説明

冷蔵庫用救急医療情報入容器

【課題】救急隊が冷蔵庫又は冷蔵庫の外面に設置されている容器のマークを見て直ちに医療情報の入った容器を見つけ出し、該容器から高齢患者の医療情報を取り出し即座にその内容を把握して適用可能な病院へ搬送するための救急医療情報入容器の提供。
【解決手段】本発明の冷蔵庫用救急医療情報入容器は、蓋付き容器の表面に救急医療情報マークを有していてもよく、救急医療情報キッドの文字表示及び関係地域団体マークを有していてもよく、これらの反対側に設置部材を有し、かつ該容器中には高齢患者の医療情報を有している。前記容器が筒状容器又は袋状容器である。前記高齢患者の医療情報が救急情報用紙、患者の写真、健康保険証の写し、診察券の写し及び薬剤情報提供書である。冷蔵庫用救急医療情報入容器1とステッカーとの組合せからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫用救急医療情報入容器に関し、更に詳しくは救急隊が高齢者の医療情報を即座に把握して適用可能な病院へ搬送するための冷蔵庫用救急医療情報入容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者社会へ移行して久しいが、更に高齢者は、独居生活を営んでいる住居が多く、その独居者が倒れた場合、救急隊が駆けつけてもすでに意識のない場合や倒れた患者からは十分な医療情報を聞くことができない場合が多く、したがって、そのような場合、患者の治療に当たって適切な病院への搬送ができなく、病院をたらい廻しされる例が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特に先行技術文献は見当たらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような中で、市町村などの地域団体では、高齢者のいる住居や特に高齢者の独居住宅などには、高齢者の医療情報を収集することが行われてはいるが、近年、人件費の高騰などで人数的に対応しきれず問題となっている。また高齢者の医療情報をファイルに閉じて保管することも考えられるが、このような場合には、常に同じ場所に保管するとは限らず、救急隊が来たときにそのファイルを探すのに手間どり効率的に救急活動ができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明者は、救急隊が来たとき、高齢患者の医療情報がどこにあるかを決めておき、その場所として冷蔵庫に注目し、該冷蔵庫に医療情報の入った容器を置くか又はそこに医療情報入り容器を設置しておき、かつこの医療情報入り容器には、この容器は医療情報が入っていることを示すマークを付しておくことにより、高齢者が倒れた場合、救急隊は、冷蔵庫の中又は冷蔵庫の外面に設置されているそのマークの付いた救急医療情報容器から医療情報を取り出し、患者に救急処置を施しながら、どこの病院へ搬送すればよいかを直ちに認知することができるということを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。したがって、本発明が解決しようとする課題は、救急隊が冷蔵庫又は冷蔵庫の外面に設置されている容器のマークを見て直ちに医療情報の入った容器を見つけ出し、該容器から医療情報を取り出し即座にその内容を把握して適用可能な病院へ搬送するための救急医療情報入容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の(1)乃至(6)の各発明によって、前記の課題を解決したものである。
【0007】
(1)蓋付き容器の表面に救急医療情報マークを有していてもよく、救急医療情報キッドの文字表示及び関係地域団体マークを有していてもよく、これらの反対側に設置部材を有し、かつ該容器中には高齢患者の医療情報を有していることを特徴とする冷蔵庫用救急医療情報入容器。
(2)前記容器が筒状容器であることを特徴とする前記第1項に記載の冷蔵庫用救急医療情報入容器。
(3)前記容器が筒状容器であって、該容器の蓋と容器本体とが中央部で嵌合され、該嵌合部の周囲を救急医療情報マークを有するラベルを巻いたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫用救急医療情報入容器。
(4)前記容器が袋状容器であることを特徴とする前記第1項に記載の冷蔵庫用救急医療情報入容器。
(5)前記高齢患者の医療情報が救急情報用紙、患者の写真、健康保険証の写し、診察券の写し及び薬剤情報提供書であることを特徴とする前記第1項乃至第4項のいずれかに記載の冷蔵庫用救急医療情報入容器。
(6)前記第1項乃至第5項のいずれかに記載の冷蔵庫用救急医療情報入容器とステッカーとの組合せからなる冷蔵庫用救急医療情報入容器。
【発明の効果】
【0008】
前記(1)〜(4)の本発明は、以下の如き優れた効果を奏するものである。
(1)本発明の救急医療情報入容器は、蓋付き容器の表面に救急医療情報マークを有していてもよく、救急医療情報キッドの文字表示及び関係地域団体マークを有していてもよく、これらの反対側に設置部材を有し、かつ該容器中には高齢患者の医療情報を有していることにより、緊急時に救急隊は冷蔵庫の中又はその外壁に設置又は付着されている医療情報入容器を見つけ出すと共にその中に入っている医療情報を見て手間取ることなく目的の病院へ搬送することができるという優れた効果を奏するものである。
(2)本発明の救急医療情報入容器は、前記第1項の記載において、前記容器が筒状容器であることにより、前記の発明の効果に加えて、紙又はシートに記載された医療情報を丸めてコンパクトにして容器中に収納することができるという優れた効果を奏するものである。
(3)本発明の救急医療情報入容器は、前記第1項の記載において、前記容器が筒状容器であることにより、前記の発明の効果に加えて、紙又はシートに記載された医療情報を丸めてコンパクトにして容器中に収納することができるという優れた効果を奏するものである。
(4)本発明の救急医療情報入容器は、前記第1項の記載において、該容器の蓋と容器本体とが中央部で嵌合され、該嵌合部の周囲を救急医療情報マークを有するラベルを巻いたことにより、前記(1)項に記載の効果に加えて、製造が簡単であり、製造コストが安いとともに蓋と容器とを持って互いに逆方向にねじることにより簡単に開封することができるという優れた効果を奏するものである。
(5)本発明の救急医療情報入容器は、前記第1項乃至第4項のいずれかの記載において、前記高齢患者の医療情報が救急情報用紙、患者の写真、健康保険証の写し、診察券の写し及び薬剤情報提供書であることにより、前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載の効果に加えて、搬送された病院で診察者が該医療情報を見て適切な処置を施すことができるという優れた効果を奏するものである。
(6)前記第1項乃至第5項のいずれかに記載の冷蔵庫用救急医療情報入容器とステッカーとの組合せからなることにより、冷蔵庫内に救急医療情報入容器を収納した場合にも、救急隊員が冷蔵庫の扉に設けられたステッカーを見て救急医療情報入容器が冷蔵庫に入っていることが直ちにわかるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の救急医療情報入容器を示す図面である。図1のaは、その正面図であり、図2のbは、図1のaの円内の断面図である。
【図2】図1の本発明の救急医療情報入容器を示す側面から見た略図である。
【図3】本発明の救急医療情報入容器の別の例である袋状容器を示す図面である。図3のaは、その平面図であり、図3のbは、その側面図である。
【図4】本発明に係る救急情報紙の例を示した平面図である。
【図5】本発明に係る救急医療情報入容器は、容器の中央部をラベルで巻いて接続固定した例を示した平面図であり、図5のaは、蓋部と容器部とを嵌合した中央部をラベルで接続した側断面図であり、図5のbは、蓋部と容器部の中央部をラベルで接続した側断面図である。
【図6】本発明に係るラベルを示されとり、図6のaは、ラベルの平面図であり、図6のbは、その長手方向の断面図である。
【図7】本発明に係るステッカーの例を示した平面図であり、図5のaは、ステッカーの平面図であり、図5のbは、ステッカーの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明について、発明の実施の形態を図面で説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。ここで、図面の符号は、同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。本願特許請求の範囲において、「救急医療情報マークを有していてもよく」とは、容器の表面に救急医療情報マークを有している場合、又は救急医療情報マークを有していない場合のいずれかの容器を含む意味に用いており、また同「関係地域団体マークを有していてもよく」とは、容器の表面に関係地域団体マークを有している場合又は関係地域団体マークを有していない場合のいずれかの容器を含む意味に用いている。したがって、本発明では容器の表面に救急医療情報マークを有している場合及び容器の表面に関係地域団体マークを動じに有している場合について説明しているが、これらは、いずれも選択的に付与される。即ち、容器の表面に救急医療情報マーク及び関係地域団体マークを有していない場合、容器の表面に救急医療情報マーク及び関係地域団体マークのいずれかのマークを有している場合、容器の表面に救急医療情報マーク及び関係地域団体マークが共に有している場合が含まれる。図1において、図1のaは、本発明の救急医療情報入容器を示す正面図であり、図1のbは、図1のaの円内の断面図である。また図2は、図1のaで示される本発明の救急医療情報入容器の側面から見た略図である。図1、図2において、本発明の救急医療情報入容器1は、底を有する筒状体からなり、上部の開口部には蓋2を有している。蓋2は、図1のbに示されるように、筒状容器の開口部に被せて、かつその側壁部に設けられた突起部により固定される。この蓋2の固定の仕方は、特に限定されるものではなく、通常この技術分野において用いられる蓋の固定に関する技術であればよい。この容器1の正面には、救急隊の所属する組織のマーク、即ち救急医療情報マーク3が設けられ、このマーク3により救急医療情報入容器1であることがわかる。またこの容器1中に収納されている高齢患者の医療情報が、例えば、救急医療情報キット4の名称で表示されている。更に必要に応じて関係地域団体と協力して行う場合には、その関係地域団体のマーク5を付しておく。更にまた救急医療情報入容器1の表面に対して反対側には片面が離型シートに覆われた両面粘着剤シート又は磁石シートが接着剤で接着されている。
【0011】
更に、前記救急医療情報入容器1に収納されている高齢患者の医療情報としては、救急情報紙、患者の写真、病歴、通院病院、薬剤情報提供書、健康保険証の写し、診察券などであり、あまり不必要な情報は入れないようにする。救急情報紙の一例としては、図4に示されるように、個人情報は、氏名、生年月日、性別、血液型、電話番号、住所(居所)などの記載欄を有する。また本人のかかりつけの医療機関の欄を有し、具体的には、名称、即ちかかりつけの医院、病院など、科目及び担当医、呼吸器科、○○医師など、所在地、電話番号などの記入欄が設けられている。緊急連絡先氏名の欄は、その氏名(できるだけ2人以上記載するのが好ましい。)、続柄、電話番号、住所(居所)、服薬内容の欄には、薬剤情報書(写)、お薬手帳(写)などを容器に入れてもよい。持病の欄には、例えば、ぜんそくなどの持病を記載する。その他の欄には、救急隊員への伝言などの救急隊員への要望などを記載しておく。指定居宅介護支援事業者の記載欄には、介護支援事業者、その所在地、電話番号などを記載する。最後に同意欄有し、本人氏名を記載し、印鑑又はサインをする。
【0012】
図3は、本発明の救急医療情報入容器の別の例である袋状容器を示す図面である。図3のaは、その平面図であり、図3のbは、その側面図である。図3において、袋状容器11は、縦長形状を有し、袋の開口部には、開閉自在封止部6を有すると共に、開口面には対向して2本の凸状線71,72を有している。これにより開口部が密着することなく開くので、開閉自在封止部6の開閉が容易にできる効果を奏する。また袋11の表面には、図1に示される筒状容器1の表面と同様に救急医療情報マーク3、救急医療情報キット4の名称、関係地域団体のマーク5が設けられている。また袋容器11の裏面又は反対側には、添着シート又は磁石シート9が設けられている。更に図3のbに示されるように、袋容器11は、まち8を設けてゆとりのある内部空間を有するようにしてもよい。
【0013】
このようにして得られた救急医療情報入容器1は、冷蔵庫の中に入れておくか又は冷蔵庫の外壁、例えば、救急医療情報容器を扉の目に付くところに設置しておくか又は冷蔵庫の側壁に設置しておいてもよい。設置方法としては、冷蔵庫の外壁に固定する場合には、救急医療情報入容器1の表面に対して反対側に片面が離型シートに覆われた両面粘着剤シートが添着されているので、この離型シートを剥がして所望の場所に貼ることにより設置又は固定する。また冷蔵庫のような実際には見えない場所に救急医療情報入容器1を収納しておく場合には、別途、図7に示されるような保管場所表示用ステッカー12を作製し、このステッカー12を冷蔵庫の扉に見えるように添着しておくのがよい。またステッカー12は、玄関の扉の内側に貼っておいてもよい。したがって、冷蔵庫のような内部に収納する場合には、救急医療情報入容器1とステッカー12とを組み合わせて一式として用いることが好ましい。更にこのステッカーの表面には、救急隊の所属する組織のマークを全表面を占めるように大きく表示するのがよい。
【0014】
図5において、本発明に係る救急医療情報入容器は、容器の中央部をラベルで巻いて接続固定した例を示した平面図であり、図5のaでは、蓋部15と容器部16とを嵌合部17で嵌合し、この嵌合した中央部をラベル18で接続したものである。また図5のbは、蓋部15と容器部16の中央部をラベル18で巻いて接着して接続したものである。ここで、蓋と容器とからなることを示す意味で蓋の容器接触面19と容器の蓋の接触面20は蜜に接触した状態でラベルが巻かれる。図6において、図6のaは、本発明に係るラベル18は、その中央部に救急医療情報マーク3を印刷などの手段で示されており、使用に際しては、ラベル18の裏面に接着剤を塗布した後、蓋部15と容器部16とを接続固定するために、ラベル18をその接続部に巻いて接続こていする。本発明の救急医療情報入容器から、医療情報を取り出すときは、蓋部15と容器部16とを持ち、互いに逆方向にねじってラベル18を破ることにより、その中の情報を取り出すことができる。本発明では、容器として、主に筒状容器を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、断面が円形、楕円形、四角形、長方形の容器であってもよいことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、救急隊が高齢者の医療情報を即座に把握して適用可能な病院へ搬送するための冷蔵庫用救急医療情報入容器であって、近年高齢化が進んでいる高齢化社会では、このような容器を高齢者のいる家庭、独居家庭に配置することにより、高齢者が倒れた時、即座にその内容を把握して適用可能な病院へ搬送することができる利点を有し、今後、ますますこのような容器が必要となり産業上極めて有用である。
【符号の説明】
【0016】
1 容器
2 蓋
3 救急医療情報マーク(事業会社マーク)
4 タイトル等の用語
5 地域団体のマーク
6 開閉自在封止部
7、71,72 凸部線、
8 マチ
9 装着部
91 粘着シート
92 磁石シート
11 袋状容器
12 ステッカー
13 添着剤層
14 離型シート
15 長蓋
16 筒状容器
17 嵌合部
18 ラベル
19 蓋の容器接触面
20 容器の蓋の接触面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋付き容器の表面に救急医療情報マークを有していてもよく、救急医療情報キッドの文字表示及び関係地域団体マークを有していてもよく、これらの反対側に設置部材を有し、かつ該容器中には高齢患者の医療情報を有していることを特徴とする冷蔵庫用救急医療情報入容器。
【請求項2】
前記容器が筒状容器であることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫用救急医療情報入容器。
【請求項3】
前記容器が筒状容器であって、該容器の蓋と容器本体とが中央部で嵌合され、該嵌合部の周囲を救急医療情報マークを有するラベルを巻いたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫用救急医療情報入容器。
【請求項4】
前記容器が袋状容器であることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫用救急医療情報入容器。
【請求項5】
前記高齢患者の医療情報が救急情報用紙、患者の写真、健康保険証の写し、診察券の写し及び薬剤情報提供書であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の冷蔵庫用救急医療情報入容器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の冷蔵庫用救急医療情報入容器とステッカーとの組合せからなる冷蔵庫用救急医療情報入容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−87863(P2011−87863A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245946(P2009−245946)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【出願人】(592014001)
【Fターム(参考)】