説明

冷却装置およびそれを備えた空気調和機

【課題】温度検出手段を1つしか用いない、もしくは全く用いないで、結露を防止しながら制御基板の冷却が可能な冷却装置を提供する。
【解決手段】冷媒との熱交換によって制御ボックス42内の空気を冷却する冷却ユニット44と、前記制御ボックス内の空気を攪拌するファン54と、前記ファンの駆動を制御するファン駆動制御手段56と、前記制御ボックス内の温度を検知する制御ボックス内温度検知手段60を有し、前記ファン駆動制御装置は前記制御ボックス内温度検知手段が所定以下の温度を検知しているときは前記ファンを停止するとともに所定以上の温度を検知すればファンを駆動させる構成としてあり、温度検知に必要な温度検知手段が1つもしくは無い場合でも結露が生じないようにしながら制御部品の温度上昇を抑えることができ、高い信頼性を備える空気調和機を安価に実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の制御部品を冷却する冷却装置、およびそれを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機、室外熱交換器、減圧装置、室内熱交換器、およびこれらを接続して冷媒が流れる配管を有する空気調和機において、制御基板などの制御部品は例えば粉塵や水などから保護するために制御ボックス内に収容してある。その際、制御部品が安定して動作するのを保証するため制御部品の冷却を考慮する必要があるが、そのように制御部品の冷却を行う場合、制御部品を冷やしすぎると結露するとう課題があった。そこで、制御ボックス内の温度と制御部品の温度を検知して、冷却装置を駆動するか停止するかを判断するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、前記特許文献1に記載された従来の冷却装置を示すものである。図6に示すように発熱体1を収納した電気品箱2と、圧縮機3と凝縮器4と膨張弁5と蒸発器6にて構成された冷凍サイクル7と、この冷凍サイクル7中の低温冷媒にて放熱器12を介して前記発熱体1を冷却する冷却機構8と、前記発熱体1の温度を検出する発熱体温度検出手段9と、前記電気品箱2内の温度を検出する空気温度検出手段10と、前記発熱体温度検出手段9で検出した発熱体温度と前記空気温度検出手段10で検出した電気品箱内空気温度とを比較し、前記発熱体温度が前記電気品箱内空気温度以上の所定の温度幅域の上限に達すると前記冷却機構8を作動し、前記所定の温度幅域の下限に達すると前記冷却機構8を停止する制御手段11とから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−187725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の空気調和機の場合、冷却機構の運転と停止を判断するのに温度検出手段が2つ必要という課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、温度検出手段を1つしか用いない、もしくは全く用いないで冷却装置の運転と停止を判断し、結露させずに制御部品を冷却可能な冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の冷却装置は、制御ボックス内に制御部品(発熱体)と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、前記制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、ファンの駆動を制御するファン駆動制御手段と、制御ボックス内の温度を検知する制御ボックス内温度検知手段を有し、前記ファン駆動制御装置は前記制御ボックス内温度検知手段が所定以下の温度を検知しているときは前記ファンを停止するとともに所定以上の温度を検知すればファンを駆動させる構成としたものである。
【0008】
これによって、制御部品自体の温度ではなく制御ボックス内の温度を検知することによって制御部品の冷却が可能、換言すると、制御ボックス内の温度が一定温度に上昇するま
ではファンを駆動せずに制御部品を積極的に冷やさないようにして結露を防止するが、制御ボックス内の温度が一定温度以上になるとファンが駆動して冷却を行うので、制御部品が所定以上の温度にならず制御部品を保護することが可能な上、制御部品を冷却するファンを駆動するために必要な温度検知手段を制御ボックス内温度検知手段1つにすることができ、安価に提供できる。
【0009】
また、本発明の冷却装置は、制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって前記制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、前記制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、前記ファンの駆動を制御するファン駆動制御手段と、前記冷媒を循環させる圧縮機の周波数を検知する周波数検知手段あるいは所定の周波数を設定する周波数設定手段を有し、前記ファン駆動制御装置は、前記周波数検知手段が所定以下の温周波数を検知あるいは周波数設定手段が所定以下の周波数を出力しているときは前記ファンを停止するとともに、所定以上の周波数を検知あるいは所定以上の周波数を出力するとファンを駆動させる構成としたものである。
【0010】
これによって、温度検知手段が無くても結露を防止しつつ制御部品が所定以上の温度にならないようにして制御部品を保護することが可能なとなり、さらに安価に提供できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、温度検知に必要な温度検知手段が1つもしくは無い場合でも結露が生じないようにしながら制御部品の温度上昇を抑えることができ、高い信頼性を備えた冷却装置およびこの冷却装置を用いた空気調和機を安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係る冷却装置とそれを用いた空気調和機の概略構成図
【図2】図1に示す制御ボックスの内部を示す概略構成図
【図3】図1に示す冷却ユニットの斜視図
【図4】本発明の実施の形態2に係る冷却装置とそれを用いた空気調和機の概略構成図
【図5】本発明の実施の形態3に係る冷却装置とそれを用いた空気調和機の概略構成図
【図6】従来の冷却装置とそれを用いた空気調和機の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、前記制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、前記ファンの駆動を制御するファン駆動制御手段と、前記制御ボックス内の温度を検知する制御ボックス内温度検知手段を有し、前記ファン駆動制御装置は前記制御ボックス内温度検知手段が所定以下の温度を検知しているときは前記ファンを停止するとともに所定以上の温度を検知すればファンを駆動させる構成としてあり、制御部品の結露を防止しつつ制御部品の冷却が可能となるため、高い信頼性を有する上、制御ボックス内温度検知手段1つの温度検知手段で実現することができるので安価である。
【0014】
第2の発明は、制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって前記制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、前記制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、前記ファンの駆動を制御するファン駆動制御手段と、前記冷媒を循環させる圧縮機の周波数を検知する周波数検知手段あるいは所定の周波数を設定する周波数設定手段を有し、前記ファン駆動制御装置は、前記周波数検知手段が所定以下の周波数を検知あるいは周波数設定手段が所定以下の周波数を出力しているときは前記ファンを停
止するとともに、所定以上の周波数を検知あるいは所定以上の周波数を出力するとファンを駆動させる構成としてあり、制御部品の結露を防止しつつ制御部品の冷却が可能となるため、高い信頼性を有する上、温度検知手段無しで実現することができるのでより安価に提供できる。
【0015】
第3の発明は、制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって前記制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、前記制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、前記ファンの駆動を制御するファン駆動制御手段と、前記冷媒を循環させる圧縮機に流れる電流値を検知する電流値検知手段あるいは所定の電流値を設定する電流値設定手段を有し、前記ファン駆動制御装置は、前記電流値検知手段が所定以下の値を検知あるいは電流値設定手段が所定以下の値を出力しているときは前記ファンを停止するとともに、所定以上の値を検知あるいは所定以上の値を出力するとファンを駆動させる構成としてあり、制御部品の結露を防止しつつ制御部品の冷却が可能となるため、高い信頼性を有する上、温度検知手段無しで実現することができるのでより安価に提供できる。
【0016】
第4の発明は、制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって前記制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、前記制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、前記ファンの駆動を制御するファン駆動制御手段と、外気温を検知する外気温検知手段を有し、前記ファン駆動制御装置は、前記外気温検知手段が所定以下の温度を検知しているときは前記ファンを停止するとともに所定以上の温度を検知すればファンを駆動させる構成としてあり、制御部品の結露を防止しつつ制御部品の冷却が可能となるため、高い信頼性を有する上、外気温検知手段1つの温度検知手段で実現することができるので安価である。
【0017】
第5の発明は、第1〜第4の発明において、その冷却ユニットは複数のフィンを有するフィン構造体と、前記フィン構造体の前記フィンとは反対側面に装着した冷媒配管とで構成し、かつ、前記フィンと冷媒配管装着用の溝とは同じ方向に形成した構成としてあり、フィン構造体を引き抜き成形または押し出し成形によって安価に作製することができる。
【0018】
第6の発明は、第1〜第5の発明において、その冷却ユニットは制御部品の下方に配置し、当該冷却ユニットの下方に水受け皿を配置した構成としてあり、仮に結露水が発生したとしてもこの結露水によって制御部品が濡れるのを防止することができる。
【0019】
第7の発明は、第1〜第6の発明において、その冷却ユニットは制御部品の一部となる制御基板の適所に複数のフィンを有するフィン構造体を直接取り付け、このフィン構造体のフィンは冷却ユニットを内蔵した制御ボックスの外部に露出する構成としてあり、制御基板上の特に高熱を発する発熱素子設置部分に前記フィン構造体を設けることによって効果的に冷却することができる。
【0020】
第8の発明は、第1〜第7の発明において、その制御ボックス内の空気を攪拌するファンは冷却ユニットのフィン構造体に向かって送風する配置構成としてあり、冷却ユニットによって冷却された空気が制御ボックス内全体に拡散して冷却効果が向上すると同時に、冷却ユニットまわりの空気の流れが速くなって冷却ユニットの表面に結露水が発生し難くなり結露水発生を効果的に防止できる。
【0021】
第9の発明は、圧縮機と、室外熱交換器と、減圧装置と、室内熱交換器と、およびこれらを接続して冷媒が流れる配管とを有する空気調和機であって、当該空気調和機の制御ボックス内に収容された制御部品を冷却する冷却装置として、上記第1〜第8のいずれかの発明に記載の冷却装置を用いた空気調和機としてあり、安価な構成で結露を防止しつつ制
御部品の冷却が可能で高い信頼性を有する空気調和機を実現できる。
【0022】
第10の発明は、第9の空気調和機において、その冷却装置における制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットの冷媒は、減圧装置と室内熱交換器との間の配管を流れる冷媒としてあり、減圧装置によって低圧にされた冷媒が流れるので低振動化できるとともに配管の薄肉化によるコスト抑制もでき、かつ、冷却ユニット専用の冷媒通路を別途設ける必要がなく、空気調和機の構成の簡素化をはかることができる。
【0023】
第11の発明は、第9の空気調和機において、その冷却装置における制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットの冷媒は、圧縮機と、室外熱交換器と、減圧装置と、室内熱交換器とで構成される冷凍サイクルの一部から分流する冷媒としてあり、空気調和機の冷房能力の低下を抑制しつつ結露防止と制御部品の冷却が可能となる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明に係る冷却装置と空気調和機の構成を概略的に示す図である。また図2は本発明の実施の形態に係る制御ボックスの内部構成を概略的に示す図である。また図3は本発明の実施の形態に係る冷却ユニットの斜視図である。
【0026】
図1に示すように、空気調和機20は、圧縮機22、室外熱交換器24、減圧装置26、室内熱交換器28、およびこれらを接続する冷媒配管30、32、34、36を有する。減圧装置26としては、膨張弁や銅製の毛細管であるキャピラリーチューブを採用することができる。なお、空気調和機20は、圧縮機22、室外熱交換器24、および減圧装置26を収容する室外機と、室内熱交換器28を収容する室内機とに分かれている。
【0027】
空気調和機20は、冷媒が、冷媒配管30、32、34、36を介して、圧縮機22から順に、室外熱交換器24、減圧装置26、後述する制御ボックス42の冷却ユニット44、室内熱交換器28を経て再び圧縮機22に戻る冷凍サイクルを実現するように構成されている。
【0028】
冷凍サイクルにおいて、冷媒は、圧縮機22によって圧縮された後、気相状態で室外熱交換器24に向かって冷媒配管30内を流れる。次に、冷媒は、室外熱交換器24を介する室外空気との熱交換によって熱を奪われて液相状態になり、減圧装置26に向かって冷媒配管32を流れる。続いて、冷媒は、減圧装置26によって膨張されて圧力が低下し、後述する制御ボックス42の冷却ユニット44を介し室内熱交換器28に向かって冷媒配管34を流れる。そして、冷媒は、室内熱交換器28を介して室内空気から熱を奪って気相状態になり、圧縮機22に向かって冷媒配管36を流れる。
【0029】
また、空気調和機20は、冷凍サイクルを制御する制御部品(制御基板と制御基板上に搭載されている各種電子部品を含む)40と、制御部品40を保護する制御ボックス42とを有する。なお、制御ボックス42は、室外機に設けられている。
【0030】
なお、本発明で言う「制御部品」は、空気調和機20の制御に使用されるための部品、例えば圧縮機22の出力や減圧装置26としての膨張弁の絞り量を制御する電子部品であって、複数の電子部品が実装された制御基板に限定されず、部分的にまたは全体が発熱するために冷却が必要な部品を言う。
【0031】
制御部品40は、制御ボックス42内に収容されることにより、例えば粉塵や水などか
ら保護されている。そのために、制御ボックス42はその内部に粉塵や水が浸入しないように密閉するように構成されている。例えば、制御ボックス42において、制御部品40から制御ボックス42の外部に延びるケーブル(図示せず)が通過する穴はシールされている。また制御ボックス42は、上面が開口した本体と、本体の上面を覆う蓋とから構成されていることがメンテナンス性の面から望ましく、さらに本体と蓋との間もシールされていることが望ましい。なお、このようなシールには、EPTシートなどのスポンジ状の樹脂材料を用いることができる。
【0032】
制御部品40は、制御ボックス42内に密閉して収容されているため、冷却を必要とする。そのために、制御ボックス42内に冷却ユニット44が設けられている。
【0033】
冷却ユニット44は、冷凍サイクルの冷媒との熱交換により制御ボックス42内の空気を冷却するように構成され、図2に示すように、冷媒配管34と、冷媒配管34に取り付けられたフィン構造体46とから構成される。
【0034】
具体的には、図1に示すように冷媒配管34の一部分が制御ボックス42内を通過し、図2に示すように制御ボックス42内の冷媒配管34の部分に板形状の複数のフィン46aを備えるフィン構造体46が取り付けられている。冷却ユニット44は、制御部品40とは離れた位置に設けてあり、フィン構造体46を介して制御ボックス42内の空気と冷媒配管34内を流れる冷媒との間で熱交換することにより、制御ボックス42内の空気を冷却する。このような冷却ユニット44により、制御部品40は空気を介して冷却される。
【0035】
なお、冷却ユニット44の一部を構成する冷媒配管は、減圧装置26と室内熱交換器28とを接続する冷媒配管34が好ましい。冷媒配管34を有効的に利用することにより、制御ボックス42内の空気の冷却のためだけに、制御ボックス42内を通過して冷媒が流れる配管を別途設ける必要がなくなる。
【0036】
また、冷媒配管34は、減圧装置26によって低圧にされた冷媒が流れるので、図1に示す他の冷媒配管30、32、36に比べて作用する圧力や発生する振動が小さい。そのため、冷媒配管34を、制御ボックス42内に配設した方が、他の冷媒配管30、32、36を配設する場合に比べて振動を抑制することができる。また、その結果として制御ボックス42内へ配設する配管を薄肉化することが可能となり、使用する材料を低減できてコストを抑えることができるという副次的なメリットも有する。さらに、別の理由としては、冷媒配管34を流れる冷媒は元々低圧であるため、制御ボックス42を経由することによる(長尺化による)圧力損失の影響が小さいことがある。
【0037】
冷却ユニット44のフィン構造体46は、例えば図3に示すように、アルミなどの金属によって一体的に形成されている。板形状の複数のフィン46aが、フィン構造体46の本体部46bの一方の表面に、互いに平行に等間隔をあけて並んで設けられている。また、フィン構造体46は、フィン46aが設けられた表面と反対側の表面に、蛇行形状に成形された冷媒配管34の部分と係合する複数の溝46cを備えている。
【0038】
図3に示すように、フィン構造体46の複数の溝46cは、複数のフィン46aの並列方向と同じ方向に延びるように形成されている。これにより、フィン構造体46を、引き抜き成形または押し出し成形によって作製することができ、他の作製方法(例えば切削加工)に比べて安価に作製することができる。
【0039】
なお、可能であれば、冷却ユニット44は図2に示すように、制御部品40と離れた状態で且つ該制御部品40の下方に配置されるのが好ましい。これは、制御部品が冷却ユニ
ット44の表面(具体的にはフィン構造体46の表面と冷媒配管34の表面)に発生した結露水によって濡れるのを確実に防止するためである。
【0040】
冷却ユニット44の表面に発生した結露水が滴下する場合に備えて、結露水を受ける皿形状の水受け皿48を冷却ユニット44の下方に設けるのが好ましい。これにより、冷却ユニット44の下方に位置する空気調和機20の構成要素が結露水によって濡れることを防止することができる。なお、図2に示すように、水受け皿48内の結露水を制御ボックス42の外部に排出するための排水管49を、水受け皿48の底に接続してもよい。
【0041】
また、この冷却装置は、冷却ユニット44に加えて、別の制御部品40(制御基板の別の部分)を冷却するための手段がいくつか設けられている。
【0042】
冷却ユニット44のフィン構造体46とは別のフィン構造体52が、制御部品40に、特に制御部品40の一部である制御基板の高熱を発する部分(例えば発熱素子設置部分)に直接取り付けられている。このフィン構造体52は、制御部品40と制御ボックス42の外部の空気との間で熱交換するように構成されている。
【0043】
具体的には、フィン構造体52は、冷却ユニット44のフィン構造体46と同様に、例えばアルミなどから作製されており、複数のフィン52aを備える。フィン構造体52のフィン52aは、制御ボックス42の外部に露出するように構成されている。また、フィン52aは、室外熱交換器24まわりの空気を室外機の外部に排出するためのファン(図示せず)の風下に位置するように設けられている。このようなフィン構造体52を介することにより、制御部品40は室外機のファン(図示せず)によって冷却される。
【0044】
また、制御ボックス42の空気を強制的に攪拌するファン54が制御ボックス42内に設けられている。このファン54は駆動を停止していると、たとえ圧縮機22が駆動して冷媒配管34に低温の冷媒が流れていたとしても、冷却ユニット44による制御部品40への冷却効果はほとんどなく、ファン54を駆動させると制御ボックス42内の空気を攪拌することにより、該制御ボックス42内の温度分布を一様にし、制御部品40の冷却効率を高めることができる。よって制御部品40を冷却したい場合にはファン54を駆動させる。ファン54の駆動は制御部品40に取り付けたファン駆動制御手段56によって制御される。
【0045】
なおファン54は、図2に示すように、冷却ユニット44のフィン構造体46に向かって送風するように配置するのが好ましい。ファン54がフィン構造体46に向かって送風することにより、冷却ユニット44によって冷却された空気が制御ボックス42内全体に拡散する。また、冷却ユニット44まわりの空気の流れが速くなり、冷却ユニット44の表面に結露水がさらに発生し難くなる。
【0046】
さらに、制御ボックス42の内部への外部からの熱の移動を抑制するために、制御ボックス42の内部空間は断熱材(図示せず)によって断熱されるのが好ましい。断熱材は、例えば制御ボックス42の外側表面に設けられる。この断熱材により、冷却ユニット44による制御部品40に対する冷却効果が、断熱材がない場合に比べて向上する。なお、断熱材は、制御ボックス42の外側表面に設けられることが制御ボックス42内の空間の有効利用の点から望ましいが、制御ボックス42の内側表面に設けてもよい。
【0047】
なお、断熱材として、グラスウールなどの繊維系断熱材、ウレタンフォームなどの発泡系断熱材、真空断熱材などが挙げられる。断熱材に比べて断熱性能が高い真空断熱材を使用するのが好ましい。真空断熱材として、例えば、ガラス繊維をラミネートフィルムでパッキングし、その内部圧力を減圧してなるものが挙げられる。
【0048】
制御部品40には、図1に示すようにファン駆動制御手段56以外に、制御ボックス42内の温度を検知する制御ボックス内温度検知手段60が備えられている。
【0049】
圧縮機22が運転を開始した後、制御ボックス42内の温度が所定温度T1以下の場合、ファン駆動制御手段56はファン54を駆動させず制御部品40を冷却しない。そして制御ボックス42内の温度がT1以上となり制御ボックス内温度検知手段60がこれを検知すると、ファン駆動制御手段56がファン54を駆動させ制御部品40の冷却を行い、制御部品40が一定温度以上となって破損するのを防止する。さらに制御ボックス42内の温度がT1とは別に設けたT1より低い温度T2になるか、もしくはT2以下の温度となり制御ボックス内温度検知手段60がこれを検知すると、ファン駆動制御手段56はファン54を停止させる。
【0050】
制御ボックス42内の温度がT1以下の間はファン54を駆動させなかったり、一度、T1を超えた後、T2以下になった場合にファン54を停止させたりすることで、制御部品40を必要以上に冷却して制御基板(制御部品)40に結露が生じるのを防ぐことが出来、信頼性を確保することが出来る。ファン54の駆動と停止を決める温度閾値として異なる2つの温度T1とT2を設けているのは、T2がT1と同じ温度の場合、制御ボックス43内の温度がわずかな変化を繰り返すとファン54が駆動と停止を頻繁に繰り返すこととなり、ファン54を故障させる可能性が高くなるので、これを防ぐためである。
【0051】
なお、制御ボックス42内の温度が何度以上の時にファン54を駆動させないと、つまり制御部品40の冷却を行わないと制御部品40が破損するのかということと、制御ボックス42内の温度が何度以下の場合に、ファン54を駆動させて制御部品40の冷却を行うと制御部品40が結露を起こすかについては、予めその温度条件を把握しておくことでT1、T2の温度設定が可能となり、温度検知手段が1つでも結露を防止しつつ制御部品40の冷却を行って制御部品40の破損を防ぐことが可能となり、複数の温度検知手段を用いてファン54の駆動を制御する場合に比べて安価で済む。
【0052】
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されない。
【0053】
例えば上述では、冷媒が、圧縮機22、室外熱交換器24、減圧装置26、室内熱交換器28と順に流れる空気調和機20、すなわち冷房運転を実行する空気調和機20について説明したが、本発明はこれに限らない。冷媒が、圧縮機22、室内熱交換器28、減圧装置26、室外熱交換器24と順に流れる空気調和機、すなわち暖房運転を実行する空気調和機や冷房運転と暖房運転を切り替えて行うことができる空気調和機に対しても、本発明は適用可能である。
【0054】
また上述の実施の形態の場合、冷却ユニット44は、冷媒配管34内を流れる冷媒全てを利用して制御ボックス42内の空気を冷却するように構成されているが、本発明はこれに限らない。冷媒配管30、32、34、36のいずれか1つに流れる冷媒の一部を、制御ボックス42内の空気の冷却に利用してもよい。
【0055】
例えば、減圧装置26の下流側近傍の冷媒配管34の部分から分枝し、制御ボックス42内を通過し、そして室内熱交換器28の上流側近傍の冷媒配管34の部分に至る、バイパスする配管を設け、このバイパス配管にフィン構造体を取り付けて、冷却ユニット44を構成してもよい。この場合、上述の実施の形態に比べて、制御部品40に対する冷却能力は低下するものの、空気調和機20の冷房能力は向上する。
【0056】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【0057】
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る空気調和機の構成を概略的に示す図である。図4において66は外気温を検知する外気温検知手段で、以下、実施の形態1と異なる部分についてのみ記載する。
【0058】
外気温が所定温度T3以上の場合、外気温検知手段66がこれを検知するとファン駆動制御手段56がファン54を駆動させ制御部品40の冷却を行い、制御部品40が一定温度以上となって破損するのを防止する。そして外気温が所定温度T4以下の場合、ファン駆動制御手段56はファン54を駆動させず制御部品40を冷却しないで、制御部品40を必要以上に冷却して結露が生じるのを防ぐ。また、ファン54が駆動している場合で、外気温がT4以上の状態からT4以下の温度に変化した場合も、ファン54を停止させて制御部品40を必要以上に冷却して結露が生じるのを防ぐ。
【0059】
ファン54の駆動と停止を決める温度閾値として異なる2つの温度T3とT4を設けているのは、ファン54が駆動と停止を頻繁に繰り返して故障するのを防ぐためである。
【0060】
なお、外気温が何度以上の時にファン54を駆動させないと、つまり制御部品40の冷却を行わないと制御部品40が破損するのかということと、外気温が何度以下の場合に、ファン54を駆動させて制御部品40の冷却を行うと制御部品40が結露を起こすかについては、予めその温度条件を把握しておくことでT3、T4の温度設定が可能となり、温度検知手段が1つでも結露を防止しつつ制御部品40の冷却を行って制御部品40の破損を防ぐことが可能となり、複数の温度検知手段を用いてファン54の駆動を制御する場合に比べて安価で済む。
【0061】
(実施の形態3)
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る空気調和機の構成を概略的に示す図である。図5において、62は圧縮機22の周波数を検知する周波数検知手段、64は圧縮機に流れる電流値を検知する電流値検知手段で、いずれも制御部品40に備えられている。以下、実施の形態1、2と異なる部分についてのみ記載する。
【0062】
圧縮機検知手段62が所定の周波数f1以上の周波数を検知すると、ファン駆動制御手段56がファン54を駆動させ制御部品40の冷却を行い、制御部品40が一定温度以上となって破損するのを防止する。そして圧縮機検知手段62が所定の周波数f2以下の周波数を検知すると、ファン駆動制御手段56はファン54を駆動させず制御部品40を冷却しないで、制御部品40を必要以上に冷却して結露が生じるのを防ぐ。
【0063】
ファン54を駆動させて制御部品40の冷却が必要な圧縮機の周波数と、ファン54を停止させて制御部品40の結露を防止させる必要のある周波数を、予め把握しておくことで所定周波数f1、f2の設定が可能となり、温度検知手段がなくても結露を防止しつつ制御部品40の冷却を行って制御部品40の破損を防ぐことが可能となり、温度検知手段を用いてファン54の駆動を制御する場合に比べて安価で済む。
【0064】
また、電流値検知手段64が所定の電流値I1以上を検知すると、ファン駆動制御手段56がファン54を駆動させ制御部品40の冷却を行い、制御部品40が一定温度以上となって破損するのを防止する。そして電流値検知手段64が所定の電流値I2以下を検知
すると、ファン駆動制御手段56はファン54を駆動させず制御部品40を冷却しないで、制御部品40を必要以上に冷却して結露が生じるのを防ぐ。
【0065】
ファン54を駆動させて制御部品40の冷却が必要な電流値と、ファン54を停止させて制御部品40の結露を防止させる必要のある電流値を、予め把握しておくことで所定周波数f1、f2の設定が可能となり、温度検知手段がなくても結露を防止しつつ制御部品40の冷却を行って制御部品40の破損を防ぐことが可能となり、温度検知手段を用いてファン54の駆動を制御する場合に比べて安価で済む。
【0066】
周波数や電流値を用いてファン54の駆動と停止を制御するための閾値として周波数f1、f2や電流値I1、I2といったそれぞれ2つずつの値を設けているのは、ファン54が駆動と停止を頻繁に繰り返して故障するのを防ぐためである。
【0067】
なお上述のように、周波数検知手段62や電流値検知手段64を設けて周波数や電流値を検知しなくても、例えば制御部品に設けた周波数設定手段や電流値設定手段から、圧縮機22の駆動周波数や電流値が制御信号で圧縮機22に送られている場合には、その制御値に基づいてファン54の駆動を制御することもできる。
【0068】
また、駆動していた圧縮機22が停止した場合に、一定時間は制御部品の冷却が必要でかつ制御部品の結露の恐れがない場合は、圧縮機22の運転停止後一定時間、ファン54を駆動させて制御部品を冷却するという方法も考えられる。
【0069】
上記実施の啓太では、ファン54の駆動と停止を制御するために、周波数検知手段62もしくは電流値検知手段64のいずれかを用いて制御する方法について説明したが、両方を組み合わせて制御を行っても構わない。加えて、周波数検知手段62と電流値検知手段64のいずれかもしくは両方と、制御ボックス内温度検知手段60と外気温検知手段66のいずれかを組合せてファン54の駆動を制御することも可能である。この場合でも温度検知手段は1つで済み、温度検知手段を複数用いてファン54の駆動を制御する場合に比べて安価で済む。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、温度検知に必要な温度検知手段が1つもしくは無い場合でも結露が生じないようにしながら冷媒を用いて制御部品の温度上昇を抑えることができ、高い信頼性を備えた冷却装置およびこの冷却装置を用いた空気調和機を安価に実現することができ、冷媒を用いて制御ボックス内の空気を冷却するものであれば空気調和機に限らず、例えば冷蔵庫などの冷媒を扱うものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
20 空気調和機
22 圧縮機
24 室外熱交換器
26 減圧装置
28 室内熱交換器
40 制御部品
42 制御ボックス
44 冷却ユニット
54 ファン
56 ファン駆動制御手段
60 制御ボックス内温度検知手段
62 周波数検知手段
64 電流値検知手段
66 外気温検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、前記制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、前記ファンの駆動を制御するファン駆動制御手段と、前記制御ボックス内の温度を検知する制御ボックス内温度検知手段を有し、前記ファン駆動制御装置は前記制御ボックス内温度検知手段が所定以下の温度を検知しているときは前記ファンを停止するとともに所定以上の温度を検知すればファンを駆動させる冷却装置。
【請求項2】
制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって前記制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、前記制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、前記ファンの駆動を制御するファン駆動制御手段と、前記冷媒を圧縮する圧縮機の周波数を検知する周波数検知手段あるいは所定の周波数を設定する周波数設定手段を有し、前記ファン駆動制御装置は、前記周波数検知手段が所定以下の周波数を検知あるいは周波数設定手段が所定以下の周波数を出力しているときは前記ファンを停止するとともに、所定以上の周波数を検知あるいは所定以上の周波数を出力するとファンを駆動させる冷却装置。
【請求項3】
制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって前記制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、前記制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、前記ファンの駆動を制御するファン駆動制御手段と、前記冷媒を圧縮する圧縮機に流れる電流値を検知する電流値検知手段あるいは所定の電流値を設定する電流値設定手段を有し、前記ファン駆動制御装置は、前記電流値検知手段が所定以下の値を検知あるいは電流値設定手段が所定以下の値を出力しているときは前記ファンを停止するとともに、所定以上の値を検知あるいは所定以上の値を出力するとファンを駆動させる冷却装置。
【請求項4】
制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって前記制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、前記制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、前記ファンの駆動を制御するファン駆動制御手段と、外気温を検知する外気温検知手段を有し、前記ファン駆動制御装置は、前記外気温検知手段が所定以下の温度を検知しているときは前記ファンを停止するとともに所定以上の温度を検知すればファンを駆動させる冷却装置。
【請求項5】
冷却ユニットは複数のフィンを有するフィン構造体と、前記フィン構造体の前記フィンとは反対側面に装着した冷媒配管とで構成し、かつ、前記フィンと冷媒配管装着用の溝とは同じ方向に形成した請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
冷却ユニットは制御部品の下方に配置し、当該冷却ユニットの下方に水受け皿を配置した請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
冷却ユニットは制御部品の一部である制御基板の適所に複数のフィンを有するフィン構造体を直接取り付け、このフィン構造体のフィンは冷却ユニットを内蔵した制御ボックスの外部に露出する構成とした請求項1〜6のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項8】
制御ボックス内の空気を攪拌するファンは冷却ユニットのフィン構造体に向かって送風するように配置した請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項9】
圧縮機と、室外熱交換器と、減圧装置と、室内熱交換器と、およびこれらを接続して冷媒が流れる配管とを有する空気調和機であって、当該空気調和機の制御ボックス内に収容された制御部品を冷却する冷却装置として、請求項1〜8のいずれか1項に記載の冷却装置
を用いた空気調和機。
【請求項10】
冷却装置における制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットの冷媒は、減圧装置と室内熱交換器との間の配管を流れる冷媒とした請求項9に記載の空気調和機。
【請求項11】
冷却装置における制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットの冷媒は、圧縮機と、室外熱交換器と、減圧装置と、室内熱交換器とで構成される冷凍サイクルの一部から分流する冷媒とした請求項9に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−96642(P2013−96642A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239985(P2011−239985)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】