説明

冷却処理装置における液化ガス用液面検出装置

【課題】冷却処理装置における液化ガスの液面を簡単な構造で精度良く検出することができるとともに、使用前に実施するエアブロー等の作業を簡単に行うことができる液化ガス用液面検出装置を提供する。
【解決手段】液面センサ12の外周を有底筒体からなる内筒13及び外筒14で二重に覆う。内筒13の周壁の液面センサ12の液面検知部より下方位置に内筒液通孔13aを、上方位置に内筒ガス通孔13bをそれぞれ設ける。外筒14の周壁の内筒液通孔より下方位置に外筒液通孔14aを、内筒ガス通孔より上方位置に外筒ガス通孔14bをそれぞれ設ける。外筒14の上部を処理槽11の天井部に固着し、外筒14の上端開口部を内筒保持孔18aを有する封止栓18で密封するとともに封止栓18で内筒13の上部を保持し、封止栓18から処理槽外部に延出した内筒13にパージガス導入管20を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却処理装置における液化ガス用液面検出装置に関し、詳しくは、処理槽内に貯留した液化ガス中に冷菓や金属製品等の被処理物を投入して表面冷却硬化処理等を行う冷却処理装置における前記処理槽内の液化ガスの液面を検出するための液化ガス用液面検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貯槽内の液面を検出する液面センサは、各種方式のものが用いられているが、液化窒素等の低温液化ガスの液面を検出するための液面センサとして、光の屈折率の差を利用した光ファイバ液面センサが知られている。この光ファイバ液面センサは、液面検知部としてプリズムを使用し、該プリズムに送信用光ファイバ及び受信用光ファイバを接続したものであって、送信用光ファイバから送られた光が、プリズムがガス中にある場合には、プリズムを構成するガラスとガスとの屈折率の差が大きく異なることから、光は全反射して受信用光ファイバを通って受光素子に戻り、一方、プリズムが液化ガス中にある場合には、プリズムと液化ガスとの屈折率の差が比較的小さいことから、光は反射されずに液化ガス中を通過して受光素子に戻らないことを利用して液面を検出するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−214926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、被処理物を液化ガス中に投入して被処理物の冷却処理を行う冷却処理装置では、処理槽内の液化ガス中に被処理物を投入したときに液化ガスが激しく沸騰して液面が大きく揺動することから、上述のような光ファイバ液面センサをはじめとする各種液面センサでは、液面を精度良く検出することが困難であった。また、被処理物に同伴された水分や異物が氷結して液面検知部に付着すると液化ガスの液面を正確に検出することができなくなるという問題があった。このため、液面センサの使用前には、液面センサを処理槽から取り外してエアブロー等を行い、液面検知部に付着した水分等を除去しなければならず、液面センサの着脱が面倒であった。
【0004】
そこで本発明は、冷却処理装置における液化ガスの液面を簡単な構造で精度良く検出することができるとともに、使用前に実施するエアブロー等の作業を簡単に行うことができる液化ガス用液面検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の冷却処理装置における液化ガス用液面検出装置は、液化ガスを貯留した処理槽内に被処理物を投入して被処理物の冷却処理を行う冷却処理装置の前記処理槽内に液面センサを挿入して前記液化ガスの液面を検出する液化ガス用液面検出装置において、該液面センサの外周を有底筒体からなる内筒及び外筒で二重に覆い、前記内筒の周壁の前記液面センサの液面検知部より下方位置に内筒液通孔を、上方位置に内筒ガス通孔をそれぞれ設け、さらに、前記外筒の周壁の内筒液通孔より下方位置に外筒液通孔を、前記内筒ガス通孔より上方位置に外筒ガス通孔をそれぞれ設け、前記外筒の上部を前記処理槽の天井部に固着し、該外筒の上端開口部を内筒保持孔を有する封止栓で密封するとともに該封止栓で前記内筒の上部を保持し、前記封止栓から処理槽外部に延出した前記内筒にパージガス導入管を接続したことを特徴とし、前記液面センサは、液面検知部であるプリズム部と、前記内筒内を通って先端が前記プリズム部にそれぞれ接続した送信用光ファイバ及び受信用光ファイバと、該送信用光ファイバ及び受信用光ファイバの基端が接続された検知部とを備えているものでも良く、また、前記液面センサは、前記液面検知部が高液位と低液位との2箇所に設けられていると好適である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の液面検出装置は、液面センサの外周を有底筒体からなる内筒及び外筒で二重に覆っているので、処理槽内の液化ガスが大きく揺動しても液面センサを収納した内筒内の液面が大きく変動することがないので、処理槽内の液面を精度よく検出することができる。また、処理槽外部に延出した内筒にパージガス導入管を接続したので、液面センサを処理槽から取り外さないで窒素ガスや乾燥エアによるエアブローを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本発明の液化ガス用液面検出装置の一形態例を示す説明図、図2は液面検知部の説明図である。
【0008】
この液化ガス用液面検出装置10は、液化ガス、例えば液化窒素を貯留した処理槽11内に被処理物を投入して液化窒素と被処理物とを直接接触させることにより被処理物の冷却処理を行う冷却処理装置に用いられるものであって、処理槽11内に挿入された液面センサ12と、該液面センサ12の外周を覆うように設けられた二重管構造を有する内筒13及び外筒14とで形成されている。液面センサ12は、高低2箇所に配置された液面検知部であるプリズム部15と、前記内筒13内を通って先端が前記プリズム部15にそれぞれ接続した送信用光ファイバ16a及び受信用光ファイバ16bと、該送信用光ファイバ16a及び受信用光ファイバ16bの基端が接続された検出部17とで形成されている。
【0009】
外筒14は、熱伝導率の低い材質、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の合成樹脂で形成された有底円筒体で、処理槽11の天井部に設けられた挿入口から処理槽11内に挿入され、上端部が挿入口に固着される。外筒14の上端開口部は、前記内筒13を保持する内筒保持孔18aを有する封止栓18により密封されており、この封止栓18によって内筒13が所定位置に保持された状態となる。
【0010】
内筒13は、例えばステンレス鋼等の金属で形成された有底円筒体で、前記封止栓18の内筒保持孔18aから外筒14内の底壁近傍まで差し込まれ、外筒14から突出した上端部に検出部17が設けられるとともに、検出部17と封止栓18との間にバルブ19を有するパージガス導入管20が接続されている。
【0011】
また、前記内筒13の周壁には、低液位側のプリズム部15より下方位置に内筒液通孔13a,13aが、高液位側のプリズム部15より上方位置に内筒ガス通孔13bがそれぞれ設けられており、前記外筒14の周壁には、前記内筒液通孔13aより下方位置に外筒液通孔14aが、前記内筒ガス通孔13bより上方位置に外筒ガス通孔14bがそれぞれ設けられている。内筒ガス通孔13b及び内筒液通孔13aは、外部の液面変動の影響を少なくするために小径、例えば直径2mm程度に形成され、外筒ガス通孔14b及び外筒液通孔14aは、液面変動の影響を抑えながら気液が流通しやすい大きさの径、例えば直径8mm程度に形成されている。さらに、内筒13の内径及び内筒13の外周面と外筒14の内周面との間隔は、液化窒素が円滑に流れる範囲でかつ波立ちが小さくなるように10mm程度の寸法に設定されている。
【0012】
このように形成した液化ガス用液面検出装置10を設けた冷却処理装置は、高液位側のプリズム部15と低液位側のプリズム部15との間に液面が位置するように液化窒素が供給される。すなわち、液面センサ12の検出部17から送信用光ファイバ16aに送信された測定光は、プリズム部15が液面より上の窒素ガス中にある場合には、測定光の大半がプリズム部15で反射して受信用光ファイバ16bを戻り、検出部17で強い光信号が検出され、プリズム部15が液化窒素中にある場合は、ガスと液との屈折率との違いから測定光の大半が液化ガス中に放射され、受信用光ファイバ16bを戻って検出部17で検出される光信号が弱くなるため、検出部17で所定強度の光信号を検出したときには、プリズム部15がガス中にあり、所定強度の光信号が検出されないときにはプリズム部15が液中にあることを検出できる。
【0013】
したがって、冷却処理に伴って液面が低液位側のプリズム部15より下方に低下すると、低液位側のプリズム部15からの強い光信号を検出部17が検出したときに、図示しない液化窒素供給管から処理槽11内への液化窒素の供給が開始される。液化窒素の供給によって処理槽11内の液面が上昇し、高液位側のプリズム部15が液中に入って高液位側のプリズム部15からの強い光信号を検出部17が検出しなかったときに液化窒素の供給が停止される。これにより、処理槽11内の液面が低液位側のプリズム部15と高液位側のプリズム部15との間に保持される。
【0014】
そして、処理槽11内の液化窒素中に被処理物、例えば金属部品が投入されると、液化窒素が激しく気化して液面が大きく揺動するが、液面検知部であるプリズム部15が二重管構造を有する内筒13及び外筒14内に収納され、筒内外への液化窒素の流動は、主として外筒液通孔14a及び内筒液通孔13aで行われ、両孔の抵抗によって外筒14外の液面の大きな揺動が内筒13内にはほとんど伝達されないため、金属部品の投入によって処理槽11内の液面が大きく揺動しても、処理槽11内の液面を精度よく確実に検出することができる。したがって、液面の制御範囲を小さくすることができ、液化窒素の利用効率を大幅に向上させることができる。
【0015】
また、液化窒素の消耗による液面の低下や、液化窒素の供給による液面の上昇は、外筒液通孔14a及び内筒液通孔13aと内筒ガス通孔13b及び外筒ガス通孔14bを液化窒素や窒素ガスがゆっくりと流通することによって内筒13内に伝達されるので、処理槽11内への液化窒素の供給を確実に行うことができる。さらに、金属部品に付着した水分等が氷結して液面上に浮遊しても、これらが内筒13内に侵入することも防止できるので、液面センサの誤作動も防止できる。
【0016】
冷却処理を開始する際、プリズム部15に付着している水分をエアブローにより除く作業は、前記バルブ19を開いてパージガス導入管20から乾燥空気や窒素ガスを内筒13内に導入することによって容易に行うことができる。また、必要に応じて封止栓18と共に内筒13を外筒14から引き抜いてエアブロー等の作業や液面センサ12の点検を行うことができる。
【0017】
なお、内筒や外筒の材質及び寸法、ガス通孔や液通孔の径や設置数は任意に設定することができ、液面センサの構成も任意であり、液面の検出を連続又は多段階で行うものも採用することができる。また、本発明の液化ガス用液面検出装置は、各種物品の冷却処理、例えば棒付きアイスキャンディー等の冷菓の表面冷却硬化処理等を行う冷却処理装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の液化ガス用液面検出装置の一形態例を示す説明図である。
【図2】同じく液面検知部の説明図である。
【符号の説明】
【0019】
10…液化ガス用液面検出装置、11…処理槽、12…液面センサ、13…内筒、13a…内筒液通孔、13b…内筒ガス通孔、14…外筒、14a…外筒液通孔、14b…外筒ガス通孔、15…プリズム部、16a…送信用光ファイバ、16b…受信用光ファイバ、17…検出部、18…封止栓、18a…内筒保持孔、19…バルブ、20…パージガス導入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを貯留した処理槽内に被処理物を投入して被処理物の冷却処理を行う冷却処理装置の前記処理槽内に液面センサを挿入して前記液化ガスの液面を検出する液化ガス用液面検出装置において、該液面センサの外周を有底筒体からなる内筒及び外筒で二重に覆い、前記内筒の周壁の前記液面センサの液面検知部より下方位置に内筒液通孔を、上方位置に内筒ガス通孔をそれぞれ設け、さらに、前記外筒の周壁の内筒液通孔より下方位置に外筒液通孔を、前記内筒ガス通孔より上方位置に外筒ガス通孔をそれぞれ設け、前記外筒の上部を前記処理槽の天井部に固着し、該外筒の上端開口部を内筒保持孔を有する封止栓で密封するとともに該封止栓で前記内筒の上部を保持し、前記封止栓から処理槽外部に延出した前記内筒にパージガス導入管を接続したことを特徴とする冷却処理装置における液化ガス用液面検出装置。
【請求項2】
前記液面センサは、液面検知部であるプリズム部と、前記内筒内を通って先端が前記プリズム部にそれぞれ接続した送信用光ファイバ及び受信用光ファイバと、該送信用光ファイバ及び受信用光ファイバの基端が接続された検知部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の冷却処理装置における液化ガス用液面検出装置。
【請求項3】
前記液面センサは、前記液面検知部が高液位と低液位との2箇所に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の冷却処理装置における液化ガス用液面検出装置。

【図1】
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【図2】
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