説明

冷却庫

【課題】圧縮機の駆動、停止の頻度を減らして、圧縮機の寿命を延ばすことができるようにする。
【解決手段】本発明の冷却庫は、冷蔵室51および冷凍室52用の電磁弁151・152が閉状態にあるときは圧縮機12の駆動が停止する。一方、圧縮機12の作動状態で、冷蔵室51および冷凍室52の検知温度D1・D2の一方が、オフ温度Df1・Df2以下になった場合において、他方の冷蔵室51又は冷凍室52に対応する電磁弁151・152が兵状態であると、当該電磁弁151・152が閉操作され、且つ、他方の冷蔵室51又は冷凍室52に対応する電磁弁151・152が開操作されて、圧縮機12の作動が継続される。その後に他方の冷蔵室51又は冷凍室52の検知温度D1・D2がオフ温度Df1・Df2以下になると、他方の冷蔵室51又は冷凍室52に対応する電磁弁151・152が閉操作されるとともに、圧縮機12が停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1および第2の冷却室を備えて、これら冷却室を一台の圧縮機を用いて冷却する冷却庫に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の冷却庫としては、例えば特許文献1が公知である。そこでは、各冷却室に備えた冷却器が電磁弁を介して圧縮機に接続されており、少なくとも一方の冷却室の温度が、冷却室に対応して設定された所定温度以上になると圧縮機が駆動される。そして、一台の圧縮機から各冷却器に供給される冷媒により、冷却室内が冷却される。全ての冷却室の温度が所定温度よりも低くなると、圧縮機の駆動が停止される。
【0003】
【特許文献1】特開2007−93052号公報(図1−2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の冷却庫では、例えば、圧縮機が停止したときに、いずれか一方の冷却室の温度が所定温度近くまで上昇していると、圧縮機の停止動作直後に、当該圧縮機の駆動が再開されることとなる。このため、圧縮機の停止・再スタートといった動作が頻繁に行われることとなり、圧縮機の寿命が縮まることが避けられない。
【0005】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、2つの冷却室を一台の圧縮機で冷却する形態の冷却庫において、圧縮機の停止タイミングに工夫を凝らすことにより、圧縮機の停止・再スタートの頻度を減らして、圧縮機の寿命を延ばし、以て冷却庫の信頼性向上に寄与することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1および第2の冷却室51・52と、各冷却室51・52に配置された冷却器61・62とを有し、一台の圧縮機12から各冷却器61・62に供給される冷媒により、冷却室51・52内が冷却される冷却庫を対象とする。
各冷却器61・62は、電磁弁151・152を介して圧縮機12に接続されており、両電磁弁151・152が閉状態にあるときは圧縮機12の駆動を停止するようになっている。また、各冷却室51・52には、内部温度を検知する温度センサ181・182が配置されている。
そして、圧縮機12が停止している状態で、各温度センサ181・182により検知された各冷却室51・52の検知温度D1・D2の少なくとも一方が、冷却室51・52毎に設定された所定のオン温度Dn1・Dn2以上になると、圧縮機12を作動させるとともに、当該オン温度Dn1・Dn2以上になった冷却室51・52用の電磁弁151・152を開操作する。また、圧縮機12が作動している状態で、各温度センサ181・182により検知された各冷却室51・52の検知温度D1・D2の一方が、冷却室51・52毎に設定された所定のオフ温度Df1・Df2以下になった場合において、他方の冷却室51・52に対応する電磁弁151・152が閉状態であると、前記オフ温度Df1・Df2以下になった一方の冷却室51・52用の電磁弁151・152を閉操作するとともに、他方の冷却室51・52用の電磁弁151・152を開操作して圧縮機12の作動を継続し、その後に他方の冷却室51・52の検知温度D1・D2がオフ温度Df1・Df2以下になると、他方の冷却室51・52用の電磁弁151・152を閉操作するとともに、圧縮機12を停止させる。
【0007】
一方の冷却室51・52に対応する電磁弁151・152を閉操作したときに、他方の冷却室51・52の検知温度D1・D2がオフ温度Df1・Df2以下の場合には、他方の冷却室51・52に対応する電磁弁151・152の閉状態を維持するようにすることができる。
【0008】
圧縮機12の駆動開始時刻から所定の待機時間Ltが経過するまでは、各電磁弁151・152を開操作しないようにすることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
上述の背景技術の欄に記載したように、例えば一方の冷却室51がオフ温度Df1に至った際に、他方の冷却室52の検知温度D2がオン温度Dn2とオフ温度Df2との間にあって電磁弁152が閉状態になっている場合には、本来的には冷却室51・52に対する冷却動作は不要であり、圧縮機12は停止させるべきである。しかし、その場合には、圧縮機12の停止直後に、冷却室52の検知温度D2がオン温度Dn2を超えると、圧縮機12が再スタートすることとなり、圧縮機12の停止・再スタートが頻繁となることが避けられない。
【0010】
かかる不具合を解消するため、本発明に係る冷却庫では、圧縮機12が作動している状態で、第1および第2の冷却室51・52の検知温度D1・D2の一方がオフ温度Df1・Df2以下になった場合において、他方の冷却室51・52に対応する電磁弁151・152が閉状態であると、他方の電磁弁151・152を開操作するとともに、圧縮機12の作動を継続させるようにした。そして、その後に他方の冷却室51・52の検知温度D1・D2がオフ温度Df1・Df2以下になると、他方の冷却室51・52用の電磁弁151・152を開操作するとともに、圧縮機12を停止させるようにした。
つまり、例えば冷却室51がオフ温度値Df1に至ったときには、他方の冷却室52がオン温度値Dn2以下、オフ温度値Df2以上にある場合でも(電磁弁152が閉状態にある場合でも)、電磁弁152を強制的に開操作して、検知温度D2がオフ温度値Df2以下となるまで、冷却するようにした。そして、両検知温度D1・D2がオフ温度Df1・Df2以下であると、電磁弁151・152を閉操作するとともに、圧縮機12を停止させるようにした。
【0011】
以上のように、本願発明によれば、例えば冷却室51がオフ温度Df1以下となった場合であって、他方の冷却室52がオン温度Dn2以下、オフ温度Df2以上である場合でも、直ちに圧縮機12を停止することなく、冷却室52用の電磁弁152を開操作して、冷却室52内を冷却するようにした。これにて、従来の圧縮機12および圧縮弁151・152の制御形態のように、圧縮機12の停止直後に圧縮機12が再スタートされることを効果的に防ぐことができるので、圧縮機12が頻繁に停止・再スタートされることを確実に防ぐことができ、したがって圧縮機12の寿命を延ばして、冷却庫の信頼性向上に貢献できる。
【0012】
一方の冷却室51・52用の電磁弁151・152が閉操作したときに、他方の冷却室51・52の検知温度D1・D2がオフ温度Df1・Df2以下の場合には、他方の冷却室51・52用の電磁弁151・152の閉状態を維持するようにすることができる。つまり、例えば冷却室51の検知温度D1がオフ温度Df1以下であり、電磁弁151を閉操作するときに、他方の冷却室52の検知温度D2がオフ温度Df2以下である場合には、電磁弁152の閉状態を維持して、圧縮機12の駆動を停止するようにすることができる。
これによれば、無用な圧縮機12の駆動を抑えることができるので、圧縮機12の駆動時間の短縮化を図って、冷却庫の省エネルギー化に貢献できる。電磁弁151・152が開状態になる回数が抑えられ、冷却室51・52内の貯蔵物が過度に冷却されることを抑えることもできる。
【0013】
圧縮機12の駆動開始時刻から待機時間Ltが経過するまで各電磁弁151・152が開操作されないようにすると、圧縮機12の駆動開始直後に生じる高温高圧の冷媒ガスが冷却室51・52の冷却器61・62に流れ込むことを阻止でき、冷媒ガスによって冷却室51・52が温められて、冷却室51・52内の温度が上昇することを防止できる。加えて、本願発明によれば、圧縮機12の停止・再スタートの頻度を減らすことができるので、待機時間Ltの発生回数を抑えて、冷却室51・52内の温度が過剰に上昇することをより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る冷却庫の実施形態を図1ないし図4に基づいて説明する。図2において冷却庫には、前面が開口する断熱構造のケース本体1と、該ケース本体1の内部空間を上下に仕切る断熱構造の仕切り壁2と、ケース本体1の下側に配置した機械室3とを備えている。そして、ケース本体1内における仕切り壁2の上部に冷蔵室(冷却室)51が構成され、仕切り壁2の下部に冷凍室(冷却室)52が構成される。
【0015】
冷蔵室51および冷凍室52内には、冷却器61・62がそれぞれ配置される。冷蔵室51の冷却器61は、冷蔵室51の後部に配置されたダクト4内の上端部に配置される。そして、ダクト4の上部開口に配置したファン8によってダクト4内に吸い込まれた冷蔵室51内の冷気が、冷却器61で冷却されたのち、ダクト4の下部開口から冷蔵室51内に吹き出される。冷凍室52の冷却器62は、パネル状に形成されて冷凍室52の内壁に配置される。冷蔵室51内は、例えば3℃に冷却され、冷凍室52内は、例えば−30℃に冷却される。冷蔵室51および冷凍室52の各前面開口は、断熱構造の扉10・11によってそれぞれ開閉操作される。
【0016】
機械室3内には、図1および図2に示す冷凍機構7が配置されており、該冷凍機構7は、一台の圧縮機12と一台の凝縮器13とによって構成される。そして、各冷却器61・62の冷媒入口61a・62aが、膨張弁141・142および電磁弁151・152を介して凝縮器13の冷媒出口13bにそれぞれ接続され、凝縮器13の冷媒入口13aが圧縮機12の冷媒出口12bに接続される。つまり、各冷却器61・62の冷媒入口61a・62a側が、同一の凝縮器13を介して同一の圧縮機12の冷媒出口12b側にそれぞれ接続される。また、冷蔵室51の冷却器61の冷媒出口61bが、キャピラリチューブ20を介して圧縮機12の冷媒入口12aに接続され、冷凍室52の冷却器62の冷媒出口62bが、逆止弁21を介して圧縮機12の冷媒入口12aに接続される。つまり、各冷却器61・62の冷媒出口61b・62bが、前記圧縮機12の冷媒入口12a側にそれぞれ接続される。
【0017】
圧縮機12の冷媒入口12aと冷媒出口12bとは、バイパス路31で接続されており、バイパス路31には、電磁弁32およびキャピラリチューブ33が配置されている。このキャピラリチューブ33によって冷媒の流量が制限される。
【0018】
冷蔵室51には、冷却器7に臨ませてヒータ16が配置されており、該ヒータ16は、冷蔵室51の冷却器61の除霜等に使用される。冷蔵室51および冷凍室52には、各室51・52の内部温度を検知する温度センサ181・182がそれぞれ配置される。なお、凝縮器13は、ファン17の送風によって冷却される。
【0019】
冷却庫には、各温度センサ181・182の検知温度に基づいて、各室51・52内が所定の温度範囲内になるように各電磁弁151・152を開閉操作するとともに、圧縮機12の駆動、停止を制御する制御部23が設けられる。制御部23は、両電磁弁151・152の少なくとも一方がオン(開弁)しているときには圧縮機12を駆動し、両電磁弁151・152がオフ(閉弁)のときには圧縮機12の駆動を停止する。冷蔵室用の電磁弁151が開弁状態に操作(開操作)されたときには、圧縮機12で圧縮されて凝縮器13で液化した冷媒が冷蔵室用の冷却器61に供給され、該冷媒の気化熱で冷蔵室51内が冷却される。また、冷凍室用の電磁弁152が開弁状態に操作(開操作)されたときには、圧縮機12で圧縮されて凝縮器13で液化した冷媒が冷凍室用の冷却器62に供給され、該冷媒の気化熱で冷凍室52内が冷却される。
【0020】
次に、本発明の冷却庫の動作を、図3ないし図5のフローチャート(以下、本フローチャートと記す。)および図6のタイミングチャートを用いて説明する。制御部23には、計時用のタイマー24(図1)が内蔵されており、該タイマー24は、本フローチャートの実行開始の際にリセットされる。なお、本フローチャートの実行開始の際には、電磁弁151・152がオフ(閉状態)になっていて圧縮機12が停止しており、これに伴って冷蔵室51および冷凍室52の温度が上昇している状態であるものとする。
【0021】
まず制御部23は、温度センサ181による冷蔵室51の検知温度D1が、予め設定された所定の冷蔵用オン温度値Dn1(例えば7℃)以上、又は温度センサ182による冷凍室52の検知温度D2が、予め設定された所定の冷凍用オン温度値Dn2(例えば−28℃)以上になったか否かを判断する(S1、S2)。例えば、冷凍室52の検知温度D2が冷凍用オン温度値Dn2よりも低い状態で、冷蔵室51の検知温度D1が冷蔵用オン温度値Dn1以上になった場合には(時刻t1:S1でYES)、制御部23は、圧縮機12の駆動を開始させるとともに(S3)、タイマー24による計時を開始する(S4)。
【0022】
そして、タイマー24での計時時間Tが、予め設定された所定の待機時間Lt(例えば60秒)を経過すると(時刻t2:S5でYES)、制御部23は、前述のように冷蔵室51の検知温度D1が冷蔵用オン温度値Dn1以上であるので(S6でYES)、冷蔵室用の電磁弁151をオン(開操作)する(S7)。これにて圧縮機12で圧縮されて凝縮器13で液化した冷媒が冷蔵室用の冷却器61に供給され、該冷媒の気化熱で冷蔵室51内が冷却される。なお、ここでは、冷凍室用の電磁弁152はオフになっている。
【0023】
この後、冷蔵室51の検知温度D1が、予め設定された所定の冷蔵用オフ温度値Df1(例えば3℃)以下になると(S10でYES)、制御部23は、冷蔵室用の電磁弁151をオフ(閉操作)したのち(時刻t3:S12)、冷凍室用の電磁弁152がオフか否かを判断する(S13)。前述のように冷凍室用の電磁弁152がオフであるので(S13でYES)、制御部23は、冷凍室52の検知温度D2が、予め設定された所定の冷凍用オフ温度値Df2(例えば−31℃)よりも高く、且つ、冷凍用オン温度値Dn2よりも低くなっているか否かを判断する(S14)。
【0024】
冷凍室52の検知温度D2が、冷凍用オフ温度値Df2よりも高く、且つ、冷凍用オン温度値Dn2よりも低いときには(S14でYES)、制御部23は、冷凍室用の電磁弁152をオン(開操作)する(S15)。これにて圧縮機12で圧縮されて凝縮器13で液化した冷媒が冷凍室用の冷却器62に供給され、該冷媒の気化熱で冷凍室52内が冷却される。そして、冷凍室52の検知温度D2が冷凍用オフ温度値Df2以下になると(時刻t4:S16でYES)、制御部23は、冷凍室用の電磁弁152をオフ(閉操作)する(S17)。
【0025】
このとき、冷蔵室用の電磁弁151もオフになっているので、制御部23は、圧縮機12を停止させ(S18)、タイマー24をリセットしたのち(S19)、バイパス路31の電磁弁32をオン(開操作)する(S20)。次いで、制御部23は、予め設定された所定時間(例えば90秒)が経過すると(S21でYES)、バイパス路31の電磁弁32をオフ(閉操作)したのち(S22)、S1に戻ってS1以降の処理を行う。
【0026】
一方、S12で冷蔵室用の電磁弁151がオフになったときに、既に冷凍室用の電磁弁152がオンしている開状態の場合には(S13でNO)、S6に戻ってS6以降の処理を行う。またS14で冷凍室52の検知温度D2が、冷凍用オフ温度値Df2以下、又は冷凍用オン温度値Dn2以上の場合にも(S14でNO)、S6に戻ってS6以降の処理を行う。
【0027】
そして、制御部23は、S13で冷凍室用の電磁弁152がオンしている場合には、冷凍室52の検知温度D2が冷凍用オフ温度値Df2以下になると(S11でYES)、冷凍室用の電磁弁152をオフにする(S23)。また制御部23は、S14で冷凍室52の検知温度D2が冷凍用オン温度値Dn2以上の場合には(S8でYES)、冷凍室用の電磁弁152をオンし(S9)、冷凍室52の検知温度D2が冷凍用オフ温度値Df2以下になると、冷凍室用の電磁弁152をオフにする(S11でYES、S23)。S14で冷凍室52の検知温度D2が前記冷凍用オフ温度値Df2以下の場合には、冷凍室用の電磁弁152のオフ状態(閉状態)を維持したまま(S11でYES、S23)、S24以降の処理を行う。なお、S6ないしS11の処理が繰り返されているときには、圧縮機12は作動している。
【0028】
一方、S1の処理を行う際に両電磁弁151・152がオフになっていて、圧縮機12が停止している場合に、例えば、冷蔵室51の検知温度D1が冷蔵用オン温度値Dn1よりも低い状態で(S1でNO)、冷凍室52の検知温度D2が冷凍用オン温度値Dn2以上になったときにも(時刻t5:S2でYES)、制御部23は、圧縮機12を駆動させるとともに、タイマー24による計時を開始させる(S3、S4)。
【0029】
そして、待機時間Ltが経過したときに(時刻t6:S5でYES)、制御部23は、前述のように冷凍室52の検知温度D2が冷凍用オン温度値Dn2以上であるので(S8でYES)、冷凍室用の電磁弁152をオンする(S9)。これにて冷凍室52内が冷却される。なお、ここでは、冷蔵室用の電磁弁151はオフになっている。
【0030】
この後、冷凍室52の検知温度D2が、冷凍用オフ温度値Df2以下になると(S11でYES)、制御部23は、冷凍室用の電磁弁152をオフにし(時刻t7:S23)、次いで、前述のように冷蔵室用の電磁弁151がオフであるので(S24でYES)、冷蔵室51の検知温度D1が、冷蔵用オフ温度値Df1よりも高く、且つ、冷蔵用オン温度値Dn1よりも低くなっているか否かを判断する(S25)。
【0031】
そして、冷蔵室51の検知温度D1が、冷蔵用オフ温度値Df1よりも高く、且つ、冷蔵用オン温度値Dn1よりも低いときには(S25でYES)、制御部23は、冷蔵室用の電磁弁151をオンする(S26)。これによって冷蔵室51内が冷却される。冷蔵室51の検知温度D1が冷蔵用オフ温度値Df1以下になると(時刻t8:S27でYES)、制御部23は、冷蔵室用の電磁弁151をオフにし(S28)、圧縮機12を停止させ(S29)、タイマー24をリセットする(S30)。次いで、制御部23は、バイパス路31の電磁弁32をオンし(S31)、所定時間が経過すると(S32でYES)、バイパス路31の電磁弁32をオフにしたのち(S33)、S1に戻ってS1以降の処理を行う。
【0032】
一方、S23で冷凍室用の電磁弁152がオフになったときに、既に冷蔵室用の電磁弁151がオンしている開状態の場合には(S24でNO)、S6に戻ってS6以降の処理を行う。またS25で冷蔵室51の検知温度D1が、冷蔵用オフ温度値Df1以下、又は冷蔵用オン温度値Dn1以上の場合にも(S25でNO)、S6に戻ってS6以降の処理を行う。
【0033】
そして、制御部23は、S24で冷蔵室用の電磁弁151がオンしている場合には、冷蔵室51の検知温度D1が冷蔵用オフ温度値Df1以下になると(S10でYES)、冷蔵室用の電磁弁151をオフにする(S12)。また制御部23は、S25で冷蔵室51の検知温度D1が冷蔵用オン温度値Dn1以上の場合には(S6でYES)、冷蔵室用の電磁弁151をオンし(S7)、冷蔵室51の検知温度D1が冷蔵用オフ温度値Df1以下になると、冷蔵室用の電磁弁151をオフにする(S10でYES、S12)。S25で冷蔵室51の検知温度D1が冷蔵用オフ温度値Df1以下の場合には、冷蔵室用の電磁弁151のオフ状態(閉状態)を維持したまま(S10でYES、S12)、S13以降の処理を行う。なお、ここでも圧縮機12は作動している。
【0034】
このように、本発明では、圧縮機12が作動している状態で、一方の電磁弁151・152が閉操作されてオフになった場合において(S12、S23)、他方の電磁弁151・152がオフ状態であると(S13でYES、S24でYES)、他方の電磁弁151・152に対応する冷蔵室51又は冷凍室52の検知温度D1・D2がオン温度値Dn1・Dn2よりも低くても、当該他方の電磁弁151・152をオンして(S15、S26)、圧縮機12の作動を継続する。そして、他方の電磁弁151・152に対応する冷蔵室51又は冷凍室52の検知温度D1・D2がオフ温度値Df1・Df2以下になると(S16でYES、S27でYES)、当該他方の電磁弁151・152をオフして(S17、S28)、圧縮機12を停止させる(S18、S29)。
【0035】
つまり、冷蔵室51又は冷凍室52の一方がオフ温度値Df1・Df2以下に冷却されたときには、他方の冷蔵室51又は冷凍室52もオフ温度値Df1・Df2以下に冷却される。したがって、両電磁弁151・152がオフになって圧縮機12が停止した後に、冷蔵室51又は冷凍室52の検知温度D1・D2のいずれかがオン温度値Dn1・Dn2以上になって圧縮機12の駆動が再開されるまでの時間を長くすることができる。これに伴って圧縮機12の駆動、停止の頻度を減らすことができ、これにて圧縮機12の寿命を延ばすことができる。
【0036】
一方の電磁弁151・152がオフになったときに、他方の電磁弁151・152に対応する冷蔵室51又は冷凍室52の検知温度D1・D2がオフ温度Df1・Df2以下の場合には、他方の電磁弁151・152のオフ状態を維持しているために、電磁弁151・152がオンする回数が抑えられて、冷蔵室51又は冷凍室52内の貯蔵物が過度に冷却されることを抑えることができる。
【0037】
圧縮機12の駆動開始時刻から待機時間Ltが経過するまでは各電磁弁151・152がオンしないので、圧縮機12の駆動開始直後に生じる高温高圧の冷媒ガスが冷蔵室51又は冷凍室52の冷却器61・62に流れ込むことを阻止できる。これにて、前記冷媒ガスによって冷蔵室51又は冷凍室52が温められて温度が過剰に上昇することを防止できる。このうえで、前述のように圧縮機12の駆動、停止の頻度を減らすことができるので、前記待機時間Ltの発生回数が減少し、これにても冷蔵室51又は冷凍室52内の温度が過剰に上昇することをより確実に防止することができる。
【0038】
バイパス路31、電磁弁32およびキャピラリチューブ33は、省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る冷却庫を示すブロック構成図である。
【図2】本発明に係る冷却庫の概略構成を示す概略縦断面図である。
【図3】本発明に係る制御部の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る制御部の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る制御部の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る制御部の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0040】
12 圧縮機
51 冷蔵室
52 冷凍室
61・62 冷却器
151・152 電磁弁
181・182 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の冷却室(51・52)と、各冷却室(51・52)に配置された冷却器(61・62)とを有し、一台の圧縮機(12)から各冷却器(61・62)に供給される冷媒により、冷却室(51・52)内が冷却される冷却庫であって、
各冷却器(61・62)は、電磁弁(151・152)を介して圧縮機(12)に接続されており、両電磁弁(151・152)が閉状態にあるときは圧縮機(12)の駆動を停止するようになっており、
各冷却室(51・52)には、内部温度を検知する温度センサ(181・182)が配置されており、
圧縮機(12)が停止している状態で、各温度センサ(181・182)により検知された各冷却室(51・52)の検知温度(D1・D2)の少なくとも一方が、冷却室(51・52)毎に設定された所定のオン温度(Dn1・Dn2)以上になると、圧縮機(12)を作動させるとともに、当該オン温度(Dn1・Dn2)以上になった冷却室(51・52)用の電磁弁(151・152)を開操作し、
圧縮機(12)が作動している状態で、各温度センサ(181・182)により検知された各冷却室(51・52)の検知温度(D1・D2)の一方が、冷却室(51・52)毎に設定された所定のオフ温度(Df1・Df2)以下になった場合において、他方の冷却室(51・52)に対応する電磁弁(151・152)が閉状態であると、前記オフ温度(Df1・Df2)以下になった一方の冷却室(51・52)用の電磁弁(151・152)を閉操作するとともに、他方の冷却室(51・52)用の電磁弁(151・152)を開操作して圧縮機(12)の作動を継続し、その後に他方の冷却室(51・52)の検知温度(D1・D2)がオフ温度(Df1・Df2)以下になると、他方の冷却室(51・52)用の電磁弁(151・152)を閉操作するとともに、圧縮機(12)を停止させることを特徴とする冷却庫。
【請求項2】
一方の冷却室(51・52)に対応する電磁弁(151・152)を閉操作したときに、他方の冷却室(51・52)の検知温度(D1・D2)がオフ温度(Df1・Df2)以下の場合には、他方の冷却室(51・52)に対応する電磁弁(151・152)の閉状態を維持する請求項1記載の冷却庫。
【請求項3】
圧縮機(12)の駆動開始時刻から所定の待機時間(Lt)が経過するまでは、各電磁弁(151・152)を開操作しないようにしている請求項1又は2記載の冷却庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−71605(P2010−71605A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242330(P2008−242330)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000239585)福島工業株式会社 (62)
【Fターム(参考)】