説明

冷却水循環装置、科学機器及び科学機器システム

【課題】 循環水の温度変動幅を適切に制御することにより、消費電力を削減する。
【解決手段】 循環水3を冷却する冷凍機5と、前記循環水3を加熱するヒータ6とを備え、前記循環水3が外部機器4を冷却する冷却水循環装置1であって、前記冷凍機5をON/OFF制御し、前記ヒータをOFF状態にする第1の運転モードと、前記冷凍機をON状態にし、前記ヒータを用いて前記循環水3の精密温度制御を行う第2の運転モードとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機及びヒータを備える冷却水循環装置、科学機器及び科学機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)は、真空状態を作り出すための油拡散ポンプ(DP:Diffusion Pump)と、荷電粒子の軌道を変化させたり、粒子ビームを収束させたりする電子レンズとが使用される。油拡散ポンプは、外周壁の内面を専用油の液化温度以下に保つことが要求され、電子レンズは、コイルに流れる電流値が大きいと発熱を伴うので冷却の必要がある。このとき、冷却する冷却水(循環水)の温度範囲は双方共に15〜25°C程度であり共通するが、許容される温度変動幅は、油拡散ポンプが±2°C程度であるのに対して、電子レンズが±0.2°C程度と異なる。
そこで、冷却水温度を18°C±0.2°Cの電子レンズの条件に設定することにより、油拡散ポンプと電子レンズとの兼用冷却に適した冷却水循環装置が知られている(非特許文献1参照)。
【非特許文献1】"日立冷水循環装置 W-5030Tq"、[online]、[平成17年 6月24日検索]、インターネット<URL:http://www.hitachi-tec.com/em/emp/w5030tq.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、油拡散ポンプあるいは電子レンズから戻ってきた循環水の温度が設定温度よりも高い場合には冷凍機で冷却し、設定温度よりも低い場合には電気ヒータで加熱することが考えられる。
この場合には、冷凍機と電気ヒータとの切り替えが交互に行われることがあり、冷凍機による制御は、使用されるモータ、冷却ポンプの特性に起因する無駄時間、一次遅れ等の遅れ時間により温度変動幅が大きくなり、前記無駄時間に起因する振動が発生することがある。
このため、一旦、冷凍機で循環水を冷却させてから電気ヒータで18°Cの設定温度まで加熱し、無駄時間等が少ない電気ヒータを用いて、例えば±0.2°Cの高精度に温度制御することが行われる。
ところで、油拡散ポンプのみを運転する真空排気モードでの運転は、24時間運転であるのに対して、観察に伴って電子レンズの冷却を行う観察モードでの運転は、通常、4〜12時間/日程度である。
±2°Cの温度変動幅で十分である走査電子顕微鏡での観察を停止し、電子レンズの発熱量がゼロであるときに、±0.2°Cの高精度に循環水温度の制御を行い、冷凍機を常時ON状態に設定していることは、多量の電力を無駄に消費していることになる。
【0004】
そこで、本発明は、循環水の温度変動幅を適切に制御することにより、消費電力を削減することができる冷却水循環装置、科学機器及び科学機器システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明の冷却水循環装置は、循環水を冷却する冷凍機と、前記循環水を加熱するヒータとを備え、前記循環水が外部機器を冷却する冷却水循環装置であって、前記ヒータをOFF状態にし、前記冷凍機をON/OFF制御して前記循環水を温度制御する第1の運転モードと、前記冷凍機をON状態にし、前記ヒータを用いて前記第1の運転モードよりも狭い温度変動幅で前記循環水を温度制御する第2の運転モードとを備えることを特徴とする。
【0006】
冷凍機は、モータ、冷却ポンプを用いて機械的に循環される冷却媒体を介して、循環水と熱交換を行う。このモータ、冷却ポンプの応答時間、無駄時間は、ヒータ自体のそれより長い。そのため、冷凍機をON/OFF制御し、ヒータをOFF状態にする第1の運転モードの方が、冷凍機をON状態にし、ヒータを用いて循環水の温度制御を行う第2の運転モードよりも循環水の温度変動幅が大きくなる。また、冷凍機のみをON/OFF制御する第1の運転モードの方が冷凍機及びヒータを用いる第2の運転モードよりも、消費電力が少ない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、循環水の温度変動幅が適切に制御され、消費電力を削減することができる冷却水循環装置、科学機器及び科学機器システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態である冷却水循環装置、科学機器及び科学機器システムの構成を図1を参照して説明する(適宜図1〜図3参照)。
科学機器システム20は、冷却水循環装置1及び科学機器4を主に構成されている。冷却水循環装置1は、冷却水である循環水3を貯める水槽2と、循環水3を冷却する冷凍機5と、循環水3を加熱するヒータである電気ヒータ6と、温度測定子13が測定した循環水3の温度を用いて冷凍機5あるいは電気ヒータ6をON/OFF制御する水温制御系7とを主に備えている。科学機器4は、例えば走査電子顕微鏡であり、循環水3を用いて冷却される電子レンズ14及び油拡散ポンプ15を備え、これらの冷却機器は循環水パイプ22,24を介して水槽2と連結している。
【0009】
冷却水循環装置1を構成する水槽2の下部に温度測定子13が取り付けられ、水槽2の下部であり、温度測定子13に対向する壁面に電気ヒータ6が取り付けられている。また、水槽2の上部に開口させられた循環水吐出口9及び循環水戻り口10には、循環水パイプ22,24が設けられている。
【0010】
冷凍機5には、循環水3と熱交換し、冷却媒体が通流する熱交換パイプ51が接続されており、熱交換パイプ51は水槽2の上部に投入され、モータ52で駆動される冷却ポンプ54は冷却媒体を循環させている。また、冷凍機5の冷却能力は、必要とする最大冷却能力よりも僅かに大きい冷却能力を有している。なお、冷凍機5は、ON/OFF制御により駆動され、コネクタ56が設けられている。
【0011】
電気ヒータ6は、棒状の金属の中に発熱体が封入され、電気的に加熱するものであり、ON/OFF制御するためのコネクタ62が設けられている。また、電気ヒータ6の加熱能力は冷凍機5の冷却能力を僅かに超えるように設計されている。熱交換パイプ51は、水槽2の上部に投入させられ、電気ヒータ6は、水槽2の下部に取り付けられているので、熱交換パイプ51により冷却された循環水3は下降し、電気ヒータ6により加熱された循環水3は上昇する。これにより、循環水3の温度分布は均一になる。
【0012】
温度測定子13は、棒状の金属の中に図示しない白金測温抵抗素子が封入され、測定された抵抗値に対応する電圧を出力するコネクタ16が設けられている。白金測温抵抗素子は、温度上昇と共に抵抗値が上昇する特性を有しているので、温度測定子13の出力電圧は温度上昇と共に高くなる。
【0013】
本実施形態の特徴構成である水温制御系7は、温度測定子13の出力電圧に基づいて冷凍機5及び電気ヒータ6をON/OFF制御するものであり、科学機器4の指令により、冷凍機5のみをON/OFF制御する第1の運転モードと、冷凍機5をON状態にし、電気ヒータ6をON/OFF制御する第2の運転モードとが切り替えられる。また、冷凍機5あるいは電気ヒータ6をON/OFF制御するために、リレー接点72,74が設けられている。
【0014】
一方、科学機器4には、冷凍機5のON/OFF制御を指示する低精度運転要求接点12と電気ヒータ6のON/OFF制御を指示する高精度運転要求接点11とが設けられており、これらの接点はリモート制御端子42,44を介して水温制御系7に接続されている。
【0015】
循環水パイプ24には、圧送ポンプ8が介挿されており、図2に示すように、科学機器4内の電子レンズ14及び油拡散ポンプ15に循環水3を圧送し、循環水3は循環水パイプ22を介して水槽2に還流するように構成されている。言い換えれば、循環水3は、電子レンズ14及び油拡散ポンプ15を兼用して冷却している。
【0016】
ここで、油拡散ポンプ15は、専用油を加熱することで発生する高速の油蒸気流を利用して所望の真空状態を作り出すものであり、構造上外周壁の内面を専用油の液化温度以下に保つことが要求される。このため一般的には、電子レンズ14及び油拡散ポンプ15は循環水3を用いて冷却が行われ、要求される温度範囲は15°Cから25°Cであり、許容される温度変動幅は、±2°C程度であるまた、電子レンズに供給される循環水3の温度範囲は15°Cから25°Cであり、許容される温度変動幅は、±0.2°C程度である。
言い換えれば、科学機器4は、同一の循環水3を用いて冷却される冷却機器である電子レンズ14及び油拡散ポンプ15を備えている。
【0017】
次に、図3を参照して水温制御系7の回路構成を説明する。水温制御系7は、コンパレータ77,78及びリレーRY1,RY2を主として備え、コンパレータ77,78は抵抗器R1,R2,R3,R4及び基準電源Vrと共に、ウィンドウコンパレータを構成している。
温度測定子13の出力の一端は、バッファ75を介して、抵抗器R1,R3の一端に接続され、他端は接地されている。抵抗器R1の他端は抵抗器R2の一端とコンパレータ77の正転入力(+)に接続され、コンパレータ77の出力は抵抗器R2の他端に接続されている。また、抵抗器R3の他端は抵抗器R4の一端とコンパレータ78の正転入力(+)に接続され、コンパレータ78の出力は抵抗器R4の他端に接続されている。さらに、コンパレータ77,78の反転入力(−)は、可変の基準電源Vrに接続されている。
【0018】
そして、コンパレータ77の出力は、反転アンプ76と、科学機器4の内部に設けられている低精度運転要求接点12とを介してリレーRY1のコイルの一端に接続されている。また、コンパレータ78の出力は、反転アンプ79と、科学機器4内部に設けられている高精度運転要求接点11とを介してリレーRY2のコイルの一端に接続されている。なお、リレーRY1,RY2のコイルの他端は、接地されている。さらに、リレーRY1のリレー接点72はコネクタを介して冷凍機5に接続され、リレーRY2のリレー接点74は電気ヒータ6に接続されている。ここで、リレー接点72にはコイルに電流が流れていないときに導通し、電流が流れているときに開放する接点を用い、リレー接点74にはコイルに電流が流れていないときに開放し、電流が流れているときに導通する接点を用いている。
【0019】
次に、本実施形態の科学機器システムの動作を第1の運転モードと第2の運転モードとに分けて説明する。
第1の運転モードは、冷凍機をON/OFF制御し、電気ヒータ6をOFF状態にするモードであり、低精度運転要求接点12を導通し、高精度運転要求接点11を開放する切替信号が科学機器4から水温制御系7に出力される。この状態では、リレーRY2のコイルに電流が流れず、リレー接点74が開放されるので、電気ヒータ6は停止している。
【0020】
循環水3の温度が上昇すると温度測定子13内部の白金測温抵抗素子の抵抗値が高くなり、温度測定子13の出力電圧が上昇する。バッファ75を介したこの出力電圧は、コンパレータ77及び抵抗器R1,R2からなるウィンドウコンパレータにより基準電源Vrと比較される。
【0021】
コンパレータ77の出力電圧Voutのハイレベル電位をVHとし、ローレベル電位をVLとして、このウィンドウコンパレータの特性を図4を参照して説明する。バッファ75の出力電圧に等しいウィンドウコンパレータの入力電圧VINがしきい値電圧VTH={(1+R2/R1)Vr−VL}/(R2/R1)よりも低いときには出力電圧Voutがローレベル電位VLとなる。ここで、R2/R1は、抵抗器R2の抵抗値と抵抗器R1の抵抗値との比である。
【0022】
入力電圧VINがしきい値電圧VTHよりも高くなると、出力電圧Voutがハイレベル電位VHに反転する。逆に、入力電圧VINが低下する場合には、入力電圧VINがしきい値電圧VTHよりも低くなるのみでは出力電圧Voutが反転せず、しきい値電圧VTL={(1+R2/R1)Vr−VH}/(R2/R1)よりも低くなったときに、ローレベル電位VLに反転する。
【0023】
また、コンパレータ78及び抵抗器R3,R4から構成されるウィンドウコンパレータも同様の動作が行われる。ここで、しきい値電圧VTHとしきい値電圧VTLとは循環水3の設定温度及び温度変動幅に対応するように設定される。
【0024】
すなわち、循環水3の温度が高い場合は、入力電圧VINがしきい値電圧VTHよりも高くなり、コンパレータ77の出力電圧がハイレベル電位VHとなる。さらに、反転アンプ76により反転され、ローレベル電位となるので、リレーRY1のコイルには電流が流れない。これにより、リレー接点72が導通状態となり冷凍機5が運転し、循環水3の温度が低下する。
【0025】
これにより、循環水3の温度が低下すると、温度測定子13の出力電圧が低下する。これにより、入力電圧VINがしきい値電圧VTL以下に到達するとコンパレータ77の出力電圧が反転し、ローレベル電位VLになる。すなわち、反転アンプ76の出力がハイレベル電位になるのでリレーRY1のコイルに電流が流れ、リレー接点72が開放状態となり冷凍機5の運転が停止し、循環水3の温度が上昇する。
【0026】
このようにして、しきい値電圧VTHとしきい値電圧VTLとの間でON/OFF制御が行われ、循環水3の設定温度及び温度変動幅に対応するように温度の上昇と低下が繰り返される。
【0027】
第2の運転モードは、冷凍機5を連続運転し、電気ヒータ6をON/OFF制御するモードであり、高精度運転要求接点11が導通し、低精度運転要求接点12を開放する切替信号が科学機器4から出力される。この状態では、リレーRY1のコイルが導通せず、リレー接点72が導通し、冷凍機5の運転が継続する。
【0028】
循環水3の温度が高い場合は、温度測定子13の出力電圧がしきい値電圧VTHよりも高く、コンパレータ78の出力電圧がハイレベル電位VHとなり、反転アンプ79の出力がローレベル電位となる。すなわち、リレーRY2のコイルには電流が流れず、リレー接点74が開放状態となり電気ヒータ6が停止し、循環水3の温度が低下する。
【0029】
これにより、温度測定子13の出力電圧が低下し、この電圧がしきい値電圧VTL以下に到達するとコンパレータ78の出力が反転し、ローレベル電位VLとなり、反転アンプ79の出力がハイレベル電位となる。これにより、リレーRY2のコイルに電流が流れ、リレー接点72が導通状態となり電気ヒータ6が動作する。これにより、循環水3の温度が上昇するので、冷凍機5が運転状態のまま電気ヒータ6のON/OFF制御が繰り返される。
【0030】
ここで、電気ヒータ6は、冷凍機5と異なり、冷却ポンプ54、モータ52等の機械的装置を使っていないので、遅れ時間が短く、無駄時間も短いか皆無である。そのため、電気ヒータ6による温度制御は、冷凍機5による温度制御と比べて、循環水3の温度のオーバシュート等が少なく、無駄時間に起因する振動も発生しない。このため、ON/OFF制御の時間幅を短くすることができるので、温度変動幅を狭くすることができる。すなわち、電気ヒータ6による制御の方が、しきい値電圧VTHとしきい値電圧VTLとの差を狭く設定することができ、精密温度制御が可能である。
【0031】
すなわち、高精度運転要求接点11を短絡して、低精度運転要求接点12を開放にすれば冷凍機5を連続運転した状態で、電気ヒータをON/OFF制御できるので、例えば、±0.2°Cの温度変動幅で循環水3を温度制御することができる。また、高精度運転要求接点11を開放して、低精度運転要求接点12を短絡すれば、電気ヒータ6を停止した状態で、冷凍機5をON/OFF制御できるので、例えば、±2°Cの温度変動幅で循環水3を温度制御することができる。
【0032】
図5では、低精度運転要求接点12と高精度運転要求接点11とを開放状態(OFF)あるいは短絡状態(ON)にした運転モードの組み合わせと、その運転状態と、循環水温度との関係を表にして分類している。ここでは、低精度運転要求接点12及び高精度運転要求接点11を開放にした状態のモードを設けることにしている。これにより、冷凍機5及び電気ヒータ6を停止させ、未制御状態となり、常温での運転が可能になる。これにより、冷却水循環装置1は、科学機器4の低精度運転要求接点12と高精度運転要求接点11の開閉状態により、停止、冷凍機5のON/OFF運転のみによる±2.0°Cの低精度運転、冷凍機5の常時ON運転に加えて電気ヒータ6のON/OFF運転による±0.2°Cの高精度運転の三種類の運転要求指示(切替信号)を受け付けることができる。
【0033】
また、電気ヒータ6によるON/OFF制御の場合には冷凍機5を常時運転させ(図6(a)参照)、冷凍機5によるON/OFF制御の場合には、電気ヒータ6を常時停止させている(図6(b)参照)。このため、冷凍機5によるON/OFF制御の場合の方が電気ヒータ6のON/OFF制御よりも消費電力が少ない。このとき、冷凍機5は、必要とする最大冷却能力よりも僅かに大きい冷却能力で運転しているので、過剰な電力消費を行っている。
【0034】
以上、説明したように本実施形態によれば、走査電子顕微鏡等の科学機器4に使用される冷却水循環装置1において、科学機器4に供給される循環水(冷却水)3の温度変動幅(要求温度精度)が運転中に高精度から低精度に変化した場合に、温度変動幅に適した簡便な温度制御方式に切り替わるため、常に高い消費電力が要求される高精度に管理された循環水3を供給せずに済むようになり、無駄な電力を消費しない。言い換えれば、科学機器システムの省エネルギー(電力)対応設計を行うことができる。
【0035】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記実施形態は、電気ヒータ6をON/OFF制御したが、PID制御を用いて電流制御あるいはパルス幅制御を行うことにより温度変動幅の精度を上げることができる。
(2)前記実施形態は、走査電子顕微鏡に備えられている油拡散ポンプ15と電子レンズ14とを冷却したが、冷却設定温度が同一であり、温度変動幅が異なるものであれば、他の冷却機器を冷却することができる。
(3)前記実施形態は、循環水パイプ22,24から循環水3を分岐させて拡散ポンプ15と電子レンズ14に供給したが、拡散ポンプ15と電子レンズ14との何れか一方の冷却機器に循環水3を供給し、排出された循環水3を他の冷却機器に供給することもできる。
(4)前記実施形態は、金属の中に発熱体を封入した電気ヒータ6を用いて制御したが、赤外線ヒータ、電磁誘導加熱(IH:Induction Heating)等を用いても高精度に温度制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態の冷却水循環装置、科学機器及び科学機器システムの構成図である。
【図2】科学機器及び冷却水循環装置の冷却水循環経路を説明するための図である。
【図3】水温制御系の回路構成図である。
【図4】ウィンドウコンパレータの動作を説明するための図である。
【図5】運転モードの選択と、その運転状態と、循環水温度との関係を示した図である。
【図6】冷凍機をON/OFF制御した場合と電気ヒータをON/OFF制御した場合とで消費電力を比較するための図である。
【符号の説明】
【0037】
1 冷却水循環装置
2 水槽
3 循環水
4 科学機器
5 冷凍機
6 電気ヒータ
7 水温制御系
8 圧送ポンプ
9 循環水吐出口
10 循環水戻り口
11 高精度運転要求接点
12 低精度運転要求接点
13 温度測定子
14 電子レンズ
15 油拡散ポンプ
16,56,62 コネクタ
20 科学機器システム
22,24 循環水パイプ
42,44 リモート制御端子
51 熱交換パイプ
52 モータ
54 冷却ポンプ
72,74 リレー接点
75 バッファ
76,79 反転アンプ
77,78 コンパレータ
R1,R2,R3,R4 抵抗器
RY1,RY2 リレー
Vr 基準電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環水を冷却する冷凍機と、前記循環水を加熱するヒータとを備え、前記循環水が外部機器を冷却する冷却水循環装置であって、
前記ヒータをOFF状態にし、前記冷凍機をON/OFF制御して前記循環水を温度制御する第1の運転モードと、
前記冷凍機をON状態にし、前記ヒータを用いて前記第1の運転モードよりも狭い温度変動幅で前記循環水を温度制御する第2の運転モードとを備えることを特徴とする冷却水循環装置。
【請求項2】
前記冷凍機は、機械的に駆動する冷却ポンプで冷却媒体を循環させるものであり、
前記ヒータは、電気的に加熱するものであり、
前記ヒータをON/OFF制御することを特徴とする請求項1に記載の冷却水循環装置。
【請求項3】
前記第1の運転モードと前記第2の運転モードとを外部からの切替信号により切り替えるリモート制御端子を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷却水循環装置。
【請求項4】
循環水を用いて冷却される異なる冷却機器を備える科学機器であって、
前記循環水は、前記異なる冷却機器を兼用して冷却し、
前記循環水に許容される温度変動幅が大きな方の前記冷却機器が運転する第1の運転モードと、前記異なる冷却機器の双方が運転する第2の運転モードとを備えることを特徴とする科学機器。
【請求項5】
循環水を冷却する冷凍機と前記循環水を加熱するヒータとを備える冷却水循環装置と、前記循環水を用いて冷却される異なる冷却機器を備える科学機器とが接続される科学機器システムであって、
前記冷凍機をON/OFF制御し、前記ヒータをOFF状態にして、前記異なる冷却機器の何れかが運転する第1の運転モードと、前記冷凍機をON状態にし、前記ヒータを用いて前記循環水の精密温度制御を行い、前記異なる冷却機器の双方が運転する第2の運転モードとを備えることを特徴とする科学機器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−40631(P2007−40631A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226505(P2005−226505)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000233550)株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ (112)
【Fターム(参考)】