説明

冷却装置があるダイカスト用ガス抜き装置

【課題】
本発明は、鋳造の時、熱膨張によって生じる、アルミニウムと細かいダストなどが受圧バルブと、閉鎖バルブの摺動面の隙間に入るのを防止して、摺動を円滑にする事で、摺動面に故障が生じて行われた、生産の一時停止や、定期的な点検、バルブの交換、固定ブロックの交換等を無くして、ダイカストの生産性向上が、可能なダイカスト用ガス抜き装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
固定型ブロック(1)に、ガス抜き通路(3)の入口側に受圧バルブ(4)を配置すると共に、出口側に閉鎖バルブ(5)を配置させ、且つ、受圧バルブ(4)の動作を閉鎖バルブ(5)に伝える揺動可能な開閉レバー(6)を備えるダイカスト用ガス抜き装置に於いて、受圧バルブ(4)、閉鎖バルブ(5)とその周辺に水冷、空冷の冷却通路を設けて、熱膨張による膨張が抑えられる構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイカスト用ガス抜き装置の固定型ブロックに溶湯の入口にある受圧バルブと出口で溶湯を止める閉鎖バルブにて構成されていますが、受圧バルブと閉鎖バルブ又は、固定型ブロックと可動型ブロックに冷却路を作り、熱膨張による変形を防止して、両バルブの摺動を円滑にするガス抜き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のダイカスト金型用ガス抜き装置として特開2002-144008などがある。この構造は図5に示すように、固定型(1)と可動型(2)の間にキャビティに連通する排気通路(3)を備え、固定型(1)に、排気通路(3)の入り口側に配置する受圧バルブ(4)と出口側に配置する閉鎖バルブ(5)、及び受圧バルブ(4)の作動を閉鎖バブル(5)に伝える開閉レバー(6)を閉鎖バルブ(5)の開方向に押圧する開放機能部(11)と、開閉レバー(6)を閉鎖バルブ(5)の閉方向に押圧する閉鎖機能部を備え、可動型(2)に型開時に排気通路(3)内で凝固した余剰材料を、外部に押し出す押出ピンを備えたものである。
【0003】
図5に基づいて説明する。先ず始めに鋳造を開始すると、溶湯はキャビティに入り、ガスが発生する。中にあるガスが排気側に排出されると供に、キャビティに溶湯が充填される。その後、溶湯はガス抜き装置の入り口側から入って来る。入って来た溶湯は先ずガス抜き通路(3)に入ると供に、受圧バルブ(4)の上面に溶湯圧が加わる。すると、受圧バルブ(4)は図中の矢印のように、下方へ押す力が働くと共に開閉レバー(6)を介して閉鎖バルブ(5)にも、図中の矢印のように、下方へ押す力が働いて閉鎖バルブが閉鎖され、ガスは排気されるがアルミニウムなど細かいダストを止めるのである。
【0004】
しかし、溶湯の入り口側にある受圧バルブと、出口側にある閉鎖バルブには、常温を20℃にした場合に比べて、自動生産の時に溶湯が凝固後、金型が開き製品を取り出した後にガス抜き装置の温度を測ると、200℃から300℃まで上昇する事になる。特に入り口側の受圧バルブは高い温度に成り易いのである。
【0005】
受圧バルブ、閉鎖バルブとその摺動面は常温で決められた公差で加工しますが、鋳造始め(試運転)が終わり、温度が200℃から300℃まで上昇すると、バルブが熱膨張して、
動きが円滑にならない。
ここで熱膨張率を計算して常温で加工しますと、鋳造始め(温度が上昇する前)にバルブと摺動面の隙間に細かいダストが入り、バルブの動きが円滑にならない、また受圧バルブの動きが遅くなると、閉鎖バルブの閉鎖機能が低下して、溶湯が閉鎖バルブの中に入り、故障が生じ、その度に自動生産を中止して、中にあるアルミニウムなどを取り除かなければならなったのである。
【0006】
そして、前記の動作を振り返ると、閉鎖バルブの摺動面から細かいダストなどが真空ポンプの中に入り故障の原因になると、共にフィルタを詰まらせ、生産を一時中止しなければならなった。また、受圧バルブ、閉鎖バルブとその摺動面の寿命が短くなり、固定側ブロックを交換しなければならないなど、ダイカストの生産性が急激に低下し、コストアップになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実願2006―007236号(実用新願登録第3127031号公報)
【特許文献2】特開2002―144008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は鋳造の時、熱膨張によって生じる、アルミニウム、細かいダストなどが、受圧バルブと、閉鎖バルブの摺動面の隙間に入るのを防止して、摺動を円滑にする事で、摺動面の故障が原因で行われた、生産の一時停止や、定期的な点検、バルブと固定ブロックの交換等を無くして、コスト削減にすることを目的とする。
「課題を解決するための手段」
【0009】
本発明は上記要望に応えるために成されたものであり、つまり、ダイカスト用ガス抜き装置の固定型ブロックに、ガス抜き通路の入口側にある受圧バルブと、出口側にある閉鎖バルブ又は、固定型ブロック、可動型ブロックに水冷、空冷の通路を設けて、熱膨張による膨張を抑える手段を備えた構造とする。水冷、空冷の通路は各バルブに設けても良いが、バルブの外側にスリーブを作りスリーブに水冷、空冷の通路を設けるか、又は、可動、固定のブロックに設けても良い、また、受圧バルブと閉鎖バルブは可動型ブロックにある構造も良い。
【発明の効果】
【0010】
請求項1のように、固定型ブロック(1)に、ガス抜き通路(3)の入口側に受圧バルブ(4)を配置すると共に、出口側に閉鎖バルブ(5)を配置させ、且つ受圧バルブ(4)の動作を閉鎖バルブ(5)に伝える揺動可能な開閉レバー(6)を備えるダイカスト用ガス抜き装置に、受圧バルブと閉鎖バルブ、又は、固定型ブロック、可動型ブロックに水冷、空冷の通路を設けると、熱膨張による膨張が抑えられ、常温で加工された各バルブと摺動面の公差が守られて、受圧バルブに加わる通常の圧力でバルブが作動し、その圧力がそのまま開閉レバーに伝わり、確実に閉鎖バルブが閉鎖され、アルミニウムなどを止める事が可能となった。
従来のダイカスト用ガス抜き装置の閉鎖バルブの中にアルミニウム、細かいダストなどが入る原因は、閉鎖バルブ自体の問題より、受圧バルブと受圧バルブの摺動面の間に細かなダストなどが入り、通常の圧力で作動しなくなり、遅れて開閉レバーに圧力が伝わり、閉鎖バルブが閉じる前に、溶湯が閉鎖バルブの中に入った事が原因である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の要部を示す断面図である
【図2】本発明の実施形態の要部を示す平面図である
【図3】本実施形態の要部を示す断面図である
【図4】本発明の実施形態の要部を示す平面図である
【図5】従来のダイカスト金型用ガス抜き装置
【発明を実施するための形態】
【0012】
熱膨張が無くなり受圧バルブ、閉鎖バルブとその摺動面は常温で決められた公差で加工された通り、受圧バルブに加わる通常の圧力でバルブが作動して、その圧力がそのまま開閉レバーに伝わり、確実に閉鎖バルブが作動され、アルミニウムなどを止める事ができる、ダイカスト用ガス抜き装置が実現した。
【実施例1】
【0013】
図2は、本発明の1実施例の平面図であり、冷却穴Gから入る冷却水(空気)は図中の矢印のように閉鎖バルブに設けてある冷却路(8)を通り図中の矢印のように冷却穴Hを通じて排出される。また、冷却穴Iから入る冷却水(空気)は、図中の矢印のように受圧バルブに設けてある冷却路(7)を通り、図中の矢印のように冷却穴Jを通じて排出される。
【0014】
図4は、本発明の2実施例の平面図であり、冷却穴Aから入る冷却水(空気)は、図中の
矢印のように閉鎖バルブに設けてある冷却路(C)を通り、図中の矢印のように冷却穴Bを通じて排出される。また、冷却穴Dから入る冷却水(空気)は図中の矢印のように受圧バルブに設けてある冷却路(F)を通り、図中の矢印のように冷却穴Eを通じて排出される。
【符号の説明】
【0015】
1
固定ブロック
2
可動ブロック
3
ガス抜き通路
4
受圧バルブ
5
閉鎖バルブ
6
開閉レバー
7
受圧バルブに設けた冷却路
8
閉鎖バルブに設けた冷却路
9
受圧バルブのスリーブピン
10
閉鎖バルブのスリーブピン
11
開放手段























【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定型ブロック(1)と可動型ブロック(2)の間に、金型に形成されたキャビティに連通する通路を設けて、前記固定型ブロック(1)に前記ガス抜き通路(3)の入口側に受圧バルブ(4)を配置すると共に、出口側に閉鎖バルブ(5)を配置させ、且つ、前記受圧バルブ(4)の動作を閉鎖バルブ(5)に伝える揺動可能な開閉レバーを設けた、ダイカスト用ガス抜き装置に於いて、前記受圧バルブ(4)と前記閉鎖バルブ(5)又は、その可動ブロック(2)、固定ブロック(1)に、冷却装置を備えたことを特徴とする、ダイカスト用ガス抜き装置。




























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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