説明

冷却機構及び該冷却機構を搭載した画像形成装置

【課題】動作モードに応じて冷却風の供給量を変化させることにより、最適な冷却を行うことのできる冷却機構を提供する。
【解決手段】第1の冷却対象物18を冷却する冷却ファン16と、第1の冷却対象物18と冷却ファン16間に設けられ、シャッタを有すると共に冷却ファン16からの冷却風を第1の冷却対象物18へ導く冷却風ダクト17と、羽根23が取り付けられたブラシレスモータ21と、羽根23付近から冷却風ダクト17付近まで配設された駆動風ダクト24とを備え、ブラシレスモータ21の停止時は、冷却ファン16からの冷却風は第1の冷却対象物18を冷却し、ブラシレスモータ21の回転時は、羽根23の回転による駆動風が駆動風ダクト24を介して冷却風ダクト17付近へ供給されてシャッタが作動し、冷却風の一部が第2の冷却対象物19へも供給されて、第1の冷却対象物18と共に第2の冷却対象物19が冷却される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ファンを用いて冷却対象物を冷却する冷却機構、及び該冷却機構を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置において、基板に冷却ファンを取り付け、この冷却ファンの回転によって生じる冷却風で冷却対象物を冷却する冷却機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の画像形成装置として、図16に示すような冷却機構が搭載されたものが知られている。図16において、(a)は画像形成装置の要部を示した側面図、(b)は(a)のSA−SA線に沿った断面図である。画像形成装置1には、その右側及び左側に外側板2,2が設けられ、これら外側板2,2の間に本体内側板3,3が配設されている。
【0004】
本体内側板3,3のうち左側の本体内側板3には、冷却ファン4,5が取り付けられている。冷却ファン4,5は、その内部にファン本体4A,5Aを有し、これらファン本体4A,5Aは図示しないモータによって回転駆動される。また、左側の本体内側板3には、ブラシレスモータ6,7,8が取り付けられている。
【0005】
本体内側板3,3の間には冷却対象物9が配置され、左側の本体内側板3には冷却対象物9に対向する位置に貫通孔3Aが形成されている。冷却ファン5は貫通孔3Aに合致する位置に配置されている。冷却ファン5の左側端面(図16(b)において左側端面)は開口しており、この開口部分に合わせて、左側の外側板2には外気取り入れ口(実際にはスリット状の取り入れ口)2Aが形成されている。
【0006】
冷却ファン5のファン本体5Aが矢印A1のように回転すると、外気が外気取り入れ口2Aを介して矢印B1のように吸い込まれる。その吸い込まれた外気は、本体内側板3の貫通孔3Aを介して冷却対象物9の周囲に矢印C1のように流れて、冷却対象物9を冷却する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の技術では、冷却ファンからの冷却風は、冷却対象物の周囲に単に送られているだけで、冷却が必要な冷却対象物に十分な冷却風を供給することができない。
【0008】
例えば、画像形成装置においては、複数の冷却対象物があり、これらの冷却対象物が必要とする冷却風の供給量は、動作モード(プリント動作時と待機時)に応じて異なっているのが一般的である。これに対して従来の技術では、各冷却対象物に対する冷却風の供給量はいつも同じで、最適な冷却が行われていないという問題がある。
【0009】
本発明の課題は、動作モードに応じて冷却風の供給量を変化させることにより、最適な冷却を行うことのできる冷却機構、及び該冷却機構を搭載した画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1の冷却対象物を冷却する冷却ファンと、前記第1の冷却対象物と前記冷却ファンとの間に設けられ、シャッタを有するとともに、前記冷却ファンからの冷却風を前記第1の冷却対象物へ導く冷却風ダクトと、ファン機能を有する羽根が取り付けられたモータと、前記羽根付近から前記冷却風ダクト付近まで配設された駆動風ダクトとを備え、前記モータの停止時は、前記冷却ファンからの冷却風は前記冷却風ダクトを介して前記第1の冷却対象物へ送られて当該第1の冷却対象物を冷却し、前記モータの回転時は、前記羽根の回転による駆動風が前記駆動風ダクトを介して前記冷却風ダクト付近へ供給されて前記シャッタが作動し、前記冷却風ダクトを流れる冷却風の一部が第2の冷却対象物へも送られて、前記第1の冷却対象物と共に当該第2の冷却対象物も冷却することを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、モータの停止時には、冷却ファンからの冷却風は第1の冷却対象物に送られ、当該第1の冷却対象物が冷却される。モータの回転時には、モータに取り付けられた羽根の回転により駆動風が生じ、この駆動風は駆動風ダクトを介して冷却風ダクト付近に送られて冷却風ダクトのシャッタが作動する。これにより、冷却ファンからの冷却風の一部は第2の冷却対象物へも供給されて、第1の冷却対象物と共に第2の冷却対象物も冷却される。このように、上記構成においては、モータの停止時及びモータの回転時という動作モードに応じて、第1の冷却対象物及び第2の冷却対象物への冷却風の供給量を変化させることで、最適な冷却を行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、搬送装置によって送られてきた用紙に感光体上の画像を転写するとともに、転写後の画像を定着装置によって定着させる画像形成装置であって、第1の冷却対象物を冷却する冷却ファンと、前記第1の冷却対象物と前記冷却ファンとの間に設けられ、シャッタを有するとともに、前記冷却ファンからの冷却風を前記第1の冷却対象物へ導く冷却風ダクトと、ファン機能を有する羽根が取り付けられたブラシレスモータと、前記羽根付近から前記冷却風ダクト付近まで配設された駆動風ダクトとを備え、前記ブラシレスモータが停止している待機時は、前記冷却ファンからの冷却風は前記冷却風ダクトを介して前記第1の冷却対象物へ送られて当該第1の冷却対象物を冷却し、前記ブラシレスモータが回転しているプリント動作時は、前記羽根の回転による駆動風が前記駆動風ダクトを介して前記冷却風ダクト付近へ供給されて前記シャッタが作動し、前記冷却風ダクトを流れる冷却風の一部が第2の冷却対象物へも供給されて、前記第1の冷却対象物と共に当該第2の冷却対象物も冷却する冷却機構を有することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、冷却機構は、待機時(ブラシレスモータ非回転時)には、冷却ファンからの冷却風は待機時に冷却が必要である第1の冷却対象物に送られ、当該第1の冷却対象物が冷却される。プリント動作時(ブラシレスモータ回転時)には、ブラシレスモータに取り付けられた羽根の回転により駆動風が生じ、この駆動風は駆動風ダクトを介して冷却風ダクト付近に供給されて冷却風ダクトのシャッタが作動する。これにより、冷却ファンからの冷却風の一部は第2の冷却対象物へも供給されて、第1の冷却対象物と共に第2の冷却対象物も冷却される。このように、上記構成の画像形成装置においては、待機時及びプリント動作時という動作モードに応じて、第1の冷却対象物及び第2の冷却対象物への冷却風の供給量を変化させることで、最適な冷却を行うことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記ブラシレスモータは、前記感光体を駆動するモータであることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2において、前記ブラシレスモータは、前記定着装置を駆動するモータであることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項2において、前記ブラシレスモータは、前記搬送装置を駆動するモータであることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項において、前記冷却ファンは、冷却風が画像形成装置本体の側板に対して垂直に又は平行に吹き出すように配置されていることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項2〜6のいずれか一項において、前記第2の冷却対象物は、定着ユニットであることを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項2において、前記冷却風ダクトは、貫通孔を有する円筒状の内ダクトと、貫通孔を有するとともに前記内ダクトの外周面に密接して設けられた円筒状の外ダクトとからなり、前記内ダクトの貫通孔と前記外ダクトの貫通孔とが合致したとき、前記冷却風の一部が第2の冷却対象物へ供給されることを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項2において、前記内ダクトの内周面にはその貫通孔付近にフィンが取り付けられ、かつ前記外ダクトの外周面にはその貫通孔付近にフィンが取り付けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項2,8又は9において、前記内ダクトの外周面と前記外ダクトの内周面との間には、前記内ダクトと前記外ダクトとを周方向に沿って互いに逆方向へ付勢するバネが介在されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、動作モードに応じて冷却風の供給量を変化させることにより、最適な冷却を行うことのできる冷却機構、及び該冷却機構を搭載した画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1による冷却機構が搭載された画像形成装置であって待機時の様子を示しており、(a)はその要部を示した側面図、(b)は(a)のSB−SB線に沿った断面図である。
【図2】実施例1による冷却機構が搭載された画像形成装置であってプリント動作時の様子を示しており、(a)はその要部を示した側面図、(b)は(a)のSC−SC線に沿った断面図である。
【図3】実施例1において、冷却ファンからの冷却風が、冷却風ダクトによって第1の冷却対象物及び第2の冷却対象物へ送られる様子を模式的に示した図である。
【図4】シャッタ機構を有する冷却風ダクトの内ダクトを示しており、(a)はその断面図、(b)は側面図である。
【図5】シャッタ機構を有する冷却風ダクトの外ダクトを示しており、(a)はその断面図、(b)は側面図である。
【図6】冷却風ダクトのシャッタが閉じた状態を示しており、(a)はその断面図、(b)は側面図である。
【図7】冷却風ダクトのシャッタが開いた状態を示しており、(a)はその断面図、(b)は側面図である。
【図8】内ダクトの内周面及び外ダクトの外周面にフィンが取り付けられた冷却風ダクトを示しており、(a)はその断面図、(b)は側面図である。
【図9】実施例2による冷却機構が搭載された画像形成装置であって待機時の様子を示しており、(a)はその要部を示した側面図、(b)は(a)のSD−SD線に沿った断面図である。
【図10】実施例2による冷却機構が搭載された画像形成装置であってプリント動作時の様子を示しており、(a)はその要部を示した側面図、(b)は(a)のSE−SE線に沿った断面図である。
【図11】実施例2において、冷却ファンからの冷却風が、冷却風ダクトによって第1の冷却対象物及び第2の冷却対象物へ送られる様子を模式的に示した図である。
【図12】実施例3による内ダクトを示しており、(a)はその断面図、(b)は側面図である。
【図13】実施例3による外ダクトを示しており、(a)はその断面図、(b)は側面図である。
【図14】実施例3による待機時の冷却機構を示しており、(a)はその断面図、(b)は側面図である。
【図15】実施例3によるプリント動作時の冷却機構を示しており、(a)はその断面図、(b)は側面図である。
【図16】従来技術による冷却機構が搭載された画像形成装置を示しており、(a)はその要部を示した側面図、(b)は(a)のSA−SA線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【実施例】
【0025】
《実施例1》
図1は冷却機構が搭載された画像形成装置であって待機時の様子を示しており、(a)はその要部を示した側面図、(b)は(a)のSB−SB線に沿った断面図である。また、図2は冷却機構が搭載された画像形成装置であってプリント動作時の様子を示しており、(a)はその要部を示した側面図、(b)は(a)のSC−SC線に沿った断面図である。なお、図1及び図2において、感光体、感光体上の画像を用紙に転写する転写装置、転写後の画像を定着する定着装置、及び用紙を搬送する搬送装置等は省略されている。
【0026】
画像形成装置10には、その左側に外側板11が、右側に外側板12がそれぞれ設けられ、これら外側板11,12の間に本体内側板13,14がそれぞれ配設されている。
【0027】
本体内側板13,14のうち左側の本体内側板13には、冷却ファン15,16が横方向に並んでそれぞれ配置されている。このうち、冷却ファン15は本体内側板13に直接取り付けられているが、冷却ファン16は冷却風ダクト17を介して本体内側板13に取り付けられている。
【0028】
すなわち、冷却ファン15は、正方形を成した筒型形状のファンケーシング15Aと、ファンケーシング15Aの内部に回転自在に配置されたファン本体15Bとを有し、ファン本体15Bは図示しないモータによって回転駆動される。そして、ファンケーシング15Aは本体内側板13に直接取り付けられている。
【0029】
一方、冷却ファン16は、正方形の筒型形状のファンケーシング16Aと、ファンケーシング16Aの内部に回転自在に配置されたファン本体16Bとを有し、ファン本体16Bは図示しないモータによって回転駆動される。そして、ファンケーシング16Aには冷却風ダクト17の一側端部(図1(b)において左側端部)が固定され、この冷却風ダクト17の他側端部(図1(b)において右側端部)が本体内側板13に取り付けられている。
【0030】
本体内側板13,14の間には第1の冷却対象物18が配置され、本体内側板13には第1の冷却対象物18に対向する位置に貫通孔13Aが形成されている。冷却風ダクト17は、その他側端部が貫通孔13Aに合致する位置に配置されている。冷却ファン16のファンケーシング16Aには一側(図1(b)において左側)に開口部16Cが形成されており、この開口部16Cに合わせて、外側板11には外気取り入れ口(実際にはスリット状の取り入れ口)11Aが形成されている。
【0031】
また、本体内側板13には、冷却ファン16の横方に第2の冷却対象物19が設けられ、さらに、冷却ファン15の下方にブラシレスモータ20が、冷却ファン16の下方にブラシレスモータ21が、第2の冷却対象物19の下方にブラシレスモータ22がそれぞれ横方向に並べて取り付けられている。なお、第2の冷却対象物19は定着ユニットである。
【0032】
また、本実施例では、ブラシレスモータ21にはファン機能を有する羽根23が取り付けられている。そして、羽根23付近から冷却風ダクト17付近まで駆動風ダクト24が配設されている。駆動風ダクト24は断面がコの字型に形成されており、その両側端部が本体内側板13に密着している。なお、ブラシレスモータ21は、感光体を駆動するモータ、定着装置を駆動するモータ、または搬送装置を駆動するモータである。
【0033】
ここで、冷却風ダクト17の構成について、図4及び図5を用いて詳細に説明する。図4は冷却風ダクト17を構成する内ダクト171を示しており、(a)はその断面図、(b)は側面図である。また、図5は冷却風ダクト17を構成する外ダクト172を示しており、(a)はその断面図、(b)は側面図である。
【0034】
内ダクト171は円筒状を成しており、その一部には3つの貫通孔171A,171B,171Cが設けられている。貫通孔171A,171B,171Cはそれぞれ矩形に形成され、全て同一方向に向けられている。つまり、貫通孔171A,171B,171Cの各々の中心軸は、図4(a)においては横方向に向けられている。なお、内ダクト171は、その一側端面(図4(b)において左側端面)が冷却ファン16のファンケーシング16Aに、他側端面(図4(b)において右側端面)が本体内側板13にそれぞれ固定される。
【0035】
外ダクト172も円筒状を成しており、その一部には3つの貫通孔172A,172B,172Cが設けられている。外ダクト172の内径は内ダクト171の外径よりも僅かに大きく形成され、内ダクト171を外ダクト172に嵌合させた状態では、外ダクト172は内ダクト171周りに回動自在となる(図7参照)。また、貫通孔172A,172B,172Cはそれぞれ矩形に形成され、全て同一方向に向けられている。つまり、貫通孔171A,171B,171Cの各々の中心軸は、図5(a)においては右下方に向けられている。
【0036】
また、外ダクト172には、貫通孔172Cの下方に、断面が略三角形を成した駆動風受け部172Dが設けられている。この駆動風受け部172Dは外ダクト172の一側端面側に偏って配置され、駆動風受け部172Dと本体内側板13との間に隙間S(図6及び図7参照)が形成されるようになっている。
【0037】
次に、本実施例における冷却機構が搭載された画像形成装置の動作について説明する。
【0038】
画像形成装置においては、プリント動作を行っていない待機時、ブラシレスモータ21等は回転を停止しているが、第1の冷却対象物18は待機時でも冷却が必要であるので、図1(b)に示すように、冷却ファン16は矢印A2方向に回転しており、これによって、外気が外気取り入れ口11Aを介して矢印B2のように、つまり外側板11及び本体内側板13に対して垂直方向に吸い込まれる。その吸い込まれた外気は、冷却風ダクト17及び本体内側板13の貫通孔13Aを介して第1の冷却対象物18に送られ、第1の冷却対象物18の周囲を矢印C2のように流れることにより、第1の冷却対象物18は冷却される。
【0039】
この場合、冷却風ダクト17は、図6に示すように、駆動風受け部172Dがその自重によって最下位に位置しており、これにより、内ダクト171の各貫通孔171A,171B,171Cと、外ダクト172の各貫通孔172A,172B,172Cとは一致せず、冷却風ダクト17の内部を流れる冷却風は、矢印D1のように貫通孔171A,171B,171Cまでは達するが、冷却風ダクト17から外部へ流出することはない。このために、冷却ファン16からの冷却風をほとんど第1の冷却対象物18へ送ることができる。
【0040】
プリント動作時には、ブラシレスモータ21等は回転するので、ブラシレスモータ21に取り付けられた羽根23が矢印A4方向に回転することにより駆動風が生じ、この駆動風は、図2(b)に示すように、駆動風ダクト24の内部を矢印Eのように流れて冷却風ダクト17付近に達し、冷却風ダクト17のシャッタを作動させる。すなわち、図7に示すように、駆動風ダクト24を介して矢印Eのように供給されてきた駆動風は、冷却風ダクト17における外ダクト172の駆動風受け部172Dに当たり、この駆動風の風圧によって外ダクト172を矢印F方向に回動させる。内ダクト171は固定されており、回動はしない。
【0041】
外ダクト172が矢印F方向に回動すると、内ダクト171の貫通孔171A,171B,171Cの各々と、外ダクト172の貫通孔172A,172B,172Cの各々とがそれぞれ一致し、冷却風ダクト17内の冷却風の一部は、矢印D2のように貫通孔171A,171B,171C及び貫通孔172A,172B,172Cを介して冷却風ダクト17から外部へ流出する。その結果、冷却風ダクト17内の冷却風は、図2(a)において矢印D3のように流れ、第2の冷却対象物19も冷却される。このとき、冷却風ダクト17内を流れる残りの冷却風は、本体内側板13の貫通孔13Aを介して第1の冷却対象物18へと送られ、第1の冷却対象物18が冷却されるのは勿論である。
【0042】
図3は、冷却ファン16からの冷却風が、冷却風ダクト17によって第1の冷却対象物18及び第2の冷却対象物19へ送られる様子を模式的に示した図である。すなわち、冷却ファン16からの冷却風は、その一部が矢印D3のように第2の冷却対象物19へ送られ、残りの部分は矢印C2のように第1の冷却対象物18へ送られる。
【0043】
本実施例によれば、冷却ファン16からの冷却風は、その一部が第2の冷却対象物19へも供給され、残りの部分が第1の冷却対象物18へ供給されるので、画像形成装置における待機時及びプリント動作時という動作モードに応じて冷却風の供給量を変化させることが可能となり、最適な冷却を行うことができる。
【0044】
また、外ダクト172の駆動風受け部172Dと本体内側板13との間に隙間Sを形成するようにしたので、駆動風受け部172Dが本体内側板13に当たることがなく、外ダクト172をスムーズに回動させることができる。
【0045】
図8は、冷却風ダクト17の変形例を示している。本変形例においては、内ダクト171の内周面及び外ダクト172の外周面にフィン171D,172Eがそれぞれ取り付けられている。フィン171Dは、貫通孔171Aと貫通孔171Bとの間、貫通孔171Bと貫通孔171Cとの間、及び貫通孔171Cの下方にそれぞれ取り付けられている。フィン172Eは、貫通孔172Aと貫通孔172Bとの間、貫通孔172Bと貫通孔172Cとの間、及び貫通孔172Cの下方にそれぞれ取り付けられている。
【0046】
そして、駆動風ダクト24を介して矢印Eのように供給されてきた駆動風は、冷却風ダクト17における外ダクト172の駆動風受け部172Dに当たり、この駆動風の風圧によって外ダクト172を矢印F方向に回動させる。
【0047】
外ダクト172が矢印F方向に回動すると、内ダクト171の貫通孔171A,171B,171Cの各々と、外ダクト172の貫通孔172A,172B,172Cの各々とがそれぞれ一致し、冷却風ダクト17内の冷却風の一部は、矢印D2のように貫通孔171A,171B,171C及び貫通孔172A,172B,172Cを介して冷却風ダクト17から外部へ流出し、第2の冷却対象物19を冷却する。
【0048】
本変形例によれば、冷却風が、貫通孔171A,171B,171C及び貫通孔172A,172B,172Cを通過する際に、フィン171D,172Eによって整流され、冷却風の指向性が高められるので、冷却風を第2の冷却対象物19に効率良く当てることができる。
【0049】
《実施例2》
図9及び図10は実施例2を示している。図9は冷却機構が搭載された画像形成装置であって待機時の様子を示しており、(a)はその要部を示した側面図、(b)は(a)のSD−SD線に沿った断面図である。また、図10は冷却機構が搭載された画像形成装置であってプリント動作時の様子を示しており、(a)はその要部を示した側面図、(b)は(a)のSE−SE線に沿った断面図である。
【0050】
本実施例では、冷却風の向きが外側板11及び本体内側板13に平行となるよう冷却ファン31が設けられている。すなわち、冷却ファン31は、正方形の筒型形状のファンケーシング31Aと、ファンケーシング31Aの内部に回転自在に配置されたファン本体31Bとを有し、ファン本体31Bは図示しないモータによって回転駆動される。そして、ファンケーシング31Aの一側側面(図9(b)において左側側面)が外側板11に、他側側面(図9(b)において右側側面)が本体内側板13にそれぞれ固定され、冷却ファン31からの冷却風は外側板11及び本体内側板13に沿って流れるように構成されている。
【0051】
また、冷却ファン31には冷却風ダクト17が取り付けられている。この冷却風ダクト17は実施例1で示したものと同じ構成をしており(図6及び図7等参照)、内ダクト171の一側端面(図9(a)において左側端面)がファンケーシング31Aに固定され、外ダクト172は内ダクト171周りに回動自在となっている。
【0052】
本体内側板13には、冷却風ダクト17の横方に第1の冷却対象物32が取り付けられている。また、本体内側板13,14の間には第2の冷却対象物33が設けられている。なお、図示していないが、本体内側板13には、第2の冷却対象物33に対向する位置に貫通孔が設けられ、冷却風ダクト17から外部へ流出した冷却風が前記貫通孔を介して第2の冷却対象物33に送られるよう構成されている。他の構成は実施例1の場合と同じである。
【0053】
次に、本実施例における冷却機構が搭載された画像形成装置の動作について説明する。
【0054】
プリント動作を行っていない待機時、ブラシレスモータ21等は回転を停止しているが、第1の冷却対象物32は待機時でも冷却が必要であるので、図9(a)に示すように、冷却ファン31は矢印A3方向に回転しており、これによって、外気が取り入れ口31Cを介して矢印B3のように吸い込まれる。その吸い込まれた外気は、冷却風ダクト17を介して第1の冷却対象物32に送られ、第1の冷却対象物32の周囲を矢印C3のように流れることにより、第1の冷却対象物32は冷却される。
【0055】
この場合、冷却風ダクト17は、図6に示したように、駆動風受け部172Dの自重によって最下位に位置しており、内ダクト171の各貫通孔171A,171B,171Cと、外ダクト172の各貫通孔172A,172B,172Cとが一致せず、つまりシャッタが閉じられているので、冷却ファン31からの冷却風はほとんど第1の冷却対象物32へ送られる。
【0056】
プリント動作時には、ブラシレスモータ21等は回転するので、ブラシレスモータ21に取り付けられた羽根23が、図10に示すように、矢印A4方向に回転することにより駆動風が生じ、この駆動風は、駆動風ダクト24の内部を矢印Eのように流れて冷却風ダクト17付近に達し、冷却風ダクト17のシャッタを開ける。
【0057】
冷却風ダクト17のシャッタを開けると、冷却風ダクト17内を流れる冷却風の一部が、内ダクト171の貫通孔171A,171B,171C、及び外ダクト172の貫通孔172A,172B,172Cを介して、矢印D5のように第2の冷却対象物33に流れ、第2の冷却対象物33が冷却される。このとき、冷却風ダクト17内を流れる残りの冷却風は、第1の冷却対象物32へと送られ、第1の冷却対象物33が冷却される。
【0058】
図11は、冷却ファン31からの冷却風が、冷却風ダクト17によって第1の冷却対象物32及び第2の冷却対象物33へ送られる様子を模式的に示した図である。すなわち、冷却ファン31からの冷却風は、その一部が矢印D5のように第2の冷却対象物33へ送られ、残りの部分は矢印C3のように第1の冷却対象物32へ送られる。
【0059】
本実施例によれば、本体内側板13上に配設され待機時にも冷却する必要がある第1の冷却対象物32を確実に冷却することができるとともに、プリント動作時には本体内側板13,14内部の第2の冷却対象物33も確実に冷却することが可能となる。
【0060】
なお、本実施例においても、冷却風ダクト17に、図8に示したようなフィン171D,172Eを取り付けても良い。
【0061】
《実施例3》
図12〜図15は、実施例3による冷却風ダクト40を示している。図12は冷却風ダクト40の内ダクト401を示しており、(a)はその断面図、(b)は側面図である。また、図13は冷却風ダクト40の外ダクト402を示しており、(a)はその断面図、(b)は側面図である。
【0062】
内ダクト401は円筒状を成し、その一部には3つの貫通孔401A,401B,401Cが形成されている。これら貫通孔401A,401B,401Cは、図4に示した貫通孔171A,171B,171Cと同じ構成である。外ダクト402も円筒状を成し、その一部には3つの貫通孔402A,402B,402C及び駆動風受け部402Dが形成されている。これら貫通孔402A,402B,402C及び駆動風受け部402Dは、図5に示した貫通孔172A,172B,172C及び駆動風受け部172Dと同じ構成である。
【0063】
本実施例の冷却風ダクト40においては、内ダクト401の外周面の2箇所に切欠き401Dが形成され、また、外ダクト402の内周面の2箇所に切欠き402Eが形成されている。そして、図14(a)に示すように、内ダクト401の切欠き401Dと外ダクト402の切欠き402E間にコイルバネ41が介在されている。このコイルバネ41は、内ダクト401の貫通孔401A,401B,401Cと、外ダクト402の貫通孔402A,402B,402Cとが一致しないよう、つまり、図15のF方向とは逆方向に外ダクト402を付勢している。
【0064】
次に、本実施例における冷却風ダクト40の動作について説明する。
【0065】
待機時、冷却風ダクト40は、図14に示すように、駆動風受け部402Dが、その自重及びコイルバネ41の付勢力によって最下位に位置しており、これにより、内ダクト401の各貫通孔401A,401B,401Cと、外ダクト402の各貫通孔402A,402B,402Cとは一致せず、冷却風ダクト40の内部を流れる冷却風は、矢印D1のように貫通孔401A,401B,401Cまでは達するが、冷却風ダクト40から外部へ流出することはない。
【0066】
プリント動作時には、ブラシレスモータ21に取り付けられた羽根23(図1等参照)の回転により駆動風が生じ、この駆動風は、図15の矢印Eのように供給されて冷却風ダクト40の駆動風受け部402Dに当たり、この駆動風の風圧によって外ダクト402を矢印F方向に回動させる。
【0067】
外ダクト402が矢印F方向に回動すると、内ダクト401の貫通孔401A,401B,401Cの各々と、外ダクト402の貫通孔402A,402B,402Cの各々とがそれぞれ一致し、冷却風ダクト40内の冷却風の一部は、矢印D2のように貫通孔401A,401B,401C及び貫通孔402A,402B,402Cを介して冷却風ダクト40から外部へ流出する。
【0068】
本実施例によれば、待機時には、駆動風受け部402Dの自重と更にコイルバネ41の付勢力によって、外ダクト402を元の正規位置に確実に戻すことができる。
【0069】
なお、本実施例においても、冷却風ダクト40に、図8に示したようなフィン171D,172Eを取り付けても良い。
【符号の説明】
【0070】
10 画像形成装置
11,12 外側板
13,14 本体内側板
15,16 冷却ファン
17 冷却風ダクト
171 内ダクト
171A,171B,171C 貫通孔
171D フィン
172 外ダクト
172A,172B,172C 貫通孔
172D 駆動風受け部
172E フィン
18 第1の冷却対象物
19 第2の冷却対象物
20,21,22 ブラシレスモータ
23 羽根
24 駆動風ダクト
31 冷却ファン
32 第1の冷却対象物
33 第2の冷却対象物
40 冷却風ダクト
401 内ダクト
401A,401B,401C 貫通孔
402 外ダクト
402A,402B,402C 貫通孔
402D 駆動風受け部
41 コイルバネ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開平8‐272169号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の冷却対象物を冷却する冷却ファンと、
前記第1の冷却対象物と前記冷却ファンとの間に設けられ、シャッタを有するとともに、前記冷却ファンからの冷却風を前記第1の冷却対象物へ導く冷却風ダクトと、
ファン機能を有する羽根が取り付けられたモータと、
前記羽根付近から前記冷却風ダクト付近まで配設された駆動風ダクトとを備え、
前記モータの停止時は、前記冷却ファンからの冷却風は前記冷却風ダクトを介して前記第1の冷却対象物へ送られて当該第1の冷却対象物を冷却し、
前記モータの回転時は、前記羽根の回転による駆動風が前記駆動風ダクトを介して前記冷却風ダクト付近へ供給されて前記シャッタが作動し、前記冷却風ダクトを流れる冷却風の一部が第2の冷却対象物へも送られて、前記第1の冷却対象物と共に当該第2の冷却対象物も冷却することを特徴とする冷却機構。
【請求項2】
搬送装置によって送られてきた用紙に感光体上の画像を転写するとともに、転写後の画像を定着装置によって定着させる画像形成装置であって、
第1の冷却対象物を冷却する冷却ファンと、
前記第1の冷却対象物と前記冷却ファンとの間に設けられ、シャッタを有するとともに、前記冷却ファンからの冷却風を前記第1の冷却対象物へ導く冷却風ダクトと、
ファン機能を有する羽根が取り付けられたブラシレスモータと、
前記羽根付近から前記冷却風ダクト付近まで配設された駆動風ダクトとを備え、
前記ブラシレスモータが停止している待機時は、前記冷却ファンからの冷却風は前記冷却風ダクトを介して前記第1の冷却対象物へ送られて当該第1の冷却対象物を冷却し、
前記ブラシレスモータが回転しているプリント動作時は、前記羽根の回転による駆動風が前記駆動風ダクトを介して前記冷却風ダクト付近へ供給されて前記シャッタが作動し、前記冷却風ダクトを流れる冷却風の一部が第2の冷却対象物へも供給されて、前記第1の冷却対象物と共に当該第2の冷却対象物も冷却する冷却機構を有することを特徴とする画像形成措置。
【請求項3】
前記ブラシレスモータは、前記感光体を駆動するモータであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ブラシレスモータは、前記定着装置を駆動するモータであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ブラシレスモータは、前記搬送装置を駆動するモータであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記冷却ファンは、冷却風が画像形成装置本体の側板に対して垂直に又は平行に吹き出すように配置されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2の冷却対象物は、定着ユニットであることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記冷却風ダクトは、貫通孔を有する円筒状の内ダクトと、貫通孔を有するとともに前記内ダクトの外周面に密接して設けられた円筒状の外ダクトとからなり、前記内ダクトの貫通孔と前記外ダクトの貫通孔とが合致したとき、前記冷却風の一部が第2の冷却対象物へ供給されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記内ダクトの内周面にはその貫通孔付近にフィンが取り付けられ、かつ前記外ダクトの外周面にはその貫通孔付近にフィンが取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記内ダクトの外周面と前記外ダクトの内周面との間には、前記内ダクトと前記外ダクトとを周方向に沿って互いに逆方向へ付勢するバネが介在されていることを特徴とする請求項2,8又は9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−177786(P2012−177786A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40448(P2011−40448)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】