写真風織物の製織方法
【課題】特色により強調された部分を有する画像やよりグラディエーションのなめらかな表現にする。
【解決手段】
コンピュータに取り込まれたフルカラーの画像データを高周波成分と低周波成分を範囲指定することで特色に色分解し、各濃度差を白黒2階調のハーフトーン分解して夫々の画像信号を統合し、使用するタオル織機の色糸限定数の範囲内に減色し、減色された色糸を緯糸又は上糸に割り当て、擬似的にフルカラー若しくはモノトーンの画像データを作成し、使用するタオル織機の色糸情報と縦方向密度情報をコンピュータに入力し、これらの情報に基づいて画像データを変換して作成された織成データに従ってタオル織機を駆動させ、織物の柄の表現に必要な緯糸又は上糸を表面組織に配設し、該糸の裏側に柄表現に不必要な緯糸又は上糸を配設し、表面組織に配設された経糸又は/及び緯糸でフルカラー画像データと近似した特色による写真風織物を織成することを特徴とする。
【解決手段】
コンピュータに取り込まれたフルカラーの画像データを高周波成分と低周波成分を範囲指定することで特色に色分解し、各濃度差を白黒2階調のハーフトーン分解して夫々の画像信号を統合し、使用するタオル織機の色糸限定数の範囲内に減色し、減色された色糸を緯糸又は上糸に割り当て、擬似的にフルカラー若しくはモノトーンの画像データを作成し、使用するタオル織機の色糸情報と縦方向密度情報をコンピュータに入力し、これらの情報に基づいて画像データを変換して作成された織成データに従ってタオル織機を駆動させ、織物の柄の表現に必要な緯糸又は上糸を表面組織に配設し、該糸の裏側に柄表現に不必要な緯糸又は上糸を配設し、表面組織に配設された経糸又は/及び緯糸でフルカラー画像データと近似した特色による写真風織物を織成することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は写真等から光学的に読み取ったフルカラーの画像データと略同様に、色彩豊かな図柄をタオル織機を用いて写実的に表現することのできる写真風織物の製織方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、R(赤)G(緑)B(青)分解+特色若しくはC(シアン)M(マゼンダ)Y(イエロー)B(ブラック)分解+特色を使用することで擬似的に色が混合したようにし、恰も写真のように見える柄を織成する方法としては、特許文献1、2、3、4、5、6又は7記載の発明が提案されている。しかしながら、これらの発明はパンチングカード枚数との関係や、線形補間法や最近傍法を用いていないため、タオル織機で織成不可能で、又、タオルのような糸太番手を使用して織成すると、手で織物を取れる近距離では写真織物に見えず、単に色糸が入り組んで織成されているように見える。輪郭周囲に輪郭内側部と同じ織り組織を入れることになるので糸太番手を用いると、輪郭が明白にならない。上記織成方法は、ネクタイ等の糸細番手を用いて高密度織機で織成する方法であって、この方法をタオル織機で節約織りをするとタオル織機の構造上、タオル織機の機種によっては停止し稼動しない場合がある。
又、誤差拡散法による分解を用いたものとして特許文献8や特許文献9に記載の発明が存在する。誤差拡散法で得られた画像は、1ピクセル基準で画像を作成し、1ピクセルで作成された画像は1ドットが1mm以下であるため、例えばミシン糸のような直径1mm以下の糸で製織する場合には適用可能であるが、1mm程度の太い糸を用いるタオル製織用糸には適用できない。そのため、人為的に不要なピクセルを目分量で塗り潰し、1mm以上のタオル製織用糸の太さに対応するために間引きして5ドット、10ドットでドットを固めて1mm以上の固まりピクセルにする必要性があり、誤差拡散法を用いる分解は太い製織用糸を用いるタオル製織には不向きである。
【0003】
本願発明者は、太いタオル製織用糸を用いる製織にはコンピュータに取り込んだ画像をハーフトーン分解を用いて分解し、ピクセルの固まりを製織用糸の直径に合致するように調整することで、太さのあるタオル製織用糸を用いるタオル製織に対応可能なことに着目し、ハーフトーン分解工程を有する写真風織物の製織方法を創案した。この内容は、特願2005−381027として特許出願をし、特許第4214550号として特許権を取得した。
特許第4214550号に係る特許発明は、ハーフトーン分解を用いて画像分解したものをモノトーンに変換することが有効であるとして、色糸をCMYKに限定している。
しかしながら、色糸を限定すると、強調された部分を有する画像やよりグラディエーションのなめらかな表現をするには限界がある場合もあるという問題点を有する。
【特許文献1】特表2004−509244号公報
【特許文献2】特開2002−302843号公報
【特許文献3】特開2001−226848号公報
【特許文献4】特開2000−212850号公報
【特許文献5】特開平11−256448号公報
【特許文献6】特開平7−216682号公報
【特許文献7】特開2003−201645号公報
【特許文献8】特開2001−226848号公報
【特許文献9】特表2004−522870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明は、上記従来技術の有する問題点を解決するために、コンピュータに取り込んだ画像と同様な写実的図柄をタオル織物に表現するに際し、不要な色を排除し、製織者の選択する特定色の色糸でタオル織物のボーダー部のみならず、毛部分においてもパイルで写真風の写実的図柄を表現可能な写真風織物の製織方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、コンピュータ処理されたデータにより、タオル織機で織物の表側に表出した緯糸又は上糸で柄を織物に表現する写真風織物の製織方法において、写真、絵画等を画像入力手段により光学的に読み取り、フルカラー画像データとして、解像度が使用するタオル織機のデータに対応してピクセル調整されたコンピュータに取り込む工程と、取り込まれたフルカラーの画像データを高周波成分と低周波成分を範囲指定することで特色に色分解し、夫々の濃度差を白黒2階調のハーフトーン分解する工程と、白黒に変換された夫々の画像信号を統合し、使用するタオル織機の色糸限定数の範囲内に減色する工程と、減色された色彩の糸を緯糸又は上糸に割り当て、擬似的にフルカラー若しくはモノトーンの画像データを作成する工程と、使用するタオル織機の色糸情報と縦方向密度情報をコンピュータに入力し、これらの情報に基づいて画像データを変換する工程とにより作成された織成データに従ってタオル織機を駆動させ、織物の柄の表現に必要な緯糸又は上糸を表面組織に配設し、該糸の裏側に柄表現に不必要な緯糸又は上糸を配設し、表面組織に配設された経糸又は/及び緯糸でコンピュータに取り込まれたフルカラー画像データと近似した特色による写真風織物を織成することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、コンピュータ処理されたデータにより、タオル織機でタオル織物の表側又は/及び裏側に表出した経糸のパイル部分で色柄をタオル織物の毛中に表現する写真風織物の製織方法であって、写真、絵画等を画像入力手段により光学的に読み取り、フルカラー画像データとして、解像度が使用するタオル織機のデータに対応してピクセル調整されたコンピュータに取り込む工程と、取り込まれたフルカラーの画像データを特色に色分解し、夫々の濃度差を白黒2階調のハーフトーン分解する工程と、白黒に変換された夫々の画像信号を統合し、使用するタオル織機の色糸限定数の範囲内に減色する工程と、減色された色彩の糸を経糸又は/及び緯糸に割り当て、擬似的に特色によるフルカラーの画像データを作成する工程と、使用するタオル織機の色糸情報と横方向密度情報をコンピュータに入力し、これらの情報に基づいて画像データを変換する工程とにより作成された織成データに従ってタオル織機を駆動させ、タオル織物の表側又は/及び裏側に織物の柄の表現に必要な経糸でパイルを形成し、柄表現に不必要な経糸はパイルを形成せず、経糸のパイル部分でコンピュータに取り込まれたフルカラー画像データと近似した特色による写真風織物を織成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
コンピュータに入力した画像をハーフトーン分解により色の固まりを抽出することで、ピクセルの大きさをタオル製織用糸の直径に合致した大きさにすることで、タオル織機でタオル製織用糸を用いるタオル製織に対応することができるという効果がある。
限定された色数で、多色の表現を行うことができ、太番手の糸で低密度に織成しても、近距離で写真のような写実的な図柄に見えるタオル織物を提供できるという効果がある。
タオルのボーダー部のみならず、毛部分においてもパイルで写真風織物を織成できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0007】
写真、色彩を有する図柄等をカラースキャナ等の画像入力装置により読み取り、コンピュータにフルカラーのデジタル画像データとして取り込む。画像データ取り込みの場合、ピクセルと使用するタオル織機の紋丈及び紋口との関係を関連づけるピクセル調整を行う必要がある。つまり、1ピクセルを糸の上と落のデータとしてとらえ、ピクセルの存在するところは糸の組織も存在すると設定し、解像度は使用するタオル織機のデータに対応するようにピクセル調整を行なう。ピクセル調整を行わない場合、写真の網点を調整しても網点は織機データとしては消去され、又、網がけを行うことで擬似的なグラディエーションを作成している部分が消去されてしまうという理由による。
【0008】
取り込まれたフルカラーの画像テータを特色による色分解を行なう。特色による色分解は市販のコンピュータソフト等で、近似の色を高周波成分と低周波成分の数値を調整することで選択の範囲を設定する。R、G、Bを例に説明すると、RGBの設定範囲は0から255までの色がコンピュータのパレットとして選択可能である。コンピュータパレットは0が黒で、255が白と国際的に統一化されている。現在市販のコンピュータソフトは、この統一化されたパレットを基準にプログラムされていることは周知である。それゆえ、一例としてR=100、G=100及びB=100を選択する場合、高周波成分と低周波成分の範囲を前後20とすると、選ばれる範囲はRは80から120、Gは80から120、Bは80から120であり、これらの範囲の色が選択範囲として選ばれる。より詳細に説明すると、画像の色調分布を解析するための一例としてヒストグラムによる補正を行う。グラティエーションを解析し、タオル織機で製織するためには不必要な部分がどの部分であるかを判断するためにヒストグラムを用い、ヒストグラムから周波数成分を区分けすることで色の範囲を狭めていく。
選択された範囲の色画像は、ハーフトーン分解によりタオル織機を稼動させるためのデータに変換する。本実施例では、網角を意図的に同色のピクセルが横に並びやすい角度に設定し、その設定角度による分解を行う。ハーフトーンは特色の夫々の色の濃淡を表示した画像である。つまり、白黒に変換された特色の夫々の画像を同一画素値が定義された複数の隣接されたピクセル群となる白黒2階調のハーフトーンに変換する。
本実施例でハーフトーン分解を使用するのは、ピクセルの固まりで分解をし、使用する糸の直径以下のものは黒、若しくは白の固まりとして表現し、固まりの大きさを使用する糸の直径に合致するように調整することで、少なくとも直径1mmを有する太さのあるタオル製織用糸を用いる製織に対応できるという理由による。
【0009】
作成された特色の各白黒2階調画像信号を各特色のチャンネルに割り当て、統合する。すなわち、各特色のチャンネルに分解し、0、1信号の画像に分解、再合成という手順をふみ、色の固まりを抽出することで、直径1mm程度の太いタオル製織用糸を使用してタオル織機で製織可能にしている。
選択する色糸の数は、使用するタオル織機の色糸限定数により決定される。
具体例として、4色で製織する場合は、4段階で色の選択範囲を決定する。つまり、例えば選択範囲をR=0、G=0、B=0、R=100、G=100、B=100、R=200、G=200、B=200、R=255、G=255、B=255を選択し、夫々に高周波成分と低周波成分の範囲を割り当て、近似値を選ぶ。つまり、高周波成分と低周波成分の範囲をヒストグラムを用いて決定し、決定した色の色糸を割り当てるものである。図1に示す白から薄い灰色、濃い灰色、そして黒色に至るグラディエーションを織物に表現するのに使用する色糸を決定する場合を例に説明する。図1の白から黒に亘るグラディエーションのヒストグラムより、図1のグラディエーションの区間に於けるヒストグラム上で不要な部分は白度20%前後が、黒度は10%前後が好適である。従って、4つに色分けする場合は、その色のヒストグラムから夫々の高周波成分20%、低周波成分10%は切り捨てたヒストグラムからハーフトーン分解前の画像を作成する。但し、図2の白成分のヒストグラムと図5で示される黒成分のヒストグラムは、何人が分解しても略同じ結果を得るが、白色と黒色との間の中間色の色糸はメーカーにより異なる。図3は薄い灰色成分のヒストグラム、図4は濃い灰色成分のヒストグラムであるが、ヒストグラム上で判断し、更に高周波成分と低周波成分を排除し決定した色糸を割り当ててもよい。
図6はR=255、G=255、B=255のハーフトーン分解前の画像、図7はR=200、G=200、B=200のハーフトーン分解前の画像、図8はR=100、G=100、B=100のハーフトーン分解前の画像、図9はR=0、G=0、B=0のハーフトーン分解前の画像である。図10はR=255、G=255、B=255のハーフトーン分解後の画像、図11はR=200、G=200、B=200のハーフトーン分解後の画像、図12はR=100、G=100、B=100のハーフトーン分解後の画像、図13はR=0、G=0、B=0のハーフトーン分解後の画像である。図10〜図13の画像は、ハーフトーン分解により白黒2階調となっているため、夫々の色を付して1つの画像に合成したものを図14に示す。ハーフトーン分解により白黒2階調の画像に夫々の色を付して1つの画像に合成したものは、R=0、G=0、B=0、R=100、G=100、B=100、R=200、G=200、B=200、R=255、G=255、B=255の4段階の色分けされた網点の画像が出来上がる。この4段階の色は織機で使用する色糸に対応し、且つ、網目の大きい分解であるため太いタオル製織用糸を用いてタオル織機で製織するのに最適な分解結果となっている。
【0010】
次に製織データの作成を行う。
画像データは縦横のピクセル数と織機データであるCGSの紋丈、紋口が、横ピクセル数=紋口、縦のピクセル数=紋丈の関係にあり、画像データを紋口数と紋丈数を織成する織物のサイズに合わせる。この場合、縦の紋丈数は、カード枚数に応じて作成する。まず、紋丈数を決定するためにメートルの作成を設定する。メートルとは抒替えの情報、つまり緯色糸情報と縦1インチ間の糸密度及び単動若しくは節約の情報を埋め込むデータ領域を示す。メートル作成方法は、CGS作成用ソフトにより異なるが、一般に次の方法で作成する。メートルの本数は織物の組織により変化するために必ずしも特定本数が定まらないが、例えば2色の平地部分を節約カードとして作成するときはメートルの本数は2本、3色の平地部分を節約カードとして作成するときはメートルは3本作成することが好適である。このとき、メートルの情報として抒替え情報を埋め込む。抒替え情報として埋め込まれるのは緯色糸の指定情報と縦方向の1インチ間の密度の情報である。X.lengthを画像データの縦方向のピクセル数、Nを織成する織物の長さ(単位:cm)、Pを織物の縦方向1インチ間の密度、Mを縮率とすると、X.length=(N÷2.54)×p×(1+0.01×M)の式が成立する。X.lengthは単動のピクセル数として計算され、単動のタオル織機を用いる場合は、上記X.lengthの値を節約タオル織機を用いる場合は使用する色数で割った値を節約のデータとして換算される。図15は5色の緯糸を表面に織り出した繻子織の密度を高める前の表面図、図16は赤色糸1、青色糸2、イエロー色糸3、黒色糸4、白色糸5の密度を高めた状態の表面図である。5色の糸のうちの赤色糸1以外の4色の糸は裏に隠れ、赤色糸1の1色の糸のみが表出し表側は恰も赤色糸1の1色の糸しか見えないようにする必要性があり、各糸が表に出る確率は1/5ということになる。つまり、画像データの解像度はそのままで、縦方向ピクセル数(紋丈)のみ1/5に縮小するようになる。6は経糸、7は留め糸である。
一般にある点(x,y)が縮小又は拡大され(X,Y)に位置変更する場合にはX=ax、Y=byの関係が成立する。拡大又は縮小を行う場合は、この工程において線形補間法が用いられる。a<1及びb<1の場合は縮小になり、a>1及びb>1の場合は拡大になる。すべての画素点にX=ax,Y=byの公式が用いられ、出力画面上の点(X,Y)の濃度値に入力画面上(x,y)の濃度値を書き込む。縮小の場合、配列した緯糸の中間に位置する色が削除される場合がある。例えば、図17に示す出力画面の図案を1/5に縮小すると、図18に示すように上下両端の赤色14と青色15のみが残ってしまうという不具合が生じる。これを解決するために、線形補完法と同時に最近傍法を用い、四捨五入して画面上の座標(X,Y)に最も近い格子点を選ぶ。
【0011】
本願発明は織物の表側に表出する緯色糸を上げとして組織を組み込み、その他の緯色糸は裏側に隠してしまうが、網点や濃淡が明白でない部分は、分解段階がドットが消えないようにドットの周囲にさらに異なる組織、つまり通常は上げ組織を入れることで、先の特色分解が消えないように組織を組み込む。例えば、図19のように、黒部分で経糸を表出して緯糸を留めるが、青色の緯糸の組織部分8と赤色の緯糸の組織部分9との境界部分10の黒部分11を除去し、図20に示すように右側部分は、右側部分の色と同色の緯糸を表側に出し、左側部分は左側部分の色と同色の緯糸を表側に出して留め糸である経糸を下に隠して、夫々上げ組織12、13を入れることで色彩等の境界を明瞭にする。
【実施例2】
【0012】
写真等をコンピュータに画像データとして取り込み、ハーフトーンに変換する工程は、実施例1と全く同じであるので説明を省略する。
【0013】
図21に示すように、毛中の部分は経糸16と下糸17、緯糸18で構成され、下糸はパイルを作成するために経糸を引っぱる用途をなし、経糸はパイルを形成し、緯糸はパイルすなわち経糸と下糸を留める役目を果たす。経糸は特色で構成し、毛違い織りをする。もっとも効率のよい写真製版パイル組織を作成するためには特色数色を使用すべきであるが、特色が増えると増えただけ、6色毛違い、7色毛違いとなり、横方向のオサ密度が増えないと、非常に荒くなってしまい、製品としてはあまり品質のよいものに仕上がらない。例えば、5色毛違いで白を表面にパイルとして出すには、パイル表面が横方向に特色19(落ち)、特色20(落ち)、特色21(落ち)、特色22(落ち)、特色23(上げ)とする。特色19を表面にパイルとして出すには、図13に示す通り、特色19(上げ)、特色20(落ち)、特色21(落ち)、特色22(落ち)、特色23(落ち)という構成に織成する。本実施例では、表に出るパイルは1/5であり、横方向のオサ密度は高密度であればあるほどよい。これは、6色毛違いであれば当然パイルの表面に出る範囲が1/6となるため、さらにオサを高密度にする必要がある。こうして作成されたものは5色毛違いであれば、経糸のみで特色の5色のみで恰も写真のような写実的な図柄を呈する多色のパイル製品を作成することが可能である。
【0014】
このようにして、緯糸に特定の色糸を使うことでタオルボーダー部に、経糸に特定の色糸を使うことで、タオルパイル部にプリントをせずしてタオルのすべての部分にて写真製版の表現が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】グラディエーションとそのヒストグラムである。(実施例1)
【図2】白成分のヒストグラムである。(実施例1)
【図3】薄い灰色成分のヒストグラムである。(実施例1)
【図4】濃い灰色成分のヒストグラムである。(実施例1)
【図5】黒成分のヒストグラムである。(実施例1)
【図6】R=255、G=255、B=255のハーフトーン分解前の画像である。(実施例1)
【図7】R=200、G=200、B=200のハーフトーン分解前の画像である。(実施例1)
【図8】R=100、G=100、B=100のハーフトーン分解前の画像である。(実施例1)
【図9】R=0、G=0、B=0のハーフトーン分解前の画像である。(実施例1)
【図10】R=255、G=255、B=255のハーフトーン分解後の画像である。(実施例1)
【図11】R=200、G=200、B=200のハーフトーン分解後の画像である。(実施例1)
【図12】R=100、G=100、B=100のハーフトーン分解後の画像である。(実施例1)
【図13】R=0、G=0、B=0のハーフトーン分解後の画像である。(実施例1)
【図14】図10〜図13の画像に夫々の色を付し、合成して1つの画像にしたものである。(実施例1)
【図15】密度を高める前の表面図である。(実施例1)
【図16】密度を高めた後の表面図である。(実施例1)
【図17】入力画面である。(実施例1)
【図18】出力画面である。(実施例1)
【図19】境界部分の留め用経糸を黒い部分で説明した図である。(実施例1)
【図20】異なる上げ組織を入れた説明図である。(実施例1)
【図21】組織図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0016】
6、16 経糸
17 下糸
18 緯糸
【技術分野】
【0001】
本発明は写真等から光学的に読み取ったフルカラーの画像データと略同様に、色彩豊かな図柄をタオル織機を用いて写実的に表現することのできる写真風織物の製織方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、R(赤)G(緑)B(青)分解+特色若しくはC(シアン)M(マゼンダ)Y(イエロー)B(ブラック)分解+特色を使用することで擬似的に色が混合したようにし、恰も写真のように見える柄を織成する方法としては、特許文献1、2、3、4、5、6又は7記載の発明が提案されている。しかしながら、これらの発明はパンチングカード枚数との関係や、線形補間法や最近傍法を用いていないため、タオル織機で織成不可能で、又、タオルのような糸太番手を使用して織成すると、手で織物を取れる近距離では写真織物に見えず、単に色糸が入り組んで織成されているように見える。輪郭周囲に輪郭内側部と同じ織り組織を入れることになるので糸太番手を用いると、輪郭が明白にならない。上記織成方法は、ネクタイ等の糸細番手を用いて高密度織機で織成する方法であって、この方法をタオル織機で節約織りをするとタオル織機の構造上、タオル織機の機種によっては停止し稼動しない場合がある。
又、誤差拡散法による分解を用いたものとして特許文献8や特許文献9に記載の発明が存在する。誤差拡散法で得られた画像は、1ピクセル基準で画像を作成し、1ピクセルで作成された画像は1ドットが1mm以下であるため、例えばミシン糸のような直径1mm以下の糸で製織する場合には適用可能であるが、1mm程度の太い糸を用いるタオル製織用糸には適用できない。そのため、人為的に不要なピクセルを目分量で塗り潰し、1mm以上のタオル製織用糸の太さに対応するために間引きして5ドット、10ドットでドットを固めて1mm以上の固まりピクセルにする必要性があり、誤差拡散法を用いる分解は太い製織用糸を用いるタオル製織には不向きである。
【0003】
本願発明者は、太いタオル製織用糸を用いる製織にはコンピュータに取り込んだ画像をハーフトーン分解を用いて分解し、ピクセルの固まりを製織用糸の直径に合致するように調整することで、太さのあるタオル製織用糸を用いるタオル製織に対応可能なことに着目し、ハーフトーン分解工程を有する写真風織物の製織方法を創案した。この内容は、特願2005−381027として特許出願をし、特許第4214550号として特許権を取得した。
特許第4214550号に係る特許発明は、ハーフトーン分解を用いて画像分解したものをモノトーンに変換することが有効であるとして、色糸をCMYKに限定している。
しかしながら、色糸を限定すると、強調された部分を有する画像やよりグラディエーションのなめらかな表現をするには限界がある場合もあるという問題点を有する。
【特許文献1】特表2004−509244号公報
【特許文献2】特開2002−302843号公報
【特許文献3】特開2001−226848号公報
【特許文献4】特開2000−212850号公報
【特許文献5】特開平11−256448号公報
【特許文献6】特開平7−216682号公報
【特許文献7】特開2003−201645号公報
【特許文献8】特開2001−226848号公報
【特許文献9】特表2004−522870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明は、上記従来技術の有する問題点を解決するために、コンピュータに取り込んだ画像と同様な写実的図柄をタオル織物に表現するに際し、不要な色を排除し、製織者の選択する特定色の色糸でタオル織物のボーダー部のみならず、毛部分においてもパイルで写真風の写実的図柄を表現可能な写真風織物の製織方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、コンピュータ処理されたデータにより、タオル織機で織物の表側に表出した緯糸又は上糸で柄を織物に表現する写真風織物の製織方法において、写真、絵画等を画像入力手段により光学的に読み取り、フルカラー画像データとして、解像度が使用するタオル織機のデータに対応してピクセル調整されたコンピュータに取り込む工程と、取り込まれたフルカラーの画像データを高周波成分と低周波成分を範囲指定することで特色に色分解し、夫々の濃度差を白黒2階調のハーフトーン分解する工程と、白黒に変換された夫々の画像信号を統合し、使用するタオル織機の色糸限定数の範囲内に減色する工程と、減色された色彩の糸を緯糸又は上糸に割り当て、擬似的にフルカラー若しくはモノトーンの画像データを作成する工程と、使用するタオル織機の色糸情報と縦方向密度情報をコンピュータに入力し、これらの情報に基づいて画像データを変換する工程とにより作成された織成データに従ってタオル織機を駆動させ、織物の柄の表現に必要な緯糸又は上糸を表面組織に配設し、該糸の裏側に柄表現に不必要な緯糸又は上糸を配設し、表面組織に配設された経糸又は/及び緯糸でコンピュータに取り込まれたフルカラー画像データと近似した特色による写真風織物を織成することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、コンピュータ処理されたデータにより、タオル織機でタオル織物の表側又は/及び裏側に表出した経糸のパイル部分で色柄をタオル織物の毛中に表現する写真風織物の製織方法であって、写真、絵画等を画像入力手段により光学的に読み取り、フルカラー画像データとして、解像度が使用するタオル織機のデータに対応してピクセル調整されたコンピュータに取り込む工程と、取り込まれたフルカラーの画像データを特色に色分解し、夫々の濃度差を白黒2階調のハーフトーン分解する工程と、白黒に変換された夫々の画像信号を統合し、使用するタオル織機の色糸限定数の範囲内に減色する工程と、減色された色彩の糸を経糸又は/及び緯糸に割り当て、擬似的に特色によるフルカラーの画像データを作成する工程と、使用するタオル織機の色糸情報と横方向密度情報をコンピュータに入力し、これらの情報に基づいて画像データを変換する工程とにより作成された織成データに従ってタオル織機を駆動させ、タオル織物の表側又は/及び裏側に織物の柄の表現に必要な経糸でパイルを形成し、柄表現に不必要な経糸はパイルを形成せず、経糸のパイル部分でコンピュータに取り込まれたフルカラー画像データと近似した特色による写真風織物を織成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
コンピュータに入力した画像をハーフトーン分解により色の固まりを抽出することで、ピクセルの大きさをタオル製織用糸の直径に合致した大きさにすることで、タオル織機でタオル製織用糸を用いるタオル製織に対応することができるという効果がある。
限定された色数で、多色の表現を行うことができ、太番手の糸で低密度に織成しても、近距離で写真のような写実的な図柄に見えるタオル織物を提供できるという効果がある。
タオルのボーダー部のみならず、毛部分においてもパイルで写真風織物を織成できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0007】
写真、色彩を有する図柄等をカラースキャナ等の画像入力装置により読み取り、コンピュータにフルカラーのデジタル画像データとして取り込む。画像データ取り込みの場合、ピクセルと使用するタオル織機の紋丈及び紋口との関係を関連づけるピクセル調整を行う必要がある。つまり、1ピクセルを糸の上と落のデータとしてとらえ、ピクセルの存在するところは糸の組織も存在すると設定し、解像度は使用するタオル織機のデータに対応するようにピクセル調整を行なう。ピクセル調整を行わない場合、写真の網点を調整しても網点は織機データとしては消去され、又、網がけを行うことで擬似的なグラディエーションを作成している部分が消去されてしまうという理由による。
【0008】
取り込まれたフルカラーの画像テータを特色による色分解を行なう。特色による色分解は市販のコンピュータソフト等で、近似の色を高周波成分と低周波成分の数値を調整することで選択の範囲を設定する。R、G、Bを例に説明すると、RGBの設定範囲は0から255までの色がコンピュータのパレットとして選択可能である。コンピュータパレットは0が黒で、255が白と国際的に統一化されている。現在市販のコンピュータソフトは、この統一化されたパレットを基準にプログラムされていることは周知である。それゆえ、一例としてR=100、G=100及びB=100を選択する場合、高周波成分と低周波成分の範囲を前後20とすると、選ばれる範囲はRは80から120、Gは80から120、Bは80から120であり、これらの範囲の色が選択範囲として選ばれる。より詳細に説明すると、画像の色調分布を解析するための一例としてヒストグラムによる補正を行う。グラティエーションを解析し、タオル織機で製織するためには不必要な部分がどの部分であるかを判断するためにヒストグラムを用い、ヒストグラムから周波数成分を区分けすることで色の範囲を狭めていく。
選択された範囲の色画像は、ハーフトーン分解によりタオル織機を稼動させるためのデータに変換する。本実施例では、網角を意図的に同色のピクセルが横に並びやすい角度に設定し、その設定角度による分解を行う。ハーフトーンは特色の夫々の色の濃淡を表示した画像である。つまり、白黒に変換された特色の夫々の画像を同一画素値が定義された複数の隣接されたピクセル群となる白黒2階調のハーフトーンに変換する。
本実施例でハーフトーン分解を使用するのは、ピクセルの固まりで分解をし、使用する糸の直径以下のものは黒、若しくは白の固まりとして表現し、固まりの大きさを使用する糸の直径に合致するように調整することで、少なくとも直径1mmを有する太さのあるタオル製織用糸を用いる製織に対応できるという理由による。
【0009】
作成された特色の各白黒2階調画像信号を各特色のチャンネルに割り当て、統合する。すなわち、各特色のチャンネルに分解し、0、1信号の画像に分解、再合成という手順をふみ、色の固まりを抽出することで、直径1mm程度の太いタオル製織用糸を使用してタオル織機で製織可能にしている。
選択する色糸の数は、使用するタオル織機の色糸限定数により決定される。
具体例として、4色で製織する場合は、4段階で色の選択範囲を決定する。つまり、例えば選択範囲をR=0、G=0、B=0、R=100、G=100、B=100、R=200、G=200、B=200、R=255、G=255、B=255を選択し、夫々に高周波成分と低周波成分の範囲を割り当て、近似値を選ぶ。つまり、高周波成分と低周波成分の範囲をヒストグラムを用いて決定し、決定した色の色糸を割り当てるものである。図1に示す白から薄い灰色、濃い灰色、そして黒色に至るグラディエーションを織物に表現するのに使用する色糸を決定する場合を例に説明する。図1の白から黒に亘るグラディエーションのヒストグラムより、図1のグラディエーションの区間に於けるヒストグラム上で不要な部分は白度20%前後が、黒度は10%前後が好適である。従って、4つに色分けする場合は、その色のヒストグラムから夫々の高周波成分20%、低周波成分10%は切り捨てたヒストグラムからハーフトーン分解前の画像を作成する。但し、図2の白成分のヒストグラムと図5で示される黒成分のヒストグラムは、何人が分解しても略同じ結果を得るが、白色と黒色との間の中間色の色糸はメーカーにより異なる。図3は薄い灰色成分のヒストグラム、図4は濃い灰色成分のヒストグラムであるが、ヒストグラム上で判断し、更に高周波成分と低周波成分を排除し決定した色糸を割り当ててもよい。
図6はR=255、G=255、B=255のハーフトーン分解前の画像、図7はR=200、G=200、B=200のハーフトーン分解前の画像、図8はR=100、G=100、B=100のハーフトーン分解前の画像、図9はR=0、G=0、B=0のハーフトーン分解前の画像である。図10はR=255、G=255、B=255のハーフトーン分解後の画像、図11はR=200、G=200、B=200のハーフトーン分解後の画像、図12はR=100、G=100、B=100のハーフトーン分解後の画像、図13はR=0、G=0、B=0のハーフトーン分解後の画像である。図10〜図13の画像は、ハーフトーン分解により白黒2階調となっているため、夫々の色を付して1つの画像に合成したものを図14に示す。ハーフトーン分解により白黒2階調の画像に夫々の色を付して1つの画像に合成したものは、R=0、G=0、B=0、R=100、G=100、B=100、R=200、G=200、B=200、R=255、G=255、B=255の4段階の色分けされた網点の画像が出来上がる。この4段階の色は織機で使用する色糸に対応し、且つ、網目の大きい分解であるため太いタオル製織用糸を用いてタオル織機で製織するのに最適な分解結果となっている。
【0010】
次に製織データの作成を行う。
画像データは縦横のピクセル数と織機データであるCGSの紋丈、紋口が、横ピクセル数=紋口、縦のピクセル数=紋丈の関係にあり、画像データを紋口数と紋丈数を織成する織物のサイズに合わせる。この場合、縦の紋丈数は、カード枚数に応じて作成する。まず、紋丈数を決定するためにメートルの作成を設定する。メートルとは抒替えの情報、つまり緯色糸情報と縦1インチ間の糸密度及び単動若しくは節約の情報を埋め込むデータ領域を示す。メートル作成方法は、CGS作成用ソフトにより異なるが、一般に次の方法で作成する。メートルの本数は織物の組織により変化するために必ずしも特定本数が定まらないが、例えば2色の平地部分を節約カードとして作成するときはメートルの本数は2本、3色の平地部分を節約カードとして作成するときはメートルは3本作成することが好適である。このとき、メートルの情報として抒替え情報を埋め込む。抒替え情報として埋め込まれるのは緯色糸の指定情報と縦方向の1インチ間の密度の情報である。X.lengthを画像データの縦方向のピクセル数、Nを織成する織物の長さ(単位:cm)、Pを織物の縦方向1インチ間の密度、Mを縮率とすると、X.length=(N÷2.54)×p×(1+0.01×M)の式が成立する。X.lengthは単動のピクセル数として計算され、単動のタオル織機を用いる場合は、上記X.lengthの値を節約タオル織機を用いる場合は使用する色数で割った値を節約のデータとして換算される。図15は5色の緯糸を表面に織り出した繻子織の密度を高める前の表面図、図16は赤色糸1、青色糸2、イエロー色糸3、黒色糸4、白色糸5の密度を高めた状態の表面図である。5色の糸のうちの赤色糸1以外の4色の糸は裏に隠れ、赤色糸1の1色の糸のみが表出し表側は恰も赤色糸1の1色の糸しか見えないようにする必要性があり、各糸が表に出る確率は1/5ということになる。つまり、画像データの解像度はそのままで、縦方向ピクセル数(紋丈)のみ1/5に縮小するようになる。6は経糸、7は留め糸である。
一般にある点(x,y)が縮小又は拡大され(X,Y)に位置変更する場合にはX=ax、Y=byの関係が成立する。拡大又は縮小を行う場合は、この工程において線形補間法が用いられる。a<1及びb<1の場合は縮小になり、a>1及びb>1の場合は拡大になる。すべての画素点にX=ax,Y=byの公式が用いられ、出力画面上の点(X,Y)の濃度値に入力画面上(x,y)の濃度値を書き込む。縮小の場合、配列した緯糸の中間に位置する色が削除される場合がある。例えば、図17に示す出力画面の図案を1/5に縮小すると、図18に示すように上下両端の赤色14と青色15のみが残ってしまうという不具合が生じる。これを解決するために、線形補完法と同時に最近傍法を用い、四捨五入して画面上の座標(X,Y)に最も近い格子点を選ぶ。
【0011】
本願発明は織物の表側に表出する緯色糸を上げとして組織を組み込み、その他の緯色糸は裏側に隠してしまうが、網点や濃淡が明白でない部分は、分解段階がドットが消えないようにドットの周囲にさらに異なる組織、つまり通常は上げ組織を入れることで、先の特色分解が消えないように組織を組み込む。例えば、図19のように、黒部分で経糸を表出して緯糸を留めるが、青色の緯糸の組織部分8と赤色の緯糸の組織部分9との境界部分10の黒部分11を除去し、図20に示すように右側部分は、右側部分の色と同色の緯糸を表側に出し、左側部分は左側部分の色と同色の緯糸を表側に出して留め糸である経糸を下に隠して、夫々上げ組織12、13を入れることで色彩等の境界を明瞭にする。
【実施例2】
【0012】
写真等をコンピュータに画像データとして取り込み、ハーフトーンに変換する工程は、実施例1と全く同じであるので説明を省略する。
【0013】
図21に示すように、毛中の部分は経糸16と下糸17、緯糸18で構成され、下糸はパイルを作成するために経糸を引っぱる用途をなし、経糸はパイルを形成し、緯糸はパイルすなわち経糸と下糸を留める役目を果たす。経糸は特色で構成し、毛違い織りをする。もっとも効率のよい写真製版パイル組織を作成するためには特色数色を使用すべきであるが、特色が増えると増えただけ、6色毛違い、7色毛違いとなり、横方向のオサ密度が増えないと、非常に荒くなってしまい、製品としてはあまり品質のよいものに仕上がらない。例えば、5色毛違いで白を表面にパイルとして出すには、パイル表面が横方向に特色19(落ち)、特色20(落ち)、特色21(落ち)、特色22(落ち)、特色23(上げ)とする。特色19を表面にパイルとして出すには、図13に示す通り、特色19(上げ)、特色20(落ち)、特色21(落ち)、特色22(落ち)、特色23(落ち)という構成に織成する。本実施例では、表に出るパイルは1/5であり、横方向のオサ密度は高密度であればあるほどよい。これは、6色毛違いであれば当然パイルの表面に出る範囲が1/6となるため、さらにオサを高密度にする必要がある。こうして作成されたものは5色毛違いであれば、経糸のみで特色の5色のみで恰も写真のような写実的な図柄を呈する多色のパイル製品を作成することが可能である。
【0014】
このようにして、緯糸に特定の色糸を使うことでタオルボーダー部に、経糸に特定の色糸を使うことで、タオルパイル部にプリントをせずしてタオルのすべての部分にて写真製版の表現が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】グラディエーションとそのヒストグラムである。(実施例1)
【図2】白成分のヒストグラムである。(実施例1)
【図3】薄い灰色成分のヒストグラムである。(実施例1)
【図4】濃い灰色成分のヒストグラムである。(実施例1)
【図5】黒成分のヒストグラムである。(実施例1)
【図6】R=255、G=255、B=255のハーフトーン分解前の画像である。(実施例1)
【図7】R=200、G=200、B=200のハーフトーン分解前の画像である。(実施例1)
【図8】R=100、G=100、B=100のハーフトーン分解前の画像である。(実施例1)
【図9】R=0、G=0、B=0のハーフトーン分解前の画像である。(実施例1)
【図10】R=255、G=255、B=255のハーフトーン分解後の画像である。(実施例1)
【図11】R=200、G=200、B=200のハーフトーン分解後の画像である。(実施例1)
【図12】R=100、G=100、B=100のハーフトーン分解後の画像である。(実施例1)
【図13】R=0、G=0、B=0のハーフトーン分解後の画像である。(実施例1)
【図14】図10〜図13の画像に夫々の色を付し、合成して1つの画像にしたものである。(実施例1)
【図15】密度を高める前の表面図である。(実施例1)
【図16】密度を高めた後の表面図である。(実施例1)
【図17】入力画面である。(実施例1)
【図18】出力画面である。(実施例1)
【図19】境界部分の留め用経糸を黒い部分で説明した図である。(実施例1)
【図20】異なる上げ組織を入れた説明図である。(実施例1)
【図21】組織図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0016】
6、16 経糸
17 下糸
18 緯糸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ処理されたデータにより、タオル織機で織物の表側に表出した緯糸又は上糸で柄を織物に表現する写真風織物の製織方法において、
写真、絵画等を画像入力手段により光学的に読み取り、フルカラー画像データとして、解像度が使用するタオル織機のデータに対応してピクセル調整されたコンピュータに取り込む工程と、
取り込まれたフルカラーの画像データを高周波成分と低周波成分を範囲指定することで特色に色分解し、夫々の濃度差を白黒2階調のハーフトーン分解する工程と、
白黒に変換された夫々の画像信号を統合し、使用するタオル織機の色糸限定数の範囲内に減色する工程と、
減色された色彩の糸を緯糸又は上糸に割り当て、擬似的にフルカラー若しくはモノトーンの画像データを作成する工程と、
使用するタオル織機の色糸情報と縦方向密度情報をコンピュータに入力し、これらの情報に基づいて画像データを変換する工程とにより作成された織成データに従ってタオル織機を駆動させ、織物の柄の表現に必要な緯糸又は上糸を表面組織に配設し、該糸の裏側に柄表現に不必要な緯糸又は上糸を配設し、表面組織に配設された経糸又は/及び緯糸でコンピュータに取り込まれたフルカラー画像データと近似した特色による写真風織物を織成することを特徴とする写真風織物の製織方法。
【請求項2】
コンピュータ処理されたデータにより、タオル織機でタオル織物の表側又は/及び裏側に表出した経糸のパイル部分で色柄をタオル織物の毛中に表現する写真風織物の製織方法であって、
写真、絵画等を画像入力手段により光学的に読み取り、フルカラー画像データとして、解像度が使用するタオル織機のデータに対応してピクセル調整されたコンピュータに取り込む工程と、
取り込まれたフルカラーの画像データを特色に色分解し、夫々の濃度差を白黒2階調のハーフトーン分解する工程と、
白黒に変換された夫々の画像信号を統合し、使用するタオル織機の色糸限定数の範囲内に減色する工程と、
減色された色彩の糸を経糸又は/及び緯糸に割り当て、擬似的に特色によるフルカラーの画像データを作成する工程と、
使用するタオル織機の色糸情報と横方向密度情報をコンピュータに入力し、これらの情報に基づいて画像データを変換する工程とにより作成された織成データに従ってタオル織機を駆動させ、タオル織物の表側又は/及び裏側に織物の柄の表現に必要な経糸でパイルを形成し、柄表現に不必要な経糸はパイルを形成せず、経糸のパイル部分でコンピュータに取り込まれたフルカラー画像データと近似した特色による写真風織物を織成することを特徴とする写真風織物の製織方法。
【請求項1】
コンピュータ処理されたデータにより、タオル織機で織物の表側に表出した緯糸又は上糸で柄を織物に表現する写真風織物の製織方法において、
写真、絵画等を画像入力手段により光学的に読み取り、フルカラー画像データとして、解像度が使用するタオル織機のデータに対応してピクセル調整されたコンピュータに取り込む工程と、
取り込まれたフルカラーの画像データを高周波成分と低周波成分を範囲指定することで特色に色分解し、夫々の濃度差を白黒2階調のハーフトーン分解する工程と、
白黒に変換された夫々の画像信号を統合し、使用するタオル織機の色糸限定数の範囲内に減色する工程と、
減色された色彩の糸を緯糸又は上糸に割り当て、擬似的にフルカラー若しくはモノトーンの画像データを作成する工程と、
使用するタオル織機の色糸情報と縦方向密度情報をコンピュータに入力し、これらの情報に基づいて画像データを変換する工程とにより作成された織成データに従ってタオル織機を駆動させ、織物の柄の表現に必要な緯糸又は上糸を表面組織に配設し、該糸の裏側に柄表現に不必要な緯糸又は上糸を配設し、表面組織に配設された経糸又は/及び緯糸でコンピュータに取り込まれたフルカラー画像データと近似した特色による写真風織物を織成することを特徴とする写真風織物の製織方法。
【請求項2】
コンピュータ処理されたデータにより、タオル織機でタオル織物の表側又は/及び裏側に表出した経糸のパイル部分で色柄をタオル織物の毛中に表現する写真風織物の製織方法であって、
写真、絵画等を画像入力手段により光学的に読み取り、フルカラー画像データとして、解像度が使用するタオル織機のデータに対応してピクセル調整されたコンピュータに取り込む工程と、
取り込まれたフルカラーの画像データを特色に色分解し、夫々の濃度差を白黒2階調のハーフトーン分解する工程と、
白黒に変換された夫々の画像信号を統合し、使用するタオル織機の色糸限定数の範囲内に減色する工程と、
減色された色彩の糸を経糸又は/及び緯糸に割り当て、擬似的に特色によるフルカラーの画像データを作成する工程と、
使用するタオル織機の色糸情報と横方向密度情報をコンピュータに入力し、これらの情報に基づいて画像データを変換する工程とにより作成された織成データに従ってタオル織機を駆動させ、タオル織物の表側又は/及び裏側に織物の柄の表現に必要な経糸でパイルを形成し、柄表現に不必要な経糸はパイルを形成せず、経糸のパイル部分でコンピュータに取り込まれたフルカラー画像データと近似した特色による写真風織物を織成することを特徴とする写真風織物の製織方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−144317(P2010−144317A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−336168(P2008−336168)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【特許番号】特許第4352353号(P4352353)
【特許公報発行日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(504474013)伊予屋タオル株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【特許番号】特許第4352353号(P4352353)
【特許公報発行日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(504474013)伊予屋タオル株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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