説明

冷却機構を備えた装置、および冷却機構

【課題】ファンが故障等して動作停止した場合であっても装置内部を冷却可能であるとともに、当該ファンの交換等が行われる場合であっても装置の運用を継続することができる冷却機構を備えた装置を提供する。
【解決手段】複数のファンは、装置に脱着可能に設置された複数のファンユニットのいずれかに搭載されている。ファンによって吸引された内部の空気が通過する開口部が複数のファンに対応してそれぞれ設けられている。気流制御手段は、開口部を空気が通過しない閉状態から空気が通過する開状態に遷移可能である。ファン制御手段は、複数のファンの回転速度をそれぞれ制御する。そして、気流制御手段は、複数のファンに対応してそれぞれ設置され、対応するファンの動作中には閉状態から開状態に遷移して開口部の空気の通過を妨げず、対応するファンが動作中でない場合には開状態から閉状態に遷移して開口部の空気の通過を妨げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内部の部品を冷却可能な冷却機構を備えた装置、および冷却機構に関する。
【背景技術】
【0002】
発熱する部品が設置された複数の基板を内蔵する装置がある。図7は、そのような装置11の一例を示す斜視図である。
【0003】
図7に示すように、装置11の内部には部品設置面の向きが水平になるように複数の基板をそれぞれ搭載するための空間として基板搭載部11bが設けられている。図7に示す例では、装置11の内部には5箇所に基板搭載部11bが設けられている。
【0004】
基板搭載部11bの側面は、基板の左右の端部に向かい合い、コネクタを介して基板が接続されるバックプレーン13b(図7において図示せず)、基板が設置される(基板を基板搭載部11bの内部に保持する)正面板13a(図7において図示せず)、および基板の両面にそれぞれ向かい合う側面板によって覆われ、外部からの空気の流入を防ぐ。
【0005】
また、装置11の底面には、外部から空気を流入させるための穴である吸気口11aが設けられている。吸気口11aには、ほこり等が装置11の内部に侵入することを防ぐための集じんフィルタ12(図7において図示せず)が設置されている。そして、基板搭載部11bの上部には装置11の内部の空気を外部に排出する冷却用ファンを収納する空間であるファン収納部14aが設けられている。
【0006】
そして、冷却ファン収納部14aには、複数のファン16a〜16fによって構成されるファンユニットが収納されている(図7において、ファン16a〜16dを図示し、ファン16e,16fを図示せず)。なお、ファンユニットには、ファン搭載部11cを介して電力が供給される。
【0007】
図7に示す例では、ファンユニットは、6個のファン16a〜16fを含む一体型のユニットである。そして、6個のファン16a〜16fが基板搭載部11bの上部を覆い、装置11の内部の空気(具体的には、吸気口11aから装置11の内部(より具体的には、基板搭載部11bの内部)に流入した空気)を外部に排出する。つまり、6個のファン16a〜16fは、基板搭載部11bの内部を空気の吸引側とし、装置11の外部を空気の排出側として、基板搭載部11bの上部を覆うように並べて設置される。
【0008】
図8は、図7に示す装置11の内部の空気の流れを示す説明図である。図7に示すように、ファンユニットを構成する6個のファン16a〜16fは、吸気口11aから集じんフィルタ12を通って流入し、基板搭載部11bを通過した空気を外部に排出する。ファン16a〜16fは、基板搭載部11bを空気を通過させることにより、基板に設置された部品を冷却する。
【0009】
なお、基板搭載部11bの上面とファンユニットの下面との間には、ファンユニットを構成する各ファン16a〜16fによって吸引される空気が流れる空間である通風ダクト14bが設けられている。
【0010】
通風ダクト14bが設けられていることにより、ファンユニットを構成する各ファン16a〜16fのいずれかが故障等により動作を停止しても、動作停止したファンの直下の基板搭載部11bの内部の空気を当該ファンに隣接して設置されているファンが排出する。
【0011】
引用文献1および引用文献2には、ファンが動作中には当該ファンが排出する空気の流れによって通風口を開状態とし、ファンが動作停止中には通風口を閉状態とする装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−176281(段落0016〜0027、図1)
【特許文献2】特開平11−22698(段落0023〜0035、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図7に示す装置11は、ファンユニットを構成する各ファン16a〜16fのいずれかが故障等により動作を停止した場合に、動作中の他のファンが、動作停止したファンの開口部分を通って装置11の外部の空気を吸引することになる。そうすると、基板搭載部11bを通る空気の量が減少するので、基板に設置された部品を充分に冷却することができなくなるという問題がある。
【0014】
そして、各ファン16a〜16fの回転速度が一定である場合には、各ファン16a〜16fのいずれかのファンの動作停止により基板搭載部11bを通る空気の量が減少するので、基板を充分に冷却することができなくなるという問題がある。
【0015】
また、ファンユニットを構成する各ファン16a〜16fのいずれかが故障等により動作を停止した場合に、ファンユニットを含む冷却ファン収容部14aを交換のため抜去しなければならない。ファンユニットを含む冷却ファン収容部14aを抜去すると、吸気口11aから空気が流入しなくなり、基板に設置された部品の温度が急激に上昇し、当該部品が故障する可能性がある。
【0016】
また、特許文献1または特許文献2に記載されている装置は、複数のファンのうち一のファンの交換時や点検時に他のファンの動作を停止させたり、装置の運用を停止させたりしなければならないという問題がある。
【0017】
そこで、本発明は、ファンが故障等して動作停止した場合であっても装置内部を冷却可能であるとともに、当該ファンの交換等が行われる場合であっても装置の運用を継続することができる冷却機構を備えた装置、および冷却機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明による冷却機構を備えた装置は、部品が設置された基板を内蔵可能であって、内部の空気を吸引して排出する複数のファンを含む冷却機構を備えた装置であって、脱着可能に設置され、1個以上のファンによって構成される複数のファンユニットを備え、複数のファンは複数のファンユニットのいずれかに搭載され、ファンによって吸引された内部の空気が通過する開口部が複数のファンに対応してそれぞれ設けられ、開口部を空気が通過しない閉状態から空気が通過する開状態に遷移可能な気流制御手段と、複数のファンの回転速度をそれぞれ制御するファン制御手段とを備え、気流制御手段は、複数のファンに対応してそれぞれ設置され、対応するファンの動作中には閉状態から開状態に遷移して開口部の空気の通過を妨げず、対応するファンが動作中でない場合には開状態から閉状態に遷移して開口部の空気の通過を妨げることを特徴とする。
【0019】
本発明による冷却機構は、部品が設置された基板を内蔵する装置を複数のファンで冷却する冷却機構であって、装置に脱着可能に設置され、1個以上のファンによって構成される複数のファンユニットを備え、複数のファンは複数のファンユニットのいずれかに搭載され、ファンによって吸引された内部の空気が通過する開口部が複数のファンに対応してそれぞれ設けられ、開口部を空気が通過しない閉状態から空気が通過する開状態に遷移可能な気流制御手段と、複数のファンの回転速度をそれぞれ制御するファン制御手段とを備え、気流制御手段は、複数のファンに対応してそれぞれ設置され、対応するファンの動作中には閉状態から開状態に遷移して開口部の空気の通過を妨げず、対応するファンが動作中でない場合には開状態から閉状態に遷移して開口部の空気の通過を妨げることを特徴とする
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、気流制御手段が、いずれかのファンが動作中でない場合にはそのファンに対応する開口部を閉状態とするので、一旦排出された空気が他のファンによって再度装置内部に流入することを防ぎ、装置内部を冷却することができる。また、ファン制御手段が、複数のファンの回転速度をそれぞれ制御し、ファンは複数のファンユニットのいずれかにそれぞれ搭載されているので、一部のファンの交換等が行われる場合であっても、当該ファンを含むファンユニットのみを取り外して、他のファンを動作させて装置内部を冷却し、装置の運用を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による冷却機構を備えた装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す装置の内部の空気の流れを示す説明図である。
【図3】フラッパの斜視図である。
【図4】ウィングの斜視図である。
【図5】冷却機構を備えた装置におけるファンの回転制御を行う部分の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の概要を示すブロック図である。
【図7】本発明に関連する装置の一例を示す斜視図である。
【図8】図7に示す装置の内部の空気の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明による冷却機構を備えた装置の一例を示す斜視図である。図1に示すように冷却機構を備えた装置(以下、装置という。)1には、装置1の内部に部品設置面の向きが水平になるように基板を搭載するための空間として基板搭載部1bが設けられている。図1に示す例では、装置1の内部に5箇所に基板搭載部1bが設けられている。なお、図1に示す例では、装置1は、基板搭載部1bのそれぞれに複数の基板を内蔵可能である。
【0023】
なお、装置1は、ファンを搭載し、基板搭載部1bに内蔵する基板に設置された部品に従って動作する装置である。具体的には、例えば、交換機等の通信装置である。また、冷却機構を除く部分が装置1の本体部分である。
【0024】
装置1の底面には、外部から空気を流入させるための穴である吸気口1aが設けられている。吸気口1aには、ほこり等が装置1の内部に侵入することを防ぐための集じんフィルタ2が設置される。そして、基板搭載部1bの上部には装置1の内部の空気を外部に排出する冷却用ファンを設置するためのファン収納部4aが設けられている。
【0025】
ファン収納部4aには、複数のファンによって構成されるファンユニット5a,5b,5c,5dが収納される(図1において、ファンユニット5a〜5cを図示し、ファンユニット5dを図示せず)。
【0026】
ファンユニット5a,5b,5c,5dには、それぞれ3個のファンが設置される。具体的には、ファンユニット5aにはファン6a,6b,6cが設置され、ファンユニット5bにはファン6d,6e,6fが設置され、ファンユニット5cにはファン6g,6h,6iが設置され、ファンユニット5dにはファン6j,6k,6lが設置される。
【0027】
図1に示す例では、ファンユニット5a,5b,5c,5dには、それぞれ3個のファンが設置された一体型のユニットである。そして、4個のファンユニット5a,5b,5c,5d(つまり、12個のファン6a,6b,6c,6d,6e,6f,6g,6h,6i,6j,6k,6l)が基板搭載部1bの上部を覆い、装置1の内部の空気(具体的には、吸気口1aから装置1の内部(より具体的には、基板搭載部1bの内部)に流入した空気)を外部に排出する。つまり、4個のファンユニット5a,5b,5c,5dを構成する12個のファン6a〜6lは、基板搭載部1bの内部を空気の吸引側とし、装置1の外部を空気の排出側として、基板搭載部1bの上部を覆うように並列に並べて設置されている。
【0028】
なお、ファンユニット5a,5b,5c,5dは、それぞれ、冷却ファン搭載部(ファン制御手段)1cに接続されている。そして、冷却ファン搭載部(例えば、CPU(Central Processing Unit)によって実現される)1cは、ファンユニット5a,5b,5c,5dを構成する12個のファン6a〜6lの回転速度をそれぞれ制御する。なお、ファン6a〜6lの回転速度は、基板搭載部1bに搭載される基板に設置された部品(例えば、CPU)によって制御されてもよいし、ファンユニット5a,5b,5c,5dに搭載された部品(例えば、CPU)によって制御されてもよい。
【0029】
具体的には、冷却ファン搭載部1cは、基板搭載部1bの内部に設置された温度センサ(温度測定手段)が検出した温度に応じて(例えば、所定の温度以上であった場合に)、各ファンの回転速度を速くしたりする。また、各ファンは、通常動作時には所定の時間間隔で所定の信号を冷却ファン搭載部1cに送信する。そして、冷却ファン搭載部1cには、各ファンが送信した所定の信号を受信する信号検出部(動作停止検出手段)が設けられ、信号検出部が一のファンから所定の信号を受信しない場合に、当該一のファンが故障したと判断して、当該一のファンに隣接するファンの回転速度を速くしたりする。なお、ファンの通常動作(回転動作)とは、ファンを構成する羽根が回転して、一方の空気を吸引して他方に排出することである。
【0030】
また、冷却ファン搭載部1cは、信号検出部が一のファンユニットを構成するファンから所定の信号を受信しない場合に、当該一のファンユニットに隣接するファンユニットを構成するファンの回転速度を速くしたりする。なお、ファンユニットが設置されているか否かを検出する設置検出部(設置検出手段)が設けられ、当該設置検出部がファンユニットが設置されていないことを検出した場合に、冷却ファン搭載部1cが、他のファンユニットを構成するファンの回転速度を速くするように構成されていてもよい。
【0031】
図2は、図1に示す装置1の内部の空気の流れを示す説明図である。図2に示すように、4個のファンユニット5a,5b,5c,5dを構成する12個のファン6a〜6lは、吸気口1aから流入し、基板搭載部1bを通過した空気を外部に排出する。つまり、基板搭載部1bの内部において、下部から上部への空気の流れを発生させる。そして、空気が基板搭載部1bを通過することにより、基板に設置された部品が冷却される。なお、本例では、部品設置面の向きが水平になるように基板が搭載されるので、基板が空気の流れを妨げることはない。
【0032】
なお、基板搭載部1bの側面は、基板の左右の端部に向かい合い、コネクタを介して基板が接続されるバックプレーン3b、基板が設置される(基板を基板搭載部1bの内部に保持する)正面板3a、および基板の両面にそれぞれ向かい合う側面板(図示せず)によって覆われ、外部からの空気の流入を防ぐ。
【0033】
なお、基板搭載部1bの上面とファンユニット5a,5b,5c,5dの下面との間において、ファンユニット5a,5b,5c,5dを構成する各ファン6a〜6lに対応する位置(具体的には、各ファンユニット5a,5b,5c,5dの直下)に、フラッパ4bがそれぞれ設置されている。つまり、フラッパ4bは、4個のファンユニット5a,5b,5c,5dに対応して4個設置されている。なお、図2に示すように、フラッパ4bは、真上に設置される各ファンユニット5a,5b,5c,5dにおいて、ファンが設置される範囲に応じた形状である。
【0034】
図3は、フラッパ4bの斜視図である。図3に示すようにフラッパ4bは、軽量薄板に成型された複数のウィング(気流制御手段)7aと、ウィング7aを回転可能に保持するフラッパ枠7bとを含み、フラッパ枠7bにおいてウィング7aが設置される箇所に対応する位置には、丸穴8bがそれぞれ設けられている。
【0035】
フラッパ枠7bは、真上に設置されるファンの位置に対応する位置に長方形状の開口部が設けられた横長の直方体形状である。各開口部は、各ファンが吸入する空気を通過させるために設けられている。本例では、各ファンユニット5a,5b,5c,5dにはそれぞれ3個のファンが設置されるので、フラッパ枠7bにはそれぞれ3個の開口部が設けられている。そして、フラッパ枠7bにおける長手方向における各開口部に対応する位置に、複数の丸穴8bがそれぞれ設けられ、各開口部に複数のウィング7aがそれぞれ設置される。なお、丸穴8bは、横長形状のウィング7aの両端を軸にそれぞれ回転可能に保持するために、設置されるウィング7aの数に応じた数だけ設けられる。
【0036】
図4は、ウィング7aの斜視図である。ウィング7aは、凸形状の突起部8aが左右の端部に設けられた横長の直方体形状の板である。
【0037】
突起部8aは、丸穴8bに嵌合されてウィング7aがフラッパ枠7bに回転可能に保持されるために設けられた凸部である。よって、突起部8aの幅は、丸穴8bの内径よりも狭い。また、突起部8aは、ウィング7aの短手方向における一端に近い位置に設けられる。
【0038】
また、ウィング7aの突起部8aを除く長手方向の長さは、フラッパ枠7bの開口部におけるフラッパ4bの短手方向の長さよりも短い。なお、ウィング7aの突起部8aを除く長手方向の長さは、フラッパ枠7bの開口部におけるフラッパ4bの短手方向の長さに近いことが好ましい。
【0039】
また、ウィング7aの短手方向の長さは、フラッパ枠7bの開口部に設置された場合に、隣接する他のウィング7aに接しうる長さであって、フラッパ枠7bの厚さよりも短い長さである。そして、図3に示すように、ウィング7aは、フラッパ枠7bの開口部に設置されると、対応する位置に設置されているファンが動作していない場合に、重力により一方の面が上方を向いた状態に倒れ、隣接する他のウィング7aに接して開口部を覆う(閉状態)。
【0040】
そして、ウィング7aは、対応する位置に設置されているファンが動作して空気を吸引すると、当該ファンに吸引される空気の流れによって長手方向の両端の突起部8aを軸に90°回転する。具体的には、ウィング7aにおける突起部8aに遠い方の長辺が上になる方向に回転する。そして、ファンに吸引される空気の流れを妨げることを防ぐ(開状態)。
【0041】
つまり、ウィング7aは、対応する位置に設置されているファンが動作中にはフラッパ枠7bの開口部を通過する空気の流れを妨げない。そして、対応する位置に設置されているファンが動作停止中にはフラッパ枠7bの開口部を覆い、動作中の他のファンに吸引されて装置1の外部の空気(具体的には、例えば、他のファンによって基板搭載部1bから一旦排出された空気)が当該開口部を通過し、基板搭載部1bに流入することを防ぐ。
【0042】
なお、各ファンは、対応する開口部を通過した空気のみを吸入し、他の開口部を通過した空気を吸入しないように構成されている。具体的には、例えば、フラッパ4bの上面に、各ファンおよび対応する各開口部毎に空気の流れをそれぞれ区切る区切り板(図示せず)が設けられている。
【0043】
基板搭載部1bの上面とフラッパ4bの下面との間には、各ファンユニットを構成する各ファン6a〜6lによって吸引される空気が流れる空間である通風ダクト4cが設けられている。
【0044】
通風ダクト4cが設けられていることにより、各ファンユニットを構成する各ファン6a〜6lのいずれかが故障等により動作を停止しても、動作停止したファンの直下の基板搭載部1bの内部の空気を当該ファンに隣接して設置されているファンが排出することができる。
【0045】
図5は、本発明による冷却機構を備えた装置1におけるファン6a〜6lの回転制御を行う部分の構成を示すブロック図である。図5に示すように、装置1は、ファンの回転制御を行う部分として、検出部30とファン制御部(ファン制御手段)20とを含み、ファン制御部20は、ファン6a〜6lに接続されている。
【0046】
検出部30は、例えば、前述した温度センサや、信号検出部、設置検出部である。ファン制御部20は、冷却ファン搭載部1cであり、検出部30の検出結果に応じて、ファン6a〜6lの回転速度をそれぞれ制御する。
【0047】
ファン制御部20は、装置1に電力が供給されると、各ファン6a〜6lに回転動作を開始させる。すると、各ファンの回転動作によって基板搭載部1bの内部の空気が装置1の外部に排出されるとともに、吸気口1aから集じんフィルタ2を通過した空気が装置1の内部に流入する。つまり、基板搭載部1bの内部において、下部から上部への空気の流れが発生する。この空気の流れによって、基板搭載部1bに搭載された基板に設置された部品が冷却される。
【0048】
フラッパ4bの各ウィング7aは、各ファン6a〜6lが回転動作をしていない場合に、重力により一方の面が上方を向いた状態に倒れ、隣接する他のウィング7aに接してフラッパ枠7bの開口部を覆っている。そして、フラッパ4bの各ウィング7aは、各ファン6a〜6lが回転動作を開始すると、各ファン6a〜6lによって吸引される空気の流れによって突起部8aを軸に一方の長辺が上になる方向に回転し、ファンに吸引される空気の流れを妨げることを防ぐ。
【0049】
よって、装置1に電力が供給されると、各ファン6a〜6lが回転動作を開始し、装置1の外部の空気は、吸気口1aから集じんフィルタ2を通過して基板搭載部1bの内部に流入して基板に設置された部品を冷却し、フラッパ4bのフラッパ枠7bの開口部を通過して、各ファン6a〜6lによって装置1の外部に排出される。
【0050】
また、ファン6a〜6lのいずれかが故障等により動作停止すると、動作停止したファンによる空気の流れが停止し、当該ファンに対応する位置に設置されたウィング7aは、重力により一方の面が上方を向いた状態に倒れ、隣接する他のウィング7aに接して当該ファンに対応する開口部を覆う。当該ファンに対応する開口部を覆うことにより、動作中の他のファンによって基板搭載部1bから一旦排出された空気が当該開口部を通過し、基板搭載部1bに流入することを防ぐ。
【0051】
また、検出部30が、ファン6a〜6lのいずれかが故障等により動作停止したことを検出すると、ファン制御部20は、他のファンの回転速度を速くする。具体的には、例えば、故障したファンと同じファンユニットのファンの回転速度を速くする。
【0052】
また、検出部30が、ファンユニット5a〜5dのいずれかが設置されていないことを検出した場合(具体的には、例えば、修理や点検、交換等のために、ファンユニット5a〜5dのいずれかが装置1から抜去されている場合)、ファン制御部20は、他のファンユニットを構成するファンの回転速度を速くする。他のファンユニットを構成するファンの回転速度を速くすることにより、抜去されているファンユニットに対応する位置の直下の基板搭載部1bの内部の空気は、通風ダクト4cを通過して他のファンユニットを構成するファンによって装置1の外部に排出され、当該基板搭載部1bに搭載された基板に設置された部品が冷却される。
【0053】
なお、ファン制御部20は、ファンの回転速度を速くする場合に、段階的に速くするように構成されていてもよい。
【0054】
なお、ファンユニット5a〜5dのいずれかが設置されていない場合には、当該ファンユニットを構成するファンに対応する位置に設置されたウィング7aは、重力により一方の面が上方を向いた状態に倒れ、隣接する他のウィング7aに接して開口部を覆う。開口部を覆うことにより、動作中の他のファンによって基板搭載部1bから一旦排出された空気が当該開口部を通過し、基板搭載部1bに流入することを防ぐ。
【0055】
以上に述べたように、本実施形態によれば、フラッパ4bが、いずれかのファンが動作中でない場合にはそのファンに対応する開口部を閉状態とするので、一旦排出された空気が他のファンによって再度装置1の内部に流入することを防ぎ、装置1の内部を冷却することができる。また、ファン制御部20が、複数のファンの回転速度をそれぞれ制御し、ファンは複数のファンユニットのいずれかにそれぞれ搭載されているので、一部のファンの交換等が行われる場合であっても、他のファンを動作させて装置1の内部を冷却し、装置1の運用を継続したり、ファンを交換するための作業時間を長くしたりすることができる。
【0056】
なお、以上に述べた実施形態では、フラッパ4bは、各ファンの真下に設置されるように構成されているが、各ファンの真上に設置されてもよい。また、ファンの数、およびファンによって構成されるファンユニットの数は多いこと(または、ファンユニットが細分化されていること)が好ましい。
【0057】
次に、本発明の概要について説明する。図6は、本発明の概要を示すブロック図である。本発明による冷却機構を備えた装置(以下、装置という。)100は、ファン制御部200と気流制御部300と複数のファン6a〜6lとファンユニット5a〜5dとを備える。
【0058】
ファン6a〜6lは、ファンユニット5a〜5dのいずれかに搭載される。ファン制御部200は、複数のファンの回転速度をそれぞれ制御する。ファン6a〜6lによって吸引された内部の空気は、開口部400を通過する。
【0059】
気流制御部300は、開口部を空気が通過しない閉状態から空気が通過する開状態に遷移可能であり、ファン6a〜6lに対応してそれぞれ設置され、対応するファンの動作中には閉状態から開状態に遷移して開口部400の空気の通過を妨げず、対応するファンが動作中でない場合には開状態から閉状態に遷移して開口部400の空気の通過を妨げる。
【0060】
そのような構成によれば、気流制御部300が、いずれかのファンが動作中でない場合にはそのファンに対応する開口部400を閉状態とするので、一旦排出された空気が他のファンによって再度装置100の内部に流入することを防ぎ、装置100の内部を冷却することができる。また、ファン制御部200が、複数のファンの回転速度をそれぞれ制御し、ファンは複数のファンユニットのいずれかにそれぞれ搭載されているので、一部のファンやファンユニットの交換等が行われる場合であっても、他のファンを動作させて装置100の内部を冷却し、装置100の運用を継続したり、ファンを交換するための作業時間を長くしたりすることができる。
【0061】
また、上記の実施形態には、気流制御部300が、回転可能に保持され、対応するファンの動作中にはファンによって吸引された空気の流れによって回転して閉状態から開状態に遷移して開口部400の空気の通過を妨げず、対応するファンが動作中でない場合には自重によって回転して開状態から閉状態に遷移して開口部400の空気の通過を妨げることが開示されている。そのような構成によれば、気流制御部300の駆動源を用いることなく、開口部400を開状態から閉状態に遷移させることができる。
【0062】
また、上記の実施形態には、気流制御部300が、閉状態で、装置100の外部の空気が内部に流入することを妨げることが開示されている。そのような構成によれば、一のファンが動作停止中である場合に、当該ファンに対応する開口部400から空気が流入することを防ぐことができる。
【0063】
また、上記の実施形態には、複数のファンのうちいずれかのファンが動作停止したことを検出する動作停止検出手段を備え、ファン制御部200が、動作停止検出手段がいずれかのファンが動作停止したことを検出した場合に、他のファンの回転速度を速めることが開示されている。そのような構成によれば、一のファンが動作停止した場合であっても、他のファンの回転速度を速め、装置100の内部を冷却することができる。
【0064】
また、上記の実施形態には、複数のファンのうちいずれかのファンが設置されていないことを検出する設置検出手段を備え、ファン制御200が、設置検出手段がいずれかのファンが設置されていないことを検出した場合に、他のファンの回転速度を速めることが開示されている。そのような構成によれば、一のファンが修理や交換等により設置されていない場合であっても、他のファンの回転速度を速め、装置100の内部を冷却することができる。
【0065】
また、上記の実施形態には、装置100の内部温度を測定する温度測定手段を備え、ファン制御部200が、温度測定手段が検出した内部温度が所定の温度以上である場合に、他のファンの回転速度を速めることが開示されている。そのような構成によれば、装置100の内部温度が所定の温度以上である場合に、他のファンの回転速度を速め、装置100の内部を冷却することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、通信装置等に適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1,100 冷却機構を備えた装置
1a 吸気口
1b 基板搭載部
1c 冷却ファン搭載部
2 集じんフィルタ
3a 正面版
3b バックプレーン
4a ファン収納部
4b フラッパ
4c 通風ダクト
5a,5b,5c,5d ファンユニット
6a,6b,6c,6d,6e,6f,6g,6h,6i,6j,6k,6l ファン
7a ウィング
7b フラッパ枠
8a 突起部
8b 丸穴
20,200 ファン制御部
30 検出部
300 気流制御部
400 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が設置された基板を内蔵可能であって、内部の空気を吸引して排出する複数のファンを含む冷却機構を備えた装置であって、
脱着可能に設置され、1個以上の前記ファンによって構成される複数のファンユニットを備え、
前記複数のファンは前記複数のファンユニットのいずれかに搭載され、
前記ファンによって吸引された内部の空気が通過する開口部が前記複数のファンに対応してそれぞれ設けられ、
前記開口部を空気が通過しない閉状態から空気が通過する開状態に遷移可能な気流制御手段と、
前記複数のファンの回転速度をそれぞれ制御するファン制御手段とを備え、
前記気流制御手段は、前記複数のファンに対応してそれぞれ設置され、対応するファンの動作中には前記閉状態から前記開状態に遷移して前記開口部の空気の通過を妨げず、対応するファンが動作中でない場合には前記開状態から前記閉状態に遷移して前記開口部の空気の通過を妨げる
ことを特徴とする冷却機構を備えた装置。
【請求項2】
気流制御手段は、回転可能に保持され、対応するファンの動作中には前記ファンによって吸引された空気の流れによって回転して閉状態から開状態に遷移して前記開口部の空気の通過を妨げず、対応するファンが動作中でない場合には自重によって回転して前記開状態から前記閉状態に遷移して前記開口部の空気の通過を妨げる
請求項1記載の冷却機構を備えた装置。
【請求項3】
気流制御手段は、閉状態で、装置の外部の空気が内部に流入することを妨げる
請求項1または請求項2記載の冷却機構を備えた装置。
【請求項4】
複数のファンのうちいずれかのファンが動作停止したことを検出する動作停止検出手段を備え、
ファン制御手段は、前記動作停止検出手段が前記いずれかのファンが動作停止したことを検出した場合に、他のファンの回転速度を速める
請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載の冷却機構を備えた装置。
【請求項5】
複数のファンのうちいずれかのファンが設置されていないことを検出する設置検出手段を備え、
ファン制御手段は、前記設置検出手段が前記いずれかのファンが設置されていないことを検出した場合に、他のファンの回転速度を速める
請求項1から請求項4のうちいずれか1項記載の冷却機構を備えた装置。
【請求項6】
装置の内部温度を測定する温度測定手段を備え、
ファン制御手段は、前記温度測定手段が検出した前記内部温度が所定の温度以上である場合に、他のファンの回転速度を速める
請求項1から請求項5のうちいずれか1項記載の冷却機構を備えた装置。
【請求項7】
部品が設置された基板を内蔵する装置を複数のファンで冷却する冷却機構であって、
前記装置に脱着可能に設置され、1個以上の前記ファンによって構成される複数のファンユニットを備え、
前記複数のファンは前記複数のファンユニットのいずれかに搭載され、
前記ファンによって吸引された内部の空気が通過する開口部が前記複数のファンに対応してそれぞれ設けられ、
前記開口部を空気が通過しない閉状態から空気が通過する開状態に遷移可能な気流制御手段と、
前記複数のファンの回転速度をそれぞれ制御するファン制御手段とを備え、
前記気流制御手段は、前記複数のファンに対応してそれぞれ設置され、対応するファンの動作中には前記閉状態から前記開状態に遷移して前記開口部の空気の通過を妨げず、対応するファンが動作中でない場合には前記開状態から前記閉状態に遷移して前記開口部の空気の通過を妨げる
ことを特徴とする冷却機構。
【請求項8】
気流制御手段は、回転可能に保持され、対応するファンの動作中には前記ファンによって吸引された空気の流れによって回転して閉状態から開状態に遷移して前記開口部の空気の通過を妨げず、対応するファンが動作中でない場合には自重によって回転して前記開状態から前記閉状態に遷移して前記開口部の空気の通過を妨げる
請求項7記載の冷却機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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