説明

冷温水給湯装置

【課題】冷房運転から蓄熱運転に切り替えられた場合、低温の流体による蓄熱タンクの蓄熱タンクの温度(蓄熱熱量)低下を抑制でき、エネルギーロスを低減した冷温水給湯装置を提供すること。
【解決手段】冷温水給湯装置10は、圧縮機21、冷媒対流体熱交換器22、減圧手段23、冷媒対空気熱交換器24が環状に接続された冷媒回路2と、循環手段54、冷媒対流体熱交換器22、流路切替弁60、負荷側熱交換器53が環状に接続された流体回路5と、流路切替弁60とを制御する制御装置4とを備え、冷房運転から蓄熱運転へ変更要求があり、かつ温度センサで検出される流体温度が所定温度未満の場合には、冷房運転を継続し、流体温度が所定温度以上のときに、流路切替弁60を切り替えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプを用いて室内空間の冷暖房や蓄熱タンクへの蓄熱を行う冷温水給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷媒回路の冷媒対流体熱交換器の蒸発潜熱を利用して低温の流体を生成して循環させ、負荷側熱交換器が吸熱を行なって室内空間を冷却する冷房運転を行なったり、冷媒対流体熱交換器の凝縮潜熱を利用して高温の流体を生成して循環させ、流体が蓄熱タンクを加熱する蓄熱運転を行なったりする冷温水給湯装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図6に示すような冷凍サイクル装置100を用いて室内空間の冷暖房や蓄熱タンク300への蓄熱を行うことが開示されている。
【0004】
この冷凍サイクル装置100は、冷媒を循環させる冷媒回路110、圧縮機111、四方弁112、冷媒対流体熱交換器113、減圧手段114、空気対流体熱交換器115が配管により環状に接続されて構成されている。
【0005】
冷媒対流体熱交換器113は、冷媒回路110と、流体回路210とを備えている。流体回路210は、冷媒対流体熱交換器113、循環手段220、流路切替弁230を備えている。流路切替弁230を切り替えて、流体を負荷側熱交換器や蓄熱タンク300へ流通させる。負荷側熱交換器は、熱交換器と送風ファンを備えたファンコイルユニット等である。
【0006】
冷房運転の場合、冷媒対流体熱交換器113で生成した低温の流体は流路切替弁230を経由して負荷側熱交換器へ流通し、負荷側熱交換器を介して室内空間から吸熱して室内空間を冷却した後、冷媒対流体熱交換器113へ戻り流体回路210を循環する。
【0007】
蓄熱運転の場合、冷凍サイクル装置100は四方弁112を切り替え、冷房運転の場合と比べ、冷媒の流れる方向を逆転させる。
【0008】
冷媒対流体熱交換器113で生成した高温の流体は流路切替弁230を経由して蓄熱タンク300へ流通し、蓄熱タンク300へ放熱して蓄熱タンク300を加熱し蓄熱した後、冷媒対流体熱交換器113へ戻り流体回路210を循環する。蓄熱タンク300内で加熱された流体は、給湯等に使われる。
【0009】
冷房運転から蓄熱運転へ切り替える場合や、蓄熱運転から冷房運転へ切り替える場合は、流路切替弁230を切り替える。
【0010】
このように、冷媒対流体熱交換器113で低温の流体や高温の流体を生成し、流路切替弁230を切り替えて流体を搬送している。
【0011】
つまり、流路切替弁230を切り替えることにより、冷媒対流体熱交換器113から流出した流体の搬送先を変えて、冷房運転の場合に室内空間の冷却を行ったり、蓄熱運転の場合に蓄熱タンク300を加熱し蓄熱を行ったりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2204620号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前記従来の構成では冷房運転から蓄熱運転に切り替えられた場合、冷媒対流体熱交換器と流路切替弁との間に滞留している低温の流体が蓄熱タンクへ流通する。
【0014】
その結果、低温の流体が蓄熱タンクから吸熱するため、蓄熱運転直後に蓄熱タンクは冷却されて温度が低下し、その後ヒートポンプによる蓄熱タンクの加熱が行われたため、蓄熱タンクの加熱に時間を要し、エネルギー利用効率が低下していた。
【0015】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、冷房運転から蓄熱運転に切り替えられた場合、低温の流体による蓄熱タンクの蓄熱タンクの温度(蓄熱熱量)低下を抑制でき、エネルギーロスを低減した冷温水給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記従来の課題を解決するために、本発明の冷温水給湯装置は、圧縮機、冷媒対流体熱交換器、減圧手段、冷媒対空気熱交換器が接続された冷媒回路と、循環手段、前記冷媒対流体熱交換器、流路切替手段、負荷側熱交換器が環状に接続された流体回路と、前記流体回路から前記流路切替手段を介して分岐し、蓄熱タンクを経由して前記負荷側熱交換器と前記冷媒対流体熱交換器との間の前記流体回路に接続された蓄熱回路と、前記冷媒対流体熱交換器にて加熱された流体温度を検出する温度センサと、制御装置とを備え、前記負荷側熱交換器における冷房運転から、前記流路切替手段を経由した流体が前記蓄熱タンクを加熱する蓄熱運転への変更要求があり、かつ、前記温度センサで検出される流体温度が所定温度未満の場合には、冷房運転を継続することを特徴とするものである。
【0017】
これによって、流体温度が所定温度未満の場合は、流体が蓄熱タンクに流入すると蓄熱タンク内の温水が冷却されると判断し、流路切替手段の負荷側熱交換器側への接続を維持し、所定温度未満の流体を負荷側熱交換器に流入させることで、所定温度未満の流体が蓄熱タンクへ流入しない。
【0018】
その結果、所定温度未満の流体が蓄熱タンクへ流入せず、蓄熱タンクの温度低下を防止できるため、蓄熱タンクにおける蓄熱熱量の低減、即ちエネルギーロスの防止が可能となる。
【0019】
また、本発明の冷温水給湯装置は、圧縮機、冷媒対流体熱交換器、減圧手段、冷媒対空気熱交換器が接続された冷媒回路と、循環手段、前記冷媒対流体熱交換器、流路切替手段、負荷側熱交換器が環状に接続された流体回路と、前記流体回路から前記流路切替手段を介して分岐し、蓄熱タンクを経由して前記負荷側熱交換器と前記冷媒対流体熱交換器との間の前記流体回路に接続された蓄熱回路と、前記冷媒対流体熱交換器にて加熱された流体温度を検出する温度センサと、制御装置とを備え、前記負荷側熱交換器における冷房運転から、前記流路切替手段を経由した流体が前記蓄熱タンクを加熱する蓄熱運転へ変更した後、前記温度センサで検出される流体温度が所定温度以上の場合には、前記流体を前記冷媒対流体熱交換器と前記蓄熱回路との間で循環させ、前記温度センサで検出される流体温度が所定温度未満の場合には、前記循環手段の運転動作を停止または前記流体回路における循環量を低下させることを特徴とするものである。
【0020】
これによって、冷媒対流体熱交換器内の流体が加熱されて蓄熱タンクへ搬送される。その後、流体温度が所定温度以上になった場合は、流体が蓄熱タンクに流入しても蓄熱タンク内の温水が冷却されないことを判断した上で、加熱された流体を蓄熱タンクに流入させ
る。
【0021】
一方、流体温度が所定温度未満の場合には、循環手段を間欠運転させることにより、蓄熱タンクへ搬送される低温の流体の容積を、冷媒対流体熱交換器出口と流路切替手段との接続配管内に存在する容積に抑制する。流体温度が所定温度未満の場合でも、従来に比べ、蓄熱タンクへ搬送される低温の流体の容積が減少する。
【0022】
その結果、流体温度が所定温度未満の場合でも、蓄熱タンクから吸熱される熱量が減少して蓄熱タンクの温度低下を抑制でき、蓄熱タンクにおける蓄熱熱量の低減、即ちエネルギーロスの防止が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、冷房運転から蓄熱運転に切り替えられた場合、低温の流体による蓄熱タンクの蓄熱タンクの温度(蓄熱熱量)低下を抑制でき、エネルギーロスを低減した冷温水給湯装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における冷温水給湯装置の流体回路の概略説明図(冷房運転)
【図2】同冷温水給湯装置の流体回路の概略説明図(蓄熱運転)
【図3】同冷温水給湯装置の運転動作フローチャート
【図4】本発明の実施の形態2における冷温水給湯装置の運転動作フローチャート
【図5】同冷温水給湯装置の流体回路の概略説明図(蓄熱運転)
【図6】従来の冷温水給湯装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0025】
第1の発明は、圧縮機、冷媒対流体熱交換器、減圧手段、冷媒対空気熱交換器が接続された冷媒回路と、循環手段、前記冷媒対流体熱交換器、流路切替手段、負荷側熱交換器が環状に接続された流体回路と、前記流体回路から前記流路切替手段を介して分岐し、蓄熱タンクを経由して前記負荷側熱交換器と前記冷媒対流体熱交換器との間の前記流体回路に接続された蓄熱回路と、前記冷媒対流体熱交換器にて加熱された流体温度を検出する温度センサと、制御装置とを備え、前記負荷側熱交換器における冷房運転から、前記流路切替手段を経由した流体が前記蓄熱タンクを加熱する蓄熱運転への変更要求があり、かつ、前記温度センサで検出される流体温度が所定温度未満の場合には、冷房運転を継続することを特徴とする冷温水給湯装置である。
【0026】
これによって、流体温度が所定温度未満の場合は、流体が蓄熱タンクに流入すると蓄熱タンク内の温水が冷却されると判断し、流路切替手段の負荷側熱交換器側への接続を維持し、所定温度未満の流体を負荷側熱交換器に流入させることで、所定温度未満の流体が蓄熱タンクへ流入しない。
【0027】
その結果、所定温度未満の流体が蓄熱タンクへ流入せず、蓄熱タンクの温度低下を防止できるため、蓄熱タンクにおける蓄熱熱量の低減、即ちエネルギーロスの防止が可能となる。
【0028】
第2の発明は、特に、第1の発明における冷温水給湯装置において、前記冷房運転から前記蓄熱運転への変更要求があり、かつ、前記温度センサで検出される流体温度が所定温度以上の場合には、前記流路切替手段を前記蓄熱回路側へ切り替えて、前記流体を前記冷媒対流体熱交換器と前記蓄熱回路とを循環させることを特徴とするものである。
【0029】
これによって、冷房運転から蓄熱運転に変更された後、冷媒対流体熱交換器を介して流体が加熱されて流体温度が上昇していく。その後、流体温度が所定温度以上になり、流体が蓄熱タンクに流入しても蓄熱タンク内の温水が冷却されないことを判断した上で、流路切替手段を蓄熱回路側へ切り替えることにより、加熱された流体を蓄熱タンクに流入させる。
【0030】
その結果、所定温度以上の流体を蓄熱タンクに流入させることができ、効果的に蓄熱タンクへの蓄熱が可能となる。
【0031】
第3の発明は、圧縮機、冷媒対流体熱交換器、減圧手段、冷媒対空気熱交換器が接続された冷媒回路と、循環手段、前記冷媒対流体熱交換器、流路切替手段、負荷側熱交換器が環状に接続された流体回路と、前記流体回路から前記流路切替手段を介して分岐し、蓄熱タンクを経由して前記負荷側熱交換器と前記冷媒対流体熱交換器との間の前記流体回路に接続された蓄熱回路と、前記冷媒対流体熱交換器にて加熱された流体温度を検出する温度センサと、制御装置とを備え、前記負荷側熱交換器における冷房運転から、前記流路切替手段を経由した流体が前記蓄熱タンクを加熱する蓄熱運転へ変更した後、前記温度センサで検出される流体温度が所定温度以上の場合には、前記流体を前記冷媒対流体熱交換器と前記蓄熱回路との間で循環させ、前記温度センサで検出される流体温度が所定温度未満の場合には、前記循環手段の運転動作を停止または前記流体回路における循環量を低下させることを特徴とする冷温水給湯装置である。
【0032】
これによって、冷媒対流体熱交換器内の流体が加熱されて蓄熱タンクへ搬送される。その後、流体温度が所定温度以上になった場合は、流体が蓄熱タンクに流入しても蓄熱タンク内の温水が冷却されないことを判断した上で、加熱された流体を蓄熱タンクに流入させる。
【0033】
一方、流体温度が所定温度未満の場合には、循環手段を間欠運転させることにより、蓄熱タンクへ搬送される低温の流体の容積を、冷媒対流体熱交換器出口と流路切替手段との接続配管内に存在する容積に抑制する。流体温度が所定温度未満の場合でも、従来に比べ、蓄熱タンクへ搬送される低温の流体の容積が減少する。
【0034】
その結果、流体温度が所定温度未満の場合でも、蓄熱タンクから吸熱される熱量が減少して蓄熱タンクの温度低下を抑制でき、蓄熱タンクにおける蓄熱熱量の低減、即ちエネルギーロスの防止が可能となる。
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0036】
(実施の形態1)
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る冷温水給湯装置10を示す。この冷温水給湯装置10は、冷凍サイクル装置1と、流体回路5と、負荷側熱交換器53と、蓄熱タンク55とを備えている。
【0037】
冷凍サイクル装置1は、冷媒を循環させる冷媒回路2を備えており、冷媒としては、例えば、R410A等の擬似共沸混合冷媒、またはR32等の単一冷媒等を用いることができる。
【0038】
冷媒回路2は、圧縮機21、冷媒対流体熱交換器22、膨張弁やキャピラリーチューブなどの減圧手段23及び冷媒対空気熱交換器24が配管により環状に接続されて構成されている。本実施の形態では、冷媒対空気熱交換器24と圧縮機21の間に、気液分離を行
うアキュムレータ26が設けられている。また、冷媒回路2には、蓄熱タンク55を加熱する蓄熱運転と負荷側熱交換器53が吸熱を行う冷房運転とを切り替えるための四方弁25が設けられている。
【0039】
本実施の形態では、冷凍サイクル装置1は、冷媒対流体熱交換器22で生成した低温の流体を負荷側熱交換器53での吸熱に利用したり、冷媒対流体熱交換器22で生成した高温の流体を蓄熱タンク55の加熱等に利用したりする、冷温水生成装置を構成している。冷媒対流体熱交換器22は、冷媒と流体との間で熱交換を行わせる熱交換器となっている。
【0040】
流体回路5は、流入管51、冷媒対流体熱交換器22、流出管52、流路切替弁60、負荷側熱交換器53、循環手段54を備え、流路切替弁60から分岐し、蓄熱タンク55を経由して冷媒対流体熱交換器22と負荷側熱交換器53との間の流体回路5に合流する蓄熱回路62と、制御装置4とを備えている。冷媒対流体熱交換器22には、流体温度を検出する温度センサ70が設置されている。
【0041】
以上のように構成された冷温水給湯装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0042】
まず、図1では冷媒対流体熱交換器22で生成された低温の流体が、負荷側熱交換器53が吸熱を行う冷房運転の場合の冷媒および流体の流れ方向を矢印で示している。
【0043】
圧縮機21から吐出した高圧冷媒は、四方弁25を介して冷媒対空気熱交換器24へ流入し凝縮熱を放熱して、冷媒自身は冷却して液化凝縮する。冷却された高圧液冷媒は、冷媒対空気熱交換器24から流出する。
【0044】
冷媒対空気熱交換器24から流出した高圧液冷媒は、減圧手段23によって減圧されて膨張した後に、冷媒対流体熱交換器22へ流入する。冷媒対流体熱交換器22へ流入した低圧二相冷媒は、蒸発して流体から気化熱を吸熱して、低圧の二相冷媒または過熱冷媒となって冷媒対流体熱交換器22から流出する。
【0045】
冷媒対流体熱交換器22から流出した低圧冷媒は、四方弁25を通過してアキュムレータ26で気液分離が行われた後、気相冷媒が圧縮機21に吸入する。
【0046】
冷媒対流体熱交換器22で冷却された流体は、流出管52、流路切替弁60を流通し、室内空間に設置された負荷側熱交換器53へ流入する。その後、流体は負荷側熱交換器53から吸熱を行い、循環手段54を経由して流入管51を流通して冷媒対流体熱交換器22へ流入し循環する。
【0047】
制御装置4は、流路切替弁60が蓄熱回路62側や負荷側熱交換器53側へ向く制御を行う(図2)。
【0048】
流体が蓄熱タンク55を加熱する蓄熱運転の要求があった場合、圧縮機21から吐出した高圧冷媒は四方弁25を介して冷媒対流体熱交換器22へ流入し、冷媒対流体熱交換器22を流通する流体を加熱する。流体としては、水または不凍液である。
【0049】
冷媒対流体熱交換器22から流出した高圧液冷媒は、減圧手段23によって減圧されて膨張した後に、冷媒対空気熱交換器24へ流入する。冷媒対空気熱交換器24へ流入した低圧二相冷媒は、蒸発して空気から気化熱を吸熱して、低圧の二相冷媒または過熱冷媒となって冷媒対空気熱交換器24から流出する。
【0050】
冷媒対空気熱交換器24から流出した低圧冷媒は、四方弁25を通過してアキュムレータ26で気液分離が行われた後、気相冷媒が圧縮機21に吸入する。
【0051】
冷媒対流体熱交換器22で生成された高温の流体は、流出管52から流出する。冷媒対流体熱交換器22に設置された温度センサ70で検出される流体温度Twが所定温度To未満の場合には、流路切替弁60は負荷側熱交換器53側へ切り替えて冷房運転を維持し、流体温度Twが所定温度To以上の場合には、流路切替弁60を蓄熱回路側へ切り替えて、流体を冷媒対流体熱交換器22と蓄熱回路62とを循環させるものである。
【0052】
ここで、一般に、蓄熱タンクが設置される環境として、摂氏20度前後に想定されることが多いため、本実施の形態では所定温度Toは、例えば摂氏20度に設定される。
【0053】
以下、制御動作について詳細に説明する。
【0054】
温度センサ70で検出した温度に基づいて、制御装置4は流路切替弁60を制御する。制御装置4の制御を図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0055】
まず、冷温水給湯装置10の制御装置4は、蓄熱運転運要求があるか判定する(ステップS1)。蓄熱運転運要求がない場合は現在の状態を維持し、蓄熱運転運要求がある場合は、冷媒対流体熱交換器22における温度センサ70は流体温度Twを検出し(S2)、流体温度Twと所定温度Toとを比較する(ステップS3)。
【0056】
流体温度Twが所定温度To未満の場合は、低温の流体が蓄熱回路62を流通して蓄熱タンク55から吸熱し、蓄熱タンク55を冷却する可能性が高いと判断して、流路切替弁60を負荷側熱交換器53側へ切り替える(ステップS4)。
【0057】
流体温度Twが所定温度To以上の場合は、低温の流体が蓄熱回路62を流通して蓄熱タンク55から吸熱し、蓄熱タンク55を冷却する可能性が低いと判断して、流路切替弁60を負荷側熱交換器53側から蓄熱回路62側へ切り替える(ステップS5)。制御装置4は、蓄熱運転要求があるまで現在の状態を継続する(ステップS1)。
【0058】
以上のように、本実施の形態においては、負荷側熱交換器53が吸熱を行う冷房運転から、流路切替弁60を経由した流体が蓄熱タンク55を加熱する蓄熱運転への変更要求があり、かつ温度センサ70で検出される流体温度Twが所定温度To未満の場合には、冷房運転を維持する。
【0059】
これによって、冷房運転から蓄熱運転に変更された後、冷媒対流体熱交換器22を介して流体が加熱されて流体温度が上昇していく。
【0060】
その後、流体温度Twが所定温度To未満の場合は、流体が蓄熱タンク55に流入すると蓄熱タンク55内の温水が冷却されると判断し、流路切替弁60を負荷側熱交換器53側へ維持し、所定温度To未満の流体を負荷側熱交換器53に流入させるので、所定温度To未満の流体が蓄熱タンク55へ流入しない。
【0061】
その結果、所定温度To未満の流体が蓄熱タンク55へ流入せず、蓄熱タンク55の温度低下を防止できるため、蓄熱タンク55における蓄熱熱量の低減、即ちエネルギーロスの防止が可能となる。
【0062】
また、冷房運転から蓄熱運転に変更要求があり、かつ、温度センサ70で検出される流体温度Twが所定温度To以上の場合には、流路切替弁60を蓄熱回路側へ切り替えて、
流体を冷媒対流体熱交換器22と蓄熱回路62とを循環させる。
【0063】
これによって、冷房運転から蓄熱運転に変更された後、冷媒対流体熱交換器22を介して流体が加熱されて流体温度が上昇していく。その後、流体温度Twが所定温度To以上になり、流体が蓄熱タンク55に流入しても蓄熱タンク55内の温水が冷却されないことを判断した上で、流路切替弁60を蓄熱回路側へ切り替えることにより、加熱された流体を蓄熱タンクに流入させる。
【0064】
その結果、所定温度To以上の流体を蓄熱タンク55に流入させることができ、効果的に蓄熱タンク55への蓄熱が可能となる。
【0065】
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る冷温水給湯装置10の制御動作である。温度センサ70で検出した温度に基づいて、制御装置4は流路切替弁60を制御する。制御装置4の制御を図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0066】
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
まず、冷温水給湯装置10の制御装置4は、蓄熱運転運要求があるか判定する(ステップS1)。蓄熱運転運要求がない場合は現在の状態を維持し、蓄熱運転運要求がある場合は、流路切替弁60を負荷側熱交換器53側から蓄熱回路62側へ切り替える(ステップS2)。
【0068】
冷媒対流体熱交換器22における温度センサ70は流体温度Twを検出し(S3)、流体温度Twと所定温度Toとを比較する(ステップS4)。
【0069】
温度センサ70で検出される流体温度Twが所定温度To以上の場合には、流体を冷媒対流体熱交換器22と蓄熱回路62との間で循環させ、温度センサ70で検出される流体温度Twが所定温度To未満の場合には、循環手段54の運転動作を停止または流体回路5における循環量を低下させ、所定流量Go未満に設定させる(ステップS5)。
【0070】
また、所定流量Goとしては定格で運転している流量より少ない流量に設定し、本実施の形態では所定流量Goは、例えば定格の1/10に設定される。
【0071】
その後、冷媒対流体熱交換器22における温度センサ70は流体温度Twを検出し(ステップS6)、流体温度Twと所定温度Toとを比較する(ステップS7)。
【0072】
流体温度Twが所定温度To以上の場合は、流体が蓄熱タンク55に流入しても蓄熱タンク55内の温水が冷却されないことを判断した上で、流体回路5における循環量を所定流量Go以上に設定し(ステップS8)、加熱された流体を蓄熱タンク55に流入させる。制御装置4は、蓄熱運転要求があるまで現在の状態を継続する(ステップS1)。
【0073】
一方、流体温度Twが所定温度To未満の場合には、流体が蓄熱タンク55に流入して蓄熱タンク55内の温水を冷却すると判断し、循環手段54を間欠運転させて現在の状態を維持し、流体温度Twを検出する(ステップS6)。
【0074】
以上のように、本実施の形態においては、負荷側熱交換器53が吸熱を行う冷房運転から、流路切替弁60を経由した流体が蓄熱タンク55を加熱する蓄熱運転へ変更した後、温度センサ70で検出される流体温度Twが所定温度To以上の場合には、流体を冷媒対
流体熱交換器22と蓄熱回路62との間で循環させ、温度センサ70で検出される流体温度Twが所定温度To未満の場合には、循環手段54の運転動作を停止または流体回路5における循環量を低下させるものである。
【0075】
これによって、冷媒対流体熱交換器22内の流体が加熱されて蓄熱タンク55へ搬送される。その後、流体温度Twが所定温度To以上になった場合は、流体が蓄熱タンク55に流入しても蓄熱タンク55内の温水が冷却されないことを判断した上で、加熱された流体を蓄熱タンク55に流入させる。
【0076】
一方、流体温度Twが所定温度To未満の場合には、循環手段54を間欠運転させることにより、蓄熱タンク55へ搬送される低温の流体の容積を、冷媒対流体熱交換器22出口と流路切替弁60との接続配管内に存在する容積に抑制する。流体温度Twが所定温度To未満の場合でも、従来に比べ、蓄熱タンク55へ搬送される低温の流体の容積が減少する。
【0077】
その結果、流体温度が所定温度To未満の場合でも、蓄熱タンク55から吸熱される熱量が減少するので、蓄熱タンク55の温度低下を抑制でき、蓄熱タンクにおける蓄熱熱量の低減、即ちエネルギーロスの防止が可能となる。
【0078】
また、流体の所定温度Toとしては、蓄熱タンク55の温度を検出する蓄熱タンク温度センサ71を備え、所定温度Toが蓄熱タンク55の温度以下になるように設定してもよい(図5)。
【0079】
これによって、蓄熱運転を開始する時点での蓄熱タンク55の温度に対して、流体の所定温度Toを低く設定することにより、運転条件が変動しても、循環手段54の運動状態が停止または循環量が低下している時間を最小限に抑制できる。
【0080】
その結果、流体の所定温度Toが固定されている場合に対して、様々に運転条件が変動しても、蓄熱寄与時間の増加を図ることができるため、エネルギー効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明にかかる冷温水給湯装置は、冷房運転から蓄熱運転に切り替えられた場合、低温の流体による蓄熱タンクの蓄熱タンクの温度(蓄熱熱量)低下を抑制でき、エネルギーロスを低減することができるので、流体を加熱し、その流体を室内空間の加熱に利用する冷温水給湯暖房装置等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0082】
2 冷媒回路
4 制御装置
5 流体回路
10 冷温水給湯装置
21 圧縮機
22 冷媒対流体熱交換器
23 減圧手段
24 冷媒対空気熱交換器
53 負荷側熱交換器
54 循環手段
55 蓄熱タンク
60 流路切替弁(流路切替手段)
71 蓄熱タンク温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、冷媒対流体熱交換器、減圧手段、冷媒対空気熱交換器が接続された冷媒回路と、循環手段、前記冷媒対流体熱交換器、流路切替手段、負荷側熱交換器が環状に接続された流体回路と、前記流体回路から前記流路切替手段を介して分岐し、蓄熱タンクを経由して前記負荷側熱交換器と前記冷媒対流体熱交換器との間の前記流体回路に接続された蓄熱回路と、前記冷媒対流体熱交換器にて加熱された流体温度を検出する温度センサと、制御装置とを備え、前記負荷側熱交換器における冷房運転から、前記流路切替手段を経由した流体が前記蓄熱タンクを加熱する蓄熱運転への変更要求があり、かつ、前記温度センサで検出される流体温度が所定温度未満の場合には、冷房運転を継続することを特徴とする冷温水給湯装置。
【請求項2】
前記冷房運転から前記蓄熱運転への変更要求があり、かつ、前記温度センサで検出される流体温度が所定温度以上の場合には、前記流路切替手段を前記蓄熱回路側へ切り替えて、前記流体を前記冷媒対流体熱交換器と前記蓄熱回路とを循環させることを特徴とする請求項1に記載の冷温水給湯装置。
【請求項3】
圧縮機、冷媒対流体熱交換器、減圧手段、冷媒対空気熱交換器が接続された冷媒回路と、循環手段、前記冷媒対流体熱交換器、流路切替手段、負荷側熱交換器が環状に接続された流体回路と、前記流体回路から前記流路切替手段を介して分岐し、蓄熱タンクを経由して前記負荷側熱交換器と前記冷媒対流体熱交換器との間の前記流体回路に接続された蓄熱回路と、前記冷媒対流体熱交換器にて加熱された流体温度を検出する温度センサと、制御装置とを備え、前記負荷側熱交換器における冷房運転から、前記流路切替手段を経由した流体が前記蓄熱タンクを加熱する蓄熱運転へ変更した後、前記温度センサで検出される流体温度が所定温度以上の場合には、前記流体を前記冷媒対流体熱交換器と前記蓄熱回路との間で循環させ、前記温度センサで検出される流体温度が所定温度未満の場合には、前記循環手段の運転動作を停止または前記流体回路における循環量を低下させることを特徴とする冷温水給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−104605(P2013−104605A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248328(P2011−248328)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】