説明

冷凍にぎり寿司の包装容器

【課題】冷凍にぎり寿司を解凍させて食するときに、シャリのパサつきをなくすると共に、寿司ネタのドリップ発生を解消させること、並びに電子レンジ対応の包装を可能にした包装容器を提供すること。
【解決手段】包装容器は、シャリの上に寿司ネタを載せたにぎり寿司を包装する容器であって、その一つの容器は、容器本体と蓋部材とから構成され、該容器本体は前記シャリが納まる第1の収納部と、該第1の収納部の上部に前記寿司ネタが納まる拡径した第2の収納部を一連に形成し、該拡径した第2の収納部の上縁にフランジ部を形成し、前記蓋部材はアルミ箔の両面をラミネートしたマイクロ波遮蔽フィルムで構成され、該マイクロ波遮蔽フィルムを前記フランジ部にシールして取り付ける構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類等からなる寿司ネタをシャリの上部に載置した所謂「生寿司」の新鮮さを維持して冷凍のにぎり寿司にし、その冷凍にぎり寿司を包装して保管でき、且つ消費者に届けて新鮮な状態で食せるように解凍できる冷凍にぎり寿司の包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の冷凍にぎり寿司の製造方法または包装容器に関しては、例えば「冷凍にぎり寿司の成形加工方法およびその包装物」、「冷凍生寿司解凍用トレイ」並びに「冷凍寿司」等が従来技術として公知になっている。
【0003】
前記従来技術の「冷凍にぎり寿司の成形加工方法およびその包装物」においては、にぎり寿司を入れる容器に、成形加工機能を付与しておき、にぎり寿司のシャリとネタとを容器に収納すると同時に、にぎり寿司の形を形成させるというものであり、具体的には上蓋容器を逆さにしてその中にネタを入れ、そのネタにワサビを塗布してシャリを詰め、底蓋容器をやや強めに押し付けて施蓋するだけで、素早くにぎり寿司が成形できると共に包装もできるので、雑菌が入らず、且つ作業性も容易であるというものである(特許文献1参照)。
【0004】
また、前記従来技術の「冷凍生寿司解凍用トレイ」においては、トレイ本体は、薄肉の合成樹脂により一体に形成されていること、皿状に形成されていること、冷凍生寿司を一つづづ載置するための凹部が複数形成されていること、上記各凹部の外側には、冷凍生寿司の解凍時に発生する水滴を受けるための水受け部が形成されているというものであり、解凍時に寿司ねたから落ちる水滴を水受け部で受け止めることができる。それによって、水分で寿司の味が落ちたり、シャリに色が付いたり、商品価値が低下するのを防止することができるというものである(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、前記従来技術の「冷凍寿司」においては、成型された寿司飯の上に各々種々の素材の寿司種が載置されたにぎり寿司で、平板状の容器に並べられ冷凍保存される冷凍寿司であり、且つこの冷凍寿司は容器に収納されたまま電子レンジで解凍されるというものであり、具体的には電子レンジの特性からして、平板状の容器は、側縁部付近が比較的強いマイクロ波を受け、中央付近は比較的弱いマイクロ波を受けるものであって、その特性に対応して、強いマイクロ波を受ける部分には温度が上昇しても風味が損なわれない加熱処理を施した寿司種の冷凍寿司が配置され、比較的弱いマイクロ波を受ける部分には含水率が比較的高く高温となりやすいが生食用であるため昇温を避けたい寿司種の冷凍寿司を配置するというものである(特許文献3参照)。
【0006】
ところで、冷凍寿司を電子レンジで解凍する場合に、凍結しているシャリが内部まで全面的に解凍され且つパサつかないで35℃以上の温度にまで加熱されるようにし、しかもその上部に載置されているネタは内部まで解凍され30℃以下に維持されることが望ましいとされている。
【0007】
【特許文献1】特開平08−256710号公報
【特許文献2】特開平09−327280号公報
【特許文献3】特開平10−290673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記公知文献1の従来技術においては、単に、にぎり寿司の形状を簡単に成型でき且つ包装できるというに止まり、解凍時におけるシャリのパサつきが防止できる手段が全く採られていないし、ネタについては、ドリップの防止手段が全く採られていないのであり、新鮮さを維持して美味しく食せるように商品化することが実質的に困難であるという問題点を有している。
【0009】
また、前記公知文献2の従来技術においては、冷凍生寿司を解凍するための電子レンジ用のトレイであるが、冷凍生寿司を一つずつ載置するための凹部を形成してその外側にそれぞれ水受け部が形成されていてネタから滴下するドリップを受けると共に、また、ネタ同士が接触しないようにして、解凍時に接触に伴う変色を防止するというものであるが、冷凍生寿司に対して電子レンジにより、シャリが解凍し人肌の温度になる程度の時間に渡ってマイクロ波を照射すると、必然的にネタにも同じ程度のマイクロ波が照射されるのであり、それによって、水分を含む生のネタが解凍を通り越して生煮えの状態になり、新鮮さと風味とを損ねて美味しく食せなくなるという問題点を有している。
【0010】
さらに、前記公知文献3の従来技術においても、個別に冷凍したにぎり寿司を、電子レンジで解凍する際に、マイクロ波を受ける強弱の位置を考慮して包装容器に収納するというに止まり、やはり、前記公知文献1の従来例と同様に、解凍時におけるシャリのパサつきが防止できる手段が全く採られていないし、ネタについては、ドリップの防止手段が全く採られていないのであり、ネタの新鮮さを維持して美味しく食せるように商品化することが実質的に困難であるという問題点を有している。
【0011】
従って、従来技術における冷凍寿司の包装容器においては、解凍時におけるシャリのパサつき防止と、ネタについては、ドリップ防止とを行うと共に、電子レンジでの解凍でも新鮮さと風味とを損なわないようにして、美味しく食せるようにすることに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来技術の課題を解決する具体的手段として本発明は、シャリの上に寿司ネタを載せたにぎり寿司を包装する容器であって、その一つの容器は、容器本体と蓋部材とから構成され、該容器本体は前記シャリが納まる第1の収納部と、該第1の収納部の上部に前記寿司ネタが納まる拡径した第2の収納部を一連に形成し、該拡径した第2の収納部の上縁にフランジ部を形成し、前記蓋部材はアルミ箔の両面をラミネートしたマイクロ波遮蔽フィルムで構成され、該マイクロ波遮蔽フィルムを前記フランジ部にシールして取り付ける構成にしたことを特徴とする冷凍にぎり寿司の包装容器を提供するものである。
【0013】
また、本発明に係るもう一つの包装容器は、容器本体と蓋部材とから構成され、該容器本体は前記シャリが納まる第1の収納部と、該第1の収納部の上部に前記寿司ネタが納まる拡径した第2の収納部を一連に形成して一個の寿司収納部を形成し、該寿司収納部を少なくとも横方向に隣接させて複数個設けたことを特徴とする冷凍にぎり寿司の包装容器を提供するものである。
【0014】
さらに、寿司収納部を複数個設けた包装容器において、前記寿司収納部は、縦・横に複数列隣接させて設け、少なくとも蓋部材はマイクロ波遮蔽フィルム材で形成したことを付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0015】
また、本発明に係る冷凍にぎり寿司の包装容器においては、シャリの上に寿司ネタを載せたにぎり寿司を包装する容器であって、容器本体と蓋部材とから構成され、該容器本体は前記シャリが納まる第1の収納部と、該第1の収納部の上部に前記寿司ネタが納まる拡径した第2の収納部を一連に形成し、該拡径した第2の収納部の上縁にフランジ部を形成し、前記蓋部材はアルミ箔の両面をラミネートしたマイクロ波遮蔽フィルムで構成され、該マイクロ波遮蔽フィルムを前記フランジ部にシールして取り付ける構成にしたことにより、個々のにぎり寿司を個別に包装してから冷凍させるものであって、その個別に包装された冷凍にぎり寿司は、電子レンジで解凍しても寿司ネタはシャリの解凍温度の伝達によって解凍されるため、シャリが温かく寿司ネタが冷たい状態、即ち寿司屋のカウンターで食するような状態、即ち新鮮で風味を維持した状態で食することができるという優れた効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る包装容器は、にぎり寿司のシャリが納さまる第1の収納部と、寿司ネタが納まる拡径した第2の収納部を一連に設けたものであり、個々のにぎり寿司を個別に包装してから冷凍させるものであって、その個別に包装された冷凍にぎり寿司は、ユーザーのニーズに合わせて寿司ネタの種類・個数をいかようにも組み合わせて更に他の包装容器に入れ、クール宅配便として届けることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る冷凍にぎり寿司の包装容器について、冷凍にぎり寿司の製造から包装に至るまで好ましい実施の形態を説明する。まず、にぎり寿司となるシャリについて、所要量の米を水洗いし研いでおき、炊飯する前に所要量の塩類と糖類およびタンパク質とを添加してから炊飯する。この場合の添加量は米1Kgに対して、塩類、糖類およびタンパク質の合計量が1〜3g程度を目安として添加する。
【0018】
炊飯したした後に、適宜量の調味酢を添加しながらシャリ切りを行って米飯に馴染ませ、18〜24g程度の量の寿司シャリに成型する。糖類とタンパク質を添加する目的は、炊飯した米飯粒の一つ一つが糖類とタンパク質の薄膜で包まれた状態になり、冷凍時および解凍時においても内部の水分を逃がさず、糊化した米が再びデンプン状態に戻らないようにして炊飯時の状態を維持し、シャリとしてパサつかないようにするためである。
【0019】
また、魚介類等の寿司ネタについては、サク切り等して所定大きさの寿司ネタ加工した後に、塩類を主成分として特別に調整した調味液に略30分から1時間程度浸漬させ、該調味液はその濃度を高く設定してあることから浸透圧の差によって、ネタの細胞間遊離水を除去し、同時に魚独特な生臭さを除去する。
【0020】
このように細胞間遊離水を除去することによって、冷凍時の水分氷結現象を解消すると共に、解凍時におけるドリップを防止し、寿司ネタの旨味流出を防ぐことができるのである。そして、寿司ネタを調味液から揚げて水切りをした後に成型した寿司シャリに載せ、本発明に係る包装容器に収納して冷凍するのである。
【0021】
本発明の包装容器について図1〜図3に示した第1の実施の形態に基づいて説明する。図1において、包装容器は、耐低温プラスチック材で形成された容器本体1と蓋部材2とから構成され、容器本体1はにぎり寿司のシャリが納まる第1の収納部3と、該第1の収納部3の上部に寿司ネタが納まる拡径した第2の収納部4を一連に形成し、該拡径した第2の収納部4の上縁にフランジ部5を形成したものである。
【0022】
つまり、一つのにぎり寿司が個別に収納できるように、第1の収納部3は、にぎり寿司のシャリの部分が納まる程度の深さと幅とをもった大きさに形成し、第2の収納部4は、シャリの上に乗る寿司ネタが納まる程度の広さと高さとをもった大きさに形成するのであり、図から明らかなように、第2の収納部4は、第1の収納部3の上縁から全面的に外側に略水平に広がるようにして形成され、その立ち上がりは寿司ネタの平均的な厚みに略相当するのである。
【0023】
また、蓋部材2は、例えば、アルミ箔を中にサンドイッチ状に挟んで、両面にプラスチックフィルム材をラミネートした構成のマイクロ波遮蔽フィルムなどが使用され、該マイクロ波遮蔽フィルムを前記容器本体1のフランジ部5にシールして取り付け、容器本体1の上部開口を密閉できる構成にしたものである。
【0024】
このような包装容器を用いて、冷凍にぎり寿司とする場合に、前述した要領で炊飯した寿司シャリを用いるものであり、図2に示したように、所定大きさに成型した寿司シャリ10を容器本体1の第1の収納部3に納め、その上に所要量のワサビ12を塗布してから前記蓋部材2と略同質のマイクロ波遮蔽フィルムまたはアルミ箔6を敷き、続いて寿司ネタ11を第2の収納部4に納め、減圧下において蓋部材2をフランジ部5にシールして密閉状態にする。
【0025】
このように包装することで、寿司ネタ11は、寿司シャリ10とは区分された状態で、マイクロ波遮蔽フィルムまたはアルミ箔6と蓋部材2とにより、その周囲がいわゆるマイクロ波を遮蔽する状態で包装されることになるのである。
【0026】
従って、一個のにぎり寿司を構成するシャリ10とワサビ12および寿司ネタ11とが一つの包装容器に気密状態で包装され、その包装後に所定の液体凍結機に供給して急冷し、一個のにぎり寿司が一個つづの包装容器にパックされて凍結されるので、衛生的に優れると共に冷凍保存時の乾燥・劣化がなく長期保存が可能になるのである。
【0027】
本発明の冷凍にぎり寿司を解凍して食する場合には、例えば、適宜の電子レンジに個々の包装容器をそのまま入れて解凍処理できるものであり、電子レンジの容量(W数)にもよるが、20〜60秒程度で解凍できるのであり、この解凍処理によってシャリ10は、いわゆる40℃程度にまで温かくなるが、寿司ネタ11は、マイクロ波遮蔽フィルムまたはアルミ箔6で包囲されているので実質的に電子レンジでは解凍されない状況にある。
【0028】
しかしながら、シャリ10が所定温度にまで加温されていることから、そのシャリ10からの熱が伝達されて寿司ネタ11が解凍されることになるのである。つまり、電子レンジでシャリ10が解凍されるとその温度が寿司ネタ11に伝わり、電子レンジから個々の包装容器を取り出した後にもその現象が続き、電子レンジで解凍処理を開始してから3〜5分後には寿司ネタ11も完全に解凍された状態になり、シャリ10が温かく寿司ネタ11が冷たい状態、即ち寿司屋のカウンターで食するような状態で食することができるのである。
【0029】
また、冷凍にぎり寿司を解凍する他の方法としては、お湯を用いて解凍することができる。例えば、図3に示したように、適宜の容器に35〜40℃程度のお湯13を入れ、そのお湯13の中に凍結したにぎり寿司を包装容器のままシャリ10の部分がお湯13に浸かるようにして入れる。このようにお湯13の中に入れると、容器本体1の第1の収納部3がお湯の中に没入し、第2の収納部4はお湯13の中に入らず、包装容器が浮かんだ状態になる。
【0030】
この状態で20〜30分程度放置することで、シャリ10も寿司ネタ11も完全に解凍される。つまり、シャリ10の部分は周囲からお湯13によって加温されて解凍し、寿司ネタ11は、加温されたシャリ10からの熱伝達と周囲の外気温とによって解凍し、やはり、シャリ10が温かく寿司ネタ11が冷たい状態になり新鮮さと風味とを損なわずに食することができるのである。
【0031】
更に、図4〜図5に第2の実施の形態に係る包装容器を示してある。この包装容器は、耐低温プラスチック材で形成された容器本体15と蓋部材16とから構成され、容器本体
15は、複数個のにぎり寿司が収納できるように、例えば、寿司収納部を少なくとも横方向に隣接させて複数個設けること、または、寿司収納部を、縦・横に複数列隣接させて設けるように、図示の実施の形態のように、1列5個で2列の収納部を設けるようにすれば良いのである。この場合に各収納部が独立した状態になるように、各収納部の上縁部のみがつながった状態で形成される。
【0032】
そこで、形成される収納部の一つについて説明すると、にぎり寿司のシャリが納まる第1の収納部17と、該第1の収納部17の上部に寿司ネタが納まる拡径した第2の収納部18とで寿司収納部Aが形成されるものであり、この形状については前記第1の実施の形態のものと略同じである。そして、このような形状の寿司収納部Aが横方向に仕切部19を介して5個形成されると共に、周囲の立ち上がり壁20と上部のフランジ部21および該フランジ部と同一平面でつながっている中央部の仕切り体22を介して2列が形成され、全体として10個の寿司が個別に収納できるようにして一つの包装容器を形成するものであり、該包装容器は仕切部19と、立ち上がり壁20と、フランジ部21および仕切り体22とで容器形状が維持されているのである。
【0033】
このように複数個の寿司収納部Aを形成することにより、にぎり寿司が各寿司収納部Aに個別に収納できるものである。即ち、個々の寿司収納部Aにおける第1の収納部17は、にぎり寿司のシャリ10が納まる程度の深さと幅とをもった大きさに形成し、第2の収納部18は、シャリの上に乗る寿司ネタ11が納まる程度の広さと高さとをもった大きさに形成するものである。
【0034】
そして、各寿司収納部にそれぞれ一個づつの寿司を収納した後に、蓋部材16をフランジ部21および仕切り体22の上に施蓋して熱シールすることにより完全に密閉状態にし、その後に所定の液体凍結機に供給して急冷し、所要数のにぎり寿司が一つの包装容器でパックされて同時に凍結されるので、衛生的に優れると共に冷凍保存時の乾燥・劣化がなく長期保存が可能になるのである。
【0035】
このように包装し凍結されたにぎり寿司を解凍して食する場合には、前述したようにお湯を用いて解凍した方が良い。この場合も、適宜の容器に35〜40℃程度のお湯を入れ、そのお湯の中に凍結したにぎり寿司を包装容器のまま浸すと、容器本体15の第1の収納部17がお湯の中に没入し、第2の収納部18はお湯の中に入らず、包装容器全体が浮かんだ状態になる。
【0036】
この時に、各寿司収納部Aにおける第1の収納部17が個別の状態になっていることから、各収納部17の周囲が均等にお湯の熱を受ける状態になり、この状態で20〜30分程度放置することで、シャリ10も寿司ネタ11も完全に解凍される。つまり、シャリ10の部分は周囲からお湯によって加温されて解凍し、寿司ネタ11は、加温されたシャリ10からの熱伝達と周囲の外気温とによって解凍し、やはり、シャリ10が温かく寿司ネタ11が冷たい状態で食することができるのである。その他に、容器を冷凍室から取り出して室温状態に放置し自然解凍させても食することができるのは当然のことである。
【0037】
前記実施の形態のいずれの場合でも、包装容器に収納したままの状態で解凍させ、食するときに蓋部材2、16を剥がし、第1の実施の形態の包装容器においてはマイクロ波遮蔽フィルムまたはアルミ箔6を除去し、シャリ10上に寿司ネタ11を載せた状態で、例えば、醤油等の調味料を付けて食するのである。このように凍結時および解凍時にはシャリ10および寿司ネタ11は包装容器内に密閉されているので、乾燥せずにしっとりとした作りたての状況、即ち、寿司ネタ11については新鮮さと風味とが維持でき、味覚の劣化もないのである。
【0038】
また、電子レンジを使用しない自然解凍またはぬるま湯での解凍を行うことを予定している場合には、寿司ネタ11を包囲するためのマイクロ波遮蔽フィルムまたはアルミ箔等は必要としないのである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
いずれにしても、本発明においては、魚介類などの寿司ネタをシャリの上に載せて握ったにぎり寿司を、前記第1または第2の実施の形態に係る包装容器内に収納し、凍結して保存しそれをいつでも解凍して食することができるようにしたものであって、通常は凍結して解凍すると「糊」になっていた米飯がデンプンに戻り、白鑞化してパサツキが生ずるが、本発明においては特殊な手段(塩類と糖類およびタンパク質とを添加して)で炊飯すること、および包装容器内に収納した状態で液体凍結機によって氷結晶生成温度帯を速く通過させ、例えば、米飯の芯温を−60℃に一気に下げることによって、解凍しても白蝋化しなのでパサツキの生じない高品質のにぎり寿司として包装できるのである。
【0040】
そして、冷凍保存するために包装した冷凍にぎり寿司は、その包装の状態のままで解凍するのであり、その一例は所要温度(40℃程度)の温水に包装容器のまま浮かべ20分程度放置してシャリを解凍させ、その解凍温度によってネタが解凍されるのである。
【0041】
また、急いで食したい時には、例えば、そのまま電子レンジに入れて、電子レンジの容量にもよるが、第2の実施の形態に係る包装容器で略1〜1分30秒以内でシャリを全面的に解凍させることができ、そのまま3〜5分程度放置しておくことで、シャリの上部に乗せてあるネタが自然に解凍するのであり、シャリが或る程度暖かくてネタが冷たい状態で美味しく食することができるのであり、冷凍にぎり寿司の包装容器として広く利用できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る包装容器を具体的に示した斜視図である。
【図2】同包装容器ににぎり寿司を収納した状況を示す略示的断面図である。
【図3】同包装容器に収納したにぎり寿司の解凍状況の一例を略示的に示した断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る包装容器を具体的に示した斜視図である。
【図5】同包装容器ににぎり寿司を収納する状況を示す略示的断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1、15 容器本体、 2、16 蓋部材、 3、17 第1の収納部、
4、18 第2の収納部、 5、21 フランジ部、
6 マイクロ波遮蔽フィルムまたはアルミ箔、 10 シャリ、 11 寿司ネタ、
12 ワサビ、 13 お湯、 19仕切部、 20 立ち上がり壁、
22 仕切り体、 A 寿司収納部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャリの上に寿司ネタを載せたにぎり寿司を包装する容器であって、
容器本体と蓋部材とから構成され、
該容器本体は前記シャリが納まる第1の収納部と、該第1の収納部の上部に前記寿司ネタが納まる拡径した第2の収納部とを一連に形成し、
該拡径した第2の収納部の上縁には少なくともフランジ部を形成し、
前記蓋部材はアルミ箔の両面をラミネートしたマイクロ波遮蔽フィルムで構成され、
該マイクロ波遮蔽フィルムを前記フランジ部にシールして取り付ける構成にしたこと
を特徴とする冷凍にぎり寿司の包装容器。
【請求項2】
シャリの上に寿司ネタを載せたにぎり寿司を包装する容器であって、
容器本体と蓋部材とから構成され、
該容器本体は前記シャリが納まる第1の収納部と、該第1の収納部の上部に前記寿司ネタが納まる拡径した第2の収納部とを一連に形成して一個の寿司収納部を形成し、
該寿司収納部を少なくとも横方向に隣接させて複数個設けたこと
を特徴とする冷凍にぎり寿司の包装容器。
【請求項3】
前記寿司収納部は、縦・横に複数列隣接させて設け、
少なくとも蓋部材はマイクロ波遮蔽フィルム材で形成したこと
を特徴とする請求項2に記載の冷凍にぎり寿司の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−101878(P2006−101878A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300125(P2005−300125)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【分割の表示】特願2001−21323(P2001−21323)の分割
【原出願日】平成13年1月30日(2001.1.30)
【出願人】(501041632)ふうどりーむず株式会社 (3)
【Fターム(参考)】