説明

凍結濃縮廃水処理装置

【課題】灌漑用水や中水などに用いることのできる再利用水を廃水から効率的に回収する凍結濃縮廃水処理装置を提供する。
【解決手段】過冷却水製造熱交換器と、該過冷却水製造熱交換器にて過冷却された廃水を搬送する過冷却廃水供給管と、該過冷却供給管から流下した過冷却廃水を受けて過冷却廃水の過冷却解除を行って氷粒を発生させる過冷却解除手段と、該過冷却解除手段の下部に設けられるとともに廃水源からの廃水が注入される製氷タンクと、該製氷タンクの上部に設けられ、前記過冷却解除手段により生じた氷粒を廃水からすくい取るスキミング手段と、該スキミング手段により分離された氷粒に同伴する廃水を氷粒から分離する分離機と、前記製氷タンク内の廃水と前記分離機にて分離された廃水とを前記過冷却水製造熱交換器へ供給する廃水循環供給管とを有してなる装置を、再利用水回収装置として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日用排水や各種下水などの非清浄水から再利用可能な水を簡易に回収することのできる凍結濃縮廃水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水は、動植物にとっての最重要資源であり、どのような地域においてもその重要性に遜色はない。しかし、その供給容易性から考えると、乾燥地帯などの利用可能な水量が極度に少ない地域では、特に水の確保が最重要課題であると言っても過言ではない。このような地域においては、特に大量に必要な灌漑用水などの確保は、大変困難であり、その確保には、様々な試みがなされている。
【0003】
まず、地下水の汲み上げにより、用水を確保することが行われている。この地下水を汲み上げて灌漑用水として用いる方法では、灌漑用水への用途であるため使用水量が多く、地下水の水位を低下させ、ひいては地下水の枯渇に至ることになる。
【0004】
その他の方法として、集中下水処理場を設け、下水を浄化して再利用水を得て、この再利用水を灌漑水に用いる試みがなされている。この方法では、集中下水処理場を建設するだけで多大なコストが必要であり、また、下水を浄化するために用いられる逆浸透膜処理の運転コストが高く、これら設備投資および運転コストをまかなうための莫大な資金が必要となる。その一方で、下水処理を放置した場合、各種廃水は垂れ流し状態となるため、水質汚染、ひいては環境汚染が深刻化することになる。
【0005】
前述のような水資源が少なく、かつ下水道が普及していない地域における各種用水の経済的確保を考えた場合、大規模な集中下水処理施設ではなく、分散型の比較的小型の再利用水製造装置が必要であることに、思い至る。このような分散型の比較的小型の再利用水製造装置に転用できそうな装置として、廃水の減量を目的に開発された凍結濃縮型廃水処理装置を挙げることができる(特許文献1)。
【0006】
前記凍結濃縮廃水処理装置は、過冷却した廃水を利用してシャーベット状の氷(氷粒)を連続的に生成し、生成した氷粒を機械的に分離する装置である。この装置では、図20に示すように、製氷タンク1011内に撹拌翼1012が備えられており、パイプ1013を介して廃水Hが供給される。製氷タンク1011の内周壁の上部には、過冷却解除板1014が配置されている。そして、製氷タンク1011内の廃液Hは過冷却水製造熱交換器1015にて過冷却された後、製氷タンク1011内に戻されるが、この時、過冷却解除板1014に向かって噴射される。過冷却された廃水Hは過冷却解除板1014に衝突することにより、瞬間的にその一部に氷Iが生成する。生成したシャーベット状の氷Iと液のままの過冷却された廃水Hが製氷タンク1011内に貯留される。したがって、製氷タンク1011内には、廃水H(パイプ1013から供給された廃水と、過冷却水製造熱交換器1015にて冷却された後に戻された廃水との混合廃水)と氷Iが混在することになり、これら廃水Hと氷Iは撹拌翼1012により撹拌される。
【0007】
前記製氷タンク1011内の氷Iは廃水Hととともに遠心分離機1016に供給され、この遠心分離機1016により廃水Hと氷Iとは機械的に分離される。氷Iは清澄な氷結晶であり、不純物は含んでいない。したがって、氷Iを分離していくことにより、廃水H中の水分量が減り、その分だけ、廃水Hの濃度が濃くなっていく。
【0008】
前記遠心分離機1016にて分離された廃液Hは、再び過冷却水製造熱交換器1015に供給される。廃水Hは不純物を含むため、その氷点は0℃より低くなっている。そのため、廃水Hは過冷却水製造熱交換器1015により−0.5から−2.0℃程度までに冷却され、過冷却状態にされる。このように過冷却された廃水Hは、過冷却解除板1014に衝突して過冷却解除され、氷Iが生成される。
【0009】
前記遠心分離機1016によって分離された氷Iは、氷融解熱交換器1017に供給され、この氷融解熱交換器1017において融解されて融解水Wとなる。この融解水Wの汚れ濃度は、排出水質基準以下となる。
【0010】
このように、従来の凍結濃縮廃水処理装置は、廃水H中から水分のみを氷Iとして取り出し、この氷Iを融解水Wとして排出する機能を有している。この凍結濃縮廃水処理装置は、廃水処理において廃棄物として処理される廃水量を減容することを主目的としており、連続的に氷を生成させ、生成した氷を廃水から分離除去することにより、廃水Hを濃縮し、廃棄物とする廃水量を減容する。この凍結濃縮廃水処理装置では、廃水を当初の投入量に対して10分の1程度に減容することができ、廃水の処理コストを低減可能としている。なお、図中の符号1018は、前記製氷タンク1011内の廃水と、前記分離機1016にて分離された廃水とを前記過冷却水製造熱交換器1015へ供給する廃水循環供給管を示す。
【0011】
前記凍結濃縮廃水処理装置を分散型の比較的小型の再利用水製造装置に転用することにより、水資源が少なく下水道の設置が不十分な地域における灌漑用水などに利用可能な水量を、環境の汚染や破壊を伴うことなく、確保可能となるものと期待される。
【0012】
【特許文献1】特開2003−275748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、実際に前記凍結濃縮廃水処理装置を再利用水製造装置として使用してみると、以下のような問題点があり、解決しなければならないことが、判明した。
【0014】
(1) 過冷却解除によって生成した氷粒は、製氷タンク内の廃水中に浮遊し、その後、廃水とともに分離機に送られ、汚水と分離される。従来の凍結廃水処理装置を大量の再利用水を得ることを主目的に用いる場合には、氷粒の分離機への搬送効率を高める必要があるが、製氷タンクから遠心分離機への氷粒の搬送が廃水をキャリアとして用いているため、換言すれば、廃水を同伴しているため、氷粒の搬送量を増加させることができない。
(2) また、前記分離機では、廃水と氷粒とを分離するが、分離機には廃水と氷粒との混合物が投入されるので、投入全量中の氷粒量に制限があることになり、氷粒の分離効率を増加させることが難しい。
(3) 過冷却状態の水は環境温度や外部からの物理的刺激によって容易に氷化する。そのため、過冷却解除板と呼称される板状部材に過冷却水を衝突させることによって、氷粒が得られる。しかし、過冷却水の水温は、過冷却水とする廃水の組成によって微妙に変動し、それに伴って、氷化の程度も変動する。理想的には、過冷却解除板に衝突した過冷却水は、過冷却板から流れ落ちると同時に氷粒化して、製氷タンク内に落下する。ところが、環境温度や、廃水の組成の変動によって、同一運転条件であっても、過冷却板に衝突した時の氷化速度が速く、過冷却板上に氷結する場合がある。過冷却板上に氷結が始まると、その氷結層は経時的に成長しやすく、成長が続くと、過冷却板の上部に位置する過冷却水供給管を閉塞するに至ることがある。過冷却供給管の先端が氷結すると、供給管全体が凍結するに至る。その場合には、装置の運転を停止し、過冷却板から成長した氷を剥離し、供給管の凍結を解除する作業しなければならない。そこまで至る前に冷却解除板上の付着氷を剥離すれば、装置の長時間停止を回避できるが、冷却解除板上の付着氷の剥離作業中は、やはり装置の運転を停止せざるを得ない。
【0015】
このように、従来の凍結濃縮廃水処理装置を大量の再利用水を得るための再利用水製造装置として使用する場合には、生成した氷粒の分離機への供給量を増加して、回収水の回収率を向上させることが必要である。さらに、大量の再利用水を得るためには、装置の連続運転が必須であるので、過冷却板の氷結を防止することが重要となる。
【0016】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、灌漑用水や中水などの大量使用水として用いることのできる再利用水を廃水から効率的に回収することのできる凍結濃縮廃水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するために、本発明の請求項[1]にかかる凍結濃縮廃水処理装置は、廃水を過冷却する過冷却水製造熱交換器と、該過冷却水製造熱交換器にて過冷却された過冷却廃水を搬送する過冷却廃水供給管と、該過冷却供給管から流下した過冷却廃水を受けることによって過冷却廃水の過冷却解除を行い、氷粒を発生させる過冷却解除手段と、該過冷却解除手段の下部に設けられるとともに、廃水源からの廃水が注入される製氷タンクと、該製氷タンクの上部に設けられ、前記過冷却解除手段から供給される氷粒を廃水からすくい取るスキミング手段と、該スキミング手段により分離された氷粒を供給され、氷粒に同伴する廃水を氷粒から分離する分離機と、前記製氷タンク内の廃水と、前記分離機にて分離された廃水とを前記過冷却水製造熱交換器へ供給する廃水循環供給管とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項[2]にかかる凍結濃縮廃水処理装置は、前記請求項[1]に記載の凍結濃縮廃水処理装置において、スキミング手段が製氷タンク中に浮遊した状態の氷粒を掬い取る機構を有することを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項[3]にかかる凍結濃縮廃水処理装置は、前記請求項[2]に記載の凍結濃縮廃水処理装置において、製氷タンク中に浮遊した状態の氷粒を掬い取る機構が、前記製氷タンク内の廃水表面より上に開口する落下シュートと、該落下シュートの開口部の外周に設けられた掬い上げ傾斜面部材と、廃水表面に浮遊している氷粒を前記掬い上げ傾斜面部材の傾斜面に沿って前記落下シュートの開口部に向かって押し上げて前記落下シュートに落とし込む廃水面掃動部材とから構成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項[4]にかかる凍結濃縮廃水処理装置は、前記請求項[2]に記載の凍結濃縮廃水処理装置において、製氷タンク中に浮遊した状態の氷粒を掬い取る機構が、前記製氷タンク内の廃水表面より上に開口する落下シュートと、該落下シュートの開口部の外周に設けられた囲い込み壁部材と、廃水表面に浮遊している氷粒を前記囲い込み壁部材の囲い込み壁面に沿って前記落下シュートの開口部に向かって押し込んで前記落下シュートに落とし込む廃水面掃動部材とから構成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項[5]にかかる凍結濃縮廃水処理装置は、前記請求項[1]に記載の凍結濃縮廃水処理装置において、スキミング手段が過冷却解除手段から混合した状態で落下してくる廃水と氷粒とを受けて氷粒のみを掬い取る機構を有することを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項[6]にかかる凍結濃縮廃水処理装置は、前記請求項[5]に記載の凍結濃縮廃水処理装置において、過冷却解除手段から混合した状態で落下してくる廃水と氷粒とを受けて氷粒のみを掬い取る機構が、前記製氷タンク内の廃水表面より上に開口する落下シュートと、前記製氷タンク内の廃水表面より上に設けられたベルトがメッシュ状で、該メッシュ状のベルトの上に掬い取られた氷粒を前記落下シュートの開口部に搬送し、該開口部に投入するベルトコンベアとから構成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項[7]にかかる凍結濃縮廃水処理装置は、前記請求項[6]に記載の凍結濃縮廃水処理装置において、ベルトコンベアの少なくとも一部に前記メッシュ状のベルト上の氷粒の表面に同伴している廃液を絞り落とすベルトプレス装置が設けられていることを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項[8]にかかる凍結濃縮廃水処理装置は、前記請求項[6]に記載の凍結濃縮廃水処理装置において、ベルトコンベアの少なくとも一部に前記メッシュ状のベルト上の氷粒の表面に同伴している廃液を吸引除去する減圧吸引装置が設けられていることを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項[9]にかかる凍結濃縮廃水処理装置は、前記前記請求項[1]〜[8]のいずれか1項に記載の凍結濃縮廃水処理装置において、過冷却解除手段が板状に成形された過冷却解除板であることを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項[10]にかかる凍結濃縮廃水処理装置は、前記請求項[9]に記載の凍結濃縮廃水処理装置において、過冷却解除板に傾斜角調整機構が設けられていることを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項[11]にかかる凍結濃縮廃水処理装置は、前記請求項[9]に記載の凍結濃縮廃水処理装置において、過冷却解除板に自動首振り機構が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置は、生活廃水などからなる下水から灌漑用水や中水として利用可能な水質の再利用水を効率的に回収することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施例は本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
【0030】
従来の凍結濃縮廃水処理装置に対して本発明の凍結濃縮廃水処理装置が有する特異な構成は、製氷タンク内の上部に、過冷却解除手段から供給される氷粒を廃水からすくい取るスキミング手段を設けた点と、製氷タンクの上部に設けた過冷却解除手段の可動機構とにあり、その他の構成は従来装置と共通であってかまわない。したがって、以下の実施例を説明する図では、凍結濃縮廃水処理装置の全体図を示さず、製氷タンク部分の装置要部のみを示すこととする。なお、本発明における過冷却解除手段は、板状に成形された過冷却解除板に限定されるものではなく、過冷却廃水を受けることによって過冷却廃水に衝撃を与えて過冷却解除による氷粒の生成を可能にするものであれば、いかなる形状のものであっても良い。例えば、落下過冷却廃水を受ける衝撃面を有するブロックでも良く、その場合、衝撃面としては傾斜面であることが好ましい。以下の実施例では、過冷却解除手段として過冷却解除板を用いた場合を例にとって説明している。
【実施例1】
【0031】
図1〜図3は、本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例1を示す図である。図1は装置の一部断面視した平面図、図2は図1のII−II線に沿う側断面図、図3は装置の要部断面図である。
【0032】
図中、符号1は有底円筒状の製氷タンクを示すものであり、この製氷タンク1の上部には、過冷却解除板2が取り付けられており、さらにその上には、不図示の過冷却水製造熱交換器にて過冷却された過冷却廃水の供給管3が終端している。
【0033】
また、製氷タンク1内には、落下シュート4が設けられている。この落下シュート4は不図示の遠心分離機に連通しており、製氷タンク1内の廃水Hが浸入しないように壁部は液密に形成されている。この落下シュート4の開口部4aの廃水レベルに対する高さ位置は、低すぎると、氷に同伴する廃水量が増大するため不都合となる。逆に高くしすぎると、掬い上げ傾斜面部材5、後述の廃水面掃動部材(掻き取りブラシ部)6の規模も大きくする必要があり、装置コストが増大し不都合となる。かかる観点から、製氷タンクの規模にも依るが、通常、この落下シュート4の開口部4aはタンク内の廃水レベルより5〜50cm高い位置に設置されることが望ましい。そして、この落下シュート4の開口部4aは、望ましくは、製氷タンク1の内壁の一部からほぼタンクの中心部に至る領域に位置させる。この落下シュート4の上部外周には掬い上げ傾斜面部材5が一体的に取り付けられている。この掬い上げ傾斜面部材5の傾斜面5aは、その最上位置が落下シュート4の開口面と同位置であり、落下シュート4の側面から離間するに従って廃水H中に没するように傾斜している。
【0034】
さらに、製氷タンク1内には、タンク内の廃水Hの水面を掃くように回転する廃水面掃動部材6が取り付けられている。この廃水面掃動部材6は、基本的には清掃用の箒と同じ構造をなしており、製氷タンク1の中心に位置する回転軸6aと、この回転軸6aに垂直に、すなわち、タンク内の廃水面に平行となるように固定されている本体部6bと、この本体部6bに垂下するように植毛されている多数の掃動毛6cとから構成されている。
【0035】
前記構成において、落下シュート4と、掬い上げ傾斜面部材5と、廃水面掃動部材6とは、スキミング手段7を構成しており、このスキミング手段は、以下に説明するように、製氷タンク1内の廃水Hに浮遊した状態の氷粒を掬い取る機構を有するものである。
【0036】
先に説明したように、過冷却廃水供給管3から過冷却廃水が過冷却解除板2上に流下して衝突すると、廃水の一部が氷粒になる。生成した氷粒は、図3に示すように、製氷タンク1内の廃水Hの表面に浮遊する。この状態で、廃水面掃動部材6を回転させると、その先端の掃動毛6cが廃水表面に浮遊している氷粒を掬い上げ傾斜面部材5に向かって掻き集める。掃動毛6cが傾斜面部材5に至ると、氷粒を傾斜面5aに沿って掬い上げ、落下シュート4の開口部4aから落下シュー4内に落下させる。
【0037】
前記スキミング動作によって、氷粒は、掃動毛6cによって傾斜面5aを移動されている間に廃水から分離され、表面に付着している程度の少量の廃水を同伴して、落下シュート4を介して不図示の遠心分離機に送られる。遠心分離機に送られた氷粒は遠心力を受けて、表面に付着している廃水を振り落とし、廃水の同伴量がさらに減量される。このようにして得られた氷粒を熱交換器によって融解させて得た回収水は、灌漑用水や中水に利用可能な程度に浄化されている。得られた融解水は、殺菌処理をして再利用水として、灌漑設備や中水設備などの所要の設備に供給される。
【0038】
前記構成の凍結濃縮廃水処理装置を、例えば、下水道が未整備の地域に適用する場合には、最も安価には、垂れ流している生活廃水を簡易な溝などにより集落ごとに好ましくは密閉可能な貯留池に集め、この貯留池から濾過機能付きのポンプを用いて前記製氷タンク1に導くことが考えられる。この廃水導入の設備は、投入可能な資金に余裕があれば、さらに衛生的、効率的な構成が何通りも可能である。
【実施例2】
【0039】
図4〜図6は、本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例2を示す図である。図4は装置の側断面図、図5は装置の一部断面視した平面図、図6は装置の要部断面図である。
【0040】
図中、符号11は有底長箱状の製氷タンクを示すものであり、この製氷タンク11の上部には、過冷却解除板12が取り付けられており、さらにその上には、不図示の過冷却水製造熱交換器にて過冷却された過冷却廃水の供給管13が終端している。
【0041】
また、製氷タンク11内には、落下シュート14、14が設けられている。この落下シュート14、14は不図示の遠心分離機に連通しており、製氷タンク11内の廃水Hが浸入しないように壁部は液密に形成されている。これら落下シュート14の各開口部14aは、前記実施例1において説明した理由と同様の理由により、タンク内の廃水レベルより5〜50cm高い位置に設置されており、製氷タンク11の互いに対向する内壁面に位置している。これら落下シュート14、14の上部外側面には掬い上げ傾斜面部材15、15が一体的に取り付けられている。これら掬い上げ傾斜面部材15、15の各傾斜面15aは、その最上位置が落下シュート14の開口面と同位置であり、落下シュート14の外側面から製氷タンク11の中央に向かって離間するに従って廃水H中に没するように傾斜している。
【0042】
さらに、製氷タンク11内には、タンク内の廃水Hの水面を掃くように往復移動を繰り返す廃水面掃動部材16が取り付けられている。この廃水面掃動部材16は、基本的には清掃用の箒と同じ構造をなしており、製氷タンク11の長手方向の中心線に沿って移動可能に取り付けられている往復駆動軸16aと、この往復駆動軸16aに垂直に、すなわち、タンク内の廃水面に平行となるように固定されている本体部16bと、この本体部16bに垂下するように植毛されている多数の掃動毛16cとから構成されている。
【0043】
前記構成において、落下シュート14、14と、掬い上げ傾斜面部材15、15と、廃水面掃動部材16とは、スキミング手段17を構成しており、このスキミング手段は、以下に説明するように、製氷タンク11内の廃水Hに浮遊した状態の氷粒を掬い取る機構を有するものである。
【0044】
先に説明したように、過冷却廃水供給管13から過冷却廃水が過冷却解除板12上に流下して衝突すると、廃水の一部が氷粒になる。生成した氷粒は、図6に示すように、製氷タンク11内の廃水Hの表面に浮遊する。この状態で、廃水面掃動部材16を水平移動させると、その先端の掃動毛16cが廃水表面に浮遊している氷粒を掬い上げ傾斜面部材15に向かって掻き集める。掃動毛16cが傾斜面部材15に至ると、氷粒を傾斜面15aに沿って掬い上げ、落下シュート14の開口部14aから落下シュー14内に落下させる。
【0045】
前記スキミング動作によって、氷粒は、掃動毛16cによって傾斜面15aを移動されている間に廃水から分離され、表面に付着している程度の少量の廃水を同伴して、落下シュート14を介して不図示の遠心分離機に送られる。遠心分離機に送られた氷粒は遠心力を受けて、表面に付着している廃水を振り落とし、廃水の同伴量がさらに減量される。このようにして得られた氷粒を熱交換器によって融解させて得た回収水は、灌漑用水や中水に利用可能な程度に浄化されている。得られた融解水は、殺菌処理をして再利用水として、灌漑設備や中水設備などの所要の設備に供給される。
【実施例3】
【0046】
図7〜図11は、本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例3を示す図である。図7は装置の側断面図、図8〜図11は図7のIII−III線に沿う平面図である。
【0047】
図中、符号21は有底円筒状の製氷タンクを示すものであり、この製氷タンク21の上部には、過冷却解除板22が取り付けられており、さらにその上には、不図示の過冷却水製造熱交換器にて過冷却された過冷却廃水の供給管23が終端している。
【0048】
また、製氷タンク21には、タンクの壁部の一部が外側に突き出すようにして落下シュート24が設けられている。この落下シュート24は不図示の遠心分離機に連通しており、製氷タンク21内の廃水Hが浸入しないように壁部は液密に形成されている。この落下シュート24の開口部24aは、タンク内の廃水レベルよりかなり、例えば1m程度高く設置されており、製氷タンク21の内壁面から外側に突出した位置に形成されている。
【0049】
前記落下シュート24のタンク側の側面には囲い込み壁部材25が一体的に取り付けられている。この囲い込み壁部材25の基端は、落下シュート24の開口部24aの一側部に固定されている。この囲い込み壁部材25の側壁面25aは、その基端側から末端側にかけて緩やかに湾曲している。この囲い込み壁部材25はその長手方向が廃水面と平行になっている。この囲い込み壁部材25の廃水面からの位置は、前記落下シュート24の開口部24aとほぼ同位置に設定されている。
【0050】
前記囲い込み壁部材25の直下には、製氷タンク21の開口部全面を水平に覆うようにメッシュ部材26が固定されている。このメッシュ部材26のメッシュ径は、前記過冷却解除板22によって生成される最も小さな氷粒の直径寸法以下に設定されている。このメッシュ部材26は、前述のように、前記囲い込み壁部材25の直下に設けられており、廃水面から、例えば、1mの高さに設置されている。この廃水面からの高さを1m程度の比較的高い値に設定したのは、次のような理由による。すなわち、廃水面とメッシュ部材26との距離を近づけすぎると、廃水が流入した際に廃水面からの跳ね返り廃水がメッシュ上に飛散することになり、その結果、氷粒に同伴する廃水量が増大するからである。また、後述の掃動部材27により、氷粒が落下シュート24まで移動する際に、氷に同伴する廃水をできるだけ除去できれば、固液分離系(遠心分離機)における負荷を低減できるからである。そのような効果を考えた場合、メッシュ部材26の廃水面からの高さは、高ければ高い程良いことになるが、メッシュ部材26と廃水面の距離を大きくすると、製氷タンクの規模がその分大きくなり、装置コストが増大することになる。かかる観点から、過冷却水の流速にも依るが、1m程度の間隔を空けておくのが望ましいことになる。
【0051】
さらに、製氷タンク21内には、前記メッシュ部材26の上面を掃くように回転する廃水面掃動部材27が取り付けられている。この廃水面掃動部材27は、基本的には清掃用の箒と同じ構造をなしており、製氷タンク21の中心に回転自在に取り付けられている回転軸27aと、この回転軸27aに垂直に、すなわち、タンク内の廃水面に平行となるように固定されている本体部27bと、この本体部27bに垂下するように植毛されている多数の掃動毛27cとから構成されている。
【0052】
前記構成において、落下シュート24と、囲い込み壁部材25と、廃水面掃動部材27とは、スキミング手段28を構成しており、このスキミング手段は、以下に説明するように、製氷タンク21内の廃水Hに浮遊した状態の氷粒を掬い取る機構を有するものである。
【0053】
先に説明したように、過冷却廃水供給管23から過冷却廃水が過冷却解除板22上に流下して衝突すると、廃水の一部が氷粒になる。生成した氷粒は、図9〜図11(これらの図ではメッシュ部材26の図示を省略している)に示すように、製氷タンク21内のメッシュ部材26の上面に掬い取られる。この状態で、廃水面掃動部材26を回転させると、図9に示すように、その先端の掃動毛27cがメッシュ部材26の上面に掬い取られた氷粒を囲い込み壁部材25に向かって掻き集める。掃動毛27cが囲い込み壁部材25に至ると、図10に示すように、氷粒を囲い込み壁部材25の湾曲した側壁面25aに沿って囲い込み、図11に示すように、落下シュート24の開口部24aから落下シュー24内に落下させる。この一連の氷粒囲い込み操作中、氷粒はメッシュ部材26によって保持されており、各氷粒の表面に付着している余分な廃水はメッシュの下にふるい落とされる。このようにメッシュ部材26上の氷粒は、表面の廃水をふるい落とされつつ、廃水面掃動部材27と囲い込み壁部材25とによる氷粒の囲い込み動作によって、廃水から分離され、確実に落下シュート24に投入される。
【0054】
前記スキミング動作によって、氷粒は、メッシュ部材26上を掃動毛27cによって囲い込み壁部材25の側壁面25aに沿って移動され、落下シュート24に投下されるが、前述のように、投下されるのは氷粒だけであり、廃水は流入しない。したがって、落下シュート24内に侵入する廃水は氷粒の表面に付着している程度の少量であり、遠心分離機における固液分離の負荷を低減することができる。遠心分離機に送られた氷粒は遠心力を受けて、表面に付着している廃水を振り落とし、廃水の同伴量がさらに減量される。このようにして得られた氷粒を熱交換器によって融解させて得た回収水は、灌漑用水や中水に利用可能な程度に浄化されている。得られた融解水は、殺菌処理をして再利用水として、灌漑設備や中水設備などの所要の設備に供給される。
【0055】
このように本実施例では、メッシュ部材26により落下中の氷粒を掬い取り、廃水から分離することができるため、氷粒の回収率が向上する。また、このメッシュ部材26の上面に捕らえられた氷粒は、メッシュ上を掃動する掃動部材27の掃動毛27cによってメッシュ上を転がされることによって、その表面に余分に付着している廃水をメッシュ下にふるい落とされ、落下シュート24中に同伴する廃水量が大幅に減量される。これによって、後続の遠心分離機の負荷を低減することができる。
【実施例4】
【0056】
図12、図13は、本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例4を示す図である。図12は装置の製氷タンク部分の側断面図、図13は本実施例のスキミング手段の作用を説明する要部の構成図である。
【0057】
図中、符号31は有底長箱状の製氷タンクを示すものであり、この製氷タンク31の上部には、過冷却解除板32が取り付けられており、さらにその上には、不図示の過冷却水製造熱交換器にて過冷却された過冷却廃水の供給管33が終端している。
【0058】
また、製氷タンク31には、タンクの一方の内壁部に沿って落下シュート34が設けられている。この落下シュート34は不図示の遠心分離機に連通しており、製氷タンク31内の廃水Hが浸入しないように壁部は液密に形成されている。この落下シュート34の開口部34aはタンク内の廃水レベルより10cm以上高い位置に形成されている。
【0059】
また、前記製氷タンク31内の廃水面のほぼ全面を覆うように、ベルト35がメッシュ状のベルトコンベア36が設けられている。このメッシュ状のベルト35のメッシュ径は、前記過冷却解除板22によって生成される最も小さな氷粒の直径寸法以下に設定されている。このベルトコンベア36は、そのメッシュ状のベルト35を回転させて、その上に落下してくる氷粒を掬い取り、前記落下シュート34の開口部34aに搬送し、氷粒を落下シュート34に投下する。
【0060】
さらに、前記ベルトコンベア36の前記落下シュート34寄りには、前記メッシュ状のベルト35の上に掬い取られた氷粒の表面に同伴している廃液を搾り取るベルトプレス装置37が設けられている。また、前記落下シュート34の開口部34aには、ベルトコンベア36と、ベルトプレス装置37の各ベルトに付着した氷粒を剥ぎ落とすための突起部材38a,38bが設けられている。なお、前記突起部材38aは開口部34aを構成する壁部と一体となっている。
【0061】
前記構成において、ベルトプレス装置37は必須ではなく、落下シュートに投下される氷粒に同伴する廃水量を減量するために効果を発揮するオプション装置である。また、前記構成において、落下シュート34と、ベルトコンベア36とは、スキミング手段39を構成しており、このスキミング手段は、以下に説明するように、製氷タンク31内に廃水とともに落下する氷粒を掬い取る機構を有するものである。
【0062】
先に説明したように、過冷却廃水供給管33から過冷却廃水が過冷却解除板32上に流下して衝突すると、廃水の一部が氷粒になる。生成した氷粒は、図13に示すように、製氷タンク31内の廃水H中に落下する途中でベルトコンベア36のメッシュ状のベルト35に掬い取られる。メッシュ状のベルト35上に掬い取られた氷粒は、ベルト35の回転移動に伴って落下シュート34に向かって搬送され、その途中で、ベルトプレス装置37によって、氷粒表面に付着している廃水を搾り取られる。ベルトプレス装置37により表面に付着している同伴廃水量を大幅に減量された氷粒は、落下シュート34の開口部34aから落下シュー34内に投下される。
【0063】
前記スキミング動作によって、氷粒は、ベルトコンベア36によって廃水をふるい落としながら移動され、落下シュート34に投下されるが、投下されるのは氷粒だけであり、廃水は流入しない。したがって、落下シュート34内に侵入する廃水は氷粒の表面に付着している程度の少量である。この付着廃水も、ベルトプレス装置37を設けることによりさらに減量される。落下シュート34を介して遠心分離機に送られた氷粒は遠心力を受けて、表面に付着している廃水を振り落とし、廃水の同伴量がさらに減量される。このようにして得られた氷粒を熱交換器によって融解させて得た回収水は、灌漑用水や中水に利用可能な程度に浄化されている。得られた融解水は、殺菌処理をして再利用水として、灌漑設備や中水設備などの所要の設備に供給される。
【実施例5】
【0064】
図14〜図17は、本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例5を示す図である。本実施例の特徴は、前記実施例4におけるベルトプレス装置37の替わりに減圧吸引装置40を用いたことにあり、その他の構成は実施例4と同様である。この減圧吸引装置40は、前記メッシュ状のベルト35上の氷粒の表面に同伴している廃液を吸引除去する作用を発揮する。この減圧吸引装置40は、吸引ポンプ41により減圧にされる減圧室42の上部が拡径されており、その上端開口面43がメッシュ状に形成されてなる装置である。
【0065】
前記構成の装置において、図15に示すように、氷粒は、ベルトコンベア36のメッシュ状のベルト35によって掬い取られ、ベルト35の回転移動に伴って廃水をふるい落としながら落下シュート34に向かって移動される。図16に示すように、前記氷粒は、落下シュート34に近接した位置に設けられた減圧吸引装置40によって、表面に付着している廃水を吸い落とされ、表面に同伴する廃水量がさらに減量される。このようにして表面に付着した廃水量が大幅に減量された氷粒は、ベルトコンベア36によって落下シュート34に投下される。落下シュート34を介して遠心分離機に送られた氷粒は遠心力を受けて、表面に付着している廃水を振り落とし、廃水の同伴量がさらに減量される。このようにして得られた氷粒を熱交換器によって融解させて得た回収水は、灌漑用水や中水に利用可能な程度に浄化されている。得られた融解水は、殺菌処理をして再利用水として、灌漑設備や中水設備などの所要の設備に供給される。
【実施例6】
【0066】
図18は、本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例6を示す図である。本実施例の特徴は、長時間継続的に製氷を可能とするために、過冷却水解除板に改良を加えた点にある。図に示すように、過冷却解除板50は製氷タンクの内壁に固定された取り付け板51に蝶ねじ52によって回動自在に固定される構造となっている。前記取り付け板51には望ましくは角度目盛りが刻設され、過冷却解除板50の傾斜角度を確認できるようにしておく。
【0067】
先の述べたように、処理しようとする廃水の組成は地域や、時間帯によって大きく変動される場合がある。廃水の組成が変動されると、それに伴って、廃水の過冷却状態も変動を受けて、過冷却解除温度や、過冷却解除後に生成される氷粒の表面状態も変化を受け、過冷却解除板50に氷粒が付着しやすくなる場合がある。一旦、氷粒が過冷却解除板50の表面に付着すると、次々に積層して、氷層が成長する。この状態で既に氷粒の生成ができなくなっており、さらに放置すると、過冷却解除板50上に位置する過冷却水供給管を閉塞させる事態に至る。そのような場合には、前記蝶ねじ51を緩めて過冷却解除板50の傾斜角度をより垂直方向に傾けて、再度蝶ねじ51を固定状態とすることによって、過冷却解除板50の傾斜角度をより急峻にする。これによって、氷粒は過冷却解除板50の表面に付着しにくくなり、装置の運転を停止する事態を回避することができる。
【実施例7】
【0068】
図19は、本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例7を示す図である。本実施例の特徴は、長時間継続的に製氷を可能とするために、過冷却水解除板に改良を加えた点にある。図に示すように、過冷却解除板60は製氷タンクの内壁に固定された取り付け板61に固定されたモータ62によって回動自在に固定される構造となっている。また、前記取り付け板61の下方には取り付け板63が製氷タンクの内壁に固定されており、この取り付け板63には、前記過冷却解除板60に向かって延出する係止部材64が固定されている。
【0069】
前記構成によれば、モータ62によって、前記実施例6と同様に過冷却解除板60の傾斜角度を適宜に調整することができる。さらに、本実施例では、先に述べたように過冷却解除板60の表面に氷粒が付着し始めた場合にも対応することが可能である。過冷却解除板60の表面に氷粒が付着し始めたことが確認されたら、モータ62を駆動させて、過冷却解除板60を回動角度を大きくとって回動させる。大きく回動させることによって、過冷却解除板は、係止部材64にぶつかることになり、その衝撃によって、表面に付着している氷粒ないし積層氷層を振り落とすことができる。この振り落とし動作によって、装置の運転を止めて、過冷却解除板60の表面から氷を剥ぎ落とす作業をしなければいけない事態を確実に避けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置は、大規模施設を構築しなくとも、廃水から水質の良好な水を効率的にかつ経済的に回収することができので、灌漑用水や中水に不足している地域や、下水が完備されていない地域に小中規模の廃水浄化装置として用いることができ、下水処理の問題と、灌漑用水や中水などの大量に使用する用水の確保とを同時に解決することができ、環境保全、環境改善にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例1を示すもので、装置の要部である製氷タンクの平面構成図である。
【図2】図1のII−II線に沿う側断面構成図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例2を示すもので、装置の要部である製氷タンクの側断面構成図である。
【図5】図4に示した製氷タンクの平面構成図である。
【図6】図4の要部拡大図である。
【図7】本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例3を示すもので、装置の要部である製氷タンクの側断面構成図である。
【図8】図7のIII−III線に沿う平面構成図である。
【図9】図7に示す製氷タンクの平面構成図であり、装置のスキミング動作が開始された状態を示している。
【図10】図7に示す製氷タンクの平面構成図であり、装置のスキミング動作の途中状態を示している。
【図11】図7に示す製氷タンクの平面構成図であり、装置のスキミング動作の一サイクルが終了間近の状態を示している。
【図12】本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例4を示すもので、装置の要部である製氷タンクの側断面構成図である。
【図13】図12の装置の動作を説明するための模式図である。
【図14】本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例5を示すもので、装置の要部である製氷タンクの側断面構成図である。
【図15】図14の装置の動作を説明するためもので、装置の過冷却解除板近傍の構成図である。
【図16】図14の装置の動作を説明するためのもので、装置に設けられた減圧吸引装置近傍の構成図である。
【図17】図14の装置の動作を説明するためのもので、装置に設けられたベルトコンベアの終端近傍の構成図である。
【図18】本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例6を示すもので、装置の要部である過冷却解除板およびその近傍の構成図である。
【図19】本発明にかかる凍結濃縮廃水処理装置の実施例7を示すもので、装置の要部である過冷却解除板およびその近傍の構成図である。
【図20】従来の凍結濃縮廃水処理装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0072】
1,11,21,31 製氷タンク
2,12,22,32 過冷却解除板(過冷却解除手段)
3,13,23,33 過冷却廃水供給管
4,14,24,34 落下シュート
4a,14a,24a,34a 落下シュートの開口部
5,15 掬い上げ傾斜面部材
5a,15a 掬い上げ傾斜面部材の傾斜面
6,16,27 廃水面掃動部材
6a,27a 廃水面掃動部材の回転軸
6b、16b、27b 廃水面掃動部材の本体部
6c、16c、27c 廃水面掃動部材の掃動毛
7,17,28、39 スキミング手段
16a 往復駆動軸
25 囲い込み壁部材
25a 囲い込み壁部材の側壁面
26 メッシュ部材
35 メッシュ状ベルト
36 ベルトコンベア
37 ベルトプレス装置
38a,38b 突起部材
40 減圧吸引装置
41 吸引ポンプ
42 減圧室
50,60 過冷却解除板(過冷却解除手段)
51,61,63 取り付け板
52 蝶ねじ
62 モータ
64 係止部材
1013 廃水の供給パイプ
1015 過冷却水製造熱交換器
1016 遠心分離機
1017 氷融解熱交換器
1018 廃水循環供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水を過冷却する過冷却水製造熱交換器と、
前記過冷却水製造熱交換器にて過冷却された過冷却廃水を搬送する過冷却廃水供給管と、
前記過冷却供給管から流下した過冷却廃水を受けることによって過冷却廃水の過冷却解除を行い、氷粒を発生させる過冷却解除手段と、
前記過冷却解除手段の下部に設けられるとともに、廃水源からの廃水が注入される製氷タンクと、
前記製氷タンクの上部に設けられ、前記過冷却解除手段から供給される氷粒を廃水からすくい取るスキミング手段と、
前記スキミング手段により分離された氷粒を供給され、氷粒に同伴する廃水を氷粒から分離する分離機と、
前記製氷タンク内の廃水と、前記分離機にて分離された廃水とを前記過冷却水製造熱交換器へ供給する廃水循環供給管と、
を有することを特徴とする凍結濃縮廃水処理装置。
【請求項2】
前記スキミング手段が製氷タンク中に浮遊した状態の氷粒を掬い取る機構を有することを特徴とする請求項1に記載の凍結濃縮廃水処理装置。
【請求項3】
前記製氷タンク中に浮遊した状態の氷粒を掬い取る機構が、前記製氷タンク内の廃水表面より上に開口する落下シュートと、該落下シュートの開口部の外周に設けられた掬い上げ傾斜面部材と、廃水表面に浮遊している氷粒を前記掬い上げ傾斜面部材の傾斜面に沿って前記落下シュートの開口部に向かって押し上げて前記落下シュートに落とし込む廃水面掃動部材とから構成されていることを特徴とする請求項2に記載の凍結濃縮廃水処理装置。
【請求項4】
前記製氷タンク中に浮遊した状態の氷粒を掬い取る機構が、前記製氷タンク内の廃水表面より上に開口する落下シュートと、該落下シュートの開口部の外周に設けられた囲い込み壁部材と、廃水表面に浮遊している氷粒を前記囲い込み壁部材の囲い込み壁面に沿って前記落下シュートの開口部に向かって押し込んで前記落下シュートに落とし込む廃水面掃動部材とから構成されていることを特徴とする請求項2に記載の凍結濃縮廃水処理装置。
【請求項5】
前記スキミング手段が過冷却解除手段から混合した状態で落下してくる廃水と氷粒とを受けて氷粒のみを掬い取る機構を有することを特徴とする請求項1に記載の凍結濃縮廃水処理装置。
【請求項6】
前記過冷却解除手段から混合した状態で落下してくる廃水と氷粒とを受けて氷粒のみを掬い取る機構が、前記製氷タンク内の廃水表面より上に開口する落下シュートと、前記製氷タンク内の廃水表面より上に設けられたベルトがメッシュ状で、該メッシュ状のベルトの上に掬い取られた氷粒を前記落下シュートの開口部に搬送し、該開口部に投入するベルトコンベアとから構成されていることを特徴とする請求項5に記載の凍結濃縮廃水処理装置。
【請求項7】
前記ベルトコンベアの少なくとも一部に前記メッシュ状のベルト上の氷粒の表面に同伴している廃液を絞り落とすベルトプレス装置が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の凍結濃縮廃水処理装置。
【請求項8】
前記ベルトコンベアの少なくとも一部に前記メッシュ状のベルト上の氷粒の表面に同伴している廃液を吸引除去する減圧吸引装置が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の凍結濃縮廃水処理装置。
【請求項9】
前記過冷却解除手段が板状に成形された過冷却解除板であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の凍結濃縮廃水処理装置。
【請求項10】
前記過冷却解除板に傾斜角調整機構が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の凍結濃縮廃水処理装置。
【請求項11】
前記過冷却解除板に自動首振り機構が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の凍結濃縮廃水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−239485(P2006−239485A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−54913(P2005−54913)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成16年度科学技術試験研究委託業務、「広域水循環予測及び対策技術の高度化」、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】