説明

冷却装置及び画像形成装置

【課題】画像形成装置に着脱可能に構成されている被冷却部の冷却に適した冷却装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置に着脱可能に装着される被冷却部に対して接触・離間可能に配設される受熱部31と、冷却液の熱を放出させる放熱部と、受熱部と放熱部との間で冷却液を循環させるための循環路と、当該循環路内で冷却液を送液するポンプとを備える冷却装置である。循環路を構成する配管37のうち、受熱部31側に配設される部分40を可撓性を有する部材で構成し、それ以外の部分を金属製の部材で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却液を用いた液冷式の冷却装置、及びその冷却装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、紙やOHPシート等の記録媒体に文字、記号等の画像を記録する方式として種々の方式が採用されている。中でも、電子写真方式は、高精細な画像を高速で形成することができることから広く使用されている。一般的に、電子写真方式の画像形成装置における画像形成工程は、光学装置で画像情報を読み込む工程と、読み込んだ画像情報に基づいて感光体上に静電潜像を書き込む工程と、感光体上に現像装置からトナーを供給してトナー像を形成する工程と、感光体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程と、転写したトナー像を記録媒体に定着する工程などから成る。
【0003】
上記画像形成工程を行う際、画像形成装置内の種々の装置の駆動によって生じた熱により装置内の温度が上昇して、様々な弊害が生じることが知られている。例えば、光学装置では、原稿をスキャンするスキャナランプや、スキャナランプを駆動させるスキャナモータが発熱し、書き込み装置においては、ポリゴンミラーを高速回転させるモータが発熱する。現像装置においては、トナーを攪拌して帯電させる際に摩擦熱が生じ、定着装置では、トナー像を熱定着するためのヒータが発熱する。また、両面印刷の場合は、定着装置によって加熱された記録媒体が両面印刷用の搬送路に送られるため、その搬送路の周辺温度が上昇する。そして、これらの熱によって装置内の温度が上昇すると、トナーが軟化して不良画像が発生したり、溶融したトナーが固まると現像装置内の可動部をロックして故障が発生したりする。また、温度上昇により、軸受け等のオイルの劣化、モータの機械的寿命の短縮、電気基板上のICの誤作動、故障、耐熱温度の低い樹脂部品の変形などの問題も生じる。従来は、このような画像形成装置内の温度上昇による弊害を防止するために、冷却ファンとダクトなどを用いた空冷式の冷却装置によって冷却を行っていた。
【0004】
しかし、近年、印刷等の処理の高速化に伴い、画像形成装置内部に備えた発熱体の数が増加している。また、画像形成装置は小型化を達成するためその構成部品は高密度化しており、それに伴い、画像形成装置内部の気流設計の最適化が困難になって、画像形成装置の内部は熱がこもりやすくなっている。また、省エネルギー化の要請から、画像定着時の消費エネルギーを少なくすべく、溶融温度の低いトナーが開発されており、特に、溶融温度の低いトナーを使用した場合は、画像形成装置内の温度上昇をこれまでよりも一層抑制する必要が生じる。このような理由から、従来の空冷方式では十分な冷却効果を得ることが困難になりつつある。そのため、より冷却能力の高い冷却方式として液冷式の冷却装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一般に、液冷式の冷却装置は、画像形成装置の温度上昇箇所に配設される受熱部と、冷却液の熱を放出させる放熱部と、受熱部と放熱部との間で冷却液を循環させるための循環路と、循環路内で冷却液を送液するポンプなどで構成される。冷却液をポンプによって受熱部と放熱部との間で循環させることにより、受熱部で吸収した熱を放熱部で放熱する。液冷式の冷却装置は、空冷式のものと異なり、空気に比べて熱容量の大きい液体冷媒(冷却液)によって熱を輸送するため、受熱特性が高く、温度上昇箇所を効果的に冷却することが可能である。
【0006】
このように、液冷式の冷却装置を備える画像形成装置は、温度上昇箇所を効果的に冷却することができるが、他方で、画像形成装置内での冷却液の液漏れに注意しなければならない。万が一、循環路を構成する配管や、配管同士を連結する継ぎ手部分などから冷却液が漏れ、電源部や画像形成部等に冷却液が付着すると、画像形成に悪影響を与えるだけでなく、故障の原因となる。
【0007】
この問題に対し、従来では、図7に示すように、受熱部31の流入口側と流出口側に設けられた各配管41,42とチューブ51,52とを連結する継ぎ手45,46を、遮蔽部材80によって形成された空間Z内に配置して、継ぎ手45,46を現像装置4を配設した画像形成部から隔離した構成が提案されている(特許文献2参照)。このように構成することで、万が一、継ぎ手45,46から冷却液が漏れても、漏れた冷却液が画像形成部等を浸すことがないようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、画像形成装置においては、現像装置や定着装置などを装置本体に対して着脱可能なユニットとして構成し、これらのユニットが故障した場合や寿命に達した場合には、そのユニットだけ交換できるようにしているものが多く開発されている。
例えば、現像装置が着脱可能に構成されている場合、この現像装置を冷却するには受熱部を現像装置に接触させて配設する必要があるが、現像装置の着脱作業を行う際は、受熱部を現像装置に対して離間させた方が、現像装置の着脱作業を行いやすくなる。
【0009】
この点、図7に示す従来の構成において、仮に、現像装置4を着脱可能に構成した場合、その着脱時に受熱部31を現像装置4から離間させることは困難である。図7において、受熱部31を現像装置4に対して離間させようとしても、受熱部31の流入口側と流出口側に設けられた各配管41,42と遮蔽部材80とが干渉するため、受熱部31をほとんど移動させることができない。このように、図7に示す従来の構成は、着脱可能なユニットを冷却するには適していないものであった。
【0010】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、画像形成装置に着脱可能に構成されている被冷却部の冷却に適した冷却装置、その冷却装置を備える画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、画像形成装置に着脱可能に装着される被冷却部に対して接触・離間可能に配設される受熱部と、冷却液の熱を放出させる放熱部と、前記受熱部と前記放熱部との間で冷却液を循環させるための循環路と、当該循環路内で冷却液を送液するポンプとを備える冷却装置であって、前記循環路を構成する配管のうち、前記受熱部側に配設される部分を可撓性を有する部材で構成し、それ以外の部分を金属製の部材で構成したものである。
【0012】
このように、循環路を構成する配管のうち、受熱部側に配設される部分を可撓性を有する部材で構成したことにより、受熱部が配管と連結されている状態でも、可撓性を有する部分が容易に変形することで、受熱部を移動させることができる。これにより、被冷却部の着脱作業を行う際、受熱部を被冷却部に対して無理なく離間させることができ、被冷却部の着脱作業が行いやすくなる。また、可撓性を有する部材で構成された部分以外は、金属製の部材で構成されているので、配管の大部分が耐久性に優れたものとなり、冷却液漏れの虞が低減する。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載の冷却装置において、前記循環路を構成する配管は、前記受熱部内を通過する受熱用配管と、受熱部への冷却液又は受熱部からの冷却液を送液する送液用配管と、前記受熱用配管の受熱部から突出した流入側及び流出側の各端部と前記送液用配管の各端部とを連結する連結用配管とを有し、当該連結用配管を可撓性を有する部材で構成し、前記受熱用配管と前記送液用配管とを金属製の部材で構成したものである。
【0014】
この場合、連結用配管を容易に変形させることができるので、受熱部を被冷却部に対して無理なく離間させることができる。一方、受熱用配管や送液用配管は、金属製の部材で構成されているので、これらの配管の耐久性が優れたものとなり、冷却液漏れの虞が低減する。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の冷却装置において、前記配管の可撓性を有する部材で構成した部分を、仕切部材を介して画像形成部と反対側に配設したものである。
【0016】
可撓性を有する部材で構成した部分を、仕切部材を介して画像形成部と反対側に配設することにより、万が一、可撓性を有する部材で構成した部分から冷却液が漏れたとしても、漏れた冷却液が画像形成部側へ流れないようにすることができる。
【0017】
請求項4の発明は、請求項3に記載の冷却装置において、前記仕切部材に前記配管を挿通させる孔部を形成し、当該孔部の大きさを、前記受熱部が前記被冷却部に対して接触又は離間する際の前記配管の移動を許容する大きさに形成したものである。
【0018】
配管を挿通させる孔部の大きさを、受熱部が被冷却部に対して接触又は離間する際の配管の移動を許容する大きさに形成することで、受熱部を被冷却部に対して無理なく接触・離間させることができるようになる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の冷却装置において、前記配管の可撓性を有する部材で構成した部分の周囲に遮蔽部材を配設したものである。
【0020】
可撓性を有する部材で構成した部分の周囲に遮蔽部材を配設することにより、万が一、可撓性を有する部材で構成した部分から冷却液が漏れても、漏れた冷却水が周囲に飛散するのを防止することができる。
【0021】
請求項6の発明は、請求項5に記載の冷却装置において、前記遮蔽部材の下方に、冷却液を受ける受け容器を配設したものである。
【0022】
遮蔽部材の下方に受け容器を配設することにより、可撓性を有する部材で構成した部分から冷却液が漏れた際に、遮蔽部材を伝って落下する冷却液を受け容器で受けて貯めておくことができる。また、受け容器に冷却液が溜まっているか否かを確認することで、冷却液漏れの発生を容易に知ることができる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項6に記載の冷却装置において、前記受け容器に冷却液が溜まったことを検知する冷却液検知手段を備えたものである。
【0024】
受け容器に冷却液が溜まったことを検知する冷却液検知手段を備えることで、液漏れの発生後、ユーザ等は、すぐに液漏れの対応処置を取ることができ、早い段階で液漏れを止めることができる。また、早い段階で液漏れを止めることができるので、受け容器の大きさを小さくすることができ省スペース化も図れる。
【0025】
請求項8の発明は、請求項6又は7に記載の冷却装置において、前記受け容器を複数配設し、各受け容器内の冷却液を送液路を介して回収する回収容器を配設したものである。
【0026】
この場合、複数の受け容器内の冷却液を送液路を介して回収容器に集めることができるので、漏れた冷却液の廃棄を容易に行えるようになる。また、受け容器内に冷却液を貯めておく必要がないので、各受け容器の大きさを小さくすることができ、省スペース化も図れる。
【0027】
請求項9の発明は、請求項8に記載の冷却装置において、前記回収容器を着脱可能に構成したものである。
【0028】
回収容器を着脱可能に構成することにより、回収容器を取り外して冷却液の容易に廃棄できるようになる。
【0029】
請求項10の発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載の冷却装置において、前記循環路内を循環する冷却液を一時的に貯留する貯留槽を設け、当該貯留槽内に貯留されている冷却液の量を検知する液量検知手段を備えたものである。
【0030】
この場合、液漏れが発生することにより貯留槽内に貯留されている冷却液が減ると、その冷却液の減少を液量検知手段で検知する。これにより、液漏れの発生後、ユーザ等は、すぐに液漏れの対応処置を取ることができ、早い段階で液漏れを止めることができる。また、この場合、外部に漏れた冷却液を検知するわけではないので、漏れた冷却液が冷却液検知手段の検知位置に到達するまでの間に蒸発して、冷却液漏れが検知されなくなる虞はない。すなわち、貯留槽内に貯留されている冷却液の量を検知することで、蒸発するような少量の液漏れでも検知することが可能となる。
【0031】
請求項11の発明は、請求項1から10のいずれか1項に記載の冷却装置を備えた画像形成装置である。
【0032】
画像形成装置が、請求項1から10のいずれか1項に記載の冷却装置を備えることで、画像形成装置に対して着脱可能な被冷却部の着脱操作性を維持しつつ、その被冷却部を冷却することが可能となり、安定した画像形成を行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、受熱部を被冷却部に対して無理なく接触・離間させることができる。これにより、被冷却部の画像形成装置に対する着脱作業を容易に行い得るようになる。また、本発明に係る冷却装置は、冷却液を循環させる配管の大部分が金属製の部材で構成されているので、耐久性に優れたものとなり、液漏れの虞が低減する。このように、本発明によれば、画像形成装置に対して着脱可能に構成された被冷却部を冷却するのに適した冷却装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る冷却装置を搭載したカラー画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
【図7】従来の冷却装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0036】
図1は、本発明に係る冷却装置を搭載したカラー画像形成装置の概略構成図である。
まず、図1を参照して、カラー画像形成装置の全体構成について説明する。
図1に示す画像形成装置100には、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の異なる色の画像を形成する4つの画像形成部1Y,1C,1M,1Bkが配設されている。各画像形成部1Y,1C,1M,1Bkは、異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
【0037】
具体的には、各画像形成部1Y,1C,1M,1Bkは、潜像担持体としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電装置3と、感光体2の表面に静電潜像を形成する書込装置6と、感光体2の表面にトナー画像を形成する現像装置4と、感光体2の表面を清掃するクリーニング装置5を備える。なお、図1では、イエローの画像形成部1Yが備える感光体2、帯電装置3、書込装置6、現像装置4、クリーニング装置5のみに符号を付しており、その他の画像形成部1C,1M,1Bkにおいては符号を省略している。
【0038】
また、各画像形成部1Y,1C,1M,1Bkの図の下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト10を有する。中間転写ベルト10は複数のローラに張架されており、それらローラのうちの1つが駆動ローラとして回転することによって、中間転写ベルト10は周回走行(回転)するように構成されている。
【0039】
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト10の内周面を押圧しており、中間転写ベルト10の押圧された部分と各感光体2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。各一次転写ローラ11は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が一次転写ローラ11に印加されるようになっている。
【0040】
また、中間転写ベルト10を張架する1つのローラに対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12は中間転写ベルト10の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト10とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ12は、一次転写ローラ11と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ12に印加されるようになっている。
【0041】
また、画像形成装置100には、紙やOHPシート等の記録媒体Pを上記二次転写ニップへ供給する給紙部13と、給紙された記録媒体Pの搬送タイミングを調整するためのレジストローラ対14と、記録媒体Pに画像を定着させる定着装置8とが配設されている。
【0042】
図1を参照して上記画像形成装置の作像動作について説明する。
作像動作が開始されると、各画像形成部1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が回転駆動され、帯電装置3によって各感光体2の表面が所定の極性に一様に帯電される。図示しない読取装置によって読み取られた原稿の画像情報に基づいて、書込装置6から各感光体2の帯電する表面にレーザ光が照射されて、各感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、書込装置6によって各感光体2の表面に書き込まれる画像情報は、所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0043】
中間転写ベルト10を張架するローラの1つが回転駆動し、中間転写ベルト10を周回走行させる。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト10上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト10はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、中間転写ベルト10に転写しきれなかった各感光体2上のトナーは、クリーニング装置5によって除去される。
【0044】
また、作像動作が開始されると、給紙部13から記録媒体Pが供給される。供給された記録媒体Pは、レジストローラ対14によって一旦停止され、その後タイミングを計られて、二次転写ローラ12と中間転写ベルト10との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12には、中間転写ベルト10上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト10上のトナー画像が記録媒体P上に一括して転写される。その後、記録媒体Pは定着装置8に送り込まれ、トナー画像が記録媒体P上に定着される。そして、記録媒体Pは機外の図示しない排紙トレイに排出されストックされる。
【0045】
以上の説明は、記録媒体にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つの画像形成部1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの画像形成部を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0046】
次に、本発明に係る冷却装置の構成について説明する。
図1に示すように、画像形成装置100内には、画像形成装置の温度上昇箇所を冷却するための冷却装置9が配設されている。この冷却装置9は液冷式の冷却装置である。具体的に、冷却装置9は、受熱部31と、放熱部30と、ポンプ32と、タンク35と、これらを接続し冷却液を循環させるための循環路を構成する配管37等で構成されている。本実施形態では、放熱部30には、ラジエータ33と、ラジエータ33に送風するファン34とが設けられている。また、冷却液には、防錆剤を含有した不凍液などが用いられる。
【0047】
ここでは、冷却装置9によって冷却される被冷却部を、各画像形成部1Y,1C,1M,1Bkが有する現像装置4としており、各現像装置4に受熱部31を接触させて配設している。なお、図1では、イエローの画像形成部1Yに設けられた受熱部31のみ図示しており、その他の画像形成部1C,1M,1Bkにおいては受熱部31を図示省略している。
【0048】
上記冷却装置9は、以下のように動作する。
放熱部30によって冷却された冷却液が、ポンプ32によって受熱部31へと送られる。そして、受熱部31において、現像装置4の熱が冷却液に伝達され現像装置4が冷却される。また、現像装置4からの熱により受熱部31内で温度上昇した冷却液は、タンク35、ポンプ32を経て、再び放熱部30へと送られ、そこで冷却される。このように、冷却液を受熱部31と放熱部30との間で循環させることにより、受熱部31での吸熱と放熱部30での放熱のサイクルを繰り返し行う。その結果、現像装置4の温度上昇が抑制され、異常画像の発生が回避される。また、タンク35は、ラジエータ33からの冷却液を一時的に貯留する貯留槽として機能する。これにより、循環路内での大きな圧力変動が生じるのを防止している。
【0049】
以下、冷却装置の具体的構成について詳しく説明する。
図2は、第1実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
図2に示す4つの受熱部31は、上記各画像形成部1Y,1C,1M,1Bkが有する4つの現像装置4のそれぞれに対応して配設された各受熱部31である。各受熱部31同士の間は、循環路を構成する配管37によって互いに連結されている。ここで、配管37は、受熱用配管38と、送液用配管39と、連結用配管40とを有する。
【0050】
受熱用配管38は、受熱部31内を通過するように配設されている。この受熱用配管38を冷却液が通過する際に、受熱部31が現像装置4から受けた熱が受熱用配管38を介して冷却液に伝達される。本実施形態では、受熱用配管38を、熱伝導性の良い銅製のパイプで構成している。
【0051】
送液用配管39は、受熱部31への冷却液又は受熱部31からの冷却液を送液する配管である。具体的には、受熱部31同士を連結する送液用配管39と、受熱部31と上記放熱部30又はタンク35等とを連結する送液用配管39がある。本実施形態では、各送液用配管39として、アルミニウム製のパイプを用いている。
【0052】
連結用配管40は、受熱用配管38の受熱部31から突出した流入側及び流出側の各端部38a,38bと送液用配管39の端部39a,39bとを連結する配管である。連結用配管40はそれぞれ可撓性を有する部材で構成されており、本実施形態では、その材料として弾性部材としてのゴムを用いている。
【0053】
また、各受熱部31を配設している空間Aと、送液用配管39及び連結用配管40を配設している空間Bは、仕切部材としての金属製の側板55によって仕切られている。側板55には4つの孔部56が形成されており、各孔部56には受熱用配管38の受熱部31から突出した部分が挿通されている。
【0054】
ところで、本実施形態において、各現像装置4は、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されている。なお、現像装置4の着脱は、現像装置4単独で行ってもよいし、感光体2等と一体的に行う場合であってもよい。また、この現像装置4の着脱作業を行いやすくするために、各受熱部31は、対応する現像装置4に対して図示しない接離機構により接触・離間可能に構成されている。
【0055】
上記のように、本実施形態では、循環路を構成する配管37のうち、受熱部31側に設けられている連結用配管40が可撓性を有する部材で構成されているので、受熱部31が配管37と連結されている状態でも、連結用配管40が容易に変形することで、受熱部31を移動させることが可能である。これにより、現像装置4の着脱作業を行う際、対応する受熱部31を現像装置4に対して無理なく離間させることができ、現像装置4の着脱作業が行いやすくなる。
【0056】
また、受熱部31を現像装置4に対して接触又は離間させる際、受熱部31と一緒に受熱用配管38も移動するが、このとき、受熱用配管38が孔部56の縁と干渉してその移動が妨げられないように、孔部56の大きさは、受熱用配管38の移動を許容する大きさに形成されている。
【0057】
一方、配管37のうち、連結用配管40以外の全ての部分(受熱用配管38と送液用配管39)は金属製の部材で構成されているので、配管37の大部分が耐久性に優れたものとなり、冷却液漏れの虞が低減する。なお、受熱用配管38と送液用配管39は、銅又はアルミニウム以外の金属製の部材で構成してもよいが、受熱用配管38には、銅やアルミニウム等の熱伝導性の良い材料を適用することが好ましい。
【0058】
また、万が一、連結用配管40から冷却液が漏れたとしても、連結用配管40は側板55を介して現像装置4等を配設している画像形成部側の空間Aとは反対側に配設されているので、漏れた冷却液が画像形成部側へ流れないようにすることができる。連結用配管40は、短い方が冷却液漏れが生じた場合の被害を少なくすることができるが、連結用配管40の長さは、構成材料の耐久性、受熱部31の移動距離や方向などにより決定すればよい。
【0059】
図3は、第2実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
図3に示す実施形態では、連結用配管40の周囲に遮蔽部材60を配設している。それ以外は、上記第1実施形態と同様の構成となっている。この遮蔽部材60は、コ字型断面の二部材61,62を向かい合わせに嵌め合わせて構成された角筒状の部材である。また、遮蔽部材60は、側板55にネジなどの締結部材で固定するための脚部63を有している。図3に示す例では、遮蔽部材60の上端及び下端は、連結用配管40の上端及び下端よりも10mmずつ上方及び下方に配設されるように構成してある。
【0060】
このように、図3に示す実施形態では、連結用配管40の周囲に遮蔽部材60を配設しているので、万が一、連結用配管40から冷却液が漏れても、漏れた冷却水が周囲に飛散するのを防止することができる。これにより、冷却液が画像形成部側へ流れるのをより高度に防止することができるようになる。なお、遮蔽部材60の上端及び下端の各開口部は、冷却液の飛散を防止する観点からは、小さい方が好ましい。ただし、下端の開口部は、受熱部31の接離動作に伴う受熱用配管38の移動を許容する大きさを確保しておく必要がある。
【0061】
図4は、第3実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
図4に示す第3実施形態は、図3に示す上記第2実施形態の構成に加え、さらに、遮蔽部材60の下方に冷却液を受ける受け容器65を配設したものである。それ以外は、第2実施形態と同様の構成となっている。受け容器65は、ネジなどの締結具で側板55に固定されている。
【0062】
このように、図4に示す実施形態では、遮蔽部材60の下方に受け容器65を配設しているので、連結用配管40から冷却液が漏れた際に、遮蔽部材60を伝って落下する冷却液を受け容器65で受けて貯めておくことができる。これにより、冷却液が画像形成部側へ流れるのをより高度に防止することができる。また、受け容器65に冷却液が溜まっているか否かを確認することで、冷却液漏れの発生を容易に知ることができる。特に、本実施形態のように、複数の連結用配管40を有している場合は、受け容器65を確認することで、液漏れの発生箇所を特定しやすくなる。
【0063】
図5は、第4実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
図5に示す第4実施形態は、図4に示す第3実施形態の構成に加え、さらに、受け容器65に冷却液が溜まったことを検知する冷却液検知手段として、SUS製の2本の電極ピン67を配設したものである。2本の電極ピン67のうち、一方には電圧がかけられ、受け容器65内に冷却液が溜まると電極ピン67間に電流が流れて液漏れを検知する仕組みである。また、この電極ピン67が液漏れの検知した際、それを音、光、あるいは操作パネルへの表示などの図示しない報知手段によってユーザ等に報知するようになっている。
【0064】
これにより、液漏れの発生後、ユーザ等は、すぐにポンプの駆動を停止するなどの対応処置を取ることができ、早い段階で液漏れを止めることができる。また、早い段階で液漏れを止めることができるので、受け容器65の大きさを小さくすることができ省スペース化も図れる。なお、電極ピン67にかける電圧は冷却液の物性に影響を与えない(例えば、電気分解等を起こさない)電圧とするのがよい。また、電圧は電極ピン67に常時かけられているよりは、間欠的にかけられている方が望ましい。
【0065】
図6は、第5実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
図6に示す第5実施形態は、図4又は図5に示す受け容器65を備える実施形態の構成に、さらに、各受け容器65内の冷却液を一箇所に集めて回収するための回収容器68を配設したものである。各受け容器65には、回収容器68に冷却液を送るための送液路としての送りチューブ69が設けてある。それ以外は、図4又は図5に示す実施形態と同様の構成となっている。
【0066】
通常、送りチューブ69に冷却液は通過しないので、送りチューブ69の冷却液に対する耐久性は一時的なものでよい。このため、送りチューブ69には、例えば樹脂製チューブ等の安価なものを選択するとよい。また、図6に示す例では、回収容器68は板金を絞り加工して形成されたものであるが、金型を用いて形成された容器でもよい。また、回収容器68の大きさは、漏れ出る虞のある冷却液の量を想定して決定すればよい。
【0067】
このように、図6に示す実施形態では、回収容器68を配設したことにより、各受け容器65内の冷却液を一箇所に集めることができるので、漏れた冷却液の廃棄を容易に行えるようになる。また、これにより、受け容器65内に冷却液を貯めておく必要がなくなるので、各受け容器65の大きさを小さくすることができ、省スペース化も図れる。また、回収容器68を着脱可能に構成してもよい。この場合、回収容器68を取り外すことで、冷却液の廃棄作業がさらに容易となる。なお、回収容器68の配置は、図6に示す位置に限定されることはなく、ユーザ等が取り扱いしやすい位置に回収容器68を配置すればよい。
【0068】
また、図示省略するが、図1に示すタンク35内に貯留されている冷却液の量を検知する液量検知手段を設けてもよい。この場合、液漏れが発生すると、タンク35内に貯留されている冷却液の量が減るため、これを液量検知手段で検知することにより液漏れの発生をユーザ等に報知することができる。上記図6に示す実施形態では、回収容器68に電極ピン67等の冷却液検知手段を設けても、漏れた冷却液が少量の場合、その冷却液が回収容器68に到達する途中で蒸発してしまうと、液漏れを検知できない可能性がある。これに対し、タンク35に液量検知手段を設けた場合は、蒸発するような少量の液漏れでも検知することが可能である。
【0069】
以上のように、本発明に係る冷却装置では、循環路を構成する配管のうち、受熱部側に配設される部分(上記実施形態における連結用配管40)を可撓性を有する部材で構成しているので、受熱部を現像装置に対して無理なく離間させることができる。このため、現像装置の着脱作業を容易に行うことができる。また、配管のうち、可撓性を有する部材で構成された部分以外は、金属製の部材で構成されているので、大部分が耐久性に優れたものとなり、液漏れの虞が低減する。このように、本発明によれば、画像形成装置に対して着脱可能に構成された被冷却部を冷却するのに適した冷却装置を提供することが可能である。
【0070】
なお、受熱部で冷却する対象は、現像装置に限定されるものではない。例えば、感光体や定着装置等が画像形成装置に着脱可能に構成されている場合、これらに対しても受熱部を接触・離間可能に配設することが可能である。
【0071】
また、上述の実施形態では、本発明に係る冷却装置を4つの感光体を横方向に並べた4色タンデム型の電子写真方式の画像形成装置に搭載した場合を例に挙げて説明したが、1色のみ使用するモノクロ画像形成装置や、5色以上の色を使用するカラー画像形成装置、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等にも、本発明に係る冷却装置を搭載可能である。
【符号の説明】
【0072】
4 現像装置
9 冷却装置
30 放熱部
31 受熱部
32 ポンプ
35 タンク(貯留槽)
37 配管
38 受熱用配管
39 送液用配管
40 連結用配管
55 側板(仕切部材)
56 孔部
60 遮蔽部材
65 受け容器
67 電極ピン(冷却液検知手段)
68 回収容器
69 送りチューブ(送液路)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特開2007−24985号公報
【特許文献2】特開2010−20090号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に着脱可能に装着される被冷却部に対して接触・離間可能に配設される受熱部と、冷却液の熱を放出させる放熱部と、前記受熱部と前記放熱部との間で冷却液を循環させるための循環路と、当該循環路内で冷却液を送液するポンプとを備える冷却装置であって、
前記循環路を構成する配管のうち、前記受熱部側に配設される部分を可撓性を有する部材で構成し、それ以外の部分を金属製の部材で構成したことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記循環路を構成する配管は、前記受熱部内を通過する受熱用配管と、受熱部への冷却液又は受熱部からの冷却液を送液する送液用配管と、前記受熱用配管の受熱部から突出した流入側及び流出側の各端部と前記送液用配管の各端部とを連結する連結用配管とを有し、
当該連結用配管を可撓性を有する部材で構成し、前記受熱用配管と前記送液用配管とを金属製の部材で構成した請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記配管の可撓性を有する部材で構成した部分を、仕切部材を介して画像形成部と反対側に配設した請求項1又は2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記仕切部材に前記配管を挿通させる孔部を形成し、当該孔部の大きさを、前記受熱部が前記被冷却部に対して接触又は離間する際の前記配管の移動を許容する大きさに形成した請求項3に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記配管の可撓性を有する部材で構成した部分の周囲に遮蔽部材を配設した請求項1から4のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記遮蔽部材の下方に、冷却液を受ける受け容器を配設した請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記受け容器に冷却液が溜まったことを検知する冷却液検知手段を備えた請求項6に記載の冷却装装置。
【請求項8】
前記受け容器を複数配設し、各受け容器内の冷却液を送液路を介して回収する回収容器を配設した請求項6又は7に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記回収容器を着脱可能に構成した請求項8に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記循環路内を循環する冷却液を一時的に貯留する貯留槽を設け、当該貯留槽内に貯留されている冷却液の量を検知する液量検知手段を備えた請求項1から9のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の冷却装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−226046(P2012−226046A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92039(P2011−92039)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】