説明

冷凍装置

【課題】
複数の圧縮機が同一ユニットに配設され、同時に運転された場合、各圧縮機によって発生する振動がユニットの底板に伝播し底板が振動する。ここで、各圧縮機によって発生する振動は略同じ振動数を持つが、圧縮機によって発生する振動数にわずかながら差異が生じるため、底板上においてうなりや共振が発生するという問題があった。
【解決手段】
本発明は複数の圧縮機を備えた冷凍装置において、この冷凍装置の底板を圧縮機毎に配設し、これら底板がお互いに接触しない程度に離隔して配設することで、前記うなりや共振の発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷媒を圧縮する圧縮機を複数台備えて構成される冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、図1及び図2に示したように冷媒を圧縮する圧縮機を複数台備えた冷凍装置が中型から大型の冷凍装置や空調装置の室外ユニットや室内ユニットに利用されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−22293号公報
【特許文献2】特開2002−22294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図1に示すように複数台の圧縮機が1台のユニット1に配設され、同時に運転された場合、各圧縮機によって発生する振動がユニット1の底板11に伝播し底板11が振動する。
【0004】
ここで、圧縮機13及び14は同型機であるため発生する振動は略同じ振動数を持つが、圧縮機によって発生する振動数にわずかながら差異が生じるため、底板11上においてうなりが発生してしまう。
【0005】
うなりが発生した場合、大きな音を発生させるため騒音問題となると共に、底板11がうなりと共振した場合には装置全体の大きな振動に繋がってしまうため問題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、複数の圧縮機を備えた冷凍装置において、この冷凍装置の底板は圧縮機毎に配設され、これら底板はお互いに接触しない程度に離隔していることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の冷凍装置において、前記底板は前記冷凍装置のフレーム上に渡設され、前記底板は渡設される方向と平行な一対の辺をL字型に折り曲げた構造を持つことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1及び請求項2記載の冷凍装置において、前記圧縮機及び当該圧縮機に接続される構成要素を同一底板上に備えるモジュールとして構成されており、このモジュールが繰り返し単位として配設可能であることを特徴とする冷凍装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明は、複数の圧縮機を備えた冷凍装置において、この冷凍装置の底板を圧縮機毎に分割し、これら底板はお互いに接触しない程度に離隔して配設することを特徴とするため、圧縮機によって発生する振動は各底板のみに伝播し、従来のように底板上において発生する、うなりによる騒音や共振による大きな振動を防止することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の冷凍装置において、前記底板は前記冷凍装置のフレーム上に渡設され、前記底板は渡設される方向と平行な一対の辺をL字型に折り曲げた構造を持つことため、前記底板の剛性が高まり前記圧縮機から伝播する振動を抑制することができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1及び請求項2記載の冷凍装置において、前記圧縮機及び当該圧縮機に接続される構成要素を同一底板上に備えるモジュールとして構成することにより、圧縮機の交換修理の際にモジュールごと交換が可能であるため従来の冷凍装置よりもメンテナンス性が向上している。また、前記モジュールを繰り返し単位として配設することが可能であるため、搭載する圧縮機の台数を増減する際にこのモジュールを増減すれば良く、従来の冷凍装置よりも設計が容易となり、部品の共有化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面に基づいて、本発明を適用した冷凍装置について説明する。
【実施例】
【0013】
図3は本発明を適用した冷凍装置2である。冷凍装置2の底部はフレーム10によって構成されている。フレーム10は長方形の枠体の内部を左右に梁30が渡設されている。この梁30を渡すことにより、フレーム10の剛性は高くなり振動を抑制させることができる。
【0014】
フレーム10はその前後に夫々3箇所ずつ、U字鋼による足部31が等間隔に溶接されている。これら足部31を冷凍装置の設置場所に固定することでフレーム10の振動は更に抑制される。
【0015】
図5及び図6に示すようにフレーム10の上部には受液器23や凝縮器(図示しない)等が配設される場合がある。この時、フレーム10の四隅にはL字鋼を用いた柱32が立設され、その中部及び上部に中部フレーム33及び上部フレーム34が配設される。
【0016】
受液器23や前記凝縮器等は中部フレーム33上に配設される。受液器23は液化した冷媒が流入する際に発生する脈動のために振動し、前記凝縮器は圧縮機からの吐出脈動により振動する。
【0017】
受液器23、前記凝縮器、圧縮機等から発生する振動により、各フレーム10、33,34及び冷凍装置全体が振動してしまうため、各装置及び各フレームから発生する振動を抑制する必要がある。
【0018】
冷凍装置の底部の骨組みを構成するフレーム10の上に圧縮機毎に分割された底板(分割底板)20、21、22が配設される。分割底板20、21、22は図7乃至図10に示すように分割底板20、21、22を懸架する方向と平行な一対の辺を夫々L字に折り曲げた構造(折曲部)を持つことで、剛性を高め振動を抑制している。
【0019】
分割底板20、21、22は振動により前記折曲部が振れることで接触することがないように、分割底板の厚み程度の間隔を持って配設されている。
【0020】
分割底板20上にはオイルセパレータ16、圧縮機12、オイルレギュレータ17が配設されている。分割底板21上には圧縮機13、オイルレギュレータ18が配設されている。分割底板14上にはアキュムレータ15、圧縮機14、オイルレギュレータ19が配設されている。
【0021】
また、各圧縮機はリキッドインジェクション機構を備えており、当該機構に必要なリキッドインジェクション回路(図示しない)等が各分割底板上に夫々配設されている。
【0022】
このように、各圧縮機12、13、14の構成要素であるオイルレギュレータ17、18、19やリキッドインジェクション機構は夫々対応する分割底板上に配設されることで、モジュール構造を構成している。
【0023】
図5は本発明を適用したインドアユニットであり、その上部には冷凍装置の制御盤や受液器等が配設され、下部には図3及び図4に示した圧縮機等が配設されている。
【0024】
インドアユニットは図5に示したように圧縮機が剥き出しのまま配設されることが多く、圧縮機の振動やこの振動による騒音が周囲に伝播しやすいため、本発明を適用することにより、底板部から発生するうなり音や共振による底板の振動が抑制される等の効果が顕著に現れる。
【0025】
圧縮機12、13、14によって圧縮された冷媒はオイルセパレータ16を介して屋外等に設置された凝縮器(図示しない)に流入する。凝縮器において冷却され液化した冷媒は前記受液器に貯溜される。
【0026】
前記受液器に貯溜された冷媒は室内等に配設されたショーケースや空調設備などの蒸発器に流入し、蒸発することで冷却を行う。
【0027】
蒸発し気体となった冷媒は再び前記インドアユニットに戻り、アキュムレータ15において気体と液体とに分離され、気体のみが圧縮機12、13、14に吸引される。吸引された冷媒は再度圧縮され吐出される。
【0028】
図6は本発明を適用したアウトドアユニットであり、その上部には凝縮器等が配設され、下部には図3及び図4に示した圧縮機や受液器等が配設されている。
【0029】
前記アウトドアユニット下部に設置された圧縮機12、13、14によって圧縮された冷媒はオイルセパレータ16を介して上部に配設された凝縮器に流入する。凝縮器において冷却され液化した冷媒は前記アウトドアユニット下部に配設された前記受液器に貯溜される。
【0030】
前記受液器に貯溜された冷媒は室内等に配設されたショーケースや空調設備などの蒸発器に流入し、蒸発することで冷却を行う
【0031】
蒸発し気体となった冷媒は再び前記アウトドアユニットに戻り、アキュムレータ15において気体と液体とに分離され、気体のみが圧縮機12、13、14に吸引される。吸引された冷媒は再度圧縮され吐出される
【0032】
本実施例では圧縮機と凝縮器を分離配置したインドアユニットについて適用しているが、これに限らず、一体型のインドアユニットに適用しても良い。
【0033】
また、圧縮機と凝縮器の一体したアウトドアユニットについて適用したが、これに限らず、分離設置するアウトドアユニットに適用しても良い。
【0034】
さらに、複数の圧縮機を有し冷凍装置の底部に底板を有する冷凍装置であれば、配設される圧縮機の種類や配設方法によらず本発明は適用することができ、同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来の冷凍装置の正面図
【図2】従来の冷凍装置の平面図
【図3】本発明を適用した冷凍装置の正面図
【図4】本発明を適用した冷凍装置の平面図
【図5】インドアユニットの外形図
【図6】一体型アウトドアユニットの外形図
【図7】分割底板の正面図
【図8】分割底板の平面図
【図9】分割底板の左側面図
【図10】分割底板の底面図
【符号の説明】
【0036】
1 従来の冷凍装置
2 本発明を適用した冷凍装置
10 フレーム
11 底板
12、13、14 圧縮機
15 アキュムレータ
16 オイルセパレータ
17、18、19 オイルレギュレータ
20、21、22 分割底板
23 受液器
30 梁
31 足部
32 柱
33 中部フレーム
34 上部フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧縮機を備えた冷凍装置において、
前記冷凍装置の底板は前記圧縮機毎に配設され、
前記底板はお互いに接触しない程度に離隔していることを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
前記底板は前記冷凍装置のフレーム上に渡設され、
前記底板は渡設される方向と平行な一対の辺をL字型に折り曲げた構造を持つことを特徴とする請求項1記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記圧縮機及び当該圧縮機に接続される構成要素を同一底板上に備えるモジュールとして構成されており、
前記モジュールが繰り返し単位として配設可能であることを特徴とする請求項1及び請求項2記載の冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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