説明

凍結乾燥された血漿などの凍結乾燥材料を製造、貯蔵、および投与するための装置および方法

容器は液状材料を収容し、液状材料はこの容器内のその場で凍結乾燥される。容器によって担持されている気体透過性材料は、乾燥中、昇華のために気体を移送する。凍結乾燥後、この気体透過性材料を通して無酸素不活性気体を容器に導入し、凍結乾燥材料が存在する容器の内部を満たす。凍結乾燥材料が存在する容器内に無酸素不活性気体を閉じ込めるために、気体透過性材料を覆う。凍結乾燥材料は、貯蔵期間の間、閉じ込められた無酸素不活性気体の中に貯蔵される。容器は、凍結乾燥材料と混合するための再構成液を収容し、再構成された凍結乾燥材料は、個体に投与するために容器から移送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2008年7月27日に出願された、表題「Apparatus and Methods for Making,Storing,and Administering Freeze−Dried Materials Such as Freeze−Dried Plasma」の同時係属の米国特許出願第11/881,493号の一部継続であり、この米国特許出願第11/881,493号は、2007年3月19日に出願された、表題「Apparatus and Methods for Making,Storing,and Administering Freeze−Dried Materials Such as Freeze−Dried Plasma」の同時係属の米国特許出願第11/725,352号の一部継続であり、これらは、参考として本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、単一ドナーの複数単位の凍結乾燥されたヒト血漿などの凍結乾燥材料を製造、貯蔵、および投与するための方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
応急処置は、外傷などの深刻な負傷を負った人間の生存のために重要である。例えば、戦闘状況における重傷者の初期治療が生死を決めることも多い。負傷者の傷を治療し、出血を止めることが必要である一方で、その負傷者の体が正常に機能できることを保証することも重要である。したがって、負傷によって体液を失った負傷者の体への適切な水分補給を確実に行うための措置を講じる必要がある。本発明は、これらの問題に対応する。
【0004】
以前においては、患者の体内への体液補充は、生理食塩水を静脈内に送達することによって行っていた。この方法も有効ではあるが、患者への体液補充のためには、生理食塩水の使用に比べ、血漿を患者に送達する方が一層効果的であることが研究により示されている。ただし、血漿の汚染を防止するには、血漿の送達および貯蔵が重要である。血漿の理想的な送達方法の1つは、血漿を凍結乾燥された形態で送達し、人間への投与時に再構成する方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、単一ドナーの複数単位の凍結乾燥されたヒト血漿などの凍結乾燥材料を製造、貯蔵、および投与する方法、システム、および装置を提供する。
【0006】
本発明の一態様によると、凍結乾燥材料、例えば凍結乾燥されたヒト血漿、は、この凍結乾燥材料のための再構成液、例えば脱気水、と共にコンテナの第1の室に貯蔵される。再構成液は、コンテナの第2の室に貯蔵される。コンテナ内の封止壁は、第1の室と第2の室との間に障壁を形成し、凍結乾燥材料と再構成液との間の接触を防止する。封止壁の少なくとも1つの領域を選択的に開いて第1および第2の室間に流体連通(fluid flow communication)を確立するために、封止壁内の少なくとも1つの弁アセンブリを操作することができる。これにより、凍結乾燥材料の再構成がコンテナ内で可能になる。再構成された凍結乾燥材料を同じコンテナからレシピエントに直接投与することもできる。
【0007】
一構成において、弁アセンブリは、感圧弁、例えばフラップ弁、を含む。弁は、第1および第2の室間の流体連通を常時阻止する常閉状態と、第1および第2の室間の流体連通状態を確立する開放状態との間で作動する。例えばコンテナの一方の室を選択的に圧縮して弁の両側に圧力差を生じさせると、感圧弁をその開放状態にすることができる。
【0008】
一構成において、弁アセンブリは、常閉隔壁を含む。隔壁は、第1および第2の室間の閉鎖を維持する常閉状態と、この隔壁の少なくとも一部の引き裂きに応じて第1および第2の室間の流体連通を確立する開放状態とに作動する。隔壁は、例えば、この隔壁の少なくとも一部を引き破くために牽引部材に結合された引き裂き部材を含む。
【0009】
感圧弁および隔壁は、冗長弁アセンブリを設けるために直列に配置することができる。この構成において、常閉隔壁は、弁とは無関係に、隔壁の少なくとも一部の引き裂き、および弁を横切って加わる圧力差に応じて、第1および第2の室間の閉鎖を維持する常閉状態と、第1および第2の室間の流体連通を確立する開放状態とに作動する。
【0010】
一構成においては、封止壁の領域にコンテナの外壁に被せる外側スカートを設ける。外側スカートは、外側スカートを除去するために外側スカートを引き破く、牽引部材に結合された引き裂き部材を含むことができる。
【0011】
本発明の別の実施態様は、上で概説したような第1および第2の室を有する可撓性コンテナを提供する方法を提供する。第1の室は、凍結乾燥されたヒト血漿などの凍結乾燥材料を乾燥状態で保持する。第2の室は、凍結乾燥材料のための再構成液を保持する。コンテナ内の内部封止壁は、凍結乾燥材料と再構成液との間の接触を防ぐために、第1の室と第2の室との間に障壁を形成するサイズおよび構成にする。封止壁内の少なくとも1つの弁アセンブリは、第1および第2の室間の流体連通を確立するために封止壁の少なくとも1つの領域を開く操作によって作動する。本発明のこの態様によると、弁アセンブリを操作してこの領域を開くと、再構成液が第2の室から弁アセンブリを通って第1の室に搾り出され、凍結乾燥材料に接触する。
【0012】
一構成において、外側スカートは封止壁の領域においてコンテナの外壁に被さり、弁アセンブリの操作を阻止する。この構成においては、弁アセンブリを露出させて操作可能にするために、弁アセンブリを操作する前に外側スカートを除去して封止壁の領域を開放する。
【0013】
別の構成においては、再構成された凍結乾燥血漿をコンテナからレシピエントに直接投与する。
【0014】
本発明の別の態様によると、凍結乾燥されたヒト血漿を含む凍結乾燥材料の準備および貯蔵、輸送、再構成、および投与は、上の複数の段落に概説したコンテナを用いて行う。一構成においては、液状ヒト血漿を複数の型に装填する。これらの型をほぼ−45℃に達するまで冷却する。血漿を乾燥させて含水率を5%w/w未満にし、これによって、コンテナを用いて貯蔵、輸送、再構成、および投与可能な凍結乾燥されたヒト材料を形成する。別の構成においては、液状ヒト血漿をコンテナ内のその場で凍結乾燥する。
【0015】
本発明の別の態様によると、凍結乾燥材料、例えば凍結乾燥されたヒト血漿、を第1のコンテナに貯蔵し、凍結乾燥材料のための再構成液、例えば脱気水、を独立した第2のコンテナに貯蔵する。移送セットを操作することによって2つのコンテナを互いに連結し、第1および第2のコンテナ間に流体連通を確立することができる。これにより、凍結乾燥材料の再構成をこれらのコンテナの一方で行うことができる。再構成された凍結乾燥材料を同じコンテナからレシピエントに直接投与することもできる。
【0016】
本発明の別の態様によると、構造上の強度を提供する第1および第2のフレームをそれぞれ画定する硬質または半硬質材料を備える第1および第2の端部構成要素を含む容器を備えるシステムが提供される。透明な気体不透過性材料の周縁を第1のフレームに封着し、気体透過性材料の周縁を第2のフレームに封着する。可撓性の側壁構成要素の周縁を第1および第2のフレームに封着する。第1の端部構成要素と、第2の端部構成要素と、側壁構成要素とは内部空間の周縁を画定する。側壁上の少なくとも1つのポート構成要素が内部空間との流体連通をもたらす。
【0017】
本システムは、新鮮なヒト血漿などの材料の凍結乾燥、輸送、貯蔵、再構成、および投与を単一の多機能容器によって可能にする。
【0018】
本発明の別の態様は、上記の多機能容器の技術的特徴を利用する方法を提供する。本方法は、新鮮なヒト血漿などの液状材料を容器上の第1のポート構成要素から導入するステップを含む。本方法は、液状材料の凍結乾燥を容器の内部空間内のその場で行い、その間に水蒸気を昇華させるために第2の端部構成要素の気体透過性材料が気体の移送をもたらすステップを含む。本方法は、凍結乾燥材料を再構成するために、凍結乾燥材料と混合するための再構成液を容器の第2のポート構成要素から内部空間に導入するステップをさらに含む。本方法は、再構成された凍結乾燥材料を内部空間から容器の第3のポート構成要素を通して移送するステップをさらに含む。
【0019】
画定された単一の多機能容器は、この容器内での材料の凍結乾燥、凍結乾燥された材料のこの容器内での輸送および貯蔵、この容器内での材料の再構成、およびこの容器からの投与を可能にする。
【0020】
一実施態様において、本方法は、凍結乾燥後に、第2の端部構成要素の気体透過性材料を通して内部空間に不活性気体を導入するステップをさらに含む。材料の劣化を防ぐために、凍結乾燥材料が存在する内部空間を無酸素不活性気体で満たす。本方法は、凍結乾燥材料と共に無酸素不活性気体を内部空間に閉じ込めるために、第2の端部構成要素の気体透過性材料を覆うステップをさらに含む。本方法は、再構成液の導入前の貯蔵期間中、容器内に閉じ込められた無酸素不活性気体内に凍結乾燥材料を貯蔵しておくステップを含む。
【0021】
一実施態様において、本方法は、貯蔵期間中、覆われた容器を外側のコンテナ内に配置しておくステップをさらに含む。
【0022】
上記および他の重要かつ有意義な分野は、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】凍結乾燥材料、例えば凍結乾燥されたヒト血漿、と凍結乾燥材料のための再構成液とを貯蔵し、装置内での凍結乾燥材料の再構成、および再構成された凍結乾燥材料の装置からレシピエントへの直接投与を可能にする装置の正面立面図であり、外側の保護スカートを除去する前の装置を示す。
【図2】図1に示す装置の側立面図である。
【図3】図1に示す装置の正面立面図であり、凍結乾燥材料を再構成するための装置の操作前に外側の保護スカートを除去するために保護スカートを引き裂く方法を示す。
【図4A】外側の保護スカートの除去後、および凍結乾燥材料を再構成するために装置を操作する前の、図3に示す装置の正面立面図である。
【図4B】図4Aに示す装置の側立面図である。
【図5A】外側の保護スカートを除去する前の、装置内に形成された内部封止壁およびこれに対応付けられた弁アセンブリの図1の線5A−5Aにほぼ沿った側立面断面図である。
【図5B】内部封止壁および複数の弁アセンブリの代替構成を示す、図5Aに似た側立面断面図である。
【図6】外側の保護スカートの除去後、および凍結乾燥材料を再構成するために装置を操作する前の、装置内に形成された内部封止壁およびこれに対応付けられた弁アセンブリの図4Aの線6−6にほぼ沿った側立面断面図である。
【図7】内部封止壁の少なくとも1つの領域を開いた後、および凍結乾燥材料を再構成するために装置を操作する前の、内部封止壁およびこれに対応付けられた弁アセンブリの、図6に似た側立面断面図である。
【図8】凍結乾燥材料を再構成するために装置を操作する前に外側の保護スカートを除去する方法を示す、図1に示す装置の正面立面図である。
【図9】図7にも示されている方法で、内部封止壁の少なくとも1つの領域を開くために弁アセンブリを操作する方法を示す、図8に示す装置の正面立面図である。
【図10】凍結乾燥材料を再構成するために装置を操作する方法を示す、図9に示す装置の正面立面図である。
【図11】凍結乾燥材料を再構成するために装置を操作する方法を示す、図9に示す装置の正面立面図である。
【図12】凍結乾燥材料を再構成するために装置を操作する方法を示す、図9に示す装置の正面立面図である。
【図13】凍結乾燥材料を再構成するために装置を操作する方法を示す、図9に示す装置の正面立面図である。
【図14】凍結乾燥材料を再構成するために装置を操作する方法を示す、図9に示す装置の正面立面図である。
【図15】凍結乾燥材料を再構成するために装置を操作する方法を示す、図9に示す装置の正面立面図である。
【図16】再構成された材料を装置からレシピエントに直接投与する方法を示す、図15に示す装置の正面立面図である。
【図17A】図1に示す装置内への挿入および貯蔵前に、液状ヒト血漿から凍結乾燥された血漿ケーキを準備するための一例示的工程の略斜視図である。
【図17B】図1に示す装置内への挿入および貯蔵前に、液状ヒト血漿から凍結乾燥された血漿ケーキを準備するための一例示的工程の略斜視図である。
【図17C】図1に示す装置内への挿入および貯蔵前に、液状ヒト血漿から凍結乾燥された血漿ケーキを準備するための一例示的工程の略斜視図である。
【図17D】図1に示す装置内への挿入および貯蔵前に、液状ヒト血漿から凍結乾燥された血漿ケーキを準備するための一例示的工程の略斜視図である。
【図17E】図1に示す装置内への挿入および貯蔵前に、液状ヒト血漿から凍結乾燥された血漿ケーキを準備するための一例示的工程の略斜視図である。
【図18】凍結乾燥材料(図17Aから図17Eの工程を用いて形成された血漿ケーキのような材料)を図1に示す装置の第1の室に配置する方法の正面立面図である。
【図19】凍結乾燥材料(図17Aから図17Eの工程を用いて形成された血漿ケーキのような材料)を図1に示す装置の第1の室に配置する方法の正面立面図である。
【図20】凍結乾燥材料のための再構成液を図1に示す装置の第2の室に配置する方法の正面立面図である。
【図21】図1に示す装置を作成するために外側の保護スリーブを装置の周囲に配置する方法の正面立面図である。
【図22】凍結乾燥材料、例えば凍結乾燥されたヒト血漿、と凍結乾燥材料のための再構成用液体とを貯蔵し、装置内での凍結乾燥材料の再構成、および再構成された凍結乾燥材料の装置からレシピエントへの直接投与を可能にする一代替装置の正面立面図であり、外側の保護スカートを除去する前の装置を示す。
【図23】外側の保護スカートの除去前の、装置内に形成された弁アセンブリの図22の線23−23にほぼ沿った正面立面内部断面図である。
【図24】外側の保護スカートの除去後、および凍結乾燥材料を再構成するために装置を操作する前の、図22に示す装置の正面立面図である。
【図25】外側の保護スカートの除去後の、図23に示すような弁アセンブリの図23の線25−25にほぼ沿った正面立面内部断面図である。
【図26】凍結乾燥材料を再構成するために装置を操作することによって材料を図25に示す弁アセンブリを通す様子を示す正面立面内部断面図である。
【図27】凍結乾燥材料を再構成するために装置を操作することによって材料を図25に示す弁アセンブリを通す様子を示す正面立面内部断面図である。
【図28A】凍結乾燥材料の再構成液を図1または図22に示す種類の装置の第2の室に装填するための一代替方法の極めて概略的な図である。
【図28B】凍結乾燥材料の再構成液を図1または図22に示す種類の装置の第2の室に装填するための一代替方法の極めて概略的な図である。
【図29A】凍結乾燥材料の再構成用液体を図1または図22に示す種類の装置の第2の室に装填するための別の代替方法の極めて概略的な図である。
【図29B】凍結乾燥材料の再構成用液体を図1または図22に示す種類の装置の第2の室に装填するための別の代替方法の極めて概略的な図である。
【図30】凍結乾燥材料、例えば凍結乾燥されたヒト血漿、と凍結乾燥材料の再構成液とを貯蔵するシステムであって、第1および第2の個別コンテナと、レシピエントへの投与のために凍結乾燥材料の再構成をシステム内で可能にする移送セットとを備えるシステムの正面立面図である。
【図31】凍結乾燥材料を再構成するために第1および第2のコンテナが移送セットによって流体連通状態に接合された、図30に示すシステムの正面立面図である。
【図32】凍結乾燥材料の再構成後の、図30および図31に示すシステムの一方のコンテナの正面立面図であり、再構成された材料をコンテナからレシピエントに直接投与する方法を示す。
【図33】凍結乾燥材料、例えば凍結乾燥されたヒト血漿、と、凍結乾燥材料の再構成液とを貯蔵する装置であって、材料を装置内のその場で凍結乾燥するためのサイズおよび構成である装置の正面立面図である。
【図34】液状血漿を装置内のその場で凍結乾燥するために装置内に移送する方法を示す、図33に示す装置の正面立面図である。
【図35】液状血漿を各装置内のその場で凍結乾燥するために凍結乾燥機内に配置した後の、図34に示す装置のいくつかを示す斜視図である。
【図36】凍結乾燥機から取り出した後の図35に示す装置の正面立面図であり、再構成材を装置内に移送する前の、装置内のその場で形成された凍結乾燥血漿ケーキを示す。
【図37】再構成材を装置に移送した後の、図36に示す装置の正面立面図である。
【図38】図1に示す種類の装置を作成するために、再構成材を装置内に移送した後に、図37に示す装置の周囲に外側の保護スリーブを配置する方法を示す正面立面図である。
【図39A】それぞれ異なる機能を果たすために物理的特性がそれぞれ異なる複数の構成要素で構成された容器を備える、血漿などの材料の凍結乾燥、貯蔵、再構成、および投与用の多機能装置の分解斜視図である。
【図39B】図39Aに示す装置の組み立て後の斜視図であり、可撓性の側壁構成要素と透明な気体不透過性の端部構成要素とを示す。
【図39C】図39Aに示す装置の組み立て後の斜視図であり、可撓性の側壁構成要素と気体透過性の端部構成要素とを示す。
【図39D】図39Aに示す装置の組み立て後の図39Cの線39D−39Dに沿った側立面図である。
【図40】気体不透過性オーバラップ内に封入された図39Aから図39Dに示す容器を備える凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの斜視図であり、図41に示すように輸送および貯蔵中の凍結乾燥材料貯蔵アセンブリを使用時まで封入するための蓋を有する外側の硬質コンテナをさらに示す。
【図41A】気体不透過性オーバラップ内に封入された図39Aから図39Dに示す容器を備える凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの斜視図であり、図41に示すように輸送および貯蔵中の凍結乾燥材料貯蔵アセンブリを使用時まで封入するための蓋を有する外側の硬質コンテナをさらに示す。
【図41B】気体不透過性オーバラップ内に封入され、さらに再構成液の容器と付属の再構成および投与セットとのための格納空間を含む、図41に示すような蓋付きの外側の硬質コンテナ内に配置された凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの斜視図を示す。
【図42】図39Aから図39Dに示すような容器と一体型閉鎖カバーとを備えるユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの斜視図であり、開放状態の閉鎖カバーを示す。
【図43】図39Aから図39Dに示すような容器と一体型閉鎖カバーとを備えるユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの斜視図であり、閉鎖状態の閉鎖カバーを示す。
【図44】輸送および貯蔵中のユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリを使用時まで封入しておくための蓋付きの外側の硬質コンテナ内に配置された、図43に示すユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの(閉鎖カバーを開けた状態の)斜視図である。
【図45】輸送および貯蔵中のユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリを使用時まで封入しておくための蓋付きの外側の硬質コンテナ内に配置された、図43に示すユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの(閉鎖カバーを閉じた状態の)斜視図である。
【図46】図39Aから図39Dに示すような容器と一体形閉鎖カバーとを備えるユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの別の代表的実施形態の斜視図であり、開いた状態の閉鎖カバーを示す。
【図47】図39Aから図39Dに示すような容器と一体形閉鎖カバーとを備えるユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの別の代表的実施形態の斜視図であり、閉じた状態の閉鎖カバーを示す。
【図48】輸送および貯蔵中のユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリを使用時まで封入するための蓋付きの外側の硬質コンテナ内に配置された、図47に示すユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの(閉鎖カバーを開いた状態の)斜視図である。
【図49】輸送および貯蔵中のユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリを使用時まで封入するための蓋付きの外側の硬質コンテナ内に配置された、図47に示すユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの(閉鎖カバーを閉じた状態の)斜視図である。
【図50】1単位の液状血漿を図42に示す種類のユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリに移送することによってユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリを使用して工程を開始する方法を示す斜視図であり、閉鎖カバーは開いた状態である。
【図51】1単位の液状血漿を図42に示す種類のユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリに移送することによってユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリを使用して工程を開始する方法を示す斜視図であり、閉鎖カバーは開いた状態である。
【図52】液状血漿を凍結乾燥させて凍結乾燥された血漿にするためにユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリをある範囲内の温度および真空状態にさらす凍結乾燥器内に、図50および図51に示すユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリを、乾燥中に水蒸気を昇華させるために閉鎖カバーを開いた状態で、配置する方法の斜視図である。
【図53】無酸素不活性気体を凍結乾燥血漿材料に浸透させるために閉鎖カバーを開いたまま一面の無酸素不活性気体にさらされている、図52に示す凍結乾燥器内のいくつかユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの斜視図である。
【図54】その後の輸送および貯蔵中の凍結乾燥血漿材料の劣化を防ぐ無酸素不活性気体をユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ内に閉じ込めるために閉鎖カバーが閉じられている、図53に示す凍結乾燥器内のいくつかのユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの斜視図である。
【図55】輸送および貯蔵中のユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリを使用時まで封入するための蓋付きの外側の硬質コンテナ内に配置された、図54に示すユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの(閉鎖カバーを開いた状態の)斜視図である。
【図56】輸送および貯蔵中のユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリを使用時まで封入するための蓋付きの外側の硬質コンテナ内に配置された、図54に示すユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの(閉鎖カバーを閉じた状態の)斜視図である。
【図57】図50から図56に示す凍結乾燥および装填工程後に凍結乾燥血漿材料に混合するための再構成液を供給源コンテナからユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリに移送することによってユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ内の凍結乾燥血漿材料を再構成する方法を示す。
【図58】再構成された凍結乾燥血漿材料をユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリから個体に投与する方法を示す。
【図59】図57に示すように再構成液をユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリに移送した後で、再構成液と凍結乾燥血漿材料との混合物を供給源コンテナに逆方向に移送することによって凍結乾燥血漿材料と再構成液とを混合する方法を示す。混合物は投与可能な状態になるまで、図57および図59に示す方法で順方向および逆方向に移送される。
【図60】図57に示すようにユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリを用いて再構成され、図57および図59に示すように投与用に混合された後に、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリから元の再構成液コンテナに最終的に移送された凍結乾燥血漿材料を個体に投与する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この開示は当業者が本発明を実施できるように詳細かつ正確であるが、本願明細書に開示されている各物理的実施形態は、本発明を単に例示するものであり、本発明を他の具体的構造として具現化することも可能である。好適な実施形態について説明してきたが、特許請求の範囲に定義されている本発明から逸脱することなく詳細を変更することもできる。
【0025】
I.凍結乾燥血漿の貯蔵および再構成用装置
図1および図2は、凍結乾燥材料の貯蔵および投与用の装置10を示す。装置10は、第1の圧潰可能な室12と第2の圧潰可能な室14とを有する可撓性の袋を備える。
【0026】
第1の室12は、乾燥室とも称され、1アリコート分の凍結乾燥材料16を収容する。凍結乾燥材料16の性質および種類は可変である。図示の実施形態において、凍結乾燥材料はヒト血漿を含み、アリコートは単一ドナーの1単位分のヒト血漿である。
【0027】
第2の室14は、湿潤室とも称され、凍結乾燥材料16のための再構成液18を収容する。再構成材18の性質および種類は可変である。図示の実施形態において、再構成材18は滅菌水を含み、滅菌水を脱気処理することが望ましければ、そうすることもできる。使用時、輸血用の血漿を提供するために、湿潤室14内の滅菌水を乾燥室12内の凍結乾燥血漿と混合する。血漿の再構成および投与は、装置10を用いて行う。
【0028】
第1の室12は、再構成前の凍結乾燥材料16を真空封止された無菌かつ無湿の低酸素濃度環境に維持し、好ましくは長期貯蔵、例えば室温での少なくとも2年間の貯蔵、を可能にするサイズおよび構成にする。この環境で貯蔵された凍結乾燥材料16は、輸血用のその所望品質を保持する。
【0029】
第2の室12は、凍結乾燥材料16との混合前の再構成液18を無菌環境に低気体濃度で維持し、好ましくは長期貯蔵、例えば室温での少なくとも2年間の貯蔵、を可能にするサイズおよび構成にする。
【0030】
室12および14の各容積は、第1の室12内の凍結乾燥材料16の体積よりほぼ50%大きいことが好ましい。これにより、以下に詳細に説明するように凍結乾燥材料16と再構成液18とを混合するために十分な容積が装置10内の第1の室12または第2の室14のどちらかに提供される。
【0031】
装置10は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、または高密度ポリエチレンなどの医療グレードの不活性プラスチック材料から製造することもできる。装置10は、耐久性をより高めるために、例えば通常の取り扱い中に遭遇しうる引き裂きおよび穿刺に耐えるように、複数の高分子層から成る多層ラミネートを備えることができる。
【0032】
装置10の材料は、室12および14の内容物の目視検査を可能にするために透明であることが望ましければ、透明であるように選択することができる。第1の室12内の材料は、金属蒸着された低気体透過性被膜または金属ラミネートなどの気体不透過性障壁を設けるように選択することができる。この場合、第1の室の壁は不透明でもよい。
【0033】
さらに、例えば金属蒸着された気体不透過性材料製の真空封止式オーバラップ20(図1に極細線で図示)によって使用前の装置10を包むこともできる。オーバラップ20は、貯蔵安定性を向上させる。
【0034】
内部封止壁22(図1を参照)は、装置10を第1および第2の室12および14(図5Aも参照)に仕切る。封止壁22は、第1の室12と第2の室14との間に障壁を設け、貯蔵中の凍結乾燥材料16と再構成液18との間の接触を使用時まで常時防止する。
【0035】
図5A/Bおよび図7は、以下に詳細に説明するように、介護者が封止壁22の1つ以上の領域24を選択的に開くことができることを示す。1つ以上の領域24は、開かれると、2つの室12および14間の流体連通を可能にする。流体連通により、以下に詳細に説明するように、再構成液18と凍結乾燥材料16との混合が可能になる。
【0036】
封止壁22の1つ以上の領域24は、さまざまな方法で開くことができる。代表的な一実施形態において(図5を参照)、封止壁22は、封止壁22が開かれる各領域24に対応付けられた常閉弁アセンブリ26を含む。図5Aには、単一の領域24が示されているので、単一の弁アセンブリ26が示されている。図5Bに示すように、複数の領域24aおよび24bが設けられる場合は、各領域24aおよび24bはそれぞれ専用の弁アセンブリ26aおよび26bを含むことになる。
【0037】
代表的な一実施形態において(図5Aおよび図5Bを参照)、各弁アセンブリ26は、一次感圧弁28を含む。弁28は、例えば短いダックビル弁または二方向フラップ弁の形態を取ることができる。一次弁28は、2つの室12および14間の流体連通を常時阻止するサイズおよび構成にする。
【0038】
この代表的実施形態において、各弁アセンブリ26は、弁28と湿潤室14との間に常閉隔壁30をさらに含む。隔壁30は、弁28とは無関係に、2つの室12および14間の閉鎖を維持する。隔壁30は、弁28とは無関係に、2つの室12および14間の材料の偶発的通過を防止し、これによって、使用前の装置10内の凍結乾燥材料16および再構成液18の個別の完全性を維持する。
【0039】
隔壁30は、隔壁30内に組み込まれて一体化された引き裂き部材32を含む。一体化された引き裂き部材32は、第2の室14の壁の流体封止された開口部または隔壁36を通って延在する引き紐34に結合される。図1に示すように、引き紐は装置10の外側のプルタブ38に終端する。
【0040】
図6および図7に示すように、引き裂き部材32は、介護者がタブ38を引いたときに隔壁30を開くサイズおよび構成にする。開口部または隔壁26は、引き紐34の周囲を密閉するばかりでなく、引き紐34が室14の内部から通過した後も密閉して第2の室14の完全性を維持する。このように隔壁30を開くと、開口領域24が形成される(図7を参照)。開口領域24は、第1および第2の室12および14を弁28を介して連通させる。
【0041】
領域24が開いても(図7を参照)、一次弁28は、依然として2つの室12および14間の流体連通を常時阻止する役割を果たす。ただし、弁28は、領域24が開いたときに弁38の両側の流体圧力差に応じて弾力的に撓むサイズおよび構成にする(図11および図14を参照)。圧力差に応じて、弁28は、圧力が高い方の領域から圧力が低い方の領域に向かって流体圧力差の方向に開く。
【0042】
以下に詳細に説明するように(図10および図13にそれぞれ示すように)、介護者は一方の室を選択的に圧縮し、もう一方の室を圧縮しないことによって弁28の両端に流体圧力差を生じさせる。流体は、圧縮された室から圧縮されなかった室に弁28を通って、流体圧力差に応じて追い出される。
【0043】
多部品構成の弁アセンブリ26は、凍結乾燥材料16の再構成が所望されるまで、室12および14を確実に分離しておくための冗長封止能力を提供する。
【0044】
代表的な一実施形態において(図1および図2を参照)、装置10は、さらなる冗長性をもたらす外側の剥ぎ取り式スカート40をさらに含む。図1および図2に示すように、スカート40は、装置10の封止壁22の領域に被さる。スカート40は、封止壁22に対応付けられた弁アセンブリ26の構成要素を覆って保護する役割を果たす。
【0045】
スカート40の少なくとも1つの領域を第1の室、第2の室、またはこの両方、の領域において装置の外壁の周囲に周方向に、例えば接着材によって、取り付ける。さらに、スカート40が装置10の周囲に取り付けられているときは、装置の外壁は(図1および図2に示すように)褶曲しているか、またはひだが寄っているか、あるいは他の方法でまとめられていることが望ましい。あるいは、緩衝部分(placation)をコンテナの壁に設けることができる。
【0046】
緩衝部分は、封止壁22の領域において壁応力を軽減する。スカート40は、いったん取り付けられると、これらの緩衝部分またはひだを保持し、これによって封止壁22に対応付けられた弁アセンブリ26の構成要素および封止壁22の領域において壁応力を軽減または分散するために役立つ。このような壁応力は、例えば、第2の室14に収容された再構成液18の重量、および/または輸送中の取り扱いおよび使用前の操作によって発生しうる。上に被さっているスカート40の存在は、封止壁22に対応付けられた弁アセンブリ26の構成要素を輸送中および使用前の偶発的接触から隔離するために役立つ。
【0047】
図1に示すように、スカート40は一体化された引き裂き部材42を含む。一体化された引き裂き部材42は、スカート40の外側に垂れ下がったプルタブ46に終端する引き紐44を含む。引き裂き部材42は、介護者がタブ46を(図3に示すように)引いたときにスカート40を引き破くサイズおよび構成にする。スカート40が除去されると、袋12および14の壁の緩衝部分は解放され(図4Aおよび4Bに示すように)、封止壁22に対応付けられた弁アセンブリ26の構成要素が操作可能な状態になる。
【0048】
第1の室12および第2の室14への言及は、一方の室をもう一方の室から区別するために行っているのであって、これらの室を特定の空間的関係に限定するためではないことを理解されたい。例えば、室12および14を、縦縁同士を接触させて向かい合わせに配置することもできる。
【0049】
装置10の技術的特徴は、不測時でも室間の相互接続および相互連通をさまざまな方法で可能にする封止手段によって分離された独立した複数の室または区画を含む。さらに、袋または室への言及は、何れか特定の構造または形状に限定するものではなく、内容物16および18の担持および混合が可能な何れかのコンテナを指していると理解されたい。
【0050】
II.凍結乾燥材料および再構成液の準備および装填
凍結乾燥材料16および再構成液18の準備および装填は、2つの主要な処理工程を含む。すなわち、(i)材料16の凍結乾燥、および(ii)室12および14内への材料16および再構成液18の装填である。
【0051】
A.凍結乾燥血漿の準備
代表的な一実施形態において、凍結乾燥材料16は血漿を含む。したがって、以下は、装置10に装填する凍結乾燥血漿を準備するための一例示的方法の説明である。
【0052】
血漿の準備および製造は、無菌環境で行う。製造および準備手順は、例えば、ヒト血漿の無菌処理用のISOクラス3のバイオコンテインメントフードを有するISOクラス5のクリーンルーム(またはこれ以上)内で行えることが好ましい。凍結乾燥は、CIP/SIP凍結乾燥器内で無菌で行うことができる。
【0053】
ヒト血漿は単一ドナーから従来の方法で採取する。すなわち、例えば、ドナーからの1単位分の全血を閉鎖系採取袋に採取し、次にこの血漿を遠心分離し、一体に連結された移送袋(1単位分の約250mlの血漿単位を収容)に血漿を採取する。各単位(移送袋に収容)をバイオコンテインメントフード内で個別に扱う。単一ドナー単位の処理と別のドナーからの別の単一ドナー単位の処理との間に、バイオコンテインメントフード内の切り替えのためのラインクリアランスプロトコルを設けることも、あるいはフロー設計および切り替えのための検証工程を設けることもできる。このプロトコルは、前の処理に関係する全ての道具および材料の除去を扱う。このプロトコルは、前の処理の残滓がその場に残っていないことを保証するための装填作業域および作業域の器具類(釣り合い錘)の完璧な洗い流しも扱う。単一ドナーサンプルの識別は、その単一ドナーのヒト血漿コンテナに付けたバーコードおよび他のタグによって維持する。
【0054】
図17Aに示すように、凍結乾燥の前に、250mlのヒト血漿単位を移送袋48から滅菌済みのパイロジェンフリーな矩形の型50(例えば、4cm×10cm×12.5cm(深さ×幅×高さ)に計量分配する。型50はステンレス鋼にすることができる。ただし、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、または金など伝熱特性が良好な金属で構成することもできる。PTFEまたはダイヤモンドなど、良好な離型特性を有する丈夫な不活性遮断膜で型50の内面を被覆することもできる。
【0055】
図17Bに示すように、ヒト血漿を収容した型50を、次にヒト血漿の識別(採取源、血液型、採取日など)を示すバーコードおよびタグ54が付けられたヒートシール可能な防水性で蒸気透過性の無菌の袋52に入れる。この蒸気透過性の袋52は、一般に、微孔性PTFE膜材料(例えばGore−Tex(商標))または微孔性HDPE膜(例えばTyvek(商標))を用いて製造されるであろう。
【0056】
型50とヒト血漿とを封じ込めるために、袋52をヒートシールする。袋52は、内部にある型の壁縁部表面の下方または型の底に袋の材料が垂れ下がったり、ひだが寄ったりすることなく型50とその内容物とを整然と収納するように設計する。
【0057】
図17Cに示すように、次に、収納袋52内の型50を凍結乾燥器56内の無菌の凍結乾燥器棚面58に配置する。凍結乾燥に用いる凍結乾燥器56は、ほぼ200平方フィート以上の棚面積を有する認証された定置洗浄、定置滅菌の凍結乾燥器とする。このような凍結乾燥器56は、一杯に搭載された場合、少なくとも500個の型を収容できる。
【0058】
搭載後、凍結乾燥サイクルを開始する。このサイクルは、一般に、ヒト血漿を−45℃近くまで冷却し、所定時間、例えば2時間から8時間、かけて凍結させ、次に凍結乾燥器の凝縮器を冷却し、真空を加えて凍結乾燥サイクルを開始する。凍結乾燥されたヒト血漿ケーキ60が形成される。
【0059】
代表的な一次凍結乾燥サイクルにおいては、ヒト血漿ケーキ60の完全性を維持するために、ヒト血漿ケーキ60の温度をその崩壊温度(例えば−33℃)未満に保つ必要がある。ケーキ60の含水率が重量比(w/w)で5%未満であるときは、含水率をさらに下げるために二次乾燥サイクル(高温)を用いることが望ましければ、そうすることもできる。一次および二次凍結乾燥サイクルを組み合わせると、72時間以上かかることもあるが、このような時間は処理条件に応じて変わる。凍結乾燥サイクルの終わりに、凍結乾燥器の真空状態を窒素またはアルゴンなど高純度不活性気体の無酸素雰囲気にさらす。
【0060】
図17Dに示すように、それぞれの型50および収納袋52内で凍結乾燥されたケーキ60を、湿気および酸素を排除するための窒素またはアルゴン気体の覆いの下でその環境が維持されうる無菌の収納カート62に取り出す。制御された不活性気体の覆いの下で凍結乾燥器の内容物を移送できるように、収納カート62を凍結乾燥器の前面に連結することもできる。
【0061】
収納カート62は、凍結乾燥されたヒト血漿ケーキ(型50の内部にあり、袋52の中に密封されている各ケーキ)を複数格納するために使用できるばかりでなく、以下に詳細に説明するように装置10への凍結乾燥血漿ケーキ60の装填を行える装置装填領域にケーキを移送するためにも使用できる。
【0062】
B.装置への凍結乾燥血漿および水の装填
図1に示すように、装置10は、第1の室12に連通する第1の無菌真空ポート64と、第2の室14に連通する第2の無菌真空ポート66とを備える。真空ポート64および66は、凍結乾燥された血漿材料16と再構成液18(例えば、水)とを装置10内に装填し易くするために、最終的な組み立て中に(図18から図21を参照)さまざまな管Tに連結できるサイズおよび構成にする。
【0063】
第2の室14に連通する投与ポート68もヒートシールする。投与ポート68は、以下に詳細に説明するように、装填工程中に再構成液18を第2の室14に移送するために使用する。再構成液18を室14内に装填した後、図16に示すように輸血時に投与セット72をポート28に連結できるように、投与ポート68を従来の隔壁または脆い膜アセンブリまたは従来のねじ固締式ルアー継ぎ手70を用いて封止する。
【0064】
装置10は、ヒートシール可能な無菌のフランジ74(図1を参照)をさらに備える。これにより、図18に示すように凍結乾燥血漿ケーキ60を第1の室12に挿入し、次に図19に示すように無菌方式で封入することができる。
【0065】
長穴76をフランジ74に予備成形することもできる。長穴76により、図16に示すように、再構成された血漿を個体に投与するために望ましい重力落差に装置10を吊るすことができる。
【0066】
単一ドナーの個々のヒト血漿凍結乾燥ケーキ60を、フランジ74を通して、装置10(図18を参照)に無菌で装填する。装置装填領域は、例えば、不活性気体の覆いによって酸素および湿気汚染が大幅に除外されるバイオコンテインメントフードでもよい。さらに装置装填領域は、不活性気体環境を有する無菌のグローブボックスシステムでもよい。
【0067】
図18および図19は、代表的な装填工程を示す。袋52を開き、血漿ケーキ60を型50から取り外す。開いているフランジ74を通して血漿ケーキ60を第1の室12に装填する。図17Eに示すように、(袋52の除去後)先の広がった大型の圧舌子に似た、透明プラスチック製の使い捨ての無菌アプリケータツール78を用いて血漿ケーキ60を型50から室12に直接移送できると予想される。室12への装填完了後、さまざまな従来の無菌手法、例えば誘導加熱溶接またはヒートシール、を用いてフランジ74を封止することができる。
【0068】
室12への血漿の装填は、室12のフランジ74のほぼ50%を占める「オイスター形」開口部を通して行うことができる。この開口部は、装填後、容易に封止できる。オイスター形開口部は、血漿ケーキ60の装填を、工程中、第1の室12または凍結乾燥血漿を傷つけることなく可能にするであろう。オイスター形開口部の場合、縁端継ぎ目に余分な重なりが十分あるため、封止工程中、縁端継ぎ目の位置合わせおよび接触を容易に行えるであろう。
【0069】
室12の装填および封止後、第1の室12の真空ポート64に連結された管Tを通じて無菌の真空を加えることが好ましい(図19を参照)。100mTorr近くの圧力が達成されたら、真空ポート64をヒートシールし、管Tを取り外す。この減圧工程により、凍結乾燥されたヒト血漿の混合および再構成を不測時でも、気泡を導入することも泡だたせることもなく、行うことができる。真空により、血漿ケーキ60は微粉状に圧縮され、室12内で凍結乾燥材料16を形成する。
【0070】
原血漿と室12に装填された材料16との間に追跡可能な直接的なリンクを維持するために、装置10は、凍結乾燥時に型50を包んでいる袋52に付けられているバーコードおよびタグ54を複製するか、または他の方法でこのバーコードおよびタグ54にリンクされた、ヒト血漿の識別(採取源、血液型、採取日など)を示すバーコードおよびタグ54’(図1を参照)を含むことが好ましい。このような方法で、装置10はヒトドナー源までの追跡可能なリンクを維持する。
【0071】
凍結乾燥血漿材料16の再構成を助けるために、室12を閉鎖する前に、不活性材料の無菌の高密度球体を室12内に追加することもできる。この不活性材料として、ガラス、ポリ塩化ビニル、または高密度ポリエチレンなどが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。
【0072】
再構成液18(代表的な実施形態においては、ガスフリー水)を第2の室14に導入する。図20に示すように、真空ポート66および投与ポート68を供給ライン80および82にそれぞれ連結する。無菌の真空を加えることによって、室14内の気体を除去する。
【0073】
真空ポート66を封止し、管80を取り外す。必要アリコート分(例えば、約250ml)の再構成流体を投与ポート68から室14に追加する。管82を取り外し、次に、輸血時にポート68への投与セット68の連結を可能にする従来の隔壁または脆い膜アセンブリ、あるいは従来のねじ固締式ルアー継ぎ手70、を用いて投与ポート68を封止する。
【0074】
凍結乾燥血漿の再構成を助けるために、不活性材料の無菌の高密度球体を第2の室14内に存在させることもできる。この不活性材料として、ガラス、ポリ塩化ビニル、または高密度ポリエチレンなどが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。
【0075】
図21に示すように、凍結乾燥材料16および再構成液18を上記の方法で装填した後、上記のように封止壁22の領域で装置10の壁にひだを寄せ、外側スカート40を取り付ける。オーバラップ418 20の追加が望ましければ、図1に示すように追加することもできる。
【0076】
装置10は、貯蔵、輸送、および使用の準備が整った。
【0077】
III.凍結乾燥材料の再構成および投与
装置10は、凍結乾燥材料16の再構成に備えて重要な2段階の操作を可能にする。
【0078】
第1段階においては(図8に図示)、引き裂き部材42を引いてスカート40を開いて除去することによって、装置10の封止壁22を図6に示す使用準備が完了した構成にする。第2段階においては(図9に図示)、引き裂き部材32を引いて隔壁20を開く(図7に詳細に図示)。これにより、封止壁22の領域24が開かれる。
【0079】
領域24が開いたら、介護者は第2の室14に圧力を加えて、再構成液18を第2の室14から第1の室12に搾り出すことができ(図10および図11を参照)、これにより凍結乾燥材料16の再構成が開始される。より具体的には、領域24が開いたら、介護者は(図10に示すように)第1の室12に圧力を加えずに、第2の室14にのみ圧力を加えることができる。図10および図11に示すように、第2の室14と第1の室12との間の圧力差によって、第2の室14の液体18が(図11に示すように、圧力差に応じて第1の室12の方向へ撓んだ)弁28を通って第1の室12に追い出される。追い出された液体18は、第1の室12の凍結乾燥材料16と混ざり合って、再構成が始まる。
【0080】
図12に示すように、装置10を振り動かすと、第1の室12内で液体18と凍結乾燥材料18との混合が加速される。
【0081】
領域24が開いたら、介護者は次に第1の室12に圧力を加えて、液体18内で既に少なくとも一部が再構成されている材料16を第1の室12から第2の室14に搾り出す(図13および図14を参照)。凍結乾燥材料16の再構成が進む。より具体的には、図13に示すように、介護者はこの時点で、第2の室14には圧力を加えずに(図13に示すように)第1の室12に圧力を加えることができる。図13および図14に示すように、第1の室12と第2の室14との間の圧力差によって、液体18と凍結乾燥材料16との混合物は(図14に示すように、圧力差に応じて第2の室14の方向に開くように撓んだ)弁28を通って第1の室12から第2の室14に戻される。戻された液体18は凍結乾燥血漿材料18と引き続き混合され、材料18の再構成がさらに進む。
【0082】
図15に示すように、装置10を振り動かすと、第2の室14で水と凍結乾燥血漿との混合が加速される。
【0083】
室12および14に交互に圧力を加えることによって、液体18内に再構成された材料16を2つの室12および14間で行き来させ、途中で振り動かすことによって、所望の混合度にすることができる。所望の混合度になったら、混合物を輸血する準備が整う。より具体的には、介護者は、一方の室を圧縮し、もう一方の室を圧縮しないことによって、液体18と凍結乾燥材料18との混合物を室12および14の間で行き来させ、周期的に振り動かすことによって、血漿の所望の混合度および再構成を達成することができる。
【0084】
この時点において(図16に示すように)、介護者は装置10の投与用継ぎ手70を流体投与セット72に連結することができる。再構成された血漿は重力により静脈針84を通って流れ、個体の循環器系に輸血される。
【0085】
輸血中に水7による血漿アリコート5の再構成持続を助けるために、投与用継ぎ手70は、(図16に示すような)静的混合用の管86をさらに含むことができる。
【0086】
上記のような装置10は、以下を可能にする:
i)凍結乾燥されたヒト血漿などの凍結乾燥材料の長期の安定した封じ込め、
ii)不測時の注射用に再構成液による凍結乾燥材料の素早い再構成、および
iii)不測時の外相被災者への再構成された凍結乾燥材料の安全な、無菌方法による送達。
【0087】
IV.他の代表的な実施形態
A.中間弁流路付きの二連コンテナ
図22は、凍結乾燥材料の貯蔵および投与用の別の代表的な実施形態の装置100を示す。装置100は、中間の常閉弁アセンブリ106によって接合された第1の圧潰可能なコンテナ102と第2の圧潰可能なコンテナ104とを備える。
【0088】
装置100は、具体的構造は異なるもの、図1に示す装置と共通の技術的特徴を多数有する。第1のコンテナ102は、上記のように乾燥室12を備え、凍結乾燥された単一ドナーの1単位分のヒト血漿など、1アリコート分の凍結乾燥材料16を収容するサイズおよび構成にする。
【0089】
第2のコンテナ104は、上記のように湿潤室14を備え、凍結乾燥材料16のための再構成液18を収容するサイズおよび構成にする。上記のように、再構成材18は、例えば滅菌水を含むことができ、望ましければ滅菌水を脱気処理してもよい。
【0090】
使用時、輸血用の血漿を提供するために、湿潤室14内の滅菌水を乾燥室12内の凍結乾燥血漿と混合する。血漿の再構成および投与は、現場で装置10を用いて行う。
【0091】
上記のように第1のコンテナ102は、再構成前の凍結乾燥材料16を真空封止された無菌かつ無湿の低酸素濃度環境に維持し、好ましくは長期貯蔵、例えば室温での少なくとも2年間の貯蔵、を可能にする形状および構成にする。この環境で貯蔵された凍結乾燥材料16は、輸血用のその所望品質を保持する。
【0092】
さらに上記のように、第2のコンテナ104は、凍結乾燥材料16との混合前の再構成液18を無菌環境に低気体濃度で維持する形状および構成にし、好ましくは長期貯蔵、例えば室温での少なくとも2年間の貯蔵、を可能にする。
【0093】
コンテナ102および104の各容積は、第1の室12内の凍結乾燥材料16の体積よりほぼ50%大きいことが好ましい。これにより、以下に詳細に説明するように、凍結乾燥材料16と再構成液18とを混合するために十分な容積が装置10内の第1のコンテナ102または第2のコンテナ104のどちらかに提供される。
【0094】
コンテナ102および104は、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、または高密度ポリエチレンなどの医療グレードの不活性プラスチック材料から製造することもできる。コンテナ102および104の一方または両方は、耐久性をより高めるために、例えば通常の取り扱い中に遭遇しうる引き裂きおよび穿刺に耐えるように、複数の高分子層から成る多層ラミネートを備えることができる。
【0095】
コンテナ102および104の材料は、室12および14の内容物の目視検査を可能にするために透明であることが望ましければ、透明になるように選択することができる。第1のコンテナ102内の材料は、金属蒸着された低気体透過性の被膜または金属ラミネートなどの気体不透過性障壁を設けるように選択することができる。この場合、第1の室の壁は不透明でもよい。
【0096】
上記のように、例えば金属蒸着された気体不透過性材料で作製された真空封止式オーバラップ20(図22に極細線で図示)で使用前の装置100を包むこともできる。オーバラップ20は、貯蔵安定性を向上させる。
【0097】
図22に示す代表的な代替実施形態において、弁アセンブリ106は、2つのコンテナ102および104間に延在する管状の可撓性弁流路110内に封入された感圧弁108を含む。弁108は、例えば短いダックビル弁または二方向フラップ弁の形態を取ることができる。弁108は、2つのコンテナ102および104間の流体連通を常時阻止する形状および構成にする。ただし、弁108は、弁108の両側の流体圧力差に応じて(図11および図14に図示の弁28と同じ方法で)弾力的に撓むサイズおよび構成にする。圧力差に応じて、弁28に似た弁108は、圧力が高い方の領域から圧力が低い方の領域に向かって流体5の圧力差の方向に開く。
【0098】
弁流路110が接合された両コンテナの壁領域は、コンテナ102および104間の弁流路110経由での連通を常時閉鎖する。
【0099】
外側の剥ぎ取り式スカート112を中間弁流路110およびコンテナ102および104の中間領域に巻き付ける。スカート112は、使用前の弁アセンブリ106の各構成要素を覆って保護する役割を果たす。スカート112の少なくとも1つの領域を、第1の室、第2の室、またはこの両方、の領域でコンテナ102および104の外壁の周囲に周方向に、例えば接着材によって、取り付ける。
【0100】
図23に示すように、外側スカート112の内側では、コンテナ102および104の中間領域および弁流路110自体に褶曲させるか、またはひだを寄せるか、あるいは他の方法でまとめることによって、各コンテナ102および104および弁流路110の長さを短くすることが望ましい。あるいは、緩衝部分をコンテナ102および104の壁および/または弁流路110に設けることもできる。上に被さっているスカート112の存在は、弁流路100を輸送中および使用前の偶発的な接触から隔離するために役立つ。
【0101】
図23に示すように、弁流路110の両端に被さる各コンテナ102および104の壁は、それぞれ一体化された引き裂き部材112を含む。図23に示すように、一体化された引き裂き部材112はそれぞれ、内部引き紐114によってそれぞれのコンテナ102および104の隣接側壁に結合される。装置100が図22に示すひだが寄った状態であるとき(すなわち、コンテナ102および104の中間領域と弁流路110自体とにひだが寄せられ、外側スカート112によってこの状態に保持されているとき)、内部の引き紐114は僅かに張った状態に常時保持される。装置100にひだが寄った状態であるとき、内部の引き紐114の張力は、引き裂き部材112に影響を及ぼすほどではない。弁流路110の両端に被さる各コンテナ102および104の壁は閉じられている。装置100にひだが寄った状態であるとき、室12および14とそれぞれの内容物は使用前は離隔されて分離されている。
【0102】
図24に示すように、一体化された引き裂き部材116を(図3に示す方法で)操作してスカート112を引き裂いて除去すると、装置100は図24に示す状態にする。図24に示すように、スカート112を除去すると、コンテナ102および104の壁と弁流路110の緩衝部分が解放され、装置100が長くなる。
【0103】
図25に示すように、装置100が長くなると、内部の引き紐114上の張力が増す。張力が十分に増して引き裂き部材112を作動させると、(図25に示すように)弁流路110の両端の壁の領域116が引き破られる。領域116が開くと、第1および第2の室12および14が弁流路110経由で連通する。
【0104】
領域116が開くと、介護者は、(図10から図16に示すように)装置10に関して上で説明した方法と同じ方法で、装置100を操作し始めることができる。介護者は一方のコンテナを選択的に圧縮し、もう一方のコンテナを圧縮しないことによって、弁108の両端に流体圧力差を生じさせる。流体は、流体圧力差に応じて、圧縮されたコンテナから圧縮されなかったコンテナに弁108を通って追い出され、凍結乾燥材料に混合されて投与用に凍結乾燥材料が再構成される。コンテナ102および104を操作することによって、材料を弁流路110経由で室12および14間で両方向に移送する方法を図26および図27に示す。
【0105】
B.移送セット付きの二連コンテナ
図30は、凍結乾燥材料の貯蔵および投与用の代表的な一実施形態のシステム200を示す。システム200は、第1の圧潰可能なコンテナ202と、第2の独立した圧潰可能なコンテナ204とを備える。システム200は、第1および第2のコンテナ202および204間の流体連通を確立するための移送セット206をさらに備える。
【0106】
システム200は、具体的構造は異なるもの、図1および図22に示す装置と共通の技術的特徴を多数有する。
【0107】
第1のコンテナ202は、上記のように乾燥室12を備え、凍結乾燥された単一ドナーの1単位分のヒト血漿など、1アリコート分の凍結乾燥材料16を収容するサイズおよび構成にする。原血漿と室12内の材料16との間に追跡可能な直接的なリンクを維持するために、コンテナ202は、ヒト血漿の識別(採取源、血液型、採取日など)を示すバーコードおよびタグ54’(図30を参照)を含むことが好ましい。このような方法で、コンテナ202はヒトドナー源までの追跡可能なリンクを維持する。
【0108】
第2のコンテナ204は、上記のように湿潤室14を備え、凍結乾燥材料16のための再構成液18を収容するサイズおよび構成にする。上記のように、再構成材18は、例えば滅菌水を含むことができ、望ましければ滅菌水を脱気処理してもよい。
【0109】
使用時(図31を参照)、輸血用の血漿を提供するために、移送セット206を用いて湿潤室14内の滅菌水を乾燥室12内の凍結乾燥血漿に混合する。血漿の再構成および投与は、現場でシステム200を用いて行う。
【0110】
上記のように第1のコンテナ202は、再構成前の凍結乾燥材料16を真空封止された無菌かつ無湿の低酸素濃度環境に維持する形状および構成にし、好ましくは長期貯蔵、例えば室温での少なくとも2年間の貯蔵、を可能にする。この環境に貯蔵された凍結乾燥材料16は、輸血用のその所望品質を保持する。
【0111】
さらに上記のように、第2のコンテナ204は、凍結乾燥材料16との混合前の再構成液18を無菌環境に低気体濃度で維持する形状および構成にし、好ましくは長期貯蔵、例えば室温での少なくとも2年間の貯蔵、を可能にする。
【0112】
コンテナ202および204の各容積は、第1の室12内の凍結乾燥材料16の体積よりほぼ50%大きいことが好ましい。これにより、以下に詳細に説明するように第1のコンテナ202または第2のコンテナ204のどちらか、または両方において凍結乾燥材料16と再構成液18とを混合するために十分な容積がコンテナ202および204内に提供される。
【0113】
コンテナ202および204は、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、または高密度ポリエチレンなどの医療グレードの不活性プラスチック材料から製造することもできる。コンテナ202および204の一方または両方は、耐久性をより高めるために、例えば通常の取り扱い中に遭遇しうる引き裂きおよび穿刺に耐えるように、複数の高分子層から成る多層ラミネートを備えることができる。
【0114】
コンテナ202および204の材料は、室12および14の内容物の目視検査を可能にするために透明にすることが望ましければ、透明になるように選択することができる。第1のコンテナ202内の材料は、金属蒸着された低気体透過性の被膜または金属ラミネートなどの気体不透過性障壁を設けるように選択することができる。この場合、第1の室12の壁は不透明でもよい。
【0115】
例えば金属蒸着された気体不透過性材料で作製された真空封止式オーバラップ20(図30に極細線で図示)で使用前のコンテナ202および204を包むこともできる。オーバラップ208は、貯蔵安定性を向上させる。移送セット206も、使用前は(図31に極細線で示されているように)滅菌オーバラップ208内に装填されることが望ましい。
【0116】
移送セット206は、プラスチック製の針または大くぎ210を各端に含む。使用時まで滅菌状態を保持するために、各針または大くぎ210の周囲に外側の剥ぎ取り式スカートまたはキャップ216を配置するか、または巻き付けることができる。
【0117】
針または大くぎ210は、使用時に各コンテナ202および204に流体連通可能に連結されているポート管214内に設けられた従来の穿孔可能な膜212を穿孔するサイズおよび構成にする。各膜212は、移送セット206のそれぞれの針または大くぎ210によって穿孔されるまで、対応するコンテナ202および204を常時封止する。針または大くぎ210によっていったん穿孔されると、ポート管214経由で流体連通される。
【0118】
ポート管214が開いたら、介護者は、図31に示すように再構成液18を第2のコンテナ204から移送して凍結乾燥材料16に接触させるために、システム200を操作し始めることができる。介護者は、一方のコンテナを選択的に圧縮し、もう一方のコンテナを圧縮しないことによって、移送セット206の両側に流体圧力差を生じさせることができる。流体は、流体圧力差に応じて、圧縮されたコンテナから圧縮されなかったコンテナに移送セット206を通って追い出され、凍結乾燥材料に混合されて凍結乾燥材料を投与用に再構成する。必要であれば室12および14間で材料を行き来させることによって凍結乾燥材料を再構成する。凍結乾燥材料が再構成されたら、投与可能になる。
【0119】
この時点において、図16を参照して上で説明した方法と同じ方法で、再構成された材料を個体の循環器系に移送するために、介護者は図31に示すように投与用継ぎ手70(第1のコンテナ202に連結された状態で図示)を該当する投与セットに連結することができる。投与用継ぎ手70は、第2のコンテナ204に、または第1および第2のコンテナ202および204の両方に、連結することもできる。
【0120】
C.再構成液の代替装填方法
図28A/Bおよび図29A/Bは、上記のように装置10または装置100に再構成液18を装填するための代替方法を示す。これらの代替方法においては、再構成液18を移送するために投与ポート68を使用する必要はなく、予備装填操作において閉止および封止を行うことができる。
【0121】
代表的な一代替実施形態において(図28A/Bを参照)、湿潤室14は2つの装填用ポート120および128を含む。使用時(図28Aを参照)、第1のポート120を、第1のインライン弁122を介して、再構成液18の供給源124に連結する。第2のポート128を、第2のインライン弁126を介して、真空供給源125に連結する。
【0122】
図28Aに示すように、第1の弁122を閉じ、第2の弁126を開く。真空を室14の内部に加える。図26Bに示すように、第1の弁122を開き、第2の弁126を閉じる。再構成液18が重力によって室14に流れ込む。装填用ポート120および128の両方を封止する。
【0123】
別の代表的代替実施形態において(図29A/Bを参照)、湿潤室14は単一の装填用ポート130を含む。使用時(図29Aを参照)、ポート130を再構成液18の供給源132と真空供給源134とに二方向弁136を介して連結する。
【0124】
図29Aに示すように、二方向弁136を操作して、液体供給源132との連通を閉じ、真空供給源134との連通を開く。真空を室14の内部に加える。図29Bに示すように、二方向弁136を操作して、液体供給源132との連通を開き、真空供給源134との連通を閉じる。再構成液18が重力によって室14に流れ込む。装填用ポート130を封止する。
【0125】
両方の構成において、投与ポート68の挿入および密封は、事前の封止操作時に行うことができる。投与ポート68は、図16に示すように、再構成された凍結乾燥材料を投与する時点まで使用されない。
【0126】
D.凍結乾燥材料の代替装填方法
一代替実施形態においては、材料16を室12内のその場で凍結乾燥することができる。この構成においては、図33に示すように、装置300は、上記のように封止壁22によって室12と室14とに仕切られる。封止壁22は、上記のように、引き紐34とタブ38とを有する隔壁26を含む。
【0127】
室12内での血漿の凍結乾燥を可能にするために、装置300は、凍結乾燥中に遭遇する低温(例えば、−33℃未満)での亀裂に耐える材料で作製する。候補材料として、ポリオレフィン材料、ポリウレタン材料、ポリウレタン、エラストマー材料、およびポリシリコーン材料が挙げられる。低温に耐えられるように処理されたポリ塩化ビニル材料も使用できる。
【0128】
装置300は、第1の室12と連通する第1および第2の無菌ポート302および304をさらに含む。第1の無菌のポート302は、使用時、液状血漿を凍結乾燥のために室12に移送する。第1のポート302は、穿孔可能な膜または隔壁314によって常時閉じられていることが望ましい。第2の無菌のポート304は、気体透過性膜316などの気体透過性膜によって常時閉じられている。使用時、気体透過性膜316は、凍結乾燥工程中および凍結乾燥工程後に室12への蒸気および気体の出入りを可能にするが、室12からの液体の流出を防止する。気体透過性膜316は、例えばナイロン材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料、またはポリプロピレン材料を備えることができる。
【0129】
装置300は、第2の室14に連通する無菌ポート306をさらに含む。ポート306は、使用時、上記のように(例えば、図29Aおよび図29Bを参照)再構成用流体を第2の室14に移送する。第1のポート302を穿孔可能な膜または隔壁314によって常時閉じることもできる。
【0130】
第2の室14に連通する投与ポート310もヒートシールする。投与ポート310は、使用時、上記のように、再構成された材料を個体に投与するために第2の室14に移送する。
【0131】
図34に示すように、第1のポート302は、液状血漿312の供給源に連結された管Tに取り付けられるサイズおよび構成にする。図示の実施形態において、管Tは、ポート302から室12への流体連通を開始するために、ポート302内の膜314を穿孔する大くぎまたは針318を含む。
【0132】
所望量の液状血漿を供給源312から管Tを通って第1の室12に移送する。第1の室12への液状血漿の移送後、管Tを取り外し、ポート302を密封する。この処理段階において、第2の室14は、図34に示すように空のままである。
【0133】
原血漿と室12内で凍結乾燥される材料16との間に追跡可能な直接的なリンクを維持するために、装置300は、凍結乾燥時に血漿袋312に付けられているバーコードおよびタグ54を複製するか、または他の方法でこのバーコードおよびタグ54にリンクされた、ヒト血漿の識別(採取源、血液型、採取日など)を示すバーコードおよびタグ54’(図31を参照)を含むことが好ましい。このような方法で、装置300はヒトドナー源までの追跡可能なリンクを維持する。
【0134】
図35に示すように、各室12に液状血漿が充填された1つ以上の装置300を凍結乾燥器320内の無菌の凍結乾燥器棚面322に配置する。装填後、凍結乾燥サイクルを開始する。このサイクルは、一般にヒト血漿を−45℃近くまで冷却し、2時間から8時間かけて凍結させ、次に凍結乾燥器の凝縮器を冷却し、真空を加えることによって凍結乾燥サイクルを開始する。この結果、凍結乾燥されたヒト血漿のケーキ324が各装置300の室12内のその場で形成される(図36を参照)。
【0135】
凍結乾燥工程のための代表的なパラメータは、以前に説明されており、参照により本願明細書に組み込まれたものとする。
【0136】
凍結乾燥工程全体にわたって、ポート304内の気体透過性膜316は、凍結乾燥中に液状血漿からの昇華に伴い、気体、例えば水蒸気、の通過を可能にするが、室12からの液状血漿の流出を防止する。
【0137】
図36に示すように、凍結乾燥後、室12内に凍結乾燥ケーキ324を有する装置300を凍結乾燥器320から取り外す。
【0138】
無菌の真空をポート304経由で加えることが好ましい。100mTorr近くの圧力が達成されたら、ポート304をヒートシールして密閉する。この減圧工程により、凍結乾燥されたヒト血漿の混合および再構成を不測時でも、気泡を導入することも泡だたせることもなく、行うことができる。真空により、血漿ケーキ324は微粉状にさらに圧縮され、凍結乾燥された材料16を室12内に形成するであろう。以降の処理まで湿気および酸素を遮断するために、装置300を窒素またはアルゴン気体の覆いの下に維持することができる。
【0139】
次に(図37を参照)、例えば図29Aおよび図29Bに示す方法で、再構成液18をポート306から第2の室14に導入する。次に、ポート306を封止する。
【0140】
図38に示すように、凍結乾燥材料16および再構成液18を上記の方法で装填した後、上記のように封止壁22の領域に対応する装置300の壁にひだを寄せ、これも上記のように外側スカート40を(引き紐44およびタブ46と共に)取り付ける。図1に示すように、オーバラップ20の追加が望ましければ、そうすることもできる。
【0141】
装置300は、貯蔵、輸送、および使用の準備が整った。
【0142】
上記と同じように、液状血漿を図30に示すコンテナ202内のその場で凍結乾燥できることを理解されたい。
【0143】
V.再構成用の材料を凍結乾燥および貯蔵するための装置、システム、および方法
A.凍結乾燥および貯蔵用の多機能容器
図39Aから図39Dは、血漿などの材料の凍結乾燥、貯蔵、再構成、および投与用の代表的な実施形態の多機能装置400を示す。装置400は、装置400内で凍結乾燥される材料を受け入れるサイズおよび構成にする。装置400は、目的の現場で再構成される前の輸送、取り扱い、および貯蔵中の凍結乾燥材料のための容器としても機能するサイズおよび構成にする。装置400は、凍結乾燥材料の再構成を内部で行える容器としても機能するサイズおよび構成にする。装置400は、再構成後の凍結乾燥材料を安全かつ無菌方式で個体に送達できる容器としても機能するサイズおよび構成にする。多機能装置400を用いると、所与の材料の凍結乾燥、輸送、貯蔵、再構成、および投与を単一の容器で行うことができる。
【0144】
図39Aの分解図に示すように、装置400は、それぞれ異なる機能を果たすために物理的特性がそれぞれ異なる複数の構成要素で構成された容器402を備える。図示のように、容器402は、間仕切りのない内部空間406の周囲を取り囲む側壁構成要素404を含む。容器402は、側壁構成要素404に被さって内部空間406を取り囲む第1および第2の端部構成要素408および410をさらに含む。容器402は、側壁構成要素404とこれに被さる第1および第2の端部構成要素408および410とによって囲まれた内部空間406への流体連通を可能にするために、側壁構成要素404の領域を貫通する第1、第2、および第3のポート構成要素412、414、および416をさらに含む。
【0145】
これらの各種構成要素を1つに組み立てると(図39Bから図39Cに示すように)、所与の材料を凍結乾燥し、次に輸送および貯蔵し、次に再構成し、次に投与することができるユニット式多機能容器402が形成される。
【0146】
図39Aから図39Dに示すように、第1および第2の端部構成要素408および410は、容器402の端部用の軽量かつ耐久性のある構造骨格を形成するために選択された硬質または半硬質材料から成るフレームを備える。第1および第2の端部構成要素408および410用の材料として、例えば硬質ポリ塩化ビニル、またはポリエチレン、またはポリプロピレン、または高密度ポリエチレンを挙げることができる。この材料は、不活性であり、かつ動物の組織および体液との接触に十分な医療グレードであることが望ましい。第1および第2の端部構成要素408および410によって画定されるフレームは、例えば所望の形状およびサイズに成形することができる。
【0147】
第1および第2の端部構成要素408および410によって画定されるフレームは、容器402の形状を画定して維持するほか、全体的な構造的支持をもたらし、容器402の他の構成要素を取り付けるための場所を提供する。第1および第2の端部構成要素408および410によって画定されたフレームは、凍結乾燥中およびその後の取り扱い中に容器402に加わる圧力条件および他の力に耐える、容器402を一体化する構造要素をもたらす。
【0148】
第1および第2の端部構成要素408および410によって画定されたフレームは、パネル材408’および410’をそれぞれ支持する。図示の実施形態において、パネル材408’および410’は、対応する端部構成要素408および410にわたって水平に延在する。パネル材408’および410’の周縁を、端部構成要素408および410によって画定されたフレームに、例えば接着剤またはヒートシール手法によって、封着する。
【0149】
パネルはそれぞれ果たす機能が異なるので、パネル用に選択される材料408’および410’はそれぞれ異なる。この技術的特徴について、以下に詳細に説明する。
【0150】
第1および第2の端部構成要素408および410によって画定されたフレームに側壁構成要素404を吊るし付ける。側壁構成要素404は、端部構成要素408および410の側縁間に縦方向に延在する。側壁構成要素404の周縁を、端部構成要素408および410に、例えば接着剤またはヒートシール手法によって、封着する。
【0151】
側壁構成要素404と第1および第2の端部構成要素408および410とは、密閉された完全性を内部空間406にもたらす。
【0152】
側壁構成要素404は、気体不透過性の可撓性材料を備える。この材料は、不活性であり、かつ動物の組織および体液との接触に十分な医療グレードであることがさらに望ましい。側壁構成要素404用の材料は、例えば軟質ポリ塩化ビニル、またはポリエチレン膜、またはポリプロピレン膜、または高密度ポリエチレン膜を備えることができる。側壁構成要素404は、図39Aに示すように切れ目のない可撓性材料の膜を備えることも、あるいは、複数のより短い長さの可撓性膜材料を互いに封着して備えることもできる。
【0153】
側壁構成要素404の可撓性により、凍結乾燥中およびその後の取り扱い中に遭遇する圧力条件に応じた容器402の伸縮および屈曲が可能になる。側壁構成要素404の材料は、凍結乾燥中およびその後の容器402の取り扱い中の引き裂きまたは穿刺にも耐えられることが望ましい。側壁構成要素404の材料は透明であり、これによって使用者が、内部空間406と周囲環境との間に気体を透過させずに、容器402の内容物を視覚的に観察および点検できることが望ましい。
【0154】
第1の端部構成要素408の材料408’は、側壁構成要素404の機能を補完するために、側壁構成要素と同様に気体不透過性であるように選択される。材料408’は、さらに透明であるように選択され、これによって内部空間406の視認に寄与することが望ましい。第1の端部構成要素408の材料408’は、要望に応じて可撓性にも硬質にもできる。
【0155】
第1の端部構成要素408の材料408’の全体を透明にする必要はないことを理解されたい。材料408’の一部の領域を内部空間406を視認するに十分な透明領域にし、残りの部分を気体不透過性で不透明にすることができる。
【0156】
側壁構成要素404用の材料と同様に、第1の端部構成要素408用の材料408’は、不活性であり、かつ動物の組織および体液との接触に十分な医療グレードであることが望ましい。第1の端部壁構成要素408用の材料408’は、例えば軟質ポリ塩化ビニル膜、またはポリエチレン膜、またはポリプロピレン膜、または高密度ポリエチレン膜を備えることができる。
【0157】
第2の端部構成要素410が果たす機能は第1の端部構成要素408とは異なるので、第2の端部構成要素410材料410’は、側壁構成要素404および第1の端部構成要素408の物理的特性とは異なる物理的特性を少なくとも部分的に有することが望ましい。より具体的には、第2の端部構成要素410の材料410’は、気体透過性、例えば疎水性、であるように選択される。気体透過性材料410’は、凍結乾燥工程中または凍結乾燥工程後に内部空間406への蒸気および気体の入出を可能にするが、疎水性であると、内部空間406への液体の入出を妨げる。気体透過性材料410’は、例えばナイロン膜材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜材料、または他のフッ素重合体膜材料、ポリプロピレン膜材料、またはポリウレタン膜材料を備えることができる。
【0158】
第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’が存在することによって、凍結乾燥工程中、内部空間406内の材料から水蒸気を昇華させることができる。第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’が存在することによって、材料の長期貯蔵を支える保護雰囲気を容器402内にもたらすために凍結乾燥工程後に内部空間406への不活性気体の導入が望ましければ、そうすることもできる。この技術的特徴について、以下に詳細に説明する。
【0159】
第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’の表面積は、凍結乾燥工程中の昇華速度に影響しうる。すなわち、表面積が大きいほど、昇華速度が増す。図39Aから図39Dにおいて、第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’は、端部構成要素410の全体に被さる。あるいは、図46および図47に示す実施形態に関して以下に説明するように、第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’は、端部構成要素410のより小さい領域を占め、望ましくは透明にすることができ、第2の端部構成要素410の残りの部分を気体不透過性にすることができる。
【0160】
第1、第2、および第3のポート構成要素412、414、および416は、側壁構成要素404の領域内に封入される。ポート412、414、および416は、側壁構成要素404の隣接材料に、例えば熱または接着材によって、封着された医療グレードの、例えば押し出しまたは成形された、プラスチック管を備える。ポート412、414、および416は、上記のように、側壁構成要素404とこれに被さった第1および第2の端部構成要素とによって形成された内部空間406内への流体連通をもたらす。
【0161】
各ポート構成要素412、414、および416は、従来の隔壁または脆い膜アセンブリ、あるいは従来のねじ固締式ルアー継ぎ手によって、最初に封止されることが望ましい。各ポート構成要素412、414、および416は、以下に詳細に説明するように、内部空間406への材料の移入および移出を可能にするために移送管に連結されるサイズおよび構成にする。
【0162】
例えば、代表的な一構成において、第1のポート構成要素412は、使用時に、容器402内のその場で凍結乾燥させる材料を液状で内部空間406に導入できるサイズおよび構成にすることができる。第2のポート構成要素414は、使用時に、凍結乾燥材料と混合し再構成させる再構成液を内部空間406に導入できるサイズおよび構成にすることができる。第3のポート構成要素416は、使用時に、再構成された材料を内部空間406から移送できるサイズおよび構成にすることができる。これらの目的のためのポート構成要素の使用方法について、以下に詳細に説明する。
【0163】
図示の実施形態において、第1のポート構成要素412は、第2および第3のポート構成要素414および416とは異なる側壁領域を占める。この分離によって、凍結乾燥機能専用のポート構成要素412は、再構成および投与機能専用のポート構成要素414および416から隔離される。
【0164】
図39Dに最もよく示されているように、少なくとも第1のポート構成要素412は、側壁構成要素404に対して直角以外の角度に向けられることが望ましい。より具体的には、ポート構成要素412を第1の端部構成要素408から離れる方向に傾斜させ、第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’の面より上方の高重力位置にする。この向きにすることによって、ポート構成要素412から内部空間406への液状材料の導入中、第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’の濡れが最小限に抑えられる。第2の端部構成要素410の湿った材料410’は凍結乾燥工程によって最終的に乾くが、それにも拘らず、昇華速度を最大化するために、まず第一に濡れを防止することが望ましい。
【0165】
凍結乾燥工程中、容器402は、凍結乾燥機内の棚に、図39Dに示す(図52にも示す)向きになっている。この向きであると、第1の端部構成要素408の気体不透過性材料408’は、棚に向いている。第1の端部構成要素408によって画定されたフレームは、凍結乾燥中の液状材料を支持する安定した型フレームを提供し、容器402をその望ましい向きに直立に保持する。
【0166】
その望ましい直立の向きにおいて、第2の端部構成要素410の気体透過性気体透過性材料410’は凍結乾燥環境内で上向きになる。この向きにおいて、乾燥中に昇華した水蒸気は、材料から上方に第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’を通って逃げる。
【0167】
凍結乾燥工程前、中、および後の容器の402の使用方法の具体的詳細について、以下に詳細に説明する。
【0168】
B.凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ
さらに以下に詳細に説明するように、凍結乾燥工程の完了後、乾燥工程中に存在していた真空状態を窒素またはアルゴンなどの無酸素、高純度不活性気体雰囲気にさらすことが望ましければ、そうすることもできる。無酸素不活性気体は、第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’を通って内部空間406に進入し、湿気および酸素を排除する。
【0169】
この構成においては、(凍結乾燥材料を収容している)容器402が無酸素不活性気体の覆いの下に維持されている間に、図40に示すように、容器402を真空封止式の透明な蒸気バリヤまたはオーバラップ418内に配置する。オーバラップ418は気体不透過性材料で作製し、第1の端部構成要素408に関して上で説明したように、望ましくは可撓性の、例えば軟質ポリ塩化ビニル膜、またはポリエチレン膜、またはポリプロピレン膜、または高密度ポリエチレン膜にする。このような材料を金属蒸着された低気体透過性の被膜または金属ラミネートと組み合わせて用いることもできる。蒸気バリヤまたはオーバラップ418は、輸送および貯蔵中、無酸素気体環境を容器402内に閉じ込める。
【0170】
容器402およびオーバラップ418は、凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ420を含む。オーバラップ418によって閉じ込められた無酸素不活性気体の存在下で湿気および酸素を排除することによって、その後の輸送および貯蔵中、容器402内に収容された凍結乾燥材料の劣化が防止される。
【0171】
凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ420を、図40および図41Aに示すように外側の硬質コンテナまたは缶422の中に配置することによって、輸送および貯蔵中さらに保護することができる。外側コンテナ422は、例えば金属材料または耐衝撃性プラスチック材料で構成することもできる。外側コンテナ422は、その後の取り扱いおよび貯蔵中、オーバラップ418および容器402の引き裂き、穿刺、または圧潰に対してさらなる保護を提供する。図41Bに示すように、外側コンテナ422は、凍結乾燥材料の容器402と共に、再構成液が充填された容器と、さらには付属の再構成および投与セットとを保持するために追加の区画を含むことが望ましければ、そうすることもできる。
【0172】
図示の(図41Aに示すような)実施形態において、外側コンテナ422は、コンテナ422を閉じる、望ましくはさらに密閉する、蓋424を含む。蓋424は、使用時に容器402およびオーバラップ418にアクセスできるように取り外すことができる。
【0173】
1つ以上の完全性マーカ要素426を(図42および図43に示すように)オーバラップ418の内部またはその内面に配置することが望ましければ、そうすることもできる。完全性マーカ要素426は、酸素および/または湿気、またはこれらの組み合わせ、および/または他の事前に選択された凍結乾燥材料の完全性または有効性に有害な、または有害である可能性のある状態、の存在に敏感な材料を担持する。例えば、この感知材料は、所定の閾値レベルの酸素および/または湿気、またはこれらの組み合わせ、がオーバラップ418内に存在すると、これをオーバラップ418を通して視覚的に示すために変色することができる。マーカ426は、凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ420内の再構成前の凍結乾燥材料の完全性および有効性の視覚的表示をさらにもたらす。
【0174】
D.ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ
図42および図43は、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428の代表的な一実施形態を示す。この代表的な実施形態において、容器402は、上記および図39Aから図39Dに示すように、枢動自在に取り付けられた閉鎖カバー430をさらに含む。閉鎖カバー430は、気体不透過性材料、例えばポリ塩化ビニル、またはポリエチレン、またはポリプロピレン、または高密度ポリエチレン、から作製する。このような材料を金属蒸着された低気体透過性被膜または金属ラミネートと組み合わせて用いることもできる。
【0175】
図示の実施形態においては、閉鎖カバー430をほぼ硬質の材料から作製する。この構成において、第2の端部構成要素410によって画定されたフレーム上のヒンジアセンブリ432は、図42に示すような開放状態と図43に示すような閉鎖状態との間で動くように閉鎖カバー430を容器402上に結合する。
【0176】
開放状態(図42に図示)において、閉鎖カバー430は、第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’から離れるため、上記の目的のために第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’を通る気体の透過を無制限に許容する。
【0177】
閉鎖状態(図43に図示)において、閉鎖カバー430は第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’の全体を覆うため、気体透過性材料410’を通る気体の透過を実質的に阻止する。
【0178】
閉鎖カバー430の縁端部および側端部構成要素410によって画定されたフレームの縁端部は、閉鎖カバー430が閉鎖状態のときに、例えば締り嵌めによって、および/またはガスケットアセンブリの使用によって、第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’の周囲全体に気体不透過性の封止アセンブリを形成するサイズおよび構成にすることが望ましい。蒸気バリヤオーバラップを使用する場合は、封止アセンブリは、「気密」または無菌である必要はないが、代わりに、凍結乾燥器からの取り出しから蒸気バリヤオーバラップの追加までの期間中の取り扱いを可能にするために十分な気体保持能力を提供する必要がある。
【0179】
閉鎖カバー430が閉鎖状態のとき、閉鎖カバー430および第2の端部構成要素410上のラッチアセンブリ434がロックを形成し、偶発的な閉鎖カバー430の開放を阻止することが望ましい。
【0180】
あるいは、閉鎖カバー430は、第2の端部構成要素410によって画定されたフレームに取り付けられて第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’から離れる方向に常時巻かれているか折り畳まれている(すなわち、開放状態)高可撓性材料を備えることができる。この構成においては、高可撓性閉鎖カバー430を巻き出すか広げて、第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’の全体を覆う(すなわち、閉鎖状態にする)。次に高可撓性閉鎖カバー430の周縁を第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’に、例えばヒートシールによって、封着する。
【0181】
図43および図43に示す構成においては、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428を図42に示す向きで、すなわち第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’を上向きにし、閉鎖カバー430を開いた状態で(図52にも図示)、凍結乾燥工程にかける。この向きにおいては、乾燥中、水蒸気は容器402内の材料から上方に昇華し、第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’を通って逃げる。
【0182】
上記のように、乾燥後、図42に示す向きのユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428の上に無酸素不活性気体の覆いを導入すること望ましければ、そうすることもできる。無酸素不活性気体は、第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’を通って内部空間406に進入して浸透し、上記のように内部空間406内の湿気および酸素を排除する。
【0183】
この構成においては、(凍結乾燥材料を収容している)ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428が無酸素不活性気体の覆いの下に維持されている間に、閉鎖カバー430をその閉鎖状態に配置し(図54を参照)、ラッチアセンブリ434を、図43に示すように係合させる。閉鎖カバー430は、その後の輸送および貯蔵中、無酸素気体環境をユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428内に閉じ込める。上記のように、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428内に閉じ込められた無酸素不活性気体の存在下で湿気および酸素が排除されることによって、その後の輸送および貯蔵中、容器402内の凍結乾燥材料の劣化が防止される。
【0184】
図44および図45に示すように、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428を、上記のように蓋424付きの、例えば金属製または耐衝撃性プラスチック材料製の外側硬質コンテナまたは缶422の内部に配置することができる。外側コンテナ422は、その後の取り扱いおよび貯蔵中、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428の引き裂き、穿刺、または圧潰に対してさらなる保護をもたらす。先に説明したように、外側コンテナ422は、再構成液を収容する容器と共に、付属の再構成および投与セットを保持するための独立区画を1つ以上含むことが望ましければ、そうすることもできる。
【0185】
図43に示すユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428を外側の硬質コンテナ内に配置する前に、図40に示す種類の真空封止式の透明な気体不透過性蒸気バリヤまたはオーバラップ418の内部にさらに配置することが望ましければ、そうすることもできる。任意使用のオーバラップ418は、図43に極細線で示されている。
【0186】
図46および図47は、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428の一代替実施形態を示す。この代表的な実施形態において、上記および図39Aから図39Dに示すような容器402は、第2の端部構成要素410の領域全体には延在しない気体透過性材料436の領域を含む。この構成において、第2の端部構成要素410の残りの領域438は気体不透過性材料を備える。この例については既に説明した。
【0187】
図46に示すように、気体透過性材料436の領域は、フレーム440によって支持され、そこに封着される。フレーム440自体は、第2の端部構成要素410に接合される。この封着は、例えば接着剤または熱によって、行うことができる。
【0188】
図46に示すように、フレーム440は、第2の端部構成要素410の残りの部分438の面より僅かに上方に隆起している。以下に説明するように、例えば閉鎖カバー430の閉鎖時に第2の端部構成要素410に対してフレーム440の内方への屈曲を抑えるために、支持棒442がフレーム440から容器402内部に延在する。このような条件下でフレーム440が初期屈曲量だけ内方に屈曲すると、支持棒442が移動して第1の端部構成要素408に接触し、これによりさらなる内方への屈曲が阻止される。
【0189】
この構成において、フレーム440は、枢動可能に取り付けられた閉鎖カバー430を担持する。閉鎖カバー430は、気体不透過性材料、例えばポリ塩化ビニル、またはポリエチレン、またはポリプロピレン、または高密度ポリエチレン、から作製する。このような材料を金属蒸着された低気体透過性被膜または金属ラミネートと組み合わせて用いることもできる。
【0190】
図示の実施形態においては、閉鎖カバー430をほぼ硬質の材料から作製する。この構成において、フレーム440上のヒンジアセンブリ432は、図46に示すような開放状態と図43に示すような閉鎖状態との間で動くように閉鎖カバー430を結合する。
【0191】
開放状態(図46に図示)において、閉鎖カバー430は、フレーム440によって担持された気体透過性材料436の領域から離れるため、凍結乾燥工程中および凍結乾燥工程後に、上記の目的のために気体透過性材料436の領域を通る気体の透過を無制限に許容する。
【0192】
閉鎖状態(図47に図示)において、閉鎖カバー430は、フレーム440によって担持された気体透過性材料436の領域全体を覆うため、気体透過性材料436を通る気体の透過を実質的に阻止する。
【0193】
閉鎖カバー430の縁端部とフレーム440の縁端部とは、閉鎖カバー430が閉鎖状態のときに、フレーム440の周囲全体に気体不透過性の封止部を、例えば締り嵌めによって、および/またはガスケットアセンブリの使用によって、形成するサイズおよび構成にすることが望ましい。蒸気バリヤオーバラップを使用する場合は、密封材は、「気密」または無菌である必要はないが、代わりに、凍結乾燥器からの取り出しから蒸気バリヤオーバラップの追加までの期間中の取り扱いを可能にするために十分な気体保持能力を提供する必要がある。
【0194】
閉鎖カバー430が閉鎖状態のとき、閉鎖カバー430上およびフレーム440上のラッチアセンブリ434がロックを形成し、偶発的な閉鎖カバー430の開放を阻止することが望ましい。
【0195】
あるいは、閉鎖カバー430は、フレーム440に取り付けられてフレーム440上の第2の気体透過性材料410から離れる方向に常時巻かれているか折り畳まれている(すなわち、開放状態の)高可撓性材料を備えることができる。この構成においては、高可撓性閉鎖カバー430を巻き出すか広げて、フレーム440の第2の気体透過性端部構成要素410の全体を覆う(すなわち、閉鎖状態にする)。次に、第2の気体透過性端部構成要素410を覆うために、高可撓性閉鎖カバー430の周縁をフレーム440に、例えばヒートシールによって、封着する。
【0196】
図46および図47に示す構成において、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428を、図46に示す向きで、すなわち、フレーム440によって担持された気体透過性材料436の領域を上向きにし、閉鎖カバー430を開いた状態で、凍結乾燥工程にかける。この向きであると、乾燥中、水蒸気は材料から昇華し、フレーム440によって担持された気体透過性材料436の領域を通って上方に逃げる。上記のように、乾燥後、図46に示す向きで保持されているユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428の上に無酸素不活性気体の覆いを導入する。無酸素不活性気体は、上記のように、フレーム440によって担持されている気体透過性材料を通って内部空間406に進入して浸透し、内部空間406内の湿気および酸素を排除する。
【0197】
この構成においては、(凍結乾燥材料を収容している)ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428が無酸素不活性気体の覆いの下に維持されている間に、図47に示すように、閉鎖カバー430をその閉鎖状態に配置し、ラッチアセンブリ434を係合させる。閉鎖カバー430は、その後の輸送および貯蔵中、無酸素気体環境をユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428内に閉じ込める。上記のように、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428内に閉じ込められた無酸素不活性気体の存在下で湿気および酸素が排除されることによって、その後の輸送および貯蔵中、容器402内の凍結乾燥材料の劣化が防止される。
【0198】
図48および図49に示すように、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428を、上記のように、例えば金属製または耐衝撃性プラスチック材料製の、蓋424付きの外側硬質コンテナまたは缶422内に配置することができる。外側コンテナ422は、その後の取り扱いおよび貯蔵中、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428の引き裂き、穿刺、または圧潰に対してさらなる保護をもたらす。
【0199】
図43に示すユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428を、外側の硬質コンテナ内に配置する前に、図40に示す種類の真空封止式の透明な気体不透過性オーバラップ418内にさらに配置することが望ましければ、そうすることもできる。任意使用のオーバラップ418は、図47に極細線で示されている。
【0200】
E.ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリの使用
1.凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ内での材料の凍結乾燥
代表的な一実施形態において、凍結乾燥材料は血漿を含む。したがって、図42および図43に開示したような代表的な凍結乾燥材料貯蔵アセンブリに装填するための凍結乾燥血漿を準備する一例示的方法を以下に説明する。
【0201】
血漿の準備および製造は、無菌のクリーンルーム環境で行う。製造および準備手順は、例えば、ヒト血漿の無菌処理用のISOクラス3のバイオコンテインメントフードを有するISOクラス5のクリーンルーム(またはこれ以上)内で行うことができる。凍結乾燥は、CIP/SIP凍結乾燥器内で無菌で行うことができる。
【0202】
ヒト血漿は、単一のドナーから従来の方法で採取する。すなわち、例えば、ドナーからの1単位の全血を閉鎖系採取袋に採取し、次に血漿を遠心分離にかけ、一体に連結された移送袋444(1単位分の血漿約250mlを収容)に血漿を採取する。バイオコンテインメントフード内で各単位(移送袋444に収容)を個別に扱う。単一のドナー単位の取り扱いと別のドナーからの別のドナー単位の取り扱いとの間には、バイオコンテインメントフード内の切り替えのためのラインクリアランスプロトコルを設けるか、あるいはフロー設計および切り替えのための検証工程を他の方法で設けることになる。このプロトコルは、前の取り扱いに関係する全てのツールおよび材料の除去を扱う。このプロトコルは、前の処理の残滓がその場に残っていないことを保証するために、装填作業域および作業域の器具類(釣り合い錘)の完璧な洗い流しも扱う。単一ドナーのサンプルの識別は、その単一ドナーのヒト血漿コンテナのバーコードおよび他のタグによって維持する。
【0203】
滅菌済みのパイロジェンフリーなアセンブリを提供するために、凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428を前処理プロトコルの管理下におく。約250ml分の血漿を凍結乾燥するためのアセンブリ420の代表的サイズは、約10cm×12cm×2cm(長さ×幅×深さ)である。
【0204】
図50に示すように、250mlのヒト血漿単位を移送袋444から凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428に計量分配する。移送袋444に一体に連結された医療グレードの可撓管446を第1のポート構成要素412に無菌方式で、例えば血液成分処理において周知の無菌連結手法を用いて、あるいは無菌条件下で大くぎまたはルアー継ぎ手結合を用いて、結合する。血漿を移送袋444から管446および第1のポート構成要素412を介して凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428に自然流下によって移送することができる。
【0205】
図51に示すように、次に移送管446を上記の条件下で、または血液成分処理において周知の無菌の断裂シールを、例えばHematron(登録商標)Dielectric Sealerを用いて、提供することによって、無菌方式で切り離す。
【0206】
バーコードおよびタグ448を凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428に貼り付ける。バーコードおよびタグ448は、移送袋444に担持されているヒト血漿の識別450(採取源、血液型、採取日など)を反映する。
【0207】
図52に示すように、次に、(液状血漿を収容している)凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428を凍結乾燥器452内部の無菌の凍結乾燥器の棚面454に配置する。凍結乾燥に使用される凍結乾燥器452は、認証された定置洗浄、定置滅菌の凍結乾燥器であることが望ましい。
【0208】
図52に示すように、凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428の向きを、第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’を上に向け、閉鎖カバー430を開いた状態にする。
【0209】
装填後、凍結乾燥サイクル(プロセッサ456によって制御)を開始する。このサイクルは、一般にヒト血漿を−45℃近くまで冷却し、2時間から8時間かけて凍結させ、次に凍結乾燥器の凝縮器を冷却し、真空を加えて凍結乾燥サイクルを開始する。凍結乾燥されたヒト血漿ケーキが凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428内で形成される。
【0210】
一次凍結乾燥サイクルにおいて、ヒト血漿ケーキの温度は、その完全性を維持するために、−33℃(崩壊温度)未満に維持する必要がある。ケーキの含水率が重量比(w/w)で5%未満であるときは、含水率をさらに下げるために二次乾燥サイクル(高温)を用いることが望ましければ、そうすることもできる。一般に、一次および二次凍結乾燥サイクルを組み合わせると、少なくとも72時間かかる。上記のように、図52に示す向きでは、乾燥サイクル中、昇華する水蒸気は凍結血漿材料から第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’を通って、開放状態の閉鎖カバー430によって制限されずに、上方に逃げる。
【0211】
可撓性の側壁構成要素404は、凍結乾燥サイクル中に遭遇する圧力条件による容器の屈曲を可能にする。
【0212】
凍結乾燥サイクルの終わりに(図53を参照)、凍結乾燥器の真空状態を窒素またはアルゴンなどの無酸素、高純度不活性気体の雰囲気458に(制御装置456の動作によって)さらす。上記のように、無酸素不活性気体の覆いは、開放状態の閉鎖カバー430によって制限されずに、第2の端部構成要素410の気体透過性材料410’を通って、上記のように凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428の内部空間に進入して浸透し、内部空間内の湿気および酸素を排除する。
【0213】
図54に示すように、(凍結乾燥材料を収容している)ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428が無酸素不活性気体の覆い下に維持されている間に、閉鎖カバー430をその閉鎖状態に配置し、ラッチアセンブリ434を係合させる。
【0214】
図52および図53に示す代表的な一実施形態において、凍結乾燥機452は、図54に示すように閉鎖カバー430を手で閉じることができるように、凍結乾燥機452内への無菌アクセスを可能にする手段460を含む。あるいは、手段460は、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428の閉鎖カバー430を閉じるために遠隔操作される機械式またはロボット手段を凍結乾燥器内に備えることができる。
【0215】
あるいは、無酸素不活性気体の覆いの下に維持された収納環境を有する無菌の収納領域または(例えば、図17Dに全体を示すような)カートに凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428を取り出すことによって、湿気および酸素を排除することができる。制御された不活性気体の覆いの下で凍結乾燥器の内容物を移送できるように、収納領域またはカートを凍結乾燥器の前面に連結することもできる。無菌のコンテナ領域またはカートによってもたらされた環境の内部で、凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428の閉鎖カバー430を閉じることができる。
【0216】
一体型閉鎖カバー430を提供する代わりに、または一体型閉鎖カバー430と組み合わせる代わりに、図40に示すように、真空封止される気体不透過性材料製の透明オーバラップ418を無酸素不活性気体環境の存在下で容器402に被せることもできることを理解されたい。
【0217】
その後の輸送および貯蔵中、閉鎖カバー430および/またはオーバラップ418は、無酸素不活性気体環境をユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428(またはオーバラップ418付きの容器402)内に閉じ込める。上記のように、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428内に閉じ込められた無酸素不活性気体の存在下で湿気および酸素が排除されることによって、その後の輸送および貯蔵中、容器402内の凍結乾燥材料の劣化が防止される。
【0218】
図55および図56に示すように、閉鎖されたユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428を(オーバラップ418付きで、またはなしで)、上記のように、例えば金属製または耐衝撃性プラスチック材料製の、蓋424付きの外側硬質コンテナまたは缶422の内部に配置することができる。外側コンテナ422は、その後の取り扱いおよび貯蔵中、ユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428の引き裂き、穿刺、または圧潰に対してさらなる保護をもたらす。
【0219】
2.凍結乾燥血漿の再構成およびユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリからの投与
使用時、遠隔位置において(図57を参照)、凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428(または図40および図41に示すようにオーバラップ418付きの容器402)を外側コンテナ422から取り出す。オーバラップ418(ある場合)の除去後、移送セット462を再構成用の滅菌液(例えば、水)のコンテナ464と、対応するユニット式凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428(または容器402)の第2のポート構成要素414とに連結する。移送セット462は、例えば図30に示すように、連結用のプラスチック針または大くぎを各端に含むことができる。移送セット462は、(図57に示すように)長く、撓みやすいものでもよい。あるいは、収納スペースを減らし、取り扱いを容易にするために移送セット462を短く硬質にすることもできる。
【0220】
介護者は、次に、図57および図59に示すように、再構成液をコンテナ464から移送して凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428内の凍結乾燥材料と接触させるために、再構成液のコンテナ464と一緒に、凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428(または容器402)を操作し始めることができる。介護者は、落差を選択的に確立することによって、移送セット462の両端に流体圧力差を生じさせることができる。個体への投与に備えて凍結乾燥材料を再構成するために必要であれば、流体を移送セット462を通して凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428(または容器402)と再構成液206のコンテナ464との間で流体圧力差に応じて行き来させることができる。
【0221】
図58に示す実施形態においては、再構成された材料を凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428(または容器402)から投与する。この構成においては、混合に用いた投与セット462を第2のポート構成要素414から外し、第2のポート構成要素414を閉じる(上記のように、第2のポート構成要素414は、大くぎまたは針の除去後に自動的に閉じる隔壁を含むことができる)。この時点において、図58に示すように、再構成された材料を個体の循環器系に移送するために、介護者は、図58に示すように第3のポート構成要素416を投与セット466に連結する。投与セット466は、図16または図32を参照して上で説明した方法と同じ方法で、静脈への挿入用の静脈針468を含む。再構成された材料を個体の循環器系に投与するときに、可撓性の側壁構成要素404は容器402の圧潰を可能にする。
【0222】
図60に示す実施形態においては、再構成された材料は、最初に再構成液を収容していたコンテナ464から投与される。この構成においては、混合後、再構成された材料を凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428(または容器402)から再構成液コンテナ464に最終的に移送する。この構成においては、混合に使用した投与セット462を再構成液コンテナ464から外し、対応するポート470を閉じる。この時点において、介護者は、図60に示すように再構成された材料を個体の循環器系に移送するために、図60に示すように再構成液コンテナ464の別のポート472を投与セット466に連結する。投与セット466は、図16または図32を参照して上で説明した方法と同じ方法で、静脈への挿入用の静脈針468を含む。
【0223】
VII.結び
上記は、本発明の原理の例示として見なされるものとする。さらに、多くの修正および変更が当業者には容易に思いつかれるはずであるので、本発明が図示および説明したとおりの構成および操作に限定されることは望ましくない。好適な実施形態を説明してきたが、特許請求の範囲によって定義される本発明から逸脱することなく詳細を変更することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥した凍結乾燥材料と、
前記凍結乾燥材料のための再構成液と、
可撓性コンテナであって、前記凍結乾燥材料を乾燥状態で保持するサイズおよび構成である第1の室と、前記再構成液を湿潤状態で保持するサイズおよび構成である第2の室と、前記凍結乾燥材料と前記再構成液との間の接触を防止するために前記第1の室と前記第2の室との間に障壁を形成するサイズおよび構成である、前記可撓性コンテナ内の封止壁と、前記第1および第2の室間の流体連通を確立するために前記封止壁の領域を開くように作動する、前記封止壁内の少なくとも1つの弁アセンブリとを含む可撓性コンテナと、
を備える装置。
【請求項2】
前記弁アセンブリは、前記弁を横切って加わる圧力差に応じて、前記第1および第2の室間の流体連通を常時阻止する常閉状態と前記第1および第2の室間の流体連通を確立する開放状態との間で作動する感圧弁を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記感圧弁がフラップ弁を備える、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記弁アセンブリは、常閉隔壁を含み、前記常閉隔壁は、前記第1および第2の室間の閉鎖を維持する常閉状態と、前記隔壁の少なくとも部分的な引き裂きに応じて前記第1および第2の室間の流体連通を確立する開放状態とに作動する、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記隔壁は、前記隔壁を少なくとも部分的に引き裂くために牽引部材に結合された引き裂き部材を含む、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記弁アセンブリは、前記弁を横切って加わる圧力差に応じて、前記第1および第2の室間の流体連通を通常阻止する常閉状態と、前記第1および第2の室間の流体連通を確立する開放状態との間で作動する感圧弁と、前記弁に対応付けられた常閉隔壁であって、前記弁とは無関係に、前記第1および第2の室との間の閉鎖を維持する常閉状態と、前記隔壁の少なくとも部分的な引き裂きと前記弁の両側に加わった圧力差とに応じて、前記第1および第2の室間の流体連通を確立する開放状態とに作動する常閉隔壁とを含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記感圧弁がフラップ弁を備える、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記隔壁は、前記隔壁を少なくとも部分的に引き裂くために牽引部材に結合された引き裂き部材を含む、
請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記封止壁の領域において前記コンテナの外壁に被さる外側スカートをさらに含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記外側スカートは、前記外側スカートを引き裂いて除去するために牽引部材に結合された引き裂き部材を含む、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記外側スカートが被さった前記コンテナの前記外壁の少なくとも一部が緩衝部分を含む、
請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記可撓性コンテナは、材料を前記コンテナから投与するための一体型投与ポートを含む、
請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記凍結乾燥材料は凍結乾燥されたヒト血漿を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項14】
凍結乾燥材料を乾燥状態で保持する第1の室と、前記凍結乾燥材料のための再構成液を保持する第2の室とを含む可撓性コンテナを提供するステップであって、前記可撓性コンテナは、前記凍結乾燥材料と前記再構成液との間の接触を防止する障壁を前記第1の室と前記第2の室との間に形成するサイズおよび構成である内部封止壁と、前記第1および第2の室間の流体連通を確立するために前記封止壁の領域を開く操作によって作動する前記封止壁内の少なくとも1つの弁アセンブリとを含む、ステップと、
前記領域を開くために前記弁アセンブリを操作するステップと、
前記再構成液を前記第2の室から前記弁アセンブリを通して前記第1の室に搾り出して前記凍結乾燥材料に接触させるステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記再構成液と凍結乾燥材料との混合物を前記第1および第2の室の間で連続的に搾り出すことによって前記凍結乾燥材料を再構成し、これによって再構成された製品を調製するステップをさらに含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記再構成された製品を前記複数の室の1つからレシピエントに直接投与するステップをさらに含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記凍結乾燥材料は凍結乾燥されたヒト血漿を含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項18】
凍結乾燥材料を乾燥状態で保持する第1の室と、前記凍結乾燥材料のための再構成液を保持する第2の室とを含む可撓性コンテナを提供するステップであって、前記可撓性コンテナは、前記凍結乾燥材料と前記再構成液との間の接触を防止する障壁を前記第1の室と前記第2の室との間に形成するサイズおよび構成である内部封止壁と、前記第1および第2の室間の流体連通を確立するために前記封止壁の領域を開く操作によって作動する前記封止壁内の少なくとも1つの弁アセンブリと、前記封止壁の領域において前記コンテナの外壁に被さって前記弁アセンブリの操作を阻止する外側スカートとを含む、ステップと、
操作するために前記弁アセンブリを露出するために前記外側スカートを除去するステップと、
前記領域を開くために前記弁アセンブリを操作するステップと、
前記再構成液を前記第2の室から前記弁アセンブリを通して前記第1の室に搾り出して前記凍結乾燥材料に接触させるステップと、
を含む方法。
【請求項19】
前記再構成液と凍結乾燥材料との混合物を前記第1および第2の室の間で連続的に搾り出すことによって前記凍結乾燥材料を再構成し、これによって再構成された製品を調製するステップをさらに含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記再構成された製品を前記複数の室の1つからレシピエントに直接投与するステップをさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記凍結乾燥材料は凍結乾燥されたヒト血漿を含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項22】
第1の室と、第2の室と、前記第1の室と前記第2の室との間に障壁を形成するサイズおよび構成である内部封止壁と、前記第1および第2の室間の流体連通を確立するために前記封止壁の領域を開く操作によって作動する前記封止壁内の少なくとも1つの弁アセンブリとを含む可撓性コンテナを提供するステップと、
凍結乾燥されたヒト血漿を含む凍結乾燥材料を調製するステップと、
前記凍結乾燥材料を前記コンテナの前記第1の室に配置するステップと、
前記凍結乾燥材料のための再構成液を前記コンテナの前記第2の室に配置するステップと、
を含む方法。
【請求項23】
前記領域を開くために前記弁アセンブリを操作するステップと、
前記再構成液を前記第2の室から前記弁アセンブリを通して前記第1の室に搾り出して前記凍結乾燥材料に接触させるステップと、をさらに含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記再構成液と凍結乾燥材料との混合物を前記第1および第2の室の間で連続的に搾り出すことによって前記凍結乾燥材料を再構成し、これによって再構成された製品を調製するステップをさらに含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記再構成された製品を前記複数の室の1つからレシピエントに直接投与するステップをさらに含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
構造上の強度を提供する第1のフレームを画定する硬質または半硬質材料を備える第1の端部構成要素であって、内部空間内の視認を提供するために前記フレームにわたされてその周縁が前記第1のフレームに封着された気体不透過性材料を含む第1の端部構成要素と、構造上の強度を提供する第2のフレームを画定する硬質または半硬質材料を備える第2の端部構成要素であって、前記内部空間へのもしくはそれからの気体の移送を提供するために前記フレームにわたされてその周囲が前記第2のフレームに封着された気体透過性材料を含む第2の端部構成要素と、可撓性の気体不透過性材料を備え、その周縁が前記第1および第2のフレームの側縁に封着された側壁構成要素であって、前記第1の端部構成要素、前記第2の端部構成要素および前記側壁構成要素は内部空間の周縁を画定する、側壁構成要素と、前記内部空間との流体連通をもたらす前記側壁上の少なくとも1つのポート構成要素とを備える容器と、
前記少なくとも1つのポートを通って液体として導入され、前記内部空間内のその場で凍結乾燥される材料と、
を備えるシステム。
【請求項27】
前記容器は、気体の移送のために前記第2の端部構成要素の前記気体透過性材料を露出させる開放状態と、前記気体の移送を実質的に阻止するために前記第2の端部構成要素の前記気体透過性材料を覆う閉鎖状態との間で動くように、前記第2のフレームにヒンジでつながれた閉鎖カバーをさらに含む、
請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記内部空間へのおよびそれからの気体の移送を実質的に阻止するために前記第2の端部構成要素の疎水性材料を少なくとも覆う気体不透過性オーバラップをさらに含む、
請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記内部空間との流体移送をもたらす前記側壁構成要素上の第2のポート構成要素と、
前記凍結乾燥材料を前記内部空間内で再構成するために前記第2のポートを通して導入される再構成液と、をさらに含む、
請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記容器のための外側の硬質コンテナをさらに含む、
請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
前記第2の端部構成要素の前記気体透過性材料を通して前記内部空間に導入される無酸素不活性気体をさらに含む、
請求項26に記載のシステム。
【請求項32】
前記内部空間からの前記無酸素不活性気体の移送を実質的に阻止するために前記第2の端部構成要素の前記気体透過性材料を覆う閉鎖カバーをさらに含む、
請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記内部空間からの前記無酸素不活性気体の移送を実質的に阻止するために前記第2の端部構成要素の前記気体透過性材料を覆う気体不透過性オーバラップをさらに含む、
請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記凍結乾燥材料は凍結乾燥されたヒト血漿を含む、
請求項26に記載のシステム。
【請求項35】
構造上の強度を提供する第1のフレームを画定する硬質または半硬質材料を備える第1の端部構成要素であって、内部空間内の視認を提供するために前記フレームにわたされて、その周縁が前記第1のフレームに封着された気体不透過性材料を含む第1の端部構成要素と、構造上の強度を提供する第2のフレームを画定する硬質または半硬質材料を備える第2の端部構成要素であって、前記内部空間へのもしくはそれからの気体の移送を提供するために前記フレームにわたされて、その周縁が前記第2のフレームに封着された気体透過性材料を含む第2の端部構成要素と、可撓性の気体不透過性材料を備え、その周縁が前記第1および第2のフレームの側縁に封着された側壁構成要素であって、前記第1の端部構成要素、前記第2の端部構成要素および前記側壁構成要素は内部空間の周縁を画定する、側壁構成要素と、前記内部空間との流体連通をもたらす前記側壁上の少なくとも1つのポート構成要素とを備える容器を提供するステップと、
前記第1のポートを通して液状材料を導入するステップと、
前記液状材料を前記内部空間内のその場で凍結乾燥するステップであって、乾燥中に昇華のために前記第2の端部構成要素の前記気体透過性材料が気体の移送を提供する、ステップと、
前記凍結乾燥材料を再構成するために、前記内部空間内で前記凍結乾燥材料と混合される再構成液を前記第2のポートを介して導入するステップと、
前記還元された凍結乾燥材料を前記内部空間から前記第3のポートを通して移送するステップと、
を含む方法。
【請求項36】
前記凍結乾燥材料が存在する前記内部空間を満たすために、凍結乾燥後、無酸素不活性気体を前記第2の端部構成要素の前記気体透過性材料を通して前記内部空間に導入するステップと、
前記凍結乾燥材料が存在する前記内部空間内に前記無酸素不活性気体を閉じ込めるために、前記第2の端部構成要素の前記気体透過性材料を覆うステップと、
前記再構成液の導入前の貯蔵期間中、前記容器内に閉じ込められた前記無酸素不活性気体内に前記凍結乾燥材料を貯蔵するステップと、をさらに含む、
請求項30に記載の方法。
【請求項37】
貯蔵中、前記覆われた容器を外側コンテナ内に配置しておくステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記凍結乾燥材料が存在する前記内部空間を満たすために、凍結乾燥後、無酸素不活性気体を前記第2の端部構成要素の前記気体透過性材料を通して前記内部空間に導入するステップと、
前記凍結乾燥材料が存在する前記内部空間内に前記無酸素不活性気体を閉じ込めるために、気体不透過性材料のオーバラップで前記容器を密閉するステップと、
前記再構成液の導入前の貯蔵期間中、前記容器およびオーバラップ内に閉じ込められた前記無酸素不活性気体内に前記凍結乾燥材料を貯蔵するステップと、をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
貯蔵中、前記容器を外側コンテナ内に配置しておくステップをさらに含む、
請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記第1のポートを通して導入される前記液状材料は新鮮なヒト血漿を含む、
請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−11】
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【図12】
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【図13−14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図17E】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図29A】
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【図29B】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39A】
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【図39B】
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【図39C】
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【図39D】
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【図40】
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【図41A】
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【図41B】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【公表番号】特表2010−522176(P2010−522176A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554578(P2009−554578)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/003676
【国際公開番号】WO2008/115548
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(506211517)ヘムコン メディカル テクノロジーズ, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】