説明

冷蔵庫

【課題】簡易な構成で貯蔵室内の収納物の消費期間を推定できて、消費期間の減少に応じた適切な運転が可能な冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本実施形態の冷蔵庫は、開閉可能な扉を有する貯蔵室と、この貯蔵室を冷却する冷却器および送風機を備える冷却手段と、前記貯蔵室内の温度を検出する温度センサと、この温度センサの検出温度に基づき前記貯蔵室内に対して食品たる負荷が収納されたことを検出する負荷収納検出手段と、前記冷却手段を制御する制御手段とを具備し、前記制御手段は、前記負荷収納検出手段の負荷収納検出の間隔を記憶して次に前記貯蔵室内に負荷が収納されるまでの期間を推定して消費期間とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の貯蔵室に収納される収納物の量すなわち負荷量は、収納物が出し入れされることによって随時変化する。この変化する負荷量に応じて適切な運転を行なうために、例えば光センサや重量センサなどを用いて貯蔵室に収納された収納物の量を検出することが考えられている。例えば、光センサを用いる場合には、貯蔵室に複数の光源および光センサを設けて複数の光路を形成し、収納物によって遮られた光路の位置や光センサの受光強度などに基づいて、負荷量を検出している。
しかしながら、複数の光センサや重量センサなどを用いて、貯蔵室の負荷量を検出することは、その構成が複雑となり、ひいてはコスト増加となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−99579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、光センサや重量センサを用いることなく簡易な構成で貯蔵室内の収納物の消費期間を推定できて、消費期間の減少に応じた適切な運転が可能な冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の冷蔵庫は、開閉可能な扉を有する貯蔵室と、この貯蔵室を冷却する冷却器および送風機を備える冷却手段と、前記貯蔵室内の温度を検出する温度センサと、この温度センサの検出温度に基づき前記貯蔵室内に対して食品たる負荷が収納されたことを検出する負荷収納検出手段と、前記冷却手段を制御する制御手段とを具備し、前記制御手段は、前記負荷収納検出手段の負荷収納検出の間隔を記憶して次に前記貯蔵室内に負荷が収納されるまでの期間を推定して消費期間とすることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】一実施形態による冷蔵庫全体の概略構成を示す縦断側面図
【図2】冷凍サイクルの構成を示す図
【図3】制御系を示すブロック図
【図4】制御装置による制御内容を示すフローチャート
【図5】残存負荷量推定処理の制御内容を示すフローチャート
【図6】残存負荷量判定処理の制御内容を示すフローチャート
【図7】残存負荷量推定処理の概念を示す図
【図8】残存負荷量に応じた制御内容を示す図
【図9】食品鮮度判定の制御内容を示すフローチャート
【図10】買物周期日数演算の制御内容を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0007】
(一実施形態)
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、冷蔵庫本体10は、前面が開口した縦長矩形箱状の断熱箱体11内に、複数の貯蔵室を有して構成されている。以下、断熱箱体11の開口側すなわち図1において左側を冷蔵庫本体10の前側として説明する。
【0008】
断熱箱体11は、鋼板製の外箱111および合成樹脂製の内箱112の間に断熱材113を設けて構成されている。断熱箱体11は、その内部に、上段から順に冷蔵室12、野菜室13が設けられ、その下方に製氷室14および図示しない小冷凍室が左右に並べて設けられ、さらにその下方に冷凍室16が設けられている。製氷室14には自動製氷装置15が設けられている。
【0009】
冷蔵室12および野菜室13は、いずれも冷蔵温度帯の貯蔵室であり、通常、冷蔵室12および野菜室13は、異なる温度に設定されている。例えば、冷蔵室12の維持温度は1〜5℃に設定されており、野菜室13の維持温度はそれよりやや高い2〜6℃に設定されている。冷蔵室12および野菜室13の間は、プラスチック製の仕切板17により上下に仕切られている。この仕切板17には、後部の一部に開口18が形成されている。これにより、冷蔵室12および野菜室13は、開口18を介して連通している。
【0010】
冷蔵室12内には、例えばプラスチック製の複数の棚板19が設けられている。冷蔵室12内は、この複数の棚板19により上下に複数段に区切られている。また、冷蔵室12の前面部にはヒンジ開閉式の冷蔵室用断熱扉20が設けられている。断熱箱体11には、この冷蔵室用断熱扉20に対応して冷蔵室扉スイッチ201(図3参照)が設けられている。冷蔵室扉スイッチ201は、例えば、いわゆるリミットスイッチなどで構成され、冷蔵室用断熱扉20の開閉を検出する。そして、この冷蔵室用断熱扉20の外側面には、操作パネル21が設けられている。操作パネル21は、例えば各種の設定や選択を行なう操作部、および必要な表示を行なう表示手段としての複数の表示部などを有して構成されている。
【0011】
野菜室13の前側には引出し式の野菜室用断熱扉22が設けられている。断熱箱体11には、この野菜室用断熱扉22に対応して野菜室扉スイッチ221(図3参照)が設けられている。野菜室扉スイッチ221も、例えば、いわゆるリミットスイッチなどで構成され、野菜室用断熱扉22の開閉を検出する。野菜室用断熱扉22の背面部には、上下二段に構成された収納容器23が取付けられている。この収納容器23には、食品たる青果物つまり野菜や果物などが収納される。野菜室13の天井部下面つまり仕切板17の野菜室13側の面には、温度センサたる野菜室温度センサ24が設けられている。この野菜室温度センサ24は、例えばサーミスタで構成され、野菜室13内の温度を検出する。
【0012】
製氷室14、図示しない小冷凍室および冷凍室16は、いずれも冷凍温度帯、例えば−10〜−20℃のマイナス温度帯の貯蔵室である。野菜室13と、製氷室14および小冷凍室との間は断熱仕切壁25により上下に仕切られている。製氷室14の前側には、貯氷容器26が連結された引出し式の製氷室用断熱扉27が設けられている。また、冷凍室16の前側にも、上下二段からなる貯蔵容器28が連結された引出し式の冷凍室用断熱扉29が設けられている。そして、詳細は図示しないが、小冷凍室の前側にも貯蔵容器が連結された引出し式の断熱扉が設けられている。
【0013】
冷蔵庫本体10には、図2に示す冷凍サイクル30が組込まれている。冷凍サイクル30は、冷却器たる冷蔵用冷却器31および冷凍用冷却器32を含んで構成されている。冷蔵用冷却器31は、冷蔵温度帯の貯蔵室、つまり冷蔵室12および野菜室13を冷却するための冷気を生成する。冷蔵用冷却器31には、冷蔵用冷却器温度センサ33が設けられている。冷蔵用冷却器温度センサ33は、図1に示すように、冷蔵用冷却器31の上側に設けられ、冷蔵用冷却器31の温度を検出する。
【0014】
また、冷凍用冷却器32は、冷凍温度帯の貯蔵室、つまり製氷室14、小冷凍室および冷凍室16を冷却するための冷気を生成する。冷凍用冷却器32には、冷凍用冷却器温度センサ34が設けられている。この冷凍用冷却器温度センサ34は、図1に示すように、冷凍用冷却器32の上側に設けられ、冷凍用冷却器32の温度を検出する。これら冷蔵用冷却器温度センサ33および冷凍用冷却器温度センサ34は、例えばサーミスタで構成されている。
【0015】
冷凍サイクル30は、具体的には図2に示すように、冷媒の流れ順に、圧縮機35と、凝縮器36と、ドライヤ37と、切替弁38と、冷蔵側キャピラリチューブ39および冷凍側キャピラリチューブ40と、冷蔵用冷却器31および冷凍用冷却器32とが環状に接続されている。この場合、圧縮機35の高圧吐出口には、凝縮器36とドライヤ37とが順に接続されている。ドライヤ37の吐出側には、三方弁からなる切替弁38が接続されている。
【0016】
切替弁38は、ドライヤ37が接続される一つの入口と、二つの出口とを有している。切替弁38の二つの出口のうち、一方の出口には冷蔵側キャピラリチューブ39と冷蔵用冷却器31とが順に接続されている。そして、冷蔵用冷却器31は、圧縮機35に接続されている。切替弁38の二つの出口のうち他方の出口には、冷凍側キャピラリチューブ40と冷凍用冷却器32とが順に接続されている。冷凍用冷却器32は、冷媒の逆流防止のための逆止弁41を介して圧縮機35に接続されている。切替弁38は、制御指令を受けて駆動し、二つの出口のうち入口と連通する一の出口を択一的に切替える。これにより、圧縮機35から圧送された冷媒は、冷蔵用冷却器31または冷凍用冷却器32のどちらか一方へ供給される。
【0017】
冷凍サイクル30を構成する圧縮機35は、図1に示すように、冷蔵庫本体10の背面下端部に形成された機械室42内に設けられている。また、この機械室42には、除霜水蒸発皿43や図2に示す凝縮器36、さらには圧縮機35や凝縮器36を冷却する図示しない冷却ファンなどが設けられている。
【0018】
冷蔵庫本体10内にあって冷凍温度帯の貯蔵室つまり製氷室14、小冷凍室および冷凍室16の後部には、冷凍室ダクト部材44が設けられている。この冷凍室ダクト部材44によって、冷凍温度帯の貯蔵室の後部には、冷凍用冷却器室45と、冷凍用冷却器室45の上方に位置する冷凍用冷気ダクト46とが形成されている。これら冷凍用冷却器室45と冷凍用冷気ダクト46とは連通している。冷凍用冷却器32は、この冷凍用冷却器室45内に設けられている。また、冷凍用冷却器32の近傍には、冷凍用冷却器32に生じた霜を除霜する除霜ヒータ47が設けられている。
【0019】
冷凍用冷却器32の下方には、冷凍側排水樋48が設けられている。冷凍側排水樋48は、機械室42に設けられた除霜水蒸発皿43へ繋がっている。除霜ヒータ47が駆動されて冷凍用冷却器32の除霜が行なわれると、冷凍用冷却器32で生じる除霜水は冷凍側排水樋48へ滴下する。そして、冷凍側排水樋48が受けた除霜水は機械室42内の除霜水蒸発皿43へ導かれて蒸発する。
【0020】
冷凍用冷却器32の上方つまり冷凍用冷気ダクト46内には、冷凍用送風機49が設けられている。また、冷凍用冷却器室45の前面には複数この場合二つの冷凍用冷気供給口50が形成されており、下端部には戻り口51が形成されている。戻り口51の近傍には、冷凍室16内の温度を検出するための冷凍室温度センサ52が設けられている。
【0021】
また、冷蔵庫本体10内にあって冷蔵温度帯の貯蔵室つまり冷蔵室12および野菜室13の後部には、冷蔵室ダクト部材53が設けられている。この冷蔵室ダクト部材53によって、冷蔵温度帯の貯蔵室の後部には、上側から順に、冷蔵用冷気ダクト54と、冷蔵用冷却器室55と、送風ダクト56とが形成されている。この場合、冷蔵用冷却器室55の上端部は、冷蔵用冷気ダクト54の下端部と連通し、冷蔵用冷却器室55の下端部は、送風ダクト56の上端部と連通している。
【0022】
冷蔵用冷却器31は、冷蔵用冷却器室55内に設けられている。冷蔵用冷気ダクト54は、冷蔵室12の上端部まで延び、その前部に、冷蔵室12内に連通する複数の冷蔵用冷気供給口57が形成されている。また、冷蔵室12内において、冷蔵用冷気ダクト54の前面部には、温度センサたる冷蔵室温度センサ58が設けられている。この冷蔵室温度センサ58は、例えばサーミスタで構成され、冷蔵室12内の温度を検出する。
【0023】
冷蔵用冷却器室55内の下部には、冷凍用冷却器32の下方に位置して、冷蔵側排水樋59が設けられている。冷蔵側排水樋59は、冷凍用冷却器32からの除霜水を受けて庫外へ排出する。この場合、冷蔵側排水樋59は、機械室42に設けられた除霜水蒸発皿43へ繋がっている。そして、冷蔵側排水樋59に受けられた除霜水は、冷凍側排水樋48で受けられた除霜水と同様に、機械室42内に設けられた除霜水蒸発皿43へ導かれて蒸発する。
【0024】
送風ダクト56は、その上端部が冷蔵側排水樋59をう回して冷蔵用冷却器室55の下端部に接続されている。冷蔵室ダクト部材53の前部には吸込み口61が形成されており、この吸込み口61によって、送風ダクト56内と野菜室13内とが連通している。そして、送風ダクト56内には、送風機たる冷蔵用送風機60が設けられている。この場合、冷蔵用送風機60は、前記冷蔵用冷却器31とともに冷却手段を構成する。冷蔵用送風機60は、送風羽根の回転方向を正逆切替え可能に構成されている。つまり、冷蔵用送風機60は、冷蔵用冷却器室55側へ送風する正回転と、野菜室13側へ送風する逆回転とを切替えることができる。
【0025】
この冷蔵用送風機60が送風する空気は、正回転の場合、図1に白抜き矢印で示すように、送風ダクト56から冷蔵用冷却器室55へ送風され、さらに冷蔵用冷気ダクト54および冷蔵用冷気供給口57を介して冷蔵室12へ吹き込まれる。一方、冷蔵用送風機60が送風する空気は、逆回転の場合、図1に実線矢印で示すように、送風ダクト56から吸込み口61を介して野菜室13へ吹き込まれる。
また、野菜室13内において、下後部には、除菌装置たる静電霧化装置62が設けられている。静電霧化装置62は、除菌成分として、水を含む電極に高電圧が印加されることによって生じるヒドロキシラジカルを含んだミストを野菜室13内へ供給する。
【0026】
冷蔵庫本体10の背面下部寄り部分には、制御手段としての制御装置63が設けられている。制御装置63は、図示しないマイクロコンピュータ、ROM、RAM、カウンタ、タイマなどを有して構成されている。この制御装置63は、冷凍サイクル30の圧縮機35や切替弁38、冷凍用送風機49および冷蔵用送風機60などの制御を行なう。具体的には、図3に示すように、制御装置63には、入出力機器として操作パネル21が接続され、さらに、センサおよびスイッチ機器として、冷蔵室温度センサ58、野菜室温度センサ24、冷凍室温度センサ52、冷蔵用冷却器温度センサ33、冷凍用冷却器温度センサ34、冷蔵室扉スイッチ201および野菜室扉スイッチ221が接続されている。また、制御装置63には、被制御機器として、冷蔵用送風機60、冷凍用送風機49、圧縮機35、切替弁38、除霜ヒータ47および静電霧化装置62などが接続されている。制御装置63は、前記センサおよびスイッチ機器からの信号および予めROMに記憶された制御プログラムに基づいて、前記被制御機器などを制御する。
【0027】
この場合、制御装置63は、図2に示す冷凍サイクル30の切替弁38を制御して冷媒の供給先を冷蔵用冷却器31または冷凍用冷却器32に切替えることで、製氷室14、小冷凍室および冷凍室16を冷却する冷凍冷却運転と、冷蔵室12および野菜室13を冷却する冷蔵冷却運転とを切替える。因みに、この実施形態の場合、制御装置63は、冷却温度の低い冷凍冷却運転を優先して行なうこととし、通常は冷蔵冷却運転および冷凍冷却運転のうちどちらか一方を実行している。また、冷蔵用冷却器31の除霜運転は、冷凍冷却運転中および冷凍用冷却器32の除霜運転中に実行される。一方、冷凍用冷却器32の除霜運転は、定期的、例えば日に一回程度の間隔で実行される。
【0028】
具体的には、制御装置63は、冷蔵冷却運転を実行すると、図2に示す冷凍サイクル30の切替弁38を冷蔵用冷却器31側へ切替えて冷蔵用冷却器31へ冷媒を供給するとともに、図1に示す冷蔵用送風機60を正回転で駆動する。すると、図1の白抜き矢印で示すように、冷蔵用送風機60の吸込み作用によって、野菜室13内の空気が吸込み口61から送風ダクト56内へ吸い込まれる。送風ダクト56内へ吸い込まれた空気は、冷蔵用冷却器室55内へ送風されて冷蔵用冷却器31で冷却される。そして、冷蔵用冷却器31で冷却された冷気は、冷蔵用冷気ダクト54を通って複数の冷蔵用冷気供給口57から冷蔵室12内へ吹き出される。
【0029】
複数の冷蔵用冷気供給口57から冷蔵室12内へ吹き出された冷気は、冷蔵室12内を冷却しながら下降した後、冷蔵室12の底部となる仕切壁17に形成された開口18から野菜室13内へ供給される。そして、野菜室13内へ供給された冷気は、仕切板17の下面に沿って拡散した後、収納容器23の外周面に沿って下降し、吸込み口61から送風ダクト56内へ吸い込まれる。このように、冷凍用冷却器32で冷却された冷気は、冷蔵用送風機60の送風作用によって循環される。この場合、制御装置63は、冷蔵冷却運転を実行している間は、冷凍用送風機49を停止させて、製氷室14、小冷凍室および冷凍室16への送風を停止している。
【0030】
これに対し、制御装置63は、冷凍冷却運転を実行すると、図2に示す冷凍サイクル30の切替弁38を冷凍用冷却器32側へ切替えて冷凍用冷却器32へ冷媒を供給するとともに、図1に示す冷凍用送風機49を駆動させる。すると、冷凍用冷却器32で生成された冷気は、冷凍用送風機49の送風作用によって、冷凍用冷気ダクト46を通り、冷凍用冷気供給口50から製氷室14、小冷凍室および冷凍室16内へ供給された後、戻り口51から冷凍用冷却器室45内へ戻されるといった循環を行なう。これにより、製氷室14、小冷凍室および冷凍室16が冷却される。
【0031】
また、冷凍用冷却器32の除霜運転は、圧縮機35が停止された状態、つまり冷蔵用冷却器31および冷凍用冷却器32へ冷媒の供給が停止された状態で実行される。この場合、制御装置63は、冷凍用冷却器32の除霜運転を開始すると、除霜ヒータ47を駆動させる。これにより、冷凍用冷却器32が温められ、冷凍用冷却器32に付着した霜が取り除かれる。一方、冷蔵用冷却器31の除霜運転は、冷凍冷却運転中および冷凍用冷却器32の除霜運転中に実行される。
【0032】
制御装置63は、冷蔵用冷却器31の除霜運転を開始すると、冷蔵用送風機60を駆動させる。すると、冷蔵用送風機60の送風作用によって、冷蔵室12および野菜室13内のプラス温度の空気が、冷蔵用冷却器室55内へ取り込まれる。このプラス温度の空気により冷蔵用冷却器31が温められて、冷蔵用冷却器31に付着した霜が取り除かれる。このとき、除霜によって生じる湿気が、冷蔵用送風機60の送風作用によって、冷蔵室12および野菜室13へ供給される。この場合、除霜による湿気は、冷蔵用送風機60が正回転であれば主に冷蔵室12へ供給され、逆回転であれば主に野菜室13へ供給される。このように冷蔵用冷却器31の除霜によって生じる湿気を、冷蔵室12および野菜室13へ供給することを、この実施形態ではうるおい運転と称し、このうるおい運転は、調湿手段として機能する。
【0033】
また、制御装置63は、冷蔵室温度センサ58および野菜室温度センサ24の検出結果に基づいて、冷蔵室12および野菜室13内に収納物が投入収納されたことを検出し、さらに、投入収納された際の、冷蔵室12および野菜室13内の負荷量すなわち初期負荷量を検出する。したがって、冷蔵室温度センサ58及び制御装置63は、冷蔵室12内に収納物が投入収納されたことを検出する負荷収納検出手段を構成するとともに、その収納された負荷量を検出する負荷量検出手段を構成する。また、野菜室温度センサ24および制御装置63は、野菜室13内に収納物が投入収納されたことを検出する負荷収納検出手段を構成するとともに、その収納された負荷量を検出する負荷量検出手段を構成する。
【0034】
そして、制御装置63は、その初期負荷量を基準として、現時点で冷蔵室12および野菜室13内に残存している負荷量すなわち残存負荷量を推定する。さらに、その残存負荷量に応じて、うるおい運転、除菌装置としての静電霧化装置62および冷蔵室12や野菜室13に対する冷却能力を変更するように制御する。
【0035】
ここで、制御装置63の制御内容について、野菜室13を対象にして説明する。制御装置63は、収納物を収納するために野菜室用断熱扉22が開閉されると、野菜室扉スイッチ221によって野菜室用断熱扉22の開閉を検出するとともに、野菜室温度センサ24によって野菜室13内の温度が上昇したことを検出する。この場合、例えば単に野菜室用断熱扉22が開閉されただけであれば、その後の冷蔵冷却運転によって野菜室13内の温度はすぐに設定温度に到達する。しかし、野菜室13内に多くの収納物が収納された場合は、設定温度に到達するまで時間を要する。制御装置63は、野菜室13内の温度が上昇した後の、野菜室13内の温度変化や冷却状態を監視することによって、野菜室13内に収納された収納物の量(付加量)を間接的に検出する。
【0036】
具体的には、図4に示すように、制御装置63は、冷蔵冷却運転が開始されると(スタート)、ステップS1において、野菜室温度センサ24の検出結果を基に、野菜室13内の温度が上昇したことを検知する。ステップS1で野菜室13内の温度上昇が検知されなければ(ステップS1でNO)、ステップS13へ移行する。ステップS13では、野菜室13内の温度上昇の検知の有無を記憶する上昇検知フラグの設定を行なう。この場合、上昇検知フラグは、野菜室13内の温度上昇が検知されなかったことを示すOFFに設定される。
【0037】
一方、ステップS1において、野菜室13内の温度上昇が検知された場合は(ステップS1でYES)、ステップS2へ移行する。ステップS2において、上昇検知フラグは、野菜室13内の温度上昇が検知されたことを示すONに設定される。そして、ステップS3へ移行し、冷蔵冷却運転による野菜室13の冷却回数をカウントする。ここで、制御装置63は、設定温度の低い冷凍冷却運転を優先して実行しており、この場合、冷蔵冷却運転の冷却回数は、冷凍冷却運転から冷蔵冷却運転に切替わり、さらに冷凍冷却運転に切替わった場合を1回、つまり、連続して冷蔵冷却運転が行なわれている期間を1回としてカウントする。
【0038】
その後、ステップS4へ移行し、ステップS4において、野菜室13内の温度が安定状態に達したか否かを判断する。この場合、安定状態とは、野菜室13内の温度が設定温度の範囲内で一定期間安定していることをいう。野菜室13内の温度が安定状態に達していない場合は(ステップS4でNO)、安定状態に達するまで冷蔵冷却運転を繰り返すとともに、冷却回数のカウントを繰返す。そして、安定状態に達すると(ステップS4でYES)、ステップS5へ移行して冷却回数のカウントを終了し、さらにステップS6へ移行する。
【0039】
ステップS6〜S12では、野菜室13内の冷却回数に基づいて、野菜室13に収納された収納物による野菜室13内の負荷量すなわち初期負荷量を検出する。この場合、野菜室13内の負荷量と、冷蔵冷却運転による冷却回数との関係は、野菜室13内に収納された収納物の量や温度および冷却手段としての冷蔵用冷却器31の冷却能力(冷凍サイクル30の冷却能力)などによって変化するが、この実施形態では、次の4段階に設定されている。すなわち、野菜室13内に収納された収納物の量は、野菜室13内が安定状態に至るまでの冷却回数が4回以上であれば5.5kg以上であることを想定した「多い」に設定され、冷却回数が3回であれば4.0kg以上5.5kg未満であることを想定した「普通」に設定される。また、冷却回数が2回であれば2.0kg以上4.0kg未満であることを想定した「少ない」に設定され、冷却回数が1回であれば0kg以上2.0kg未満であることを想定した「無し」に設定される。
【0040】
具体的には、まず、ステップS6において、冷却回数が4回以上であるか否かを判断し、冷却回数が4回以上であれば(ステップS6でYES)、ステップS7へ移行する。ステップS7では、負荷指数Zを設定する。負荷指数Zは、野菜室13内の負荷量を0〜3の4段階にランク付けして示すための変数であり、Z=3で「多い」、Z=2で「普通」、Z=1で「少ない」、そしてZ=0で「無し」を示す。また、初期値はZ=0に設定されている。そして、ステップS7では、ステップS7以前に記憶した負荷指数Zの内容に、「多い」を示す3を加算する。この場合、負荷指数Z=0+3=3となる。ステップS7で負荷指数Zを設定した後、ステップS17を経てサブルーチンS14へ移行する。
【0041】
一方、ステップS6において、冷却回数が4回未満であれば(ステップS6でNO)、ステップS8へ移行し、冷却回数が3回であるか否かを判断する。冷却回数が3回であれば(ステップS8でYES)、ステップS9へ移行し、負荷指数Zを設定する。ステップS9では、ステップS9以前に記憶した負荷指数Zの内容に、「普通」を示す2を加算する。この場合、負荷指数Z=0+2=2となる。ステップS9で負荷指数Zを設定した後、ステップS17を経てサブルーチンS14へ移行する。
【0042】
また、ステップS8において、冷却回数が3回でなければ(ステップS8でNO)、ステップS10へ移行し、冷却回数が2回であるか否かを判断する。冷却回数が2回であれば(ステップS10でYES)、ステップS11へ移行し、負荷指数Zを設定する。ステップS11では、ステップS11以前に記憶した負荷指数Zの内容に、「少ない」を示す1を加算する。この場合、負荷指数Z=0+1=1となる。ステップS11で負荷指数Zを設定した後、ステップS17を経てサブルーチンS14へ移行する。
【0043】
ステップS10において、冷却回数が2回でなければ(ステップS10でNO)、ステップS12へ移行し、負荷指数Zを設定する。ステップS12では、ステップS12以前に記憶した負荷指数Zの内容に、「無し」を示す0を加算する。この場合、負荷指数Z=0+0=0となる。ステップS12で負荷指数Zを設定した後、サブルーチンS14へ移行する。
【0044】
以上のように、ステップS7、S9或いはS11の処理を行なった後にステップS17を経るときには、野菜室13内に収納物が投入収納されたことを意味するものであり、このステップS17では、ここを経る度に負荷収納回数カウンタのカウントをアップする。その負荷収納回数カウンタのカウント値Nの初期値は零(N=0)である。
【0045】
サブルーチンS14では、残存負荷量推定処理を実行する。残存負荷量推定処理とは、収納物の取り出しなどによって随時変化する野菜室13内の負荷量、すなわち野菜室13内に現に残存していると考えられる負荷量を残存負荷量とし、初期負荷量を基準にして残存負荷量を推定する処理をいう。この実施形態では、残存負荷量は、収納物が野菜室13内に収納された時点からの時間経過に伴って減少するように推定される。つまり、検出された初期負荷量に対して減少時間を設定し、減少時間が経過するごとに、初期負荷量を基準とした残存負荷量のランクを1ずつ減少させていく。この減少時間は、次のように算出する。すなわち、初期負荷量に対し、そのほぼすべてが消費されると考えられる消費期間(日数)を想定する。そして、消費期間を時間に換算したものを、初期負荷量の負荷指数Zで除算したものが減少時間となる。
【0046】
例えば、図7に示すように、初期負荷量が「多い」と検出された場合、消費期間(日数)Dを暫定的に7日に想定する。この7日を時間に換算し、それを初期負荷量の負荷指数Z=3で除算した解つまり56時間が減少期間となる。この場合、収納物が野菜室13内に収納された時点から56時間経過すると、負荷指数Zから1を減ずる。つまり、負荷指数Z=3−1=2になり残存負荷量は「多い」から「普通」に変更される。さらに、そこから56時間経過すると、今度は負荷指数Z=2−1=1になり残存負荷量は「普通」から「少ない」に変更される。そして、さらにそこから56時間経過すると、負荷指数Z=1−1=0になり残存負荷量は「少ない」から「無し」に変更される。
【0047】
また、初期負荷量が「普通」と検出された場合、消費期間Dは、暫定的に3日に想定され、減少時間は36時間になる。この場合は、収納物が野菜室13内に収納された時点から36時間経過すると、負荷指数Z=2−1=1になり残存負荷量は「普通」から「少ない」に変更される。さらに、そこから36時間経過すると、負荷指数Z=1−1=0になり残存負荷量は「少ない」から「無し」に変更される。同様に、初期負荷量が「少ない」であれば、消費期間Dは暫定的に1日に想定され、減少時間は24時間になる。この場合は、収納物が野菜室13内に収納された時点から24時間経過すると、負荷指数Z=1−1=0になり残存負荷量は「少ない」から「無し」に変更される。
【0048】
この場合、図5に示すように、まずステップS21〜S27において、初期負荷量に対する減少時間の設定を行なう。具体的には、残存負荷量推定処理を実行すると、まず、ステップS21において、上昇検知フラグがONであるか否かを判断する。上昇検知フラグがONでなければ(ステップS21でNO)、野菜室13内に新たな収納物は収納されておらず、新たに減少時間の設定を行なう必要がないため、減少時間の設定を行なわずにステップS34へ移行する。
【0049】
ステップS21で、上昇検知フラグがONであれば(ステップS21でYES)、減少時間の設定を行なうために、ステップS22へ移行する。ステップS22では、初期負荷量が「多い」であるか否か、すなわち負荷指数Z=3であるか否かを判断し、負荷指数Z=3であれば(ステップS22でYES)、ステップS23へ移行する。ステップS23では、減少時間T1の設定を行なう。この場合、減少時間T1は56時間(D=7日)に設定される。減少時間T1が設定された後は、ステップS28へ移行する。
【0050】
一方、ステップS22において、負荷指数Z=3でなければ(ステップS22でNO)、ステップS24へ移行する。ステップS24では、初期負荷量が「普通」であるか否か、すなわち負荷指数Z=2であるか否かを判断し、負荷指数Z=2であれば(ステップS24でYES)、ステップS25へ移行する。ステップS25では、減少時間T1の設定を行なう。この場合、減少時間T1は36時間(D=3日)に設定される。減少時間T1が設定された後は、ステップS28へ移行する。
【0051】
また、ステップS24において、負荷指数Z=2でなければ(ステップS24でNO)、ステップS26へ移行する。ステップS26では、初期負荷量が「少ない」であるか否か、すなわち負荷指数Z=1であるか否かを判断し、負荷指数Z=1であれば(ステップS26でYES)、ステップS27へ移行する。ステップS27では、減少時間T1の設定を行なう。この場合、減少時間T1は24時間(D=1日)に設定される。減少時間T1が設定された後は、ステップS28へ移行する。一方、ステップS26において、負荷指数Z=1でなければ(ステップS26でNO)、負荷指数Z=0つまり初期負荷量は「無し」であり、残存負荷量の推定を行なう必要がないため、図4のサブルーチンS15へ移行する。
【0052】
ステップS28では、カウント時間Tを減少時間T1に設定する。そして、ステップS29へ移行し、カウント時間Tのカウンドダウンを開始する。その後、ステップS30へ移行し、負荷量減少フラグをOFFに設定する。この場合、負荷量減少フラグのOFFは、ステップS29においてカウント時間Tのカウントダウンが開始されてから、負荷量のランクが減少されていないことを示し、負荷量減少フラグのONは、負荷量のランクが減少されたことを示す。なお、負荷減少フラグは、初期状態ではOFFになっている。
【0053】
その後、ステップS31へ移行し、カウント時間T=0になったか否かを判断する。カウント時間T=0になっていなければ(ステップS31でNO)、図4のサブルーチンS15へ移行する。カウント時間T=0になっていれば(ステップS31でYES)、ステップS32へ移行する。ステップS32では、ステップS32以前に記憶している負荷指数Zから1を減じる。これにより、残存負荷量のランクが1つ減少される。なお、この場合、負荷指数Z≧0としている。その後、ステップS33へ移行し、負荷量減少フラグをONし、さらに図4のサブルーチンS15へ移行する。
【0054】
一方、ステップS21において、上昇検知フラグがONでなければ(ステップS21でNO)、ステップS34へ移行する。ステップS34では、負荷量減少フラグがONであるか否かを判断する。負荷量減少フラグがONであることは、既にカウント時間T=0となり、ステップS32、33を通って残存負荷量が減少していることを示している。そのため、負荷量減少フラグがONである場合は(ステップS34でYES)、ステップS28へ移行して、再びカウント時間Tを減少時間T1に設定し、ステップS29においてカウント時間Tのカウントダウンを再度開始する。また、ステップS34において負荷減少フラグがOFFである場合は、ステップS30へ移行し、カウント時間Tのカウントダウンを続行する。
【0055】
図4に示すサブルーチンS15では、サブルーチンS14の残存負荷量推定処理において推定した残存負荷量の負荷指数Zに基づいて、残存負荷量判定処理を行なう。この残存負荷量判定処理が実行されると、制御装置63は、図6に示すように、まず、ステップS41において負荷指数Z=3であるか否かを判断し、負荷指数Z=3であれば(ステップS41でYES)、ステップS42へ移行して残存負荷量を「多い」に設定し、操作パネル21の表示部に残存負荷量「多い」の表示を行なわせる。ステップS41において、負荷指数Z=3でなければ(ステップS41でNO)、ステップ43へ移行する。ステップS43では、負荷指数Z=2であるか否かを判断し、負荷指数Z=2であれば(ステップS43でYES)、ステップS44へ移行して残存負荷量を「普通」に設定し、操作パネル21の表示部に残存負荷量「普通」の表示を行なわせる。ステップS43において、負荷指数Z=2でなければ(ステップS43でNO)、ステップS45へ移行する。
【0056】
ステップS45では、負荷指数Z=1であるか否かを判断し、負荷指数Z=1であれば(ステップS45でYES)、ステップS46へ移行して残存負荷量を「少ない」に設定し、操作パネル21の表示部に残存負荷量「少ない」の表示を行なわせ、ステップS48に移行する。このステップS48では、操作パネル21の表示部に予告表示、例えば「買物の準備をして下さい」の買物を促す文字表示を行なわせる。
【0057】
負荷指数Z=1でなければ(ステップS45でNO)、ステップS47へ移行して残存負荷量を「無し」に設定し、操作パネル21の表示部に残存負荷量「無し」の表示を行なわせ、ステップS49に移行する。ステップS49では、操作パネル21の表示部に警告表示、例えば買物を促す「買物に行って下さい」の文字表示を行なわせる。そして、ステップS42、S44、S48或いはS49の処理が終了すると、図4に示すステップS16へ移行する。ステップS16では、残存負荷量に応じた運転制御が実行される。
【0058】
例えば、運転制御が野菜室13内の冷却を目的とする場合、野菜室13内に残存する収納物を適切な温度に冷却するために、残存負荷量の減少に伴って、冷蔵用冷却器31すなわち冷凍サイクル30の冷却能力を低下させる。この場合、設定温度を変更することによって圧縮機35や冷蔵用送風機60が制御されて、冷凍サイクル30の冷却能力が変化する。具体的には、図8に示すように、残存負荷量が「多い」と判断されている場合は設定温度を2.0〜4.0℃に設定し、「普通」と判断されている場合は設定温度を2.5〜4.5℃に設定し、「少ない」と判断されている場合は設定温度を3.0〜5.0℃に設定し、「無し」と判断されている場合は設定温度を3.5〜5.5℃に設定する。
【0059】
また、例えば、運転制御が野菜室13内の調湿を目的とする場合、残存負荷量が減少するほど、調湿手段を制御して野菜室13内の湿度を増加させる。これは、野菜室13内は、残存負荷量つまり野菜などの収納物が多いほど、これらから排出される水蒸気によって高湿に保たれる。つまり、残存負荷量が減少するほど、野菜室13内は乾燥し易くなるからである。例えば、図8に示すように、運転制御の対象がうるおい運転であれば、1回のうるおい運転中における冷蔵用送風機60の逆回転の時間を次のように設定する。すなわち、残存負荷量が「多い」と判断されている場合は、0分に設定し、「普通」と判断されている場合は、3分に設定し、「少ない」と判断されている場合は、5分に設定する。このようにして、残存負荷量の減少に伴って湿気の供給量を増加させる。なお、この場合、残存負荷量が「無し」と判断されている場合は、供給した湿気を吸収する収納物が野菜室13内にほとんど存在していないと考えられるため、冷蔵用送風機60の逆回転時間を0分に設定する。
【0060】
また、例えば、運転制御が野菜室13内の除菌を目的とする場合、野菜室13内に残存する収納物に対して適切な除菌をするために、残存負荷量の減少に伴って、除菌装置としての静電霧化装置62の運転率を低下させる。この場合、例えば、図8に示すように、残存負荷量が「多い」と判断されている場合を100%の運転率とした場合に、「普通」と判断されている場合は75%に設定し、「少ない」と判断されている場合は50%に設定し、「無し」と判断されている場合は25%に設定する。
【0061】
そして、このように、図4に示すステップS16において、残存負荷量に応じて各種運転制御をした後は、サブルーチン18を経てステップS1へ移行して上記の制御を繰り返す。ここで、サブルーチンS14、S15を通って、残存負荷量が推定された後に、さらに、新たな収納物が野菜室13内に収納された場合(すなわち消費期間Dの経過前に負荷が収納された場合)について説明する。この場合、新たに収納された収納物によって、野菜室13内の温度は上昇する。そのため、ステップS1において温度上昇が検知され(ステップS1でYES)、ステップS2〜S12を通って、新たに野菜室13内に収納された初期負荷量が検出される。このとき、ステップS7、S9、S11、S12のいずれかにおいて、それ以前に記憶した残存負荷量の負荷指数Zに対して、新たに検出した初期負荷量分の負荷指数が加算される。
【0062】
例えば、サブルーチンS15の残存負荷量判定処理において負荷指数Z=1であって残存負荷量が「少ない」と推定された後に、新たに野菜室13内に収納物が収納された場合、安定状態までの冷却回数が3回であれば(ステップS8でYES)、ステップS9において、ステップS9以前に記憶した残存負荷量の負荷指数Z=1に対して、新たに収納された初期負荷量分の負荷指数2が加算されて、残存負荷量の負荷指数Zは3になる。その後は、サブルーチンS14、15およびステップS16が実行され、さらにサブルーチンS18を経てステップS1へ戻って、これらが繰り返される。
【0063】
さて、ステップS16の次の食品鮮度判定のサブルーチン18について図9を参照して説明する。
制御装置63は、ステップS51で、負荷収納回数カウントがアップしたか否か、すなわち、野菜室13内に収納物が投入収納されたか否かを判断し、NO(収納無し)のときには、ステップS53に移行し、YES(収納有り)のときには、ステップS52に移行する。ステップS52では、経過日数カウンタにカウント動作をスタート若しくはリスタート(開始若しくは再開始)させ、ステップS53に移行する。ステップS53では、経過日数カウンタのカウント値すなわち経過日数が予め設定された設定日数H1(例えばS1=7日)以上か否かを判断し、NOのときには図4のステップS1に戻る。以後、図4のメインルーチンの動作が進行してサブルーチンS18に移行する毎にステップS51およびS53でNOと判断してステップS1に戻るようになる。
【0064】
以上のような動作が繰り返し行なわれている間に、野菜室13内に再び収納物たる負荷が投入収納された場合には、制御装置63は、図4に示すステップS17で負荷収納回数カウンタのカウントをアップする。そして、図4のメインルーチンの進行によりサブルーチンS18に移行すると、ステップS51でYESと判断してステップS52に移行し、経過日数カウンタをリスタート(再開始)させる。その後は、前述同様に、サブルーチンS18に移行する毎にステップS51、S53でNOを繰り返す。すなわち、野菜室13に対する前回の負荷投入収納から今回の負荷投入収納までの間の経過日数が設定日数H1たる7日未満のときには、経過日数カウンタはリスタートされることになる。
【0065】
一方、図4に示すメインルーチンの進行によりサブルーチンS18が繰り返し実行されている場合において、経過日数カウンタのカウント日数が設定日数H1たる7日以上になったときには、制御装置63は、サブルーチンS18に移行すると、ステップS53でYESと判断してステップS54に移行する。ステップS54では、操作パネル21の表示部に食品の鮮度推定の結果表示として例えば「食品の鮮度が低下しています」の文字表示を行なわせる。次に、ステップS55に移行して経過日数カウンタのカウント動作をストップさせ、ステップS1に戻る。すなわち、野菜室13内に負荷が投入収納されてから設定日数H1たる7日以上次の負荷投入収納がなかった場合には、制御装置63は、負荷たる食品が消費されずに放置されていると判断して、食品の鮮度が低下している旨の表示を行なわせるのである。
【0066】
なお、その後に野菜室13内に負荷が投入収納された場合には、図4のステップS17で負荷収納回数カウンタがカウントアップするので、制御装置63は、サブルーチンS18に移行したときに、ステップS51でYESと判断し、次のステップS52で経過日数カウンタのカウント動作をスタートさせる。
【0067】
ところで、この一実施形態では、制御装置63は、割り込みによって使用者の買物周期日数を演算するようになっている。この処理内容について、図10を参照して説明する。
制御装置63は、割り込みによって図10に示すサブルーチンになると、ステップS61で周期日数カウントフラグがOFFか否かを判断するようになり、初期状態ではOFFであるので、YESと判断してステップS62に移行する。ステップS62では、周期日数カウンタにカウント動作を開始させ、次のステップS63で周期日数カウントフラグをONにし、ステップS64に移行する。
【0068】
制御装置63は、ステップS64では、周期日数カウンタのカウント値が予め設定された設定日数H2例えば30日になったか否かを判断し、NOであれば、図4のメインルーチンに戻る(リターン)。以後、制御装置63は、割り込みによって図10のサブルーチンになる度に、ステップS61で「NO」と判断し、処理ステップS64でNOと判断して図4のメインルーチンに戻ることを繰り返す。
【0069】
上述したような図10に示すサブルーチンが割り込みにより繰り返し実行されている間に、ステップS63でカウント動作が開始された周期日数カウンタのカウント値が設定日数H2たる30日になったときには、制御装置63は、割り込みにより図10に示すサブルーチンになると、ステップS64でYESと判断し、ステップS65に移行して周期日数カウンタのカウント値をクリアさせ、ステップS66に移行する。
【0070】
制御装置63は、ステップS66では、図4のステップS17でカウント動作する負荷収納回数カウンタのカウント値Nを読み込み、次いで、ステップS67に移行して、ここで周期日数Kの計算を行なう。周期日数Kの計算は、K=H2/Nのように行なう。すなわち、周期日数(買物周期日数)Kは、予め設定された設定日数H2の間に野菜室13内に負荷が投入収納された回数で除算することにより算出するのであり、負荷投入収納(前回)から次の負荷投入収納までの間の日数を、毎回検出するのではなく、設定日数H2を基準単位とする平均値(日数)として算出するのである。例えば、設定日数H2が30日でその間の負荷投入回数が10回であったとするならば、周期日数Kは、K=30/10=3となり、買物周期日数は3日となる。これにより野菜室13内に投入収納された負荷たる収納物は3日で消費されると推定される。
【0071】
制御装置63は、ステップS67で計算した買物周期日数Kを図示しない不揮発性メモリたるEEPROMに記憶させ、次のステップS68に移行する。このステップS68では、図4のステップS17における負荷収納回数カウンタのカウント値をクリアさせ、次のステップS69で周期日数カウントフラグをOFFにし、図4のメインルーチンに戻る。従って、制御装置63は、割り込みにより次に図10のサブルーチンになったときには、ステップS61でYESと判断してステップS62に移行し、周期日数カウンタにカウント動作を再び開始させる。なお、ステップS68によりカウント値がクリアされた図4のステップS17における負荷収納回数カウンタは、N=0からカウント動作を開始する。
【0072】
そして、制御装置63は、EEPROMに買物周期日数Kが記憶されたときには、図5におけるステップS23,S25およびS27で減少時間T1を設定するときに、暫定的に設定した消費期間(日数)Dの代わりに買物周期日数Kを消費期間として用いる。これにより、この一実施形態による冷蔵庫を使用者宅に設置し駆動させたときには、減少時間T1は、暫定的に設定された消費期間Dに基づいて設定されるが、設置後設定日数H2たる30日経過後は、実際の買物周期日数Kを消費期間とすることに基づいて減少時間T1を設定するので、より正確に減少時間T1の設定が可能になり、結果として、野菜室13内の残存負荷量をより正確に推定することができる。なお、この買物周期日数Kは、図10に示す割り込みによるサブルーチンから明らかなように、設定日数H2(30日)周期として変更される。
【0073】
このような一実施形態によれば、制御装置63は、負荷収納検出の間隔を記憶して次に前記貯蔵室内に負荷が収納されるまでの買物周期日数Kを推定して消費期間(日数)とするようにしたので、この消費期間の減少に応じた適切な運転が可能になる。この場合、制御装置63は、予め設定された設定期間H2の間の野菜室13内への負荷収納回数を検出し、その設定期間H2を検出回数で除算することにより買物周期日数Kを推定するようにしたもので、平均的な買物周期日数を算出できる。
【0074】
具体的には、一実施形態によれば、野菜室13内の温度を検出する野菜室温度センサ24を備え、この野菜室温度センサ24の検出結果に基づいて野菜室13内に収納物たる負荷我収納されたことを検出するとともに、収納された収納物による初期負荷量を検出する。そして、この初期負荷量を基準にして、野菜室13内に残存する収納物による残存負荷量を推定し、その残存負荷量に基づいて各種運転を制御する。これによれば、光センサや重量センサを用いることなく、一般的に冷蔵庫が備えている温度センサによって野菜室13内への負荷収納およびその負荷量を検出することができる。そのため、簡易な構成で野菜室13内への負荷収納およびその初期負荷量を検出することができ、コストの増大を抑制することができる。そして、この初期負荷量を基準にして残存負荷量を推定し、その残存負荷量に基づいて運転制御を変更する。このように、野菜室13内に残存する負荷量に応じて適切な運転をすることで、収納物の鮮度を維持することができ、さらには、省エネ性能を向上させることができる。
【0075】
また、制御装置63は、収納物が野菜室13内に収納された時点からの時間経過に伴って、残存負荷量を減少させるように推定している。これによれば、残存負荷量の推定精度を向上させることができる。その結果、光センサや重量センサなどを用いて野菜室13内の収納物を直接検出する構成でなくても、変化する野菜室13内の残存負荷量に対応することができる。
【0076】
さらに、制御装置63は、野菜室13内の残存負荷量を減少させるように推定したことに伴って、冷却手段たる冷蔵用冷却器31(冷凍サイクル30)の冷却能力を低下させる。これによれば、野菜室13内の残存負荷量に応じて冷却することができ、冷やし過ぎなどを抑制して不必要に野菜室13内を冷却することを低減することができる。その結果、野菜室13内の収納物を適切に冷却することができるとともに、省エネ性能の向上も図られる。
【0077】
この場合、制御装置63は、野菜室13内の残存負荷量を減少させるように推定したことに伴ってうるおい運転の時間を制御して野菜室13内の湿度を増加させる。これによれば、野菜室13内の残存負荷量が減少した場合であっても、野菜室13内を高湿に維持することができ、その結果、収納物を新鮮な状態で保存することができる。
【0078】
また、制御装置63は、野菜室13内の残存負荷量を減少させるように推定したことに伴って、静電霧化装置62の運転率を低下させる。これによれば、野菜室13内の残存負荷量に応じて静電霧化装置62を運転することができ、不必要な静電霧化装置62の運転を低減することができる。その結果、野菜室13内の収納物を適切に保存することができるとともに、省エネ性能の向上も図られる。
【0079】
そして、制御装置63は、野菜室13内の残存負荷量を推定した後に、さらに収納物が野菜室13内に収納されて新たに収納物の初期負荷量を検出した場合には、それ以前に推定した残存負荷量に対して新たに検出した初期負荷量を加算する。これによれば、収納物の増加にも対応することができ、精度よく野菜室13内の残存負荷量に対応した各種運転制御が可能になる。
【0080】
制御装置63は、推定された消費期間が経過しても野菜室13内に負荷収納が行なわれなかったときには、残存負荷量無しと推定するようにし、そして、残存負荷量を操作パネル21の表示部に表示させるようになっているので、使用者は、残存負荷量を、「多い」、「普通」、「少ない」および「無し」の4段階に知ることができる。この場合、制御装置63は、残存負荷量が「少ない」のときには、予告表示として「買物の準備をして下さい」の文字表示を行なわせ、残存負荷量が「無し」のときには、警告表示として「買物に行って下さい」の文字表示を行なわせて、買物を促す表示を二段階にわたって行なうようにしたので、使用者にとって好ましいものになる。
【0081】
そして、制御手装置63は、野菜室13内への負荷収納からの経過日数に基づき負荷たる食品の鮮度を推定して、その推定結果を表示部に表示させるようにしたもので、具体的には、予め設定された設定日数H1(例えば7日)が経過しても次の負荷収納が行なわれなかったときには、収納物が消費されずに放置されているとして、表示部に食品鮮度低下の表示を行なわせるので、食品の安全性が向上する。
【0082】
(他の実施形態)
上記実施形態では、除菌装置とし静電霧化装置62を用いるようにしたが、代わりに、紫外線ランプを用いるようにしてもよく、この場合も、残存負荷量に応じて運転率を可変にする。
野菜室13に野菜などの収納物の栄養素を増量させるための光を照射するLEDを設けるようにしてもよく、この場合、残存負荷量が「無し」のときには消灯(停止)して省エネを図るようにする。貯蔵室を減圧するために減圧ポンプが設けられている場合も同様である。
【0083】
また、上記各実施形態では、野菜室13を対象として説明したが、例えば冷蔵室12などを対象としてもよい。
さらに、残存負荷量のランクは、5段階以上であってもよいし、3段階以下であってもよい。
【0084】
また、上記各実施形態で例示した、時間、日数、重量(kg)、運転率(%)、温度(℃)は、制御内容に合せて適宜変更することができる。
さらに、上記実施形態では、冷蔵用冷却器31および冷凍用冷却器32を備える構成としたが、一つの冷却器で冷蔵温度帯の貯蔵室を冷却する構成としてもよい。
【0085】
以上説明した本実施形態によれば、光センサや重量センサを用いることなく、一般的に冷蔵庫が備えている温度センサを用いて貯蔵室内への負荷収を検出する負荷収納検出手段を構成できる。そして、負荷収納検出手段の負荷収納検出の間隔を記憶して次に前記貯蔵室内に負荷が収納されるまでの期間を推定して消費期間とすることでき、従って、消費期間の減少に応じた適切な運転が可能になる。その結果、コストの増大を抑制することができる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
図面中、10は冷蔵庫本体、12は冷蔵室(貯蔵室)、13は野菜室(貯蔵室)、20は冷蔵室用断熱扉(扉)、22は野菜室用断熱扉(扉)、24は野菜室温度センサ(温度センサ)、30は冷凍サイクル、31は冷蔵用冷却器(冷却器、冷却手段)、58は冷蔵室温度センサ(温度センサ)、60は冷蔵用送風機(冷却手段)62は静電霧化装置(除菌装置)、63は制御装置(制御手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な扉を有する貯蔵室と、
この貯蔵室を冷却する冷却器および送風機を備える冷却手段と、
前記貯蔵室内の温度を検出する温度センサと、
この温度センサの検出温度に基づき前記貯蔵室内に対して食品たる負荷が収納されたことを検出する負荷収納検出手段と、
前記冷却手段を制御する制御手段とを具備し、
前記制御手段は、前記負荷収納検出手段の負荷収納検出の間隔を記憶して次に前記貯蔵室内に負荷が収納されるまでの期間を推定して消費期間とすることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
制御手段は、予め設定された設定期間の間の負荷収納検出手段の検出回数を検出し、その設定期間を検出回数で除算することにより消費期間を推定することを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
貯蔵室内の温度を検出する温度センサの検出温度に基づき前記貯蔵室内に収納された負荷量を検出する負荷量検出手段を備え、
制御手段は、前記負荷量検出手段の検出負荷量を初期負荷量とし、この初期負荷量と消費期間とに基づいて前記貯蔵室内に残存する残存負荷量を推定することを特徴とする請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
制御手段は、推定された消費期間より前に負荷収納検出手段により負荷収納検出が行ななわれたときには、その時の残存負荷量に負荷量検出手段による初期負荷量を加算して新たな残存負荷量とすることを特徴とする請求項3記載の冷蔵庫。
【請求項5】
制御手段は、推定された消費期間が経過しても負荷収納検出手段による負荷収納検出が行なわれなかったときには、残存負荷量無しと推定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項6】
制御手段は、残存負荷量に応じて、冷却手段の冷却能力、前記冷却手段の冷却器の除霜空気を貯蔵室に送り込むうるおい運転の時間、或いは、前記貯蔵室の除菌を行なう除菌装置の運転率を可変することを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項7】
制御手段は、残存負荷量を表示手段に表示させるようになっていることを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項8】
制御手段は、残存負荷量が少ない若しくは無しと推定したときには、その旨を表示手段に表示させるようになっていることを特徴とする請求項3ないし7のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項9】
制御手段は、買物を促す表示を行なうことを特徴とする請求項8記載の冷蔵庫。
【請求項10】
制御手段は、負荷収納検出手段の負荷収納検出からの経過日数に基づき負荷たる食品の鮮度を推定して、その推定結果を表示手段に表示させるようになっていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−113526(P2013−113526A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261385(P2011−261385)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】