説明

冷媒回路

【目的】信頼性が高く安価な冷媒回路を提供することを目的とする。
【構成】アイスバンクセンサ93が出力している信号が所定量以上のアイスバンクB量を示し、一方ではオーガ式製氷機20の貯氷量センサ94が出力している信号が所定量以下の貯氷量を示すと、第一冷媒弁8を閉じて第二冷媒弁21を開き、第二冷媒弁21を通過した低温低圧の液冷媒は製氷機用蒸発器25で蒸発し、その蒸発潜熱で飲料水を製氷筒内壁面に着氷させ、この製氷筒内壁面の薄氷をオーガを回転させて掻き取りながら押し上げて押出しヘッドで圧縮して製氷が行われ、アイスバンクセンサ93と貯氷量センサ94がアイスバンクB量と貯氷量ともに所定量以上の信号を出力すると、制御部90は圧縮機2と送風機5の運転停止後、所定時間経過すると第二冷媒弁21を閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロップや希釈水を冷やす冷却水槽と飲料水を冷やして氷を製造するオーガ式製氷機を設けてカップ飲料を調製して販売するカップ式自動販売機や缶飲料を冷やして販売する缶自動販売機に備えられる冷媒回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シロップと希釈水の混合液に氷を投入して調整したコールド飲料を販売するカップ式自動販売機が知られている。このようなカップ式自動販売機では、貨幣が投入されてコールド飲料選択ボタンが押されると、カップ供給装置から供給されたカップに冷却水槽で冷やされたシロップと希釈水が注入されて混合され、さらにオーガ式製氷機で製氷されて貯蔵してある氷が投入されて調整されたコールド飲料が販売口から利用者に販売される。このように、カップ式自動販売機にはコールド飲料を調整して販売するために、シロップや希釈水を冷やす冷却水槽と、飲料水を冷やして氷を製造するオーガ式製氷機と、冷却水槽とオーガ式製氷機を冷却する冷媒回路が備えられている。
冷却水槽は、側面および底面を断熱壁で構成し、その上方を開口した略直方体の水槽にシロップや希釈水を冷やす冷却水を貯留している。そして金属パイプをコイル状に巻回した冷媒回路の蒸発パイプ(以下「冷却水用蒸発器」という)を冷却水中に浸漬し、液冷媒を蒸発させたときに発生する蒸発潜熱(気化熱)で冷却水用蒸発器の周域にアイスバンク(氷魂)を形成し、このアイスバンクの蓄熱を利用して冷却水の温度を略0℃に保つようにしている。さらに、冷却水中に浸漬してある冷却水用蒸発器近傍には、ステンレス製のパイプをコイル状に巻回した複数の冷却パイプが販売するコールド飲料の原料であるシロップ数と希釈水に対応させて冷却水中に浸漬してある。
【0003】
また、コールド飲料を調製するときに使用する氷を製造するオーガ式製氷機は飲料水タンクから供給された飲料水を冷やして製氷する製氷部と、製氷された氷を簀の子上に貯氷する貯氷部とから構成されている。
製氷部は、駆動モータと、駆動モータの回転を減速して伝達する減速機を介して連結されたオーガ(スクリュー状の回転式切削刃)と、オーガが挿通される製氷筒と、製氷筒の外周面に巻装された冷媒回路の蒸発パイプ(以下「製氷機用蒸発器」という)と、オーガの上方に設けられた氷圧縮用の押出しヘッドと、製氷筒および製氷機用蒸発器を包囲する断熱材とを備え、製氷筒の外周面に巻装された製氷機用蒸発器を通流する冷媒の蒸発潜熱で飲料水タンクから供給された飲料水を製氷筒内壁面に着氷させ、この製氷筒内壁面の薄氷をオーガを回転させて掻き取りながら押し上げて押出しヘッドで圧縮して氷を製造する。
貯氷部は、断面円形状の断熱壁で構成した貯氷室を製氷部の上部に配設し、その内部にはオーガと同軸の回転軸に取り付けられた氷片攪拌用のアジテータと、アジテータと貯氷室の底部との間に配設された氷載置用の簀の子(氷が溶けた溶け水を水切りする役目も有している)を備えている。
【0004】
冷媒回路は、作動媒体としての低温低圧のガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒とする圧縮機と、圧縮機で圧縮されて高温高圧になったガス冷媒を送風機から送られる空気で冷却して液化させて低温高圧の液冷媒とする凝縮器と、冷却水槽の冷却水中に浸漬されている冷却水用蒸発器と、オーガ式製氷機の製氷筒外周面に巻装されている製氷機用蒸発器と、低温高圧の液冷媒をキャピラリチューブで絞り膨張させて低温低圧の液冷媒として冷却水用蒸発器に供給する第一冷媒弁と、低温高圧の液冷媒を膨張弁で絞り膨張させて低温低圧の液冷媒として製氷機用蒸発器に供給する第二冷媒弁と、冷媒が通流する冷媒管路とから構成され、冷却水用蒸発器および製氷機用蒸発器に供給された液冷媒は蒸発する際に蒸発潜熱を発生し、蒸発してガス化した低温低圧のガス冷媒は圧縮機に戻り、再度圧縮されて高温高圧のガス冷媒となり凝縮器に送られる(例えば、特許文献1参照)。
自動販売機は電源容量あるいは省エネルギーの観点から最大消費電力を抑える必要があり、また、小型で安価に構成するためにも、冷媒回路の圧縮機の冷却能力は冷却水槽でのアイスバンクの形成あるいはオーガ式製氷機での製氷のどちらか一方のみを行える能力に抑えられていて、アイスバンク形成の要求が生じたときには第一冷媒弁を開き、第二冷媒弁は閉じたままで圧縮機と送風機を運転するようにし、製氷の要求が生じたときには第一冷媒弁は閉じたままで第二冷媒弁を開いて圧縮機と送風機を運転して製氷する。
【0005】
例えば、オーガ式製氷機の貯氷量が所定量以上で冷却水槽のアイスバンク量が所定量以下になると、圧縮機と送風機を始動すると同時に第二冷媒弁は閉じたままで第一冷媒弁を開くことで、圧縮機で圧縮された高温高圧のガス冷媒は凝縮器で低温高圧の液冷媒となり、第一冷媒弁を通過してキャピラリチューブで絞り膨張した低温低圧の液冷媒は冷却水用蒸発器で蒸発し、その蒸発潜熱でアイスバンク量を増量する。このようにして、アイスバンク量が所定量以上になると圧縮機と送風機を停止すると同時に第一冷媒弁を閉じる。また、オーガ式製氷機の貯氷量が所定量以下になると、圧縮機と送風機を始動すると同時に第一冷媒弁は閉じたままで第二冷媒弁を開くことで、第二冷媒弁を通過して膨張弁で絞り膨張した低温低圧の液冷媒は製氷機用蒸発器で蒸発し、その蒸発潜熱で飲料水タンクから供給された飲料水を製氷筒内壁面に着氷させ、この製氷筒内壁面の薄氷をオーガを回転させて掻き取りながら押し上げて押出しヘッドで圧縮して製氷が行われ、貯氷量が所定量以上になると圧縮機と送風機を停止すると同時に第二冷媒弁も閉じている。
また、アイスバンク形成要求と製氷要求とが同時に生じたときには、圧縮機と送風機を運転して第一冷媒弁と第二冷媒弁とを交互に開き、冷却水槽のアイスバンク形成とオーガ式製氷機の製氷とを交互に行い、アイスバンク量と貯氷量が所定量以上になると圧縮機と送風機を停止すると同時に冷媒弁も閉じるようにしている。
【特許文献1】特開平8−287345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
圧縮機の運転を停止した後は、圧縮機の冷媒吐出側と第一冷媒弁および第二冷媒弁を連通させている冷媒管路は高圧の状態で閉塞され、また、第一冷媒弁および第二冷媒弁と圧縮機の冷媒吸入側を連通させている冷媒管路は低圧の状態で閉塞されている。
しかしながら、このように圧縮機の冷媒吐出側と吸入側の差圧が大きいと圧縮機の電動機に大きい始動トルクが要求されることから始動不良が生じ、このような圧縮機の始動不良を繰り返すと圧縮機を破損させる虞がある。このように、圧縮機の電動機に大きい始動トルクが要求されると圧縮機が大型化して高価となる。
本発明は、上記実情に鑑みて、信頼性が高く安価な冷媒回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る冷媒回路は、低温低圧のガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒とする圧縮機と、前記圧縮機で高温高圧としたガス冷媒を放熱させて液化して低温高圧の液冷媒とする凝縮器と、前記凝縮器で液化した液冷媒を蒸発させて蒸発潜熱を発生させ、低温低圧のガス冷媒として前記圧縮機に帰還させる蒸発器と、並列接続させた前記蒸発器おのおのの上流側に前記凝縮器で液化した液冷媒を当該蒸発器に供給する開閉弁と、を設けた冷媒回路において、
前記圧縮機を運転するときは少なくとも一つの前記開閉弁を開いて前記蒸発器に液冷媒を供給して運転し、前記圧縮機を停止したときにも少なくとも一つの前記開閉弁を開いておくように制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る冷媒回路は、上述した請求項1において、並列接続させた前記蒸発器は、シロップや希釈水を冷やす冷却水槽と飲料水を冷やして氷を製造するオーガ式製氷機を有してカップ飲料を調製して販売するカップ式自動販売機に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、冷媒回路の圧縮機を運転するときは少なくとも一つの開閉弁を開いて蒸発器に液冷媒を供給して運転し、圧縮機の運転を停止したときにも少なくとも一つの開閉弁を開いておくように制御する制御手段を備えたことにより、圧縮機の運転を停止後、冷媒回路内の高圧冷媒が冷媒弁を通過して低圧側に移動することが容易となるので、圧縮機の冷媒吐出側と吸入側の圧力を短時間で確実に均衡させることができる。圧縮機の運転を停止後に短時間で確実に冷媒吐出側と吸入側の圧力均衡を保つことができるようになると、圧縮機の運転始動時の電動機負荷を確実に下げることができるので、圧縮機の始動不良を防止でき、圧縮機を破損させる虞をなくして冷媒回路の信頼性を高めることができる。また、圧縮機の電動機に大きい始動トルクが要求されなくなるので電動機を小型にすることができ、圧縮機を小型化して信頼性が高く安価な冷媒回路を提供することが可能となる。
また、請求項2の発明によれば、カップ飲料を調製して販売するカップ式自動販売機に設けられている冷媒回路の圧縮機を小型化して信頼性を高めて安価にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る冷媒回路の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は本発明の実施の形態である冷媒回路をカップ式自動販売機に備えた概念図である。図1に示すように、冷媒回路1は、作動媒体としての低温低圧のガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒とする圧縮機2と、圧縮機2で圧縮されて高温高圧になったガス冷媒を送風機5の運転で送られる空気との熱交換で放熱させて液化して低温高圧の液冷媒とする凝縮器4にガス冷媒を送出するガス冷媒管路3と、液冷媒中の塵埃や水分を除去して浄化するドライヤ6と、冷媒管路9、22に液冷媒を分配するT型フィッティング7と、弁を開くと凝縮器4で液化された液冷媒を冷媒管路9に通流させてキャピラリチューブ11を介して冷却水用蒸発器12に供給する第一冷媒弁8と、凝縮器4で液化された低温高圧の液冷媒を絞り膨張させて圧力をさげて低温低圧の液冷媒とするキャピラリチューブ11と、冷却水槽10の冷却水W中に浸漬され、液冷媒を蒸発させたときに発生する蒸発潜熱(気化熱)でその周域に着氷させたアイスバンクB(氷魂)との熱交換により冷却水Wの温度を略0℃に保つ冷却水用蒸発器12と、弁を開くと凝縮器4で液化された液冷媒を冷媒管路22に通流させて膨張弁24を介して製氷機用蒸発器25に供給する第二冷媒弁21と、冷媒管路22、23を着脱可能に結合する自己シール型のクイックカップリング22a、23aと、凝縮器4で液化された低温高圧の液冷媒を絞り膨張させて圧力をさげて低温低圧の液冷媒とする膨張弁24と、オーガ式製氷機20の製氷筒の外周面に巻装され、液冷媒を蒸発させたときに発生する蒸発潜熱(気化熱)で飲料水タンク(図示せず)から供給された飲料水を製氷筒内壁面に着氷させる製氷機用蒸発器25と、製氷機用蒸発器25で蒸発してガス化した低温低圧のガス冷媒を圧縮機2に戻す冷媒管路26、27を着脱可能に結合する自己シール型のクイックカップリング26a、27aと、冷却水用蒸発器12および製氷機用蒸発器25から圧縮機2に帰還させるガス冷媒を合流させるT型フィッティング13と、ガス冷媒および油が冷却水用蒸発器12および製氷機用蒸発器25に逆流することを防止する逆止弁15と、冷却水用蒸発器12および製氷機用蒸発器25で蒸発しきれなかった液冷媒を貯めて圧縮機2への流入を防止するアキュムレータ16と、T型フィッティング13で合流したガス冷媒を逆止弁15、アキュムレータ16を介して圧縮機2に戻す冷媒管路14と、を備え、冷媒は図中矢印方向に通流する。
【0010】
図2は、冷媒回路1の制御系を示したブロック図である。同図に示すように制御部(制御手段)90にはメモリ91やタイマー92等が付設されている。制御部90は、メモリ91に記憶している所定の指令信号やタイマー92、および冷却水槽10の冷却水W中に浸漬されている冷却水用蒸発器12の周域に着氷させたアイスバンクB量を検出して検出信号を出力するアイスバンクセンサ93、オーガ式製氷機20の貯氷量を検出して検出信号を出力する貯氷量センサ94からの入力信号に基づいて信号を出力して、圧縮機2、送風機5、オーガ式製氷機20を運転し、第一冷媒弁8、第二冷媒弁21の弁を開閉する。
係る構成で、本発明の冷媒回路1の動作を説明する。オーガ式製氷機20の貯氷量センサ94が出力している信号が所定量以上の貯氷量を示していて、冷却水槽10のアイスバンクセンサ93が出力している信号が所定量以下のアイスバンクB量を示すと、制御部90は圧縮機2と送風機5の運転を始動して第二冷媒弁21は閉じたままで第一冷媒弁8を開くことにより、圧縮機2で圧縮されて高温高圧となったガス冷媒は凝縮器4で低温高圧の液冷媒となり、第一冷媒弁8を通過してキャピラリチューブ11で絞り膨張した低温低圧の液冷媒は冷却水用蒸発器12で蒸発し、その蒸発潜熱でアイスバンクBを増量する。このようにしてアイスバンクBが増量し、アイスバンクセンサ93が出力している信号が所定量以上のアイスバンクB量を示し、一方ではオーガ式製氷機20の貯氷量センサ94が出力している信号が所定量以下の貯氷量を示すと、第一冷媒弁8を閉じて第二冷媒弁21を開くことで、第二冷媒弁21を通過して膨張弁24で絞り膨張した低温低圧の液冷媒は製氷機用蒸発器25で蒸発し、その蒸発潜熱で飲料水タンク(図示せず)から供給された飲料水を製氷筒内壁面に着氷させ、この製氷筒内壁面の薄氷をオーガを回転させて掻き取りながら押し上げて押出しヘッドで圧縮して製氷が行われ、アイスバンクセンサ93と貯氷量センサ94がアイスバンクB量と貯氷量ともに所定量以上の信号を出力すると、制御部90は圧縮機2と送風機5の運転を停止した後も第二冷媒弁21を開き続け、所定時間A(例えば10分間)経過すると第二冷媒弁21を閉じる(図3(a)参照)。
【0011】
このように、圧縮機2の運転を停止した後にも第二冷媒弁21を所定時間A開いていると、圧縮機2の運転停止後、冷媒回路1内の高圧冷媒が第二冷媒弁21を通過して低圧側に移動することが容易となるので、圧縮機2の冷媒吐出側と吸入側の圧力を短時間で確実に均衡させることができる。圧縮機2の運転を停止後に短時間で確実に冷媒吐出側と吸入側の圧力均衡を保つことができるようになると、圧縮機2の運転始動時の電動機負荷を確実に下げることができるので、圧縮機2の始動不良を防止でき、圧縮機2を破損させる虞をなくして冷媒回路1の信頼性を高めることができる。また、圧縮機2の電動機に大きい始動トルクが要求されなくなるので電動機を小型にすることができ、圧縮機2を小型化して安価な冷媒回路1を提供することが可能となる。
なお、アイスバンクセンサ93と貯氷量センサ94がアイスバンクB量と貯氷量ともに所定量以上の信号を出力すると圧縮機2と送風機5の運転を停止した後も第二冷媒弁21を開き続けて所定時間A経過すると第二冷媒弁21を閉じる実施例で説明しているが、アイスバンクセンサ93と貯氷量センサ94が出力している信号がアイスバンクB量と貯氷量ともに所定量以上を示して圧縮機2と送風機5の運転を停止するときに第二冷媒弁21を閉じて第一冷媒弁8を所定時間A開くようにしてもよい(図3(b)参照)。このようにしても、圧縮機2の運転を停止後、冷媒回路1内の高圧冷媒が第一冷媒弁8を通過して低圧側に移動することが容易となるので、圧縮機2の冷媒吐出側と吸入側の圧力を短時間で確実に均衡させることができる。圧縮機2の運転を停止後に短時間で確実に冷媒吐出側と吸入側の圧力均衡を保つことができるようになると、圧縮機2の運転始動時の電動機負荷を確実に下げることができるので、圧縮機2の始動不良を防止でき、圧縮機2を破損させる虞をなくして冷媒回路1の信頼性を高めることができる。また、圧縮機2の電動機に大きい始動トルクが要求されなくなるので電動機を小型にすることができ、圧縮機2を小型化して安価な冷媒回路1を提供することが可能となる。
【0012】
さらに、アイスバンクセンサ93と貯氷量センサ94が出力している信号がアイスバンクB量と貯氷量ともに所定量以上を示して圧縮機2と送風機5の運転を停止した後に第一冷媒弁8および第二冷媒弁21を所定時間A開くようにしてもよい(図3(c)参照)。このようにすると、圧縮機2の運転停止後、冷媒回路1内の高圧冷媒が第一冷媒弁8および第二冷媒弁21を通過して低圧側に速やかに移動することが容易となるので、圧縮機2の冷媒吐出側と吸入側の圧力をさらに短時間で確実に均衡させることができる。圧縮機2の運転を停止後、さらに短時間で確実に冷媒吐出側と吸入側の圧力均衡を保つことができるようになると、圧縮機2の運転始動時の電動機負荷を確実に下げることができるので、圧縮機2の始動不良を防止でき、圧縮機2を破損させる虞をなくして冷媒回路1の信頼性を高めることができる。また、圧縮機2の電動機に大きい始動トルクが要求されなくなるので電動機を小型にすることができ、圧縮機2を小型化して安価な冷媒回路1を提供することが可能となる。
冷却水槽10のアイスバンクB形成要求とオーガ式製氷機20の製氷要求とが同時に生じたときには、圧縮機2と送風機5を運転して第一冷媒弁8と第二冷媒弁21とを交互に開き、アイスバンクB形成と製氷とを交互に行い、アイスバンクB量と貯氷量が所定量以上になり、圧縮機2と送風機5の運転を停止する場合にも、上述しているように、圧縮機2と送風機5の運転停止時に開いている冷媒弁を開き続けて所定時間A経過すると閉じる。または、開いている冷媒弁を閉じて他の冷媒弁を所定時間A開く。さらに、開いている冷媒弁と他の冷媒弁を所定時間A開くようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における冷媒回路を示す概略図である。
【図2】図1に示した冷媒回路の制御系を示したブロック図である。
【図3】図1に示した冷媒回路の制御部の制御を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0014】
1 冷媒回路
2 圧縮機
4 凝縮器
5 送風機
8 第一冷媒弁
10 冷却水槽
11 キャピラリチューブ
12 冷却水用蒸発器
20 オーガ式製氷機
21 第二冷媒弁
24 膨張弁
25 製氷機用蒸発器
90 制御部(制御手段)
93 アイスバンクセンサ
94 貯氷量センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温低圧のガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒とする圧縮機と、前記圧縮機で高温高圧としたガス冷媒を放熱させて液化して低温高圧の液冷媒とする凝縮器と、前記凝縮器で液化した液冷媒を蒸発させて蒸発潜熱を発生させ、低温低圧のガス冷媒として前記圧縮機に帰還させる蒸発器と、並列接続させた前記蒸発器おのおのの上流側に前記凝縮器で液化した液冷媒を当該蒸発器に供給する開閉弁と、を設けた冷媒回路において、
前記圧縮機を運転するときは少なくとも一つの前記開閉弁を開いて前記蒸発器に液冷媒を供給して運転し、前記圧縮機を停止したときにも少なくとも一つの前記開閉弁を開いておくように制御する制御手段を備えたことを特徴とする冷媒回路。
【請求項2】
並列接続させた前記蒸発器は、シロップや希釈水を冷やす冷却水槽と飲料水を冷やして氷を製造するオーガ式製氷機を有してカップ飲料を調製して販売するカップ式自動販売機に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷媒回路。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−127893(P2009−127893A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301230(P2007−301230)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】