説明

冷菓供給装置

【課題】複雑な駆動機構(動力源)を必要とすることなく、冷菓の注出操作の容易化を図ることができる注出口開閉構造を備える冷菓供給装置を提供する。
【解決手段】冷菓供給装置は、シリンダ7内部に上下動するように嵌挿したピストン8の一側に冷菓詰め袋10を収容し、ピストン8の他側に加圧機器15から作動流体を供給することにより冷菓詰め袋10を加圧すると共に、この冷菓詰め袋10に連通する注出通路23に配設された常閉弁である注出弁28を開弁することによって冷菓26を注出するように構成されている。冷菓供給装置には、さらに、加圧機器15と流体連通(20)した開閉装置30が配設され、加圧機器15が作動して作動流体の圧力が所定値以上になると注出弁28を開弁するように、この注出弁の開閉を制御するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷菓供給装置に係り、特にピストンの移動によりシリンダ内に装填された袋詰冷菓を押圧して冷菓を注出する際の注出口開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷菓供給装置の全体構造を図6に示す(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。冷凍庫100の扉101の裏面側には、アイスクリーム等の冷菓102を詰めた冷菓詰め袋103を収容するシリンダ104が鉛直方向縦向きに設けられる一方、扉101の表面には、注出レバー105の操作により開閉される注出口本体106が取り付けられ、この注出口本体106に連通して内方へ突設された連結管がシリンダ104の内部に収容された冷菓詰め袋103の取出口と接続する構造になっている。
【0003】
このような構造において、冷菓を注出する際には、注出レバー105を開方向に傾動させることにより注出口弁棒107が上昇して注出口本体106の注出通路を開放する一方で、表示パネル108内に配設されたスイッチ(図示せず)がON状態になって機械室内の加圧ポンプ109が駆動され、不凍液が不凍液タンク110から吸引ポート111及び吐出ポート112を介してシリンダ104下部の圧力室113に供給される。これにより、ピストン114が上昇してシリンダ104内の冷菓詰め袋103が圧縮され、冷菓102が注出されるようになっている。続いて、注出を終える時は、注出レバー105を元の閉位置に戻すことでスイッチがOFF状態になって加圧ポンプ109が停止すると共に、そのまま注出レバー105を戻し続けて注出口弁棒107が下降し注出口本体106の注出通路を閉弁する。
【0004】
一方、操作者の違いや温度の違いによらずに定量の冷菓を注出することができるようにするために、図7に示すような定量注出用レバーを用いた冷菓供給装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この注出操作を説明すると、注出レバー120を下方の開位置へ傾動させると、弁体121が上昇して定量室122が形成されると共に注出スイッチ123がON状態になって冷菓詰め袋124が圧縮され、冷菓が連結管125の出口126から定量室122に押し出される。そして、定量室122の内部が冷菓で充満し、冷菓が注出口127から下方へ押し出され始めたところで注出レバー120を上方の閉位置へ傾動させると、注出スイッチ123がOFF状態になり、弁体121が下降して定量室122の内部の冷菓が総て注出口127から注出されるようになっている。
【0005】
また、ソフトクリームなどの可塑性食品を所定分量宛小分けにした分配容器を支持部にセットし、モータ駆動で回転する螺杆に螺合する昇降杆の先端に固定された押圧盤を備えた昇降押圧機構を駆動し、昇降杆を下降させて押圧盤で分配容器の内容物を吐出口から抽出するようにしたものもある(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平10−201422号公報
【特許文献2】特開2000−253831号公報
【特許文献3】特開2002−176930号公報
【特許文献4】特開2001−149021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1あるいは特許文献2の冷菓供給装置の一連の注出レバー操作には、次のような問題点がある。第一に、注出口弁棒107の開弁操作においては、中途半端な位置で加圧ポンプ109が作動して圧力が掛かると注出不良となったり、注出口弁棒107に不規則な応力が加わり破損する恐れがあるため、この注出口弁棒の全開時にスイッチがON状態となるように位置設定されているので、スイッチがON状態を保持する必要があった。すなわち、注出レバー105に下向きに力が加わるように常に意識していなければならず、うっかりして力を緩めると注出レバー105が元の位置に戻ってしまい、その結果、スイッチがOFF状態となって加圧ポンプ109が停止することにより冷菓102の注出が停止して、その後、直ぐに冷菓を再注出しても境目が発生するため、冷菓の盛りつけミスが生じてしまうという問題があった。
【0008】
第二に、閉弁操作においては、注出口本体106の内部にある冷菓102を注出口弁棒107が押し出して最終的に閉弁となるが、冷菓102は非常に粘度が高いため、内部に残留している冷菓102を注出口弁棒107により押し出す際にかなりの力を必要とする、すなわち、注出レバー105の操作にかなりの力を必要とすることが知られていた。
【0009】
また、特許文献3の定量室を備える冷菓供給装置においては、定量室122の内部に一定量冷菓が溜まった後に、弁体121を作動させて定量注出を行うものであるが、この定量室用の弁体121は、特許文献1あるいは特許文献2に開示された冷菓供給装置の一般的な弁体よりも大きなものになるので、弁体121の下降時(定量の冷菓を押し出す時)には、相当の力を必要としていた。すなわち、一般的な注出レバーに比して、この定量用の注出レバー120においては、冷菓を押し出す圧力を一定にするためには、弁体121の断面積に比例して、注出レバー120の操作力を増大させる必要があった。そのため、定量室が比較的小さい場合は良いが、定量室が大きい場合には、注出レバーの操作が困難であった。
【0010】
一方、特許文献4のように、モータ駆動で昇降杆を昇降動させるような昇降押圧機構を有する注出装置においては、昇降杆を昇降動させるために、モータ、プーリー、ベルト等からなる駆動機構(動力源)が必要となり、このような駆動機構を、上述した特許文献1乃至3のような型式の冷菓供給装置に組み入れると構造が複雑化すると共に、製作費用の増加につながることが考えられる。
【0011】
従って、本発明は、上述した従来の技術の問題を解決するためになされたもので、複雑な駆動機構(動力源)を必要とすることなく、冷菓の注出操作の容易化を図ることができる注出口開閉構造を備える冷菓供給装置を提供することを主な目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載の本発明によれば、冷菓供給装置は、シリンダ内部に上下動するように嵌挿したピストンの一側に冷菓詰め袋を収容し、ピストンの他側に加圧機器から作動流体を供給することにより冷菓詰め袋を加圧すると共に、この冷菓詰め袋に連通する注出通路に配設された常閉弁である注出弁を開弁することによって冷菓を注出するように構成されており、さらに、加圧機器と流体連通した開閉装置を設け、この開閉装置により、加圧機器が作動して作動流体の圧力が所定値以上になると注出弁を開弁するように、この注出弁の開閉を制御することを特徴としている。
【0013】
また、請求項2に記載の本発明によれば、冷菓供給装置は、シリンダ内部に上下動するように嵌挿したピストンの一側に冷菓詰め袋を収容し、ピストンの他側に加圧機器から作動流体を供給することにより冷菓詰め袋を加圧すると、この冷菓詰め袋に連通する注出通路に配設された常閉弁である弁体が後退して注出通路を開弁し注出通路内に形成された冷菓の一回の注出量に相当する容積の定量室内に冷菓を充満させ、所定量の冷菓が充満した後、弁体を前進させることにより、注出通路を閉弁すると共に充満した定量の冷菓を注出するように構成されており、さらに、加圧機器と流体連通した開閉装置を設け、この開閉装置により、加圧機器が作動して作動流体の圧力が所定値以上になると弁体を閉弁方向に押圧するように、この弁体の開閉を制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明による冷菓供給装置においては、冷菓を注出するための作動流体の注出圧力を用いて注出弁の開閉を制御できるようにしたので、注出レバーの操作が不要、すなわち、注出レバーそのものが不要になり、注出口の盛りつけに集中でき、盛りつけミスを無くすことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明による冷菓供給装置においては、冷菓を注出するための作動流体の注出圧力を用いて弁体を閉弁方向に押圧できるようにしたので、定量用の注出レバーの閉弁時の手動操作を不要にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の好適な実施の形態を、添付図面を参照しながら説明するが、図中、同一符号は、同一又は対応部分を示すものとする。
【実施例1】
【0017】
以下では、本発明を、アイスクリームディスペンサに適用した例を説明する。冷凍庫1は、断熱箱体からなり、内部が冷凍室2となっており、その前面の開口には、揺動開閉可能な断熱扉3が設けられている。断熱扉3の内側には、庫内ファン4が配設されている。冷凍室2内の天井部分には冷却器(図示せず)が配置される一方、冷凍庫1の底面側に画成された機械室5内には、冷却器に接続された冷凍機(図示せず)が配置されている。冷凍室2の奥面に設けられたダクト6を介して吸引された庫内空気が冷却器で冷却されて庫内ファン4によって冷凍室2内に循環供給され、これにより冷凍室2内は、アイスクリームが注出可能な状態を維持しつつ冷却保存されるような温度に維持されている。
【0018】
断熱扉3の内側には、シリンダ7が鉛直方向縦向きに配設されており、このシリンダ7の内部には、ピストン8が上下動するように摺動自在に嵌挿されている。シリンダ7の内部のピストン8の上側には、袋収容室9が画成され、この袋収容室9に冷菓詰め袋10が収容される。シリンダ7において断熱扉3と対応する側壁の上側部には、上縁から鉛直方向下向きにU字溝が切られており、冷菓詰め袋10の取出口11がU字溝に嵌まるようになっている。シリンダ7の上端開口には、この開口を塞ぐようにシリンダ蓋12が着脱可能に取り付けられている。一方、シリンダ7の内部のピストン8の下側には、圧力室13が画成されており、作動流体としての不凍液が給排されるようになっている。
【0019】
冷凍室2の底面には不凍液を貯留する不凍液タンク(二点鎖線)14が、機械室5の内部には加圧機器としての加圧ポンプ15が各々配設されている。加圧ポンプ15の吸込ポート16は、接続管18を介して不凍液タンク14に接続されている。吐出ポート17は、二股状に分岐しており、その一方側は、接続管19を介して上述したシリンダ7の底部に接続されており、圧力室13と流体連通するようになっている。吐出ポート17の他方側は、接続管20を介して表示パネル21内部に配設された開閉装置30(図2参照)と流体連通している。なお、この実施形態における加圧ポンプ15は、双方向に回転可能なポンプを使用しているため、シリンダ7と不凍液タンク14とは接続管を介して直接的に接続されているものではなく、加圧ポンプ15を介して接続するように構成されている。
【0020】
断熱扉3の外側には、断熱扉3を貫通して配設された連結管25を覆うように注出部22が設けられている。注出部22には、ほぼ鉛直方向の配向された注出通路23が開口されており、注出通路23の側面に連結管25の出口27が連通している。注出通路23の下端には、キャップ24が着脱自在に取付けられており、その中央部に注出口24aが開口している。注出通路23に連通した連結管25は、断熱扉3を貫通して裏側に突出しており、この連結管25の突出端部に冷菓詰め袋10の取出口11が接続するように構成されている。注出通路23の内部には、その外周部に2本のOリング29が嵌着された円柱状の注出弁としての注出口弁棒28が上下動するよう摺動自在に嵌挿されており、注出口弁棒28が注出通路23内を上方の開位置に移動すると出口27を開弁して冷菓26が注出口24aから注出され(図2(B)参照)、注出口弁棒28が注出通路23内を下方の閉位置に移動すると出口27を閉弁すると共に注出口24aが閉鎖されるようになっている。
【0021】
注出部22の上方には、表示パネル21が配設されており、その内部に上述した開閉装置30が取付けられている。この開閉装置30は、流体圧力により内部のピストンが上下動作する機構になっており、注出部22の注出口弁棒28へ連結することにより、注出口24aの開閉を制御するように構成されている。図2を参照しながら開閉装置30の構造を詳述すると、表示パネル21の内部には、円筒状のハウジング31が適当な固着手段を用いて取付けられている。ハウジング31の内部には、外周にOリングが嵌着された円柱状のピストン32が上下動できるよう摺動自在に嵌挿されている。ピストン32の下側面には、棒状のロッド33が突設されており、その下端部は、ハウジング31から外側下方に向けて突出している。ロッド33の下端部と注出部22の注出口弁棒28の上端部とは、連結杆34で接続されている。
【0022】
ハウジング31の内部のピストン32の上側には、スプリング35が装着されており、ピストン32を下向きに付勢している。その結果、ピストン32にロッド33及び連結杆34を介して接続している注出口弁棒28は、スプリング35の付勢力により、注出口24を常には閉鎖する方向に付勢されている。一方、ハウジング31の内部のピストン32の下側には、流体圧力室36が画成されており、この流体圧力室36は、接続管20を介して加圧ポンプ15の吐出ポート17へと流体連通している。従って、流体圧力室36は、冷菓を注出する際にシリンダ7のピストン8を加圧するために圧力室13へ掛けられる注出圧力と同圧力を受けるような構成になっている。ここで、冷菓供給装置において冷菓を注出するための注出圧力を仮に0.5Mpaと設定すると、この0.5Mpaの圧力が掛かると注出口弁棒28が全開になるように、スプリング35のバネ圧を設定しておく。すなわち、摩擦などを無視すると、
閉弁可能圧力 < スプリング圧 < 0.5MPa
となる。
【0023】
また、従来の注出レバー操作によって加圧ポンプの作動/停止を制御するON/OFFスイッチを廃止して、手動の注出ボタン及び停止ボタン(図示せず)を表示パネル21の内部に設け、この注出ボタン及び停止ボタンにより加圧ポンプ15の作動/停止を制御するように構成する。
【0024】
次に、上記のように構成された冷菓供給装置の動作を、図2を用いて説明する。まず、冷菓を注出する前の待機状態においては、図2(A)の閉弁時のように、加圧ポンプ15が停止しているため、シリンダ7(すなわち連結管25)内の冷菓26、並びに流体圧力室36内の不凍液のいずれも無加圧状態(0MPA)にある。次に、冷菓を注出するためには、表示パネル21内の注出ボタンを押すと加圧ポンプ15が作動し、吐出側圧力(流体圧力室36内の不凍液の圧力)が0.5MPaになると、スプリング35の付勢力に抗してピストン32が上方へ押し上げられ、その結果注出口弁棒28が上方へ移動し注出口24aを開弁する。一方、同時に、不凍液タンク14から不凍液がシリンダ7下部の圧力室13に供給され、ピストン8が上昇してシリンダ7内の上部に収容された冷菓詰め袋10が圧縮され、冷菓26が連結管25を介して出口27から注出通路23に押し出され、最終的に注出口24aから注出される。
【0025】
反対に、冷菓の注出を停止するためには、停止ボタンを押すと加圧ポンプが停止し、吐出側圧力が0MPa付近まで急低下する。その結果、シリンダ7に収容された冷菓詰め袋10への加圧が停止すると共に、スプリング35の付勢力が加圧ポンプ15の吐出側圧力に勝るためにピストン32が下方へ押し下げられ、注出口弁棒28が下降し連結管25の出口27及び注出口24aを閉弁することにより、冷菓26の注出が停止する。
【0026】
以上のように、注出ボタン及び停止ボタンを操作することにより加圧ポンプ15の作動/停止を制御し、不凍液による注出圧力を利用して注出口24aの開閉ができるようしたので、注出レバーが不要となり、今までこの注出レバーの操作に払っていた注意を冷菓の盛り付けに向けることができるので、盛り付けミスがなくなる。また、冷菓26の粘度が非常に高いため、注出通路23の内部に残留している冷菓26を注出口弁棒28により押し出す際に、従来はかなりの力を必要としていたが、注出レバーに代えて上述した開閉装置30により閉弁動作を行うことができるようになった。
【0027】
この第1の実施形態においては、停止ボタンを用いて加圧ポンプ15を停止させる代わりに、注出ボタンを押すと同時にタイマーをスタートさせ、設定時間後に加圧ポンプが自動的に停止するように構成することもできる。このような構成により、冷菓供給装置から目を離すことができるので、自動注出が可能となり、例えば、コーンやグラスへの細やかな盛り付け時には目は離せないが、皿やボール等へ一旦冷菓を注出してから、別途盛り付けるようなまとめ取りをする場合に、特に有効的である。従来の冷菓供給装置にもタイマー機能が付いているものもあるが、盛り付け量(注出時間)の目安として使用しているだけであり、結局は、注出レバーを操作して閉弁する必要があったため、目を離して自動的に注出することができるものではなかった。
【0028】
さらには、注出ボタンの代わりに、フットペダル等のような足による操作手段により加圧ポンプの作動/停止を制御できるようにすれば、両手が完全にフリーとなるので、盛り付け時のミスを極端に軽減することができる。
【実施例2】
【0029】
次に、図3及び4を参照しながら、第2の実施形態を説明する。図3は、作動流体である不凍液の流体回路の概要を示した図であるが、この図に示した冷菓供給装置は、注出部40の内部に冷菓の一回の注出量に相当する容積の定量室41を備えている点で、第1の実施形態とは異なる。冷凍庫の内部の冷凍室を冷却する回路構成、並びに断熱扉の内側のシリンダの構成は第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0030】
最初に、図3を参照しながら流体回路を説明する。第1の実施形態と同様に、加圧ポンプ15の吸込ポート16は、接続管18を介して不凍液タンク14に接続されている。一方、第1の実施形態では、吐出ポートは二股状に分岐しており、開閉装置内部の流体圧力室が冷菓を注出する際にシリンダのピストンを加圧するために圧力室へ掛けられる注出圧力と同圧力を受けるような構成になっていた。しかしながら、この第2の実施形態の加圧ポンプ15の吐出ポート17には、三方弁38が取付けられており、その一方側は、接続管19を介してシリンダ7に接続されており、圧力室13と流体連通するようになっている。吐出ポート17の他方側は、接続管20を介して表示パネル21内部に配設された開閉装置60(図4参照)と流体連通している。このように、加圧ポンプ15の吐出ポート17側に三方弁38を配置したことにより、吐出側の流路Aと流路Bとの切り替えが可能になる。また、シリンダ7と不凍液タンク14とは、接続管39により直接接続されている。なお、この実施形態における加圧ポンプ15は、一方向のみ回転可能なポンプを使用している。
【0031】
断熱扉3の外側には、連結管25を覆うように注出部40が設けられているが、上述したように、注出部40の内部には、冷菓の一回の注出量に相当する容積の定量室41が配設されている。詳述すれば、注出部40には、ほぼ鉛直方向の注出通路42が開口されており、注出通路42の側面に連通管25の出口43が連通している。注出通路42の内部には、外周部に2本のOリング44が嵌着された円柱状の弁体45が上下動するように摺動自在に嵌挿されている。弁体45は、注出レバー46の操作によりロッド47を介して注出通路42内を昇降動するように構成されている。注出通路42の下端には、キャップ48が脱着自在に取り付けられており、その中央部に注出口49が開口されている。図4(B)に示されるように、弁体45が注出通路42内の最上部に位置したときに、弁体45の底部と注出通路42とキャップ48の上側部とで囲まれた空間により定量室41が画成される。この定量室41は、冷菓の一回の注出量に相当する容積を有するように構成されている。
【0032】
注出部40の上方には、表示パネル21が配設されており、表示パネル21内の下部に注出スイッチ50が配設されている。さらに、弁体45上部のロッド47の上端には、スイッチ押上板51がボルトによって取り付けられている。
【0033】
表示パネル21の内部には、上述した開閉装置60が取付けられている。この開閉装置60は、流体圧力により内部のピストンが上下動作する機構になっており、注出部40の弁体45に連設されたロッド47を押圧するように構成されている。図4を参照しながら開閉装置60の構造を詳述すると、表示パネル21の内部には、円筒状のハウジング61が適当な固着手段を用いて取付けられている。ハウジング61の内部には、外周にOリングが嵌着された円柱状のピストン62が上下動できるよう摺動自在に嵌挿されている。ピストン62の下側面には、棒状のロッド63が突設されており、その下端部は、ハウジング61から外側下方に向けて突出している。なお、ロッド63は、下降した際に、弁体45上部のロッド47を押圧できる位置に配設されている。また、ロッド63のストロークは、少なくとも弁体45のストロークと同じか、それより大きくなるように設定されている。
【0034】
ハウジング61の内部のピストン62の下側には、スプリング64が装着されており、ピストン62を上向きに付勢している。一方、ハウジング61の内部のピストン62の上側には、流体圧力室65が画成されており、この流体圧力室65は、接続管20及び三方弁38を介して加圧ポンプ15の吐出ポート17へと流体連通している。スプリング64のバネ圧としては、流体圧力室65の内部が無加圧の時に、不凍液を押しのけてピストン62が上昇状態を保持できるだけの力があれば足りる。換言すれば、加圧ポンプ15が作動して流体圧力室65内部が所定値以上になるとスプリング64のバネ圧に抗してピストン62及びロッド63が下降するように押圧できるように設定されている。また、上述した三方弁38の切り替えは、図示しない制御装置によって、注出レバー46の傾動による注出スイッチ50のOFF状態を検知することで行うように制御する。
【0035】
次に、上記のように構成された冷菓供給装置の動作を、図4を用いて説明する。まず、冷菓を注出する前の待機状態においては、図4(A)の注出操作開示の状態のように、加圧ポンプ15が停止しているため、冷菓26、並びに流体圧力室65内の不凍液のいずれも無加圧状態にある。次に、冷菓を注出するために注出レバー46を下方(図4(A)の矢印方向)に傾動させて開操作すると、図4(B)に示すように、ロッド47を介して弁体45が注出通路42内を最上部にまで上昇し、連結管25の出口43が開放されると共に弁体45の底部と注出通路42とキャップ48の上側部とにより定量室41が画成される。この時、注出レバー46の傾動により、ロッド47を介してスイッチ押上板51が上方へ押し上げられ、表示パネル21に取り付けられた注出スイッチ50がON状態になり、加圧ポンプ15が駆動される。三方弁38は流路A側に初期設定されているので、不凍液がシリンダ7の圧力室13に供給されてピストン8が上昇し、シリンダ7上部に収容された冷菓詰め袋10が圧縮され、冷菓26が連結管25を介して出口43から定量室41に押し出される。なお、ロッド47が最上部位置に移動した際には、ロッド47の上端は、開閉装置60のロッド63の下端に当接する。
【0036】
注出レバー46を下方に傾動させている間は、シリンダ7内の冷菓詰め袋10が圧縮され続けるため、定量室41内へ冷菓26が供給され続けるが、冷菓は粘性を有しているので、最初の内は、注出口49から下方へ押し出されない。次第に定量室41が冷菓で充満されると、定量室41に押し出される冷菓26の圧力によって冷菓が注出口49から下方へ押し出され始める。
【0037】
操作者が注出口49から冷菓26が出始めたことを確認(充満状態の目視確認)したら、図4(C)に示すように、注出レバー46を上方へ傾動させて閉操作する。この際、注出レバー46が所定量だけ上方へ傾動されると、ロッド47を介してスイッチ押上板51が下方へ下がって注出スイッチ50がOFF状態になる。このOFF状態を制御装置(図示せず)が検知することにより、三方弁38が流路Bへ切り替わり、冷菓26への加圧が停止されて定量室41へ冷菓が供給されなくなる。
【0038】
一方、三方弁38が流路Bへ切り替わることにより、開閉装置60の流体圧力室65内が加圧され所定値以上になると、スプリング64のバネ圧に抗してピストン62及びロッド63を押圧して下降させる。ロッド63の下端とロッド47の上端とは当接しているため、ロッド63の下降に伴い注出通路42内の最上部に位置していた弁体45が徐々に下降し、定量室41内に充満している冷菓が加圧され、注出口49から下方へ押し出される。これにより、注出口49の下方にて冷菓26が容器52内に盛り付けられる。その後、弁体45が注出通路42内の最下部にまで下降すると、定量室41内の冷菓26は総て注出口49から容器52に注出され、定量室41の容積で決定される量の冷菓26の盛りつけが終了する。このように、冷菓の盛り付けを行うための弁体45の下降は、開閉装置60により、すなわち、不凍液の注出圧力を利用して行うことができるので、定量用注出レバー46の閉弁時の手動操作が不要になり、ロッド47の下降に伴って注出レバー46を自動的に最上部の閉位置に戻すことができる。
【0039】
注出スイッチ50のOFF状態を検知して三方弁38が流路Bへ切り替わった後、冷菓の盛り付け終了までの時間を予め見積もって設定した一定時間を経過すると、加圧ポンプ15が停止するように設定しておく。そうすると、開閉装置60の流体圧力室65内が無加圧状態になるので、ピストン62及びロッド63はスプリング64のバネ圧により元の状態に復帰する(図4(C)→図4(A)に移行)。この時、流体圧力室65から不凍液が押し出されることになるが、加圧ポンプ15の停止中は、吸込ポート16及び吐出ポート17間が密閉状態ではないため、不凍液は、配管20、加圧ポンプ15,及び配管18を介して不凍液タンク14へ戻っていく。
【0040】
最後に、加圧ポンプ15の停止から一定時間経過後に、流路Bから流路Aへ切り替わるように設定しておけば、初期状態に復帰して、次回の冷菓の注出に備えることができる。
【実施例3】
【0041】
次に、図5を参照しながら、第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は、第2の実施形態と同様に、注出部40に定量室41を備えているものであるが、第2の実施形態と異なるのは、注出レバーを廃止して、開閉装置60により弁体45の開閉を制御するように構成されている点である。それ以外の構成は、第2の実施形態と同じであるため、説明は省略する。
【0042】
図5を参照するに、開閉装置60のロッド63の下端部と注出部40のロッド47の上端部とは、連結部70により連結されており、ピストン62及びロッド63の昇降動に伴って、弁体45が注出通路42の内部を昇降動するように構成されている。そして、図5(A)に示すような初期状態では、流体圧力室65を加圧してピストン62を押圧することにより、弁体45が注出通路42の最下部に位置して連結管25の出口43及び定量室41の注出口49を閉弁するように設定する。初期状態では、三方弁38が流路A側に切り替わっている状態のままで、流体圧力室65を加圧するように設定するが、この詳細は後述する(段落[0046]参照)。また、注出レバーを廃止したことにより、冷菓の注出操作の開始/終了を制御すべく、表示パネル21の前面側に注出ボタン及び停止ボタン71を付加する。なお、冷菓供給装置の初期セッティング時にも、ロッド63の下端部とロッド47の上端部との連結部を繋ぐために、やはり流体圧力室65を加圧してロッド63がスプリング64に抗して下降するようにする。
【0043】
次に、上記のように構成された冷菓供給装置の動作を、図5を用いて説明する。まず、冷菓を注出する前の初期状態においては、上述したように三方弁38が流路Aに切り替わっているので、図5(A)に示すように、流体加圧室65が加圧状態にあるのに対して、シリンダ7、すなわち冷菓26は無加圧状態にある。
【0044】
次に、冷菓を注出するために注出ボタン71を押すと三方弁38が流路Aに切り替わり、初期に加圧状態となっていた流体圧力室65が無加圧状態となり、スプリング64のバネ圧により不凍液を押しのけてピストン62が上昇し、それに伴って、ロッド63及びロッド47を介して弁体45が注出通路42内を最上部にまで上昇し、連結管25の出口43が開放されて定量室41が画成される。流路Bが流路Aに切り替わって弁体45が上昇して連結管25の出口43が開放される時間を考慮した一定時間経過後に、加圧ポンプ15が作動するように設定しておくと、この加圧ポンプ15の作動により、不凍液は流路A側に供給されるため、シリンダ7の圧力室13に供給されてピストン8が上昇し、シリンダ7上部に収容された冷菓詰め袋10が圧縮され、冷菓26が連結管25を介して出口43から定量室41に押し出され定量室41内に充満し(図5(B)参照)、第2の実施形態と同様に、操作者が注出口49から冷菓26が出始めたことを目視確認したら、停止ボタン71を押す。
【0045】
ここで、停止ボタンを押すと三方弁38が流路Aから流路Bへ切り替わるように設定しておく。加圧ポンプ15が作動したまま三方弁38の流路が流路Aから流路Bへと切り替わることにより、図5(C)に示すように、冷菓26への加圧が停止されて定量室41へ冷菓が供給されなくなると同時に、流体圧力室65内が加圧されてスリング64のバネ圧以上になるとピストン62を押圧して下降させ、ロッド63及びロッド47を介して注出通路42内を弁体45が下降し、定量室41内に充満している冷菓が注出口49から注出され、容器52内に盛り付けられる。
【0046】
停止ボタンの操作によって三方弁38が流路Bへ切り替わった後、冷菓の盛り付け終了までの時間を予め見積もって設定した一定時間を経過すると、再び、三方弁38が流路Bから流路Aに切り替わり、流路Aに切り替わった直後に加圧ポンプ15が停止するように設定しておく。そうすると、開閉装置60の流体圧力室65内は加圧状態のままであるので、弁体45が不用意に注出通路42内を上昇することがなく、連結管25の出口43及び注出口49を閉弁したままに保持され、初期状態に戻って次回の冷菓の注出に備える(図5(A)参照)。
【0047】
第3の実施形態においては、第2の実施形態と同様に、冷菓の盛り付けを行うための弁体45の下降を開閉装置60、すなわち、不凍液の注出圧力を利用して行うことができるので、閉弁時の手動操作を不要にすることができる。加えて、三方弁38の切り替えを制御することにより開閉装置60によって弁体45の開弁時の操作を行うことができるので、第2の実施形態において使用した注出レバーそのものを廃止することができる。
【0048】
また、この第3の実施形態において、定量室41への冷菓の充満を目視確認して停止ボタンを押して三方弁38の流路を流路Aから流路Bに切り換える代わりに、注出ボタンを押すと同時にタイマーをスタートさせ、設定時間(定量室が一杯になるまでの時間を見積もって設定した時間)経過後に三方弁38の流路が自動的に流路Aから流路Bに切り替わるように構成することもできる。このような構成により、第1の実施形態と同様に、冷菓供給装置から目を離すことができるので、自動注出が可能となる。さらに第1の実施形態と同様に、注出ボタンの代わりに、フットペダル等のような足による操作手段により加圧ポンプの作動/停止、三方弁の切り替えを制御できるようにすれば、両手が完全にフリーとなるので、盛り付け時のミスを極端に軽減することができる。
【0049】
なお、第3の実施形態において使用した三方弁を備えた流体回路、並びに開閉装置60を第1の実施形態へ適用することもできる。すなわち、第1の実施形態の開閉装置30のピストン32のスプリング35側と流体圧力室36側とを入れ替えれば、流路Bが加圧されている初期状態において注出口弁棒28が注出通路23の最下端に位置して閉弁状態を保持し、三方弁38の流路を流路Bから流路Aに切り換えることにより、流体圧力室への加圧が停止してスプリングの作用により注出口弁棒28が注出通路23内を上昇して開弁すると同時に、冷菓を加圧して注出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の好適な実施形態に係る冷菓供給装置の全体を示す側面概要図である。
【図2】図1に示した冷菓供給装置の注出部及び開閉装置の状態示す側面概要図である。
【図3】第2の実施形態に係る冷菓供給装置の作動流体の流体回路を示した概要図である。
【図4】図3に示した冷菓供給装置の注出部及び開閉装置の状態を示す側面概要図である。
【図5】第3の実施形態に係る冷菓供給装置の注出部及び開閉装置の状態を示す側面概要図である。
【図6】従来の冷菓供給装置の概略を示す側面概要図である。
【図7】定量室を備える冷菓供給装置の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
【0051】
7 シリンダ
8 ピストン
10 冷菓詰め袋
13 圧力室
14 不凍液タンク
15 加圧ポンプ
16 吸込ポート
17 吐出ポート
18,19,20 接続管
22 注出部
23 注出通路
26 冷菓
28 注出口弁棒
30 開閉装置
32 ピストン
33 ロッド
35 スプリング
36 流体圧力室
38 三方弁
40 注出部
41 定量室
42 注出通路
45 弁体
46 注出レバー
47 ロッド
62 ピストン
63 ロッド
64 スプリング
65 流体圧力室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内部に上下動するように嵌挿したピストンの一側に冷菓詰め袋を収容し、前記ピストンの他側に加圧機器から作動流体を供給することにより前記冷菓詰め袋を加圧すると共に、該冷菓詰め袋に連通する注出通路に配設された常閉弁である注出弁を開弁することによって冷菓を注出するように構成された冷菓供給装置において、
前記加圧機器と流体連通し、該加圧機器が作動して前記作動流体の圧力が所定値以上になると前記注出弁を開弁するように、該注出弁の開閉を制御する開閉装置を設けたことを特徴とする冷菓供給装置。
【請求項2】
シリンダ内部に上下動するように嵌挿したピストンの一側に冷菓詰め袋を収容し、前記ピストンの他側に加圧機器から作動流体を供給することにより前記冷菓詰め袋を加圧すると、該冷菓詰め袋に連通する注出通路に配設された常閉弁である弁体が後退して該注出通路を開弁し該注出通路内に形成された冷菓の一回の注出量に相当する容積の定量室内に前記冷菓を充満させ、所定量の冷菓が充満した後、前記弁体を前進させることにより、前記注出通路を閉弁すると共に充満した定量の前記冷菓を注出するように構成された冷菓供給装置において、
前記加圧機器と流体連通し、該加圧機器が作動して前記作動流体の圧力が所定値以上になると前記弁体を閉弁方向に押圧するように、該弁体の開閉を制御する開閉装置を設けたことを特徴とする冷菓供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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