説明

冷蔵庫

【課題】弁の開度が調節可能に設けられた切替弁を備えた冷蔵庫において、冷却効率を向上させ消費電力を低減することができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】圧縮機と、凝縮器10と、冷凍貯蔵室2を冷却する冷凍用蒸発器と、冷蔵貯蔵室を冷却する冷蔵用蒸発器と、冷凍用蒸発器および冷蔵用蒸発器へ冷媒を切り換えて流す切替弁11とを備え、切替弁11は、冷蔵用蒸発器側へ冷媒が流れ出る冷蔵側流出口32aと、冷凍用蒸発器側へ冷媒が流れ出る冷凍側流出口32bとのうち、少なくとも一方の流出口が開度調節可能に設けられ、開度調節可能に設けられた流出口に接続された出口配管が断熱材で被覆され、切替弁11へ冷媒が流れ込む流入口34に接続された入口配管37が断熱材で被覆されていないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切替弁を用いて蒸発器へ冷媒流入を制御する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍貯蔵室および冷蔵貯蔵室をそれぞれ専用に冷却する蒸発器を設け、切替弁によって冷凍用蒸発器および冷蔵用蒸発器に交互に切り換えて冷媒を供給することで、冷凍貯蔵室および冷蔵貯蔵室を所定温度に冷却する冷蔵庫が従来より知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
このような冷蔵庫では、貯蔵室の庫内温度に応じた適切な能力で各蒸発器を冷却するため、弁の開度が調節可能に設けられた切替弁を設け、各蒸発器に供給する冷媒流量を調整しつつ、各蒸発器へ切り換えて冷媒を供給する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−124454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような弁の開度が調節可能に設けられた切替弁を備えた冷蔵庫では、切替弁の開度を絞ると凝縮器から供給された冷媒が減圧され低温化するため、次のような問題がある。
【0006】
すなわち、切替弁は、圧縮機や凝縮器などとともに冷蔵庫本体に設けられた機械室内に配設され、圧縮機や凝縮器により昇温した空気に曝されるため、切替弁から流出する低温下した冷媒が暖められることとなり、冷却効率が悪化するという問題がある。
【0007】
なお、上記特許文献1において、冷媒の流路を切り換える切替弁を断熱材内に配設して、圧縮機や凝縮器の放熱による熱影響が切替弁に及ぶのを防止する点が開示されている。しかしながら、上記特許文献1では、切替弁全体が断熱材に埋設され断熱材で被覆されているため、凝縮器から供給された高温の冷媒の熱が切替弁にこもり高温の冷媒を放熱できず、冷却効率が悪化する問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題を考慮してなされたものであり、弁の開度が調節可能に設けられた切替弁を備えた冷蔵庫において、冷却効率を向上させ消費電力を低減することができる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる冷蔵庫は、圧縮機と、凝縮器と、冷蔵貯蔵室を冷却する冷蔵用蒸発器と、冷凍貯蔵室を冷却する冷凍用蒸発器と、前記冷凍用蒸発器および前記冷凍用蒸発器へ冷媒を切り換えて流す切替弁とを備え、前記切替弁は、前記冷蔵用蒸発器側へ冷媒が流れ出る流出口と、前記冷凍用蒸発器側へ冷媒が流れ出る流出口とのうち、少なくとも一方の流出口が開度調節可能に設けられ、前記開度調節可能に設けられた流出口に接続された出口配管が断熱材で被覆され、前記切替弁へ冷媒が流れ込む流入口に接続された入口配管が、断熱材で被覆されていないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の冷蔵庫では、上記構成により、冷却効率を向上させ冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる冷蔵庫の断面図である。
【図2】図1の冷蔵庫の冷凍サイクルを示す図である。
【図3】図1の冷蔵庫の機械室を背面からみた斜視図である。
【図4】図1の冷蔵庫の機械室部分の断面図である。
【図5】図1の冷蔵庫の機械室部分にカバー体を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】図1の冷蔵庫の切替弁の要部を示す平面図である。
【図7】冷蔵冷却モードから冷凍冷却モードへの移行時の運転制御タイミングチャート図である。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかる冷蔵庫の機械室を概略的に示す平面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態にかかる冷蔵庫の機械室部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、図面に基づき本発明の第1の実施形態について説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、断熱箱体の内部に貯蔵空間を形成してなるものであり、仕切壁により、冷凍室や製氷室の冷凍貯蔵室2、冷蔵室や野菜室の冷蔵貯蔵室3など複数の貯蔵室に区分されている。貯蔵空間の後部には、冷凍貯蔵室2を冷却するための冷凍用蒸発器4と、冷凍貯蔵室2の冷気を循環するための冷凍用ファン6と、冷蔵貯蔵室3を冷却するための冷蔵用蒸発器5と、冷蔵貯蔵室3の冷気を循環するための冷蔵用ファン7が設けられている。各貯蔵室は、これら冷凍用蒸発器4や冷蔵用蒸発器5、及び冷凍用や冷蔵用ファン6,7によってそれぞれ所定の設定温度に冷却保持されるものであり、各蒸発器4,5は、冷蔵庫本体背面下部の機械室8に設置した圧縮機9から供給される冷媒によって冷却される。
【0014】
冷蔵庫1の冷凍サイクルは、図2に示すように、高温高圧の冷媒ガスを吐出する圧縮機9と、該圧縮機9から吐出される冷媒ガスを受けて放熱液化する凝縮器10と、該凝縮器10の出口側に設けられて冷媒流路を切り替える切替弁11と、上記冷凍用蒸発器4及び冷蔵用蒸発器5と、これら蒸発器4,5のための絞り手段としての冷凍用減圧装置12及び冷蔵用減圧装置13と、逆止弁14とを備え、これらを配管で接続してなる。
【0015】
詳細には、圧縮機9と凝縮器10と切替弁11を直列に接続し、切替弁11の一方の出口と冷凍用減圧装置12と冷凍用蒸発器4と逆止弁14を直列に接続し、切替弁11の他方の出口と冷蔵用減圧装置13と冷蔵用蒸発器5を直列に接続する。そして、逆止弁14の出口側に接続された配管と冷蔵用蒸発器5の出口側に接続された配管とを合流し、吸い込み管15として圧縮機9へ戻すことにより冷媒回路が構成されている。従って、切替弁11から冷凍用減圧装置12を介して接続された低温側の冷凍用蒸発器4と、切替弁11から冷蔵用減圧装置13を介して接続された高温側の冷蔵用蒸発器5とは、並列に接続されている。
【0016】
機械室8に設置された圧縮機9は、図3に示すように、冷蔵庫本体の幅方向にわたって設けたコンプ台16上にクッション体を介して取り付けられている。
【0017】
機械室8は、冷蔵庫本体の背面下部に冷凍貯蔵室2側に突出する段部17を形成し、この段部17によって幅方向に亙る所定の奥行きと高さ寸法を有する平面視において略矩形状の空間をなしている。機械室8の幅方向の一方に寄せて圧縮機9を設置し、幅方向の他方側を放熱ダクトとして外気を機械室8内に導入する冷却ファン18、凝縮器10、及び除霜水を蒸発させる蒸発皿19などを設置している。
【0018】
冷却ファン18は、段部17との間に若干の間隙を形成し、周縁を機械室8の上下面に、左右部分を段部17に当接するように設置され機械室8内と外部とを区画したファンケーシング20に取り付けられており、軸流が機械室8の前後方向となるように配置されている。
【0019】
この冷却ファン18を取り付けたファンケーシング20の下端前方のコンプ台16には、図4に示すように、ファンケーシング20幅に亙って複数の開口からなる外気の吸気口21を穿設している。冷却ファン18の後方には、下端部を冷却ファン18に対向させて凝縮器10が配置されている。この凝縮器10は、冷蔵庫本体背面に形成され機械室8より上方へ延出する凹部22に沿うように立設されている。
【0020】
図5に示すように、機械室8の背面は、カバー体23で覆われている。カバー体23は、冷却ファン18から吹き出された空気が冷蔵庫1本体幅のやや中心方向に向かって流れるような形状をなしており、圧縮機9の後方に排気口24が穿設されている。つまり、外部から機械室8へ空気を導入する吸気口21と、機械室8内に配設された圧縮機9を冷却した空気を排出する排気口24とが、機械室8の対角する隅角部にそれぞれ配設されている。また、カバー体23は、凝縮器10の上端部まで覆うように延設されており、凹部22のとの間に形成されるダクトに連なる排気口25が穿設されている。
【0021】
冷却ファン18が回転することで吸気口21から機械室8内に吹き出され後方に送流され空気は、カバー体23に衝突することで、その一部が本体幅の中央方向に分流され、他の一部が上方に分流される。本体幅の中央方向に分流された空気は、圧縮機9と熱交換してこれを冷却した後、カバー体23に穿設された排気口24から外部に流出する。また、上方に分流された空気は、凹部22とカバー体23で形成されるダクト内に流入し、凝縮器10と熱交換してこれを冷却して、カバー体23上部の排気口25から外部に流出する。
【0022】
切替弁11は、凝縮器10の出口側に設けられて冷凍用蒸発器4および冷蔵用蒸発器5への冷媒流路の切り替えとともに流量を絞り制御できる膨張弁としても機能するものである。
【0023】
具体的には、図6に示すように、切替弁11は、弁ケース31の底部に設けられた弁座32と、この弁座32の上部に配置される弁体33とを備える。
【0024】
弁座32には、冷蔵用蒸発器5側へ冷媒が流れ出る冷蔵側流出口32aと、冷凍用蒸発器4側へ冷媒が流れ出る冷凍側流出口32bと、凝縮器10から入口配管37を介して冷媒が流れ込む流入口34とが形成されている。
【0025】
弁体33は、弁座32に形成された冷蔵側流出口32aおよび冷凍側流出口32bを覆うように弁座32の上部に配置され、パルス制御されたステッピングモータ(不図示)によって角度制御可能に回動される。また、弁体33には、冷蔵側凹溝33aおよび冷凍側凹溝33bが、互いに回転軸33cからの距離を相違させ、かつ、周方向の位置をずらして肉厚段部33dの下面に形成されている。
【0026】
そして、ステッピングモータによって弁体33を所定方向(本実施形態では図6における矢符Aで示す方向)へ所定角度回動させることで、冷蔵側凹溝33aおよび冷蔵側流出口32a、あるいは冷凍側凹溝33bおよび冷凍側流出口32bが上下に重なり連通したり、いずれの凹溝33a,33bも流出口32a,32bに重なり合わず流出口32a,32bが弁体33によって閉鎖されたりする。
【0027】
冷蔵側凹溝33aと冷蔵側流出口32aとが連通すると、流入口34から弁ケース31内に流入した冷媒が、肉厚段部33dの開放端縁から冷蔵側凹溝33aの内に進入し、冷蔵側流出口32aから流出して冷蔵側出口配管35を介して冷蔵用減圧装置13および冷蔵用蒸発器5に導入される。
【0028】
冷凍側凹溝33bと冷凍側流出口32bとが連通すると、流入口34から弁ケース31内に流入した冷媒が、肉厚段部33dの開放端縁から冷凍側凹溝33bの内に進入し、冷凍側流出口32bから流出して冷凍側出口配管36を介して冷凍用減圧装置12および冷凍用蒸発器4に導入される。
【0029】
両流出口32a,32bが弁体33の肉厚段部33dによって閉鎖されると両蒸発器4,5への冷媒供給を遮断する。
【0030】
さらに、冷蔵側凹溝33aは、回転方向の前端から後端に向かうにしたがって断面積が漸次拡大するように形成されており、ステッピングモータによって弁体33の回動角度を制御することで、冷蔵側凹溝33aと冷蔵側流出口32aとが重なり合う面積を変更できる。これにより、冷蔵側流出口32aの開度を調整して冷蔵用蒸発器5に供給する冷媒流量を絞り調整することができる。
【0031】
また、冷凍側凹溝33bについても、冷蔵側凹溝33aと同様、回転方向の前端から後端に向かうにしたがって断面積が漸次拡大するように形成されており、テッピングモータによって弁体33の回動角度を制御することで、冷凍側流出口32bの開度を調整して冷蔵用蒸発器5に供給する冷媒流量を絞り調整することができる。
【0032】
このような構成の切替弁11は、例えば、図4に示すように、吸気口21から冷却ファン18までの風路内に配設されており、圧縮機9および凝縮器10より風上側に配設されている。
【0033】
また、切替弁11に接続された出口配管35,36のうち、冷媒流量が調整可能に設けられた冷蔵側流出口32aおよび冷凍側流出口32bに接続された出口配管35,36には、断熱材38,38によって被覆されている。一方、入口配管37は断熱材によって被覆されておらず、吸気口21から冷却ファン18までの風路内に露出している。
【0034】
このような構成の冷蔵庫1では、冷凍貯蔵室2や冷蔵貯蔵室3に設けられた不図示の温度センサの検知温度に基づいて、不図示の制御手段で切替弁11を切り替え制御することにより、冷蔵用蒸発器5に冷媒を流すことで冷蔵貯蔵室3のみを冷却する冷蔵冷却モードと、冷凍用蒸発器4に冷媒を流すことで冷凍貯蔵室2のみを冷却する冷凍冷却モードと、冷蔵用蒸発器5と冷凍用蒸発器4の双方に冷媒を流すことで冷蔵貯蔵室3と冷凍貯蔵室2を同時に冷却する同時冷却モードとの3つの冷却モードで冷却運転を行う。
【0035】
冷却運転は、冷蔵冷却モード→同時冷却モード→冷凍冷却モードの順に行われ、その際、切替弁11の冷蔵側流出口32aの開度を、冷蔵冷却モードよりも同時冷却モードにおいて小さくすることにより、同時冷却モードでの冷蔵用蒸発器5への流路抵抗を冷蔵冷却モードでの流路抵抗よりも大きくする。
【0036】
詳細には、図7に示すように、冷蔵冷却モードでは、切替弁11は冷凍用蒸発器4側が全閉、冷蔵用蒸発器5側が全開とされ、冷凍用ファン6が停止、冷蔵用ファン7が運転となっている。この状態から同時冷却モードに移行して、切替弁11の冷凍用蒸発器4側の開度が全開とされ、冷凍用ファン6が運転となる。その際、冷蔵用蒸発器5への冷媒流量を絞るように、切替弁11の冷蔵用蒸発器5側の開度を全開状態よりも小さくする。その後、冷凍冷却モードに移行して、切替弁11の冷蔵用蒸発器5側の開度が全閉とされ、冷蔵用ファン7が停止する。
【0037】
また、冷凍冷却モードでは、冷凍貯蔵室2に設けられた温度センサの検知温度に基づいて、切替弁11の冷蔵側流出口32aの開度を調節し、冷凍用蒸発器4に供給する冷媒流量を調整する。これにより、冷凍冷却モード時に冷凍貯蔵室2内の温度状況に応じた適切な冷却強度によって冷却運転を行うことができる。
【0038】
以上のように本実施形態の冷蔵庫1では、切替弁11の出口側に接続された出口配管35,36のうち、開度調整可能に設けられた流出口32a,32bに接続された出口配管35,36が断熱材38で被覆されている。そのため、切替弁11において減圧され低温下した冷媒が、出口配管35,36内を流通している間に、機械室8内に配置された圧縮機9や凝縮器10からの熱によって暖められにくくなり、熱損失を抑えることができ、冷却効率を向上させることができる。
【0039】
また、切替弁11に冷媒を導入する入口配管37が断熱材で被覆されていないため、
凝縮器10から吐出され減圧前の高温の冷媒を、入口配管37の流通過程において冷却することができ、冷却効率を向上させ冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
【0040】
しかも、本実施形態では、圧縮機9および凝縮器10より冷却ファン18の送風方向の風上側に切替弁11が配設されているため、より一層、圧縮機9および凝縮器10から放出される熱の影響をうけにくくなり、更なる冷却効率の向上を図ることができる。
【0041】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態と切替弁11の配置が異なる。すなわち、本実施形態では、図8に示すように、切替弁11が、圧縮機9の前方に位置する機械室8の隅角部に配置されていることを特徴とする。
【0042】
このように、機械室8において吸気口21および排気口24が配設された隅角部と異なる隅角部の一方に凝縮器10、他方に切替弁11を配置することにより、冷却ファン18からの風が当たりにくく、切替弁11は圧縮機9および凝縮器10によって昇温された空気と接触しにくい。そのため、切替弁11に接続された出口配管35,36や入口配管37内を流通する冷媒が暖められにくくなり、冷却効率の向上を図ることができる。なお、その他の構成及び作用効果は第1の実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0043】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、図9に示すように、切替弁11が傾斜して機械室8内に配設されている点で第1の実施形態と相違する。すなわち、冷凍用蒸発器4へ冷媒を導入する冷凍側出口配管36を接続した冷凍側流出口32bが、冷蔵用蒸発器5へ冷媒を導入する冷蔵側出口配管35を接続した冷蔵側流出口32aより低くなるように切替弁11は傾斜して配設されていることを特徴とする。
【0044】
第3の実施形態においても上記した第1の実施形態と同様、冷蔵冷却モード→同時冷却モード→冷凍冷却モードの順に冷却運転を行い、切替弁11の冷蔵側流出口32aの開度を、冷蔵冷却モードよりも同時冷却モードにおいて小さくすることにより、同時冷却モードでの冷蔵用蒸発器5への流路抵抗を冷蔵冷却モードでの流路抵抗よりも大きくする。
【0045】
このように、冷凍側流出口32bが冷蔵側流出口32aより低くなるように切替弁11を傾斜させるとともに、上記のような冷却運転を行うことにより、次のような作用効果がある。
【0046】
すなわち、一般に、冷蔵冷却モードの終盤では、冷蔵貯蔵室3の温度低下に伴い庫内空気と冷蔵用蒸発器5との温度差が小さくなるので、熱交換量が小さくなって非効率となる。これに対し、本実施形態では、切替弁11の傾斜により冷凍側流出口32bが冷蔵側流出口32aより低い位置あるため、冷蔵側流出口32aおよび冷凍側流出口32bが開放される同時冷却モードにおいて、減圧され軽くなったガス冷媒は上方の冷蔵側流出口32aから冷蔵用蒸発器5側へ流出し、比較的重い液冷媒は下方の冷凍側流出口32bから冷凍用蒸発器4側へ流出する。つまり、減圧された冷媒を選択的に冷蔵用蒸発器5へ供給することができる。そのため、冷蔵用蒸発器5の圧力を冷蔵冷却モード時よりも下げて蒸発温度を低くすることができ、冷蔵貯蔵室3の空気温度が低くなる冷蔵冷却終盤において、冷蔵用蒸発器5とその周りの空気の温度差を確保することができるので、冷蔵用蒸発器5における熱交換量が増加し、効率的な省エネルギー運転が可能となる。
【0047】
また、このように冷蔵用蒸発器5での冷却効率を向上しつつ、同時冷却モードとして冷凍用蒸発器4にも冷媒を流すので、冷凍貯蔵室2も冷却することができる。以上より、冷蔵冷却モードから冷凍冷却モードへの移行時における冷却効率を向上して、切り替え時の省エネルギー化を図ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…冷蔵庫 2…冷凍貯蔵室 3…冷蔵貯蔵室
4…冷凍用蒸発器 5…冷蔵用蒸発器 6…冷凍用ファン
7…冷蔵用ファン 8…機械室 9…圧縮機
10…凝縮器 11…切替弁 17…段部
18…冷却ファン 20…ファンケーシング 21…吸気口
22…凹部 32a…冷蔵側流出口 32b…冷凍側流出口
33…弁体 34…流入口 35…冷蔵側出口配管
36…冷凍側出口配管 37…入口配管 38…断熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、凝縮器と、冷凍貯蔵室を冷却する冷凍用蒸発器と、冷蔵貯蔵室を冷却する冷蔵用蒸発器と、前記冷凍用蒸発器および前記冷蔵用蒸発器へ冷媒を切り換えて流す切替弁とを備え、
前記切替弁は、前記冷蔵用蒸発器側へ冷媒が流れ出る流出口と、前記冷凍用蒸発器側へ冷媒が流れ出る流出口とのうち、少なくとも一方の流出口が開度調節可能に設けられ、
前記開度調節可能に設けられた流出口に接続された出口配管が断熱材で被覆され、
前記切替弁へ冷媒が流れ込む流入口に接続された入口配管が断熱材で被覆されていないことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記圧縮機と前記凝縮器と前記切替弁とを収納する機械室を有し、
前記機械室内に配設され外部の空気を導入して前記機械室内を冷却する冷却ファンを備え、
前記切替弁は、前記圧縮機および前記凝縮器の風上側に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記圧縮機と前記凝縮器と前記切替弁とを収納する平面視矩形状の機械室を有し、
外部から前記機械室へ空気を導入する吸気口と、前記機械室内を冷却した空気を排出する排気口とが、平面視において前記機械室の対角する隅角部にそれぞれ配設され、他の隅角部の一方に凝縮器が配設され、他方の隅角部に前記切替弁が配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記切替弁は、前記冷凍用蒸発器側へ冷媒が流れ出る流出口が、前記冷蔵用蒸発器側へ冷媒が流れ出る流出口より低くなるように傾斜させて配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−163704(P2011−163704A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28893(P2010−28893)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】