説明

冷蔵庫

【課題】食品の情報の手入力を回避し、冷蔵庫内に無線タグを貼り付けた食品を入れるだけで庫内情報を作成することができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵室14の開口部近傍に前アンテナ52と後アンテナ54とを設け、前アンテナ52、後アンテナ54の順番で無線タグ情報を検出したときは食品が収納されると判断し、後アンテナ54と前アンテナ52の順番で無線タグ情報を検出したときは商品が搬出されると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグが設けられた食品を収納し管理することができる冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、無線タグの技術が進歩し、この無線タグを張り付けた食品を収納し管理することができる家庭用の冷蔵庫が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような冷蔵庫は、食品に貼り付けた無線タグからの電波を送受信するために複数のアンテナと、これらアンテナを用いて無線タグ情報を送受信するための送受信部と、この送受信部を制御するための主制御部が設けられている。
【特許文献1】特開2002−81848公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような冷蔵庫において行われるサービスの一つに食品管理サービスがある。この食品管理サービスは、冷蔵庫内の食品を予めコントローラなどから入力し、コントローラから入力された情報をホームサーバーから各ユーザーの携帯電話へ送信し、賞味期限が近づくと報知するサービスである。
【0005】
しかし、このようなサービスを受けるためには各ユーザーが冷蔵庫内に入れた食品について、食品名、賞味期限などを入力する必要があるため非常に面倒である。
【0006】
また、上記のような無線タグを使用した冷蔵庫の場合には、アンテナの検知範囲にユーザーが無線タグを貼り付けた商品を通すことによって庫内情報を作成するものが多く、検知した食品が実際に庫内に存在するか否かはユーザーの判断に任せる場合が多い。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、食品の情報の手入力を回避し、冷蔵庫内に無線タグを貼り付けた食品を入れるだけで庫内情報を作成することができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、貯蔵室と、前記貯蔵室の開口部を開閉するドアと、前記ドアの開閉を検知するドア開閉検出手段と、食品に設けられた無線タグと通信するためのアンテナと、前記アンテナから前記無線タグに記憶されている無線タグ情報を検出するタグ検出手段とを有する冷蔵庫において、前記アンテナは、前記開口部近傍であって、かつ、前記開口部と略平行な面を検知範囲とする前アンテナと、前記開口部近傍であって、前記前アンテナより後方であり、かつ、前記開口部と略平行な面を検知範囲とする後アンテナとから構成され、前記タグ検出手段は、前記ドア開閉検出手段が前記ドアの開状態を検出した後、前記前アンテナと前記後アンテナを動作させ、前記前アンテナと前記後アンテナの順番で前記無線タグ情報を検出したときは、食品が収納されると判断し、前記後アンテナと前記前アンテナの順番で前記無線タグ情報を検出したときは、食品が搬出されると判断することを特徴とする冷蔵庫である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の冷蔵庫であると、貯蔵室内部に前アンテナと後アンテナを設け、前アンテナと後アンテナの順番で無線タグ情報を検出したときは食品が収納されると判断でき、逆に、後アンテナと前アンテナの順番で無線タグ情報を検出したときは商品が搬出されると判断することができる。そのため、商品の出し入れ毎にユーザーが食品の情報を手入力する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態の冷蔵庫10について図1〜図5に基づいて説明する。
【0011】
本実施形態の冷蔵庫10は、食品に貼り付けた無線タグ24に記憶されている無線タグ情報を読み取り管理することができる。
【0012】
(1)冷蔵庫10の構成
冷蔵庫10の構成について、図1〜図3に基づいて説明する。
【0013】
図1に示すように、冷蔵庫10のキャビネットには、上段から冷蔵室14、野菜室16、製氷室18、冷凍室20が配され、製氷室18の右側には庫内温度を切り替えることができる切替室22が設けられている。
【0014】
冷蔵室14内部には、上下方向に上棚41、中棚39、下棚38が設けられている。下棚38は、チルド室の天井面も兼ねている。
【0015】
キャビネット12の天井面には、食品に貼り付けられた無線タグ24からの無線タグ情報を送受信するための制御部であるタグ検出装置26が設けられ、その右側には、このタグ検出装置26から読み取った無線タグ情報を送信する無線アダプター28が設けられている。
【0016】
冷蔵室14内部には、無線タグ情報を受信するためのアンテナ52〜60が設けられている。冷蔵室14の開口部の近傍、即ち、冷蔵室14の開口部縁部に、前アンテナ52が設けられている。この前アンテナ52は、ループ状であり、冷蔵室14の天井面、側面、底面、右側面を経て一周したコイルから形成され、貯蔵室14の開口面と平行な面に沿って検知範囲が設けられている。しかし、その面状の検知範囲の奥行き方向は図2に示すように小さい。
【0017】
この前アンテナ52の後方には後アンテナ54が設けられている。この後アンテナ54も前アンテナ52と同様にループ状であり、冷蔵室14の開口面と平行な面に沿って検知範囲が設けられている。そして、この後アンテナ54の奥行き方向の検知範囲は、図2に示すように小さく、前アンテナ52の奥行き方向の検知範囲と重ならない範囲となっている。
【0018】
上棚41には、上棚アンテナ56が面状に設けられ、上棚41に載置された食品の無線タグ情報を読み取ることができる。
【0019】
中棚39には、中棚アンテナ58が面状に設けられ、中棚39に載置された食品の無線タグ情報を送受信することができる。
【0020】
下棚38には、下棚アンテナ60が面状に設けられ、下棚38に載置された食品及びチルド室内部の食品の無線タグ情報を読み取ることができる。
【0021】
図3に示すように、無線アダプター28から送信された無線タグ情報は外部機器の一つであるホームサーバー30に送られる。このホームサーバー30はインターネットを介して外部にある情報サーバー32に接続されている。情報サーバー32には、ユーザーが有する携帯電話34からアクセスが可能となっている。また、ホームサーバー30は液晶表示装置62を有する。
【0022】
(2)冷蔵庫10の電気的構成
図4に基づいて、冷蔵庫10の電気的な構成について説明する。
【0023】
冷蔵庫10の制御装置40は、冷蔵庫10の庫内温度の管理を行うために圧縮機などを駆動するための制御を行う部分であり、マイクロコンピュータより構成されている。また、この制御装置40には、タグ検出装置26と無線アダプター28が接続されている。タグ検出装置26には、前記した前アンテナ52、後アンテナ54、上棚アンテナ56、中棚アンテナ58、下棚アンテナ60が接続されている。
【0024】
制御装置40には、冷蔵室14、野菜室16、製氷室18、冷凍室20、切替室22の各ドアの開閉を検知するためのドアスイッチ42、44、46、48、50が設けられている。これら各ドアスイッチ42〜50のドア開閉信号に基づいて制御装置40は、どの貯蔵室のドアが開閉されているかを検知することができる。また、タグ検出装置26は、ドアスイッチ42〜50がドアの開状態を検知したときに各アンテナ52〜60の動作状態を開始し、ドアスイッチ42〜50がドアの閉状態を検知したときに各アンテナ52〜60の動作状態を停止させる。これによって、省エネルギーとなる。
【0025】
(3)食品の出し入れ時の処理
次に、図5及び図6に基づいて、商品の出し入れ時の冷蔵庫10の処理について説明する。図5はその処理フローチャートであり、図6は食品の出し入れの状態を示す模式図であって、冷蔵室14の側面図を示し、矢印が食品の動きを示している。
【0026】
先ず、ユーザーが食品を収納するときの処理について説明する。
【0027】
ステップ1において、ユーザーが冷蔵室14のドアを開けるとドアスイッチ42がそれを検知し、各アンテナ52〜60を動作させる。
【0028】
ステップ2において、ユーザーが食品を冷蔵室14に収納すると、その開口部近傍にある前アンテナ52がその食品に付けられた無線タグ24からの無線タグ情報を受信する。
【0029】
ステップ3において、後アンテナ54がその食品の無線タグ情報を受信したか否かを判断する。即ち、ここで後アンテナ54が無線タグ情報を受信するとユーザーがさらに食品を奥に収納したと判断しステップ4に進む。一方、後アンテナ54において所定時間(例えば、10秒)以内に無線タグ情報を受信しない場合には、ユーザーがその食品の収納を中止したと判断する。これが、図6における(3)の右側の矢印の状態である。
【0030】
ステップ4において、後アンテナ54で無線タグ情報を受信し、所定時間内に前アンテナ52で受信しない場合には、食品の収納が完了したと判断する。これが、図6における(1)の上の矢印の状態である。そして、上棚アンテナ56、中棚アンテナ58、下棚アンテナ60によって、食品がどの棚に収納されたかを検知して、その収納位置を記憶する。
【0031】
一方、ステップ4において、後アンテナ54で受信した後に所定時間内において前アンテナ52で再び無線タグ情報を受信した場合には、ユーザーが食品の収納を中止したと判断する。これが、図6の(2)の上の矢印の状態である。
【0032】
次に、ユーザーが食品を搬出するときの処理について説明する。
【0033】
ステップ1において、冷蔵室14のドアが開かれるとステップ5に進む。
【0034】
ステップ5において、後アンテナ54で搬出する食品の無線タグ情報を受信するとステップ6に進む。
【0035】
ステップ6において、所定時間内に前アンテナ52でその食品の無線タグ情報を受信すればステップ7に進む。一方、前アンテナ52で所定時間内にその食品の無線タグ情報を受信しない場合には搬出が中止されたと判断する。これが図6の(3)の下の矢印の状態である。
【0036】
ステップ7において、後アンテナ54で所定時間内にその食品の無線タグ情報が再び受信されない場合には、ユーザーが食品を搬出したと判断する。これが、図6の(1)の状態である。
【0037】
一方、ステップ7において、再び後アンテナ54でその食品の無線タグ情報を受信した場合には、ユーザーが食品の搬出を中止したと判断する。これが図6の(2)の下の矢印の状態である。
【0038】
なお、図6の(4)の上下の矢印に示すように、ユーザーが、食品を収納するときに所定時間、冷蔵室14内部でその食品を手に持っていても、前アンテナ52と後アンテナ54の順番で無線タグ情報が受信されれば、図6(1)の状態と同様に食品が収納されたと判断することができる。
【0039】
ステップ8において、収納の中止、収納、搬出中止、搬出の判断がされた後、冷蔵室14のドアが閉じられると、各アンテナ52〜60の動作を停止させ、収納または搬出された食品の無線タグ情報をホームサーバー30に送信する。
【0040】
ホームサーバー30では、その送信された無線タグの情報並びに、現在冷蔵室14に収納されている食品の無線タグ情報を液晶表示装置62において閲覧することができる。特に、上棚アンテナ56、中棚アンテナ58、下棚アンテナ60において、食品がどの棚に収納されたかを検知することができるため、その食品の収納位置をも閲覧することができる。
【0041】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について図7に基づいて説明する。
【0042】
本実施形態と第1の実施形態の異なる点は、第1の実施形態の機能に加えて、ユーザーが食品の無線タグ24に必要な情報を書き込むことができる構成を有する点にある。
【0043】
図7に示すように、無線タグ24には固定領域とユーザー領域があり、ユーザー領域にはユーザー毎にデータを書き込むことが可能になっている。そのため、ホームサーバー30を用いて、ユーザーが必要な書き込み情報をタグ検出装置26を通じて書き込むことを指定することによって、無線タグ24のユーザー領域にユーザーが必要とする情報を書き込むことができる。これにより、各家庭内での区別をつけたり、ユーザー独自の食品管理が可能となる。
【0044】
[変更例]
本発明は上記各実施形態に限らず、その主旨を逸脱しない限り種々に変更することができる。
【0045】
例えば、冷蔵室14のドアの前面にスピーカ51を設け、各アンテナ52〜60で無線タグ情報を受信する毎に、音、音声、音楽を鳴らしてもよい。これにより、ユーザーが無線タグ情報を受信したことがわかり、何度も検知範囲に食品を通過させたり、面倒からその行為をやめたりすることがなく、楽しく食材管理を行える。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、家庭用の冷蔵庫に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態を示す冷蔵庫のドアを取り除いた状態の斜視図である。
【図2】冷蔵室の縦断面図である。
【図3】冷蔵庫とホームサーバーと情報サーバーと携帯電話の関係を示す説明図である。
【図4】冷蔵庫のブロック図である。
【図5】食品の収納及び搬出を示すフローチャートである。
【図6】商品の出し入れを示す説明図である。
【図7】無線タグのメモリの内容を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10 冷蔵庫
14 冷蔵室
24 無線タグ
42〜50 ドアスイッチ
52 前アンテナ
54 後アンテナ
56 上棚アンテナ
58 中棚アンテナ
60 下棚アンテナ
40 制御装置
28 無線アダプター
26 タグ検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、
前記貯蔵室の開口部を開閉するドアと、
前記ドアの開閉を検知するドア開閉検出手段と、
食品に設けられた無線タグと通信するためのアンテナと、
前記アンテナから前記無線タグに記憶されている無線タグ情報を検出するタグ検出手段とを有する冷蔵庫において、
前記アンテナは、前記開口部近傍であって、かつ、前記開口部と略平行な面を検知範囲とする前アンテナと、前記開口部近傍であって、前記前アンテナより後方であり、かつ、前記開口部と略平行な面を検知範囲とする後アンテナとから構成され、
前記タグ検出手段は、前記ドア開閉検出手段が前記ドアの開状態を検出した後、前記前アンテナと前記後アンテナを動作させ、前記前アンテナと前記後アンテナの順番で前記無線タグ情報を検出したときは、食品が収納されると判断し、前記後アンテナと前記前アンテナの順番で前記無線タグ情報を検出したときは、食品が搬出されると判断する
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記タグ検出手段は、前記前アンテナで前記無線タグ情報を検出した後、所定時間内に前記後アンテナで前記無線タグ情報を受信しないときは、前記食品は収納されないと判断する
ことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記タグ検出手段は、前記後アンテナで前記無線タグ情報を検出した後、所定時間内に前記前アンテナで前記無線タグ情報を受信しないときは、前記食品は搬出されないと判断する
ことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記アンテナは、さらに一つまたは複数の領域アンテナを有し、
前記領域アンテナは、前記後アンテナの後方であって、所定の領域にある前記無線タグの無線タグ情報と通信する
ことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項5】
ホームサーバーに無線タグ情報を送信する通信手段を有し、
前記タグ検出手段は、前記検出した無線タグ情報を前記通信手段によって前記ホームサーバーに送信する
ことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記ホームサーバーは、前記受信した無線タグ情報を表示する表示手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記ホームサーバーは、前記無線タグのユーザー領域に任意の情報を書き込むことができる
ことを特徴とする請求項2記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−329459(P2006−329459A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−150179(P2005−150179)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】