説明

冠さび病抵抗性イネ科植物の選抜法

【課題】イタリアンライグラスの冠さび病抵抗性遺伝子近傍に連鎖するDNAマーカーを特定し、抵抗性を示す増幅産物のサイズ(base pair)の検出法を提供する。
【解決手段】イタリアンライグラスの冠さび病抵抗性遺伝子のうち、連鎖群LG4に座乗するLmPcH22近傍に連鎖するDNAマーカーを検出するプライマーを組み合わせてゲノムDNAのPCR増幅を行い、抵抗性を示す増幅断片サイズ(base pair)を検出する方法、該方法を利用して冠さび病抵抗性遺伝子を持つ個体を選抜する方法、及び該方法により選抜、作出した冠さび病抵抗性植物。
【効果】冠さび病胞子の接種を行うことなく、又は冠さび病が自然発病する条件でなくても、冠さび病抵抗性遺伝子を持つ個体の選抜が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イタリアンライグラス冠さび病抵抗性遺伝子の一つ(LmPcH22)に連鎖するDNAマーカーを利用した冠さび病抵抗性個体の検出方法に関するものであり、更に詳しくは、イタリアンライグラス冠さび病抵抗性遺伝子近傍に連鎖するDNAマーカーを検出するためのプライマーセット、該プライマーセットを用いて、イタリアンライグラスのゲノムDNAをPCR増幅し、抵抗性を示す増幅断片を検出する方法、その増幅断片に基づいて冠さび病抵抗性遺伝子を持つ個体を選抜する方法等に関するものである。本発明は、上記DNAマーカーを利用して冠さび病抵抗性遺伝子を持つ個体の選抜方法及びその冠さび病抵抗性イネ科植物を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、DNAマーカーを指標として優良個体を選抜するマーカー選抜法が開発され、実際の育種に利用できるようになった。マーカー選抜法では、DNAマーカーにより遺伝子型を確認することで目的形質の有無を直接観察せずに判別できることから、幼苗の段階で迅速かつ確実に優良な個体を選抜することが可能となる。このことは、マーカー選抜法を活用することにより、育種に要する労力及び年月の短縮が可能になることを意味する。
【0003】
イネ科植物では、これまで、イネ科植物の病害に対して抵抗性を示す抵抗性遺伝子を持つ系統が作出されているが、単一の抵抗性遺伝子を持つ系統を栽培すると病菌のレース分化により抵抗性が打破される現象が頻繁に生じることが知られている。この現象の対策として、栽培する系統に複数の抵抗性遺伝子を集積することや、異なる抵抗性遺伝子を持つ同質遺伝子系統を混合したものを栽培する手法が開発されている。
【0004】
イタリアンライグラスの冠さび病についても、複数の抵抗性遺伝子を集積したり、異なる抵抗性遺伝子を持つ同質遺伝子系統を混合したものを開発することが重要であると考えられる。そのためには、既知の冠さび病抵抗性遺伝子座に連鎖するDNAマーカーに加え、他の抵抗性遺伝子座に連鎖する新規DNAマーカーを開発し、新品種・系統の開発に活用することが有効な手法と考えられる。
【0005】
イタリアンライグラスは、国内で重要な寒地型牧草である。冠さび病は、担子菌類(Puccinia coronata f.sp.lolii)より引き起こされ、感染すると収量及び品質の低下等を引き起こす重要病害である。イタリアンライグラスの冠さび病抵抗性遺伝子は、主働遺伝子として働くものが連鎖群2,4,7にあることが知られている(非特許文献1〜5)。しかし、既知の冠さび病抵抗性遺伝子だけでは必ずしも十分ではなく、既知の冠さび病抵抗性遺伝子とは別の遺伝子座にある、新しい冠さび病抵抗性遺伝子についての知見が求められていた。
【0006】
【非特許文献1】育種学研究4(別2)2002、p245「イタリアンライグラスにおける冠さび病抵抗性遺伝子の連鎖解析」藤森雅博、林克江、水野和彦、藤原健、平田球子、秋山典昭、間野吉郎、小松敏憲、高溝正
【非特許文献2】育種学研究6(別1)2004、p300「イタリアンライグラスにおける新規冠さび病抵抗性遺伝子(Pc3)の同定」藤森雅博、平田球子、間野吉郎、佐藤広子、高溝正
【非特許文献3】育種学研究7(別1・2)2005、p458「イタリアンライグラス品種Axisからの冠さび病抵抗性遺伝子の同定」清多佳子、平田球子、高溝正、佐藤広子、間野吉郎、藤森雅博
【非特許文献4】日草誌第52巻別1号(2006)P186−187「イタリアンライグラスの品種「ワセアオバ」で同定された主働抵抗性遺伝子」清多佳子、平田球子、佐藤広子、大浦康子、高溝正、藤森雅博
【非特許文献5】日草誌第52巻別2号(2006)P268−269「イタリアンライグラス品種「Tobu」から同定した冠さび病抵抗性主働遺伝子」清多佳子、平田球子、大浦康子、高溝正、藤森雅博
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、既知の冠さび病抵抗性遺伝子に連鎖するDNAマーカーに加え、他の抵抗性遺伝子座に連鎖する新規DNAマーカーを見出すことを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、既知の遺伝子座とは別の遺伝子座にある新規の冠さび病抵抗性遺伝子(LmPcH22)を見出すと共に、その抵抗性の強さは、既知のものと同程度に強いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、既知の冠さび病抵抗性遺伝子だけでは網羅しきれなかったDNAマーカー利用技術について、新規の冠さび病抵抗性遺伝子(LmPcH22)に連鎖するDNAマーカー利用技術、その増幅産物サイズによる抵抗性遺伝子の検出方法及び冠さび病抵抗性遺伝子を持つ個体の選抜方法等を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)イタリアンライグラス冠さび病抵抗性遺伝子のうち、連鎖群LG4に座乗するLmPcH22近傍に連鎖するDNAマーカーを検出するプライマーセット。
(2)上記冠さび病抵抗性遺伝子に4.4cM以内で連鎖するDNAマーカーを検出する、前記(1)に記載のプライマーセット。
(3)配列番号1〜2のFプライマー及び配列番号3〜4のRプライマーのプライマー対からなる、前記(1)又は(2)に記載のプライマーセット。
(4)上記冠さび病抵抗性遺伝子に2.5cMで連鎖するDNAマーカー(17−12H)を検出する、前記(2)に記載のプライマーセット。
(5)上記冠さび病抵抗性遺伝子に4.4cMで連鎖するDNAマーカー(S393D1)を検出する、前記(2)に記載のプライマーセット。
(6)前記(1)から(5)のいずれかに記載のプライマーセットを用いて、イタリアンライグラスのゲノムDNAのPCR増幅を行い、増幅産物の増幅断片に基づいて冠さび病抵抗性を示す増幅産物のサイズ(base pair)を検出することを特徴とする抵抗性を示す増幅産物の検出方法。
(7)前記(6)に記載の検出方法を用いて、冠さび病抵抗性を示す増幅産物を有する個体を検出し、冠さび病抵抗性遺伝子を持つ個体を選抜することを特徴とする冠さび病抵抗性品種の選抜方法。
(8)前記(7)に記載の選抜方法で選抜し、作出した、冠さび病抵抗性遺伝子LmPcH22を持つことを特徴とする冠さび病抵抗性植物。
【0010】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、イタリアンライグラス冠さび病抵抗性遺伝子のうち、連鎖群LG4に座乗するLmPcH22近傍に連鎖するDNAマーカーを検出するプライマーセットの点に特徴を有するものである。また、本発明は、抵抗性を示す増幅産物を検出する方法であって、上記プライマーセットを用いて、イタリアンライグラスのゲノムDNAのPCR増幅等の遺伝子増幅反応を行い、増幅産物の増幅断片に基づいて冠さび病抵抗性を示す増幅産物のサイズ(base pair)を検出することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明は、冠さび病抵抗性品種を選抜する方法であって、上記検出方法を用いて、冠さび病抵抗性を示す増幅産物を有する個体を検出し、冠さび病抵抗性遺伝子を持つ個体を選抜することを特徴とするものである。更に、本発明は、上記選抜方法で選抜し、作出したことを特徴とする冠さび病抵抗性植物の点に特徴を有するものである。
【0012】
本発明では、イタリアンライグラス品種「はるかぜ」から冠さび病抵抗性でかつ既知の抵抗性遺伝子近傍マーカーを持たない個体を選抜した。もう一方で、イタリアンライグラス品種「ワセアオバ」から冠さび病感受性の個体を選抜し、両者を単交配することにより解析集団を作成した。この解析集団について、SSRマーカー(Theor Appl Genet.,113:270−279(2006))を用いて解析を行い、冠さび病抵抗性遺伝子(LmPcH22)が連鎖群LG4に座乗することを特定した。
【0013】
更に、連鎖群LG4には、冠さび病抵抗性遺伝子LmPc1が座乗することから、LmPc1と上記により特定した抵抗性遺伝子(LmPcH22)との両者に共通であるSSRマーカーについて、両抵抗性遺伝子(LmPc1とLmPcH22)までの位置・距離から、LmPc1と上記により特定した抵抗性遺伝子(LmPcH22)は、別の遺伝子座にあることを確認した。
【0014】
すなわち、本発明により、イタリアンライグラス冠さび病抵抗性遺伝子のうち、LG4に座乗する抵抗性遺伝子のうちの一つ(LmPcH22)に、DNAマーカー(SSRマーカー:17−12H)が2.5cMで連鎖すること、また、イタリアンライグラス冠さび病抵抗性遺伝子のうち、LG4に座乗する抵抗性遺伝子のうちの一つ(LmPcH22)に、DNAマーカー(SSRマーカー:S393D1)が4.4cMで連鎖すること、が判明した。
【0015】
そして、上記SSRマーカー(17−12H)を用いて、イタリアンライグラスのゲノムDNAをPCR等の遺伝子増幅反応で増幅したバンドから抵抗性を判定する増幅産物のサイズ(base pair)が得られ、また、同様に、SSRマーカー(S393D1)を用いて増幅したバンドから抵抗性遺伝子を検出するためのマーカーの増幅産物のサイズが得られた。
【0016】
それにより、上記SSRマーカーを用いたPCR法等の遺伝子増幅反応法から冠さび病抵抗性に連鎖する増幅産物のサイズを識別する方法、及び冠さび病抵抗性を有する植物個体を選抜する方法、を構築することに成功した。
【0017】
本発明は、イタリアンライグラス冠さび病抵抗性遺伝子(LmPcH22)に連鎖するDNAマーカーについて、冠さび病抵抗性に関わる増幅産物のサイズの判定を可能とするものである。
【0018】
上記のDNAマーカーの増幅産物のサイズ判定に用いるゲノムDNAの抽出には、特別な制約はなく、植物の葉片からのDNA抽出で一般的に用いられるCTAB法などを必要に応じて改変して行えばよい。また、市販のDNA抽出キットを用いることもできる。また、DNAマーカーのDNA断片増幅のためのPCRの条件は、後記する実施例に例示しているが、これらに限定されるものではなく、プライマーの組み合わせや使用機器に合わせて適宜変更することができる。同様に、電気泳動条件も使用機器に合わせて変更可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)本発明により、新規冠さび病抵抗性遺伝子(LmPcH22)近傍に連鎖するDNAマーカーを利用した冠さび病抵抗性遺伝子の検出方法を提供することができる。
(2)上記冠さび病抵抗性遺伝子(LmPcH22)近傍に連鎖するDNAマーカーを検出するためのプライマーセットを提供することができる。
(3)上記DNAマーカーに基づいて、冠さび病抵抗性遺伝子を持つ個体を選抜する方法を構築することができる。
(4)上記選抜方法により選抜、作出した冠さび病抵抗性イネ科植物を提供することができる。
(5)本発明により提供されるイタリアンライグラスの冠さび病抵抗性遺伝子(LmPcH22)に連鎖するDNAマーカーのプライマー組み合わせを用いて、冠さび病抵抗性を判定することにより、これまでに選抜することのできなかった冠さび病抵抗性個体を選抜することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、実施例に基づいて本発明の検出法について具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
(1)解析集団
冠さび病抵抗性の主働遺伝子を特定するために、品種「はるかぜ」のうち冠さび病抵抗性個体と品種「ワセアオバ」の冠さび病感受性個体を単交配した。このF(124個体)について、冠さび病検定を2回行い、抵抗性と感受性がおよそ1:1に分離した。
【0022】
(2)連鎖地図作製
上記(1)で作成したFのDNAについて、バルク法を用いて357対のSSRマーカー(Theor Appl Genet.,113:270−279(2006))からスクリーニングを行い、抵抗性バルクと感受性バルクとの間に差の見られたマーカーについて、F(94個体)を用いて、個体別解析を行った。SSRマーカーのプライマーには、FAM蛍光標識されたものを用い、このPCR反応条件は、次の条件で行った。
【0023】
反応条件:1)95℃ 10分、2)94℃ 30秒、60℃ 30秒、72℃ 1分 35サイクル、3)72℃ 7分。電気泳動においては、DNAシーケンシング用電気泳動装置EP6100(タカラバイオ社製)で泳動した後、Molecular Imager FX(バイオラッド社製)で検出、又はABI PRISM 377 DNA Sequencing System(アプライドシステムズ社製)を用いて泳動、検出した。
【0024】
上記の多型解析結果から、連鎖解析ソフトJoinMap(Plant J.3:739−744(1993))を用いて連鎖解析を行い、連鎖地図を作成し、新規の冠さび病抵抗性遺伝子(LmPcH22)を発見した(図1)。
【0025】
抵抗性遺伝子(LmPcH22)近傍に連鎖したマーカーは、1.8cMに17−12H(図2)、3.9cMにS393D1(図3)があり、それぞれ抵抗性に特徴的な増幅サイズ(302bpと210bp)を示している。
【0026】
これらのマーカーのプライマー組み合わせについては、17−12H F:5’−AGCTCCCAACGACACGATGG−3’及び17−12H R:5’−GCCGTGCGTATCGAGCTAGA−3’を設計した。また、S393D1 F:5’− AGCAGCCGAATGCATACTGC−3’及びS393D1 R:5’−CAGCCATGGCACACCAGACA−3’を設計した。この結果から、これらのマーカーは、抵抗性個体を選抜するために有望なマーカーであると考えられた。
【0027】
また、LmPcH22は、図1に示すとおり、17−12Hと2−5A間の距離25.4cMのうち17−12Hと1.8cMの位置にあり、LmPc1は、図4に示すとおり、17−12Hと2−5A間の距離21.8cMのうち2−5Aと3.6cMの位置にある。これらのことから、この抵抗性遺伝子(LmPcH22)は、同連鎖群に同定されている既知の冠さび病抵抗性遺伝子LmPc1とは別の遺伝子座であると考えられる。
【0028】
また、LmPc1は、イタリアンライグラス系統「山育130号」(約9割が抵抗性の系統)から発見されており、本発明で発見した抵抗性遺伝子(LmPcH22)近傍マーカー17−12H及びS393D1の遺伝子型は「山育130号」のほとんどの個体が持っていないこと(図5及び図6)からも、LmPcH22とLmPc1は別の遺伝子座であると考えられ、LmPcH22は、新規の冠さび病抵抗性遺伝子であると結論した。
【0029】
図1に、本発明で見出した冠さび病抵抗性遺伝子(LmPcH22)の連鎖地図を示す。冠さび病抵抗性遺伝子のみ斜体・太字で示した。図2に、抵抗性遺伝子(LmPcH22)と1.8cMで連鎖した17−12HのF集団の増幅サイズ調査の一例を示す。“抵抗性→”で示した302bpのバンドが抵抗性を示す増幅サイズである。図上部両端の“M”は、サイズマーカーを示し、左から抵抗性親、感受性親、抵抗性F23個体、感受性F23個体である。
【0030】
図3に、抵抗性遺伝子(LmPcH22)と3.9cMで連鎖したS393D1のF集団の増幅サイズ調査の一例を示す。“抵抗性→”で示した210bpのバンドが抵抗性を示す増幅サイズである。左から抵抗性親、感受性親、抵抗性F47個体、感受性F47個体である。図4に、冠さび病抵抗性遺伝子(LmPcH22)と冠さび病抵抗性遺伝子(LmPc1)の連鎖地図を比較した図を示す。LmPc1の連鎖地図は、必要なマーカーだけを示した簡略図である。両抵抗性遺伝子が異なることを分かり易く示すために、両者に共通のSSRマーカーを線で結んだ。
【0031】
図5に、山育130号36個体について、17−12Hの増幅サイズを調査した一例を示す。図上部両端の“M”は、サイズマーカーを示し、左から抵抗性親、感受性親、山育130号36個体である。“→”で示した302bpの抵抗性を示すバンドが、山育130号では全く見られない。
【0032】
図6に、山育130号36個体について、S393D1の増幅サイズを調査した一例を示す。図上部両端の“M”は、サイズマーカーを示し、左から抵抗性親、感受性親、山育130号36個体である。“→”で示した210bpの抵抗性を示すバンドが、山育130号ではほとんど見られない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上詳述したように、本発明は、冠さび病抵抗性イネ科植物の選抜法に係るものであり、本発明により、新規の冠さび病抵抗性遺伝子LmPcH22近傍に連鎖するDNAマーカーを検出するためのプライマーセット、上記DNAマーカーを利用した新しい冠さび病抵抗性遺伝子の検出方法、抵抗性を示す個体の選抜方法及び該方法によって選抜、作出された冠さび病抵抗性イネ科植物を提供することができる。本発明は、新たに見出された連鎖群LC4に座乗する冠さび病抵抗性遺伝子LmPcH22近傍に連鎖する新しいDNAマーカーを利用することで、従来法では選抜することができなかった冠さび病抵抗性遺伝子を持つ個体を選抜することを可能とする新しい選抜手法を提供するものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明で見出した冠さび病抵抗性遺伝子(LmPcH22)の連鎖地図を示す。
【図2】抵抗性遺伝子(LmPcH22)と1.8cMで連鎖した17−12HのF集団の増幅サイズ調査の一例を示す。
【図3】抵抗性遺伝子(LmPcH22)と3.9cMで連鎖したS393D1のF集団の増幅サイズ調査の一例を示す。
【図4】冠さび病抵抗性遺伝子(LmPcH22)と冠さび病抵抗性遺伝子(LmPc1)の連鎖地図を比較した図を示す。
【図5】山育130号36個体について、17−12Hの増幅サイズを調査した一例を示す。
【図6】山育130号36個体について、S393D1の増幅サイズを調査した一例を示す。
【図7】本発明のプライマーの塩基配列を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イタリアンライグラス冠さび病抵抗性遺伝子のうち、連鎖群LG4に座乗するLmPcH22近傍に連鎖するDNAマーカーを検出するプライマーセット。
【請求項2】
上記冠さび病抵抗性遺伝子に4.4cM以内で連鎖するDNAマーカーを検出する、請求項1に記載のプライマーセット。
【請求項3】
配列番号1〜2のFプライマー及び配列番号3〜4のRプライマーのプライマー対からなる、請求項1又は2に記載のプライマーセット。
【請求項4】
上記冠さび病抵抗性遺伝子に2.5cMで連鎖するDNAマーカー(17−12H)を検出する、請求項2に記載のプライマーセット。
【請求項5】
上記冠さび病抵抗性遺伝子に4.4cMで連鎖するDNAマーカー(S393D1)を検出する、請求項2に記載のプライマーセット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のプライマーセットを用いて、イタリアンライグラスのゲノムDNAのPCR増幅を行い、増幅産物の増幅断片に基づいて冠さび病抵抗性を示す増幅産物のサイズ(base pair)を検出することを特徴とする抵抗性を示す増幅産物の検出方法。
【請求項7】
請求項6に記載の検出方法を用いて、冠さび病抵抗性を示す増幅産物を有する個体を検出し、冠さび病抵抗性遺伝子を持つ個体を選抜することを特徴とする冠さび病抵抗性品種の選抜方法。
【請求項8】
請求項7に記載の選抜方法で選抜し、作出した、冠さび病抵抗性遺伝子LmPcH22を持つことを特徴とする冠さび病抵抗性植物。

【図1】
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【図4】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−237174(P2008−237174A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86073(P2007−86073)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(501025388)社団法人日本草地畜産種子協会 (11)
【Fターム(参考)】