説明

冷凍麺製造における茹で上げた麺の冷却方法

【課題】短麺の発生がすくなく食感の良好な冷凍麺の製造方法を提供すること。
【解決手段】冷凍麺の製造方法であって、茹で上げた乾麺を20℃以上40℃以下の水で15秒間以上45秒間以下冷却し、その後60℃以上80℃以下の水で90秒間以上150秒間加温し、その後5℃以上15℃以下の水で15秒間以上45秒間以下冷却した後、水切りし、容器に収容し急速凍結する冷凍麺の製造方法である。また、乾麺がスパゲティ、フェットチーネ、リングイネ、バーミセリーなどのロングパスタ、うどん、そば、そうめん、冷麦である前記方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍麺製造における茹で上げた麺の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍麺の製造において茹で上げた麺を冷凍する前に冷水などで段階的に冷却することが行われている。
例えば、冷風、湿った冷風、冷水等により茹パスタ類を冷却処理してその品温を35〜95℃に調整した後、成型容器に入れ、次いで冷凍処理することを特徴とする成型冷凍パスタ類の製造法が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、麺を茹で上げた後、20分以上40分以下、10℃から65℃の空気中に放置して徐冷した後、前記麺を凍結する冷凍麺の製造方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
また、スパゲティをα化して歩留りを200〜280%に調整した後、これを0〜5℃の冷水で急冷し、麺線を不定方向に配置して断層空間率40〜80%の麺塊を形成し、次いでこれを冷凍することを特徴とする即席冷凍スパゲティの製造法が知られている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−17281号公報
【特許文献2】特開平10−84897号公報
【特許文献3】特開平3−201957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の冷却方法では、茹で時間が適当であっても、成形容器に収容するときに麺の硬さにより麺類が折れて短麺が発生してしまい、これを防ぐために茹で時間を長めにした場合は、麺が柔らかくなり短麺の発生は抑えることができるが食感の弱い麺となってしまう問題があった。
従って、本発明の目的は、短麺の発生がすくなく食感の良好な冷凍麺の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、茹で上げた乾麺を冷凍する前に冷水などで段階的に温度を低下させて冷却する工程において、茹で上げた乾麺を冷却したのち一旦加温しその後冷却することにより短麺の発生がすくなく食感の良好な冷凍麺が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、冷凍麺の製造方法であって、茹で上げた乾麺を20℃以上40℃以下の水で15秒間以上45秒間以下冷却し、その後60℃以上80℃以下の水で90秒間以上150秒間加温し、その後5℃以上15℃以下の水で15秒間以上45秒間以下冷却した後、水切りし、容器に収容し急速凍結する冷凍麺の製造方法である。
また、乾麺がスパゲティ、フェットチーネ、リングイネ、バーミセリーなどのロングパスタ、うどん、そば、そうめん、冷麦である前記方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の方法によれば、短麺の発生が少なく食感の良好な冷凍麺を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において使用できる乾麺は、乾燥処理した麺であれば特に限定なく、例えば、乾燥処理したスパゲティ、フェットチーネ、リングイネ、バーミセリーなどのロングパスタ、うどん、そば、そうめん、冷麦などを挙げることができる。
本発明の冷却方法は、乾麺を使用した場合にその効果を発揮するもので乾燥処理を施していない生麺を茹で上げて冷凍麺を製造する場合にはその効果を発揮することができない。
本発明では短麺の発生を防ぐ目的で乾麺の茹で上げ方を調整する必要がないので最適な茹上げ状態を得ることができる。
【0008】
本発明の冷却方法は、1次冷却工程としてまず茹で上げた乾麺(以下「茹で麺」ともいう。)を20℃以上40℃以下の水で15秒間以上45秒間以下冷却する。
この冷却において、本発明の方法によれば短麺の発生を考慮することなく最適な茹で歩留まりで茹で麺を冷却できる。
冷却する水には、塩などの添加物を含んでいてもよい。
以下に説明する加温工程、2次冷却工程で使用する水も同様である。
1次冷却工程での冷却温度が20℃未満では食感がかたくなりすぎ、40℃を超えると食感が弱くとなるので不適である。
冷却時間は15秒間未満では麺が冷えず茹で伸びが起き、45秒間を超えると麺が冷えすぎ芯が多く残り食感がかたくなるため不適である。
つぎの加温工程では1次冷却工程で冷却した前記茹で麺を60℃以上80℃以下の水で90秒間以上150秒間加温する。
加温温度が60℃未満では短麺の発生減少効果が弱く80℃を超えると食感が弱くなり不適である。
加温時間は90秒間未満では短麺の発生減少効果が弱く150秒間を超えると食感が弱くなり不適である。
つぎの2次冷却工程では前記加温工程で加温した茹で麺を5℃以上15℃以下の水で15秒間以上45秒間以下冷却する。
2次冷却工程での冷却温度が5℃未満では短麺の発生減少効果が弱く15℃を超えると食感が弱くなり不適である。
冷却時間は15秒間未満では麺が凍結に適当な温度まで冷えず凍結しにくくなり、45秒間を超えると麺が水を吸い食感が弱くなるため不適である。
【0009】
2次冷却された前記茹で麺は水切りして成形容器に収容し急速冷却する。
収容方法や冷却方法は従来の冷凍麺の収容方法や急速冷却方法と同様でよく特に限定はない。
例えば、−35℃の冷凍庫に収容し冷凍処理を行う。
冷凍した麺の喫食方法は、従来の冷凍麺の喫食方法でよく特に限定はない。
例えば、冷凍した麺を沸騰水や電子レンジを使用して解凍し喫食できる。
【実施例】
【0010】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
乾燥スパゲティ(直径1.7mm)400gを5分間茹で、表1に示す条件で1次冷却、加温、2次冷却を行い、水切り後、プラスチック容器の長方形の容器に200g収容し、−40℃の冷凍庫で30分間冷凍し冷凍麺を得た。
この冷凍麺を1日保管後、沸騰水中で1分間解凍し10名のパネラーにより以下の評価基準で容器の収容状態と食感の評価を行った。
収容状態評価基準
5点 麺に柔軟性があり短麺が非常に少なく非常に良い
4点 麺に柔軟性があり短麺が少なく良い
3点 普通
2点 麺がやや硬く短麺が多く劣る
1点 麺が硬く短麺が非常に多く非常に劣る

食感評価基準
5点 食感(かたさ・弾力)のバランスが非常に良い
4点 食感(かたさ・弾力)のバランスが良い
3点 普通
2点 食感(かたさ・弾力)のバランスが悪い
1点 食感(かたさ・弾力)のバランスが悪い
結果を表1に示す。
【0011】
【表1】

【0012】
収容状態及び食感がともに、3.0点以上を製品として合格とした。
対照は、食感のバランスは優れていたが、短麺の発生が多いため、収容状態評価が低く、製品としての品質は劣っていた。
実施例2は、食感のバランス及び短麺の発生防止効果に優れた品質であった。
実施例1及び4は、実施例2よりもやや劣るが、食感のバランス及び短麺の発生防止効果に優れていた。
実施例3、5〜7は、食感のバランスに優れていたが短麺の発生防止効果は若干劣っていた。
比較例1〜12は、短麺の発生防止効果は対象より優れていた。
比較例2〜10、12は、食感のバランスが劣っていた。
比較例1、11は、食感のバランスは優れていたが短麺の発生防止効果が十分とはいえず製品として品質が劣っていた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍麺の製造方法であって、茹で上げた乾麺を20℃以上40℃以下の水で15秒間以上45秒間以下冷却し、その後60℃以上80℃以下の水で90秒間以上150秒間加温し、その後5℃以上15℃以下の水で15秒間以上45秒間以下冷却した後、水切りし、容器に収容し急速凍結する冷凍麺の製造方法。
【請求項2】
乾麺がスパゲティ、フェットチーネ、リングイネ、バーミセリーなどのロングパスタ、うどん、そば、そうめん、冷麦である請求項1に記載の冷凍麺の製造方法。