説明

冷凍生地を使用したメロンパンの焼成方法

【課題】ホイロ工程を必要とせず効率よく上皮生地と内生地が一体化したメロンパンを得ることができる焼成工程を提供すること。
【解決手段】内生地を上皮生地で被覆し冷凍したメロンパン生地を冷凍状態のまま、焼成装置に入れて90℃以上110℃以下で5分間以上15分間以下加熱を行った後、続けて160℃以上200℃以下で15分間以上20分間以下加熱を行うメロンパンの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍生地を使用したメロンパンの焼成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メロンパンはクッキー生地からなる上皮生地でパン生地などからなる内生地を被覆して製造されている。
一般的なメロンパンは塊状の内生地にシート状の上皮生地を手作業または機械で被覆した後ホイロをとり焼成して製造されている。
例えば、円形にのばして成形したビスケット生地で球状の菓子パン生地を包んだ後表面に模様の筋を付け38℃、相対湿度85%のホイロで最終発酵させ210℃のオーブンで13分間焼成するメロンパンの製造方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
上皮生地を手作業で被覆する作業は熟練を要し作業効率も悪いことから手作業によらず乾ホイロを利用して上皮生地と内生地と一体化する方法が試みられており、例えば、メロンパン用の内生地上へ別に成形した皮用生地を載置した後、湿度50〜65%の乾ホイロを取り、然る後焼成することにより、内生地と上皮生地を一体化することメロンパンの製造方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
冷凍生地を使用する場合では、冷凍状態で固い上皮生地を内生地に載せホイロ時に上皮生地が解凍し軟化することを利用して内生地に被覆する方法が知られている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−306055号公報
【特許文献2】特開平4−262732号公報
【特許文献3】特開2006−121959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ホイロ工程を必要とせず効率よく上皮生地と内生地が一体化したメロンパンを得ることができる焼成工程を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、冷凍メロンパン生地の焼成工程での加熱を2段階で行うことによりホイロ工程を必要とせず、上皮生地と内生地が一体化したメロンパンを得ることができることを見出し本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、内生地を上皮生地で被覆し冷凍したメロンパン生地を冷凍状態のまま、焼成装置に入れて90℃以上110℃以下で5分間以上15分間以下加熱を行った後、続けて160℃以上200℃以下で15分間以上20分間以下加熱を行うメロンパンの製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
焼成工程における加熱温度を2段階で行うことによりホイロ工程を必要とせず上皮生地と内生地が一体化したメロンパンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のメロンパンとは、上皮生地で内生地を被覆して製造されるパンをいう。
使用できる上皮生地は、ビスケット生地やクッキー生地と称される従来のメロンパンに使用されている生地であれば特に限定なく使用できる。
例えば、以下の方法により上皮生地を得ることができる。
室温に戻したマーガリン30質量部に砂糖60質量部、食塩0.5質量部を加え、低速2分間、中速2分間ミキシングを行い、これに卵15質量部を加えさらに中速4分間ミキシングし、これに強力粉80質量部と薄力粉20質量部、水15質量部を加えて低速1分間、中速1分間ミキシングし生地を調製する。
得られた生地を任意の重量に分割し丸めて、厚さが4mm以上10mm以下のシート状に切断する。
上皮生地の厚みは4mm未満では焼成後上皮生地が薄くなり、10mmを超えると上皮生地の重みで下皮生地がつぶれる傾向があるので好ましくない。
上皮生地の形状は、被覆する内生地の形状により適宜選択すればよく、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形等が挙げられる。
【0008】
本発明で使用できる内生地は、従来のホイロを取るメロンパンの製法に使用されている内生地であれば特に限定なく使用できる。
例えば食パン生地、菓子パン生地、スイートロール生地、デニッシュ生地、ハードロール生地、イングリッシュマフィン生地、米粉パン生地、ライ麦パン生地等の発酵生地が使用できる。
またこれらの生地で餡やフラワーペーストなどを包餡した生地、これらの生地にレーズンなどを練り込んだ生地等も必要に応じ使用できる。
本発明では、焼成工程を2段階で行うがデニッシュ生地が釜伸びの点で好ましい。
本発明で使用できる内生地を得る方法として、例えば、以下の方法を挙げることができる。
強力粉100質量部に砂糖10質量部、食塩2質量部、脱脂粉乳5質量部、生イースト8質量部、水52質量部を加え、低速2分間、高速3分間ミキシングし、マーガリン10質量部を加えさらに低速2分間、高速5分間ミキシングする。
その後20分間フロアタイムを取り、対生地40質量%の油脂を生地にロールインし折りたたみ伸ばして任意の重量に分割し、これを厚さが3mm以上10mm以下のシート状に切断し球状に成形する。
【0009】
本発明の冷凍メロンパン生地は、内生地を上皮生地で被覆して成形した後、冷凍して調製する。
成形方法は特に限定はなく従来のメロンパン生地の成形方法が使用できる。
冷凍方法は生地がだれることがないので急速冷凍が好ましい。
【0010】
本発明では冷凍メロンパン生地をホイロを取ることなく冷凍状態のまま焼成装置に入れて焼成する。
通常、冷凍状態のメロンパン生地を焼成する場合は、ホイロ工程を必要とし、例えば、前記特許文献3に、「ホイロは32℃Rh50〜60%で50〜80分、焼成は200℃程度のオーブンで10分間程度行う。」との記載があるとおり、約1時間程度のホイロ時間が必要である。
本発明では焼成前のホイロ工程を必要としないので作業効率がよい。
本発明の焼成工程は加熱温度を2段階とし、90℃以上110℃以下で5分間以上15分間以下加熱を行った後、続けて160℃以上200℃以下で15分間以上20分間以下加熱を行う。
加熱温度及び加熱時間が本発明の範囲を外れると上皮生地と内生地が剥離し、上皮生地と内生地が一体化したメロンパンを得ることができないため加熱温度と加熱時間のバランスが重要である。
焼成に使用する装置は温度調整ができれば特に限定はなく、例えば温度調整機能を持つパン焼成用のオーブンが使用できる。
本発明では焼成工程の加熱を焼成温度と焼成時間を限定した2段階とすることにより上皮生地と内生地が一体化したメロンパンを製造することができ、得られるメロンパンの製品ボリューム及び食感も良好である。
なお、本発明の焼成工程とは、生地を焼成装置に入れてから焼成が完了し焼成した生地を取り出すまでの工程をいう。
【実施例】
【0011】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[上皮生地の調製]
強力小麦粉 20質量部
薄力小麦粉 80質両部
砂糖 60質量部
塩 0.5質量部
膨張剤 2.5質量部
マーガリン 30質量部
卵 15質量部
水 15質量部
上記原料を縦型ミキサー使用してマーガリンと砂糖、塩を合わせて低速1分間、中速2分間ミキシングし、さらに卵を加え中速4分間ミキシングし、これに小麦粉、膨張剤、水を加えて低速1分間、中速1分間ミキシングした。
捏上温度は20℃〜22℃だった。
この生地を30gに分割し厚さ5mmの円形に伸ばした。
【0012】
[内生地の調製]
強力小麦粉 100質量部
食塩 2質量部
砂糖 10質量部
イースト 8質量部
脱脂粉乳 2質量部
マーガリン 10質量部
水 52質量部
マーガリン以外の上記原料を、縦型ミキサー使用して低速2分間、高速3分間ミキシングし、マーガリンを加え、低速2分間、高速5分間ミキシングして前生地を得た。
この前生地を、18℃、湿度80%で20分間フロアタイムを取った後、折り込み油脂としてマーガリンを対生地40質量%ロールインし、シーターを使用し、生地を(4つ折り×3つ折り×3つ折)36層にした後、厚さ4mmのシート状に伸ばして成形した。
この生地を45gに分割し、ボール状に成形し内生地を得た。
【0013】
この内生地を前記上皮生地で被覆し−30℃で急速冷凍して冷凍メロンパン生地を調製した。
この冷凍メロンパン生地を冷凍状態のままオーブンに入れて100℃で10分間加熱した後180℃で20分間加熱しオーブンから取り出してメロンパンを得た。
得られたメロンパンは上皮生地と内生地が一体化し、ボリュームが出ていて食感も良好であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内生地を上皮生地で被覆し冷凍したメロンパン生地を冷凍状態のまま、焼成装置に入れて90℃以上110℃以下で5分間以上15分間以下加熱を行った後、続けて160℃以上200℃以下で15分間以上20分間以下加熱を行うメロンパンの製造方法。