説明

冷却装置

【課題】小型化された密閉筐体内の放熱、冷却を効率的に行うことができる、コンパクトで熱効率に優れた熱交換器を備えた冷却装置を提供する。
【解決手段】発熱素子を内部に備えた密閉された筐体の内部の熱を外部に放散するための冷却装置であって、筐体の外側に全体が配置された、筐体内の空気が循環する内気側空間部および内気側空間部に水平方向に隣接して設けられた、外気が循環する外気側空間部と、内気側空間部と外気側空間部を気密に仕切る仕切板と、仕切板を貫通して、内気側空間部から外気側空間部にわたって配置される少なくとも1本のヒートパイプと、ヒートパイプに熱的に接続される複数の放熱フィンと、内気側空間部の空気を循環する第1のファンと、外気側空間部の空気を循環する第2のファンとを備えていることを特徴とする冷却装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信器材等の密閉筐体を冷却する冷却装置、特に小型化された密閉筐体の熱を効率的に放熱する熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷媒(流体A)と水(流体B)との間で熱交換する熱交換器、筐体内の昇温した空気と、筐体外の外気との間で熱交換する熱交換器等が広く用いられている。筐体内の昇温した空気と、筐体外の外気との間で熱交換する熱交換器の例として、特許文献1に密閉筐体の放熱機構が開示されている。図4は、特許文献1に開示された密閉筐体の放熱機構を説明する図である。図4に示すように、密閉筐体102内に、LSI、IC等が実装された電子機器101が配置されている。放熱フィン104を備えたヒートパイプ103が筐体102の内部および外部にわたって配置されている。
【0003】
即ち、概ねU字形に曲げられた棒状のヒートパイプ103の一方の側が、蒸発器として機能して筐体内に配置され、他方の側が、凝縮器として機能して筐体外に配置されている。誘導板108が密閉筐体102内のヒートパイプ103の蒸発器下部に斜めに取り付けられている。この放熱機構100によると、電子機器101のLSI、IC等が動作することにより、密閉筐体102内部のLSI、ICのジャンクション温度および筐体内部の空気温度が上昇する。その結果、浮力によって上昇空気が発生する。上昇空気は誘導板108により、ヒートパイプ103と放熱フィン104によって構成される自然空冷方式ヒートパイプ熱交換器の蒸発器サイドおよび上部に誘導される。
【0004】
次に、上昇空気は、ヒートパイプ103の蒸発器と放熱フィン104に接触して、熱交換される。その結果、熱交換された空気は密度が高く重くなり下降空気となり誘導板108により、下方に誘導される。このようにして下降した冷却空気によって電子機器が冷却され、熱交換によって昇温した空気が上述したように上昇空気となってヒートパイプ103および放熱フィン104に向かって進む。この繰り返しによって、密閉された筐体内の冷却が行われる。
【0005】
筐体内の昇温した空気と、筐体外の外気との間で熱交換する熱交換器の他の例として、特許文献2に密閉筐体内冷却装置が開示されている。図5は、文献2に開示された密閉筐体内冷却装置を説明する図である。図5に示すように、密閉筐体内冷却装置200は、内部に携帯電話の無線中継装置が収納された密閉筐体201と、筐体内に設けられて筐体内の空気と筐体外の空気とを熱交換させる熱交換装置202と、筐体上に配置された太陽光発電パネル203と、太陽光発電パネルで得られた電力を利用して筐体内を冷却する冷却手段204とを備えている。
【0006】
筐体201内が所定以上の温度になると、筐体内空気送風機207および筐体外空気送風機208が駆動される。筐体201内の高温空気は、フード216に導かれて筐体内空気入口209からケーシング205内に入り、熱交換器206の筐体内空気通路217を通過して筐体内空気出口210から筐体内に戻される。一方、筐体外の低温空気は、開口212および筐体外空気入口213からケーシング205内に入り、熱交換器206の筐体外空気通路218を通過して筐体外空気出口215および開口214から筐体外に排出される。このようにして、熱交換器206において筐体内空気と筐体外空気とが熱交換をし、筐体内空気が冷却される。このとき、筐体内空気は筐体内空気通路217を下向きに流れ、筐体外空気は筐体外空気通路218を上向きに流れるので両者は対向流となり、熱交換効率が向上する。
【0007】
これと同時に、太陽光発電パネル203により得られた電力を用いてポンプ231および送風機234も駆動され、冷却流体が冷却流体循環管230内で循環されるとともに、放熱フィン233に風が送られる。筐体内空気は、ケーシング205内に入る前に、冷却流体循環管230の受熱部230aの受熱フィン232間を通過し、冷却流体循環管230を流れる冷却流体に熱を奪われて冷却される。従って、筐体内空気は、熱交換装置202で冷却される前に、冷却手段204によって冷却されることになり、筐体内空気の冷却効率が向上する。筐体内空気から熱を奪った冷却流体は、放熱部230bに至り、送風機234により放熱フィン233に送られている風に放熱する。このようにして、筐体内の冷却が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−244683号公報
【特許文献2】特開2005−210088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したような熱交換器によると、密閉された筐体内の熱を効率的に筐体外に移動して、筐体内の冷却を行うことが可能である。しかし、特許文献1に開示された密閉筐体の放熱機構および特許文献2に開示された密閉筐体内冷却装置は、何れも筐体内に冷却装置の主要な一部が配置されている。密閉筐体が十分に大きい場合には、放熱、冷却装置の主要な部分を筐体内に配置して、筐体内の冷却を行うことができる。
【0010】
しかし、一方で、通信機器や表示盤などの発熱を伴う密閉筐体の小型化が強く要求され、進められている。従って、小型化された密閉筐体内には使用可能なスペースに限りがあり、放熱、冷却装置の筐体内への配置が制限されてきている。このように、密閉筐体の小型化に伴い、密閉筐体内に放熱冷却装置の主要な部分を配置して、密閉筐体内の熱を効率的に筐体外に移動することができないという問題点がある。
【0011】
従って、この発明の目的は、小型化された密閉筐体内の放熱、冷却を効率的に行うことができる、コンパクトで熱効率に優れた熱交換器を備えた冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、以下のことが判明した。
即ち、従来のようにヒートパイプを縦方向に配置して、密閉筐体内部に主要な部分を突出して配置するのではなく、ヒートパイプの全体を密閉筐体の外部に配置し、密閉筐体内から取り入れた昇温した内気をヒートパイプの一方の端部に接続させて熱をヒートパイプに移動し、ヒートパイプの一方の端部から他方の端部に移動し、仕切板で気密に仕切られた他方の端部において外気に接続させて冷却する。このようにヒートパイプの作動液の液相、気相による相変化によって、密閉筐体外に全体を配置して、コンパクトで熱効率に優れた熱交換器を備えた冷却装置を得ることができることが判明した。
【0013】
更に、内気が循環する空間部と外気が循環する空間部を気密に仕切る仕切板を斜めに配置し、ヒートパイプの内気側の端部が下方に位置するように、傾斜して配置することによって、他方の端部において凝縮した作動液が内気側の端部へ移動しやすく、より熱効率を高めることができることが判明した。
【0014】
この発明は、上記研究結果に基づいてなされたものであって、この発明の冷却装置の第1の態様は、発熱素子を内部に備えた筐体の内部の熱を外部に放散するための冷却装置であって、前記筐体の外壁に配置された、前記筐体内の空気が循環する内気側空間部および前記内気側空間部に水平方向に隣接して設けられた、外気が循環する外気側空間部と、前記内気側空間部と前記外気側空間部を気密に仕切る仕切板と、前記仕切板を貫通して、前記内気側空間部から前記外気側空間部にわたって配置される少なくとも1本のヒートパイプと、前記ヒートパイプに熱的に接続される複数の放熱フィンと、前記内気側空間部の空気を循環する第1のファンと、前記外気側空間部の空気を循環する第2のファンとを備えていることを特徴とする冷却装置である。
【0015】
この発明の冷却装置の第2の態様は、前記ヒートパイプが前記筐体の前記外壁に対して水平または、内気側空間部側を下にして傾斜して設けられていることを特徴とする冷却装置である。
【0016】
この発明の冷却装置の第3の態様は、前記内気側空間部は、前記筐体内部から内気を取り出す内気吸入口と前記筐体内部に戻す内気戻し口とを備え、前記第1のファンは、内気の循環に対して、前記放熱フィンよりも前記内気吸入口側に配置されていることを特徴とする冷却装置である。
【0017】
この発明の冷却装置の第4の態様は、前記第1のファンが、前記ヒートパイプの長軸方向と平行に放熱フィンに面して配置されていることを特徴とする冷却装置である。
【0018】
この発明の冷却装置の第5の態様は、前記外気側空間部は、外気吸入口および外気排出口を備え、前記第2のファンが前記外気吸入口に配置されていることを特徴とする冷却装置である。
【0019】
この発明の冷却装置の第6の態様は、前記外気排出口は、前記外気側空間部の上部以外の面に形成されていることを特徴とする冷却装置である。
【0020】
この発明の冷却装置の第7の態様は、前記内気側空間部は、液戻り防止構造を有したことを特徴とする冷却装置である。
【発明の効果】
【0021】
この発明によると、ヒートパイプを縦方向に配置して、密閉筐体内部に主要な部分を突出して配置するのではなく、ヒートパイプの全体を密閉筐体の外部に配置し、密閉筐体内から取り入れた昇温した内気をヒートパイプの一方の端部に接続させて熱をヒートパイプに移動し、ヒートパイプの一方の端部から他方の端部に移動し、仕切板で気密に仕切られた他方の端部において外気に接続させて冷却する。このようにヒートパイプの作動液の液相、気相による相変化によって、密閉筐体外に配置して、コンパクトで熱効率に優れた熱交換器を備えた冷却装置を得ることができる。
【0022】
更に、内気側空間部において生じた液状物が筐体内に戻るのを防止する防止装置を備えているので、内気側空間部に、内気の冷却によって液化した液状物が筐体内に戻ることを防止して、筐体内の汚染、および、精密機器部分の作動に及ぼす影響を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、図1は、この発明の冷却装置の1つの態様を説明する概略断面図である。
【図2】図2は、図1を参照して説明した冷却装置の斜視図である。
【図3】図3は、この発明の冷却装置の他の1つの態様を説明する概略断面図である。
【図4】図4は、特許文献1に開示された密閉筐体の放熱機構を説明する図である。
【図5】図5は、文献2に開示された密閉筐体内冷却装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の冷却装置の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
この発明の冷却装置の1つの態様は、発熱素子を内部に備えた筐体の内部の熱を外部に放散するための冷却装置であって、前記筐体の外壁に配置された、前記筐体内の空気が循環する内気側空間部および前記内気側空間部に水平方向に隣接して設けられた、外気が循環する外気側空間部と、前記内気側空間部と前記外気側空間部を気密に仕切る仕切板と、前記仕切板を貫通して、前記内気側空間部から前記外気側空間部にわたって配置される少なくとも1本のヒートパイプと、前記ヒートパイプに熱的に接続される複数の放熱フィンと、前記内気側空間部の空気を循環する第1のファンと、前記外気側空間部の空気を循環する第2のファンとを備えていることを特徴とする冷却装置である。
【0025】
図1は、この発明の冷却装置の1つの態様を説明する概略断面図である。本発明の冷却装置は、通信器材等が内蔵された筐体の例えば天井側に配置される冷却装置1である。即ちこの態様の冷却装置1は、筐体の外側即ち外壁に全体が配置されて、発熱素子を内部に備えた密閉された筐体の内部の熱を外部に放散する。
【0026】
図1に示すように、冷却装置1は、筐体内の空気が循環する内気側空間部2と、内気側空間部2に水平方向に隣接して設けられた、外気が循環する外気側空間部3とを備えている。上述した内気側空間部2と外気側空間部3とを気密に仕切る仕切板4を更に備えている。即ち、内気側空間部2と外気側空間部3とが仕切板によって仕切られ、それぞれ別々に内気、外気が循環し、内気および外気が混合することはない。
【0027】
仕切板を貫通して、内気側空間部2から外気側空間部3にわたって少なくとも1本のヒートパイプ5が配置されている。図1に示す態様では、ヒートパイプの上側に位置する端部が外気側空間部内に位置し、下側に位置する端部が内気側空間部内に位置している。このように、冷却装置1は、仕切板によってそれぞれ気密に分離された状態で、ヒートパイプ5によって内気側空間部2と外気側空間部3との間を熱が移動する機能を備えている。内気側空間部2および外気側空間部3に位置するヒートパイプ5の部分には、それぞれ複数の薄板状の放熱フィン6が熱的に接続されて取り付けられている。
【0028】
内気側空間部2には、内気を吸入する内気吸入口10および吸入された内気を、筐体内に戻す内気戻し口11が備えられており、外気側空間部3には、外気を吸入する外気吸入口12および吸入された外気を、外気側に戻す外気排出口9が備えられている。
【0029】
上述した内気側空間部2において、内気を吸入し、筐体内に内気を戻すために、内気側空間部2内に第1のファン8が取り付けられている。この発明の冷却装置1の1つの態様においては、図1に示すように、ヒートパイプ5に熱的に接続され、並列に配置された複数の放熱フィン6の側方から放熱フィン6間を通って内気が流れるように第1のファン8が取り付けられている。内気側空間部2内に配置される内気吸入口10および内気戻し口11は、第1のファン8によって、内気が内気吸入口10から第1のファン8を通り、放熱フィン6間を通って内気戻し口11を通って密閉された筐体内に流れる循環経路を形成するような位置にそれぞれ配置される。
【0030】
同様に、上述した外気側空間部3において、外気を吸入し、外気側に戻すために外気側空間部3内に第2のファン7が取り付けられている。この発明の冷却装置1の1つの態様においては、図1に示すように、冷却装置1の長手方向の一方の端部に第2のファン7が取り付けられている。
【0031】
外気側空間部3においては、外気排出口9が、ヒートパイプ5に熱的に接続された放熱フィン6の上方側面側に設けられている。即ち、第2のファン7によって、外気吸入口12から外気側空間部3に取り入れられた外気が、ヒートパイプ5に熱的に接続され、並列に配置された複数の放熱フィン6間を通って、外気排出口9から外気側に戻るように、外気の循環経路が形成される。
【0032】
上述したように、発熱素子が内蔵され密閉された筐体内において発熱素子の熱で昇温した内気を、内気吸入口10から内気側空間部2に取り込み、第1のファン8によって、昇温した内気がヒートパイプ5に熱的に接続され並列に配置された放熱フィン6に吹き付けられる。この際、昇温した内気の熱が放熱フィン6を介してヒートパイプ5の吸熱部に移動して、ヒートパイプ5に内蔵された作動液が蒸発する。蒸発した作動液は、ヒートパイプ5内を、外気側空間部3に位置する放熱部に移動する。
【0033】
外気側空間部3においては、外気吸入口12から外気側空間部3に取り入れられた冷たい外気が、第2のファン7によって、ヒートパイプ5に熱的に接続され並列に配置された放熱フィン6に吹き付けられる。上述したように、ヒートパイプ5に内蔵された作動液が内気側空間部2に位置する吸熱部において蒸発し、蒸発した作動液は、ヒートパイプ5内を、外気側空間部3に位置する放熱部に移動する。
【0034】
このように外気側空間部3に位置する放熱部に冷たい外気が吹き付けられて、ヒートパイプ5内を移動してきた蒸発した作動液が凝縮する。その際、熱を放熱フィン6との間において交換して、外気側空間部3内の空気の温度が上昇する。
【0035】
ヒートパイプ5内の作動液は液状に戻り、重力によって、内気側空間部2に位置する吸熱部に戻り、上述したような蒸発・凝縮を繰り返し、大量の熱を内気側空間部2から外気側空間部3に移動する。
【0036】
図2は、図1を参照して説明した冷却装置の斜視図である。説明を容易にするために、冷却装置の上面に位置する上板を取り除いた状態で示している。図2に示すように、冷却装置1の側面13には、上述した外気排出口9が設けられている。図2においては、上板が取り除かれているが、作動状態においては上板によって上側面が塞がれて、冷却装置1の側面13に向かって熱交換によって温度が上昇した外気が排出される。
【0037】
更に、内気側空間部2には、図1を参照して説明したように、ヒートパイプ5に熱的に接続され、並列に配置された複数の放熱フィン6の側方から放熱フィン6間を通って内気が流れるように第1のファン8が取り付けられている。その一部が図2に示されている。外気側空間部3には、外気側空間部3に位置する端部が上に位置し、斜めに配置された複数のヒートパイプ6およびヒートパイプ6に熱的に接続された放熱フィン5が並列配置されている。
【0038】
図3は、この発明の冷却装置の他の1つの態様を説明する概略断面図である。この態様においては、仕切板4によって気密に分離された内気側空間部2および外気側空間部3を貫通して設けられたヒートパイプ5が水平に近い傾斜で配置されている。この態様においても、図1を参照して説明したように、内気側空間部2には、内気を吸入する内気吸入口10および吸入された内気を、筐体内に戻す内気戻し口11が備えられており、外気側空間部3には、外気を吸入する外気吸入口12および吸入された外気を、外気側に戻す外気排出口9が備えられている。
【0039】
この態様においては、配置されるヒートパイプ5が水平、または水平に近い傾斜であるので、冷却装置1の高さが制限された状態での配置に適している。なお、水平、または水平に近い傾斜でヒートパイプ5が配置されているので、放熱部から吸熱部への作動液の戻りを容易にするために、ヒートパイプ5の内部にグルーブ等を設けたり、ウイックを設けて、毛細管力を強化して、重力による作動液の移動を毛細管力で補い、所謂、作動液のドライアウトを防止する処置が必要である。
【0040】
上述した態様においては、外気側空間部3における外気排出口9は冷却装置1の両側に設けられているが、一方の側面にだけ設けられてもよい。
なお、発熱素子が内蔵され密閉された筐体の中で、発熱素子の熱によって温度が上昇した内気が内気側空間部2に取り込まれて、ヒートパイプ5によって熱が外気側空間部3に移動される際に、内気側空間部2に、内気の冷却によって液化した液状物が生じることがある。このような液状物には、油類が含まれていることがあり、そのまま筐体内に戻されると、筐体内を汚染したり、精密機器部分の作動に影響を及ぼすことがある。冷却装置1は、このように内気側空間部2において生じた液状物が筐体内に戻るのを防止する液戻り防止構造を備えていてもよい。
【0041】
防止構造として、例えば、図1に示すように、内気戻し口11が、放熱フィンの直下を避けて外気側空間部に張り出した部分に設けられている。これと連携して、図1に示す斜めに配置された仕切板は、下部に段差を設けて外気側空間部側に突き出た形状にして、内気戻し口を放熱フィンの直下を避けた配置にしている。このように配置によって液状物が直接筐体内に戻るのを防止する防止装置がある。
【0042】
更に、上述した防止構造が、内気戻し口の周囲を囲むように設けられた所定の高さの堰からなっていてもよい。このように所定の高さの堰を設けることによって、液状物の筐体内への戻りを確実に防止することができる。更に、上述した防止装置が、放熱フィン6の直下に設けられた(図示しない)ドレインパンからなっており、ドレインパンには(図示しない)ドレン抜き機構が備えられていてもよい。この態様では、ドレインパンによって液状物を積極的に回収し、ドレン抜き機構によって内気側空間部から外部に排出することができる。
【0043】
仕切板4の気密性を向上させるために、仕切板4としてシリコン・エポキシ樹脂などを充填した板を使用してもよい。なお、図1から3を参照して説明したこの発明の冷却装置1においては、筐体の天井側に全体が配置されているが、筐体の側方に全体を配置してもよい。
【0044】
その際、筐体に、内気側空間部2が接続され、内気側空間部2と水平に外気側空間部3が配置される。この態様の冷却装置においても、内気取り入れ口10から昇温した内気を取り込みヒートパイプ5によって熱移動して冷却された空気を筐体の中に戻して、筐体内を冷却する。
【0045】
上述したように、この発明によると、小型化された密閉筐体内の放熱、冷却を効率的に行うことができる、コンパクトで熱効率に優れた熱交換器を備えた冷却装置を提供するができる。
【符号の説明】
【0046】
1 冷却装置
2 内気側空間部
3 外気側空間部
4 仕切板
5 ヒートパイプ
6 放熱フィン
7 第2のファン
8 第1のファン
9 外気排気口
10 内気吸入口
11 内気戻し口
12 外気吸入口
13 冷却装置の側面
100 従来の放熱機構
101 電子機器
102 密閉筐体
103 ヒートパイプ
104 放熱フィン
108 誘導板
200 従来の密閉筐体内冷却装置
201 密閉筐体
202 熱交換装置
203 太陽光発電パネル
204 冷却手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱素子を内部に備えた筐体の内部の熱を外部に放散するための冷却装置であって、
前記筐体の外壁に配置された、前記筐体内の空気が循環する内気側空間部、および前記内気側空間部に水平方向に隣接して設けられた、外気が循環する外気側空間部と、
前記内気側空間部と前記外気側空間部を気密に仕切る仕切板と、
前記仕切板を貫通して、前記内気側空間部から前記外気側空間部にわたって配置される少なくとも1本のヒートパイプと、
前記ヒートパイプに熱的に接続される複数の放熱フィンと、
前記内気側空間部の空気を循環する第1のファンと、
前記外気側空間部の空気を循環する第2のファンとを備えていることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記ヒートパイプが前記筐体の前記外壁に対して水平または、内気側空間部側を下にして傾斜して設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記内気側空間部は、前記筐体内部から内気を取り出す内気吸入口と、前記筐体内部に戻す内気戻し口とを備え、前記第1のファンは、内気の循環に対して、前記放熱フィンよりも前記内気吸入口側に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記第1のファンが、前記ヒートパイプの長軸方向と垂直に形成された複数の放熱フィン間に内気を流すように配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記外気側空間部は、外気吸入口および外気排出口を備え、前記第2のファンが前記外気吸入口に配置されていることを特徴とする、請求項1から4の何れか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記外気排出口は、前記外気側空間部の上部以外の面に形成されていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記内気側空間部は、内気の冷却によって生じる液状物が前記筐体内に戻ることを防止する液戻り防止構造を有していることを特徴とする、請求項1から6の何れか1項に記載の冷却装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−206098(P2010−206098A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52372(P2009−52372)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】