説明

冷凍装置

【課題】要求される負荷が最大負荷の50%以下であるときのCOPを向上できる冷凍装置を提供する。
【解決手段】制御部3は、共通蒸発器4に要求される負荷が50%以下であるとき、第2圧縮機21を停止し、第1圧縮機11の容量を制御する。このため、第1、第2圧縮機11,21を同時に低容量で制御する場合に比べて、要求される負荷が50%以下であるときのCOPを向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、空冷ヒートポンプチラー等の冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍装置としては、第1圧縮機を含む第1の冷凍サイクルユニットと、第2圧縮機を含む第2の冷凍サイクルユニットと、第1、第2の冷凍サイクルユニットに対して要求される負荷に応じて第1圧縮機および第2圧縮機の容量を制御する制御部とを備えたものがある(特公平7−111181号公報:特許文献1参照)。
【0003】
制御部は、要求される負荷が最大負荷の50%以下であるとき、第1圧縮機および第2圧縮機をともに50%以下の容量に制御していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−111181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の冷凍装置では、要求される負荷が最大負荷の50%以下であるとき、第1圧縮機および第2圧縮機をともに50%以下の容量で制御していたので、第1、第2圧縮機を同時に低容量で運転することになり、COP(冷凍能力/消費電力)が低下する問題があった。
【0006】
そこで、この発明の課題は、要求される負荷が最大負荷の50%以下であるときのCOPを向上できる冷凍装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の冷凍装置は、
第1冷媒流路を介して順に環状に接続された第1圧縮機、第1熱源側熱交換器、第1膨張機構および共通利用側熱交換器を含む第1ユニットと、
第2冷媒流路を介して順に環状に接続された第2圧縮機、第2熱源側熱交換器、第2膨張機構および上記共通利用側熱交換器を含む第2ユニットと、
上記共通利用側熱交換器に対して要求される負荷に応じて、上記第1圧縮機および上記第2圧縮機の容量を制御する制御部と
を備え、
上記制御部は、上記要求される負荷が上記第1ユニットのみで対応可能な一定値以下であるとき、上記第2圧縮機を停止し、上記第1圧縮機の容量を制御することを特徴としている。
【0008】
この発明の冷凍装置によれば、上記制御部は、上記要求される負荷が上記一定値以下であるとき、上記第2圧縮機を停止し、上記第1圧縮機の容量を制御するので、上記第1、上記第2圧縮機を同時に低容量で制御する場合に比べて、上記要求される負荷が上記一定値以下であるときのCOP(冷凍能力/消費電力)を向上できる。
【0009】
また、一実施形態の冷凍装置では、上記第1ユニットは、上記第1冷媒流路内の冷媒の循環方向を切り換える第1四方弁を含み、上記第2ユニットは、上記第2冷媒流路内の冷媒の循環方向を切り換える第2四方弁を含む。
【0010】
この実施形態の冷凍装置によれば、上記第1ユニットは、第1四方弁を含み、上記第2ユニットは、第2四方弁を含むので、上記共通利用側熱交換器に流れる被冷却物の冷却または加熱を、容易に切り換えることができる。
【0011】
また、一実施形態の冷凍装置では、上記第1熱源側熱交換器は、第1凝縮器であり、上記第2熱源側熱交換器は、第2凝縮器であり、上記共通利用側熱交換器は、上記共通蒸発器である。
【0012】
この実施形態の冷凍装置によれば、上記第1熱源側熱交換器は、第1凝縮器であり、上記第2熱源側熱交換器は、第2凝縮器であり、上記共通利用側熱交換器は、上記共通蒸発器であるので、上記共通蒸発器に流れる被冷却物を冷却できる。
【0013】
また、一実施形態の冷凍装置では、
上記共通蒸発器には、上記第1、上記第2冷媒流路との熱交換を行う被冷却物流路が設けられ、
上記共通蒸発器から出力される上記被冷却物流路内の被冷却物の温度を測定する温度センサを有し、
上記制御部は、上記要求される負荷が上記一定値以下であるとき、上記温度センサの測定値に基づいて、上記第1圧縮機の容量を段階的に制御する一方、上記第2圧縮機を段階的に停止する。
【0014】
この実施形態の冷凍装置によれば、上記制御部は、上記要求される負荷が上記一定値以下であるとき、上記温度センサの測定値に基づいて、上記第1圧縮機の容量を段階的に制御する一方、上記第2圧縮機を段階的に停止するので、上記第1圧縮機の容量を増加する場合、冷凍能力の過多による被冷却物流路の被冷却物の温度の低下を防止して、被冷却物流路の凍結を防止できる。
【0015】
また、一実施形態の冷凍装置では、上記制御部は、上記要求される負荷が上記一定値より大きいとき、上記第1圧縮機の容量の最大容量に対する割合と、上記第2圧縮機の容量の最大容量に対する割合とを、同じにする。
【0016】
この実施形態の冷凍装置によれば、上記制御部は、上記要求される負荷が上記一定値より大きいとき、上記第1圧縮機の容量の最大容量に対する割合と、上記第2圧縮機の容量の最大容量に対する割合とを、同じにするので、上記第1、上記第2圧縮機の容量の制御が容易になる。
【発明の効果】
【0017】
この発明の冷凍装置によれば、制御部は、要求される負荷が第1ユニットのみで対応可能な一定値以下であるとき、第2圧縮機を停止し、第1圧縮機の容量を制御するので、要求される負荷が上記一定値以下であるときのCOPを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の冷凍装置の第1実施形態を示す簡略構成図である。
【図2】本発明と従来との比較を説明する説明図である。
【図3】第1ユニットおよび第2ユニットの容量の移行を説明するフローチャートである。
【図4A】本発明の冷凍装置の第2実施形態を示すと共に水を冷却する状態を示す簡略構成図である。
【図4B】本発明の冷凍装置の第2実施形態を示すと共に水を加熱する状態を示す簡略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の冷凍装置の第1実施形態である簡略構成図を示している。この冷凍装置は、第1ユニット1と、第2ユニット2と、制御部3とを有する。
【0021】
第1ユニット1は、第1圧縮機11と、(第1熱源側熱交換器としての)第1凝縮器12と、(膨張機構としての)第1膨張弁13と、(共通利用側熱交換器としての)共通蒸発器4とを含む。第1圧縮機11、第1凝縮器12、第1膨張弁13および共通蒸発器4は、順に、(配管等の)第1冷媒流路10を介して、環状に接続されている。
【0022】
第2ユニット2は、第2圧縮機21と、(第2熱源側熱交換器としての)第2凝縮器22と、(膨張機構としての)第2膨張弁23と、(共通利用側熱交換器としての)共通蒸発器4とを含む。第2圧縮機21、第2凝縮器22、第2膨張弁23および共通蒸発器4は、順に、(配管等の)第2冷媒流路20を介して、環状に接続されている。
【0023】
第1圧縮機11は、スライドバルブなどの容量制御器11aを有する。第2圧縮機21は、スライドバルブなどの容量制御器21aを有する。
【0024】
第1凝縮器12には、ファン12aが設けられ、ファン12aにより送られた空気と第1冷媒流路10を流れる冷媒との熱交換を行う。同様に、第2凝縮器22には、ファン22aが設けられ、ファン22aにより送られた空気と第2冷媒流路20を流れる冷媒との熱交換を行う。
【0025】
共通蒸発器4には、(配管等の)被冷却物流路40が設けられ、この被冷却物流路40を流れる(被冷却物としての)水と、第1、第2冷媒流路10,20を流れる冷媒との熱交換を行う。被冷却物流路40における共通蒸発器4からの出口40a側には、温度センサ5が設けられ、温度センサ5は、共通蒸発器4から出力される被冷却物流路40内の水の温度を測定する。
【0026】
第1ユニット1の冷媒流れを説明すると、矢印に示すように、第1圧縮機11で圧縮された冷媒は、順に、第1凝縮器12、第1膨張弁13、共通蒸発器4を通って、第1圧縮機11へ戻ってくる。このとき、第1凝縮器12では、空気が冷媒により暖められ、共通蒸発器4では、水が冷媒により冷やされる。
【0027】
同様に、第2ユニット2の冷媒流れを説明すると、矢印に示すように、第2圧縮機21で圧縮された冷媒は、順に、第2凝縮器22、第2膨張弁23、共通蒸発器4を通って、第2圧縮機21へ戻ってくる。このとき、第2凝縮器22では、空気が冷媒により暖められ、共通蒸発器4では、水が冷媒により冷やされる。
【0028】
制御部3は、共通蒸発器4に対して要求される負荷に応じて、第1圧縮機11および第2圧縮機21の容量を制御する。制御部3は、第1圧縮機11の容量制御器11aおよび第2圧縮機21の容量制御器21aを制御する。
【0029】
制御部3は、要求される負荷が第1ユニット1のみで対応可能な一定値以下であるとき、第2圧縮機21を停止し、第1圧縮機11の容量を制御する一方、要求される負荷が上記一定値よりも大きいとき、第1圧縮機11および第2圧縮機21の容量を制御する。
【0030】
ここで、第1ユニット1と第2ユニット2の冷凍能力は、同じであり、第1圧縮機11と第2圧縮機21の最大容量は、同じであるので、上記一定値は、最大負荷の50%となる。
【0031】
次に、図2を用いて、制御部3による容量制御を具体的に説明する。図2中の表の上段は、従来の容量制御を示し、下段は、本発明の容量制御を示す。
【0032】
図2中の表に示すように、要求負荷が100%〜60%であるとき、本発明では、従来と同様に、第1ユニット1(第1圧縮機11)および第2ユニット2(第2圧縮機21)の容量を制御する。つまり、要求される負荷が最大負荷の50%より大きいとき、第1圧縮機11の容量の最大容量に対する割合と、第2圧縮機21の容量の最大容量に対する割合とを、同じにしている。
【0033】
要求負荷が50%〜10%であるとき、従来では、第1ユニット1(第1圧縮機11)および第2ユニット2(第2圧縮機21)の容量を制御しているのに対して、本発明では、第2ユニット2の容量を0とし(つまり、運転を停止し)、第1ユニット1の容量のみを制御する。
【0034】
したがって、図2中のグラフに示すように、本発明では、従来と比べて、要求負荷が50%以下であるとき、COP(冷凍能力/消費電力)を改善できる。つまり、要求負荷が50%以下であるとき、性能が改善されている。
【0035】
ここで、要求負荷が50%を超えた値から50%以下に移行したとき、第1ユニット1および第2ユニット2の容量の移行を説明すると、制御部3は、要求される負荷が50%以下であるとき、温度センサ5の測定値に基づいて、第1圧縮機11の容量を段階的に制御する一方、第2圧縮機21を段階的に停止する。
【0036】
具体的に述べると、要求負荷が60%から50%へ移行するとき、第1ユニット1の容量が60%から100%へ移行し、第2ユニット2の容量が60%から0%へ移行する。このときの第1ユニット1および第2ユニット2の容量の移行を説明すると、図3に示すように、第1ユニット1の容量を60%に維持し、第2ユニット2の容量を60%から40%へ移行して、t1時間待機する(ステップS1)。
【0037】
そして、第1ユニット1の容量を60%から70%へ移行し、第2ユニット2の容量を40%に維持して、t1時間待機する(ステップS2)。
【0038】
その後、第1ユニット1の容量を70%に維持し、第2ユニット2の容量を40%から20%へ移行して、t1時間待機する(ステップS3)。
【0039】
そして、温度センサ5の測定値と予め定めた設定値との差の絶対値が、0.5℃よりも小さいか否か、水温を判断して(ステップS4)、0.5℃よりも小さくない場合は、t2時間待機後(ステップS5)、再度水温を判断する(ステップS4)。
【0040】
一方、0.5℃よりも小さい場合は、第1ユニット1の容量を70%から80%へ移行し、第2ユニット2の容量を20%に維持して、t2時間待機する(ステップS6)。
【0041】
その後、温度センサ5の測定値と予め定めた設定値との差の絶対値が、0.5℃よりも小さいか否か、水温を判断して(ステップS7)、0.5℃よりも小さくない場合は、t2時間待機後(ステップS8)、再度水温を判断する(ステップS7)。
【0042】
一方、0.5℃よりも小さい場合は、第1ユニット1の容量を80%から100%へ移行し、第2ユニット2の容量を20%に維持して、t2時間待機する(ステップS9)。
【0043】
そして、温度センサ5の測定値と予め定めた設定値との差の絶対値が、0.5℃よりも小さいか否か、水温を判断して(ステップS10)、0.5℃よりも小さくない場合は、t2時間待機後(ステップS11)、再度水温を判断する(ステップS10)。
【0044】
一方、0.5℃よりも小さい場合は、第1ユニット1の容量を100%に維持し、第2ユニット2の容量を20%から0%へ移行する(ステップS12)。
【0045】
このように、温度センサ5の測定値が所定値より小さいときに、第1圧縮機11または第2圧縮機21の少なくとも一方の容量を変化させるように、第1圧縮機11および第2圧縮機21の容量を段階的に制御することで、温度制御の狂いを防止する。つまり、圧縮機11,21の能力変化幅が大きい場合、温度制御が大きく狂う可能性があり、例えば、能力過多になると、被冷却物流路40の水温が下がって、凍結が生じるおそれがある。
【0046】
上記構成の冷凍装置によれば、制御部3は、要求される負荷が50%(一定値)以下であるとき、第2圧縮機21を停止し、第1圧縮機11の容量を制御するので、第1、第2圧縮機11,21を同時に低容量で制御する場合に比べて、要求される負荷が50%以下であるときのCOP(冷凍能力/消費電力)を向上できる。
【0047】
また、制御部3は、要求される負荷が50%以下であるとき、温度センサ5の測定値に基づいて、第1圧縮機11の容量を段階的に制御する一方、第2圧縮機21を段階的に停止するので、第1圧縮機11の容量を増加する場合、冷凍能力の過多による被冷却物流路40の水温の低下を防止して、被冷却物流路40の凍結を防止できる。
【0048】
また、制御部3は、要求される負荷が50%より大きいとき、第1圧縮機11の容量の最大容量に対する割合と、第2圧縮機21の容量の最大容量に対する割合とを、同じにするので、第1、第2圧縮機11,21の容量の制御が容易になる。
【0049】
(第2の実施形態)
図4Aおよび図4Bは、この発明の冷凍装置の第2の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第2の実施形態では、冷凍装置を流れる冷媒の循環方向を切り換えることができるように、構成している。なお、この第2の実施形態において、上記第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0050】
図4Aに示すように、第1ユニット1Aは、第1冷媒流路10を介して順に環状に接続された第1圧縮機11、第1熱源側熱交換器12A、第1膨張機構13および共通利用側熱交換器4Aを含む。
【0051】
第2ユニット2Aは、第2冷媒流路20を介して順に環状に接続された第2圧縮機21、第2熱源側熱交換器22A、第2膨張機構23および共通利用側熱交換器4Aを含む。
【0052】
上記第1ユニット1Aは、上記第1冷媒流路10内の冷媒の循環方向を切り換える第1四方弁14を含む。この第1四方弁14は、第1圧縮機11と第1熱源側熱交換器12Aとの間の冷媒流路と、第1圧縮機11と共通利用側熱交換器4Aとの間の冷媒流路とを跨ぐように、設けられている。
【0053】
上記第2ユニット2Aは、上記第2冷媒流路20内の冷媒の循環方向を切り換える第2四方弁24を含む。この第2四方弁24は、第2圧縮機21と第2熱源側熱交換器22Aとの間の冷媒流路と、第2圧縮機21と共通利用側熱交換器4Aとの間の冷媒流路とを跨ぐように、設けられている。
【0054】
次に、冷凍装置の冷媒の流れについて説明する。
【0055】
まず、図4Aに示すように、上記第1ユニット1Aの冷媒を、第1四方弁14の切り換えによって、矢印に示すように、第1圧縮機11、第1熱源側熱交換器12A、第1膨張機構13および共通利用側熱交換器4Aを順に、流れるようにする。このとき、第1熱源側熱交換器12Aは、凝縮器として作用して、空気が冷媒により暖められ、共通利用側熱交換器4Aは、蒸発器として作用して、水が冷媒により冷やされる。
【0056】
同様に、上記第2ユニット2Aの冷媒を、第2四方弁24の切り換えによって、矢印に示すように、第2圧縮機21、第2熱源側熱交換器22A、第2膨張機構23および共通利用側熱交換器4Aを順に、流れるようにする。このとき、第2熱源側熱交換器22Aは、凝縮器として作用して、空気が冷媒により暖められ、共通利用側熱交換器4Aは、蒸発器として作用して、水が冷媒により冷やされる。
【0057】
一方、図4Bに示すように、上記第1ユニット1Aの冷媒を、第1四方弁14の切り換えによって、矢印に示すように、第1圧縮機11、共通利用側熱交換器4A、第1膨張機構13および第1熱源側熱交換器12Aを順に、流れるようにする。このとき、第1熱源側熱交換器12Aは、蒸発器として作用して、空気が冷媒により冷やされ、共通利用側熱交換器4Aは、凝縮器として作用して、水が冷媒により暖められる。
【0058】
同様に、上記第2ユニット2Aの冷媒を、第2四方弁24の切り換えによって、矢印に示すように、第2圧縮機21、共通利用側熱交換器4A、第2膨張機構23および第2熱源側熱交換器22Aを順に、流れるようにする。このとき、第2熱源側熱交換器22Aは、蒸発器として作用して、空気が冷媒により冷やされ、共通利用側熱交換器4Aは、凝縮器として作用して、水が冷媒により暖められる。
【0059】
制御部3は、上記共通利用側熱交換器4Aに対して要求される負荷に応じて、上記第1圧縮機11および上記第2圧縮機21の容量を制御する。この制御部3は、上記要求される負荷が上記第1ユニット1Aのみで対応可能な一定値以下(この実施形態では50%以下)であるとき、上記第2圧縮機21を停止し、上記第1圧縮機11の容量を制御する。
【0060】
上記制御部3は、上記要求される負荷が上記一定値以下であるとき、上記共通利用側熱交換器4Aの出口側の被冷却物流路40に設けられた温度センサ5の測定値に基づいて、上記第1圧縮機11の容量を段階的に制御する一方、上記第2圧縮機21を段階的に停止する。
【0061】
上記制御部3は、上記要求される負荷が上記一定値より大きいとき、上記第1圧縮機11の容量の最大容量に対する割合と、上記第2圧縮機21の容量の最大容量に対する割合とを、同じにする。
【0062】
上記制御部3による具体的な容量制御は、上記第1の実施形態(図2と図3)と同様であるので、説明を省略する。
【0063】
上記構成の冷凍装置によれば、上記制御部3は、要求される負荷が一定値以下であるとき、第2圧縮機21を停止し、第1圧縮機11の容量を制御するので、第1、第2圧縮機11,21を同時に低容量で制御する場合に比べて、要求される負荷が一定値以下であるときのCOP(冷凍能力/消費電力)を向上できる。
【0064】
また、上記第1ユニット1Aは、第1四方弁14を含み、上記第2ユニット2Aは、第2四方弁24を含むので、上記共通利用側熱交換器4Aに流れる被冷却物の冷却または加熱を、容易に切り換えることができる。
【0065】
また、上記制御部3は、要求される負荷が一定値以下であるとき、温度センサ5の測定値に基づいて、第1圧縮機11の容量を段階的に制御する一方、第2圧縮機21を段階的に停止するので、第1圧縮機11の容量を増加する場合、冷凍能力の過多による被冷却物流路40の水温の低下(または上昇)を防止して、被冷却物流路40の凍結(または加熱)を防止できる。
【0066】
また、上記制御部3は、要求される負荷が一定値より大きいとき、第1圧縮機11の容量の最大容量に対する割合と、第2圧縮機21の容量の最大容量に対する割合とを、同じにするので、第1、第2圧縮機11,21の容量の制御が容易になる。
【0067】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、膨張機構として、膨張弁の代わりに、キャピラリーチューブ等を用いてもよい。被冷却物として、ブラインを用いてもよい。また、第1ユニット1と第2ユニット2の冷凍能力は、同じでなくてもよく、第1圧縮機11と第2圧縮機21の最大容量は、同じでなくてもよい。
【0068】
また、上記第1の実施形態において、第1凝縮器12および第2凝縮器22を、蒸発器に置き換え、共通蒸発器4を、共通凝縮器に置き換えて、この共通凝縮器によって、被冷却物を暖めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1,1A 第1ユニット
11 第1圧縮機
11a 容量制御器
12 第1凝縮器(第1熱源側熱交換器)
12A 第1熱源側熱交換器
12a ファン
13 第1膨張弁(第1膨張機構)
14 第1四方弁
10 第1冷媒流路
2,2A 第2ユニット
21 第2圧縮機
21a 容量制御器
22 第2凝縮器(第2熱源側熱交換器)
22A 第2熱源側熱交換器
22a ファン
23 第2膨張弁(第2膨張機構)
24 第2四方弁
20 第2冷媒流路
3 制御部
4 共通蒸発器(共通利用側熱交換器)
4A 共通利用側熱交換器
40 被冷却物流路
40a 出口
5 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1冷媒流路(10)を介して順に環状に接続された第1圧縮機(11)、第1熱源側熱交換器(12,12A)、第1膨張機構(13)および共通利用側熱交換器(4,4A)を含む第1ユニット(1,1A)と、
第2冷媒流路(20)を介して順に環状に接続された第2圧縮機(21)、第2熱源側熱交換器(22,22A)、第2膨張機構(23)および上記共通利用側熱交換器(4,4A)を含む第2ユニット(2,2A)と、
上記共通利用側熱交換器(4,4A)に対して要求される負荷に応じて、上記第1圧縮機(11)および上記第2圧縮機(21)の容量を制御する制御部(3)と
を備え、
上記制御部(3)は、上記要求される負荷が上記第1ユニット(1,1A)のみで対応可能な一定値以下であるとき、上記第2圧縮機(21)を停止し、上記第1圧縮機(11)の容量を制御することを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷凍装置において、
上記第1ユニット(1,1A)は、上記第1冷媒流路(10)内の冷媒の循環方向を切り換える第1四方弁(14)を含み、
上記第2ユニット(2,2A)は、上記第2冷媒流路(20)内の冷媒の循環方向を切り換える第2四方弁(24)を含むことを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の冷凍装置において、
上記第1熱源側熱交換器(12,12A)は、第1凝縮器(12)であり、
上記第2熱源側熱交換器(22,22A)は、第2凝縮器(22)であり、
上記共通利用側熱交換器(4,4A)は、上記共通蒸発器(4)であることを特徴とする冷凍装置。
【請求項4】
請求項3に記載の冷凍装置において、
上記共通蒸発器(4)には、上記第1、上記第2冷媒流路(10,20)との熱交換を行う被冷却物流路(40)が設けられ、
上記共通蒸発器(4)から出力される上記被冷却物流路(40)内の被冷却物の温度を測定する温度センサ(5)を有し、
上記制御部(3)は、上記要求される負荷が上記一定値以下であるとき、上記温度センサ(5)の測定値に基づいて、上記第1圧縮機(11)の容量を段階的に制御する一方、上記第2圧縮機(21)を段階的に停止することを特徴とする冷凍装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の冷凍装置において、
上記制御部(3)は、上記要求される負荷が上記一定値より大きいとき、上記第1圧縮機(11)の容量の最大容量に対する割合と、上記第2圧縮機(21)の容量の最大容量に対する割合とを、同じにすることを特徴とする冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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