説明

冷凍装置

【課題】冷温水装置あるいは空気調和装置の製造管理が容易な、とくに室外ユニットの制御基板の共通化が図れる冷凍装置を提供する。
【解決手段】室外ユニットを標準室外ユニット11として共通化し、この標準室外ユニットに対し冷媒配管を介して空冷仕様の室内ユニットまたは冷温水仕様の冷温水ユニット12を選択的に接続可能とすると共に、前記標準室外ユニットの制御基板1は空冷仕様における制御プログラムを実行可能に格納した不揮発性メモリ1Aを備え、前記標準室外ユニット11に冷温水仕様の冷温水ユニット12が接続されたときには、前記不揮発性メモリ1Aに格納された空冷仕様の制御プログラムの動作条件を書き換えることにより冷温水仕様の制御を実行可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外ユニットに冷媒配管を介して空冷仕様の室内ユニットまたは冷温水仕様の冷温水ユニットを選択的に接続したとき、あるいは室外ユニットおよび冷温水ユニットの各機能部品を単一の筐体内に一体に有した一体型冷温水装置を製造したときに、室外ユニットの制御基板の共通化を可能とした冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室外ユニットに冷媒配管を介して冷温水仕様の冷温水ユニットを接続し、チラー装置(冷温水装置)を製造することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、チラー装置は所謂チラー専用機である。一方、室外ユニットに冷媒配管を介して空冷仕様の室内ユニットを接続し、空気調和装置を製造することが一般的である。この場合、空気調和装置は所謂空調専用機である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−251486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の構成では、冷温水装置あるいは空気調和装置として、それぞれ異なった製造管理がなされる欠点がある。この製造管理では、各種の機能部品管理だけでなく、室外ユニットの制御基板も同様に別々に管理され、製造が繁雑になり、コスト高となる欠点があった。たとえば、空冷仕様における制御プログラムを、冷温水装置に適用した場合には、温水出湯に適した運転ができない問題があった。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、冷温水装置あるいは空気調和装置の製造管理が容易な、とくに室外ユニットの制御基板の共通化が図れる冷凍装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、室外ユニットを標準室外ユニットとして共通化し、この標準室外ユニットに対し冷媒配管を介して空冷仕様の室内ユニットまたは冷温水仕様の冷温水ユニットを選択的に接続可能とすると共に、前記標準室外ユニットの制御基板は空冷仕様における制御プログラムを実行可能に格納した不揮発性メモリを備え、前記標準室外ユニットに冷温水仕様の冷温水ユニットが接続されたときには、前記不揮発性メモリに格納された空冷仕様の制御プログラムの動作条件を書き換えることにより冷温水仕様の制御を実行可能とした、ことを特徴とする。
この場合において、前記動作条件が前記標準室内ユニットの室内熱交換器における暖房時凝縮温度であってもよい。
前記動作条件が前記標準室外ユニットの圧縮機における冷媒高圧圧力であってもよい。
前記動作条件が前記標準室外ユニットの周辺の外気温度であってもよい。
【0006】
これら発明では、標準室外ユニットに対し冷媒配管を介して空冷仕様の室内ユニットまたは冷温水仕様の冷温水ユニットを選択的に接続可能としたため、共通化された標準室外ユニットを準備することで、冷温水装置あるいは空気調和装置を製造できるため、製造管理がきわめて容易となる。また、前記標準室外ユニットの制御基板は空冷仕様における制御プログラムを実行可能にされており、前記標準室外ユニットに冷温水仕様の冷温水ユニットが接続されたときには、前記不揮発性メモリに格納された空冷仕様の制御プログラムの動作条件を書き換えることにより冷温水仕様の制御を実行可能としたため、たとえば制御基板に書き換え治具を接続して、書き換え操作により、暖房時凝縮温度や冷媒高圧圧力や外気温度などを書き換えることにより、温水出湯に適した運転を行える。したがって標準室外ユニットの制御基板の共通化が図れる。
【0007】
室外ユニットを標準室外ユニットとして共通化し、この標準室外ユニットに対し冷媒配管を介して空冷仕様の室内ユニットまたは冷温水仕様の冷温水ユニットを選択的に接続可能とすると共に、前記標準室外ユニットおよび前記冷温水ユニットの各機能部品を単一の筐体内に一体に有した一体型冷温水装置を備え、前記標準室外ユニットの制御基板は空冷仕様における制御プログラムを実行可能に格納した不揮発性メモリを備え、前記標準室外ユニットに冷温水仕様の冷温水ユニットが接続されたとき、あるいは前記一体型冷温水装置が製造されたときに、前記不揮発性メモリに格納された空冷仕様の制御プログラムの動作条件を書き換えることにより冷温水仕様の制御を実行可能とすることが可能である。
この場合において、前記動作条件が前記標準室内ユニットの室内熱交換器における暖房時凝縮温度であってもよい。
これら発明では、標準室外ユニットに冷媒配管を介して空冷仕様の室内ユニットが接続されても、あるいは冷温水仕様の冷温水ユニットが接続されても、さらには標準室外ユニットおよび前記冷温水ユニットの各機能部品を単一の筐体内に一体に有した一体型冷温水装置が製造されても、たとえば不揮発性メモリに格納された空冷仕様の制御プログラムの動作条件、すなわち暖房時凝縮温度や冷媒高圧圧力や外気温度などを書き換えることにより、温水出湯に適した運転を簡易に行える。これによれば、標準室外ユニットの制御基板の共通化が図れる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、標準室外ユニットに対し冷媒配管を介して空冷仕様の室内ユニットまたは冷温水仕様の冷温水ユニットを選択的に接続可能としたため、共通化された標準室外ユニットを準備することで、冷温水装置あるいは空気調和装置を製造できるため、製造管理がきわめて容易となる。また、標準室外ユニットの制御基板は空冷仕様における制御プログラムを実行可能にされており、標準室外ユニットに冷温水仕様の冷温水ユニットが接続されたときには、前記不揮発性メモリに格納された空冷仕様の制御プログラムの動作条件を書き換えることにより冷温水仕様の制御を実行可能としたため、たとえば制御基板に書き換え治具を接続して、書き換え操作により、暖房時凝縮温度や冷媒高圧圧力や外気温度などを書き換えることにより、温水出湯に適した運転を行える。したがって標準室外ユニットの制御基板の共通化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】空気調和装置(冷凍装置)の冷媒回路図である。
【図2】スプリット型のチラー装置(冷凍装置)の冷媒回路図である。
【図3】モノブロック型のチラー装置(冷凍装置)の冷媒回路図である。
【図4】動作条件を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1〜図3は、この実施の形態に対応する空気調和装置(図1参照)や、所謂チラー装置(図2および図3参照)の冷媒回路を示す。
図1は、所謂スプリット型の空気調和装置を示す。
この空気調和装置210は、標準室外ユニット(以下、単に室外ユニットという。)11と、室内ユニット212とを備えている。室外ユニット11は標準室外ユニットとして後述する図2の室外ユニット11と共通化されており、室外ユニット11の室外冷媒配管14Aと室内ユニット212の室内冷媒配管214Bとがユニット間配管252,253を介して連結され冷凍サイクルが形成されている。
なお、以下の説明において室外冷媒配管14Aと室内冷媒配管214Bを特に区別しない場合は、「冷媒配管214」と称す。
【0011】
室外ユニット11の室外冷媒配管14Aには圧縮機16が配設されている。この圧縮機16の吸込側にはアキュムレータ17が、吐出側には四方弁18がそれぞれ配設されている。この四方弁18には、室外熱交換器19、メカ弁(室外膨張弁)24、ストレーナ25が順次配設されている。19Aは室外ファン、26はマフラーである。
この室外ユニット11に接続された室内ユニット212は、室内熱交換器228および室内ファン229を備えている。
暖房運転時には、室外ユニット11の四方弁18が暖房サイクル側に切り替わり、室内ユニット212の室内熱交換器228が凝縮器として機能し、室内ファン229の送風により室内が暖房される。冷房運転時には、室外ユニット11の四方弁18が冷房サイクル側に切り替わり、室内ユニット212の室内熱交換器228が蒸発器として機能し、室内ファン229の送風により室内が冷房される。
【0012】
図2は、所謂スプリット型のチラー装置を示す。
このチラー装置(冷凍装置)10は、上述の標準室外ユニットとしての室外ユニット11と、冷温水ユニット12とを備えている。室外ユニット11は標準室外ユニットとして上述した図1の室外ユニット11と共通化されており、室外ユニット11の室外冷媒配管14Aと冷温水ユニット12のチラー側冷媒配管14Bとがユニット間配管52,53を介して連結され冷凍サイクルが形成されている。ユニット間配管52,53は現場の設置状況に応じて適宜の長さに設定され、たとえば数十mにもおよぶ長さとなる場合がある。なお、以下の説明において室外冷媒配管14Aとチラー側冷媒配管14Bを特に区別しない場合は、「冷媒配管14」と称す。
【0013】
室外ユニット11の室外冷媒配管14Aには圧縮機16が配設されている。この圧縮機16の吸込側にはアキュムレータ17が、吐出側には四方弁18がそれぞれ配設されている。この四方弁18には、室外熱交換器19、メカ弁(室外膨張弁)24、ストレーナ25が順次配設されている。19Aは室外ファン、26はマフラーである。
室外ユニット11に接続された冷温水ユニット12は、レシーバタンク27およびプレート熱交換器28を備えている。プレート熱交換器28は冷媒流路と水流路(不図示)とを交互に積層して備え、水流路(不図示)には水配管30が接続されている。この水配管30には膨張タンク31、水ポンプ32、水加熱装置(電気ヒーター)33が順に接続され、冷温水負荷設備34へ接続されている。35は圧力ゲージ、36はフロースイッチ、37は安全弁である。
【0014】
このスプリット型のチラー装置で温水をつくるときには、室外ユニット11の四方弁18が暖房サイクル側に切り替わり、冷温水ユニット12側のプレート熱交換器28が凝縮器として機能する。プレート熱交換器28には、水ポンプ32により冷温水負荷設備34から実線矢印の方向に水が循環し、この水は、プレート熱交換器28および水加熱装置(電気ヒーター)33で加熱されて冷温水負荷設備34へ環流する。
また冷水をつくるときには、室外ユニット11の四方弁18が冷房サイクル側に切り替わり、冷温水ユニット12側のプレート熱交換器28が蒸発器として機能する。プレート熱交換器28には、水ポンプ32により冷温水負荷設備34から実線矢印の方向に水が循環し、この水は、プレート熱交換器28で冷却されて冷温水負荷設備34へ環流する。このとき水加熱装置33は運転停止である。
【0015】
図3は、所謂モノブロック型のチラー装置(一体型冷温水装置)を示す。
この一体型冷温水装置110は、単一の筐体111内に、室外ユニットおよび冷温水ユニットの各機能部品を一体に備えている。
すなわち単一の筐体111内には、室外ユニット(図1、図2の室外ユニット11に対応している。)の機能部品として、圧縮機116が配設されている。この圧縮機116の吸込側にはアキュムレータ117が、吐出側には四方弁118がそれぞれ配設されている。この四方弁118には、室外熱交換器119およびメカ弁(室外膨張弁)124が順次配設されている。119Aは室外ファンである。また、筐体111内には、冷温水ユニット(図2の冷温水ユニット12に対応している。)の機能部品として、レシーバタンク127およびプレート熱交換器128を備えている。プレート熱交換器128は冷媒流路と水流路(不図示)とを交互に積層して備え、水流路(不図示)には水配管130が接続されている。この水配管130には、水ポンプ132により水が循環し、水加熱装置(電気ヒーター)133、膨張タンク131が順に接続されている。135は圧力ゲージ、136はフロースイッチ、137は安全弁、138は水圧センサである。
【0016】
この一体型冷温水装置110で温水をつくるときには、四方弁118が暖房サイクル側に切り替わり、プレート熱交換器128が凝縮器として機能する。プレート熱交換器128には、入口130Aからの水が、水ポンプ132により実線矢印の方向に循環し、この水は、プレート熱交換器128および水加熱装置133で加熱され、出口130Bから冷温水負荷設備(不図示)へ環流する。一方、一体型冷温水装置110で冷水をつくるときには、四方弁118が冷房サイクル側に切り替わり、プレート熱交換器128が蒸発器として機能する。プレート熱交換器128には、入口130Aからの水が、水ポンプ132により実線矢印の方向に循環し、この水は、プレート熱交換器128で冷却されて、出口130Bから冷温水負荷設備(不図示)へ環流する。冷水を作るときには水加熱装置133の運転は停止である。
【0017】
つぎに、制御系を説明する。
本実施の形態では、図1〜図3のすべての室外ユニットに対し、共通の制御基板1が配設されている。制御基板1は不揮発性メモリ1Aを備え、不揮発性メモリ1Aには、空冷仕様における制御プログラムが格納されている。制御プログラムの所定の動作条件は書き換えが可能であり、制御基板1を空冷仕様から冷温水仕様に変更する場合には、当該動作条件が書き換え操作により適宜書き換えられる。たとえば図1に示す空冷仕様の場合には、空冷仕様における制御プログラムが格納された制御基板1が、空冷仕様のまま変更せずに使用され、図2または図3に示すように、標準室外ユニットに冷温水仕様の冷温水ユニットが接続されたときには、制御基板1にたとえば書き換え治具(不図示)を接続し、書き換え操作により動作条件が書き換えられて使用される。
【0018】
図4は、上述の動作条件を示す。
本実施の形態では、製造工場から、<0:空気調和装置>(図1参照)、<1:温水50℃出湯のスプリット型のチラー装置>(図2参照)、<2:温水55℃出湯のスプリット型のチラー装置>(同じく図2参照)、<3:温水55℃出湯のモノブロック型のチラー装置>(図3参照)の4機種が出荷される。
【0019】
<0:空気調和装置>
この場合、上述したように、空冷仕様における制御プログラムが格納された制御基板1が、そのまま変更せずに使用される。
以下は、暖房時を示している。
(a)出湯温度制御の動作条件は存在しない。
(b)冷媒高圧圧力制御の動作条件は標準室外ユニット11の圧縮機16における吐出の冷媒温度A℃であり、吐出温度がA℃を越えたとき、高圧異常と推定し、たとえば圧縮機16の運転が停止される。
(c)外気温度制御では、標準室外ユニット11の周辺の外気温度が下がれば室外ファン19Aの駆動電流値を上げ、外気温度が上がればその電流値を下げ、室外ファン19Aの回転数が220〜880rpmに制御される。このときの動作条件は室外ファン19Aの回転数220〜880rpmである。
(d)除霜制御では、室外熱交換器19に霜付きが発生したとき、四方弁18を冷房サイクルの位置に切り替えて、冷媒の流れとして、逆サイクルを実現し、室外熱交換器19に高圧冷媒を流し、室外熱交換器19に付着した霜を除霜する。このときの動作条件はメカ弁24の弁開度であり、メカ弁24は除霜制御時以外の通常制御時には20〜480パルスで管理するところ、除霜制御では、たとえば300パルスの開度に制御される。
【0020】
<1:温水50℃出湯のスプリット型のチラー装置>
この場合、制御基板1にたとえば書き換え治具(不図示)を接続し、書き換え操作により条件<1>を入力することにより動作条件が以下のように書き換えられる。
(1a)出湯温度制御の動作条件は暖房時凝縮温度であり、この凝縮温度が50℃に書き換えられる。この書き換えにより、出湯温度制御ではプレート熱交換器28の出入口に設けた温度センサ(不図示)の検知に従い、凝縮温度が50℃に制御される。
(1b)冷媒温度が(A+α)℃に書き換えられる。冷媒温度が(A+α)℃を越えたとき、高圧異常と推定し、圧縮機16の運転が停止される。
(1c)外気温度制御の動作条件は、上述の<0:空気調和装置>のときと同じであり、書き換えは行われない。
(1d)除霜制御の動作条件は、上述の<0:空気調和装置>のときと同じであり、書き換えは行われない。
【0021】
<2:温水55℃出湯のスプリット型のチラー装置>
この場合には、書き換え操作により条件<2>を入力することにより動作条件が以下のように書き換えられる。
(2a)凝縮温度が55℃に書き換えられる。
(2b)冷媒温度が(A+β)℃に書き換えられる。ここで、A<α<βである。
(2c)外気温度制御の動作条件は、上述の<0:空気調和装置>のときと同じであり、書き換えは行われない。
(2d)除霜制御の動作条件は、上述の<0:空気調和装置>のときと同じであり、書き換えは行われない。
【0022】
<3:温水55℃出湯のモノブロック型のチラー装置>
この場合には、書き換え操作により条件<3>を入力することにより動作条件が以下のように書き換えられる。
(3a)凝縮温度が55℃に書き換えられる。
(3b)冷媒温度が(A+β)℃に書き換えられる。ここで、A<α<βである。
(3c)室外ファン19Aの回転数の下限値が400rpmに書き換えられる。この書き換えにより、上記別機種に比べて、外気温度に応じ、室外ファン19Aの回転数が高めに400〜880rpmに制御される。
(3d)モノブロック型は上述のスプリット型の冷温水装置と比較して、各種の機器類が単一の筐体内に収まる分だけ、冷媒配管の長さが短い。したがって除霜制御ではメカ弁124の開度が、通常制御において20〜480パルスで管理するところ、400パルスの開度に制御される。すなわち、メカ弁124の開度が400パルスに開かれて、室外熱交換器119への冷媒の供給量が調整される。
【0023】
本実施の形態では、標準室外ユニット11に冷媒配管52,53を介して空冷仕様の室内ユニット212が接続されても、冷温水仕様の冷温水ユニット12が接続されても、あるいは標準室外ユニット11および冷温水ユニット12の各機能部品を単一の筐体内に一体に有した一体型冷温水装置110が製造されても、不揮発性メモリ1Aに格納された空冷仕様の制御プログラムの動作条件、すなわち暖房時凝縮温度や冷媒高圧圧力や外気温度などを書き換えることにより、温水出湯に適した運転を簡易に行える。これによれば、制御基板1の共通化が図れる。
【0024】
一般に、この種の冷温水装置では、室外ユニット11の室外熱交換器19を蒸発器として機能させて、たとえば冬期に温水を製造する際などに、上記蒸発器に霜付きが発生し、室外熱交換器19での熱交換に不都合が生じ、このときに四方弁18を冷房サイクルの位置に切り替えて、逆サイクルを実現し、室外熱交換器19に高圧冷媒を流して室外熱交換器19に付着した霜を除霜する。上述のスプリット型の冷温水装置10と、モノブロック型の冷温水装置110とを比較したとき、スプリット型の方が、単一の筐体111内に収まらない分だけ、各ユニット間を接続する冷媒配管52,53の長さが長く設定される。冷媒配管の長さは、除霜運転時のメカ弁24,124の開度制御に影響を与える。スプリット型では各ユニット間を接続する冷媒配管52,53の長さが長くなるため、メカ弁24の開度を、20〜480パルスで管理するところ、動作条件として、300パルス程度に絞って、室外熱交換器19への冷媒の供給量を調整し、モノブロック型は冷媒配管がそれ程長くならないため、メカ弁124の開度を、400パルス程度に開いて、室外熱交換器119への冷媒の供給量を調整する。
本構成では、不揮発性メモリ1Aに格納された制御プログラムの除霜制御に関する動作条件を書き換えることで除霜制御を実行可能としたため、所謂スプリット型やモノブロック型の冷温水装置10,110を製造するときに、制御基板1の製造管理が容易となり、制御基板1の共通化が図れる。
【符号の説明】
【0025】
1 制御基板
1A 不揮発性メモリ
10 スプリット型のチラー装置(冷凍装置)
11 標準室外ユニット(室外ユニット)
12 冷温水ユニット
16 圧縮機
18,118 四方弁
24,124 メカ弁(室外膨張弁)
28,128 プレート熱交換器
52,53 ユニット間配管
110 モノブロック型のチラー装置(一体型冷温水装置)
111 筐体
210 空気調和装置(冷凍装置)
212 室内ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外ユニットを標準室外ユニットとして共通化し、この標準室外ユニットに対し冷媒配管を介して空冷仕様の室内ユニットまたは冷温水仕様の冷温水ユニットを選択的に接続可能とすると共に、
前記標準室外ユニットの制御基板は空冷仕様における制御プログラムを実行可能に格納した不揮発性メモリを備え、
前記標準室外ユニットに冷温水仕様の冷温水ユニットが接続されたときには、前記不揮発性メモリに格納された空冷仕様の制御プログラムの動作条件を書き換えることにより冷温水仕様の制御を実行可能とした、
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
前記動作条件が前記標準室内ユニットの室内熱交換器における暖房時凝縮温度であることを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記動作条件が前記室外ユニットの圧縮機における冷媒高圧圧力であることを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記動作条件が前記室外ユニットの周辺の外気温度であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の冷凍装置。
【請求項5】
室外ユニットを標準室外ユニットとして共通化し、この標準室外ユニットに対し冷媒配管を介して空冷仕様の室内ユニットまたは冷温水仕様の冷温水ユニットを選択的に接続可能とすると共に、
前記標準室外ユニットおよび前記冷温水ユニットの各機能部品を単一の筐体内に一体に有した一体型冷温水装置を備え、
前記標準室外ユニットの制御基板は空冷仕様における制御プログラムを実行可能に格納した不揮発性メモリを備え、
前記標準室外ユニットに冷温水仕様の冷温水ユニットが接続されたとき、あるいは前記一体型冷温水装置が製造されたときに、前記不揮発性メモリに格納された空冷仕様の制御プログラムの動作条件を書き換えることにより冷温水仕様の制御を実行可能とした、
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項6】
前記動作条件が前記標準室内ユニットの室内熱交換器における暖房時凝縮温度であることを特徴とする請求項5に記載の冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−117693(P2012−117693A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265305(P2010−265305)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】