S1103)。
【0029】
次に、ポート稼動記録テーブル200のポート番号201に該当する稼働時間202と、ポート管理テーブル600のポート番号601に該当する通信量604と、ポート番号601に該当するトランシーバ番号603についてトランシーバテーブル500から対応する差込回数504と、消耗係数管理テーブル100の通信量重み値101と差込回数重み値102を用いて、図6に示す計算式により稼動値203を計算し、計算結果をポート稼動記録テーブル200の稼動値203に記録する(S1104)。
【0030】
一方、S1102において、確認したポート状態602がDownの場合、S1103とS1104の処理はおこなわない。消耗情報収集部20は、繰り返し処理(S1101、S1105)終了後、リンクアグリゲーション制御部30にリンクアグリゲーション切替処理を通知する(S1106)。
【0031】
図10は、リンクアグリゲーション制御部30の処理フローを示す説明図である(S1200)。本処理は、前述の消耗情報収集部20のS1106の通知を受け、実行する。
リンクアグリゲーション制御部30は、リンクアグリゲーション管理テーブル300のLAG番号301で示されるエントリ数分、以下の繰り返し処理をおこなう(S1201、S1208)。
【0032】
最初に、待機用回線に切替可能な運用回線があるかを確認するために、リンクアグリゲーション管理テーブル300のLAG番号301に該当する運用ポート数302と、LAG番号301に該当するポート番号304の全エントリについてポート管理テーブル600からポート番号601に該当するポート状態602がUpであるポート番号のリストと、Up状態のポート数を取得する(S1202)。
【0033】
次に取得したUp状態のポート数が0より大きいかの判定と、Up状態のポート数と運用ポート数302を確認してUp状態のポート数と運用ポート数が等しいかの判定をおこなう(S1203)。S1203の2つの判定がどちらも真であれば、運用回線に切替可能な待機用回線があるかを確認するために、リンクアグリゲーション管理テーブル300のLAG番号301に該当する待機用ポート数303と、LAG番号301に該当するポート番号304の全エントリについてポート管理テーブル600からポート番号601に該当するポート状態602がDownであるポート番号のリストと、Down状態のポート数を取得する(S1204)。
【0034】
次に取得したDown状態のポート数が0より大きいかの判定と、Down状態のポート数と待機用ポート数303を確認してDown状態のポート数と待機用ポート数が等しいかの判定をおこなう(S1205)。S1205の2つの判定がどちらも真であれば、切替可能な回線が存在するので、リンクアグリゲーションのポート切替判定処理を実行する(S1300)。本処理は、後述の図11のS1300で説明する。その後リンクアグリゲーションのポート切替処理を実行する(S1400)。本処理は、後述の図12のS1400で説明する。
【0035】
一方、S1203の判定が真でなければ、切替可能な回線が存在しないので、S1204、S1205、S1300、S1400の処理をおこなわない。また、S1205の判定が真でなければ、切替可能な回線が存在しないので、S1300、S1400の処理をおこなわない。
【0036】
図11は、リンクアグリゲーション制御部30のリンクアグリゲーションのポート切替判定処理の処理フローを示す説明図である(S1300)。
リンクアグリゲーション制御部30は、リンクアグリゲーション管理テーブル300のLAG番号301に該当するすべてのポート番号304に該当する切替後状態305を「未」と記録する(S1301)。次に、前記LAG番号301に該当するすべてのポート番号304について、ポート稼動記録テーブル200から該当する稼動値203を取得し、さらにポート管理テーブル600から該当するポートのポート状態602を取得する(S1302)。
【0037】
次に、取得したすべてのポート番号に該当する稼動値203とポート状態602について、ポート状態602がUpであるポートの稼動値203とポート状態602がDownであるポートの稼動値203との差を消耗情報管理テーブル100の閾値103と比較することにより、稼動値203の差が閾値以上となるポートの組み合わせとなる0個以上の組を抽出する。ここで組とは{ポート状態がUpであるポート番号、ポート状態がDownであるポート番号}とする(S1303)。
【0038】
次に、抽出した組が1個以上であるかを確認する(S1304)。確認した組が1個以上である場合、抽出した組の中で、ポート状態がUpであるポート番号すべてについてリンクアグリゲーション管理テーブル300のLAG番号301に該当するポート番号304に該当する切替後状態305を「Down」と記録し、ポート状態がDownであるポート番号すべてについてリンクアグリゲーション管理テーブル300のLAG番号301に該当するポート番号304に該当する切替後状態を「Up」と記録する(S1305)。なお、S1304において、確認した組が0個の場合、S1305の処理はおこなわない。
【0039】
最後に、リンクアグリゲーション管理テーブル300のLAG番号301に該当するポート番号304に該当する切替後状態305について、「未」であるエントリをすべて「済」と記録する(S1306)。
【0040】
図12は、リンクアグリゲーション制御部30のリンクアグリゲーションのポート切替処理の処理フローを示す説明図である(S1400)。
リンクアグリゲーション制御部30は、リンクアグリゲーション管理テーブル300のLAG番号301に該当するポート番号304のエントリ数分、以下の繰り返し処理をおこなう(S1401、S1404)。前記ポート番号304に該当する切替後状態305が「Up」の場合、ポート制御部50に当該ポート番号と切替後状態が「Up」であることを通知する(S1402)。S1402終了後、前記ポート番号304に該当する切替後状態305を「済」と記録する(S1403)。
【0041】
次に、リンクアグリゲーション制御部30は、リンクアグリゲーション管理テーブル300のLAG番号301に該当するポート番号304のエントリ数分、以下の繰り返し処理をおこなう(S1405、S1408)。前記ポート番号304に該当する切替後状態が「Down」の場合、ポート制御部50に当該ポート番号と切替後状態が「Down」であることを通知する(S1406)。S1406終了後、前記ポート番号304に該当する切替後状態305を「済」と記録する(S1407)。
【0042】
図13は、ポート制御部50内の切替処理部52のポート切替処理の処理フローを示す説明図である(S1500)。
最初に、切替処理部52は、リンクアグリゲーション制御部30からS1402又はS1406において通知された切替後状態を確認する(S1501)。確認した切替後状態が「Up」の場合、通知されたポート番号で特定されるポートの状態を「Up」に遷移させる(S1502)。次に、ポート管理テーブル600のポート番号601に該当するポート状態602を「Up」と記録する(S1503)。
【0043】
一方、S1501において、確認した切替後状態が「Down」の場合、通知されたポート番号で特定されるポートの状態を「Down」に遷移させる(S1504)。次に、ポート管理テーブル600のポート番号601に該当するポート状態602を「Down」と記録する(S1505)。
【0044】
以上、説明した構成において、具体的動作を説明する。
説明の順序として、最初に、ある時点における装置10の状態を、次にトランシーバが抜き差しされたときの処理フローを、最後にポートの切替処理をおこなう処理フローを説明する。
【0045】
最初に、ある時点における装置10の状態について説明する。
装置10は、トランシーバ1 70〜トランシーバ3 72をポート番号1 60〜ポート番号3 62に格納し、ポート番号1 60〜ポート番号4 63のうちポート番号1 60〜ポート番号3 62を使用してリンクアグリゲーションを構成し、そのうちポート番号1 60とポート番号2 61を運用回線として、ポート番号3 62を待機用回線として運用しているものとする。このときの、トランシーバテーブル500と、ポート管理テーブル600と、リンクアグリゲーション管理テーブル300と、ポート稼動記録テーブル200の状態を、それぞれ図14、図15、図16、図17に示す。
【0046】
図14は、トランシーバテーブル500の状態を示しており、トランシーバテーブル500内にトランシーバ1 70、トランシーバ2 71、トランシーバ3 72の3トランシーバ分のエントリを格納しており、それぞれをトランシーバ番号501の各エントリに「1」、「2」、「3」を割り当てて、ベンダ名502として「XXXX」、「YYYY」、「XXXX」を、ベンダシリアル番号503として「ZZZZ」、「WWWW」、「VVVV」を、差込回数504として「0」、「1」、「0」が格納されている。
【0047】
図15は、ポート管理テーブル600の状態を示しており、ポート管理テーブル600内にポート1 60、ポート2 61、ポート3 62、ポート4 63の4ポート分のエントリを格納しており、それぞれポート番号601の各エントリに「1」、「2」、「3」、「4」を割り当てて、ポート状態602として「Up」、「Up」、「Down」、「Down」を、トランシーバ番号603として「1」、「2」、「3」、「−」を、通信量604として「100000」、「90000」、「50000」、「0」が格納されている。
【0048】
図16は、リンクアグリゲーション管理テーブル300の状態を示しており、リンクアグリゲーション管理テーブル300内に1つのリンクアグリゲーション分のエントリを格納しており、LAG番号301のエントリ番号として「1」を割り当てている。LAG番号301の1番目のエントリは、運用ポート数302として「2」を、待機用ポート数303として「1」を、ポート番号304にはリンクアグリゲーションを構成するポート数分のエントリがあり、それぞれポート番号を示す「1」、「2」、「3」を、切替後状態305にはポート数分のエントリがあり、それぞれ「済」が格納されている。切替後状態305に格納された値は、T秒毎に消耗情報収集部20から通知されたリンクアグリゲーション制御部30の図11のS1306、または図12のS1403、または図12のS1407により、すべて「済」と更新されている。
【0049】
図17は、ポート稼動記録テーブル200の状態を示しており、ポート稼動記録テーブル200内にポート1 60、ポート2 61、ポート3 62、ポート4 63の4ポート分のエントリを格納しており、それぞれポート番号201のエントリ番号として「1」、「2」、「3」、「4」を割り当てて、稼働時間202として「5000」、「4000」、「500」、「500」を、稼動値203として「55000」、「49010」、「25500」、「500」が格納されている。定常時は、消耗情報収集部20により図9の処理がT秒毎に実行され、この稼働時間202および稼動値203が更新される。
【0050】
次に、ポート2 61からトランシーバ2 71が抜かれたことを一例としてトランシーバの抜き差しフロー(図8)を説明する。トランシーバ2 71がポート2 61から抜かれると、図8で示すポート制御部50内のトランシーバ処理部51のS1000の処理が実行される。この結果、S1001とS1008により、ポート管理テーブル600が図18で示される通りに更新される。図示したようにポート管理テーブル600のポート番号601の2番目のエントリ(ポート2 61のエントリ)に該当するトランシーバ番号603の値が「−」、と記録される。
【0051】
この状態で、再度ポート番号2 61にトランシーバ2 71を差した場合、図8で示すポート制御部50内のトランシーバ処理部51のS1000の処理が再度実行される。この結果、同一のトランシーバを差したことからS1001とS1002とS1003とS1004とS1005により、トランシーバテーブル500とポート管理テーブル600が図19と図20で示されるとおりに更新される。図示したようにトランシーバテーブル500のトランシーバ番号501の2番目のエントリ(トランシーバ2 71のエントリ)に該当する差込回数504の値が+1されて「2」に更新され(図19)、ポート管理テーブル600のポート番号601の2番目のエントリ(ポート2 61のエントリ)に差し込んだトランシーバ2 71のトランシーバ番号603の値として「2」が記録される(図20)。
【0052】
次に、ポート番号4 63にトランシーバ4 73が差されたことを一例として説明する。ポート番号4 63にトランシーバ4 73が差されると、図8で示すポート制御部50内のトランシーバ処理部51のS1000の処理が実行される。この結果、新規のトランシーバを差したことからS1001とS1002とS1003とS1006とS1007とS1005により、トランシーバテーブル500とポート管理テーブル600が図21と図22で示される通りに更新される。図示したようにトランシーバテーブル500に4番目のエントリ(トランシーバ4 73のエントリ)が作成され、トランシーバ番号501に「4」、ベンダ名502に「XXXX」、ベンダシリアル番号503に「UUUU」、差込回数504に「0」と記録され(図21)、ポート管理テーブル600のポート番号601の4番目のエントリ(ポート4 63のエントリ)に差し込んだトランシーバ4 73のトランシーバ番号603の値として「4」と記録される(図22)。
【0053】
次に、図9で示すS1100の周期である「T秒」が「10秒」であるとして、10秒経過した時点を一例としてポート切替処理フローを説明する。図22の状態から10秒経過した時点で、ポート管理テーブル600は図23で示される状態となっている。図示したようにポート管理テーブル600のポート番号601の1番目のエントリに該当する通信量604は、10秒間に送受信したパケット数分加算され、値として「101000」であり、ポート番号601の2番目のエントリに該当する通信量604は、10秒間に送受信したパケット数分加算され、値として「90500」と更新されている。なお、ポート管理テーブル600のポート番号601の3番目と4番目のエントリについては、ポート状態602が「Down」であり、通信が行われていないため、通信量604の値が加算されていない。
【0054】
図23の状態において、図9で示す消耗情報収集部20のS1100の処理が実行される。この結果、ポート管理テーブル600についてポート番号1 60、ポート番号2 61、ポート番号3 62、ポート番号4 63の4ポート分の処理(S1101、S1105)をおこない、ポート番号1 60とポート番号2 61はポート状態602が「Up」であることによりS1103とS1104の処理が行われ、ポート番号3 62とポート番号4 63はポート状態602が「Down」であることによりS1103とS1104の処理が行われないことで、ポート稼動記録テーブル200が図17の状態から図24で示されるとおりに更新される。
【0055】
図示したようにポート稼動記録テーブル200のポート番号201の1番目のエントリに該当する稼働時間202の値が「5010」、稼動値203の値が「55510」と記録され、ポート番号201の2番目のエントリに該当する稼働時間202の値が「4010」、稼動値203の値が「49280」と記録される。続いてリンクアグリゲーション制御部30にリンクアグリゲーション切替処理を通知する(S1106)。
【0056】
消耗情報収集部20からの通知を受けたリンクアグリゲーション制御部30は、図10で示すS1200の処理を実行する。この結果、図16のリンクアグリゲーションテーブル300のエントリ数が1つ(S1201、S1208)であり、LAG番号301の1番目のエントリを構成する運用ポート数が「2」、待機用ポート数が「1」、ポート状態が「Up」であるポートが2つ(ポート番号1 60とポート番号2 61)であり、かつポート状態が「Down」であるポートが1つ(ポート番号3 62)であることから、S1202とS1203とS1204とS1205が実行され、その後S1300とS1400が実行される。
【0057】
図11で示すS1300の処理において、S1301が最初に実行される。この結果、リンクアグリゲーションテーブル300が図25で示される状態に更新される。図示したようにリンクアグリゲーションテーブル300のLAG番号301の1番目のエントリに該当するポート番号304の1番目と2番目と3番目のエントリについて、切替後状態305を全て「未」と記録する。
【0058】
続いてS1302により、ポート状態が「Up」であるポート(ポート番号1 60、ポート番号2 61)と、ポート状態が「Down」であるポート(ポート番号3 62)の稼動値をそれぞれ取得する。なお、図24のポート稼動記録テーブル200から取得される各ポートの稼動値は、ポート番号1 60が「55510」、ポート番号2 61が「49280」、ポート番号3 62が「25500」である。S1303により、ポート状態が「Up」であるポートとポート状態が「Down」であるポートの稼動値の差をそれぞれ消耗情報管理テーブル100の閾値103の値「30000」と比較し、稼動値の差が閾値「30000」よりも大きい組{ポート状態がUpであるポート番号、ポート状態がDownであるポート番号}として{ポート番号1 60、ポート番号3 62}を1つ抽出する。
【0059】
組を1つ抽出したことにより、S1305とS1306が実行される。この結果、リンクアグリゲーションテーブル300が図26で示される状態に更新される。図示したようにリンクアグリゲーションテーブル300のLAG番号301の1番目のエントリに該当するポート番号304の1番目と2番目と3番目のエントリについて、切替後状態305が、それぞれ「Down」、「済」、「Up」と記録される。以上でS1300が終了する。
【0060】
続いて図12で示すS1400の処理において、図26のリンクアグリゲーションテーブル300の各エントリに対してループ処理(S1401〜S1404)を実行する。切替後状態305が「Up」であるポート3 62について、S1402とS1403を実行する。S1402において通知を受けたポート制御部50の切替処理部52は、通知された切替後状態が「Up」であるため、図13のS1501とS1502とS1503を実行する。この結果、ポート3 62がUp状態となり、ポート管理テーブル600とリンクアグリゲーションテーブル300が図27と図28で示される通り更新される。図示したようにポート管理テーブル600のポート番号601の3番目のエントリに該当するポート状態602の値が「Up」と記録され(図13のS1503)、リンクアグリゲーションテーブル300のLAG番号301の1番目のエントリに該当するポート番号304の3番目のエントリに該当する切替後状態305が「済」と記録される(図12のS1403)。以上で図12のS1400のループ1(S1401〜S1404)が終了する。
【0061】
これにより、ポート3 62のポート状態602が「Down」から「Up」となり、運用回線として稼動を開始する。なお、この時点ではリンクアグリゲーションのLAG番号301の1番目のエントリは、ポート1 60とポート2 61とポート3 62すべてが運用回線として動作する。
【0062】
続いて、図28のリンクアグリゲーションテーブル300の各エントリに対して2つ目のループ処理(S1405〜S1408)を実行する。切替後状態305が「Down」であるポート1 60について、S1406とS1407を実行する。S1406において通知を受けたポート制御部50の切替処理部52は、通知された切替後状態が「Down」であるため、図13のS1501とS1504とS1505を実行する。この結果、ポート1 60がDown状態となり、ポート管理テーブル600とリンクアグリゲーションテーブル300が図29と図30で示される通り更新される。図示したようにポート管理テーブル600のポート番号601の1番目のエントリに該当するポート状態602の値が「Down」と記録され(図13のS1505)、リンクアグリゲーションテーブル300のLAG番号301の1番目のエントリに該当するポート番号304の1番目のエントリに該当する切替後状態305が「済」と記録される(図12のS1407)。以上で図12のS1400のループ2(S1405〜S1408)が終了する。
【0063】
これにより、ポート1 60のポート状態602が「Up」から「Down」となり、待機用回線として稼動する。結果として、リンクアグリゲーションのLAG番号301の1番目のエントリは、ポート2 61とポート3 62が運用回線として稼動を開始し、ポート1 60が待機用回線として稼動するようになる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、リンクアグリゲーションを構成する運用回線の稼動値と待機用回線の稼動値の差分が閾値を超えた場合、運用回線と待機用回線の切替がおこなわれる。この結果、回線の消耗(ポートの稼動時間や通信量や差込回数など)に応じた切替をおこなうことができるようになるため、運用回線と待機用回線を均等化して使用することで、回線寿命を均等化することができる。
【実施例2】
【0065】
図31は、本発明の第二の実施形態における装置の内部ブロック図である。図1で説明した装置10と基本的な構成は同じであるが、図1からはリンクアグリゲーション制御部30とリンクアグリゲーション管理テーブル300が無くなり、ポートをポート冗長機能で構成する場合に当該ポート冗長機能を制御するためのポート冗長制御部40と、ポート冗長管理テーブル400が追加されている。
【0066】
図32は、ポート冗長管理テーブル400の例を説明する図である。ポート冗長管理テーブル400は、装置10が構成するポート冗長数分のエントリからなり、ポート冗長番号401と、各ポート冗長を構成する運用ポートと待機用ポートのエントリからなるポート番号402と、前記ポート番号402についてポート冗長状態を示すポート冗長状態403と、前記ポート冗長番号401について切替有無の結果を記録する切替有無404、の項目を含む。切替有無404は、初期状態「未」と、切替をおこなう「有」と、切り替えないことを示す「済」のいずれかが記録される。
【0067】
図33は、消耗情報収集部20の処理フローを示す説明図である(S2100)。図33は、図9に示す処理フローに対して、リンクアグリゲーション制御部30にリンクアグリゲーション切替処理を通知する(S1106)処理を、ポート冗長制御部40にポート冗長切替処理を通知する(S2106)処理に変更しただけであり、他の処理は同一であるため、詳細な説明は割愛する。
【0068】
図34は、ポート冗長制御部40の処理フローを示す説明図である(S2200)。ポート冗長制御部40は、ポート冗長管理テーブル400のエントリ数分、以下の繰り返し処理をおこなう(S2201、S2208)。最初にポート冗長管理テーブル400のポート冗長番号401に該当するポート番号402の全エントリについて、ポート管理テーブル600からポート番号601に該当するポート状態602が「Up」である状態のポート数を取得する(S2202)。次に取得したUp状態のポート数が「2」であるかの判定をおこなう(S2203)。S2203の判定結果が真であれば、ポート冗長のポート切替判定処理を実行する(S2300)。本処理は、後述の図35のS2300で説明する。その後ポート冗長のポート切替処理を実行する(S2400)。本処理は、後述の図36のS2400で説明する。一方、S2203の判定結果が真でなければ、S2300とS2400の処理をおこなわない。
【0069】
図35は、ポート冗長制御部40のポート冗長のポート切替判定処理の処理フローを示す説明図である(S2300)。ポート冗長制御部40は、ポート冗長管理テーブル400のポート冗長番号401に該当する切替有無404を「未」と記録する(S2301)。次に、前記ポート冗長番号401に該当するすべてのポート番号402について、ポート稼動記録テーブル200から該当する稼動値203を取得する(S2302)。次に、ポート番号402に該当するポート冗長状態403が「運用」であるポートの稼動値とポート番号402に該当するポート冗長状態403が「待機用」であるポートの稼動値との差分が消耗係数管理テーブル100の閾値103より大きいかを判定する(S2303)。S2303の判定結果が真であれば、ポート冗長管理テーブル400のポート冗長番号401に該当する切替有無404を「有」と記録する(S2304)。一方、S2304の判定結果が真でなければ、ポート冗長管理テーブル400のポート冗長番号401に該当する切替有無404を「済」と記録する(S2305)。
【0070】
図36は、ポート冗長制御部40のポート冗長のポート切替処理の処理フローを示す説明図である(S2400)。ポート冗長管理テーブル400のポート冗長番号401に該当する切替有無404が「有」であるかを判定する(S2401)。S2401の判定結果が真であれば、ポート番号402に該当するポート冗長状態403が「運用」であるポートと、ポート番号402に該当するポート冗長状態403が「待機用」であるポートについて、運用ポートと待機用ポートの切替をおこなう(S2402)。具体的には、ポート冗長状態403が「運用」であるポートを待機用ポートとして動作させ、ポート冗長状態403が「待機用」であるポートを運用ポートとして動作させる。次に、ポート番号402に該当するポート冗長状態403が「運用」であるポートについて、ポート冗長状態403を「待機用」と記録し、ポート番号402に該当するポート冗長状態403が「待機用」であるポートについて、ポート冗長状態403を「運用」と記録する(S2403)。次に、ポート冗長管理テーブル400のポート冗長番号401に該当する切替有無404を「済」と記録する(S2404)。一方、S2401の判定結果が真でなければ、S2402とS2403とS2404の処理をおこなわない。
【0071】
以上、説明した構成において、具体的動作を説明する。説明の順序として、最初に、ある時点における装置10の状態を、次にポートの切替処理をおこなう処理フローを説明する。
まず、ある時点における装置10の状態について説明する。装置10は、トランシーバ1 70〜トランシーバ3 72をポート番号1 60〜ポート番号3 62に格納し、ポート番号1 60〜ポート番号4 63のうちポート番号1 60とポート番号3 62を使用してポート冗長を構成し、そのうちポート番号1 60を運用回線として、ポート番号3 62を待機用回線として運用しているものとする。このときの、トランシーバテーブル500と、ポート管理テーブル600と、ポート冗長管理テーブル400と、ポート稼動記録テーブル200の状態を、それぞれ図37、図38、図39、図40に示す。
【0072】
図37は、トランシーバテーブル500内にトランシーバ1 70、トランシーバ2 71、トランシーバ3 72の3トランシーバ分のエントリを格納しており、それぞれをトランシーバ番号501の各エントリに「1」、「2」、「3」を割り当てて、ベンダ名502として「XXXX」、「YYYY」、「XXXX」を、ベンダシリアル番号503として「ZZZZ」、「WWWW」、「VVVV」を、差込回数504として「0」、「1」、「0」が格納されている。
【0073】
図38は、ポート管理テーブル600内にポート1 60、ポート2 61、ポート3 62、ポート4 63の4ポート分のエントリを格納しており、それぞれポート番号601の各エントリに「1」、「2」、「3」、「4」を割り当てて、ポート状態602として「Up」、「Up」、「Up」、「Down」を、トランシーバ番号603として「1」、「2」、「3」、「−」を、通信量604として「100000」、「90000」、「50000」、「0」が格納されている。
【0074】
図39は、ポート冗長管理テーブル400内に1つのポート冗長のエントリを格納しており、ポート冗長番号401のエントリ番号として「1」を割り当てている。ポート冗長番号401の1番目のエントリについて、ポート番号402にはポート冗長を構成するポート数分のエントリがあり、それぞれポート番号を示す「1」、「3」を、ポート冗長状態403に「運用」、「待機用」を、切替有無404には「済」を記録している。切替有無404に格納された値は、ポート冗長制御部40の図35のS2305、または図36のS2404により「済」と更新されている。
【0075】
図40は、ポート稼動記録テーブル200内にポート1 60、ポート2 61、ポート3 62、ポート4 63の4ポート分のエントリを格納しており、それぞれポート番号201のエントリ番号として「1」、「2」、「3」、「4」を割り当てて、稼働時間202として「5000」、「4000」、「400」、「500」を、稼動値203として「55000」、「49010」、「25400」、「500」が格納されている。定常時は、消耗情報収集部20が図9の処理をT秒毎に実行し、この稼働時間202および稼動値203が更新される。
【0076】
次に、図33で示すS2100の周期であるT秒が10秒であるとして、10秒経過した時点を一例としてポート切替処理フローを説明する。10秒経過した時点で、ポート管理テーブル600は図38の状態から図41で示される状態となっている。図示したようにポート管理テーブル600のポート番号601の1番目のエントリに該当する通信量604は、10秒間に送受信したパケット数分加算され、値として「101000」であり、ポート番号601の2番目のエントリに該当する通信量604は、10秒間に送受信したパケット数分加算され、値として「90500」と更新されている。なお、待機用ポートであるポート(ポート番号601が「3」のポート)およびポート状態602が「Down」であるポート(ポート番号601が「4」のポート)は、通信量604が加算されていない。
【0077】
この図41の状態において、図33で示す消耗情報収集部20のS2100の処理が実行される。この結果、図41のポート管理テーブル600について、ポート番号1 60、ポート番号2 61、ポート番号3 62、ポート番号4 63の4ポート分の処理(S2101、S2105)をおこない、ポート番号1 60とポート番号2 61とポート番号3 62はポート状態602が「Up」であることによりS2103とS2104の処理が動作し、ポート番号4 63はポート状態602が「Down」であることによりS2103とS2104の処理が動作しない。これにより、ポート稼動記録テーブル200が図42で示されるとおりに更新される。図示したようにポート稼動記録テーブル200のポート番号201の1番目のエントリに該当する稼働時間202の値が「5010」、稼動値203の値が「55510」と記録され、ポート番号201の2番目のエントリに該当する稼働時間202の値が「4010」、稼動値203の値が「49270」と記録され、ポート番号201の3番目のエントリに該当する稼働時間202の値が「410」、稼動値203の値が「25410」と記録される。以上でループ処理(S2101〜S2105)が終了する。続いてポート冗長制御部40にポート冗長切替処理を通知する(S2106)。
【0078】
消耗情報収集部20からの通知を受けたポート冗長制御部40は、図34で示すS2200の処理を実行する。この結果、図39のポート冗長管理テーブル400のエントリ数が1つであり、ポート冗長番号301の1番目のエントリを構成しポート状態が「Up」であるポートがポート番号1 60とポート番号3 62の2つであることから、S2202とS2203が実行され、その後S2300とS2400が実行される。
【0079】
図35で示すS2300の処理において、S2301が最初に実行される。この結果、ポート冗長管理テーブル400が図39の状態から図43で示される通り更新される。図示したようにポート冗長管理テーブル400のポート冗長番号401の1番目のエントリに該当する切替有無404が「未」と記録される。続いてS2302とS2303により、運用状態のポート番号1 60(稼動値は「55510」)と、待機用状態のポート番号3 62(稼動値は「25410」)の稼動値の差分を、消耗情報管理テーブル100の閾値103の値「30000」を比較することで、閾値より大きいと判定する。閾値より大きいと判定したことにより、S2304が実行される。この結果、ポート冗長管理テーブル400が図44で示される通り更新される。図示したようにポート冗長管理テーブル400のポート冗長番号401の1番目のエントリに該当する切替有無404が「有」と記録される。
【0080】
続いて図36で示すS2400の処理において、ポート冗長管理テーブル400のポート冗長番号401の1番目のエントリに該当する切替有無404が「有」であるポート1 60とポート3 62について、S2401とS2402とS2403とS2404を実行する。この結果、ポート冗長管理テーブル400が図45で示される通り更新される。図示したようにポート冗長管理テーブル400のポート番号402の1番目のエントリに該当するポート冗長状態が「待機用」と、ポート番号402の2番目のエントリに該当するポート冗長状態が「運用」と記録され、ポート冗長番号401の1番目のエントリに該当する切替有無404を「済」と記録される。これにより、ポート冗長機能のポート冗長番号401の1番目のエントリは、ポート3 62が運用回線として稼動を開始し、ポート1 60が待機用回線として稼動するようになる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、ポート冗長機能における運用回線の稼動値と待機用回線の稼動値の差分が閾値を超えた場合、運用回線と待機用回線の切替がおこなわれる。この結果、回線の消耗(ポートの稼動時間や通信量や差込回数など)に応じた切替をおこなうことができるようになるため、運用回線と待機用回線を均等化して使用することで、回線寿命を均等化することができる。
【0082】
なお、上述の実施例1および実施例2では図6の計算式を用いて稼動値を算出したが、この算出方式に限らず、例えば以下の(式1)による「稼働時間および通信量による稼動値算出」や(式2)による「通信量のみによる稼動値算出」など、適宜の条件を組み合わせることによって稼動値を算出することも可能である。
(式1)稼動値=稼働時間+通信量×通信量重み値
(式2)稼動値=通信量×通信量重み値
これにより、適宜の条件を組み合わせて算出した稼動値に基づいて、運用回線と待機用回線の切り替えを行うことができるため、様々な回線の消耗状態に応じた切り替えを行うことができる。また、ポート毎に優先度を設定し、優先度が所定の値以上のポートについては、常に運用ポートとして扱い、切り替え対象としないことも可能である。この場合には、例えば図11のS1303において、優先度が所定の値以上のポートを含む組を抽出しないようにすればよい。
【符号の説明】
【0083】
10:装置、20:消耗情報収集部、30:リンクアグリゲーション制御部、40:ポート冗長制御部、50:ポート制御部、51:トランシーバ処理部、52:切替処理部、60〜63:ポート、70〜73:トランシーバ、100:消耗係数管理テーブル、200:ポート稼動記録テーブル、300:リンクアグリゲーション管理テーブル、400:ポート冗長管理テーブル、500:トランシーバテーブル、600:ポート管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して他の装置と接続する装置であって、
前記ネットワークを介してパケットを送受信する複数のポートと、
前記ポートを制御するポート制御部と、
前記ポートの消耗情報として前記ポート毎の稼働時間および通信量を管理する消耗情報管理部を備え、
前記消耗情報管理部は、前記ポート毎の稼働時間および通信量に基づいて稼動値を計算し、前記ポート毎に稼動値を保持することを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記消耗情報管理部は、さらに、前記消耗情報として前記ポートに格納するトランシーバの差込回数を管理し、
前記消耗情報管理部は、前記ポート毎の稼働時間および通信量および差込回数に基づいて稼動値を計算し、前記ポート毎に稼動値を保持することを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の装置であって、
前記複数のポートのうち、少なくとも1つの運用ポートである第1のポートと少なくとも1つの待機用ポートである第2のポートが冗長構成となっており、
前記ポート制御部は、前記消耗情報管理部が保持する前記第1のポートの稼動値と前記第2のポートの稼動値の差分に基づいて、前記第1のポートを待機用ポートに、前記第2のポートを運用ポートに切り替えることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記ポート制御部は、前記稼動値の差分が所定の閾値よりも大きい場合に前記ポートの切り替えを行うことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の装置であって、
前記冗長構成は、リンクアグリゲーションまたはポート冗長機能により実現されることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の装置であって、
前記運用ポートには電力が供給されており、待機用ポートには電力が供給されていないことを特徴とする装置。
【請求項7】
ネットワークを介して他の装置と接続する装置であって、
前記ネットワークを介してパケットを送受信する複数のポートと、
前記ポートを制御するポート制御部と、
前記ポートの消耗情報として前記ポート毎の稼働時間または通信量またはトランシーバ差込回数のうち2以上の項目を管理する消耗情報管理部を備え、
前記消耗情報管理部は、前記ポート毎に管理する前記2以上の項目に基づいて稼動値を計算し、前記ポート毎に稼動値を保持することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記複数のポートのうち、少なくとも1つの運用ポートである第1のポートと少なくとも1つの待機用ポートである第2のポートが冗長構成となっており、
前記ポート制御部は、前記消耗情報管理部が保持する前記第1のポートの稼動値と前記第2のポートの稼動値の差分に基づいて、前記第1のポートを待機用ポートに、前記第2のポートを運用ポートに切り替えることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、
前記ポート制御部は、前記稼動値の差分が所定の閾値よりも大きい場合に前記ポートの切り替えを行うことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の装置であって、
前記冗長構成は、リンクアグリゲーションまたはポート冗長機能により実現されることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の装置であって、
前記運用ポートには電力が供給されており、待機用ポートには電力が供給されていないことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2013−5125(P2013−5125A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132792(P2011−132792)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(504411166)アラクサラネットワークス株式会社 (315)
【Fターム(参考)】