説明

冠動脈疾患リスクの判定法

対象における冠動脈疾患を評価するために有用なマーカーおよび方法、ならびにそれらの発現を計測するためのキットを提供する。また、マーカーに基づく予測モデル、ならびに試料をスコア付けし、任意で分類するためのモデルに基づくコンピュータシステムおよびソフトウェア態様を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的のために全体として参照により本明細書に組み入れられる、2009年6月15日出願の米国特許仮出願第61/187,203号および2009年9月23日出願の米国特許仮出願第61/245,190号の恩典を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、マーカー発現計測に基づいて冠動脈疾患(CAD)の程度を判定するための予測モデル、その使用方法ならびにその具現化のためのコンピュータシステムおよびソフトウェアに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
CADおよび心筋梗塞(MI)による死亡率および罹患率は大きな全世界的健康負担である。現在のCAD尤度の主要な決定因子は、性別、年齢および胸痛タイプである(1、2)。糖尿病、喫煙、脂質異常症および家族歴のような他の危険因子が、将来の心臓血管事象リスクと関連づけられている(3)。加えて、アテローム性動脈硬化症が、血管壁中への免疫細胞の活性化および移動を含む全身性炎症成因を有している(4、5)。事実、そのような細胞は循環血液に由来し、循環血液との相互作用を有するため、循環血液細胞遺伝子発現の定量的測定がCADの程度を反映する(6、7)。これらの観測は、おそらく、心臓血管事象の予後値を有する細胞タイプ分布の変化(8)および特定の細胞タイプまたは系統内の遺伝子発現変化の両方を反映する。
【0004】
CADを検出するための「黄金基準」は侵襲的冠動脈血管造影法であるが、これは高額であり、患者に危険を及ぼすおそれがある。血管造影法の前に、心筋かん流画像化法(MPI)およびCT血管造影法のような非侵襲的診断法を使用することもできるが、これらは、放射線被曝、造影剤過敏症をはじめとする合併症を有し、閉塞性CAD識別を控えめに増強するだけである(9、10)
【0005】
満たされていない臨床的および科学的必要性
CAD患者を確実に識別することができる非侵襲的血液試験は有意な臨床用途を有するであろう。そこで、アテローム性動脈硬化症との戦いにおける大きな進歩は、患者におけるCADの程度の診断および評価を支援することができる非侵襲的診断試験の開発であろう。本明細書には、そのような目的のための、マーカー発現および臨床因子(たとえば年齢および性別)を使用するアルゴリズムの開発および確認が記載される。
【発明の概要】
【0006】
概要
本明細書には、対象から得られる第一の試料をスコア付けするコンピュータ具現化法であって、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセット(ここで、項1は、マーカー1、マーカー2およびマーカー3を含み、マーカー1はAF161365を含み、マーカー2はHNRPFまたはACBD5を含み、マーカー3はTFCP2またはDDX18を含み;項2は、マーカー4、マーカー5およびマーカー6を含み、マーカー4はAF289562またはCD248を含み、マーカー5はHNRPFまたはACBD5を含み、マーカー6はTFCP2またはDDX18を含み;項3は、マーカー7、マーカー8、マーカー9およびマーカー10を含み、マーカー7はCD79BまたはCD19を含み、マーカー8はSPIBまたはBLKを含み、マーカー9はCD3DまたはLCKを含み、マーカー10はTMC8またはCCT2を含み;項4は、マーカー11、マーカー12、マーカー13およびマーカー14を含み、マーカー11はS100A12またはMMP9を含み、マーカー12はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー13はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー14はRPL28またはSSRP1を含み;項5は、マーカー15、マーカー16、マーカー17、マーカー18およびマーカー19を含み、マーカー15はS100A12またはMMP9を含み、マーカー16はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー17はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー18はAQP9またはGLT1D1を含み、マーカー19はNCF4またはNCF2を含み;項6は、マーカー20、マーカー21、マーカー22、マーカー23、マーカー24、マーカー25およびマーカー26を含み、マーカー20はCASP5またはH3F3Bを含み、マーカー21はIL18RAPまたはTXNを含み、マーカー22はTNFAIP6またはPLAURを含み、マーカー23はIL8RBまたはBCL2A1を含み、マーカー24はTNFRSF10CまたはPTAFRを含み、マーカー25はKCNE3またはLAMP2を含み、マーカー26はTLR4またはTYROBPを含み;項7は、マーカー27、マーカー28、マーカー29およびマーカー30を含み、マーカー27はSLAMF7またはCX3CR1を含み、マーカー28はKLRC4またはCD8Aを含み、マーカー29はCD3DまたはLCKを含み、マーカー30はTMC8またはCCT2を含む)からなる群より選択される少なくとも一つのマーカーセットの量的発現データを含む、第一の試料に関連する第一のデータセットを得ること、ならびにコンピュータプロセッサにより、解釈関数を使用して第一のデータセットから第一のスコアを決定することを含み、該第一のスコアが対象におけるCADの予測となる、方法が開示される。
【0007】
ある態様において、第一のデータセットは、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも二つのマーカーセットの量的発現データを含む。ある態様において、第一のデータセットは、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも三つのマーカーセットの量的発現データを含む。ある態様において、第一のデータセットは、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも四つのマーカーセットの量的発現データを含む。ある態様において、第一のデータセットは、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも五つのマーカーセットの量的発現データを含む。ある態様において、第一のデータセットは、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも六つのマーカーセットの量的発現データを含む。ある態様において、第一のデータセットは、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセットの量的発現データを含む。
【0008】
ある態様において、解釈関数は予測モデルに基づく。ある態様において、予測モデルは、部分的最小二乗モデル、ロジスティック回帰モデル、線形回帰モデル、線形判別分析モデル、リッジ回帰モデルおよび樹形再帰分割モデル(tree-based recursive partitioning model)からなる群より選択される。ある態様において、予測モデル性能は、0.68〜0.70の範囲の曲線下面積(AUC)を特徴とする。ある態様において、予測モデル性能は、0.70〜0.79の範囲のAUCを特徴とする。ある態様において、予測モデル性能は、0.80〜0.89の範囲のAUCを特徴とする。ある態様において、予測モデル性能は、0.90〜0.99の範囲のAUCを特徴とする。
【0009】
ある態様において、第一のデータセットはさらに臨床因子を含む。ある態様において、臨床因子は、年齢、性別、胸痛タイプ、好中球数、人種、疾病期間、拡張期血圧、収縮期血圧、家族歴パラメータ、病歴パラメータ、症候パラメータ、身長、体重、BMI(肥満度指数)、安静時心拍数および喫煙/非喫煙状態からなる群より選択される。
【0010】
ある態様において、第一の試料に関連する第一のデータセットを得ることは、第一の試料を得ること、そして第一の試料を処理して第一のデータセットを実験的に決定することを含む。ある態様において、第一の試料に関連する第一のデータセットを得ることは、第一の試料を処理して第一のデータセットを実験的に決定した第三者から第一のデータセットを受けることを含む。
【0011】
ある態様において、方法は、第一のスコアにしたがって第一の試料を分類することを含む。ある態様において、分類することは、対象におけるCADの存在または非存在の予測となる。ある態様において、分類することは、対象におけるCADの程度の予測となる。ある態様において、分類することは、対象におけるCADのリスクの予測となる。ある態様において、方法は、第一のスコアに基づいてCADリスクを格付けすることを含む。
【0012】
ある態様において、第一の試料は末梢血細胞を含む。ある態様において、末梢血細胞は白血球を含む。ある態様において、第一の試料は、末梢血細胞から抽出されたRNAを含む。
【0013】
ある態様において、量的発現データはハイブリダイゼーションデータから導出される。ある態様において、量的発現データはポリメラーゼ連鎖反応データから導出される。ある態様において、量的発現データは抗体結合アッセイ法から導出される。ある態様において、第一のデータセットは、記憶装置に記憶された状態で得られる。
【0014】
ある態様において、対象はヒトである。ある態様において、対象は持続的な胸痛を有する。ある態様において、対象は定型狭心症もしくは非定型狭心症または狭心症等価症を有する。ある態様において、対象は以前に心筋梗塞(MI)の診断を受けていない。ある態様において、対象は血管再生処置を受けたことがない。ある態様において、対象は糖尿病を有しない。ある態様において、対象は炎症状態または感染状態を有しない。ある態様において、対象は現在、ステロイド剤、免疫抑制剤または化学療法剤を服用していない。
【0015】
また、本明細書には、対象から得られる第一の試料をスコア付けするコンピュータ具現化法であって、AF161365、HNRPF、ACBD5、TFCP2、DDX18、AF289562、CD248、CD79B、CD19、SPIB、BLK、CD3D、LCK、TMC8、CCT2、S100A12、MMP9、CLEC4E、ALOX5AP、S100A8、NAMPT、RPL28、SSRP1、AQP9、GLT1D1、NCF4、NCF2、CASP5、H3F3B、IL18RAP、TXN、TNFAIP6、PLAUR、IL8RB、BCL2A1、TNFRSF10C、PTAFR、KCNE3、LAMP2、TLR4、TYROBP、SLAMF7、CX3CR1、KLRC4およびCD8Aからなる群より選択される少なくとも二つのマーカーの量的発現データを含む、第一の試料に関連する第一のデータセットを得ること、ならびにコンピュータプロセッサにより、解釈関数を使用して第一のデータセットから第一のスコアを決定することを含み、該第一のスコアが対象におけるCADの予測となる、方法が記載される。
【0016】
ある態様において、第一のデータセットは臨床因子を含む。ある態様において、臨床因子は年齢および/または性別である。ある態様において、臨床因子は、年齢、性別、胸痛タイプ、好中球数、人種、疾病期間、拡張期血圧、収縮期血圧、家族歴パラメータ、病歴パラメータ、症候パラメータ、身長、体重、BMI、安静時心拍数および喫煙/非喫煙状態からなる群より選択される。
【0017】
ある態様において、第一のデータセットは、少なくとも三つのマーカーの量的発現データを含む。ある態様において、第一のデータセットは、少なくとも四つのマーカーの量的発現データを含む。ある態様において、第一のデータセットは、少なくとも五つのマーカーの量的発現データを含む。ある態様において、第一のデータセットは、少なくとも六つのマーカーの量的発現データを含む。
【0018】
ある態様において、解釈関数は予測モデルに基づく。ある態様において、予測モデルは、部分的最小二乗モデル、ロジスティック回帰モデル、線形回帰モデル、線形判別分析モデル、リッジ回帰モデルおよび樹形再帰分割モデルからなる群より選択される。ある態様において、予測モデル性能は、0.68〜0.70の範囲の曲線下面積(AUC)を特徴とする。ある態様において、予測モデル性能は、0.70〜0.79の範囲のAUCを特徴とする。ある態様において、予測モデル性能は、0.80〜0.89の範囲のAUCを特徴とする。ある態様において、予測モデル性能は、0.90〜0.99の範囲のAUCを特徴とする。
【0019】
ある態様において、第一の試料に関連する第一のデータセットを得ることは、第一の試料を得ること、そして第一の試料を処理して第一のデータセットを実験的に決定することを含む。ある態様において、第一の試料に関連する第一のデータセットを得ることは、第一の試料を処理して第一のデータセットを実験的に決定した第三者から第一のデータセットを受けることを含む。
【0020】
ある態様において、方法は、第一のスコアにしたがって第一の試料を分類することを含む。ある態様において、分類することは、対象におけるCADの存在または非存在の予測となる。ある態様において、分類することは、対象におけるCADの程度の予測となる。ある態様において、分類することは、対象におけるCADのリスクの予測となる。ある態様において、方法は、第一のスコアに基づいてCADリスクを格付けすることを含む。
【0021】
ある態様において、第一の試料は末梢血細胞を含む。ある態様において、末梢血細胞は白血球を含む。ある態様において、第一の試料は、末梢血細胞から抽出されたRNAを含む。
【0022】
ある態様において、量的発現データはハイブリダイゼーションデータから導出される。ある態様において、量的発現データはポリメラーゼ連鎖反応データから導出される。ある態様において、量的発現データは抗体結合アッセイ法から導出される。ある態様において、第一のデータセットは、記憶装置に記憶された状態で得られる。
【0023】
ある態様において、対象はヒトである。ある態様において、対象は持続的な胸痛を有する。ある態様において、対象は定型狭心症もしくは非定型狭心症または狭心症等価症を有する。ある態様において、対象は以前に心筋梗塞(MI)の診断を受けていない。ある態様において、対象は血管再生処置を受けたことがない。ある態様において、対象は糖尿病を有しない。ある態様において、対象は炎症状態または感染状態を有しない。ある態様において、対象は現在、ステロイド剤、免疫抑制剤または化学療法剤を服用していない。
【0024】
また、本明細書には、対象におけるCADを予測するためのシステムであって、第一のデータセットが項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセット(ここで、項1は、マーカー1、マーカー2およびマーカー3を含み、マーカー1はAF161365を含み、マーカー2はHNRPFまたはACBD5を含み、マーカー3はTFCP2またはDDX18を含み;項2は、マーカー4、マーカー5およびマーカー6を含み、マーカー4はAF289562またはCD248を含み、マーカー5はHNRPFまたはACBD5を含み、マーカー6はTFCP2またはDDX18を含み;項3は、マーカー7、マーカー8、マーカー9およびマーカー10を含み、マーカー7はCD79BまたはCD19を含み、マーカー8はSPIBまたはBLKを含み、マーカー9はCD3DまたはLCKを含み、マーカー10はTMC8またはCCT2を含み;項4は、マーカー11、マーカー12、マーカー13およびマーカー14を含み、マーカー11はS100A12またはMMP9を含み、マーカー12はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー13はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー14はRPL28またはSSRP1を含み;項5は、マーカー15、マーカー16、マーカー17、マーカー18およびマーカー19を含み、マーカー15はS100A12またはMMP9を含み、マーカー16はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー17はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー18はAQP9またはGLT1D1を含み、マーカー19はNCF4またはNCF2を含み;項6は、マーカー20、マーカー21、マーカー22、マーカー23、マーカー24、マーカー25およびマーカー26を含み、マーカー20はCASP5またはH3F3Bを含み、マーカー21はIL18RAPまたはTXNを含み、マーカー22はTNFAIP6またはPLAURを含み、マーカー23はIL8RBまたはBCL2A1を含み、マーカー24はTNFRSF10CまたはPTAFRを含み、マーカー25はKCNE3またはLAMP2を含み、マーカー26はTLR4またはTYROBPを含み;項7は、マーカー27、マーカー28、マーカー29およびマーカー30を含み、マーカー27はSLAMF7またはCX3CR1を含み、マーカー28はKLRC4またはCD8Aを含み、マーカー29はCD3DまたはLCKを含み、マーカー30はTMC8またはCCT2を含む)からなる群より選択される少なくとも一つのマーカーセットの量的発現データを含む、対象から得られる試料に関連するデータセットを記憶するための記憶装置、ならびに解釈関数を用いてスコアを決定するための、記憶装置に通信的に結合されたプロセッサを含み、該スコアが対象におけるCADの予測となる、システムが記載される。
【0025】
また、本明細書には、コンピュータ実行可能なプログラムコードを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、プログラムコードは、第一のデータセットが項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセット(ここで、項1は、マーカー1、マーカー2およびマーカー3を含み、マーカー1はAF161365を含み、マーカー2はHNRPFまたはACBD5を含み、マーカー3はTFCP2またはDDX18を含み;項2は、マーカー4、マーカー5およびマーカー6を含み、マーカー4はAF289562またはCD248を含み、マーカー5はHNRPFまたはACBD5を含み、マーカー6はTFCP2またはDDX18を含み;項3は、マーカー7、マーカー8、マーカー9およびマーカー10を含み、マーカー7はCD79BまたはCD19を含み、マーカー8はSPIBまたはBLKを含み、マーカー9はCD3DまたはLCKを含み、マーカー10はTMC8またはCCT2を含み;項4は、マーカー11、マーカー12、マーカー13およびマーカー14を含み、マーカー11はS100A12またはMMP9を含み、マーカー12はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー13はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー14はRPL28またはSSRP1を含み;項5は、マーカー15、マーカー16、マーカー17、マーカー18およびマーカー19を含み、マーカー15はS100A12またはMMP9を含み、マーカー16はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー17はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー18はAQP9またはGLT1D1を含み、マーカー19はNCF4またはNCF2を含み;項6は、マーカー20、マーカー21、マーカー22、マーカー23、マーカー24、マーカー25およびマーカー26を含み、マーカー20はCASP5またはH3F3Bを含み、マーカー21はIL18RAPまたはTXNを含み、マーカー22はTNFAIP6またはPLAURを含み、マーカー23はIL8RBまたはBCL2A1を含み、マーカー24はTNFRSF10CまたはPTAFRを含み、マーカー25はKCNE3またはLAMP2を含み、マーカー26はTLR4またはTYROBPを含み;項7は、マーカー27、マーカー28、マーカー29およびマーカー30を含み、マーカー27はSLAMF7またはCX3CR1を含み、マーカー28はKLRC4またはCD8Aを含み、マーカー29はCD3DまたはLCKを含み、マーカー30はTMC8またはCCT2を含む)からなる群より選択される少なくとも一つのマーカーセットの量的発現データを含む、対象から得られる試料に関連するデータセットを記憶するためのプログラムコード、ならびに解釈関数を用いてスコアを決定するためのプログラムコードを含み、該スコアが対象におけるCADの予測となる、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体が記載される。
【0026】
また、本明細書には、対象におけるCADを予測する方法であって、複数の分析対象物を含む試料を対象から得ること、試料を試薬と接触させること、試薬と複数の分析対象物との間で複数の複合体を生成すること、複数の複合体を検出して、第一のデータセットが項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセット(ここで、項1は、マーカー1、マーカー2およびマーカー3を含み、マーカー1はAF161365を含み、マーカー2はHNRPFまたはACBD5を含み、マーカー3はTFCP2またはDDX18を含み;項2は、マーカー4、マーカー5およびマーカー6を含み、マーカー4はAF289562またはCD248を含み、マーカー5はHNRPFまたはACBD5を含み、マーカー6はTFCP2またはDDX18を含み;項3は、マーカー7、マーカー8、マーカー9およびマーカー10を含み、マーカー7はCD79BまたはCD19を含み、マーカー8はSPIBまたはBLKを含み、マーカー9はCD3DまたはLCKを含み、マーカー10はTMC8またはCCT2を含み;項4は、マーカー11、マーカー12、マーカー13およびマーカー14を含み、マーカー11はS100A12またはMMP9を含み、マーカー12はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー13はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー14はRPL28またはSSRP1を含み;項5は、マーカー15、マーカー16、マーカー17、マーカー18およびマーカー19を含み、マーカー15はS100A12またはMMP9を含み、マーカー16はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー17はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー18はAQP9またはGLT1D1を含み、マーカー19はNCF4またはNCF2を含み;項6は、マーカー20、マーカー21、マーカー22、マーカー23、マーカー24、マーカー25およびマーカー26を含み、マーカー20はCASP5またはH3F3Bを含み、マーカー21はIL18RAPまたはTXNを含み、マーカー22はTNFAIP6またはPLAURを含み、マーカー23はIL8RBまたはBCL2A1を含み、マーカー24はTNFRSF10CまたはPTAFRを含み、マーカー25はKCNE3またはLAMP2を含み、マーカー26はTLR4またはTYROBPを含み;項7は、マーカー27、マーカー28、マーカー29およびマーカー30を含み、マーカー27はSLAMF7またはCX3CR1を含み、マーカー28はKLRC4またはCD8Aを含み、マーカー29はCD3DまたはLCKを含み、マーカー30はTMC8またはCCT2を含む)からなる群より選択される少なくとも一つのマーカーセットの量的発現データを含む、試料に関連するデータセットを得ること、ならびに解釈関数を使用してデータセットからスコアを決定することを含み、該スコアが対象におけるCADの予測となる、方法が記載される。
【0027】
また、本明細書には、対象におけるCADを予測するためのキットであって、対象から得られる試料から、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセット(ここで、項1は、マーカー1、マーカー2およびマーカー3を含み、マーカー1はAF161365を含み、マーカー2はHNRPFまたはACBD5を含み、マーカー3はTFCP2またはDDX18を含み;項2は、マーカー4、マーカー5およびマーカー6を含み、マーカー4はAF289562またはCD248を含み、マーカー5はHNRPFまたはACBD5を含み、マーカー6はTFCP2またはDDX18を含み;項3は、マーカー7、マーカー8、マーカー9およびマーカー10を含み、マーカー7はCD79BまたはCD19を含み、マーカー8はSPIBまたはBLKを含み、マーカー9はCD3DまたはLCKを含み、マーカー10はTMC8またはCCT2を含み;項4は、マーカー11、マーカー12、マーカー13およびマーカー14を含み、マーカー11はS100A12またはMMP9を含み、マーカー12はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー13はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー14はRPL28またはSSRP1を含み;項5は、マーカー15、マーカー16、マーカー17、マーカー18およびマーカー19を含み、マーカー15はS100A12またはMMP9を含み、マーカー16はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー17はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー18はAQP9またはGLT1D1を含み、マーカー19はNCF4またはNCF2を含み;項6は、マーカー20、マーカー21、マーカー22、マーカー23、マーカー24、マーカー25およびマーカー26を含み、マーカー20はCASP5またはH3F3Bを含み、マーカー21はIL18RAPまたはTXNを含み、マーカー22はTNFAIP6またはPLAURを含み、マーカー23はIL8RBまたはBCL2A1を含み、マーカー24はTNFRSF10CまたはPTAFRを含み、マーカー25はKCNE3またはLAMP2を含み、マーカー26はTLR4またはTYROBPを含み;項7は、マーカー27、マーカー28、マーカー29およびマーカー30を含み、マーカー27はSLAMF7またはCX3CR1を含み、マーカー28はKLRC4またはCD8Aを含み、マーカー29はCD3DまたはLCKを含み、マーカー30はTMC8またはCCT2を含む)からなる群より選択される少なくとも一つのマーカーセットの量的発現データを決定するための複数の試薬を含む試薬のセット、ならびに数の試薬を使用して試料から量的データを決定するための指示を含み、指示が、データセットからスコアを決定するための指示を含み、スコアが対象におけるCADの予測となる、キットが記載される。
【0028】
ある態様において、指示は、マイクロアレイアッセイ法を実施するための指示を含む。ある態様において、指示は、ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ法を実施するための指示を含む。
【0029】
また、本明細書には、対象におけるCADを予測するためのシステムであって、AF161365、HNRPF、ACBD5、TFCP2、DDX18、AF289562、CD248、CD79B、CD19、SPIB、BLK、CD3D、LCK、TMC8、CCT2、S100A12、MMP9、CLEC4E、ALOX5AP、S100A8、NAMPT、RPL28、SSRP1、AQP9、GLT1D1、NCF4、NCF2、CASP5、H3F3B、IL18RAP、TXN、TNFAIP6、PLAUR、IL8RB、BCL2A1、TNFRSF10C、PTAFR、KCNE3、LAMP2、TLR4、TYROBP、SLAMF7、CX3CR1、KLRC4およびCD8Aからなる群より選択される少なくとも二つのマーカーの量的発現データを含む、対象から得られる試料に関連するデータセットを記憶するための記憶装置、ならびに解釈関数を用いてスコアを決定するための、記憶装置に通信的に結合されたプロセッサを含み、該スコアが対象におけるCADの予測となる、システムが記載される。
【0030】
また、本明細書には、コンピュータ実行可能なプログラムコードを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、プログラムコードが、AF161365、HNRPF、ACBD5、TFCP2、DDX18、AF289562、CD248、CD79B、CD19、SPIB、BLK、CD3D、LCK、TMC8、CCT2、S100A12、MMP9、CLEC4E、ALOX5AP、S100A8、NAMPT、RPL28、SSRP1、AQP9、GLT1D1、NCF4、NCF2、CASP5、H3F3B、IL18RAP、TXN、TNFAIP6、PLAUR、IL8RB、BCL2A1、TNFRSF10C、PTAFR、KCNE3、LAMP2、TLR4、TYROBP、SLAMF7、CX3CR1、KLRC4およびCD8Aからなる群より選択される少なくとも二つのマーカーの量的発現データを含む、対象から得られる試料に関連するデータセットを記憶するためのプログラムコード、ならびに解釈関数を用いてスコアを決定するためのプログラムコードを含み、該スコアが対象におけるCADの予測となる、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体が記載される。
【0031】
また、本明細書には、対象におけるCADを予測する方法であって、複数の分析対象物を含む試料を対象から得ること、試料を試薬と接触させること、試薬と複数の分析対象物との間で複数の複合体を生成すること、複数の複合体を検出して、AF161365、HNRPF、ACBD5、TFCP2、DDX18、AF289562、CD248、CD79B、CD19、SPIB、BLK、CD3D、LCK、TMC8、CCT2、S100A12、MMP9、CLEC4E、ALOX5AP、S100A8、NAMPT、RPL28、SSRP1、AQP9、GLT1D1、NCF4、NCF2、CASP5、H3F3B、IL18RAP、TXN、TNFAIP6、PLAUR、IL8RB、BCL2A1、TNFRSF10C、PTAFR、KCNE3、LAMP2、TLR4、TYROBP、SLAMF7、CX3CR1、KLRC4およびCD8Aからなる群より選択される少なくとも二つのマーカーの量的発現データを含む、試料に関連するデータセットを得ること、ならびに解釈関数を使用してデータセットからスコアを決定することを含み、該スコアが対象におけるCADの予測となる、方法が記載される。
【0032】
また、本明細書には、対象におけるCADを予測するためのキットであって、対象から得られる試料から、AF161365、HNRPF、ACBD5、TFCP2、DDX18、AF289562、CD248、CD79B、CD19、SPIB、BLK、CD3D、LCK、TMC8、CCT2、S100A12、MMP9、CLEC4E、ALOX5AP、S100A8、NAMPT、RPL28、SSRP1、AQP9、GLT1D1、NCF4、NCF2、CASP5、H3F3B、IL18RAP、TXN、TNFAIP6、PLAUR、IL8RB、BCL2A1、TNFRSF10C、PTAFR、KCNE3、LAMP2、TLR4、TYROBP、SLAMF7、CX3CR1、KLRC4およびCD8Aからなる群より選択される少なくとも二つのマーカーの量的発現データを決定するための複数の試薬を含む試薬のセット、ならびに複数の試薬を使用して試料から量的データを決定するための指示を含み、指示が、データセットからスコアを決定するための指示を含み、該スコアが対象におけるCADの予測となる、キットが記載される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明のこれらおよび他の特徴、局面および利点は、以下の詳細な説明および添付図面を参照してより理解されるであろう。
【0034】
【図1】遺伝子発見、アルゴリズム開発ならびに確認患者および論理フロー図。初期遺伝子発見(CATHGENリポジトリ)は糖尿病患者および非糖尿病患者の両方を含むものであった。PREDICT(Personalized Risk Evaluation and Diagnosis in the Coronary Tree)からの遺伝子発見は、CATHGENアレイからの遺伝子と共通の655の有意な遺伝子を生じさせた、ペアマイクロアレイ分析における非糖尿病患者を含むものであった。RT-PCRのために、113の遺伝子を選択し、640のPREDICT患者試料に対して試験し、そこから最終的なアルゴリズムを導出し、ロックしたのち、PREDICT確認コホート(N=526)において確認した。
【図2】CATHGENマイクロアレイ分析からの糖尿病患者 vs 非糖尿病患者有意遺伝子のRT-PCR分析。非糖尿病患者(ND)および糖尿病患者(D)におけるCATHGENマイクロアレイコホートから選択された個々の遺伝子の有意性を示す。各サブセットにおけるCADロジスティック回帰分析からの性別/年齢調節されたp値がプロットされている(対数目盛り)。有意なp値(<0.05)は遺伝子記号とともに赤で示され(左上四半分および右下四半分)、非有意なp値は黒で示されている(右上四半分)。
【図3】マイクロアレイ、RT-PCRおよびアルゴリズム遺伝子ソースのベン図。合計7718の遺伝子を同定した。2438および5935がそれぞれCATHGENおよびPREDICTマイクロアレイ分析からのものであり、655の遺伝子が共通部分であった。113のRT-PCR遺伝子に関しては、52がPREDICTからの遺伝子であり、22がCATHGENからの遺伝子であり、29が両方からの遺伝子であり、10が正規化遺伝子または以前の研究(7)からの遺伝子であった。最終的なアルゴリズムは、情報的遺伝子20、両方のマイクロアレイ研究からの10、PREDICTのみからの8およびCATHGENのみからの2を含むものであった。
【図4】PREDICTアルゴリズム開発コホートにおいて計測された113のPCR遺伝子に関するPCR遺伝子発現とリンパ球分画(y軸)および好中球分画(x軸)との相関。相関の範囲は0.6までであり、合計42の遺伝子が>0.2で好中球分画と相関し、39の遺伝子が同じしきい値でリンパ球数と相関した。遺伝子は、表2のナンバリングスキームを使用して同定されている。
【図5】アルゴリズム構造および遺伝子の図。アルゴリズムは、男性および女性に関する重複する遺伝子発現関数からなり、男性に関しては性別特異的線形年齢関数を有し、女性に関しては非線形年齢関数を有する。遺伝子発現成分に関して、四つの項における16/23の遺伝子は性別非依存性である。項1−好中球活性化およびアポトーシス、項3−NK細胞活性化/T細胞比、項4−B/T細胞比、および項5−TFCP2およびHNRPFに対して正規化されたAF289562発現。加えて、項2は、女性の場合には全好中球遺伝子発現(AQP9、NCF4)および男性の場合にはRPL28(リンパ球)に対して正規化された三つの性別非依存性好中球/先天免疫遺伝子(S100A8、S100A12、CLEC4E)からなる。最終的な男性特異的項はTSPAN16の正規化発現である。アルゴリズムスコアは、1.821-.755*Term1-.406*Term3-.308*Term2*Sex-.137*Term4-.548*Term2*(1-Sex)-.246*Term5-.481*Term6*Sex+.851*Sex+.045*Sex*Age+.123*(1-Sex)*max(0,Age-55)と定義される。式中、Sexは性別の0/1指示子であり(0=女性、1=男性)であり、年齢は年単位であり、記載(以下の「方法」部分)のように計算される。
【図6】交差確認推定と独立確認との間のアルゴリズム性能の比較。アルゴリズムの交差確認(破線)および独立確認(実線)のROC曲線が0.50のAUC(点線)に対して示されている。95%信頼区間がべたの区域によって示されている。AUC値は、交差確認の場合には0.77(95%CI、0.73〜0.81)であり、独立確認コホートの場合には0.70(95%CI、0.65〜0.75、p=10-16)である。
【図7】アルゴリズム開発および確認のためのPREDICT治験患者の割り振り。研究包含/除外基準を満たす対象合計1569名から226名を遺伝子発見のために使用した。残る1343名を、図示するようにアルゴリズム開発(694)および確認(649)のための独立コホートに分割した。これらのコホート中の患者の94%は同じセンターからの患者であった。アルゴリズム開発のために合計640の患者試料を使用した。54は、不完全なデータ(Diamond G A, Forrester JS. Analysis of probability as an aid in the clinical diagnosis of coronary-artery disease. N Engl J Med. 1979; 300(24):1350-8)、不十分な血液量(Stangl V, Witzel V, Baumann G, Stangl K. Current diagnostic concepts to detect coronary artery disease in women. Eur Heart J. 2008;29(6):707-17)、実験記録と臨床記録との間の性別ミスマッチ(Gibbons R J, Abrams J, Chatterjee K, et al. ACC/AHA 2002 guideline update for the management of patients with chronic stable angina−summary article: a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on practice guidelines (Committee on the Management of Patients With Chronic Stable Angina). J Am Coll Cardiol. 2003;41(1):159-68)または統計的アウトライナ評価(Cook N R, Ridker PM. Advances in measuring the effect of individual predictors of cardiovascular risk: the role of reclassification measures. Ann Intern Med. 2009;150(11):795-802)のために除外した。確認コホートの場合、不十分な血液量またはRNA収量(43)、ゲノムDNAによる有意な汚染(78)または事前に指定された統計的アウトライナ評価(2)に基づいて合計123の試料を除外した。
【図8】偽陽性と偽陰性との間のトレードオフを表すしきい確率であるptの関数としての診断のための純有益性曲線。曲線は、ptの可能な値の範囲にかけてスコア>pt=陽性の決定則にしたがって純有益性を定量する。基準ラインは、a)すべての陽性対象(下曲線)、またはb)すべての陰性対象(純有益性=0の線)の純有益性を反映する。遺伝子発現アルゴリズムの純有益性曲線が上曲線として示され、臨床的に関連するptの範囲でいずれも基準線よりも大きい。
【図9】アルゴリズムおよび臨床変数の確認コホート性能のROC分析。アルゴリズム性能がDiamond-Forresterによる臨床因子を増強する。ROC分析におけるD-Fスコアとアルゴリズムスコアとの組み合わせ(太い実線)とD-Fスコア(---)のみとの比較が示されている。参照のため、AUC=0.50の線(細い実線)が示されている。確認コホート患者526名のうち合計525名が、D-Fスコアを計算するために利用可能な情報を有していた。二つのROC曲線のAUCは、0.721±0.023および0.663±0.025、p=0.003である。
【図10】確認コホートにおける%最大狭窄へのアルゴリズムスコアの依存性。各患者の疾病の程度をQCA最大%狭窄によって定量し、五つのカテゴリーに分類した。計測しうる疾病なし、1〜24%、≧1血管中25〜49%、1血管≧50%および>1血管≧50%。各グループの平均アルゴリズムスコアが示されている。エラーバーは95%信頼区間に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な説明
定義
一般に、特許請求の範囲および明細書において使用される語は、当業者によって理解される平易な意味を有するものとして解釈されるように意図したものである。さらなる明確さを提供するために特定の語を以下に定義する。平易な意味と提供される定義との間に不一致がある場合、提供される定義が使用されるものとする。
【0036】
語「急性冠動脈症候群」は、すべての形態の不安定な冠動脈疾患を包含する。
【0037】
語「冠動脈疾患」または「CAD」は、冠動脈に影響するすべての形態のアテローム硬化型疾患を包含する。
【0038】
語「Ct」は、サイクルしきい値を指し、蛍光値が設定しきい値を超えるPCRサイクル数と定義される。したがって、低いCt値は高レベルの発現に対応し、高いCt値は低レベルの発現に対応する。
【0039】
語「Cp」は、交差点を指し、リアルタイムPCR機器、たとえばLightCyclerにおける標準の増幅曲線の対数線形部分の最良適合とノイズバンド(バックグラウンド蛍光計測によって設定)との交点と定義される。
【0040】
語「FDR」は偽発見率を意味する。FDRは、ランダムに置換されたデータセットを分析し、所与のp値しきい値における平均遺伝子数を集計することによって推定することができる。
【0041】
語「GL」、「GM」および「GU」は、それぞれ、アルゴリズム開発データセット中のその遺伝子のCpの第1パーセンタイル、メジアンおよび第99パーセンタイルを指す。
【0042】
語「マーカー」は、非限定的に、脂質、リポタンパク質、タンパク質、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、ペプチド、核酸、遺伝子およびオリゴヌクレオチドならびにそれらの関連する複合体、代謝産物、突然変異、変異体、多型、修飾物、フラグメント、サブユニット、分解産物、要素および他の分析対象物または試料由来の尺度を包含する。マーカーはまた、突然変異タンパク質、突然変異核酸、コピー数おける変化および/または転写物変異体を、そのような突然変異、コピー数おける変化および/または転写物変異体が、予測モデルを生成するのに有用である、または関連マーカー(たとえばタンパク質または核酸の非突然変異バージョン、代替転写物など)を使用して開発される予測モデルにおいて有用である状況において、含むことができる。
【0043】
語「高度に相関した遺伝子発現」または「高度に相関したマーカー発現」とは、冠動脈疾患の予測モデルにおける互換可能な使用を可能にするのに十分な相関度を有する遺伝子またはマーカー発現値をいう。たとえば、発現値Xを有する遺伝子xを使用して予測モデルを構築するならば、当業者および本開示の恩典には容易に明らかである簡単な方法で、発現値Yを有する高度に相関した遺伝子yを予測モデルに代入することができる。遺伝子xおよびyの発現値の間にY=a+bXのような近似的に線形の関係があると仮定すると、Xを(Y-a)/bとして予測モデルに代入することができる。非線形相関の場合、遺伝子yの発現値を遺伝子xの対応する発現値に効果的に変換する同様な数学的変換を使用することができる。語「高度に相関したマーカー」または「高度に相関した代替マーカー」とは、たとえば上記基準に基づいて予測モデルに代入および/または加算することができるマーカーをいう。高度に相関したマーカーは、少なくとも二つの方法、すなわち(1)元のマーカーに代えて高度に相関したマーカーを用い、CADリスクを予測するための新たなモデルを生成する方法、または(2)CADリスクを予測するための既存モデルにおいて元のマーカーに代えて高度に相関したマーカーを用いる方法で使用することができる。
【0044】
語「哺乳動物」は、ヒトおよび非ヒトを包含し、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ウシ、ウマおよびブタを含むが、これらに限定されない。
【0045】
語「メタ遺伝子」とは、発現値が合わさって、予測モデルにおいて成分として使用することができる一つの値を生成する遺伝子のセットをいう(Brunet, J.P., et al. Proc. Natl. Acad. Sciences 2004;101(12):4164-9)。
【0046】
語「心筋梗塞」とは、虚血性の心筋壊死をいう。これは通常、心筋、すなわち心臓の筋肉組織の区域への冠動脈血流の突然の減少の結果である。心筋梗塞は、ST上昇型MIおよび非ST上昇型MI(不安定狭心症とも呼ばれる)に分類することができる。心筋壊死はいずれの分類においても生じる。ST上昇型または非ST上昇型分類の心筋梗塞は、不安定な形態のアテローム硬化型心臓血管疾患である。
【0047】
語「試料」は、静脈穿刺、排出、射出、マッサージ、生検、針吸引、かん注試料、スクレーピング、外科的切開、もしくはインターベンションまたは当技術分野において公知の他の手段を含む手段によって対象から採取された一つの細胞または多数の細胞または細胞のフラグメントまたは体液のアリコートを含むことができる。
【0048】
語「対象」は、細胞、組織または生物(ヒトまたは非ヒト)を、インビボ、エクスビボまたはインビトロ、オスまたはメスにかかわらず、包含する。
【0049】
語「試料に関連するデータセットを得る」は、少なくとも一つの試料から決定されたデータのセットを得ることを包含する。データセットを得ることは、試料を得ること、そしてその試料を処理してデータを実験的に決定することを包含する。この語句はまた、たとえば試料を処理してデータセットを実験的に決定した第三者からデータのセットを受けることを包含する。さらには、この語句は、少なくとも一つのデータベースまたは少なくとも一つの刊行物またはデータベースと刊行物との組み合わせからデータを採掘することを包含する。データセットは、記憶装置に記憶された状態を含む多様な公知の方法によって当業者が得ることができる。
【0050】
語「臨床因子」とは、対象の状態の尺度、たとえば疾病の活性または重篤度をいう。「臨床因子」は、非試料マーカーを含む対象の健康状態のすべてのマーカーおよび/または対象の他の特徴、たとえば非限定的に年齢および性別を包含する。臨床因子は、対象または決定された状態にある対象からの試料(または試料集団)の評価から得ることができるスコア、値または値のセットであることができる。臨床因子はまた、マーカーおよび/または他のパラメータ、たとえば遺伝子発現サロゲートによって予測することができる。
【0051】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形は、文脈がそうではないことを明確に示さない限り、複数の参照対象をも含むということが留意されなければならない。
【0052】
方法
マーカーおよび臨床因子
本発明の一つまたは複数のマーカーの量は、数値として指示することができる。数値は、ある条件下での試料の評価から得られる一つまたは複数の数値であることができる。数値は、たとえば、実験室で実施されるアッセイ法によって試料から計測値を実験的に得ることにより、または代替的に、サービス提供者、たとえば研究所から、またはデータセットがたとえば記憶装置上に記憶されているデータベースもしくはサーバからデータセットを得ることにより、得ることができる。
【0053】
ある態様において、一つまたは複数のマーカーの量は、ある条件下での試料の評価から得られる、AF161365、HNRPF、ACBD5、TFCP2、DDX18、AF289562、CD248、HNRPF、ACBD5、TFCP2、DDX18、CD79B、CD19、SPIB、BLK、CD3D、LCK、TMC8、CCT2、S100A12、MMP9、CLEC4E、ALOX5AP、S100A8、NAMPT、RPL28、SSRP1、S100A12、MMP9、CLEC4E、ALOX5AP、S100A8、NAMPT、AQP9、GLT1D1、NCF4、NCF2、CASP5、H3F3B、IL18RAP、TXN、TNFAIP6、PLAUR、IL8RB、BCL2A1、TNFRSF10C、PTAFR、KCNE3、LAMP2、TLR4、TYROBP、SLAMF7、CX3CR1、KLRC4、CD8A、CD3D、LCK、TMC8またはCCT2の発現レベルに関連する一つまたは複数の数値であることができる。この名称は、HUGO(Human Genome Organisation)HGNC(Gene Nomenclature Committee)によって提供されたガイドラインにしたがってヒト遺伝子を指すために使用される。各ヒト遺伝子に関するさらなる情報、たとえばアクセッション番号および別名は、HGNC Search genenames.orgウェブサイトのサーチページに遺伝子名を入力することによって見いだすことができる。たとえば、2010年6月1日にHGNCウェブサイトのSimple Searchフィールドに語「CD3D」を入力すると、CD3Dの承認遺伝子名(CD3d分子、デルタ(CD3-TCR複合体))、CD3Dの配列アクセッションID(X01451、NM_000732)およびCD3Dの以前の記号(T3D)が返される。さらなるヒト遺伝子名が以下の実施例部分で提供される。
【0054】
ある態様において、状態は、一つの臨床因子または複数の臨床因子を含むことができる。ある態様において、臨床因子はデータセット内に含まれることができる。データセットは、一つまたは複数、二つまたはそれ以上、三つまたはそれ以上、四つまたはそれ以上、五つまたはそれ以上、六つまたはそれ以上、七つまたはそれ以上、八つまたはそれ以上、九つまたはそれ以上、10またはそれ以上、11またはそれ以上、12またはそれ以上、13またはそれ以上、14またはそれ以上、15またはそれ以上、16またはそれ以上、17またはそれ以上、18またはそれ以上、19またはそれ以上、20またはそれ以上、21またはそれ以上、22またはそれ以上、23またはそれ以上、24またはそれ以上、25またはそれ以上、26またはそれ以上、27またはそれ以上、28またはそれ以上、29またはそれ以上、あるいは30またはそれ以上の重複する、あるいは別個の臨床因子を含むことができる。臨床因子は、たとえば疾病の存在または疾病の非存在における対象の状態であることができる。代替的または追加的に、臨床因子は対象の健康状態であることができる。代替的または追加的に、臨床因子は、年齢、性別、胸痛タイプ、好中球数、人種、疾病期間、拡張期血圧、収縮期血圧、家族歴パラメータ、病歴パラメータ、症候パラメータ、身長、体重、BMI、安静時心拍数および喫煙/非喫煙状態であることができる。臨床因子は、対象が持続的な胸痛を有するかどうか、対象が定型狭心症を有するかどうか、対象が非定型狭心症を有するかどうか、対象が狭心症等価症を有するかどうか、対象が以前にMIと診断されたことがあるかどうか、対象が血管再生処置を受けたことがあるかどうか、対象が糖尿病を有するかどうか、対象が炎症状態を有するかどうか、対象が感染状態を有するかどうか、対象がステロイド剤を服用しているかどうか、対象が免疫抑制剤を服用しているかどうか、および/または対象が化学療法剤を服用しているかどうかを含むことができる。臨床因子の他の例が表および図面にリストされている。
【0055】
ある態様において、マーカーの関連する数値は、対象から得られる試料に関連するデータセットに含まれることができる。データセットは、二つまたはそれ以上、三つまたはそれ以上、四つまたはそれ以上、五つまたはそれ以上、六つまたはそれ以上、七つまたはそれ以上、八つまたはそれ以上、九つまたはそれ以上、10またはそれ以上、11またはそれ以上、12またはそれ以上、13またはそれ以上、14またはそれ以上、15またはそれ以上、16またはそれ以上、17またはそれ以上、18またはそれ以上、19またはそれ以上、20またはそれ以上、21またはそれ以上、22またはそれ以上、23またはそれ以上、24またはそれ以上、25またはそれ以上、26またはそれ以上、27またはそれ以上、28またはそれ以上、29またはそれ以上、あるいは30またはそれ以上のマーカーの発現値を含むことができる。たとえば、データセットは、AF161365、HNRPF、ACBD5、AF161365、HNRPFまたはAF161365、ACBD5の発現値を含むことができる。他の組み合わせが以下の実施例部分にさらに詳細に記載されている。
【0056】
ある態様において、一つまたは複数のマーカーは項に分割されることができる。項は、一つのマーカーを含むことができるが、一般には三つまたはそれ以上のマーカーを含む。項は、対象から得られる試料に関連するデータセットに含まれることができる。データセットは、一つまたは複数、二つまたはそれ以上、三つまたはそれ以上、四つまたはそれ以上、五つまたはそれ以上、六つまたはそれ以上、七つまたはそれ以上、八つまたはそれ以上、九つまたはそれ以上、あるいは10またはそれ以上の項を含むことができる。ある態様において、項は、一つまたは複数、二つまたはそれ以上、三つまたはそれ以上、四つまたはそれ以上、五つまたはそれ以上、六つまたはそれ以上、七つまたはそれ以上、八つまたはそれ以上、九つまたはそれ以上、10またはそれ以上、11またはそれ以上、12またはそれ以上、13またはそれ以上、14またはそれ以上、15またはそれ以上、16またはそれ以上、17またはそれ以上、18またはそれ以上、19またはそれ以上、20またはそれ以上、21またはそれ以上、22またはそれ以上、23またはそれ以上、24またはそれ以上、25またはそれ以上、26またはそれ以上、27またはそれ以上、28またはそれ以上、29またはそれ以上、あるいは30またはそれ以上のマーカーを含むことができる。ある態様において、マーカーは、七つの別個の項、すなわち項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7に分割される。ある態様において、項1はマーカー1、マーカー2およびマーカー3を含むことができ、マーカー1はAF161365を含み、マーカー2はHNRPFまたはACBD5を含み、マーカー3はTFCP2またはDDX18を含む。ある態様において、項2はマーカー4、マーカー5およびマーカー6を含むことができ、マーカー4はAF289562またはCD248を含み、マーカー5はHNRPFまたはACBD5を含み、マーカー6はTFCP2またはDDX18を含む。ある態様において、項3はマーカー7、マーカー8、マーカー9およびマーカー10を含むことができ、マーカー7はCD79BまたはCD19を含み、マーカー8はSPIBまたはBLKを含み、マーカー9はCD3DまたはLCKを含み、マーカー10はTMC8またはCCT2を含む。ある態様において、項4はマーカー11、マーカー12、マーカー13およびマーカー14を含むことができ、マーカー11はS100A12またはMMP9を含み、マーカー12はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー13はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー14はRPL28またはSSRP1を含む。ある態様において、項5はマーカー15、マーカー16、マーカー17、マーカー18およびマーカー19を含むことができ、マーカー15はS100A12またはMMP9を含み、マーカー16はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー17はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー18はAQP9またはGLT1D1を含み、マーカー19はNCF4またはNCF2を含む。ある態様において、項6はマーカー20、マーカー21、マーカー22、マーカー23、マーカー24、マーカー25およびマーカー26を含むことができ、マーカー20はCASP5またはH3F3Bを含み、マーカー21はIL18RAPまたはTXNを含み、マーカー22はTNFAIP6またはPLAURを含み、マーカー23はIL8RBまたはBCL2A1を含み、マーカー24はTNERSF10CまたはPTAFRを含み、マーカー25はKCNE3またはLAMP2を含み、マーカー26はTLR4またはTYROBPを含む。ある態様において、項7はマーカー27、マーカー28、マーカー29およびマーカー30を含むことができ、マーカー27はSLAMF7またはCX3CR1を含み、マーカー28はKLRC4またはCD8Aを含み、マーカー29はCD3DまたはLCKを含み、マーカー30はTMC8またはCCT2を含む。
【0057】
もう一つの態様において、本発明は、一つまたは複数のマーカーを含む、対象に関連する試料を得ることを含む。試料は、対象自身によって得ることもできるし、または第三者、たとえば医療専門家によって得ることもできる。医療専門家の例は、内科医、救急医療技術者、看護師、第一応答者、心理学者、医学物理士、ナースプラクティショナー、外科医、歯科医および当業者には公知であるような任意の他の明白な医療専門家を含む。試料は、末梢血細胞、単離された白血球または末梢血もしくは単離された白血球から抽出されたRNAを含むことができる。試料は、体液、たとえば羊水、房水、胆汁、リンパ、母乳、間質液、血液、血漿、耳あか、クーパー腺液(射精前液)、乳び、キームス、膣液、月経分泌物、粘液、唾液、尿、嘔吐物、涙液、膣潤滑液、汗、血清、精液、皮脂、膿、胸水、脳脊髄液、滑液、細胞内液および硝子体液から得ることができる。ある例において、試料は、医療専門家がたとえば注射器によって対象から血液を抜き取る採血によって得られる。そして、その体液を試験して、アッセイ法を使用して一つまたは複数のマーカーの数値を測定することができる。そして、一つまたは複数のマーカーの数値は、アッセイ法を実施した同じ当事者が本発明の方法を使用して評価することもできるし、または本発明の方法を使用して評価する第三者に送ることもできる。
【0058】
解釈関数
ある態様において、解釈関数は、予測モデルによって生成される関数であることができる。解釈関数はまた、複数の予測モデルによって生成されることもできる。ある態様において、解釈関数は、項Norm1、Norm2、NKup、Tcell、Bcell、Neut、Nup、Ndown、SCA1、AF2、TSPAN、SEXおよびINTERCEPTを含むことができる。関連の態様において、Norm1=RPL28、Norm2=(.5*HNRPF+.5*TFCP2)、NKup=(.5*SLAMF7+.5*KLRC4)、Tcell=(.5*CD3D+.5*TMC8)、Bcell=(2/3*CD79B+1/3*SPIB)、Neut=(.5*AQP9+.5*NCF4)、Nup=(1/3*CASP5+1/3*IL18RAP+1/3*TNFAIP6)、Ndown=(.25*IL8RB+.25*TNFRSF10C+.25*TLR4+.25*KCNE3)、SCA1=(1/3*S100A12+1/3*CLEC4E+1/3*S100A8)、AF2=AF289562、TSPAN=(AF161365-Norm2>6.27またはAF161365=NoCall)ならば1、それ以外は0、SEX=男性ならば1、女性ならば0である。関連の態様において、男性の場合、INTERCEPT=Intercept+SEX+MAGE*Age(Ageは年単位)であり、女性の場合、INTERCEPT=Intercept+OFAGE2 *max(0,Age-60)(Ageは年単位)である。関連の態様において、係数Intercept=1.82120871、SEX=0.851181、OFAGE2=0.123283、MAGE=0.044868、TSPAN=-0.48182、AF2=-0.24592、Bcell=-0.13717、SCA1M=-0.30754、NeutF=-0.54778、Nupdown=-0.75514およびNK=-0.40579である。関連の態様において、スコアは、INTERCEPT-Nupdown*(Nup-Ndown)-NK*(NKup-Tcell)-SCA1M*SEX*(SCA1-Norm1)-Bcell*(Bcell-Tcell)-NeutF*(1-SEX)*(SCA1-Neut)-TSPANcoef*SEX*(TSPAN)-AF2*(AF2-Norm2)にしたがって決定される。ある態様において、解釈関数は、年齢、性(すなわち、性別)および一つまたは複数の項の任意の線形組み合わせを含むことができる。
【0059】
ある態様において、予測モデルは、部分的最小二乗モデル、ロジスティック回帰モデル、線形回帰モデル、線形判別分析モデル、リッジ回帰モデルおよび樹形再帰分割モデルを含むことができる。ある態様において、予測モデルはまた、Support Vector Machines、二次判別分析またはLASSO回帰モデルを含むことができる。あらゆる目的のために全体として参照により本明細書に組み入れられるElements of Statistical Learning, Springer 2003, Hastie, Tibshirani, Friedmanを参照すること。予測モデル性能は、曲線下面積(AUC)によって特徴づけることができる。ある態様において、予測モデル性能は、0.68〜0.70の範囲のAUCを特徴とする。ある態様において、予測モデル性能は、0.70〜0.79の範囲のAUCを特徴とする。ある態様において、予測モデル性能は、0.80〜0.89の範囲のAUCを特徴とする。ある態様において、予測モデル性能は、0.90〜0.99の範囲のAUCを特徴とする。
【0060】
アッセイ法
一つまたは複数のマーカーのアッセイ法の例は、DNAアッセイ法、マイクロアレイ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、RT-PCR、サザンブロット、ノーザンブロット、抗体結合アッセイ法、酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)、フローサイトメトリー、タンパク質アッセイ法、ウェスタンブロット、比濁測定、濁り測定、クロマトグラフィー、質量分析法、免疫アッセイ法、たとえば非限定的に、RIA、免疫蛍光、免疫化学発光、免疫電気化学発光または競合的免疫アッセイ法、免疫沈降ならびに以下の実施例部分に記載されるアッセイ法を含む。アッセイ法からの情報は、定量的であることができ、本発明のコンピュータシステムに送ることができる。情報はまた、パターンまたは蛍光を観察することのように定性的であることもでき、それを、ユーザによって、または自動的にリーダもしくはコンピュータシステムによって、定量的尺度に変換することができる。ある態様において、対象はまた、アッセイ法情報以外の情報、たとえば人種、身長、体重、年齢、性別、眼の色、髪の色、家族病歴およびユーザにとって有用であるかもしれない任意の他の情報、たとえば上記臨床因子をコンピュータシステムに提供することもできる。
【0061】
情報的マーカー群
名称、アクセッション番号または配列によって本出願において識別される特定の例示的マーカーに加えて、本発明の範囲には、例示される配列とで少なくとも90%または少なくとも95%または少なくとも97%またはそれ以上の同一性を有する、あるいは例示される遺伝子もしくは配列によってコード化されるタンパク質とで少なくとも90%または少なくとも95%または少なくとも97%またはそれ以上の同一性を有するタンパク質をコード化する変異配列の発現値を使用して試料をスコア付けし、任意で分類するためのすべての操作可能なCADの予測モデルおよびそれらの使用方法が含まれる。配列同一性のパーセンテージは、当業者には周知のアルゴリズム、たとえば、Stephen F. Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載され、国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって維持されるNational Center for Biotechnology Informationウェブサイトから入手可能なBLASTnおよびBLASTpを使用して決定することができる。本発明の態様にしたがって、例示的マーカー発現値に加えて、またはそれの代わりに、例示的マーカー発現値の発現と高度に相関するということが今や知られている、またはのちに見いだされるマーカー発現計測を使用する、試料をスコア付けし、任意で分類するためのすべての操作可能な予測モデルおよびそれらの使用方法は以下に記載されるとおりである。本発明の目的に関して、そのような高度に相関した遺伝子は、請求項に係わる発明の文字どおりの範囲内であるか、または代替的に、例示的マーカーの等価物として包含されるかのいずれかと考えられる。例示的マーカーの発現値に高度に相関している発現値を有するマーカーの識別および予測モデルの成分としてのそれらの使用は、当技術分野における通常の技能のレベルの範囲内である。以下の実施例部分は、高度に相関したマーカーを識別し、それらをアルゴリズムマーカーに代えてCADの予測モデルに代入する方法および試料をスコア付けし、任意で分類するためのそれらの使用方法の数多くの例を提供する。
【0062】
コンピュータ具現化
ある態様において、コンピュータは、チップセットに結合された少なくとも一つのプロセッサを含む。また、チップセットには、メモリ、記憶装置、キーボード、グラフィックスアダプタ、ポインティングデバイスおよびネットワークアダプタが結合されている。表示装置がグラフィックスアダプタに結合されている。一つの態様において、チップセットの機能性は、メモリコントローラハブおよび入出力コントローラハブによって提供される。もう一つの態様において、メモリは、チップセットではなく、プロセッサに直結されている。
【0063】
記憶装置は、データを保持することができる任意の装置、たとえばハードドライブ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、DVDまたはソリッドステート記憶装置である。メモリは、プロセッサによって使用される命令およびデータを保持する。ポインティング装置は、マウス、トラックボールまたは他のタイプのポインティング装置であることができ、データをコンピュータシステムに入力するためにキーボートと組み合わせて使用される。グラフィックスアダプタは、画像および他の情報を表示装置上に表示する。ネットワークアダプタはコンピュータシステムをローカルまたはワイドエリアネットワークに結合する。
【0064】
当技術分野において公知であるように、コンピュータは、前記コンポーネントとは異なるコンポーネントおよび/または他のコンポーネントを有することができる。加えて、コンピュータは、特定のコンポーネントを欠くこともできる。そのうえ、記憶装置は、コンピュータからローカルおよび/または遠隔的であることもできる(たとえば記憶エリアネットワーク(SAN)内に具現化されるなど)。
【0065】
当技術分野において公知であるように、コンピュータは、本明細書に記載される機能性を提供するためのコンピュータプログラムモジュールを実行するように適合されている。本明細書において使用する語「モジュール」とは、指定された機能性を提供するために利用されるコンピュータプログラム論理をいう。したがって、モジュールは、ハードウェア、ファームウェアおよび/またはソフトウェアとして具現化されることができる。一つの態様において、プログラムモジュールは、記憶装置上に記憶され、メモリにロードされ、プロセッサによって実行される。
【0066】
二つまたはそれ以上の核酸またはポリペプチド配列に関する語、パーセント「同一性」とは、二つまたはそれ以上の配列またはサブ配列が、以下に記す配列比較アルゴリズム(たとえばBLASTPおよびBLASTNまたは当業者に利用可能な他のアルゴリズム)の一つを使用して、または目視によって計測されるような、最大合致に関して比較しそして整列させた場合に、同じであるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の指定された割合を有することをいう。用途に依存して、パーセント「同一性」は、比較される配列のある領域にわたって、たとえば機能ドメインにわたって存在することもできるし、または、比較される二つの配列の全長にわたって存在することもできる。
【0067】
配列比較の場合、通常、一つの配列が、試験配列が比較される基準配列として働く。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および基準配列がコンピュータに入力され、サブ配列座標が指定され、必要ならば、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。すると、配列比較アルゴリズムが、指定されたプログラムパラメータに基づいて、基準配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。
【0068】
比較のための配列の最適な整列は、たとえば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同性整列アルゴリズムによって、Pearson & Lipman, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ具現化(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)によってまたは目視(たとえば、下記Ausubel et al.を参照)によって実施することができる。
【0069】
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの一例が、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載されているBLASTアルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通して公に入手可能である。
【0070】
本明細書に記載される実体の態様は、ここに記載されるモジュールとは別である、および/または異なるモジュールを含むことができる。加えて、モジュールに帰属する機能性は、他の態様において、他のまたは異なるモジュールによって実行されることができる。そのうえ、この詳細な説明は、明確さおよび便宜のために語「モジュール」を省略していることがある。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を実施するための具体的な態様の例を示す。これらの例は、例示目的にのみ提供されるものであり、本発明の範囲をいかなるふうにも限定することを意図したものではない。使用される数値(たとえば量、温度など)に関して正確さを保証するための努力が払われたが、いくらかの実験誤差および偏差は当然ながら考慮されたい。
【0072】
別段指示されない限り、本発明の実施は、当技術分野の技能の範囲内であるタンパク質化学、生化学、組み換えDNA技術および薬理学の従来法を使用する。そのような技術は文献において十分に説明されている。たとえば、T. E. Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W.H. Freeman and Company, 1993)、A. L. Lehninger, Biochemistry (Worth Publishers, Inc., current addition)、Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989)、Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.)、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition (Easton, Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1990)、Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed. (Plenum Press) Vols A and B (1992)を参照すること。
【0073】
材料および方法
一般研究設計
全体的な研究設計が図1に示されている。この研究は四つの別個の連続相を有するものであった。PREDICT臨床試験登録情報は、clinicaltrials.govウェブサイトから、2010年5月28日のNCT00500617において入手可能である。
【0074】
第1相−CATHGEN発見
第1相は、既往(retrospective)血液リポジトリであるDuke大学CATHGENレジストリからの初期遺伝子発見であった(11)。簡潔にいうと、このリポジトリからの対象198名(症例88名、対照110名)を2004年8月から2005年11月まで登録した。臨床包含および除外基準は前記のとおりであり、糖尿病患者および非糖尿病患者を含むものであった(7)。全CATHGEN患者は書面のインフォームドコンセントを提出し、研究プロトコルはDuke大学IRBによって承認された。マイクロアレイを実行してCAD感受性遺伝子を同定し、RT-PCR複製のために遺伝子のサブセットを選択した。第I相の発見を考慮して、その後は非糖尿病対象だけを含めた。
【0075】
第II相−PREDICT発見
第2相は、PREDICT研究からの対象に対する見込み(prospective)遺伝子発見相であり、患者198名(年齢および性別を合致させた99の症例:対照ペア)をマイクロアレイ分析に付して、示差的に発現した遺伝子を同定した。
【0076】
第III相−PREDICT開発
第3相は、臨床因子、血液細胞数、遺伝子発現およびCADの間の相互関係を決定するための、患者640名(症例210名、対照430名)での見込みアルゴリズム開発であった。
【0077】
第IV相−PREDICT確認
第III相が完了したのち、ロックしたアルゴリズムを患者526名(症例192名、対照334名)の独立コホートにおいて見込み確認した。
【0078】
PREDICTからの対象は、以前から知られているMI、血管再生またはCADを有しないうえで、胸痛歴、疑わしい狭心症等価症候またはCADの高い危険を有するならば、適格とした。詳細な包含/除外基準は記載されている(12)。糖尿病状態は、臨床識別、血糖値(非空腹時≧200または空腹時≧126)、rorヘモグロビンA1c(≧6.5)または糖尿病薬処方によって決定した。全患者に関して完全な血球算定を較差とともに得た。PREDICT患者は書面のインフォームドコンセントを提出し、研究プロトコルはWestern Institutional Review Boardによって承認された。
【0079】
血液捕集、RNA精製およびRT-PCR
冠動脈血管造影の前に、製造者の指示にしたがって全血試料をPAXgene(登録商標)管に捕集し、-20℃で凍結させた。CATHGEN試料の場合、RNAを前記のように精製し(PreAnalytix, Franklin Lakes, NJ)、その後、定量分析した(Ribogreen, Molecular Probes, Eugene, OR)。PREDICT試料の場合、Agencourt RNAdvanceシステムを使用する自動化方法を用いた。マイクロアレイ試料を標識し、製造者のプロトコルを使用して41Kヒト全ゲノムアレイ(Agilent, PN #G4112A)にハイブリダイズさせた。PREDICTマイクロアレイの場合、すべてのマッチしたペアを標識し、ハイブリダイズさせて、マイクロアレイバッチ効果を最小限にした。マイクロアレイデータセットはGEOに寄託されている(GSE 20686)。
【0080】
アンプリコン設計、cDNA合成およびRT-PCRを前記のように実施した(7、12)。すべてのPCR反応をトリプリケートで実施し、中央値を分析に使用した。プライマーおよびプローブは、以下の略式配列リストに示されている。マーカーCD3Dのためのプライマーおよびプローブは、Applied Biosystems, Inc.から購入した(アッセイ法ID:Hs00174158_m1、Part No. 4331182)。
【0081】
細胞タイプ特異的遺伝子発現計測のための全血細胞の分画
EDTA管に捕集した新鮮な血液に対して細胞分画を実施した。4名の異なるドナーから集めた血液120mlを1×PBSで1:1に希釈した。血液の15%を密度遠心分離による顆粒球単離に使用し、血液の85%をPBMC単離に使用したのち、T細胞、B細胞、NK細胞および単球の分画を実施した。
【0082】
末梢血単核細胞(PBMC)単離
密度遠心分離によってPBMCを単離した。50ml円錐管中、希釈血液20mlをHistopaque 1077(Sigma Cat No. 10771)20ml上に重ね、室温で30分間、400×gで遠心分離した。PBMC層を注意深く新たな管の中に吸引し、1×リン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄し、200×gで10分間遠心分離した。洗浄したPBMCを冷たい緩衝液1(1×PBS、0.1% BSAおよび2mMEDTA)中に再懸濁させ、氷上で貯蔵した。予備選択RNA単離のために細胞の5%をRLT緩衝液(Qiagen RNeasy Mini kit, Cat No. 74104)中に溶解させた。
【0083】
顆粒球単離
二つの異なる密度媒体を使用する密度遠心分離によって顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)を精製した。15ml円錐管中、Hisopaque 1077 3mlをHistopaque 1119(Sigma Cat No. 11191)3ml上に重ねたのち、希釈血液6mlをHistopaque 1077上に重ねた。管を室温(RT)で30分間、700×gで遠心分離した。そして、顆粒球層を新たな管の中に吸引し、二回洗浄した。顆粒球RNA単離のために、ペレットをRLT緩衝液中に再び懸濁させた。
【0084】
磁性ビーズを用いるポジティブ細胞単離
以下の試薬および推奨される手順を使用して、使用したPBMCから次の細胞タイプ(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球)をポジティブ選択した。
【0085】
CD8+T細胞−Dynal(登録商標)CD8ポジティブ単離キット(Invitrogen Cat. No. 113.33D)
【0086】
CD3+T細胞−Dynabeads(登録商標)CD3(Invitrogen Cat. No. 111.51D)
【0087】
CD19+B細胞−Dynabeads(登録商標)CD19 pan B(Invitrogen Cat. No. 111.43D)
【0088】
CD14+単球−Dynabeads(登録商標)CD14(単球/マクロファージ)(Invitrogen Cat. No. 111.49D)
【0089】
CD56+NK細胞−マウス抗ヒトCD56抗体(BD bioscience Cat No. 556325)とで架橋させたDynabeads(登録商標)Pan Mouse IgG(Invitrogen Cat. No. 110.41)
【0090】
簡潔にいうと、PBMCを抗体結合磁性ビーズとともに4℃で20分間インキュベートし、磁石上、緩衝液1で三回洗浄した。そして、RNA単離のために、選択された細胞をRLT緩衝液中に再懸濁させた。
【0091】
RNA単離
Qiagen RNeasy Miniキットを製造者の指示どおりに使用して、RLT緩衝液中のRNA試料を精製した。
【0092】
冠動脈血管造影分析および症例:対照定義
全患者を臨床的に血管造影法に紹介し、地元の施設内プロトコルに基づいて血管造影を実施した。CATHGEN患者の場合、臨床血管造影解釈は、症例を、一つの主要な血管中≧75%最大狭窄または二つの血管中≧50%の最大狭窄と定義し、対照を、すべての主要な血管中<25%狭窄と定義した。
【0093】
PREDICT患者の場合、コア実験室QCA解読(Cardiovascular Research Foundation New York)を症例:対照分類に使用した。症例は、少なくとも一つの主要冠動脈中で≧50%狭窄を有し、対照は、すべての主要な血管中で<50%の狭窄を有した。
【0094】
遺伝子発現と細胞タイプ分布との相関
完全血球算定およびデータベース遺伝子発現分析(SymAtlas)との相関を使用して、高度に細胞タイプ選択性の遺伝子を同定した。加えて、密度遠心分離またはポジティブ抗体選択による全血細胞分画を実施したのち、特定の細胞分画に対してRT-PCRを実施した。
【0095】
統計的方法
すべての統計的方法は、Rソフトウェアパッケージを使用して実施した。使用した統計的方法は、以下さらに詳細に記載され、参照されている。
【0096】
アレイ正規化
アレイ正規化のためのAgilent処理信号値をトリム平均100にスケーリングしたのち、log2変換した。標準アレイQC測定基準(存在率、ペアごとの相関およびシグナル強度)を品質評価に使用した結果、198のCATHGEN試料のうち三つおよび210のPREDICT試料のうち12が除外された。
【0097】
アレイ分析
CATHGENアレイの場合、ロジスティック回帰(非調節および性別/年齢調節)を使用して、症例:対照状態との遺伝子発現関連を評価した。PREDICTアレイの場合、ペアの設計を考慮して、条件付きロジスティック回帰を使用した。偽発見率を使用して多重比較を説明づけた。GOEASTを使用して遺伝子オントロジー(GO)項の過剰表現を決定した(13)
【0098】
遺伝子選択
RT-PCRのための遺伝子は、有意性、倍率変化、経路分析および文献の裏付けに基づいて選択した。遺伝子:遺伝子相関に基づく階層クラスター化が、RT-PCR遺伝子が多数のクラスターを代表することを保証した。正規化遺伝子は、低い分散、中ないし高の発現および症例:対照状態、性別、年齢または細胞数との有意な関連性の欠如に基づいて選択した。
【0099】
PCR統計分析
一変量および多変量ロジスティック回帰を使用して、CAD関連に関して臨床/人口動態因子を評価した。CADおよび他の臨床/人口動態因子との遺伝子発現の関連をロバストなロジスティック回帰によって評価した(非調節および性別/年齢調節)(7)
【0100】
アルゴリズム開発および確認
階層クラスター化を使用して、相関カットオフによって遺伝子を分類した。相関構造、既知の生物学および細胞数相関に基づいて、クラスターをメタ遺伝子(14)および正規化遺伝子まで減らした。高い相関および反対の疾病調節を有するメタ遺伝子対に関して、比率項(対数目盛りにおける差)を決定した。独立して結果と関連するメタ遺伝子をLASSO法によって選択し、変数選択中、性別×メタ遺伝子相互作用を許容した(15)
【0101】
リッジ回帰を使用して最終的なアルゴリズムを当てはめ(16)、その際、結果変数は症例:対照状態であり、予測変数はLASSO選択メタ遺伝子項および性別特異的年齢項であった。性別は二進予測変数であり、年齢は、男性、女性>60および女性<60で別々の切片を有する線形予測変数であった。遺伝子発現項罰則は、交差確認および従来の証拠に基づくものであった。モデル性能は、一つ抜き交差確認を使用して評価した。アルゴリズム性能は、独立患者コホートにおいて、ROC分析をプライマリエンドポイントとして確認した。
【0102】
アルゴリズム計算および変換
データ再処理およびOCステップ
1)各アルゴリズム遺伝子/試料に関してトリプリケートウェルの中央値を計算する。
a. 一つのウェルがノーコールを有するならば、二つの残るウェルの中央値をとる。
b. 二つまたは三つのウェルがノーコールを有するならば、アルゴリズムは、その試料に関してノーコールを受ける。
2)AF161365(TSPAN16)がノーコールを受けるならば、38の値をその遺伝子の中央値としてインピュートする。
3)AF161365以外の任意のアルゴリズム遺伝子がノーコールを受けるならば、試料は、Missing Gene Cpに関して失格である。アルゴリズム開発における640の遺伝子の中でこの基準に失格するものはないであろう。
4)AF161365を除くアルゴリズム遺伝子SDの中央値を計算する。この値が.15よりも大きいならば、試料は、High Replicate SDに関して失格である。
5)各アルゴリズム遺伝子iに関して、GLi未満の値をGLiで置換することにより、Cp値をフロアリングする。この値は、アルゴリズム開発セットにおけるその遺伝子のCpの第1パーセンタイルを表す。
6)各アルゴリズム遺伝子iに関して、GUiを超える値をGUiで置換することにより、Cp値をシーリングする。この値は、アルゴリズム開発セットにおけるその遺伝子のCpの第99パーセンタイルを表す。
7)各アルゴリズム遺伝子iに関して、そのCp値とGMiとの差の絶対値を計算する(ここで、GMiは、アルゴリズム開発セットにおけるその遺伝子の中央Cp値を表す)。アルゴリズム遺伝子すべて(AF161365を除く)でこの値を合計する。合計が27.17よりも大きいならば、試料は、Expression Profile Out of Rangeに関して失格である。27.17は、アルゴリズム開発セット内のこの基準の最大値を表す。
【0103】
特定の場合において、対象に関してアルゴリズムコアは計算されない。この理由としては、低いPAXgene(登録商標)管血液量、ラボQC障害などがある。これらの障害の発生頻度は集計されるが、これらの対象は分析セットには含まれない。Diamond Forresterスコアがない対象は分析セットに含まれない。
【0104】
アルゴリズム計算
1)Norm1=RPL28とする
2)Norm2=(.5*HNRPF+.5*TFCP2)とする
3)NKup=(.5*SLAMF7+.5*KLRC4)とする
4)Tcell=(.5*CD3D+.5*TMC8)とする
5)Bcell=(2/3*CD79B+1/3*SPIB)とする
6)Neut=(.5*AQP9+.5*NCF4)とする
7)Nup=(1/3*CASP5+1/3*IL18RAP+1/3*TNFAIP6)とする
8)Ndown=(.25*IL8RB+.25*TNFRSF10C+.25*TLR4+.25*KCNE3)とする
9)SCA1=(1/3*S100A12+1/3*CLEC4E+1/3*S100A8)とする
10)AF2=AF289562とする
11)TSPAN=1(AF161365-Norm2>6.27またはAF161365=NoCallならば)、それ以外は0とする
12)SEX=男性ならば1、女性ならば0とする
13)切片を決定する
a. 男性の場合、INTERCEPT=2.672+0.0449*Age
b. 女性の場合、INTERCEPT=1.821+0.123*(Age-60)、マイナスならば0にセットする
14)Score=INTERCEPT-0.755*(Nup-Ndown)-0.406*(NKup-Tcell)-0.308*SEX*(SCA1-Norm1)-0.137*(Bcell-Tcell)-0.548*(1-SEX)*(SCA1-Neut)-0.482*SEX*(TSPAN)-0.246*(AF2-Norm2)とする
【0105】
スコア変換
素アルゴリズムスコアを使用して先に定義したエンドポイント分析を実施した。臨床報告および提示しやすさのために、素スコアは、以下のようにして、臨床使用しやすいように設計された目盛りを有する変換スコアに変換することができる。
入力はRaw Scoreである
Raw Score<-2.95ならば、RawScore=-2.95とセットする
Raw Score>1.57ならば、RawScore=1.57とセットする
Raw Score=2.95+RawScore
Final Score=RawScore*40/4.52
Final Scoreを最近の整数まで切り上げる
Final Scoreが40よりも大きいならば、40にセットする
Final Scoreが1未満ならば、1にセットする
得られた値が最終変換スコアである
【0106】
スコアばらつきの推定
大きなPAXgene(登録商標)血液プールから合計41個のレプリケート試料を試験した。これらのレプリケートの素スコアの標準偏差は、.13であった。そして、所与の素スコアの信頼区間は素スコア±1.96*.13であった。この信頼区間の上下の界を0〜40の目盛りに線形変換し、さらに、上記のスコア対尤度関数を使用して尤度の信頼区間に変換した。
【0107】
実施例1:人口動態データ
CATHGENレジストリおよびPREDICT研究患者コホートのベースライン人口動態的特徴が表1に示されている。一般に、CAD症例は、男性、高齢者、SBP高めおよび脂質異常症の場合に多かった。
【0108】
実施例2:第I相:初期遺伝子発見(CATHGEN)
195対象症例:対照分析(図1)において、合計2438の遺伝子が有意なCAD関連性を示した(p<0.05)。遺伝子発現の臨床および人口動態因子分析は、糖尿病をもっとも有意なものとして示した(p=0.0006、表3)。統計的有意性および生物学的関連性に基づいて、88の遺伝子(表4)を、それらの同じ試料に対するRT-PCR分析に選択した。非糖尿病および糖尿病サブセット(それぞれ、N=124および71)におけるCAD遺伝子発現分析は、それぞれ42および12の有意な遺伝子を示し(p<0.05)、共通部分はない(図2)。したがって、さらなる研究は非糖尿病患者に限定した。
【0109】
本発明者らは、CATHGENコホートにおけるCADリスクに対する強い糖尿病遺伝子発現相互作用効果を観測し、それにより、アルゴリズム開発をPREDICT非糖尿病患者に限定した。CATHGEN糖尿病対象は、一定範囲の疾病重篤度および多様な投薬を包含し、そのいくつかは、遺伝子発現を変調させ、心臓血管疾患に影響を及ぼす(17)
【0110】
実施例3:第II相:非糖尿病患者遺伝子発見(PREDICT)
210のPREDICT患者試料に対するマイクロアレイCAD遺伝子発見は、年齢、性別およびマイクロアレイバッチ処理の混乱効果を減らすために、ペアの症例:対照実験設計を使用した。QC除外後の99の症例:対照ペアに対するCAD分析は、5935の有意な遺伝子を出し(p<0.05)、うち655の遺伝子はCATHGEN結果とで共通であった(図3、表5)。
【0111】
発見遺伝子の経路分析
これらの655の遺伝子の遺伝子オントロジー(GO)分析は、主に炎症、細胞およびストレス反応、細胞死ならびにアポトーシスを反映する189の有意な生物学的プロセス項を識別した(p<0.05、表6)。細胞および分子オントロジーは、ミトコンドリア機能、アポトーシス性プロテアーゼアクチベータ活性および抗原結合を含む、それぞれ32および49の項の富化を示した。
【0112】
遺伝子選択
統計的有意性、生物学的関連ならびにPREDICT開発コホートにおいてRT-PCRによって計測したCADおよび遺伝子発現との事前の関連により、合計113の遺伝子(表2)を選択した。公知の細胞タイプ特異的マーカー、PREDICTにおける細胞数と相関するものおよび候補正規化遺伝子をも表した。
【0113】
実施例4:第III相:見込みアルゴリズム開発(PREDICT)
PREDICT開発コホートからのRT-PCRおよび臨床データを使用してアルゴリズムを導出した。CAD:遺伝子発現関連にとってもっとも有意な臨床因子は、年齢、性別、胸痛タイプおよび好中球数であった。年齢および性別はCADの独立リスク因子であり(表1)、有意な遺伝子発現相関を示した。胸痛タイプもまた、有意な独立リスク因子であったが(p=0.005)、遺伝子発現非依存性であった。好中球数は、113のRT-PCR遺伝子のうち93の発現に有意に相関し(プラスまたはマイナスに)、男性のCADとは有意に関連したが(p=0.049)、女性のCADとは有意に関連しなかった(p=0.77)。好中球分画およびリンパ球分画とのすべての遺伝子の遺伝子発現相関を計算した(図4)。>0.2の相関カットオフが、リンパ球関連としての39の遺伝子および好中球関連としての42の遺伝子を出した。好中球関連遺伝子は、CAD状態とともに上方および下方の両制御を示したが、リンパ球関連遺伝子は一般に下方制御されていた。好中球相関遺伝子の有意な性別特異的制御が見られたが(男性の場合、40/42の遺伝子が上方制御され、女性の場合、41/42の遺伝子が下方制御された)、リンパ球遺伝子下方制御は性別非依存性であった。
【0114】
113のPCR遺伝子の階層クラスター化が18の相関クラスターを生じさせ(表2)、リンパ球および好中球関連遺伝子内にはより細かな相関サブ構造がある。T細胞(クラスター1、2、3)、B細胞(クラスター3)およびNK細胞(クラスター12)を表す三つのリンパ球サブグループがあった。また、三つの好中球サブグループ、すなわち前記好中球遺伝子(IL8RB、S100A8、S100A12、TXN、BCL2A1、クラスター13、16)、新たに同定された上方制御された好中球遺伝子(CLEC4E、CASP5、TNFAIP6、クラスター16)および下方制御された好中球遺伝子(KCNE3、TLR4、TNFRSF10C、クラスター13、14)が同定された(7)。クラスター4〜11の29の遺伝子は明確な細胞タイプ関連を有しなかった。
【0115】
アルゴリズム導出
相関および細胞タイプ分析に基づき、15のメタ遺伝子および三つの正規化遺伝子をモデル変数選択のための入力と定めた。LASSO法による選択およびリッジ回帰による重み罰則付けが、20のCAD関連遺伝子および三つの正規化遺伝子を六つのメタ遺伝子中に含む最終的なロックされたアルゴリズムを生じさせた(図5)。アルゴリズムスコアを予測回帰モデル値と定めた。
【0116】
概要
CAD、臨床因子および遺伝子発現の間の関係を調査するために、PCRアルゴリズム開発セットを十分に補強した。CADにとってもっとも有意な独立臨床リスク因子は、CAD尤度のためのDiamond-Forresterリスクモデルの成分である年齢、性別および胸痛タイプであり(1)、アルゴリズム性能を評価するための基準としてのその使用を支持するものであった(12)
【0117】
年齢、性別、CADおよび遺伝子発現の間の関係は複雑である。加齢および男性は、循環細胞中の遺伝子発現に影響するCADの周知の危険因子である(18、19)。この研究においてRT-PCRによって計測された遺伝子の大部分はリンパ球分画または好中球分画と相関した(図4、39および42の遺伝子に関してそれぞれr>0.2)。好中球関連グループ中の遺伝子は、本発明者らが事前に同定した多く(クラスター6、13、14、表2)を含む(7)。リンパ球グループ遺伝子は、T細胞(CD3、TMC8)、B細胞(SPIB、CD79B)およびNK細胞(SLAMF7、KLRC4)中で発現することが知られているもの(それぞれ、クラスター1、3および12)を含む。リンパ球関連遺伝子発現は、CADとともに性別非依存的に低下し、心臓血管リスクの増大と相関するリンパ球数の低下と合致している(8)。対照的に、好中球関連遺伝子は、CADとで有意な性別特異的発現差を示す。男性においては、好中球遺伝子の95%が上方制御されたが、女性においては98%が下方制御され、より高いCADリスクと関連する男性における顆粒球数の増大と合致していたが、女性において効果はより小さかった(20)
【0118】
アルゴリズム項の生物学的有意性
アルゴリズムのための構成単位としての相関メタ遺伝子の使用は遺伝子発現細胞タイプ特異性を有意に反映する。アルゴリズム遺伝子は、好中球、NK細胞、BおよびTリンパ球を含む多数のタイプの循環細胞において選択的に発現し(21)、アテローム性動脈硬化症における適応および先天免疫反応の両方のための役割を裏付けている(4)
【0119】
好中球において優先的に発現するアルゴリズム項1遺伝子(図5)は、CADとともにカスパーゼ-5が増加し、TRAILの抗アポトーシスデコイ受容体であるTNFRSF10Cが減少することから、好中球アポトーシスを反映することができる(22)。CADとともに上方制御される項2遺伝子は、先天免疫活性化(S100A8およびS100A12)(23)および細胞壊死反応(CLEC4E)(24)の両方を反映する可能性が高い。S100A8およびS100A12は、慢性炎症状態において上方制御されて、おそらくは、関節リウマチのような疾患におけるCAD増加と合致して、より一般的な病態生理学的シグナルを反映する(25、26)
【0120】
項2は性別特異的に正規化される。男性においては、リンパ球において強く発現するRPL28への正規化が、CAD集団における死またはMIの前兆となる好中球/リンパ球比を反映する(8)。女性においては、二つのCAD非感受性好中球遺伝子であるAQP9およびNCF4への正規化が、S100およびCLEC4Eの好中球上方制御の評価を可能にする。
【0121】
項3は、T細胞特異的遺伝子(TMC8およびCD3D)に正規化された二つのNK細胞受容体、SLAMF7およびKLRC4からなる。SLAMF7は、BおよびT細胞を阻害しながらも、NK細胞機能を特異的に活性化することができる(27)。KLRC4もまた、おそらくNK細胞活性化に関与している(28)。NK細胞は、マウスモデルおよびヒトの両方におけるアテローム性動脈硬化症と関連し、心臓事象に関連するリンパ球数を減少させた(8、29)
【0122】
項4はB/T細胞比の遺伝子発現ベースの尺度である。T細胞の役割は複雑であるが、B細胞は、マウスモデルにおいてアテローム予防性であることが示されている(30、31)。この研究において、B細胞特異的遺伝子の明らかな上方制御がCADと相関して、おそらくは、疾病に対する免疫学的反応を示唆している。AF289562(AF2)およびTSPAN16に基づく最後二つの項は未知の機能の遺伝子である。
【0123】
実施例5:第IV相:見込みアルゴリズム確認(PREDICT)
PREDICT開発セットにおけるROC分析における推定交差確認アルゴリズムAUCを0.77(95%CI 0.73〜0.81)にセットした。患者526名(症例192名、対照334名)の独立PREDICT確認セットにおける見込み確認は0.70のAUC(95%CI=0.65〜0.75)を出した(図6)。
【0124】
第IIIおよびIV相におけるアルゴリズム開発の場合、本発明者らは、メタ遺伝子を構成単位として使用することによって一つの遺伝子の影響を最小限にするロバストな手法を使用した(14、32)。罰則付きステップワイズロジスティック回帰(LASSO)が、候補変数(15のメタ遺伝子)の数を大きく超える患者640名のデータセットから有意なメタ遺伝子を選択して、オーバーフィッティングの尤度を減らした。さらには、個々の項の重み付け過ぎを最小限にするために、リッジ回帰を使用してメタ遺伝子係数に罰則を付けた。
【0125】
交差確認されたモデルAUCは0.77(95%CI 0.73〜0.81)であり、アルゴリズムスコアが有意なCAD予測変数であることを示唆し、確認コホートAUCは0.70であり、信頼区間が重複していた(95%CI=0.65〜0.75)。本発明者らは反復ごとに項を再選択しなかったため、この控えめな低下は、楽観的すぎる交差確認推定値を反映しているのかもしれない。
【0126】
このように、本発明者らは、1,500名を超える患者を含む一連のマイクロアレイおよびRT-PCRデータセットを使用して、非糖尿病患者における閉塞性CADの尤度を評価する、23の遺伝子の発現レベル、性別および年齢からなるアルゴリズムを導出し、確認した。
【0127】
実施例6:上記実施例の概要
本研究は、非糖尿病患者における閉塞性CADの尤度を評価するための、全血由来RT-PCRベースの遺伝子発現アルゴリズムの開発および確認を提示し、いくつかの主要な発見を含む。第一に、CADのある糖尿病患者とCADのない糖尿病患者とを区別する遺伝子発現パターンは、糖尿病のない研究患者の場合の遺伝子発現パターンとは非常に異なった。初期遺伝子発見コホートにおいて、2438の遺伝子が症例 vs 対照において示差的に発現した。第二に、非糖尿病患者におけるPREDICT遺伝子発見コホートにおいて、5935の遺伝子が示差的に発現し、655が初期遺伝子発見遺伝子と重複していた。全体的相関および生物学的有意性に基づき、これら655の遺伝子の113を、臨床因子、細胞数および遺伝子発現の間の関係をも識別した、独立アルゴリズム開発コホート(第III相)におけるRT-PCR分析のために選択した。23の遺伝子発現レベル、年齢および性別を含むアルゴリズムをこれらのデータから導出し、ロックした。そして、第IV相の見込みPREDICT確認コホートにおいて、それが有意な診断精度を0.70のAUC(95% CI=0.65〜0.75、p=10-16)で有することが見込みとして示された。
【0128】
本発明者らは、少なくとも二つの要因により、本発明者らの結果がロバストであると考える。第一に、本発明者らは、>1,500名の患者を含む注意深く設計された連続的な4相研究を使用し、初期マイクロアレイベースの遺伝子発見を独立患者における定量的RT-PCR計測によって確認した。第二に、本発明者らは、QCAを使用してCAD症例および対照を決定して、より正確な黄金基準を生み出した。
【0129】
実施例7:アルゴリズムから一つの項の除去
以下の一連の実施例(7〜47)において、本発明者らは、項、マーカーおよび統計的方法の差に対するアルゴリズムおよびアルゴリズム開発プロセスの感度を試験した。各実施例は同じ一般的手順を踏襲する。すなわち、1)可能な代替モデル手法(たとえば、より少ない項、代替マーカーなど)を識別し、2)項および/またはマーカーを適切に重み付けし直すことを含め、その代替手法に基づいてアルゴリズムを再構築し、そして3)新たなモデルが有意な予測精度を保有するかどうかを評価する。
【0130】
七つの項のうち一つの非存在においてCADの尤度を決定するアルゴリズムの能力を評価した。一つの項をアルゴリズムから順次に取り出すと同時に、他の項ならびに年齢および性別の臨床因子を維持した。たとえば、項1をアルゴリズムから取り出すと同時に、項2〜7および臨床因子(年齢および性別)をアルゴリズム中に残した。項1〜7におけるマーカーを以下の表に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を評価に使用した。すべての分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が、使用した一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。たとえば、項1をアルゴリズムから取り出すと、変更されたアルゴリズムは以下のようになった。
【0131】
アルゴリズム計算(リッジ回帰、項1の除去)
1)Norm1=RPL28とする
2)Norm2=(.5*HNRPF+.5*TFCP2)とする
3)NKup=(.5*SLAMF7+.5*KLRC4)とする
4)Tcell=(.5*CD3D+.5*TMC8)とする
5)Bcell=(2/3*CD79B+1/3*SPIB)とする
6)Neut=(.5*AQP9+.5*NCF4)とする
7)Nup=(1/3*CASP5+1/3*IL18RAP+1/3*TNFAIP6)とする
8)Ndown=(.25*IL8RB+.25*TNFRSF10C+.25*TLR4+.25*KCNE3)とする
9)SCA1=(1/3*MMP9+1/3*CLEC4E+1/3*S100A8)とする
10)AF2=AF289562とする
11)SEX=男性ならば1、女性ならば0とする
12)切片を決定する
a. 男性の場合、INTERCEPT=0.70+0.044*Age
b. 女性の場合、INTERCEPT=0.38+0.126*(Age-60)、マイナスならば0にセットする
13)Score=INTERCEPT-0.39*(Nup-Ndown)-0.26*(NKup-Tcell)-0.33*SEX*(SCA1-Norm1)-0.06*(Bcell-Tcell)-0.07*(1-SEX)*(SCA1-Neut)-0.26*(AF2-Norm2)とする
【0132】
この実施例および以下の実施例における他の項の順次除去の場合にも同様なアルゴリズム開発手順を使用した。各計算の統計データ概要ならびに結果の平均および標準偏差を表7に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。表8を参照すること。試験した6項セットすべてがDFモデルよりも有意に良好であり、一つの項を除去した後でもアルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0133】

【0134】
実施例8:アルゴリズムからの二つの項の除去
七つの項のうち二つの非存在においてCADの尤度を決定するアルゴリズムの能力を評価した。二つの別個の項をアルゴリズムから取り出すと同時に、他の項ならびに年齢および性別の臨床因子を維持した。たとえば、項6〜7をアルゴリズムから取り出すと同時に、項1〜5および臨床因子をアルゴリズム中に残した。可能な五項の組み合わせすべてを評価した。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を評価に使用した。すべての分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が、使用した一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。各計算の統計データ概要ならびに結果の平均および標準偏差を表9に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。表8を参照すること。試験した5項セットすべてがDFモデルよりも有意に良好であり、二つの項を除去した後でもアルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0135】
実施例9:アルゴリズムからの三つの項の除去
七つの項のうち三つの非存在においてCADの尤度を決定するアルゴリズムの能力を評価した。三つの別個の項をアルゴリズムから取り出すと同時に、他の項ならびに年齢および性別の臨床因子を維持した。たとえば、項5〜7をアルゴリズムから取り出すと同時に、項1〜4および臨床因子をアルゴリズム中に残した。可能な四項の組み合わせすべてを評価した。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を評価に使用した。すべての分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が、使用した一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。各計算の統計データ概要ならびに結果の平均および標準偏差を表10に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。表8を参照すること。試験した4項セットすべてがDFモデルよりも有意に良好であり、三つの項を除去した後でもアルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0136】
実施例10:アルゴリズムからの四つの項の除去
七つの項のうち四つの非存在においてCADの尤度を決定するアルゴリズムの能力を評価した。四つの別個の項をアルゴリズムから取り出すと同時に、他の項ならびに年齢および性別の臨床因子を維持した。たとえば、項4〜7をアルゴリズムから取り出すと同時に、項1〜3および臨床因子をアルゴリズム中に残した。可能な三項の組み合わせすべてを評価した。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を評価に使用した。すべての分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が、使用した一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。各計算の統計データ概要ならびに結果の平均および標準偏差を表11に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。表8を参照すること。試験した3項セットすべてがDFモデルよりも有意に良好であり、四つの項を除去した後でもアルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0137】
実施例11:アルゴリズムからの五つの項の除去
七つの項のうち五つの非存在においてCADの尤度を決定するアルゴリズムの能力を評価した。五つの別個の項をアルゴリズムから取り出すと同時に、他の項ならびに年齢および性別の臨床因子を維持した。たとえば、項3〜7をアルゴリズムから取り出すと同時に、項1〜2および臨床因子をアルゴリズム中に残した。可能な二項の組み合わせすべてを評価した。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を評価に使用した。すべての分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が、使用した一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。各計算の統計データ概要ならびに結果の平均および標準偏差を表12に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。表8を参照すること。試験した2項セットすべてがDFモデルよりも有意に良好であり、五つの項を除去した後でもアルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0138】
実施例12:アルゴリズムからの六つの項の除去
七つの項のうち六つの非存在においてCADの尤度を決定するアルゴリズムの能力を評価した。六つの別個の項をアルゴリズムから取り出すと同時に、他の項ならびに年齢および性別の臨床因子を維持した。たとえば、項2〜7をアルゴリズムから取り出すと同時に、項1および臨床因子をアルゴリズム中に残した。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を評価に使用した。すべての分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が、使用した一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。各計算の統計データ概要ならびに結果の平均および標準偏差を表13に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。表8を参照すること。試験した1項セットすべてがDFモデルよりも有意に良好であり、六つの項を除去した後でもアルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0139】
実施例13:アルゴリズムからの七つすべての項の除去
七つのマーカー発現項のうち七つの非存在においてCADの尤度を決定するアルゴリズムの能力を評価した。七つの別個の項をアルゴリズムから取り出すと同時に、年齢および性別の臨床因子を維持した。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を評価に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が、使用した一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。計算の統計データ概要を表14に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。表8を参照すること。試験した年齢+性別+0マーカー発現項セットはDFモデルよりも有意に良好であり、七つのマーカー発現項すべてを除去した後でもアルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。これは、性別および年齢のアルゴリズム重み付けがDFモデルにおける臨床因子の重み付けよりも優れていることを示す。
【0140】
実施例14:高度に相関した代用マーカーによるS100A12の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した(表1bおよび表2を参照)。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を評価に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるS100A12に代えてMMP9を用い、ここでは、項4および5におけるS100A12に代えてMMP9を用いた。たとえば、アルゴリズム中、S100A12をMMP9によって置換すると、変更されたアルゴリズムは以下のようになった。
【0141】
アルゴリズム計算(ロジスティック回帰、S100A12に代わるMMP9の使用)
1)Norm1=RPL28とする
2)Norm2=(.5*HNRPF+.5*TFCP2)とする
3)NKup=(.5*SLAMF7+.5*KLRC4)とする
4)Tcell=(.5*CD3D+.5*TMC8)とする
5)Bcell=(2/3*CD79B+1/3*SPIB)とする
6)Neut=(.5*AQP9+.5*NCF4)とする
7)Nup=(1/3*CASP5+1/3*IL18RAP+1/3*TNFAIP6)とする
8)Ndown=(.25*IL8RB+.25*TNFRSF10C+.25*TLR4+.25*KCNE3)とする
9)SCA1=(1/3*MMP9+1/3*CLEC4E+1/3*S100A8)とする
10)AF2=AF289562とする
11)TSPAN=1(AF161365-Norm2>6.27またはAF161365=NoCallならば)、それ以外は0とする
12)SEX=男性ならば1、女性ならば0とする
13)切片を決定する
a. 男性の場合、INTERCEPT=5.28+0.047*Age
b. 女性の場合、INTERCEPT=4.44+0.120*(Age-60)、マイナスならば0にセットする
14)Score=INTERCEPT-1.05*(Nup-Ndown)-0.56*(NKup-Tcell)-0.35*SEX*(SCA1-Norm1)-0.30*(Bcell-Tcell)-0.89*(1-SEX)*(SCA1-Neut)-0.87*SEX*(TSPAN)-0.38*(AF2-Norm2)とする
【0142】
以下の実施例において同様なアルゴリズム開発手法を使用した。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0143】
実施例15:高度に相関した代用マーカーによるCLEC4Eの置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるCLEC4Eに代えてALOX5APを用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0144】
実施例16:高度に相関した代用マーカーによるS100A8の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるS100A8に代えてNAMPTを用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0145】
実施例17:高度に相関した代用マーカーによるCASP5の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるCASP5に代えてH3F3Bを用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0146】
実施例18:高度に相関した代用マーカーによるIL18RAPの置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるIL18RAPに代えてTXNを用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0147】
実施例19:高度に相関した代用マーカーによるTNFAIP6の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるTNFAIP6に代えてPLAURを用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0148】
実施例20:高度に相関した代用マーカーによるAQP9の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるAQP9に代えてGLT1D1を用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0149】
実施例21:高度に相関した代用マーカーによるNCF4の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるNCF4に代えてNCF2を用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0150】
実施例22:高度に相関した代用マーカーによるCD3Dの置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるCD3Dに代えてLCKを用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0151】
実施例23:高度に相関した代用マーカーによるTMC8の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるTMC8に代えてCCT2を用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0152】
実施例24:高度に相関した代用マーカーによるCD79Bの置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるCD79Bに代えてCD19を用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0153】
実施例25:高度に相関した代用マーカーによるSPIBの置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるSPIBに代えてBLKを用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0154】
実施例26:高度に相関した代用マーカーによるHNRPFの置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるHNRPFに代えてACBD5を用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0155】
実施例27:高度に相関した代用マーカーによるTFCP2の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるTFCP2に代えてDDX18を用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0156】
実施例28:高度に相関した代用マーカーによるRPL28の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるRPL28に代えてSSRP1を用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0157】
実施例29:高度に相関した代用マーカーによるAF289562の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるAF289562に代えてCD248を用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0158】
実施例30:高度に相関した代用マーカーによるSLAMF7の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるSLAMF7に代えてCX3CR1を用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0159】
実施例31:高度に相関した代用マーカーによるKLRC4の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるKLRC4に代えてCD8Aを用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0160】
実施例32:高度に相関した代用マーカーによるIL8RBの置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるIL8RBに代えてBCL2A1を用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0161】
実施例33:高度に相関した代用マーカーによるTNFRSF10Cの置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるTNFRSF10Cに代えてPTAFRを用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0162】
実施例34:高度に相関した代用マーカーによるKCNE3の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるKCNE3に代えてLAMP2を用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0163】
実施例35:高度に相関した代用マーカーによるTLR4の置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。この特定の置換の相関値を表15に示す。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に一つの遺伝子を代用するモデルに関して精度を計算した。この実施例においては、アルゴリズムのすべての関連する項におけるTLR4に代えてTYROBPを用いた。計算のための統計データ概要を表15に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなした。DFのAUCに関しては表16を参照すること。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、アルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0164】
実施例36:五つの別個の高度に相関した代用マーカーによる五つのアルゴリズムマーカーのランダム置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。高度に相関した代用マーカーに関しては表15を参照すること。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に五つの別個のアルゴリズムマーカーに代えて五つの高度に相関したマーカーをランダムに用いるモデルに関して精度を計算した。ランダムマーカー代用に関して、それぞれ100回の反復を実施し、平均および標準偏差を計算した。計算のための統計データ概要を表16に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなす。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、五つのアルゴリズムマーカーを五つの高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0165】
実施例37:10の別個の高度に相関した代用マーカーによる10のアルゴリズムマーカーのランダム置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。高度に相関した代用マーカーに関しては表15を参照すること。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に10の別個のアルゴリズムマーカーに代えて10の高度に相関したマーカーをランダムに用いるモデルに関して精度を計算した。ランダムマーカー代用に関して、それぞれ100回の反復を実施し、平均および標準偏差を計算した。計算のための統計データ概要を表16に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなす。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、10のアルゴリズムマーカーを10の高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0166】
実施例38:15の別個の高度に相関した代用マーカーによる15のアルゴリズムマーカーのランダム置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。高度に相関した代用マーカーに関しては表15を参照すること。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に15の別個のアルゴリズムマーカーに代えて15の高度に相関したマーカーをランダムに用いるモデルに関して精度を計算した。ランダムマーカー代用に関して、それぞれ100回の反復を実施し、平均および標準偏差を計算した。計算のための統計データ概要を表16に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなす。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、15のアルゴリズムマーカーを15の高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0167】
実施例39:20の別個の高度に相関した代用マーカーによる20のアルゴリズムマーカーのランダム置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。高度に相関した代用マーカーに関しては表15を参照すること。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度に20の別個のアルゴリズムマーカーに代えて20の高度に相関したマーカーをランダムに用いるモデルに関して精度を計算した。ランダムマーカー代用に関して、それぞれ100回の反復を実施し、平均および標準偏差を計算した。計算のための統計データ概要を表16に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなす。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、20のアルゴリズムマーカーを20の高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0168】
実施例40:別個の高度に相関した代用マーカーによるすべてのアルゴリズムマーカーのランダム置換
各アルゴリズムマーカーに関して、高度に相関した非アルゴリズム代用マーカーを上記第III相PCRデータセットから同定した。各マーカーに関して、そのマーカーと他すべてのマーカーとの間のピアソン相関値を計算したのち、本発明者らは、対象のアルゴリズムマーカーとで最大限の相関を有する代用マーカーを選択した。この代用物が、代用マーカーはアルゴリズムの項において一度しか使用されないという制限を条件として、アルゴリズムマーカーとで最高の相関を有するマーカーであった。高度に相関した代用マーカーに関しては表15を参照すること。二つの統計的方法、すなわちロジスティック回帰およびリッジ回帰を分析に使用した。分析に関して、ROC曲線下面積(AUC)が一次精度測定基準であった。AUCは、交差確認を使用して計算した。一度にすべてのアルゴリズムマーカーに代えて高度に相関したマーカーをランダムに用いるモデルに関して精度を計算した。ランダムマーカー代用に関して、それぞれ100回の反復を実施し、平均を計算した。計算のための統計データ概要を表16に示す。Diamond Forrester(DF)のAUCの信頼区間の上界よりも大きいAUCを、DFモデルよりも有意に良好であるとみなす。代用マーカーを用いたアルゴリズムは、DFモデルよりも有意に良好なままであり、すべてのアルゴリズムマーカーを高度に相関した代用マーカーで置換した後でさえ、アルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するということが示された。
【0169】
実施例41:項1からのマーカーの除去
項1アルゴリズムおよび高度に相関した代用マーカーをアルゴリズムから順次に除去して、それらの非存在においてアルゴリズムが相変わらずCADの尤度を予測するかどうかを判定した。他すべての項およびそれらの関連マーカーをアルゴリズムから除去し、したがって、この分析においては、各項を単独で考察した。モデルにおける各項はデルタ項であり、デルタ項の左側にn_i個のマーカーがあり、デルタ項の右側にm_i個のマーカーがある。本発明者らは、左側n_i個のマーカーの一つおよび可能な右側m_i個のマーカーの一つのみが項において使用される、2マーカー「縮小項」を試験した。したがって、n_i*m_i個の可能な2マーカー縮小項があった。本発明者らはまた、アルゴリズムマーカーおよび代用マーカーの両方に関して、完全項からのマーカーの順次除去によって生成される「縮小項」をも試験した。
【0170】
各縮小項に関して、性別、年齢および縮小項を含むモデルを当てはめ、交差確認されたAUCを推定した。これらの交差確認されたAUCを、性別、年齢および完全項を含むモデルからのAUCに比較した。各縮小項に関して、本発明者らは、項の統計的に有意な予測効果がまだあるかどうか、すなわち、AUCの低下が、CADの予測においてマーカー減少セットを非有益性にするのに十分であるかどうかを試験した。すべての減少マーカーセットに関して、元のアルゴリズムマーカーの代わりに相関した置換マーカーを使用する同じプロセスを繰り返した。
【0171】
本発明者らは、この分析において生成されたすべての縮小項がCADを相変わらず予測するということがわかった。表17を参照すること。
【0172】
実施例42:項2からのマーカーの除去
項2アルゴリズムおよび高度に相関した代用マーカーをアルゴリズムから順次に除去して、それらの非存在においてアルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するかどうかを判定した。他すべての項およびそれらの関連マーカーをアルゴリズムから除去し、したがって、この分析においては、各項を単独で考察した。モデルにおける各項はデルタ項であり、デルタ項の左側にn_i個のマーカーがあり、デルタ項の右側にm_i個のマーカーがある。本発明者らは、左側n_i個のマーカーの一つおよび可能な右側m_i個のマーカーの一つのみが項において使用される、2マーカー「縮小項」を試験した。したがって、n_i*m_i個の可能な2マーカー縮小項があった。本発明者らはまた、アルゴリズムマーカーおよび代用マーカーの両方に関して、完全項からのマーカーの順次除去によって生成される「縮小項」をも試験した。
【0173】
各縮小項に関して、性別、年齢および縮小項を含むモデルを当てはめ、交差確認されたAUCを推定した。これらの交差確認されたAUCを、性別、年齢および完全項を含むモデルからのAUCに比較した。各縮小項に関して、本発明者らは、項の統計的に有意な予測効果がまだあるかどうか、すなわち、AUCの低下が、CADの予測においてマーカー減少セットを非有益性にするのに十分であるかどうかを試験した。すべての減少マーカーセットに関して、元のアルゴリズムマーカーの代わりに相関した置換マーカーを使用する同じプロセスを繰り返した。
【0174】
本発明者らは、この分析において生成されたすべての縮小項がCADを相変わらず予測するということがわかった。表18を参照すること。
【0175】
実施例43:項3からのマーカーの除去
項3アルゴリズムおよび高度に相関した代用マーカーをアルゴリズムから順次に除去して、それらの非存在においてアルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するかどうかを判定した。他すべての項およびそれらの関連マーカーをアルゴリズムから除去し、したがって、この分析においては、各項を単独で考察した。モデルにおける各項はデルタ項であり、デルタ項の左側にn_i個のマーカーがあり、デルタ項の右側にm_i個のマーカーがある。本発明者らは、左側n_i個のマーカーの一つおよび可能な右側m_i個のマーカーの一つのみが項において使用される2マーカー「縮小項」を試験した。したがって、n_i*m_i個の可能な2マーカー縮小項があった。本発明者らはまた、アルゴリズムマーカーおよび代用マーカーの両方に関して、完全項からのマーカーの順次除去によって生成される「縮小項」をも試験した。
【0176】
各縮小項に関して、性別、年齢および縮小項を含むモデルを当てはめ、交差確認されたAUCを推定した。これらの交差確認されたAUCを、性別、年齢および完全項を含むモデルからのAUCに比較した。各縮小項に関して、本発明者らは、項の統計的に有意な予測効果がまだあるかどうか、すなわち、AUCの低下が、CADの予測においてマーカー減少セットを非有益性にするのに十分であるかどうかを試験した。すべての減少マーカーセットに関して、元のアルゴリズムマーカーの代わりに相関した置換マーカーを使用する同じプロセスを繰り返した。加えて、2マーカー減少セットに関して、一つの相関した置換マーカーを一つの元のアルゴリズムマーカーとともに使用する同じプロセスを再び繰り返した。
【0177】
本発明者らは、この分析において生成されたすべての縮小項が、LCK/CCT2/CD19/BLK、LCK/CD19/BLK、CCT2/CD19/BLK、LCK/CCT2/CD19、LCK/CD19、CCT2/CD19、CD3D/CD19、LCK/CD19およびCCT2/CD19を除き、CADを相変わらず予測するということがわかった。表19を参照すること。TMC8/CD19は、リッジ回帰を使用してAUCを計算した場合にはCADを予測したが、ロジスティック回帰を使用してAUCを計算した場合にはCADを予測しなかった。表19を参照すること。
【0178】
実施例44:項4からのマーカーの除去
項4アルゴリズムおよび高度に相関した代用マーカーをアルゴリズムから順次に除去して、それらの非存在においてアルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するかどうかを判定した。他すべての項およびそれらの関連マーカーをアルゴリズムから除去し、したがって、この分析においては、各項を単独で考察した。モデルにおける各項はデルタ項であり、デルタ項の左側にn_i個のマーカーがあり、デルタ項の右側にm_i個のマーカーがある。本発明者らは、左側n_i個のマーカーの一つおよび可能な右側m_i個のマーカーの一つのみが項において使用される、2マーカー「縮小項」を試験した。したがって、n_i*m_i個の可能な2マーカー縮小項があった。本発明者らはまた、アルゴリズムマーカーおよび代用マーカーの両方に関して、完全項からのマーカーの順次除去によって生成される「縮小項」をも試験した。
【0179】
各縮小項に関して、性別、年齢および縮小項を含むモデルを当てはめ、交差確認されたAUCを推定した。これらの交差確認されたAUCを、性別、年齢および完全項を含むモデルからのAUCに比較した。各縮小項に関して、本発明者らは、項の統計的に有意な予測効果がまだあるかどうか、すなわち、AUCの低下が、CADの予測においてマーカー減少セットを非有益性にするのに十分であるかどうかを試験した。すべての減少マーカーセットに関して、元のアルゴリズムマーカーの代わりに相関した置換マーカーを使用する同じプロセスを繰り返した。
【0180】
本発明者らは、この分析において生成されたすべての縮小項がCADを相変わらず予測するということがわかった。表20を参照すること。
【0181】
実施例45:項5からのマーカーの除去
項5アルゴリズムおよび高度に相関した代用マーカーをアルゴリズムから順次に除去して、それらの非存在においてアルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するかどうかを判定した。他すべての項およびそれらの関連マーカーをアルゴリズムから除去し、したがって、この分析においては、各項を単独で考察した。モデルにおける各項はデルタ項であり、デルタ項の左側にn_i個のマーカーがあり、デルタ項の右側にm_i個のマーカーがある。本発明者らは、左側n_i個のマーカーの一つおよび可能な右側m_i個のマーカーの一つのみが項において使用される、2マーカー「縮小項」を試験した。したがって、n_i*m_i個の可能な2マーカー縮小項があった。本発明者らはまた、アルゴリズムマーカーおよび代用マーカーの両方に関して、完全項からのマーカーの順次除去によって生成される「縮小項」を試験した。
【0182】
各縮小項に関して、性別、年齢および縮小項を含むモデルを当てはめ、交差確認されたAUCを推定した。これらの交差確認されたAUCを、性別、年齢および完全項を含むモデルからのAUCに比較した。各縮小項に関して、本発明者らは、項の統計的に有意な予測効果がまだあるかどうか、すなわち、AUCの低下が、CADの予測においてマーカー減少セットを非有益性にするのに十分であるかどうかを試験した。すべての減少マーカーセットに関して、元のアルゴリズムマーカーの代わりに相関した置換マーカーを使用する同じプロセスを繰り返した。加えて、2マーカー減少セットに関して、一つの相関した置換マーカーを一つの元のアルゴリズムマーカーとともに使用する同じプロセスを再び繰り返した。
【0183】
本発明者らは、この分析において生成されたすべての縮小項が、MMP9/ALOX5AP/GLT1D1/NCF2、MMP9/ALOX5AP/NAMPT/NCF2、MMP9/GLT1D1/NCF2、MMP9/ALOX5AP/NCF2、MMP9/NAMPT/NCF2、MMP9/GLT1D1、ALOX5AP/NCF2、MMP9/NCF2、ALOX5AP/AQP9およびALOX5AP/NCF2を除き、CADを相変わらず予測するということがわかった。表21を参照すること。ALOX5AP/NCF4は、リッジ回帰を使用してAUCを計算した場合にはCADを予測したが、ロジスティック回帰を使用してAUCを計算した場合にはCADを予測しなかった。表21を参照すること。
【0184】
実施例46:項6からのマーカーの除去
項6アルゴリズムおよび高度に相関した代用マーカーをアルゴリズムから順次に除去して、それらの非存在においてアルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するかどうかを判定した。他すべての項およびそれらの関連マーカーをアルゴリズムから除去し、したがって、この分析においては、各項を単独で考察した。モデルにおける各項はデルタ項であり、デルタ項の左側にn_i個のマーカーがあり、デルタ項の右側にm_i個のマーカーがある。本発明者らは、左側n_i個のマーカーの一つおよび可能な右側m_i個のマーカーの一つのみが項において使用される、2マーカー「縮小項」を試験した。したがって、n_i*m_i個の可能な2マーカー縮小項があった。本発明者らはまた、アルゴリズムマーカーおよび代用マーカーの両方に関して、完全項からのマーカーの順次除去によって生成される「縮小項」を試験した。
【0185】
各縮小項に関して、性別、年齢および縮小項を含むモデルを当てはめ、交差確認されたAUCを推定した。これらの交差確認されたAUCを、性別、年齢および完全項を含むモデルからのAUCに比較した。各縮小項に関して、本発明者らは、項の統計的に有意な予測効果がまだあるかどうか、すなわち、AUCの低下が、CADの予測においてマーカー減少セットを非有益性にするのに十分であるかどうかを試験した。すべての減少マーカーセットに関して、元のアルゴリズムマーカーの代わりに相関した置換マーカーを使用する同じプロセスを繰り返した。加えて、2マーカー減少セットに関して、一つの相関した置換マーカーを一つの元のアルゴリズムマーカーとともに使用する同じプロセスを再び繰り返した。
【0186】
本発明者らは、この分析において生成されたすべての縮小項が、H3F3B/TXN/BCL2A1/LAMP2/TYROBP、H3F3B/TXN/BCL2A1/LAMP2、H3F3B/TXN/BCL2A1/TYROBP、TXN/PLAUR/BCL2A1/TYROBP、H3F3B/TXN/PLAUR/BCL2A1、H3F3B/BCL2A1/TYROBP、TXN/BCL2A1/TYROBP、H3F3B/TXN/BCL2A1、H3F3B/TXN/TYROBP、TXN/PLAUR/BCL2A1、TXN/PLAUR/BCL2A1、H3F3B/BCL2A1、H3F3B/TYROBP、TXN/BCL2A1、TXN/TYROBP、TXN/IL8RBおよびTXN/TNFRSF10Cを除き、CADを相変わらず予測するということがわかった。表22を参照すること。
【0187】
実施例47:項7からのマーカーの除去
項7アルゴリズムおよび高度に相関した代用マーカーをアルゴリズムから順次に除去して、それらの非存在においてアルゴリズムがCADの尤度を相変わらず予測するかどうかを判定した。他すべての項およびそれらの関連マーカーをアルゴリズムから除去し、したがって、この分析においては、各項を単独で考察した。モデルにおける各項はデルタ項であり、デルタ項の左側にn_i個のマーカーがあり、デルタ項の右側にm_i個のマーカーがある。本発明者らは、左側n_i個のマーカーの一つおよび可能な右側m_i個のマーカーの一つのみが項において使用される2マーカー「縮小項」を試験した。したがって、n_i*m_i個の可能な2マーカー縮小項があった。本発明者らはまた、アルゴリズムマーカーおよび代用マーカーの両方に関して、完全項からのマーカーの順次除去によって生成される「縮小項」を試験した。
【0188】
各縮小項に関して、性別、年齢および縮小項を含むモデルを当てはめ、交差確認されたAUCを推定した。これらの交差確認されたAUCを、性別、年齢および完全項を含むモデルからのAUCに比較した。各縮小項に関して、本発明者らは、項の統計的に有意な予測効果がまだあるかどうか、すなわち、AUCの低下が、CADの予測においてマーカー減少セットを非有益性にするのに十分であるかどうかを試験した。すべての減少マーカーセットに関して、元のアルゴリズムマーカーの代わりに相関した置換マーカーを使用する同じプロセスを繰り返した。加えて、2マーカー減少セットに関して、一つの相関した置換マーカーを一つの元のアルゴリズムマーカーとともに使用する同じプロセスを再び繰り返した。
【0189】
本発明者らは、この分析において生成されたすべての縮小項が、LCK/CCT2/CX3CR1/CD8A、LCK/CX3CR1/CD8A、CCT2/CX3CR1/CD8A、LCK/CCT2/CD8A、LCK/CD8A、CCT2/CD8A、TMC8/CD8AおよびCD3D/CD8Aを除き、CADを相変わらず予測するということがわかった。表23を参照すること。
【0190】
実施例48:非糖尿病患者におけるCADの評価のためのアルゴリズムの診断精度の確認
本明細書において、本発明者らは、CADが疑われる非糖尿病患者において≧50%の管腔径狭窄を引き起こす一つまたは複数の冠動脈アテローム硬化型病変と定義される閉塞性CADの尤度のための遺伝子発現アルゴリズムの初期見込み確認を報告する。
【0191】
方法
一般的研究設計および研究集団
2007年7月から2009年4月までの間、対象を、39センター(US)見込み研究であるPREDICTに登録した。研究は、参加した全センターにおける施設内倫理委員会において承認され、全患者が書面のインフォームドコンセントを提出した。診断用冠動脈血管造影に紹介された対象は、胸痛歴、疑狭心症等価症候または高いCADリスクを有するが、以前から知られている心筋梗塞(MI)、血管再生または閉塞性CADを有したことがない場合、適格とした。対象は、カテーテル処置において、急性MI、高リスク不安定狭心症、重篤な非冠動脈性心疾患(うっ血性心不全、心筋症または弁疾患)、全身性感染または炎症状態を有する、または免疫抑制剤もしくは化学療法剤を服用している場合、不適格とした。
【0192】
この初期アルゴリズム開発および確認は非糖尿病患者を対象としたものであったため、包含基準を満たした登録対象2418名のうち、糖尿病患者606名を除外した。残る1812名の患者のうち、237名は、QCAに関して不適当な血管造影画像を示し、6名は異常な血液試料を示した。残る1569名の対象に関して、226名を遺伝子発見に使用し(Elashoff MR, Wingrove JA, Beineke P, et al. Development of a Blood-based Gene Expression Algorithm for Assessment of Obstructive Coronary Artery Disease in Non-Diabetic Patients, submitted. Circulation: Cardiovascular Genetics. 2010)、残る1343名を、登録日に基づいて順次、独立したアルゴリズム開発コホートおよび確認コホートに分割した(図7)。
【0193】
臨床評価および定量的冠動脈血管造影
人口動態データ、投薬、臨床歴および症状をはじめとする事前に指定された臨床データならびにMPI結果を、研究サイトにおけるリサーチ研究コーディネータにより、標準化されたデータ収集法を使用して取得し、独立した研究モニターによってデータを確認した。
【0194】
冠動脈血管造影図をコンピュータ援用QCAによって分析した。具体的には、サイトプロトコルにしたがって実施された臨床適応冠動脈血管造影を、Cardiovascular Research Foundation(New York, NY)においてデジタル化し、非識別化し、確認済み定量プロトコルによって分析した(Lansky AJ, Popma JJ. Qualitative and quantitative angiography Philadelphia, PA: Saunders; 1998 Text Book of Interventional Cardiology)。臨床および遺伝子発現データに対して盲検化された訓練された技術者が、直径>1.5mm血管中の>10%直径狭窄(DS)の病変すべてを目視で識別した。CMS Medisシステム(Medis, version 7.1, Leiden, the Netherlands)を使用して、技術者が、最近位非罹患位置と最遠位非罹患位置との間の病変を血管腔に沿ってトレースした。そして、最小管腔径(MLD)、基準管腔径(RLD=病変に近い正常セグメントおよび病変から遠い正常セグメントの平均直径)および%DS(%DS=(1-MLD/RLD)×100)を計算した。
【0195】
年齢、性別および胸痛タイプで構成されるDiamond-Forrester(D-F)リスクスコアを見込みとして選択して、臨床因子に対する遺伝子発現スコアの付加価値を評価した(Diamond G A, Forrester JS. Analysis of probability as an aid in the clinical diagnosis of coronary-artery disease. N Engl J Med. 1979;300(24):1350-8)。対象問診に基づいて胸痛タイプのD-F分類(定型狭心症、非定型狭心症および非狭心症性胸痛)を割り当て(Diamond GA, Forrester JS. Analysis of probability as an aid in the clinical diagnosis of coronary-artery disease. N Engl J Med. 1979;300(24):1350-8)、かつD-Fスコアを割り当てた(Chaitman BR, Bourassa MG, Davis K, et al. Angiographic prevalence of high-risk coronary artery disease in patient subsets (CASS). Circulation. 1981;64(2):360-7)。胸痛症候を有しない対象は非狭心症性胸痛と分類した。MPIを、地元のプロトコルにしたがって、臨床適応されるとおりに実施し、それを、臨床データにはアクセスできるが、遺伝子発現またはカテーテル処置データにはアクセスできない地元の読み手が解釈した。≧1可逆性である、または閉塞性CADと合致する固定性欠損が報告されたならば、MPIを陽性とした。不確定または中間的な異常は陰性とみなした。
【0196】
閉塞性CADおよび疾病グループ定義
閉塞性CADの患者(N=192)とは、QCAにより、主要な冠動脈(管腔径≧1.5mm)中に≧50%管腔径狭窄を生じさせる≧1のアテローム硬化型プラークを有する対象として、見込みとして定義した。非閉塞性CAD(N=334)は>50%の病変を有しなかった。
【0197】
血液試料
冠動脈血管造影の前に、静脈血試料をPAXgene(登録商標)RNA保存管中に捕集した。製造者の指示にしたがって試料を処理したのち、-20℃で凍結した。
【0198】
RNA精製およびRT-PCR
Agencourt RNAdvanceシステムを使用する全血試料からの自動化RNA精製、cDNA合成およびRT-PCRを、記載(Elashoff MR, Wingrove JA, Beineke P, et al. Development of a Blood-based Gene Expression Algorithm for Assessment of Obstructive Coronary Artery Disease in Non-Diabetic Patients, submitted. Circulation: Cardiovascular Genetics. 2010)のようにして実施した。すべてのPCR反応をトリプリケートで実施し、中央値を分析に使用した。TFCP2およびHNRPFの発現値に正規化したスプライス部位スパニングおよびイントロンADORA3アッセイ法の発現値の比較によってゲノムDNA汚染を検出した。全患者の性別の確認としてRPS4Y1アッセイ法を実施し、臨床データとの明らかなミスマッチがある場合には患者を除外した。試料QC測定基準および合否基準を事前に決定し、記載(Elashoff MR, Wingrove JA, Beineke P, et al. Development of a Blood-based Gene Expression Algorithm for Assessment of Obstructive Coronary Artery Disease in Non-Diabetic Patients, submitted. Circulation: Cardiovascular Genetics. 2010)のように結果の評価の前に適用した。
【0199】
統計的方法
表24の分析にはSAS Version 9.1(SAS Institute Inc, Cary, NC, USA)を使用した。他すべての分析は、R Version 2.7(R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria)を使用して実施した。別段指定しない限り、連続変量の一変量比較はt検定によって実施し、カテゴリー変量の一変量比較はカイ二乗検定によって実施した。報告するすべてのp値は両側値である。
【0200】
遺伝子発現アルゴリズムスコア
確認研究の前にアルゴリズムをロックした。前記のように23のアルゴリズム遺伝子、年齢および性別の中央発現値から素アルゴリズムスコアを計算し、それをすべての統計的分析に使用した。報告しやすくするため、スコアは0〜40の目盛りに線形変換した。
【0201】
ROC推定およびAUC比較
a)遺伝子発現アルゴリズムスコア、b)D-Fリスクスコア、c)アルゴリズムスコアとD-Fリスクスコアとの組み合わせモデル、d)MPIおよびe)アルゴリズムスコアとMPIとの組み合わせモデルに関してROC曲線を推定した。標準的方法(Newson R. Confidence intervals for rank statistics: Somers' D and extensions. Stata Journal. 2006;6:309-334)を使用して、実験ROC曲線ならびに関連するAUCおよびAUC標準誤差を推定した。Z検定を使用してAUCをランダムに対して試験した(AUC=.50)。
【0202】
ペアのAUC比較、すなわち、i)遺伝子発現アルゴリズムスコア+D-Fリスク vs D-Fリスクスコア、およびii)遺伝子発現アルゴリズムスコア+MPI vs MPIをブートストラップによって実施した。各比較に関して、10,000回のブートストラップ反復を実施し、観察されたAUC差を計算した。ブートストラップされた中央値AUC差を使用してAUC差を推定し、ブートストラップされたAUC差の実験的分布(すなわち、実験的分布における0 AUC差の観察された分位数)を使用してp値を推定した。
【0203】
ロジスティック回帰
一連のロジスティック回帰モデルを二進従属変数としての疾病状態とで当てはめ、ネストされたモデルの間の尤度比試験を使用して比較した。比較は、i)遺伝子発現アルゴリズムスコア+D-Fリスクスコア vs D-Fリスクスコアのみ、ii)遺伝子発現アルゴリズムスコア+MPI vs MPIのみ、iii)遺伝子発現アルゴリズムスコア vs 遺伝子発現アルゴリズムスコアの人口動態成分であった。
【0204】
アルゴリズムスコアと%最大狭窄との相関
アルゴリズムスコアと連続変量としての%最大狭窄との間の相関を線形回帰によって評価した。狭窄値を五つの漸増カテゴリー(計測しうる疾病なし、1〜24%、≧1血管中25〜49%、1血管≧50%および>1血管≧50%)に分類し、ANOVAを使用してカテゴリー間のアルゴリズムスコアにおける線形傾向を試験した。
【0205】
疾病状態の再分類
遺伝子発現アルゴリズムスコアおよびD-Fリスクスコアを、低(0%〜<20%)、中(≧20%、<50%)および高(≧50%)リスク閉塞性CAD尤度と定義した。MPI結果を、陰性(欠損/起こりうる固定性または可逆性欠損なし)または陽性(固定性または可逆性欠損あり)と分類した。D-Fリスクスコア分析に関して、再分類された対象を、i)低または高アルゴリズムスコアに対してD-F中リスク、ii)アルゴリズム低リスクに対してD-F高リスク、またはiii)アルゴリズム高に対してD-F低リスクと画定した。MPI分析の場合、再分類された対象は、i)アルゴリズムスコアに基づく低リスクに対してMPI陽性、またはii)アルゴリズムスコアに基づく高リスクに対してMPI陰性を含むものであった。D-FリスクスコアまたはMPIのいずれかに比較した場合の遺伝子発現アルゴリズムスコア(および対応するp値)の純再分類改善(NRI)を、記載(Pencina MJ, D'Agostino RB, Sr., D'Agostino RB, Jr., Vasan RS. Evaluating the added predictive ability of a new marker: from area under the ROC curve to reclassification and beyond. Stat Med. 2008;27(2):157-72; discussion 207-12)のようにして計算した。NRIは、再分類臨床有益性の尺度であり、再分類の部分および精度の両方に対して敏感である。
【0206】
NRI式
NRIは、分類が「正しい」方向に移動する(疾病対象がより高リスクの分類に移動し、非疾病対象がより低リスクの分類に移動する)患者をプラスの再分類とみなす。同様に、NRIは、分類が誤った方向に移動する(疾病対象がより低リスクの分類に移動し、非疾病対象がより高リスクの分類に移動する)患者をマイナスの再分類とみなす。そして、NRI式は、プラスの再分類分とマイナスの再分類分との差である。
【0207】
NRI=(pup,events-pdown,events)-(pup,nonevents-pdown,nonevents)
式中、
pup,events=上に移動する事象数/事象数であり、
pdown,events=下に移動する事象数/事象数であり、
pup,nonevents=上に移動する非事象数/非事象数であり、
pdown,nonevents=下に移動する非事象数/非事象数であり、
有意性試験の場合、
z=NRI/(ve+vne)1/2
であり、
式中、
ve=(pup,events+pdown,events)/事象数であり、
vne=(pup,nonevents+pdown,nonevents)/非事象数である
(式は、{Pencina et al., 2008}より)。
【0208】
ロジスティック回帰分析
D-Fリスクスコアモデル

【0209】
遺伝子発現アルゴリズムスコア+D-Fリスクスコア

【0210】
MPIモデル

【0211】
遺伝子発現アルゴリズムスコア+MPI

【0212】
純有益性分析
Vickers(Vickers et al., 2008)は、偽陽性と偽陰性との間のトレードオフを表すしきい確率であるptの関数として診断の純有益性曲線を画定している。この曲線は、可能なpt値範囲にわたってスコア>pt=陽性の決定則にしたがって純有益性を定量化する。基準線は、a)全陽性対象(図8の下曲線)またはb)全陰性対象(純有益性=0の線)の純有益性を反映する。遺伝子発現アルゴリズムの純有益性曲線は図8の上曲線であり、臨床的に関連するpt範囲にわたっていずれの基準線よりも大きい。
【0213】
完全臨床モデル
方法
遺伝子発現アルゴリズムの付加価値をさらに評価するために、開発セットにおける閉塞性疾患患者と非閉塞性疾患患者との間で一変量有意性(p<.05)を示す11の臨床因子を組み入れた「完全」臨床因子モデルを開発した。11の因子は以下であった。
・性別
・年齢
・胸痛タイプ
・人種
・スタチン使用
・アスピリン使用
・抗血小板薬使用
・ACE阻害薬使用
・収縮期血圧
・高血圧症
・脂質異常症
【0214】
そして、疾病状態を従属変数として使用し、これら11の因子を予測変数として使用して、ロジスティック回帰モデルを当てはめた。対象の「完全臨床モデルスコア」は、このモデルからの対象の予測値であった。
【0215】
結果
確認セットに関して結果を報告する。完全臨床モデルのAUCは、.732であり、遺伝子発現アルゴリズム+完全臨床モデルのAUCは、.745であった(p=.09)。遺伝子発現アルゴリズムス+完全臨床モデル vs 完全臨床モデルのみのネストされたロジスティック回帰比較は、.014のp値を出した。
【0216】
遺伝子発現アルゴリズム+完全臨床モデル vs 完全臨床モデルのみのNRIは10%であった(p=.02)。
【0217】
論考
ここで評価された完全臨床モデルは、アルゴリズムスコアがPREDICT集団における既知または明白な臨床因子を増強するという概念をさらに支持する。このモデルは、Diamond-Forrester法に関して実施されているような独立した確認、ひいては、一次比較子としてのその役割を欠くことが欠点である。
【0218】
統計的アウトライア評価
基準Σ|gi-mi|>27[式中、giはi番目の遺伝子の発現値であり、そしてmiは、開発セット全体におけるi番目の遺伝子の中央発現値である]に基づいて試料を遺伝子発現アウトライアとして分類した。
【0219】
結果
2007年7月から2009年4月までに登録した、PREDICT治験からの合計1343名の非糖尿病患者を、順次、独立した開発セット(N=694)および確認セット(N=649)に割り振った。非糖尿病患者への限定は、糖尿病状態に依存するCAD分類遺伝子セットにおいて認められた有意な差に基づくものであった(Elashoff MR, Wingrove JA, Beineke P, et al. Development of a Blood-based Gene Expression Algorithm for Assessment of Obstructive Coronary Artery Disease in Non-Diabetic Patients, submitted. Circulation: Cardiovascular Genetics. 2010)。患者フロー、セット割り振りおよび除外を図7に示す。除外後の、疾病状態ごとのこれらのセットの人口動態的および臨床的特徴を表24にまとめた。開発セットおよび確認セットの臨床的特徴は類似していた。全体として、対象は57%が男性であり、37%が閉塞性CADを有し、26%が検出可能なCADを有しなかった。両コホートにおいて閉塞性CADに関連していた有意な臨床または人口動態変数は、加齢、男性、胸痛タイプ、高い収縮期血圧(すべてp<0.001)、高血圧症(p=0.001)および白人種(p=0.015)であった。
【0220】
遺伝子発現アルゴリズムを上記のように開発し、閉塞性CADを、QCAにより、≧1主要な冠動脈中≧50%狭窄と定義した。これは、臨床血管造影解読に基づく65〜70%狭窄にほぼ合致する。六つの項(四つは性別非依存性、二つは性別特異的)に分類した23のアルゴリズム遺伝子が図面に示されている。以後の分析は、独立確認セットのみに関する分析である。
【0221】
ROC分析
見込みとして決定された一次終点は、疾病状態のアルゴリズムスコア予測のROC曲線下面積であった。AUCは0.70±0.02(p<0.001)であり、男性サブセット(0.66)および女性サブセット(0.65)において非依存的に有意な性能があった(それぞれp<0.001)。臨床比較子として、本発明者らは、現在のCADの尤度を定量化するために開発され、大きなコホートにおいて確認されたDiamond-Forrester(D-F)リスクスコア(Diamond GA, Forrester JS. Analysis of probability as an aid in the clinical diagnosis of coronary-artery disease. N Engl J Med. 1979;300(24):1350-8、Chaitman BR, Bourassa MG, Davis K, et al. Angiographic prevalence of high-risk coronary artery disease in patient subsets (CASS). Circulation. 1981;64(2):360-7)を使用した。ROC分析は、D-Fリスクスコアのみに比べて、アルゴリズムスコアとD-Fリスクスコアとの組み合わせの場合により高いAUCを示した(AUC 0.72対0.66、p=0.003、図9)。
【0222】
PREDICTにおける非侵襲的画像化法のもっとも有力な形態はMPIであった。確認セットにおいて、患者310名は、臨床適応されたMPIを受けており、そのうち72%は陽性であった。比較ROC分析は、MPIのみに対し、アルゴリズムスコアとMPIとの組み合わせの場合にAUCの増加を示した(AUC 0.70対0.54、p<0.001)。
【0223】
感度、特異性
20%の疾病尤度に相当する14.75のアルゴリズムスコアしきい値(患者の33%がこの値未満のスコアを有する)において感度および特異性を決定した。このしきい値において、感度は85%であり、特異性は43%であり、それぞれ83%および46%のマイナスおよびプラスの予測値に相当した。
【0224】
回帰分析
一連のネストされたロジスティック回帰モデル(「方法」を参照)を使用して、アルゴリズムスコアおよび他の予測変数の独立寄与率を評価した。アルゴリズムスコアはD-Fリスクスコア(p<0.001)およびMPI(p<0.001)を増強し、アルゴリズム遺伝子発現項はアルゴリズム人口動態項(p=0.003)を増強した(「方法」を参照)。
【0225】
疾病重篤度との関連
アルゴリズムスコアは最大%狭窄と相関し(R=0.34、p<0.001)、平均アルゴリズムスコアは最大%狭窄の増大とともに単調に増大した(p<0.001、図10)。閉塞性CADを有する患者の平均スコアおよび閉塞性CADを有しない患者の平均スコアはそれぞれ25および17であった。
【0226】
再分類
再分類は、AUCのような標準尺度よりも臨床的に関連性のある予測変数比較性能の尺度であるかもしれない(Cook NR, Ridker PM. Advances in measuring the effect of individual predictors of cardiovascular risk: the role of reclassification measures. Ann Intern Med. 2009;150(11):795-802)。表25Aおよび25Bは、D-FリスクスコアおよびMPIに比較した場合の遺伝子発現アルゴリズムの再分類結果を示す。この研究において、遺伝子発現アルゴリズムスコアの純再分類改善は、D-Fリスクスコアに比較して20%(p<0.001)であり、MPIに比較して21%(p<0.001)であった。
【0227】
中間D-Fリスクスコアを有する対象において、患者の78%(75/96)が遺伝子発現アルゴリズムによって再分類された。具体的には、中間D-Fグループの場合、22%(21/96)が正しく低リスクと再分類され、8%(7/96)が誤って低リスクと再分類され、27%(26/96)が正しく高リスクと再分類され、22%(21/96)が誤って高リスクと再分類された。さらなる38名のD-F低リスク対象(15%)が高リスクと再分類され(22名は正しく、16名は誤って)、28名のD-F高リスク対象(16%)が低リスクと再分類された(22名は正しく、6名は誤って)。全体として、再分類エラーが起こるとき、対象はより高リスクのカテゴリーに分類され、PPVよりも高いNPVを有する遺伝子発現アルゴリズムと合致していた。
【0228】
論考
この研究は、非糖尿病患者において、循環全血細胞中の遺伝子発現、年齢および性別に基づくQCAによって定義される閉塞性CADに関する非侵襲的試験を見込みとして確認する。この研究は、患者血液中の遺伝子発現変化とCADとの相関に関する本発明者らの以前の研究(Wingrove JA, Daniels SE, Sehnert AJ, et al. Correlation of Peripheral-Blood Gene Expression With the Extent of Coronary Artery Stenosis. Circulation: Cardiovascular Genetics. 2008;1(1):31-38)を、ROC分析による閉塞性CADを有する非糖尿病患者のための分類子の見込み確認(Elashoff MR, Wingrove JA, Beineke P, et al. Development of a Blood-based Gene Expression Algorithm for Assessment of Obstructive Coronary Artery Disease in Non-Diabetic Patients, submitted. Circulation: Cardiovascular Genetics. 2010)まで拡大する。試験は数値スコア(0〜40)を出し、より高いスコアが、より高い閉塞性CAD尤度およびより高い最大%狭窄に対応する。
【0229】
NRIによって捕獲された患者臨床リスクまたは状態の再分類は、潜在的バイオマーカーを評価するための比較ROC分析よりも適切な尺度であるかもしれないことが示唆されている(Pencina MJ, D'Agostino RB, Sr., D'Agostino RB, Jr., Vasan RS. Evaluating the added predictive ability of a new marker: from area under the ROC curve to reclassification and beyond. Stat Med. 2008;27(2):157-72; discussion 207-12.;Cook NR, Ridker PM. Advances in measuring the effect of individual predictors of cardiovascular risk: the role of reclassification measures. Ann Intern Med. 2009;150(11):795-802)。遺伝子発現アルゴリズムスコアは、NRIによって示される臨床CAD評価の精度をD-Fスコアに対して20%改善する。もっとも有力な非侵襲的試験であるMPIの場合、NRIは21%であるが、これらの結果は、この血管造影紹介集団に固有の紹介バイアスによって混乱する可能性が高い。全体として、MPI結果またはD-Fリスクカテゴリから独立して、遺伝子発現スコアの上昇は閉塞性CADのリスクの単調な増大につながる(表25A、B)。
【0230】
この遺伝子発現試験は、標準的な静脈血抜き取りしか要さず、放射線、静脈内造影または生理学的および薬理的ストレッサを要しないため、現在の非侵襲的CAD診断モダリティを上回る臨床上の利点を有することができるであろう。CADの非侵襲的評価を改善する一つの潜在的な臨床有益性は、閉塞性CADを有しない患者における侵襲的診断用冠動脈血管造影を減らすことである。確認コホートにおいて、たとえば、侵襲的血管造影を受ける患者の37%しか閉塞性CADを有さず、その比率は女性において特に低い(26%)。非常に大きなレジストリにおける、以前から知られているCADを有しない患者に関する、閉塞性CADの正確な決定に対する感度をほとんど有しない、血管造影における閉塞性CADの同様な全体的比率が最近報告された(Patel MR, Peterson ED, Dai D, et al. Low diagnostic yield of elective coronary angiography. N Engl J Med. 2010;362(10):886-95)。ここに記載される遺伝子発現試験は、侵襲的血管造影に紹介された患者の33%における閉塞性CADの低い尤度(<20%)を識別したが、これらの患者の大多数はまた、臨床因子分析によっても低いリスクにあった(表25A)。
【0231】
結び
本発明者らは、侵襲的血管造影によって決定される、非糖尿病患者における閉塞性CADの尤度を決定するための末梢血ベースの遺伝子発現試験の見込み複数センター確認を記載する。この試験は、患者CAD状態分類によって計測されるような、臨床因子および非侵襲的画像化へのさらなる情報を提供する。この試験の臨床使用は、CADが疑われる患者のさらなる検査を減らすことができる。
【0232】
好ましい態様および様々な代替態様を参照して本発明を具体的に示し、説明したが、当業者には、本発明の真意および範囲を逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更をそこに加えることができることが理解されよう。
【0233】
本明細書の本文内で引用されるすべての参考文献、発行済み特許および特許出願は、全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0234】
参考文献



【0235】

(表1a)第I相および第II相マイクロアレイコホート

【0236】
(表1b)第III相および第IV相アルゴリズム開発および確認コホート

マイクロアレイコホートは、QC分析に基づいてアレイデータが除外された対象を除いた(CATHGEN 3名、PREDICT 12名)。
【0237】
(表2)アルゴリズム開発コホートにおいてRT-PCRによって評価されたマーカー




1マイクロアレイ証拠:1=Wingrove et al、2=CATHGEN、3=PREDICT、N=正規化マーカー
2細胞タイプ:1=CD33+、2=CD34+、3=CD4+、4=CD8+、5=樹状、6=CD14+、7=CD19+、8=CD56+
【0238】
(表3)CATHGENマーカー発見セットにおける臨床変数の有意性

【0239】
(表4)CATHGENコホートマーカーにおけるRT-PCR結果


【0240】
(表5)














【0241】
(表6)








【0242】
(表7)

【0243】
(表8)

【0244】
(表9)

【0245】
(表10)


【0246】
(表11)


【0247】
(表12)


【0248】
(表13)

【0249】
(表14)

【0250】
(表15)


【0251】
(表16)

【0252】
(表17)

【0253】
(表18)

【0254】
(表19)


【0255】
(表20)

【0256】
(表21)



【0257】
(表22)










【0258】
(表23)


【0259】
(表24)最終的な開発および確認患者セットの臨床的および人口動態的特徴1


【0260】
(表25A)Diamond-Forrester臨床モデルを用いる遺伝子発現アルゴリズムの再分類分析

【0261】
(表25B)MPI結果を用いる遺伝子発現アルゴリズムの再分類分析

【0262】
配列リスト



【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、対象から得られる第一の試料をスコア付けするコンピュータ具現化法:
項1、項2、項3、項4、項5、項6、および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも一つのマーカーセットの量的発現データを含む、該第一の試料に関連する第一のデータセットを得る段階であって、
項1は、マーカー1、マーカー2、およびマーカー3を含み、マーカー1はAF161365を含み、マーカー2はHNRPFまたはACBD5を含み、かつマーカー3はTFCP2またはDDX18を含み、
項2は、マーカー4、マーカー5、およびマーカー6を含み、マーカー4はAF289562またはCD248を含み、マーカー5はHNRPFまたはACBD5を含み、かつマーカー6はTFCP2またはDDX18を含み、
項3は、マーカー7、マーカー8、マーカー9、およびマーカー10を含み、マーカー7はCD79BまたはCD19を含み、マーカー8はSPIBまたはBLKを含み、マーカー9はCD3DまたはLCKを含み、かつマーカー10はTMC8またはCCT2を含み、
項4は、マーカー11、マーカー12、マーカー13、およびマーカー14を含み、マーカー11はS100A12またはMMP9を含み、マーカー12はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー13はS100A8またはNAMPTを含み、かつマーカー14はRPL28またはSSRP1を含み、
項5は、マーカー15、マーカー16、マーカー17、マーカー18、およびマーカー19を含み、マーカー15はS100A12またはMMP9を含み、マーカー16はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー17はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー18はAQP9またはGLT1D1を含み、かつマーカー19はNCF4またはNCF2を含み、
項6は、マーカー20、マーカー21、マーカー22、マーカー23、マーカー24、マーカー25、およびマーカー26を含み、マーカー20はCASP5またはH3F3Bを含み、マーカー21はIL18RAPまたはTXNを含み、マーカー22はTNFAIP6またはPLAURを含み、マーカー23はIL8RBまたはBCL2A1を含み、マーカー24はTNFRSF10CまたはPTAFRを含み、マーカー25はKCNE3またはLAMP2を含み、かつマーカー26はTLR4またはTYROBPを含み、そして
項7は、マーカー27、マーカー28、マーカー29、およびマーカー30を含み、マーカー27はSLAMF7またはCX3CR1を含み、マーカー28はKLRC4またはCD8Aを含み、マーカー29はCD3DまたはLCKを含み、かつマーカー30はTMC8またはCCT2を含む、段階、ならびに
コンピュータプロセッサにより、解釈関数を使用して該第一のデータセットから第一のスコアを決定する段階、
ここで、該第一のスコアが、該対象におけるCADの予測となる。
【請求項2】
第一のデータセットが、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも二つのマーカーセットの量的発現データを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第一のデータセットが、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも三つのマーカーセットの量的発現データを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
第一のデータセットが、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも四つのマーカーセットの量的発現データを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
第一のデータセットが、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも五つのマーカーセットの量的発現データを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
第一のデータセットが、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも六つのマーカーセットの量的発現データを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
第一のデータセットが、項1、項2、項3、項4、項5、項6および項7におけるマーカーセットの量的発現データを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
解釈関数が予測モデルに基づく、請求項1記載の方法。
【請求項9】
第一のデータセットが臨床因子をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
臨床因子が、年齢、性別、胸痛タイプ、好中球数、人種、疾病期間、拡張期血圧、収縮期血圧、家族歴パラメータ、病歴パラメータ、症候パラメータ、身長、体重、肥満度指数、安静時心拍数、および喫煙/非喫煙状態からなる群より選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
予測モデルが、部分的最小二乗モデル、ロジスティック回帰モデル、線形回帰モデル、線形判別分析モデル、リッジ回帰モデル、および樹形再帰分割モデルからなる群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項12】
第一の試料に関連する第一のデータセットを得る段階が、第一の試料を得ること、そして第一のデータセットを実験的に決定するために該第一の試料を処理することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
第一の試料に関連する第一のデータセットを得る段階が、第一の試料を処理して第一のデータセットを実験的に決定した第三者から第一のデータセットを受け取ることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
第一のスコアにしたがって第一の試料を分類する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
分類する段階が、対象におけるCADの存在または非存在の予測となる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
分類する段階が、対象におけるCADの程度の予測となる、請求項14記載の方法。
【請求項17】
分類する段階が、対象におけるCADのリスクの予測となる、請求項14記載の方法。
【請求項18】
第一のスコアに基づいてCADリスクを格付けする段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
予測モデル性能が0.68〜0.70の範囲の曲線下面積(AUC)を特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項20】
予測モデル性能が0.70〜0.79の範囲のAUCを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項21】
予測モデル性能が0.80〜0.89の範囲のAUCを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項22】
予測モデル性能が0.90〜0.99の範囲のAUCを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項23】
第一の試料が末梢血細胞を含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
末梢血細胞が白血球を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
第一の試料が、末梢血細胞から抽出されたRNAを含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
量的発現データがハイブリダイゼーションデータから導出される、請求項1記載の方法。
【請求項27】
量的発現データがポリメラーゼ連鎖反応データから導出される、請求項1記載の方法。
【請求項28】
量的発現データが抗体結合アッセイから導出される、請求項1記載の方法。
【請求項29】
第一のデータセットが、記憶装置に記憶された状態で得られる、請求項1記載の方法。
【請求項30】
対象がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項31】
対象が持続的な胸痛を有する、請求項1記載の方法。
【請求項32】
対象が定型狭心症もしくは非定型狭心症または狭心症等価症を有する、請求項1記載の方法。
【請求項33】
対象が以前に心筋梗塞(MI)の診断を受けていない、請求項1記載の方法。
【請求項34】
対象が血管再生処置を受けたことがない、請求項1記載の方法。
【請求項35】
対象が糖尿病を有しない、請求項1記載の方法。
【請求項36】
対象が炎症状態または感染状態を有しない、請求項1記載の方法。
【請求項37】
対象が現在、ステロイド剤、免疫抑制剤、または化学療法剤を服用していない、請求項1記載の方法。
【請求項38】
対象から得られる第一の試料をスコア付けするコンピュータ具現化法であって、
臨床因子、ならびに、AF161365、HNRPF、ACBD5、TFCP2、DDX18、AF289562、CD248、CD79B、CD19、SPIB、BLK、CD3D、LCK、TMC8、CCT2、S100A12、MMP9、CLEC4E、ALOX5AP、S100A8、NAMPT、RPL28、SSRP1、AQP9、GLT1D1、NCF4、NCF2、CASP5、H3F3B、IL18RAP、TXN、TNFAIP6、PLAUR、IL8RB、BCL2A1、TNFRSF10C、PTAFR、KCNE3、LAMP2、TLR4、TYROBP、SLAMF7、CX3CR1、KLRC4、およびCD8Aからなる群より選択される少なくとも二つのマーカーの量的発現データを含む、該第一の試料に関連する第一のデータセットを得る段階、ならびに
コンピュータプロセッサにより、解釈関数を使用して該第一のデータセットから第一のスコアを決定する段階
を含み、該第一のスコアが該対象におけるCADの予測となる、方法。
【請求項39】
第一のデータセットが少なくとも三つのマーカーの量的発現データを含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
第一のデータセットが少なくとも四つのマーカーの量的発現データを含む、請求項38記載の方法。
【請求項41】
第一のデータセットが少なくとも五つのマーカーの量的発現データを含む、請求項38記載の方法。
【請求項42】
第一のデータセットが少なくとも六つのマーカーの量的発現データを含む、請求項38記載の方法。
【請求項43】
解釈関数が予測モデルに基づく、請求項38記載の方法。
【請求項44】
臨床因子が年齢および/または性別である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
臨床因子が、年齢、性別、胸痛タイプ、好中球数、人種、疾病期間、拡張期血圧、収縮期血圧、家族歴パラメータ、病歴パラメータ、症候パラメータ、身長、体重、肥満度指数、安静時心拍数、および喫煙/非喫煙状態からなる群より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項46】
予測モデルが、部分的最小二乗モデル、ロジスティック回帰モデル、線形回帰モデル、線形判別分析モデル、リッジ回帰モデル、および樹形再帰分割モデルからなる群より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項47】
第一の試料に関連する第一のデータセットを得る段階が、第一の試料を得ること、そして第一のデータセットを実験的に決定するために該第一の試料を処理することを含む、請求項38記載の方法。
【請求項48】
第一の試料に関連する第一のデータセットを得る段階が、第一の試料を処理して第一のデータセットを実験的に決定した第三者から該第一のデータセットを受け取ることを含む、請求項38記載の方法。
【請求項49】
第一のスコアにしたがって第一の試料を分類する段階をさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項50】
分類する段階が、対象におけるCADの存在または非存在の予測となる、請求項49記載の方法。
【請求項51】
分類する段階が、対象におけるCADの程度の予測となる、請求項49記載の方法。
【請求項52】
分類する段階が、対象におけるCADのリスクの予測となる、請求項49記載の方法。
【請求項53】
第一のスコアに基づいてCADリスクを格付けする段階をさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項54】
予測モデル性能が0.68〜0.70の範囲のAUCを特徴とする、請求項38記載の方法。
【請求項55】
予測モデル性能が0.70〜0.79の範囲のAUCを特徴とする、請求項38記載の方法。
【請求項56】
予測モデル性能が0.80〜0.89の範囲のAUCを特徴とする、請求項38記載の方法。
【請求項57】
予測モデル性能が0.90〜0.99の範囲のAUCを特徴とする、請求項38記載の方法。
【請求項58】
第一の試料が末梢血細胞を含む、請求項38記載の方法。
【請求項59】
末梢血細胞が白血球を含む、請求項58記載の方法。
【請求項60】
第一の試料が、末梢血細胞から抽出されたRNAを含む、請求項38記載の方法。
【請求項61】
量的発現データがハイブリダイゼーションデータから導出される、請求項38記載の方法。
【請求項62】
量的発現データがポリメラーゼ連鎖反応データから導出される、請求項38記載の方法。
【請求項63】
量的発現データが抗体結合アッセイから導出される、請求項38記載の方法。
【請求項64】
第一のデータセットが、記憶装置に記憶された状態で得られる、請求項38記載の方法。
【請求項65】
対象がヒトである、請求項38記載の方法。
【請求項66】
対象が持続的な胸痛を有する、請求項38記載の方法。
【請求項67】
対象が定型狭心症もしくは非定型狭心症または狭心症等価症を有する、請求項38記載の方法。
【請求項68】
対象が以前にMIの診断を受けていない、請求項38記載の方法。
【請求項69】
対象が血管再生処置を受けたことがない、請求項38記載の方法。
【請求項70】
対象が糖尿病を有しない、請求項38記載の方法。
【請求項71】
対象が炎症状態または感染状態を有しない、請求項38記載の方法。
【請求項72】
対象が現在、ステロイド剤、免疫抑制剤、または化学療法剤を服用していない、請求項38記載の方法。
【請求項73】
以下のものを含む、対象におけるCADを予測するためのシステム:
項1、項2、項3、項4、項5、項6、および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも一つのマーカーセットの量的発現データを含む、該対象から得られる試料に関連するデータセットを記憶するための記憶装置であって、ここで、項1は、マーカー1、マーカー2、およびマーカー3を含み、マーカー1はAF161365を含み、マーカー2はHNRPFまたはACBD5を含み、かつマーカー3はTFCP2またはDDX18を含み;項2は、マーカー4、マーカー5、およびマーカー6を含み、マーカー4はAF289562またはCD248を含み、マーカー5はHNRPFまたはACBD5を含み、かつマーカー6はTFCP2またはDDX18を含み;項3は、マーカー7、マーカー8、マーカー9、およびマーカー10を含み、マーカー7はCD79BまたはCD19を含み、マーカー8はSPIBまたはBLKを含み、マーカー9はCD3DまたはLCKを含み、かつマーカー10はTMC8またはCCT2を含み;項4は、マーカー11、マーカー12、マーカー13、およびマーカー14を含み、マーカー11はS100A12またはMMP9を含み、マーカー12はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー13はS100A8またはNAMPTを含み、かつマーカー14はRPL28またはSSRP1を含み;項5は、マーカー15、マーカー16、マーカー17、マーカー18、およびマーカー19を含み、マーカー15はS100A12またはMMP9を含み、マーカー16はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー17はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー18はAQP9またはGLT1D1を含み、かつマーカー19はNCF4またはNCF2を含み;項6は、マーカー20、マーカー21、マーカー22、マーカー23、マーカー24、マーカー25、およびマーカー26を含み、マーカー20はCASP5またはH3F3Bを含み、マーカー21はIL18RAPまたはTXNを含み、マーカー22はTNFAIP6またはPLAURを含み、マーカー23はIL8RBまたはBCL2A1を含み、マーカー24はTNFRSF10CまたはPTAFRを含み、マーカー25はKCNE3またはLAMP2を含み、かつマーカー26はTLR4またはTYROBPを含み;項7は、マーカー27、マーカー28、マーカー29、およびマーカー30を含み、マーカー27はSLAMF7またはCX3CR1を含み、マーカー28はKLRC4またはCD8Aを含み、マーカー29はCD3DまたはLCKを含み、かつマーカー30はTMC8またはCCT2を含む、記憶装置、ならびに
解釈関数を用いてスコアを決定するための、該記憶装置に通信的に結合されたプロセッサ;
ここで、該スコアが該対象におけるCADの予測となる。
【請求項74】
以下のプログラムコードを含むコンピュータ実行可能なプログラムコードを記憶する、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体:
項1、項2、項3、項4、項5、項6、および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも一つのマーカーセットの量的発現データを含む、対象から得られる試料に関連するデータセットを記憶するためのプログラムコードであって、
ここで、項1は、マーカー1、マーカー2、およびマーカー3を含み、マーカー1はAF161365を含み、マーカー2はHNRPFまたはACBD5を含み、かつマーカー3はTFCP2またはDDX18を含み;項2は、マーカー4、マーカー5、およびマーカー6を含み、マーカー4はAF289562またはCD248を含み、マーカー5はHNRPFまたはACBD5を含み、かつマーカー6はTFCP2またはDDX18を含み;項3は、マーカー7、マーカー8、マーカー9、およびマーカー10を含み、マーカー7はCD79BまたはCD19を含み、マーカー8はSPIBまたはBLKを含み、マーカー9はCD3DまたはLCKを含み、かつマーカー10はTMC8またはCCT2を含み;項4は、マーカー11、マーカー12、マーカー13、およびマーカー14を含み、マーカー11はS100A12またはMMP9を含み、マーカー12はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー13はS100A8またはNAMPTを含み、かつマーカー14はRPL28またはSSRP1を含み;項5は、マーカー15、マーカー16、マーカー17、マーカー18、およびマーカー19を含み、マーカー15はS100A12またはMMP9を含み、マーカー16はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー17はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー18はAQP9またはGLT1D1を含み、かつマーカー19はNCF4またはNCF2を含み;項6は、マーカー20、マーカー21、マーカー22、マーカー23、マーカー24、マーカー25、およびマーカー26を含み、マーカー20はCASP5またはH3F3Bを含み、マーカー21はIL18RAPまたはTXNを含み、マーカー22はTNFAIP6またはPLAURを含み、マーカー23はIL8RBまたはBCL2A1を含み、マーカー24はTNFRSF10CまたはPTAFRを含み、マーカー25はKCNE3またはLAMP2を含み、かつマーカー26はTLR4またはTYROBPを含み;項7は、マーカー27、マーカー28、マーカー29、およびマーカー30を含み、マーカー27はSLAMF7またはCX3CR1を含み、マーカー28はKLRC4またはCD8Aを含み、マーカー29はCD3DまたはLCKを含み、かつマーカー30はTMC8またはCCT2を含む、プログラムコード、ならびに、
解釈関数を用いてスコアを決定するためのプログラムコード
ここで、該スコアが該対象におけるCADの予測となる。
【請求項75】
以下の段階を含む、対象におけるCADを予測する方法:
複数の分析対象物を含む試料を該対象から得る段階、
該試料を試薬と接触させる段階、
該試薬と該複数の分析対象物との間で複数の複合体を生成する段階、
項1、項2、項3、項4、項5、項6、および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも一つのマーカーセットの量的発現データを含む、該試料に関連するデータセットを得るために該複数の複合体を検出する段階であって、
ここで、項1は、マーカー1、マーカー2、およびマーカー3を含み、マーカー1はAF161365を含み、マーカー2はHNRPFまたはACBD5を含み、かつマーカー3はTFCP2またはDDX18を含み;項2は、マーカー4、マーカー5、およびマーカー6を含み、マーカー4はAF289562またはCD248を含み、マーカー5はHNRPFまたはACBD5を含み、かつマーカー6はTFCP2またはDDX18を含み;項3は、マーカー7、マーカー8、マーカー9、およびマーカー10を含み、マーカー7はCD79BまたはCD19を含み、マーカー8はSPIBまたはBLKを含み、マーカー9はCD3DまたはLCKを含み、かつマーカー10はTMC8またはCCT2を含み;項4は、マーカー11、マーカー12、マーカー13、およびマーカー14を含み、マーカー11はS100A12またはMMP9を含み、マーカー12はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー13はS100A8またはNAMPTを含み、かつマーカー14はRPL28またはSSRP1を含み;項5は、マーカー15、マーカー16、マーカー17、マーカー18、およびマーカー19を含み、マーカー15はS100A12またはMMP9を含み、マーカー16はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー17はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー18はAQP9またはGLT1D1を含み、かつマーカー19はNCF4またはNCF2を含み;項6は、マーカー20、マーカー21、マーカー22、マーカー23、マーカー24、マーカー25、およびマーカー26を含み、マーカー20はCASP5またはH3F3Bを含み、マーカー21はIL18RAPまたはTXNを含み、マーカー22はTNFAIP6またはPLAURを含み、マーカー23はIL8RBまたはBCL2A1を含み、マーカー24はTNFRSF10CまたはPTAFRを含み、マーカー25はKCNE3またはLAMP2を含み、かつマーカー26はTLR4またはTYROBPを含み;項7は、マーカー27、マーカー28、マーカー29、およびマーカー30を含み、マーカー27はSLAMF7またはCX3CR1を含み、マーカー28はKLRC4またはCD8Aを含み、マーカー29はCD3DまたはLCKを含み、かつマーカー30はTMC8またはCCT2を含む、段階、ならびに、
解釈関数を使用して該データセットからスコアを決定する段階
ここで、該スコアが該対象におけるCADの予測となる。
【請求項76】
以下のものを含む、対象におけるCADを予測するためのキット:
該対象から得られる試料から、項1、項2、項3、項4、項5、項6、および項7におけるマーカーセットからなる群より選択される少なくとも一つのマーカーセットの量的発現データを決定するための複数の試薬を含む、試薬のセットであって、
ここで、項1は、マーカー1、マーカー2、およびマーカー3を含み、マーカー1はAF161365を含み、マーカー2はHNRPFまたはACBD5を含み、かつマーカー3はTFCP2またはDDX18を含み;項2は、マーカー4、マーカー5、およびマーカー6を含み、マーカー4はAF289562またはCD248を含み、マーカー5はHNRPFまたはACBD5を含み、かつマーカー6はTFCP2またはDDX18を含み;項3は、マーカー7、マーカー8、マーカー9、およびマーカー10を含み、マーカー7はCD79BまたはCD19を含み、マーカー8はSPIBまたはBLKを含み、マーカー9はCD3DまたはLCKを含み、かつマーカー10はTMC8またはCCT2を含み;項4は、マーカー11、マーカー12、マーカー13、およびマーカー14を含み、マーカー11はS100A12またはMMP9を含み、マーカー12はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー13はS100A8またはNAMPTを含み、かつマーカー14はRPL28またはSSRP1を含み;項5は、マーカー15、マーカー16、マーカー17、マーカー18、およびマーカー19を含み、マーカー15はS100A12またはMMP9を含み、マーカー16はCLEC4EまたはALOX5APを含み、マーカー17はS100A8またはNAMPTを含み、マーカー18はAQP9またはGLT1D1を含み、かつマーカー19はNCF4またはNCF2を含み;項6は、マーカー20、マーカー21、マーカー22、マーカー23、マーカー24、マーカー25、およびマーカー26を含み、マーカー20はCASP5またはH3F3Bを含み、マーカー21はIL18RAPまたはTXNを含み、マーカー22はTNFAIP6またはPLAURを含み、マーカー23はIL8RBまたはBCL2A1を含み、マーカー24はTNFRSF10CまたはPTAFRを含み、マーカー25はKCNE3またはLAMP2を含み、かつマーカー26はTLR4またはTYROBPを含み;および項7は、マーカー27、マーカー28、マーカー29、およびマーカー30を含み、マーカー27はSLAMF7またはCX3CR1を含み、マーカー28はKLRC4またはCD8Aを含み、マーカー29はCD3DまたはLCKを含み、かつマーカー30はTMC8またはCCT2を含む、試薬のセット、ならびに
該試料から量的データを決定するために該複数の試薬を使用するための指示
ここで、該指示が、該データセットからスコアを決定するための指示を含み、該スコアが、該対象におけるCADの予測となる。
【請求項77】
指示が、マイクロアレイアッセイを実施するための指示を含む、請求項76記載のキット。
【請求項78】
指示が、ポリメラーゼ連鎖反応アッセイを実施するための指示を含む、請求項76記載のキット。
【請求項79】
以下のものを含む、対象におけるCADを予測するためのシステム:
臨床因子、ならびにAF161365、HNRPF、ACBD5、TFCP2、DDX18、AF289562、CD248、CD79B、CD19、SPIB、BLK、CD3D、LCK、TMC8、CCT2、S100A12、MMP9、CLEC4E、ALOX5AP、S100A8、NAMPT、RPL28、SSRP1、AQP9、GLT1D1、NCF4、NCF2、CASP5、H3F3B、IL18RAP、TXN、TNFAIP6、PLAUR、IL8RB、BCL2A1、TNFRSF10C、PTAFR、KCNE3、LAMP2、TLR4、TYROBP、SLAMF7、CX3CR1、KLRC4、およびCD8Aからなる群より選択される少なくとも二つのマーカーの量的発現データを含む、該対象から得られる試料に関連するデータセットを記憶するための記憶装置、ならびに
解釈関数を用いてスコアを決定するための、該記憶装置に通信的に結合されたプロセッサ
ここで、該スコアが該対象におけるCADの予測となる。
【請求項80】
コンピュータ実行可能なプログラムコードを記憶する、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、該プログラムコードが、
臨床因子、ならびにAF161365、HNRPF、ACBD5、TFCP2、DDX18、AF289562、CD248、CD79B、CD19、SPIB、BLK、CD3D、LCK、TMC8、CCT2、S100A12、MMP9、CLEC4E、ALOX5AP、S100A8、NAMPT、RPL28、SSRP1、AQP9、GLT1D1、NCF4、NCF2、CASP5、H3F3B、IL18RAP、TXN、TNFAIP6、PLAUR、IL8RB、BCL2A1、TNFRSF10C、PTAFR、KCNE3、LAMP2、TLR4、TYROBP、SLAMF7、CX3CR1、KLRC4、およびCD8Aからなる群より選択される少なくとも二つのマーカーの量的発現データを含む、該対象から得られる試料に関連するデータセットを記憶するためのプログラムコード、ならびに
解釈関数を用いてスコアを決定するためのプログラムコード
を含み、該スコアが該対象におけるCADの予測となる、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項81】
以下の段階を含む、対象におけるCADを予測する方法:
複数の分析対象物を含む試料を該対象から得る段階、
該試料を試薬と接触させる段階、
該試薬と該複数の分析対象物との間で複数の複合体を生成する段階、
臨床因子、ならびにAF161365、HNRPF、ACBD5、TFCP2、DDX18、AF289562、CD248、CD79B、CD19、SPIB、BLK、CD3D、LCK、TMC8、CCT2、S100A12、MMP9、CLEC4E、ALOX5AP、S100A8、NAMPT、RPL28、SSRP1、AQP9、GLT1D1、NCF4、NCF2、CASP5、H3F3B、IL18RAP、TXN、TNFAIP6、PLAUR、IL8RB、BCL2A1、TNFRSF10C、PTAFR、KCNE3、LAMP2、TLR4、TYROBP、SLAMF7、CX3CR1、KLRC4、およびCD8Aからなる群より選択される少なくとも二つのマーカーの量的発現データを含む、該試料に関連するデータセットを得るために、該複数の複合体を検出する段階、ならびに
解釈関数を使用して該データセットからスコアを決定する段階
ここで、該スコアが該対象におけるCADの予測となる。
【請求項82】
以下のものを含む、対象におけるCADを予測するためのキット:
該対象から得られる試料から、AF161365、HNRPF、ACBD5、TFCP2、DDX18、AF289562、CD248、CD79B、CD19、SPIB、BLK、CD3D、LCK、TMC8、CCT2、S100A12、MMP9、CLEC4E、ALOX5AP、S100A8、NAMPT、RPL28、SSRP1、AQP9、GLT1D1、NCF4、NCF2、CASP5、H3F3B、IL18RAP、TXN、TNFAIP6、PLAUR、IL8RB、BCL2A1、TNFRSF10C、PTAFR、KCNE3、LAMP2、TLR4、TYROBP、SLAMF7、CX3CR1、KLRC4、およびCD8Aからなる群より選択される少なくとも二つのマーカーの量的発現データを決定するための複数の試薬を含む試薬のセット、ならびに
該試料から量的データを決定するために該複数の試薬を使用するための指示
ここで、該指示が、該データセットおよび臨床因子からスコアを決定するための指示を含み、該スコアが、該対象におけるCADの予測となる。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−529914(P2012−529914A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516212(P2012−516212)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/038712
【国際公開番号】WO2010/148017
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511304235)カーディオ ディーエクス インコーポレイティッド (1)
【Fターム(参考)】