説明

凝固因子VIIポリペプチド

【課題】新規なヒト凝固因子VIIポリペプチドを提供する。
【解決手段】TF非依存的活性が増加した因子VIIポリペプチド、即ち、野生型の因子VIIaと比較して同等かまたはより高い活性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較してより低い組織因子結合親和性を示す新規な凝固因子VIIポリペプチド。および前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物、前記ポリヌクレオチドを含みかつ発現させるベクターおよび宿主細胞、薬学的組成物、使用および治療方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、新規なヒト凝固因子VIIポリペプチド、および前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物、前記ポリヌクレオチドを含みかつ発現させるベクターおよび宿主細胞、因子VIIポリペプチドを含む薬学的組成物、使用および治療方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
血液凝固は、最終的にフィブリンの血塊を生じさせる様々な血液成分(または因子)の複雑な相互作用からなるプロセルである。一般に、凝固「カスケード」と呼ばれる経路に関与する血液成分は、活性化因子(それ自体が活性化された凝固因子である)の作用によってタンパク質分解酵素に転換する酵素的には不活性なタンパク質(プロ酵素または酵素前駆体)である。このような転換を受けた凝固因子は、一般に「活性因子」と呼ばれ、凝固因子の名前への文字「a」の追加によって特定される(例えば、因子VIIa)。
【0003】
止血プロセスの始まりは、血管壁への創傷の結果として露出した組織因子と因子VIIaとの複合体の形成によって媒介される。この複合体は、その後に因子IXおよびXをそれらの活性形態に転換させる。因子Xaは、組織因子上で一定量のプロトロンビンをトロンビンに転換させる。トロンビンは、血小板を活性化し、因子VおよびVIIIを因子VaおよびVIIIaに活性化させる。両補因子は更なるプロセスにおいて完全なトロンビンの活性化を誘導する。このプロセスは、因子IXa(因子VIIIaと複合)による因子Xaの生成を含み、活性化された血小板の表面上で起こる。最終的には、トロンビンがフィブリノーゲンをフィブリン血塊の形成を生じさせるフィブリンに転換させる。
【0004】
因子VIIは、短鎖酵素前駆体として血液中に循環する微量の血漿糖タンパク質である。酵素前駆体は、触媒的に不活性である。短鎖因子VIIは、インビトロで因子Xa、因子XIIa、因子IXa、因子VIIaまたはトロンビンによって二鎖因子VIIaに転換される。因子Xaは、因子VIIの主要な生理学的活性因子であると考えられている。酵素前駆体因子VIIの活性化された二鎖分子への転換は、内部のArg152-Ile153ペプチド結合の開裂によって生じる。
【0005】
患者(subject)の凝固カスケードを刺激することはしばしば望ましい。因子VIIaは、血塊因子の欠乏(例えば、血友病AおよびBまたは凝固因子XIまたはVIIの欠乏)または血塊因子阻害物質などの幾つかの原因をもつ出血性疾患を制御するために使用されてきた。因子VIIaはまた、血塊カスケードが正常に機能する(血塊因子が欠乏していない、または凝固因子に対する阻害物質が存在しない)患者で起こる過度の出血を制御するために使用されてきた。このような出血は、例えば血小板機能障害、血小板減少症またはフォン ウィルブラント病によって引き起こされる。出血はまた、手術および組織障害の他の形態と結び付けられた主要な問題でもある。
【0006】
欧州特許番号200,421(ZymoGenetics)は、ヒト因子VIIをコードするヌクレオチド配列および哺乳類細胞における因子VIIの組換え発現体に関する。
【0007】
Dickinson et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 14379-14384, 1996)は、特定のアミノ酸がAlaによって個別的に置換されている因子VIIポリペプチドを開示する。Iwanaga et al. (Thromb. Haemost. (supplement august 1999), 466, abstract 1474)は、残基316-320が欠損するかまたは残基311-322がトリプシンからの対応する残基で置換される因子VIIa変異体に関する。
【0008】
凝血原を活性化させる改善された因子VIIポリペプチドに対する当該技術分野における要求が依然として存在する。特に、TFの独立した活性を増加させる因子VIIポリペプチドに対する要求が存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、TF非依存的活性が増加した因子VIIポリペプチドに関する。より具体的には、野生型の因子VIIaと比較して同等かまたはより高い活性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較してより低い組織因子結合親和性を示す新規な凝固因子VIIポリペプチドに関する。
【0010】
第一の側面において、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドに関する(但し、因子VIIポリペプチドは169A-FVIIではない)。
【0011】
第二の側面において、本発明は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドを含む組成物に関する(但し、因子VIIポリペプチドは169A-FVIIではない)。
【0012】
第三の側面において、本発明は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドと任意的には薬学的に許容可能なキャリアとを含む薬学的組成物に関する。
【0013】
更なる側面において、本発明は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物に関する(但し、因子VIIポリペプチドは169A-FVIIではない)。
【0014】
更なる側面において、本発明は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を含む真核生物宿主細胞に関する(但し、因子VIIポリペプチドは169A-FVIIではない)。
【0015】
更なる側面において、本発明は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドを製造する方法に関し、前記方法は、前記ポリヌクレオチド構築物からタンパク質を合成できる条件下で適切な増殖培地中において因子VIIポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を含む真核生物宿主細胞を培養する工程と、前記因子VIIポリペプチドを培養液から回収する工程とを含む。
【0016】
更なる側面において、本発明は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドの、出血の治療のためまたは正常な止血系の増強のための薬物の調製における使用に関する。
【0017】
更なる側面において、本発明は、患者の出血または出血性疾患の治療ための方法または正常な止血系の増強のための方法に関し、前記方法は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す薬学的または予防的に有効な量の因子VIIポリペプチドをそれを必要とする患者に投与することを含む。
【0018】
更なる側面において、本発明は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドに関し、前記因子VIIポリペプチドは、以下のi)および/またはii)および/またはiii)から選択される。
【0019】
i)異なるアミノ酸が組織因子結合親和性を減少させる、SEQ ID NO: 1の位置のアミノ酸に対応するK18X1, R36X2, S43X3, K62X4, Q64X5, L65X6, I69X7, F71X8, L73X9, P74X10, E77X11, G78X12, R79X13, K85X14, Q88X15, N93X16, F275X17, R277X18, M306X19, T307X20, Q308X21, D309X22, または R379X23から選択された1以上のアミノ酸置換を含む因子VIIポリペプチド(式中、
X1 は、E, D, A, または F;
X2 は、E, D, K, A, F, または N;
X3 は、E, D, K, R, A, または F;
X4 は、D, A, または F;
X5 は、E, D, K, R, A, F, または N;
X6 は、E, D, K, R, A, または F;
X7 は、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X8 は、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, または W;
X9 は、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X10 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X11 は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X12 は、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X13 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X14 は、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, または Y;
X15 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X16 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X17 は、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X18 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X19 は、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X20 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, または Y;
X21 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X22 は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, または Y; および
X23 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y);
および/または
ii)SEQ ID NO: 1の K18, R36, K62, Q64, L65, I69, F71, L73, P74, E77, G78, R79, K85, Q88, N93, F275, R277, M306, Q308, D309, または R379から選択された位置のアミノ酸に対応する一以上のアミノ酸が、システインアミノ酸残基で置換され、前記システインアミノ酸残基が組織因子結合親和性を減少させ、かつ前記システインアミノ酸残基が任意的には化学基と結合し、前記化学基が前記因子VIIポリペプチドの分子量を増加させる因子VIIポリペプチド;
および/または
iii)SEQ ID NO: 1のR36, Q64, I69, F71, P74, E77, G78, Q88, N93, F275, M306, T307, または D309から選択された位置で始まるアミノ酸に対応するアミノ酸置換によって導入された一以上のNグリコシル化部位N-Xaa-S/Tを含む因子VIIポリペプチド(式中、Xaaは、Pを除く任意のアミノ酸であり、導入されたN-グリコシル化部位は、組織因子結合親和性を減少させる)。
【0020】
更なる側面において、本発明は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドを含む組成物に関し、前記因子VIIポリペプチドは、以下のi)および/またはii)および/またはiii)から選択される。
【0021】
i)異なるアミノ酸が組織因子結合親和性を減少させる、SEQ ID NO: 1の位置のアミノ酸に対応するK18X1, R36X2, S43X3, K62X4, Q64X5, L65X6, I69X7, F71X8, L73X9, P74X10, E77X11, G78X12, R79X13, K85X14, Q88X15, N93X16, F275X17, R277X18, M306X19, T307X20, Q308X21, D309X22, または R379X23から選択された一以上のアミノ酸置換を含む因子VIIポリペプチド(式中、
X1は、E, D, A, または F;
X2は、E, D, K, A, F, または N;
X3は、E, D, K, R, A, または F;
X4は、D, A, または F;
X5は、E, D, K, R, A, F, または N;
X6は、E, D, K, R, A, または F;
X7は、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X8は、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, または W;
X9は、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X10は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X11は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X12は、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X13は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X14は、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, または Y;
X15は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X16は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X17は、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X18は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X19は、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X20は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, または Y;
X21は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X22は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, または Y; および
X23は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y);
および/または
ii)SEQ ID NO: 1のK18, R36, K62, Q64, L65, I69, F71, L73, P74, E77, G78, R79, K85, Q88, N93, F275, R277, M306, Q308, D309, または R379 から選択された位置のアミノ酸に対応する一以上のアミノ酸が、システインアミノ酸残基で置換され、前記システインアミノ酸残基が組織因子結合親和性を減少させ、かつ前記システインアミノ酸残基が任意的には化学基と結合し、前記化学基が因子VIIポリペプチドの分子量を増加させる因子VIIポリペプチド;
および/または
iii)SEQ ID NO: 1のR36, Q64, I69, F71, P74, E77, G78, Q88, N93, F275, M306, T307, または D309 から選択された位置で始まるアミノ酸に対応するアミノ酸置換によって導入された一以上のNグリコシル化部位N-Xaa-S/Tを含む因子VIIポリペプチド(式中、Xaaは、Pを除く任意のアミノ酸であり、導入されたN-グリコシル化部位は、組織因子結合親和性を減少させる)。
【0022】
更なる側面において、本発明は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドと任意的には薬学的に許容可能なキャリアとを含む薬学的組成物に関し、前記因子VIIポリペプチドは、以下のi)および/またはii)および/またはiii)から選択される。
【0023】
i)異なるアミノ酸が組織因子結合親和性を減少させる、SEQ ID NO: 1の位置のアミノ酸に対応するK18X1, R36X2, S43X3, K62X4, Q64X5, L65X6, I69X7, F71X8, L73X9, P74X10, E77X11, G78X12, R79X13, K85X14, Q88X15, N93X16, F275X17, R277X18, M306X19, T307X20, Q308X21, D309X22, または R379X23から選択された一以上のアミノ酸置換を含む因子VIIポリペプチド(式中、
X1は、E, D, A, または F;
X2は、E, D, K, A, F, または N;
X3は、E, D, K, R, A, または F;
X4は、D, A, または F;
X5は、E, D, K, R, A, F, または N;
X6は、E, D, K, R, A, または F;
X7は、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X8は、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, または W;
X9は、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X10は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X11は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X12は、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X13は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X14は、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, または Y;
X15は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X16は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X17は、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X18は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X19は、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X20は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, または Y;
X21は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X22は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, または Y; および
X23は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y);
および/または
ii)SEQ ID NO: 1のK18, R36, K62, Q64, L65, I69, F71, L73, P74, E77, G78, R79, K85, Q88, N93, F275, R277, M306, Q308, D309, または R379 から選択された位置のアミノ酸に対応する一以上のアミノ酸が、システインアミノ酸残基で置換され、前記システインアミノ酸残基が組織因子結合親和性を減少させ、かつ前記システインアミノ酸残基が任意的には化学基と結合し、前記化学基が因子VIIポリペプチドの分子量を増加させる因子VIIポリペプチド;
および/または
iii)SEQ ID NO: 1のR36, Q64, I69, F71, P74, E77, G78, Q88, N93, F275, M306, T307, または D309から選択された位置で始まるアミノ酸に対応するアミノ酸置換によって導入された一以上のNグリコシル化部位N-Xaa-S/Tを含む因子VIIポリペプチド(式中、Xaaは、Pを除く任意のアミノ酸であり、導入されたN-グリコシル化部位は、組織因子結合親和性を減少させる)。
【0024】
更なる側面において、本発明は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドの、出血の治療のためまたは正常な止血系の増強のための薬物の調製における使用に関し、前記因子VIIポリペプチドは、以下のi)および/またはii)および/またはiii)から選択される。
【0025】
i)異なるアミノ酸が組織因子結合親和性を減少させる、SEQ ID NO: 1の位置のアミノ酸に対応するK18X1, R36X2, S43X3, K62X4, Q64X5, L65X6, I69X7, F71X8, L73X9, P74X10, E77X11, G78X12, R79X13, K85X14, Q88X15, N93X16, F275X17, R277X18, M306X19, T307X20, Q308X21, D309X22, または R379X23から選択された一以上のアミノ酸置換を含む因子VIIポリペプチド(式中、
X1E, D, A, または F;
X2は、E, D, K, A, F, または N;
X3は、E, D, K, R, A, または F;
X4は、D, A, または F;
X5は、E, D, K, R, A, F, または N;
X6は、E, D, K, R, A, または F;
X7は、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X8は、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, または W;
X9は、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X10は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X11は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X12は、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X13は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X14は、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, または Y;
X15は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X16は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X17は、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X18は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X19は、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X20は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, または Y;
X21は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X22は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, または Y; および
X23は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y);
および/または
ii)SEQ ID NO: 1のK18, R36, K62, Q64, L65, I69, F71, L73, P74, E77, G78, R79, K85, Q88, N93, F275, R277, M306, Q308, D309, または R379 から選択された位置のアミノ酸に対応する一以上のアミノ酸が、システインアミノ酸残基で置換され、前記システインアミノ酸残基が組織因子結合親和性を減少させ、かつ前記システインアミノ酸残基が任意的には化学基と結合し、前記化学基が因子VIIポリペプチドの分子量を増加させる因子VIIポリペプチド;
および/または
iii)SEQ ID NO: 1のR36, Q64, I69, F71, P74, E77, G78, Q88, N93, F275, M306, T307, または D309 から選択された位置で始まるアミノ酸に対応するアミノ酸置換によって導入された一以上のNグリコシル化部位N-Xaa-S/Tを含む因子VIIポリペプチド(式中、Xaaは、Pを除く任意のアミノ酸であり、導入されたN-グリコシル化部位は、組織因子結合親和性を減少させる)。
【0026】
更なる側面において、本発明は、患者の出血または出血性疾患の治療ための方法または正常な止血系の増強のための方法に関し、前記方法は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドの薬学的または予防的に有効な量だけそれを必要とする患者に投与することを含み、前記因子VIIポリペプチドは、以下のi)および/またはii)および/またはiii)から選択される。
【0027】
i)異なるアミノ酸が組織因子結合親和性を減少させる、SEQ ID NO: 1の位置のアミノ酸に対応するK18X1, R36X2, S43X3, K62X4, Q64X5, L65X6, I69X7, F71X8, L73X9, P74X10, E77X11, G78X12, R79X13, K85X14, Q88X15, N93X16, F275X17, R277X18, M306X19, T307X20, Q308X21, D309X22, or R379X23から選択された一以上のアミノ酸置換を含む因子VIIポリペプチド(式中、
X1E, D, A, または F;
X2は、E, D, K, A, F, または N;
X3は、E, D, K, R, A, または F;
X4は、D, A, または F;
X5は、E, D, K, R, A, F, または N;
X6は、E, D, K, R, A, または F;
X7は、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X8は、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, または W;
X9は、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X10は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X11は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X12は、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X13は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X14は、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, または Y;
X15は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X16は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X17は、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X18は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X19は、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X20は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, または Y;
X21は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X22は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, または Y; および
X23は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y);
および/または
ii)SEQ ID NO: 1のK18, R36, K62, Q64, L65, I69, F71, L73, P74, E77, G78, R79, K85, Q88, N93, F275, R277, M306, Q308, D309, または R379 から選択された位置のアミノ酸に対応する一以上のアミノ酸が、システインアミノ酸残基で置換され、前記システインアミノ酸残基が組織因子結合親和性を減少させ、かつ前記システインアミノ酸残基が任意的には化学基と結合し、前記化学基が因子VIIポリペプチドの分子量を増加させる因子VIIポリペプチド;
および/または
iii)SEQ ID NO: 1のR36, Q64, I69, F71, P74, E77, G78, Q88, N93, F275, M306, T307, または D309 から選択された位置で始まるアミノ酸に対応するアミノ酸置換によって導入された一以上のNグリコシル化部位N-Xaa-S/Tを含む因子VIIポリペプチド(式中、Xaaは、Pを除く任意のアミノ酸であり、導入されたN-グリコシル化部位は、組織因子結合親和性を減少させる)。
【0028】
更なる側面において、本発明は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドと、野生型ヒトFVIIaとを含む組成物に関する。
【0029】
更なる側面において、本発明は、患者の出血の治療ための方法または正常な止血系の増強のための方法に関し、前記方法は、以下の組成物の薬学的または予防的に有効な量だけそれを必要とする患者に投与することを含む。
【0030】
a)組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドと、野生型ヒトFVIIaとを含む組成物;または
b)野生型ヒトFVIIaを含む組成物と、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドを含む第二の組成物。
【0031】
更なる側面において、本発明は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドと、野生型ヒトFVIIaとを含む組成物を調製するためのプロセスに関し、前記プロセスは、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ水性培地における組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドと、野生型ヒトFVIIaとを混合する工程を含む。
【0032】
更なる側面において、本発明は、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドと野生型ヒトFVIIaとを含む組成物の、患者の出血の治療のためまたは正常な止血系の増強のための薬物の調製における使用に関する。
【発明の説明】
【0033】
組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示す新規な凝固因子VIIポリペプチドに関する。組換え体の野生型ヒト凝固因子VIIでの治療学的処理は、活性化された血小板へのFVIIの直接的な結合と、活性化された因子Xaの生成と、組織損傷の場での局所的なフィブリンの最終的生成とを含むTF非依存性機構によって機能することが多くの証拠から示唆される。本発明の因子VIIポリペプチドは、従来のTF結合因子VIIポリペプチドの代替手段を提供する。TFと結合しない因子VIIポリペプチドは、TFの露出が大きいとき(例えば、プラーク裂傷(plaque rupture)または敗血症)、出血性疾患の治療学的処置において優位性がある。
【0034】
用語「因子VIIポリペプチド」または「FVIIポリペプチド」は、本明細書中で使用されるとき、野生型のヒト因子VII/VIIa(すなわち、米国特許番号4,784,950に開示されたアミノ酸配列を有するポリペプチド)と、野生型の因子VIIと比較して実質的に同等または向上した生物学的活性を示す因子VIIの変異体と、因子VII関連ポリペプチドと、因子VII誘導体と、因子VII結合体とを意味する。特に明示しない限り、用語「因子VII」には、因子VIIポリペプチドのその未開裂の形態(酵素前駆体)と、タンパク質分解処理を受けて因子VIIaと指定し得るそのそれぞれの生物活性形態をとったものが含まれる。典型的には、因子VIIが残基152と153との間で開裂され、因子VIIaを得る。因子VIIの変異体は、ヒト因子VIIと比較して、安定性、リン脂質結合性、比活性、およびこれに類する性質を含む性質において異なる性質を示す。
【0035】
「因子VII関連ポリペプチド」は、本明細書中で使用されるとき、因子VIIaの生物学的活性が実質的に修飾されるかまたは野生型の因子VIIaの活性と比較して減少する変異体を含むポリペプチドを包含する。これらのポリペプチドには、ポリペプチドの生物活性を修飾または乱す特定のアミノ酸配列の変更が導入された因子VIIまたは因子VIIaが含まれるがこれに限定されない。
【0036】
用語「因子VII誘導体」は、本明細書中で使用されるとき、野生型の因子VII、野生型の因子VIIおよび因子VII関連ポリペプチドと比較して実質的に同等または向上した生物学的活性を示す因子VIIの変異体(親ペプチドのアミノ酸の一以上が化学的および/または酵素学的に修飾される(例えば、アルキル化、グリコシル化、PEG化、アシル化、エステル形成またはアミド形成またはこれらに類するもの))を示すものと意図される。これには、PEG化されたヒト因子VIIa、システイン-PEG化されたヒト因子VIIaおよびこれらの変異体が含まれるがこれらに限定されない。
【0037】
化学基をもつシステインアミノ酸残基の任意的結合には、ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシ-ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリ-(N-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチル化されたポリオール(例えば、グリセロール)およびポリビニルアルコール、コロミン酸または炭水化物に基づいたポリマー、アミノ酸のポリマー、およびビオチン誘導体の共有結合が含まれるがこれらに限定されない。本発明の一つの実施形態において、化学基は、生物適合性、非毒性、非免疫原性および水溶性ポリマーである。好ましい化学基は、全比率において水溶性である。
【0038】
PEG基のシステイン残基への結合の方法は、Roberts, M.J. et al, Advanced Drug Delivery Reviews 54 (2002) 459-476.に記載されている。
【0039】
「N-グリコシル化部位」は、配列N-Xaa-S/Tを有する(式中、Xaaはプロリンを除く任意のアミノ酸残基であり、Nはアスパラギンであり、S/Tはセリンまたはスレオニンである)。
【0040】
システイン残基と結合する特に好ましい活性化されたPEGポリマーの特定の例には、以下の直鎖状PEGが含まれる。ビニルスルホン-PEG(VS-PEG)、例えばビニルスルホン-mPEG (VS-mPEG); マレイミド-PEG (MAL-PEG), 例えば マレイミド-mPEG (MAL-mPEG) およびオルトピリジル-ジスルフィド-PEG (OPSS-PEG), 例えば オルトピリジル-ジスルフィド-mPEG (OPSS-MPEG)。 典型的には、PEG or mPEG ポリマーは、約 2 kDa、約5 kDa、約10 kD、約12 kDa または 約20 kDaのサイズを有する。
【0041】
当業者であれば、使用される活性化方法および/または結合化学が、ポリマーの官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、アルデヒド、スルフィドリル、スクシンイミジル、マレイミド、ビニスルホン または ハロアセタート)に依存することに気がつくであろう。
【0042】
システイン残基への化学基の結合(例えば、PEG化)のために、FVIIポリペプチドは、PEG化の前に還元剤、例えばジチオスレイトール(DDT)、β-メルカプトエタノール、またはグルタチオン(γ-グルタミルシステイニルグリシン)で処理される(例えば、Higashi, S. Matsumoto, N., Iwanaga, S. (1997) J.Biol.Chem., 272(41), 25724-25730に記載されている)。還元剤は、任意の従来の方法、例えば脱塩によって実質的に除去される。システイン残基へのPEGの結合は、典型的にはpH 6〜9の適切なバッファー中で16時間までの時間にわたる4℃から25℃まで変化する温度で起こる。
【0043】
本発明の一つの実施形態において、FVIIポリペプチドの生成中、導入されたシステイン残基は、混合されたジスルフィド結合形成によって、宿主細胞または培養液中に存在するグルタチオン(γ-グルタミルシステインイルグリシン)、γ-グルタミルシステインおよびシステインからなる群から選択された化学基と結合する。
【0044】
本発明の一つの実施形態において、化学基は、以下のものからなる群から選択される:デンドリマー、ポリアルキレン オキシド(PAO)、ポリアルキレン グリコール(PAG)、ポリエチレン グリコール(PEG)、ポリプロピレン グリコール(PPG)、枝分かれしたPEG、ポリビニル アルコール(PVA)、ポリ-カルボキシラート、ポリ-ビニルピロリドン、ポリエチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリスチレン-コ-マレイン酸無水物、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン; 血清タンパク質結合リガンド、例えばアルブミン(例えば脂肪酸、 C5-C24 脂肪酸, 脂肪族系二酸(例えば C5-C24))と結合する化合物、グリカンが受容体(例えば、アシアログリコプロテイン受容体およびマンノース受容体)と結合するのを阻害する構造物(例えばシアル酸誘導体または疑似体)、生理学的条件下で電荷性質を変化させる基を含む小有機分子、例えばカルボン酸またはアミン、グリカン特異的認識を妨げる中性の置換基、例えば小さなアルキル置換基(例えばC1-C5 アルキル)、一以上のカルボン酸を含み得る低分子有機荷電基(例えばC1-C25)、アミンスルホン、ホスホン酸、またはこれら組み合わせ; 低分子中性親水性分子(例えばC1-C25)、例えばシクロデキストリン、または任意的に枝分かれし得るポリエチレン鎖; 2-40 KDaの平均分子重量をもつポリエチレングリコール; 良好に定義された精密なポリマー、例えば700〜20.000 Da,例えば700〜10.000 Daの範囲の正確な分子量をもつデンドリマー; および実質的には非免疫原性ポリペプチド、例えばアルブミンまたはFcドメインを任意的に含む抗体または抗体の一部。
【0045】
用語「PEG化されたヒト因子VIIa」は、PEG分子がヒト因子VIIaペプチドと結合しているヒト因子VIIaを意味する。PEG分子は、任意のアミノ酸残基または炭水化物基を含む因子VIIaポリペプチドの任意の部分と結合してもよい。用語「システインPEG化ヒト因子VIIa」は、PEG分子がヒト因子VIIaに導入されたシステインのメルカプト基と結合している因子VIIaを意味する。
【0046】
血塊内の因子VIIaの生物学的活性は、(i)組織因子(TF)と結合する能力と、(ii)因子IXまたは因子Xのタンパク質分解開裂を触媒し、活性化された因子IXまたはX(それぞれ、因子IXaまたはXa)を生成する能力からきている。発明の目的のために、因子VIIaの生物学的活性は、製剤の能力を測定することによって定量化され得、因子VII欠乏性血漿およびトロンボプラスチンを使用して血塊を刺激する(例えば、米国特許番号5,997,864に記載)。このアッセイにおいて、生物学的活性は、対照サンプルと比較した血塊時間の減少として現れる。1単位/ml因子VII活性を含む貯留されたヒト標準血清と比較することによって「因子VII単位」に転換される。代わりに、因子VIIa生物学的活性は、(i)脂質膜中に包埋されたTFと因子Xを含む系における因子Xaの生成に対する因子VIIaの能力を測定し(Persson et al., J. Biol. Chem. 272:19919-19924, 1997)、(ii)水性系における因子Xの加水分解性を測定し、(iii)表面プラズモン共鳴に基づいた装置を使用してTFとのその生理学的結合を測定し(Persson, FEBS Letts. 413:359-363, 1997)、(iv)合成基質の加水分解性を測定することによって定量化され得る。
【0047】
野生型因子VIIaと比較して同等または向上した生物学的活性を実質的に有する因子VII変異体は、上述したような血塊アッセイ、タンパク質分解アッセイ、またはTF結合アッセイのうち少なくとも一つで試験されたとき、同等の細胞種類において生成された因子VIIaの特異的活性の少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%、および最も好ましくは少なくとも約90%を示すものを含む。因子VIIの変異体(野生型因子VIIと比較して同等または良好な生物学的活性を実質的に示すか、または野生型因子VIIと比較して修飾または減少した生物学的活性を実質的に示す)は、挿入、欠失、または一以上のアミノ酸の置換によって野生型因子VIIaの配列とは異なるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含むがこれに限定されない。
【0048】
本明細書中に使用された用語「変異体」は、本発明のタンパク質の一以上のアミノ酸が他のアミノ酸によって置換され、および/または本発明のタンパク質の一以上のアミノ酸が欠失され、および/または一以上のアミノ酸がタンパク質内に挿入され、および/または一以上のアミノ酸が親タンパク質に加えられた、SEQ ID NO:1の配列を有する因子VIIを指定することを意味する。このような付加は、親タンパク質のN末端またはC末端のいずれか一方または両方で行われ得る。この定義での「変異体」は、その活性化された形態におけるFVII活性を有する。一つの実施形態において、変異体はSEQ ID NO:1の配列と70%同一である。一つの実施形態において、変異体はSEQ ID NO:1の配列と80%同一である。他の実施形態において、変異体はSEQ ID NO:1の配列と90%同一である。更なる実施形態において、変異体はSEQ ID NO:1の配列と95%同一である。
【0049】
野生型因子VIIと同等の生物学的活性を実質的に有する因子VII変異体の制限のない例には、S52A-FVIIa、S60A-FVIIa (Lino et al., Arch. Biochem. Biophys. 352: 182-192, 1998); 米国特許出願5,580,560中に開示された増加したタンパク質分解安定性を示すFVIIa変異体;残基290および291または前記315および316の間でタンパク質分解的に開裂された因子VIIa(Mollerup et al., Biotechnol. Bioeng. 48:501-505, 1995); 因子VIIaの酸化された形態(Kornfelt et al., Arch. Biochem. Biophys. 363:43-54, 1999); PCT/DK02/00189に開示されたFVII変異体; およびWO 02/38162に開示された増加したタンパク質分解安定性を示すFVII変異体 (Scripps Research Institute); 修飾されたGlaドメインを有し、かつWO 99/20767 (University of Minnesota) および WO 00/66753 (University of Minnesota)に開示された増強した膜結合を示すFVII変異体; およびWO 01/58935 (Maxygen ApS), WO 03/93465 (Maxygen ApS) および WO 04/029091 (Maxygen ApS)に開示されたFVII変異体が含まれる。
【0050】
野生型FVIIaと比較して増加した生物学的活性を有するFVII変異体の制限のない例には、
WO 01/83725, WO 02/22776, WO 02/077218, PCT/DK02/00635, デンマーク特許出願PA 2002 01423, デンマーク特許出願PA 2001 01627; WO 02/38162 (Scripps Research Institute)に開示されたFVII変異体; およびJP 2001061479 (Chemo-Sero-Therapeutic Res Inst.)に開示された増強された活性を有するFVIIa変異体が含まれる。
【0051】
野生型因子VIIと比較して実質的に減少または修飾された生物学的活性を有する因子VII変異体の制限のない例には、R152E-FVIIa(Wildgoose et al., Biochem 29:3413-3420, 1990)、S344A-FVIIa (Kazama et al., J. Biol. Chem. 270:66-72, 1995)、FFR-FVIIa (Holst et al., Eur. J. Vasc. Endovasc. Surg. 15:515-520, 1998)、およびGlaドメインを欠く因子VIIa (Nicolaisen et al., FEBS Letts. 317:245-249, 1993)が含まれる。因子VIIの変異体、因子VIIまたは因子VII関連ポリペプチドの例には、野生型因子VII, L305V-FVII, L305V/M306D/D309S-FVII, L305I-FVII, L305T-FVII, F374P-FVII, V158T/M298Q-FVII, V158D/E296V/M298Q-FVII, K337A-FVII, M298Q-FVII, V158D/M298Q-FVII, L305V/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII, V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII, K157A-FVII, E296V-FVII, E296V/M298Q-FVII, V158D/E296V-FVII, V158D/M298K-FVII, and S336G-FVII, L305V/K337A-FVII, L305V/V158D-FVII, L305V/E296V-FVII, L305V/M298Q-FVII, L305V/V158T-FVII, L305V/K337A/V158T-FVII, L305V/K337A/M298Q-FVII, L305V/K337A/E296V-FVII, L305V/K337A/V158D-FVII, L305V/V158D/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V-FVII, L305V/V158T/M298Q-FVII, L305V/V15
8T/E296V-FVII, L305V/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, S314E/K316H-FVII, S314E/K316Q-FVII, S314E/L305V-FVII, S314E/K337A-FVII, S314E/V158D-FVII, S314E/E296V-FVII, S314E/M298Q-FVII, S314E/V158T-FVII, K316H/L305V-FVII, K316H/K337A-FVII, K316H/V158D-FVII, K316H/E296V-FVII, K316H/M298Q-FVII, K316H/V158T-FVII, K316Q/L305V-FVII, K316Q/K337A-FVII, K316Q/V158D-FVII, K316Q/E296V-FVII, K316Q/M298Q-FVII, K316Q/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D-FVII, S314E/L305V/E296V-FVII, S314E/L305V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/K337A/E296V-FVII, S314E/L305V/K337A/V158D-FVII, S314E/L305V/V158D/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V-FVII, S314E/L305V/V158T/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V-FVII, S314E/L305V/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316H/L305V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D-FVII, K316H/L305V/E296V-FVII, K316H/L305V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T-FVII, K316H/L305V/K337A/V158T-FVII, K316H/L305V/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/K337A/E296V-FVII, K316H/L305V/K337A/V158D-FVII, K316H/L305V/V158D/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V-FVII, K316H/L305V/V158T/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V-FVII, K316H/L305V/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316Q/L305V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D-FVII, K316Q/L305V/E296V-FVII, K316Q/L305V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T-FVII, K316Q/L305V/K337A/V158T-FVII, K316Q/L305V/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/K337A/E296V-FVII, K316Q/L305V/K337A/V158D-FVII, K316Q/L305V/V158D/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V-FVII, K316Q/L305V/V158T/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V-FVII, K316Q/L305V/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/K337A-FVII, F374Y/V158D-FVII, F374Y/E296V-FVII, F374Y/M298Q-FVII, F374Y/V158T-FVII, F374Y/S314E-FVII, F374Y/L305V-FVII, F374Y/L305V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D-FVII, F374Y/L305V/E296V-FVII, F374Y/L305V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158T-FVII, F374Y/L305V/S314E-FVII, F374Y/K337A/S314E-FVII, F374Y/K337A/V158T-FVII, F374Y/K337A/M298Q-FVII, F374Y/K337A/E296V-FVII, F374Y/K337A/V158D-FVII, F374Y/V158D/S314E-FVII, F374Y/V158D/M298Q-FVII, F374Y/V158D/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E-FVII, F374Y/V158T/M298Q-FVII, F374Y/V158T/E296V-FVII, F374Y/E296V/S314E-FVII, F374Y/S314E/M298Q-FVII, F374Y/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/K337A/V158D-FVII, F374Y/L305V/K337A/E296V-FVII, F374Y/L305V/K337A/M298Q-FVII, F374Y/L305V/K337A/V158T-FVII, F374Y/L305V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158D/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/E296V/V158T-FVII, F374Y/L305V/E296V/S314E-FVII, F374Y/L305V/M298Q/V158T-FVII, F374Y/L305V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/S314E-FVII, F374Y/K337A/S314E/V158T-FVII, F374Y/K337A/S314E/M298Q-FVII, F374Y/K337A/S314E/E296V-FVII, F374Y/K337A/S314E/V158D-FVII, F374Y/K337A/V158T/M298Q-FVII, F374Y/K337A/V158T/E296V-FVII, F374Y/K337A/M298Q/E296V-FVII, F374Y/K337A/M298Q/V158D-FVII, F374Y/K337A/E296V/V158D-FVII, F374Y/V158D/S314E/M298Q-FVII, F374Y/V158D/S314E/E296V-FVII, F374Y/V158D/M298Q/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E/M298Q-FVII, F374Y/V158T/M298Q/E296V-FVII, F374Y/E296V/S314E/M298Q-FVII, F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E-FVII, F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E-FVII, F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T-FVII, F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, S52A-因子VII, S60A-因子VII; R152E-因子VII, S344A-因子VII, Glaドメインを欠く因子VIIa; および P11Q/K33E-FVII, T106N-FVII, K143N/N145T-FVII, V253N-FVII, R290N/A292T-FVII, G291N-FVII, R315N/V317T-FVII, K143N/N145T/R315N/V317T-FVII; および 233Thrから240Asnまでのアミノ酸配列内に置換、付加また欠失を有するFVII、304Argから329Cysまでのアミノ酸配列内に置換、付加または欠失を有するFVII、が含まれるがこれらに限定されない。
【0052】
使用されたアミノ酸置換基についての用語法は、以下の通りである。最初の文字は、ヒト野生型FVIIのある位置に存在する天然のアミノ酸を表す。次の数は、ヒト野生型FVIIにおける位置を表す。第二の文字は、天然アミノ酸を置換するための異なるアミノ酸を表す。例えばM298Qでは、ヒト野生型FVIIの298番目の位置にあるメチオニンがグルタミンによって置換される。他の例V158T/M298Qでは、ヒト野生型FVIIの158番目の位置にあるバリンがスレオニンによって置換され、かつ同じ因子VIIポリペプチド内において、ヒト野生型FVIIの298番目の位置にあるメチオニンがグルタミンによって置換される。
【0053】
本発明の更なる実施形態において、因子VIIポリペプチドは、因子VIIポリペプチドの活性と野生型ヒト因子VIIaの活性との間の比率が少なくとも約1.25であるポリペプチドである。一つの実施形態において、因子VIIポリペプチドの活性と野生型ヒト因子VIIaの活性との間の比率は、少なくとも約2.0である。更なる実施形態において、因子VIIポリペプチドの活性と野生型ヒト因子VIIaの活性との間の割合は、少なくとも約4.0である。
【0054】
本発明の更なる実施形態において、因子VIIポリペプチドは、因子VIIa活性アッセイ中に試験されたとき、因子VIIポリペプチドの活性と野生型ヒト因子VIIaの活性との間の比率が少なくとも約1.25であるポリペプチドである。更なる実施形態において、因子VIIポリペプチドの活性と野生型ヒト因子VIIaの活性との間の比率は、因子VIIa活性アッセイ中に試験されたとき、少なくとも約4.0である。因子VIIa活性は、「アッセイ」以下に記載されたアッセイによって測定されてもよい。
【0055】
本発明の更なる実施形態において、因子VIIポリペプチドは、因子VIIポリペプチドの活性と野生型ヒト因子VIIaの活性との間の比率が「インビトロ加水分解アッセイ」中に試験されたとき、少なくとも約1.25であるポリペプチドである。一つの実施形態において、因子VIIポリペプチドの活性と野生型ヒト因子VIIaの活性との間の比率は、「インビトロ加水分解アッセイ」中に試験されたとき、少なくとも約2.0である。更なる実施形態において、因子VIIポリペプチドの活性と野生型ヒト因子VIIaの活性との間の比率は、「インビトロ加水分解アッセイ」中に試験されたとき、少なくとも約4.0である。
【0056】
本発明の更なる実施形態において、因子VIIポリペプチドは、因子VIIポリペプチドの活性と野生型ヒト因子VIIaの活性との間の比率が「インビトロタンパク質分解アッセイ」中に試験されたとき、少なくとも約1.25であるポリペプチドである。一つの実施形態において、因子VIIポリペプチドの活性と野生型ヒト因子VIIaの活性との間の比率は、「インビトロタンパク質分解アッセイ」中に試験されたとき、少なくとも約2.0である。更なる実施形態において、因子VIIポリペプチドの活性と野生型ヒト因子VIIaの活性との間の比率は、「インビトロタンパク質分解アッセイ」中に試験されたとき、少なくとも約4.0である。更なる実施形態において、因子VIIポリペプチドの活性と野生型ヒト因子VIIaの活性との間の比率は、「インビトロタンパク質分解アッセイ」中に試験されたとき、少なくとも約8.0である。
【0057】
本発明はまた、野生型と比較して増加した活性を有する因子VII/VIIa変異体に適している。増加した活性を有する因子VII/VIIa変異体は、以下に記載された好適なアッセイにおける試験によって見出され得る。これらのアッセイは、単純な予備的インビトロ試験として行われ得る。従って、表題「アッセイ」は、本発明の因子VIIa変異体の活性についての単純な試験を開示する(表題「インビトロ加水分解アッセイ」)。これらに基づいて、特別な関心の集まる因子VII変異体は、変異体の活性と野生型因子VIIの活性との間の比率が、「インビトロ加水分解アッセイ」中に試験されたとき、1.0を超える(例えば少なくとも約1.25、好ましくは少なくとも約2.0、さらに好ましくは少なくとも約3.0、最も好ましくは少なくとも4.0)変異体である。
【0058】
変異体の活性はまた、100〜1000nMの濃度で適合する生理学的基質、例えば因子X(「インビトロタンパク質分解アッセイ」)(「アッセイ」以下を参照)を使用して測定され得、生成された因子Xaは、好適な色素生産性基質(例えばS-2765)の添加後に測定される。さらに、活性アッセイは生理学的温度で行うことができる。
【0059】
トロンビンを生成する因子VIIa変異体の能力はまた、生理学的濃度での全ての関連凝固因子および阻害剤(血友病A状態を模擬するときのマイナス因子VIII)および活性化された血小板(p. 543 in Monroe et al. (1997) Brit. J. Haematol. 99, 542-547(参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載)を含むアッセイ中で測定され得る。
【0060】
用語「同一性」は、当業者に周知なように、配列を比較することによって決定される、二以上のポリペプチド分子または二以上の核酸分子の配列間の関係を意味する。技術的に、「同一性」はまた、場合に応じて、二以上の核酸残基または二以上のアミノ酸残基の文字列間の一致の数によって決定される、核酸分子間またはポリペプチド間の配列の関連性の程度を意味する。「同一性」は、特定の数学的モデルまたはコンピュータープログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によってアドレス指定されたギャップアライメントを有するより小さな二以上の配列間の同一的一致(identical matches)のパーセンテージを測定する。
【0061】
用語「類似性」は、関連した概念であるが「同一性」とは対照的であり、同一的一致と保存的置換一致(conservative substitution matches)の両方を含む配列関係を意味する。2つのポリペプチド配列が例えば{フラクション(10/20)}の同一性アミノ酸を有し、かつ残りが全て非保存的な置換である場合、パーセント同一性および類似性は共に50%である。同一の例において、保存的置換が存在する位置が5以上存在する場合、パーセント同一性は50%のままであるが、パーセント類似性は75%({フラクション(15/20)})になる。それゆえ、保存的置換が存在する場合、2つのポリペプチド間の類似性の程度は、これらの二つのポリペプチド間のパーセント同一性よりも高くなるであろう。
【0062】
用語「単離されたポリペプチド」は、(1)天然においてポリペプチドと結合するポリヌクレオチド、脂質、糖質または他の物質(すなわち、混入物)の少なくとも約50%を分離した本発明のポリペプチド、(2)天然において「単離されたポリペプチド」が結合するポリペプチドの全てまたは一部と共有結合しない本発明のポリペプチド、(3)天然において共有結合しないポリペプチドに動作可能に共有結合する本発明のポリペプチド、または(4)天然において存在しない本発明のポリペプチドを意味する。好ましくは、単離されたポリペプチドは、全ての他の混入ポリペプチド、またはその治療的、診断的、予防的または調査的使用を妨害する自然環境において見出される他の混入物質を実質的に含まない。
【0063】
SEQ ID NO:1のアミノ酸配列での保存的修飾(およびコードするヌクレオチドに対応する修飾)は、天然に存在するFVIIポリペプチドに類似する機能的および化学的特性を有するFVIIポリペプチドを生成するであろう。対照的に、FVIIポリペプチドの機能的および/または化学的特性の実質的な修飾は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列中の置換部位を選択することによって成し遂げられ得る。この修飾によって、(a)置換の領域内における分子背骨の構造、例えばシートまたはらせん構造、(b)標的部位での分子の荷電または疎水性、または(c)側鎖の大きさ、を保つその効果が著しく異なる。
【0064】
例えば、「保存的アミノ酸の置換」は、天然のアミノ酸残基を、その位置でアミノ酸残基の極性または荷電の影響がほとんど無いような非天然の残基と置換することを含み得る。さらに、ポリペプチド内の任意の天然の残基はまた、「アラニン走査突然変異誘発」について既に記載されているように、アルマンディン(almandine)で置換されてもよい(例えばMacLennan et al., 1998, Acta Physiol. Scand. Suppl. 643:55-67; Sasaki et al., 1998, Adv. Biophys. 35:1-24(アラニン走査突然変異誘発について議論)を参照)。
【0065】
関連したポリペプチドの同一性および類似性は、周知の方法によって容易に計算され得る。このような方法には、Computational Molecular Biology, Lesk, A. M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York, 1991; and Carillo et al., SIAM J. Applied Math., 48:1073 (1988)に記載されたものが含まれるがこれらに限定されない。
【0066】
同一性および/または類似性を決定する好ましい方法は、試験対象の配列間で最も大きな一致を与えるようにデザインされる。同一性および類似性を決定する方法は、公共的に利用可能なコンピュータープログラム内に記載されている。二つの配列間の同一性および類似性を決定する好ましいコンピュータープログラムの方法は、GAP(Devereux et al., Nucl. Acid. Res., 12:387 (1984); Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA (Altschul et al., J. Mol. Biol., 215:403-410 (1990))を含むGCGプログラムパッケージを含むがこれらに限定されない。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information (NCBI) および 他のソース(BLAST Manual, Altschul et al. NCB/NLM/NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul et al., supra)から公共的に利用可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムはまた、同一性を決定するために使用され得る。
【0067】
二つのアミノ酸配列を整列させるためのアライメントスキームは、二つの配列の短い領域のみのマッチングをもたらしてもよく、この小さな整列された領域は、二つの完全長配列間に顕著な関係が存在しない場合であっても、非常に高い配列の同一性を有する。これに応じて、好ましい実施形態において、選択された整列方法(GAPプログラム)は、標的ポリペプチドの少なくとも50の隣接したアミノ酸に及ぶ整列をもたらすであろう。
【0068】
例えば、コンピュータアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)を使用し、配列同一性のパーセンテージが決定される二つのポリペプチドを、それぞれのアミノ酸の最適なマッチング(アルゴリズムによって決定された「一致した長さ」)のために整列させる。ギャップオープニングペナルティ(3回の平均対角線として計算される;「平均対角線」は使用される比較マトリックスの対角線の平均である;「対角線」は、特定の比較マトリックスによって完全にアミノ酸が一致するように割り当てられたスコアまたは数である)およびギャップエクステンションペナルティ(通常{フラクション(1/10)}倍のギャップオープニングペナルティである)、ならびに比較マトリックス、例えばPAM 250またはBLOSUM 62が、アルゴリズムと組み合わせて使用される。また、標準的な比較マトリックス{ Dayhoff et al., Atlas of Protein Sequence and Structure, vol. 5, supp.3 (1978)(PAM 250 比較マトリックスについて); Henikoff et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA, 89:10915-10919 (1992)(BLOSUM 62 比較マトリックスについて)を参照 }が、アルゴリズムによって使用される。
【0069】
ポリペプチド配列比較のための好ましいパラメータには以下のものが含まれる:アルゴリズム:Needleman et al., J. Mol. Biol, 48:443-453 (1970); 比較マトリックス: BLOSUM 62 from Henikoff et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:10915-10919 (1992); Gap Penalty: 12, Gap Length Penalty: 4, Threshold of Similarity: 0.
上述したパラメータを有するGAPプログラムは有用である。上述したパラメータは、GAPアルゴリズムを使用するポリペプチド比較についてのデフォルトパラメータである(エンドギャップについてはペナルティを課さない)。
【0070】
核酸分子配列の比較のための好ましいパラメータには、以下のものが含まれる:アルゴリズム:Needleman et al., J. Mol Biol., 48:443-453 (1970); 比較マトリックス: 一致=+10、不一致=0、Gap Penalty: 50, Gap Length Penalty: 3.
上述したパラメータを有するGAPプログラムは有用である。上述したパラメータは、核酸分子比較のためのデフォルトパラメータである。
【0071】
Program Manual, Wisconsin Package, Version 9, September, 1997中に示されたものを含む、他の模範的アルゴリズム、ギャップオープニングペナルティ、ギャップエクステンションペナルティ、比較マトリックス、類似性の閾値、等々を使用してもよい。作製されるべき特定の選択は、当業者にとって明らかであり、作製されるべき特定の比較、例えばDNA対DNA、タンパク質対タンパク質、タンパク質対DNAに依存するであろう。さらに、比較対象は、配列の与えられたペアの間(この場合、GAPまたはBestFitが一般的に好ましい)または一つの配列と配列の大きなデータベースとの間(この場合、FASTAまたはBLASTAが好ましい)である。
【0072】
用語「組織因子結合親和性」は、本明細書中で使用されるとき、FVIIポリペプチドのヒト組織因子に対する結合の強度を意味する。FVIIポリペプチドの親和性は、[FVII] × [TF] / [FVII-TF]([FVII-TF]はFVII/TF複合体のモル濃度であり、[FVII]は未結合のFVIIポリペプチドのモル濃度であり、[TF]は、未結合のヒト組織因子のモル濃度である)によって定義された解離定数Kdによって測定される。親和性定数Kaは1/Kdによって定義される。
【0073】
用語「組み換え体野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性」は、本明細書中で使用されるとき、組み換え体野生型ヒト因子VIIaの活性の50%を超える活性を意味する。一つの実施形態において、前記活性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの活性の60%を超える。一つの実施形態において、前記活性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの活性の70%を超える。一つの実施形態において、前記活性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの活性の80%を超える。他の実施形態において、前記活性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの活性の90%を超える。更なる実施形態において、前記活性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの活性の100%を超える。更なる実施形態において、前記活性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの活性の120%を超える。更なる実施形態において、前記活性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの活性の200%を超える。更なる実施形態において、前記活性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの活性の400%を超える。
【0074】
用語「活性」は、本明細書中で使用されるとき、その基質因子Xを活性因子Xaに転換させる因子VIIポリペプチドの能力を意味する。因子VIIポリペプチドの活性は、「インビトロタンパク質分解アッセイ」で測定し得る。
【0075】
用語「組換え体野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性」は、本明細書中で使用されるとき、TF結合親和性アッセイ(例5において記載されたバイオセンサ等)において測定されたとき、組み換え体野生型ヒト因子VIIaよりも低い結合親和性を意味する。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の90%未満である。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の80%未満である。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の70%未満である。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の60%未満である。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の50%未満である。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の40%未満である。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の30%未満である。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の20%未満である。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の10%未満である。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の5%未満である。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の1%未満である。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の0.1%未満である。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の0.01%未満である。一つの実施形態において、組織因子結合親和性は組み換え体野生型ヒト因子VIIaの組織因子結合親和性の0.001%未満である。
【0076】
用語「ポリエチレングリコール」または「PEG」は、カップリング因子、カップリングまたは活性化基(例えば、チオール、トリフラート、トレシラート、アジルジン、オキシラン、または好ましくはマレイミド基)を含む/含まないポリエチレングリコール化合物またはその誘導体を意味する。化合物、例えばマレイミドモノメトキシPEGは、本発明の活性化されたPEG化合物の典型例である。
【0077】
本発明の一つの実施形態において、因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1のK18 , R36, S43, K62, Q64, L65, I69, F71, L73, P74, E77, G78, R79, K85, Q88, N93, F275, R277, M306, T307, Q308, D309, またはR379から選択された位置のアミノ酸に対応する一以上のアミノ酸が、組織因子結合親和性を低下させる異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0078】
用語「異なるアミノ酸」は、本明細書中で使用されたとき、上記位置に天然に存在するアミノ酸とは異なる一以上のアミノ酸を意味する。これにはポリヌクレオチドによってコードされ得るアミノ酸が含まれるがこれらに限定されない。好ましくは異なるアミノ酸は天然のL形態であり、ポリヌクレオチドによってコードされ得る。特定の例はLグルタミン酸(L-Glu)である。
【0079】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置K18のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置K18の異なるアミノ酸は、E, D, A, およびFからなる群から選択される。
【0080】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置R36のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置R36の異なるアミノ酸は、E, D, A, およびFからなる群から選択される。
【0081】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置S43のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置S43の異なるアミノ酸は、E, D, K, R, A, FおよびNからなる群から選択される。一つの実施形態において、この異なるアミノ酸は、E, D, K, R, AおよびFからなる群から選択される。一つの実施形態において、この異なるアミノ酸はNである。
【0082】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置K62のアミノ酸と対応するアミノ酸が、異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置K62の異なるアミノ酸は、E, D, AおよびFからなる群から選択される。一つの実施形態において、この異なるアミノ酸は、D, AおよびFからなる群から選択される。
【0083】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置Q64のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置Q64のこの異なるアミノ酸は、E, D, K, R, A, および Fからなる群から選択される。
【0084】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置L65のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。SEQ ID NO: 1の位置L65のこの異なるアミノ酸は、E, D, K, R, A, および Fからなる群から選択される。
【0085】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置I69のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。SEQ ID NO: 1の位置L69のこの異なるアミノ酸は、E, D, K, R, Aおよび Fからなる群から選択される。一つの実施形態において、この異なるアミノ酸は、E, D, K, R, および Fからなる群から選択される。
【0086】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置F71のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置F71のこの異なるアミノ酸は、E, D, K, R, および Aからなる群から選択される。一つの実施形態において、この異なるアミノ酸は、K, R, および Aからなる群から選択される。
【0087】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置L73のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置L73のこの異なるアミノ酸は、E, D, K, R, A, および Fからなる群から選択される。
【0088】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置P74のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位P74のこの異なるアミノ酸は、E, D, K, R, A, および Fからなる群から選択される。
【0089】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置E77のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置E77のこの異なるアミノ酸は、K, R, および Aからなる群から選択される。
【0090】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置G78のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置G78のこの異なるアミノ酸は、E, D, K, R, A, および Fからなる群から選択される。
【0091】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置R79のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置R79のこの異なるアミノ酸は、E, D, および Aからなる群から選択される。
【0092】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置K85のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置K85のこの異なるアミノ酸は、E, D, および Aからなる群から選択される。
【0093】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置Q88のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置Q88のこの異なるアミノ酸は、E, D, K, R, A, および Fからなる群から選択される。
【0094】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置N93のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置N93のこの異なるアミノ酸は、E, D, K, R, A, および Fからなる群から選択される。
【0095】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置F275のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置F275のこの異なるアミノ酸は、E, D, K, R, および Aからなる群から選択される。
【0096】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置R277のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置R277のこの異なるアミノ酸は、E, D, A, および Fからなる群から選択される。
【0097】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置T307のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置T307のこの異なるアミノ酸は、E, D, K, R, A, F, および Nからなる群から選択される。
【0098】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置Q308のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置Q308のこの異なるアミノ酸は、E, D, K, R, A, F, および Nからなる群から選択される。
【0099】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置R379のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置R379のこの異なるアミノ酸は、E, D, A, および Fからなる群から選択される。
【0100】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置M306のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置M306のこの異なるアミノ酸は、E, D, K, R, A, および Fからなる群から選択される。一つの実施形態において、この異なるアミノ酸は、E, K, R, A, および Fからなる群から選択される。
【0101】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置D309のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1の位置D309のこの異なるアミノ酸は、K, R, および Aからなる群から選択される。
【0102】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、S43N-FVII, K62E-FVII, Q64E-FVII, I69F-FVII, K62E/I69A-FVII, Q64E/I69A-FVII, K62E/Q64E/I69A-FVII, K62E/I69F-FVII, Q64E/I69F-FVII, および K62E/Q64E/I69F-FVIIからなる群から選択された因子VIIポリペプチドである。
【0103】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、 L305V, L305V/M306D/D309S, L305I, L305T, F374P, V158T/M298Q, V158D/E296V/M298Q, K337A, M298Q, V158D/M298Q, L305V/K337A, V158D/E296V/M298Q/L305V, V158D/E296V/M298Q/K337A, V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A, K157A, E296V, E296V/M298Q, V158D/E296V, V158D/M298K, および S336G, L305V/K337A, L305V/V158D, L305V/E296V, L305V/M298Q, L305V/V158T, L305V/K337A/V158T, L305V/K337A/M298Q, L305V/K337A/E296V, L305V/K337A/V158D, L305V/V158D/M298Q, L305V/V158D/E296V, L305V/V158T/M298Q, L305V/V158T/E296V, L305V/E296V/M298Q, L305V/V158D/E296V/M298Q, L305V/V158T/E296V/M298Q, L305V/V158T/K337A/M298Q, L305V/V158T/E296V/K337A, L305V/V158D/K337A/M298Q, L305V/V158D/E296V/K337A, L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A, L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A, S314E/K316H, S314E/K316Q, S314E/L305V, S314E/K337A, S314E/V158D, S314E/E296V, S314E/M298Q, S314E/V158T, K316H/L305V, K316H/K337A, K316H/V158D, K316H/E296V, K316H/M298Q, K316H/V158T, K316Q/L305V, K316Q/K337A, K316Q/V158D, K316Q/E296V, K316Q/M298Q, K316Q/V158T, S314E/L305V/K337A, S314E/L305V/V158D, S314E/L305V/E296V, S314E/L305V/M298Q, S314E/L305V/V158T, S314E/L305V/K337A/V158T, S314E/L305V/K337A/M298Q, S314E/L305V/K337A/E296V, S314E/L305V/K337A/V158D, S314E/L305V/V158D/M298Q, S314E/L305V/V158D/E296V, S314E/L305V/V158T/M298Q, S314E/L305V/V158T/E296V, S314E/L305V/E296V/M298Q, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q, S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q, S314E/L305V/V158T/E296V/K337A, S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q, S314E/L305V/V158D/E296V/K337A, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A, K316H/L305V/K337A, K316H/L305V/V158D, K316H/L305V/E296V, K316H/L305V/M298Q, K316H/L305V/V158T, K316H/L305V/K337A/V158T, K316H/L305V/K337A/M298Q, K316H/L305V/K337A/E296V, K316H/L305V/K337A/V158D, K316H/L305V/V158D/M298Q, K316H/L305V/V158D/E296V, K316H/L305V/V158T/M298Q, K316H/L305V/V158T/E296V, K316H/L305V/E296V/M298Q, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q, K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q, K316H/L305V/V158T/E296V/K337A, K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q, K316H/L305V/V158D/E296V/K337A , K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A, K316Q/L305V/K337A, K316Q/L305V/V158D, K316Q/L305V/E296V, K316Q/L305V/M298Q, K316Q/L305V/V158T, K316Q/L305V/K337A/V158T, K316Q/L305V/K337A/M298Q, K316Q/L305V/K337A/E296V, K316Q/L305V/K337A/V158D, K316Q/L305V/V158D/M298Q, K316Q/L305V/V158D/E296V, K316Q/L305V/V158T/M298Q, K316Q/L305V/V158T/E296V, K316Q/L305V/E296V/M298Q, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q, K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q, K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A, K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q, K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A , K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A, F374Y/K337A, F374Y/V158D, F374Y/E296V, F374Y/M298Q, F374Y/V158T, F374Y/S314E, F374Y/L305V, F374Y/L305V/K337A, F374Y/L305V/V158D, F374Y/L305V/E296V, F374Y/L305V/M298Q, F374Y/L305V/V158T, F374Y/L305V/S314E, F374Y/K337A/S314E, F374Y/K337A/V158T, F374Y/K337A/M298Q, F374Y/K337A/E296V, F374Y/K337A/V158D, F374Y/V158D/S314E, F374Y/V158D/M298Q, F374Y/V158D/E296V, F374Y/V158T/S314E, F374Y/V158T/M298Q, F374Y/V158T/E296V, F374Y/E296V/S314E, F374Y/S314E/M298Q, F374Y/E296V/M298Q, F374Y/L305V/K337A/V158D, F374Y/L305V/K337A/E296V, F374Y/L305V/K337A/M298Q, F374Y/L305V/K337A/V158T, F374Y/L305V/K337A/S314E, F374Y/L305V/V158D/E296V, F374Y/L305V/V158D/M298Q, F374Y/L305V/V158D/S314E, F374Y/L305V/E296V/M298Q, F374Y/L305V/E296V/V158T, F374Y/L305V/E296V/S314E, F374Y/L305V/M298Q/V158T, F374Y/L305V/M298Q/S314E, F374Y/L305V/V158T/S314E, F374Y/K337A/S314E/V158T, F374Y/K337A/S314E/M298Q, F374Y/K337A/S314E/E296V, F374Y/K337A/S314E/V158D, F374Y/K337A/V158T/M298Q, F374Y/K337A/V158T/E296V, F374Y/K337A/M298Q/E296V, F374Y/K337A/M298Q/V158D, F374Y/K337A/E296V/V158D, F374Y/V158D/S314E/M298Q, F374Y/V158D/S314E/E296V, F374Y/V158D/M298Q/E296V, F374Y/V158T/S314E/E296V, F374Y/V158T/S314E/M298Q, F374Y/V158T/M298Q/E296V, F374Y/E296V/S314E/M298Q, F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E, F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E, F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A, F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A, F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E, F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E, F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E, F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A, F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E, F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E, F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A, F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E, F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E, F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E, F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E, F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q, F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A, F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A, F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E, F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E, F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E, F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T, F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E, F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E, S52A, S60A; R152E, S344A, P11Q/K33E, T106N, K143N/N145T, V253N, R290N/A292T, G291N, R315N/V317T, および K143N/N145T/R315N/V317Tからなる群から選択されたアミノ酸置換基をさらに含む因子VIIポリペプチド; または233Thrから240Asnまでのアミノ酸配列内に置換、付加または欠失を有する因子VIIポリペプチド、または304Argから329Cysまでのアミノ酸配列内に置換、付加または欠失を有する因子VIIポリペプチドである。
【0104】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、前記因子VIIポリペプチドの解離定数Kdが5nMよりも高い( 例えば7 nMより高い、例えば10 nMより高い、例えば20 nMより高い、例えば30 nMより高い、例えば50 nMより高い、例えば100 nMより高い、例えば200 nMより高い、例えば300 nMより高い、例えば400 nMより高い、例えば500 nMより高い、例えば1μMより高い )因子VIIポリペプチドである。
【0105】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置のアミノ酸に対応するK18X1, R36X2, S43X3, K62X4, Q64X5, L65X6, I69X7, F71X8, L73X9, P74X10, E77X11, G78X12, R79X13, K85X14, Q88X15, N93X16, F275X17, R277X18, M306X19, T307X20, Q308X21, D309X22, or R379X23 から選択された一以上のアミノ酸置換を含み、異なるアミノ酸が組織因子結合親和性を減少させる(式中、
X1は、E, D, A, または F;
X2は、E, D, K, A, F, または N;
X3は、E, D, K, R, A, または F;
X4は、D, A, または F;
X5は、E, D, K, R, A, F, または N;
X6は、E, D, K, R, A, または F;
X7は、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X8は、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, または W;
X9は、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X10は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X11は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X12は、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X13は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X14は、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, または Y;
X15は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X16は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X17は、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X18は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X19は、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X20は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, または Y;
X21は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X22は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, または Y; および
X23は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y.)。
【0106】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1のK18, R36, K62, Q64, L65, I69, F71, L73, P74, E77, G78, R79, K85, Q88, N93, F275, R277, M306, Q308, D309, または R379から選択された位置のアミノ酸と対応する一以上のアミノ酸が、組織因子結合親和性を減少させ、かつ化学基(化学基は、前記因子VIIポリペプチドの分子量を増加させる)と任意的に結合するシステインアミノ酸残基で置換された因子VIIポリペプチドである。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のK18が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のR36が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のK62が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のQ64が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のL65が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のI69が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のF71が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のF73が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のP74が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のE77が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のG78が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のR79が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のK85が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のQ88が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のN93が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実
施形態において、SEQ ID NO: 1のF275が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のR277が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のM306が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のQ308が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のD309が、システインアミノ酸残基と置換される。一つの実施形態において、SEQ ID NO: 1のR379が、システインアミノ酸残基と置換される。
【0107】
さらなる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1のR36, Q64, I69, F71, P74, E77, G78, Q88, N93, F275, M306, T307, または D309から選択された位置で始まるアミノ酸に対応するアミノ酸の置換によって導入された一以上のNグリコシル化部位N-Xaa-S/Tを含む因子VIIポリペプチドである(式中、XaaはPを除いた任意のアミノ酸であり、導入されたN-グリコシル化部位は、組織因子結合親和性を減少させる)。一つの実施形態において、Nグリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のR36で始まる位置に導入される。一つの実施形態において、Nグリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のR36で始まる位置に導入される。一つの実施形態において、Nグリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のQ64で始まる位置に導入される。一つの実施形態において、Nグリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のI69で始まる位置に導入される。一つの実施形態において、Nグリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のF71で始まる位置に導入される。一つの実施形態において、Nグリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のP74で始まる位置に導入される。一つの実施形態において、Nグリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のE77で始まる位置に導入される。一つの実施形態において、Nグリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のG78で始まる位置に導入される。一つの実施形態において、Nグリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のQ88で始まる位置に導入される。一つの実施形態において、Nグリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のN93で始まる位置に導入される。一つの実施形態において、N-グリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のF275で始まる位置に導入される。一つの実施形態において、N-グリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のM306で始まる位置に導入される。一つの実施形態において、N-グリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のT307で始まる位置に導入される。一つの実施形態において、Nグリコシル化部位N-Xaa-S/Tは、SEQ ID NO: 1のD309で始まる位置に導入される。
【0108】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置K18のアミノ酸に対応するアミノ酸が、E, D, A, およびFからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0109】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置R36のアミノ酸に対応するアミノ酸が、E, D, K, A, F, およびNからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0110】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置S43のアミノ酸に対応するアミノ酸が、E, D, K, R, A, およびFからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0111】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置K62のアミノ酸に対応するアミノ酸が、D, A, およびFからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0112】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置Q64のアミノ酸に対応するアミノ酸が、E, D, K, R, A, F, およびNからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0113】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置L65のアミノ酸に対応するアミノ酸が、E, D, K, R, A, およびFからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0114】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置I69のアミノ酸に対応するアミノ酸が、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0115】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置F71のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, および Wからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0116】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置L73のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0117】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置P74のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0118】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置E77のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0119】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置G78のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0120】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置R79のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0121】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置K85のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0122】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置Q88のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0123】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置N93のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0124】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置F275のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0125】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置R277のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0126】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置M306のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0127】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置T307のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0128】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置Q308のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0129】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置D309のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0130】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、SEQ ID NO: 1の位置R379のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された因子VIIポリペプチドである。
【0131】
更なる実施形態において、本発明の因子VIIポリペプチドは、FVII-(S43N), FVII-(K62E), FVII-(Q64E), FVII-(I69F), FVII-(K62E/I69A), FVII-(Q64E/I69A), FVII-(Q62E/Q64E/I69A), FVII-(K62E/I69F), FVII-(Q64E/I69F), FVII-(K62E/Q64E/I69F), FVII-(S43C), FVII-(I69C), FVII-(Q64C), FVII-(M306C), FVII-(R277C), FVII-(I69N/F71T), FVII-(F71N/L73T), FVII-(R277N), および FVII-(D309N/L311T)からなる群から選択された因子VIIポリペプチドである。
【0132】
一つの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド構築物は、ベクターである。用語「ポリヌクレオチド」は、5’から3’末端へ読まれたデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの一本鎖または二本鎖のポリマーを意味する。ポリヌクレオチドは、RNAおよびDNAを含み、天然源から単離されてもよく、インビトロで合成されるかまたは天然および合成分子の組み合わせから調製されてもよい。ポリヌクレオチド分子の長さは、ヌクレオチド(略語「nt」)または塩基対(略語「bp」)の用語で本明細書中に与えられる。用語「ヌクレオチド」は、内容が許す限り、一本鎖および二本鎖分子の両方について使用される。用語が二本鎖分子に適用されるとき、それは全体の長さを示すために使用され、用語「塩基対」に等しいものであると理解される。二本鎖ポリヌクレオチドの二本の鎖は、わずかに長さが異なっていてもよく、かつその末端は酵素的切断の結果としてねじれてもよい。従って、二本鎖ポリヌクレオチド分子内の全てのヌクレオチドが、対になっている必要はない。該未形成対の末端は、一般には20nt長を超えない。
【0133】
用語「ベクター」は、本明細書中で使用されたとき、宿主細胞を増幅できる任意の核酸単位を意味する。従って、ベクターは、自動的に複製するベクター、すなわち、染色体外単位として存在するベクター、染色体複製から独立した複製体、例えばプラスミドであってもよい。代わりに、ベクターは、宿主細胞に導入されたとき、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体内で一緒に複製されるものであってもよい。ベクターの選択は、しばしば導入する宿主細胞に依存するであろう。ベクターには、プラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスまたはコスミドベクターが含まれるがこれに限定されない。ベクターは、通常は複製起源と少なくとも一つの選択可能な遺伝子(すなわち、容易に検出可能であるかまたは細胞増殖に欠かせない生成物をコードする遺伝子)を含む。
【0134】
一つの実施形態において、本発明の真核生物宿主細胞は、哺乳類起源である。更なる実施形態において、本発明の真核生物宿主細胞は、CHO細胞、BHK細胞およびHEK細胞からなる群から選択される。
【0135】
用語「真核生物宿主細胞」は、本明細書中で使用されたとき、異種DNAが発現し得るハイブリッド細胞を含む任意の細胞を表わす。典型的な宿主細胞には、昆虫細胞、酵母細胞、ヒト細胞を含む哺乳類細胞(例えば、BHK, CHO, HEK, および COS細胞)が含まれるがこれらに限定されない。本発明のプラクティスにおいて、培養される宿主細胞は、好ましくは哺乳類細胞、より好ましくは樹立された哺乳類細胞株である。この中には、CHO (例えば ATCC CCL 61)、COS-1 (例えば ATCC CRL 1650)、若齢ハムスターの腎臓(BHK)および HEK293 (例えば、ATCC CRL 1573; Graham et al., J. Gen. Virol. 36:59-72, 1977)細胞株が含まれるがこれらに限定されない。
【0136】
好ましいBHK細胞株は、tk-ts 13 BHK細胞株(Waechter and Baserga, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:1106-1110, 1982)である(以下、BHK 570細胞として参照される)。BHK 570細胞株は、ATCC許認可番号CRL 10314のもとAmerican Type Culture Collection(12301 Parklawn Dr., Rockville, MD 20852)から利用可能である。tk-ts 13 BHK細胞株はまた、許認可番号CRL 1632のもとATCCから利用可能である。
【0137】
他の適切な細胞株には、Rat Hep I (Rat肝細胞腫; ATCC CRL 1600), Rat Hep II (Rat肝細胞腫; ATCC CRL 1548), TCMK (ATCC CCL 139), ヒト肺(ATCC HB 8065), NCTC 1469 (ATCC CCL 9.1) および DUKX細胞 (Urlaub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220, 1980)が含まれるがこれらに限定されない。また、3T3細胞、Namalwa細胞、ミエローマ細胞、およびミエローマ細胞と他の細胞との融合細胞が有用である。一つの実施形態において、真核宿主細胞は哺乳類起源の細胞である。更なる実施形態において、真核宿主細胞は、CHO細胞、BHK細胞またはHEK細胞からなる群から選択される。
【0138】
用語「治療」は、進行する症状または疾病状態を防ぐために、あるいは既に進行してしまった症状または疾病状態を治療または緩和するために、本発明の治療学的活性化合物の有効な量の投与を意味する。用語「治療」には、予防学的治療が含まれることを意味する。
【0139】
用語「正常な止血系の増強」は、トロンビンを生成する能力の増強を意味する。
【0140】
本明細書中で使用されたとき、用語「出血性疾患」は、先天性、獲得性または導入型の、出血によって明らかになる細胞または分子起源の任意の欠陥を反映する。例えば、凝固因子の欠乏(例えば、血友病AおよびBまたは凝固因子XIまたはVIIの不足)、凝固因子の阻害、欠陥血小板機能、血小板減少症またはフォン ウィルブラント病がある。
【0141】
用語「出血性発症」には、手術および組織損傷の他の形態の両方と関連した主要な問題である制御不能かつ過度の出血が含まれる。制御不能かつ過度の出血は、正常な凝固系をもつ患者と、凝血性または出血性疾患に罹患した患者で起こり得る。凝固因子の欠如(血友病AおよびB、凝固因子XIまたはVIIの欠乏)または凝固因子の阻害は、出血性疾患の原因になり得る。過度の出血はまた、正常に機能する(任意の凝固因子に対して凝固因子の欠乏または阻害を示さない)血液凝固カスケードをもつ患者でも起こり、欠陥のある血小板機能、血小板減少症またはフォン ウィルブラント病によって引き起こされ得る。このような場合において、出血は、血友病によって引き起こされる出血と類似する可能性がある。血友病のように、止血系が欠損しているかまたは大部分で出血を引き起こす異常な主要な凝血「化合物」(例えば、血小板またはフォン ウィルブラント因子タンパク質)を有するからである。手術または大きな外傷と関連した過度の組織損傷を受けた患者では、正常な止血メカニズムは、即時止血の要求によって抑圧され得、正常な止血メカニズムがあるにもかかわらず出血が激しくなる。
【0142】
出血が器官、例えば脳、内耳領域および眼で起こるとき、外科的止血が制限される可能性があり、満足な止血を達成することは難しい。同じ問題が、様々な器官(肝臓、肺、癌組織、胃腸管)および腹腔鏡手術からの生検を行うプロセスにおいて生じる可能性がある。全てのこれらの状況についての共通点は、出血が広がったときに、外科的技術(縫合、クリップ、等々)による止血を提供するのが難しい。また、欠陥のある止血が患者に適用された場合、抗凝血療法では激しくかつ大量の出血が患者に起こる恐れがある。このような患者は、抗凝血作用を直ちに防がなければならない場合に外科的処置を必要とする。ラジカルレトロピュービック(Radical retropubic)な前立腺切除は、局在化した前立腺癌をもつ患者に対して共通して行われる手順である。この手術はしばしば非常に複雑であり、時には大量の血液損失をもたらす。前立腺切除中に相当量の血液損失は、外科的止血が簡単にできない様々な密度で血管新生化された部位での、複雑な解剖学的条件に深く関係し、広い面積からの出血の広がりによって生じ得る。不十分な止血の場合における問題が生じる可能性がある他の状況は、血栓塞栓性疾患を防ぐために、正常な止血のメカニズムをもつ患者に抗凝血療法を適用するときである。このような療法は、ヘパリン、プロテオグリカンの他の形態、ワルファリンまたはビタミンKアンタゴニストの他の形態およびアスピリンおよび他の血小板凝縮阻害剤を含んでいてもよい。
【0143】
本発明の一つの実施形態において、出血は血友病AまたはBと関連する。他の実施形態において、出血は獲得された阻害物質とともに血友病と関連する。他の実施形態において、出血は血小板減少症と関連する。他の実施形態において、出血はフォン ウィルブラント疾患と関連する。他の実施形態において、出血は重い組織損傷と関連する。他の実施形態において、出血は重い外傷と関連する。他の実施形態において、出血は手術と関連する。他の実施形態において、出血は腹腔鏡手術と関連する。他の実施形態において、出血は出血性胃炎と関連する。他の実施形態において、出血は大量の子宮出血である。他の実施形態において、出血は機械的止血の可能性が制限された器官内で起こる。他の実施形態において、出血は脳、内耳領域または眼で生じる。他の実施形態において、出血は生検をとるプロセスと関連する。他の実施形態において、出血は抗凝血療法と関連する。
【0144】
本明細書中で使用される用語「患者(subject)」は、任意の動物、特に哺乳類、例えばヒトを意味し、適切には用語「患者(patient)」と交換可能に使用され得る。
【0145】
本明細書中に使用されたアミノ酸置換についての用語法は、以下の通りである。最初の文字は、SEQ ID NO: 1のある位置に存在する天然のアミノ酸を表わす。次の数は、SEQ ID NO: 1のその位置を表わす。第2の文字は、天然のアミノ酸についての異なるアミノ酸の置換を表わす。例えば、S43Nは、SEQ ID NO: 1の位置43のセリンがアスパラギンによって置換される。他の例として、K62E/I69Aは、SEQ ID NO: 1の位置62のリシンがグルタミン酸によって置換され、かつ同じ因子VIIポリペプチド内のSEQ ID NO: 1の位置69のイソロイシンがアラニンによって置換される。従って、I69A-FVIIは、SEQ ID NO: 1の位置69のイソロイシンがアラニンによって置換されたヒト野生型FVIIを意味する。
【0146】
一つの側面において、本発明は、組み換え体野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を有し、かつ組み換え体野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を有する因子VIIポリペプチドと、野生型ヒトFVIIaとを含む組成物に関する。
【0147】
更なる側面において、本発明は、患者の出血性発症の治療のための方法または正常な止血系の増強のための方法であって、治療学的または予防学的有効量の以下の組成物をその必要量だけ患者に投与することを含む方法に関する。
【0148】
a)組み換え体野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を有し、かつ組み換え体野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を有する因子VIIポリペプチドと、野生型ヒトFVIIaとを含む組成物;または
b)野生型ヒトFVIIaを含む第一の組成物と、組み換え体野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を有し、かつ組み換え体野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を有する因子VIIポリペプチドを含む第二の組成物。
【0149】
更なる側面において、本発明は、組換え体野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を有し、かつ水性培地における組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を有する因子VIIポリペプチドと、野生型ヒトFVIIaとを含む組成物を調製するためのプロセスであって、組換え体野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を有し、かつ水性培地における組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を有する因子VIIポリペプチドと、野生型ヒトFVIIaとを混合する工程を含むプロセスに関する。
【0150】
更なる側面において、本発明は、組み換え体野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を有し、かつ組み換え体野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を有する因子VIIポリペプチドと、野生型ヒトFVIIaとを含む組成物の、患者の出血性発症の治療のためまたは正常な止血系の増強のための薬剤の調製における使用に関する。
【0151】
更なる側面において、本発明は、組み換え体野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を有し、かつ組み換え体野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を有する因子VIIポリペプチドの、TFの露出が大きい出血の治療学的処置における使用に関する。TFの露出の大きさは、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)後のプラーク破裂、プラーク崩壊、敗血症、または他の出血性合併症(増加した量の組織因子が観察される炎症状態)の危険性を示す徴候である。一つの実施形態において、TFの露出が大きい出血は、凝血性疾患、例えば播種性血管内凝固症候群(DIC)である。
【0152】
本発明はまた、組み換え体野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を有し、かつ組み換え体野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を有する因子VIIポリペプチドが、他の凝血促進性化合物、抗線維素溶解化合物または抗凝血性化合物の制御因子とともに投与される、組み合わせ療法を提供する方法および組成物を包含する。適切な化合物には、FVIII (例えば Refacto(登録商標)(Genetics Institute), Kogenate FS(登録商標)(Bayer), Monoclate-P(登録商標)(Aventis Behring)), Factor XIII (例えばWO 01/85198を参照); 組織因子経路阻害の阻害剤 (TFPI 阻害剤) (例えばWO 01/85199を参照); 因子IX (例えばWO 02/062376を参照); トロンビン活性線維素溶解阻害剤(TAFI)(例えば、PCT/DK02/00734を参照; PAI-1 (例えば、PCT/DK02/00735を参照; 因子V (例えば、PCT/DK02/00736を参照); タンパク質C阻害剤(例えばPCT/DK02/00737を参照); トロンボモジュリン(例えばPCT/DK02/00738を参照); タンパク質S阻害剤 (例えばPCT/DK02/00739を参照); 組織プラスミノーゲン活性因子阻害剤(例えばPCT/DK02/00740を参照); α2-抗プラミノゲン(例えばPCT/DK02/00741を参照); アプロチニン(例えば PCT/DK02/00742を参照); トラネキサム酸(例えばPCT/DK02/00751を参照); ε-アミノカプロン酸(例えばPCT/DK02/00752を参照); プロトロンビン, トロンビン, 因子VII, 因子X, 因子XIおよびフィブリノーゲン, 人工的酸素運搬体(例えばPOLYHEME(登録商標), Northfield lab), コロイド(例えば Hextend, BioTime, Inc), デスモプレシン(例えば DDAVP(登録商標) Tablets (酢酸デスモプレシン) Adventis Pharmaceuticals), 活性化されたプロトロンビン複合体濃縮物(すなわち、Bebulin, Proplex-T, Profiline, Autoplex, FEIBA), Clopidogrel, Ticlopidine, Glycoprotein IIB/IIIA アンタゴニスト (Abciximab), LMWH, Warfarin, Streptokinase, 組織プラスミノーゲン活性因子 (tPA)/ tPA 変異体が含まれるがこれらに限定されない。
【0153】
一つの実施形態において、組み換え体野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を有し、かつ組み換え体野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を有する因子VIIポリペプチドは、国際特許出願WO 99/20767, WO 00/66753, WO 01/58935, WO 03/93465 および WO 04/029091に開示されている(これらの文献は参照によってその全体が本明細書中に組み込まれる)。
【0154】
本明細書中において、アミノ酸は、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature (CBN)によって承認された、表1に示すような略語を使用して表わされる。名称または以下の略語によって表わされたアミノ酸およびその類似体は、特に示さない限り天然のL形態である。さらに、ペプチドのアミノ酸配列の左および右末端は、他に指定がない限りそれぞれN末端およびC末端を意味する。
【表1】

【0155】
本発明はまた、上述したヒト因子VIIポリペプチドを調製する方法に関する。ヒト因子VIIポリペプチドは、好ましくは組み換え体DNA技術によって生成される。この目的を達成するために、ヒト因子VIIをコードするDNA配列は、ゲノムまたはcDNAライブラリーを調製し、かつ標準的な技術に基づいて合成オリゴヌクレオチドプローブを使用するハイブリダイゼーションによって該タンパク質の全部または一部をコードするDNA配列をスクリーニングすることによって単離され得る(cf. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989)。本発明の目的のために、タンパク質をコードするDNA配列は、好ましくはヒト起源、すなわちヒトゲノムDNAまたはcDNAライブラリーから誘導されたものである。
【0156】
ヒト因子VIIポリペプチドをコードするDNA配列はまた、確立された標準的な方法、例えばホスホアミダイト方法によって合成的に調製され得る(Beaucage and Caruthers, Tetrahedron Letters 22 (1981), 1859 - 1869, or the method described by Matthes et al., EMBO Journal 3 (1984), 801-805に記載)。ホスホアミダイト方法によれば、オリゴヌクレオチドは、例えば自動DNA合成装置において合成され、精製、アニーリング、ライゲーションの後、適切なベクター内でクローニングされる。
【0157】
DNA配列はまた、例えばUS 4,683,202, Saiki et al., Science 239 (1988), 487 - 491, または Sambrook et al., supraに記載された特定のプライマーを使用してポリメラーゼ連鎖反応法によって調製され得る。
【0158】
ヒト因子VIIポリペプチドをコードするDNA配列は、通常は組み換え体ベクターに挿入される。ベクターは、組み換え体DNA手順を簡便に受けることができる任意のベクターであってもよい。ベクターの選択は、しばしばベクターが導入される宿主細胞に依存するであろう。従って、ベクターは、自律的複製ベクター、すなわち染色体外の実在物として存在するベクターであってもよい。その複製は、染色体の複製から独立しており、例えばプラスミドがある。代わりに、ベクターは、宿主細胞に導入されたときに、宿主細胞ゲノムに統合され、統合された染色体と一緒に複製されるものであってもよい。
【0159】
好ましくは、前記ベクターは、ヒト因子VIIポリペプチドをコードするDNA配列がDNAの転写のために必要なさらなる断片と動作可能に連結されている発現ベクターである。一般的には、発現ベクターは、プラスミドまたはウイルスDNAから誘導されるかまたは両方の要素を含んでいてもよい。用語「動作可能に連結された」とは、前記断片がその意図された目的のために協調して機能するように配列していることを意図する(例えば、転写がプロモーター内で始まり、ポリペプチドをコードするDNA配列内を前進する)。
【0160】
プロモーターは、選択された宿主細胞において転写活性を示す任意のDNA配列であってもよく、かつ宿主細胞に対して同種または異種のタンパク質をコードする遺伝子から誘導され得る。
【0161】
哺乳類細胞中のヒト因子VIIポリペプチドをコードするDNAの転写に適したプロモーターの例には、SV40プロモーター(Subramani et al., Mol. Cell Biol. 1 (1981), 854-864), MT-1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター(Palmiter et al., Science 222 (1983), 809-814), CMVプロモーター(Boshart et al., Cell 41:521-530, 1985)またはアデノウイルス2遅延型プロモーター(Kaufman and Sharp, Mol. Cell. Biol, 2:1304-1319, 1982)がある。
【0162】
昆虫細胞の使用のための適切なプロモーターの例には、ポリヘドリンプロモーター(US 4,745,051; Vasuvedan et al., FEBS Lett. 311, (1992) 7-11), P10プロモーター(J.M. Vlak et al., J. Gen. Virology 69, 1988, pp. 765-776), the Autographa californica多角体病ウイルスに基づいたタンパク質プロモーター(EP 397 485), バキュロウイルス即効型遺伝子1プロモーター (US 5,155,037; US 5,162,222), またはバキュロウイルス39K遅延型遺伝子プロモーター (US 5,155,037; US 5,162,222)がある。
【0163】
酵母宿主細胞の使用のための適切なプロモーターの例には、酵母解糖遺伝子(Hitzeman et al., J. Biol. Chem. 255 (1980), 12073-12080; Alber and Kawasaki, J. Mol. Appl. Gen. 1 (1982), 419 - 434)もしくはアルコール脱水素酵素遺伝子(Young et al., in Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals (Hollaender et al, eds.), Plenum Press, New York, 1982)由来のプロモーター、またはTPI1(US 4,599,311)もしくはADH2-4c(Russell et al., Nature 304 (1983), 652 - 654)プロモーターが含まれる。
【0164】
糸状菌宿主細胞の使用のための適切なプロモーターの例には、例えばADH3プロモーター(McKnight et al., The EMBO J. 4 (1985), 2093-2099)またはtpiAプロモーターがある。他の有用なプロモーターの例には、A. oryzae TAKA アミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸タンパク質分解酵素、A. niger中性α-アミラーゼ、A. niger酸安定性α-アミラーゼ、A. niger または A. awamori グルコアミラーゼ(gluA)、Rhizomucor mieheiリパーゼ、A. oryzaeアルカリンプロテアーゼ、A. oryzaeトリオースホスフェートイソメラーゼ、またはA. nidulansアセトアミダーゼをコードする遺伝子に由来するプロモーターがある。好ましくは、TAKA−アミラーゼおよびgluAプロモーターがある。適切なプロモーターは、例えばEP 238 023 および EP 383 779中に言及される。
【0165】
ヒト因子VIIポリペプチドをコードするDNA配列は、必要があれば適切なターミネーター、例えばヒト成長ホルモンターミネーター(Palmiter et al., Science 222, 1983, pp. 809-814)またはTPI1 (Alber and Kawasaki, J. Mol. Appl. Gen. 1, 1982, pp. 419-434)またはADH3 (McKnight et al., The EMBO J. 4, 1985, pp. 2093-2099)ターミネーターに動作可能に連結されてもよい。ベクターはまた、プロモーターの下流かつ因子VII配列の挿入部位の上流に位置するRNAスプライス部位のセットを含んでいてもよい。好ましいRNAスプライス部位は、アデノウイルスおよび/または免疫グロブリン遺伝子から得られ得る。また、発現ベクター中に含まれるものには、挿入部位の下流に位置するポリアデニル化シグナルがある。特に好ましいポリアデニル化シグナルには、SV40由来の即効型または遅延型ポリアデニル化シグナル(Kaufman and Sharp, ibid.)、アデノウイルス5Elb領域、ヒト成長ホルモン遺伝子ターミネーター由来のポリアデニル化シグナル(DeNoto et al. Nuc. Acids Res. 9:3719-3730, 1981)、またはヒト因子VII遺伝子もしくはウシ因子VII遺伝子由来のポリアデニル化シグナルが含まれる。また、発現ベクターには、プロモーターとRNAスプライス部位との間に位置する、非翻訳のウイルスリーダー配列、例えばアデノウイルス2トリパタイトリーダー、およびエンハンサー配列、例えばSV40エンハンサーが含まれ得る。
【0166】
組み換え体ベクターは、該ベクターが対象の宿主細胞中で複製することを可能にするDNA配列をさらに含み得る。このような配列の例(宿主細胞が哺乳類細胞であるとき)には、SV40の複製起点がある。
【0167】
宿主細胞が酵母細胞であるとき、ベクターを複製することができる適切な配列には、酵母プラスミド2μ複製遺伝子REP1-3および複製起点がある。
【0168】
ベクターにはまた、選択可能なマーカー、例えば、その生成物が宿主細胞中の欠損を補足する遺伝子、例えばジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)をコードする遺伝子もしくはSchizosaccharomyces pombe TPI遺伝子(P.R. Russell, Gene 40, 1985, pp. 125-130によって記載)、または薬物(例えばアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ヒグロマイシンもしくはメトトレキサート)に対する抵抗力を与えるものが含まれ得る。糸状菌では、選択可能なマーカーには、amdS, pyrG, argB, niaD または sCが含まれ得る。
【0169】
宿主細胞の分泌経路内に本発明のヒト因子VIIポリペプチドを導くために、分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列またはプレ配列としての知られる)が、組み換え体ベクター中に提供され得る。分泌シグナル配列は、正確な読み取り枠内のヒト因子VIIポリペプチドをコードするDNA配列に連結される。分泌シグナル配列は、ペプチドをコードするDNA配列の5’に位置する。分泌シグナル配列は、通常はタンパク質と結び付くかまたは他の分泌されたタンパク質をコードする遺伝子に由来してもよい。
【0170】
酵母細胞からの分泌では、分泌シグナル配列は、細胞の分泌経路内への発現したヒト因子VIIポリペプチドの効率的な誘導を確実にする、任意のシグナルペプチドをコードしていてもよい。該シグナルペプチドは、天然に生じるシグナルペプチドまたはその機能的部分であってもよく、または合成ペプチドであってもよい。好適なシグナルペプチドには、α-因子シグナルペプチド(US 4,870,008を参照)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド(O. Hagenbuchle et al., Nature 289, 1981, pp. 643-646を参照)、修飾されたカルボキシペプチダーゼシグナルペプチド(L.A. Valls et al., Cell 48, 1987, pp. 887-897を参照)、酵母BAR1シグナルペプチド(WO 87/02670を参照)、または酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド(M. Egel-Mitani et al., Yeast 6, 1990, pp. 127-137を参照)があることが解った。
【0171】
酵母の効率的な分泌のために、リーダーペプチドをコードする配列はまた、シグナル配列の下流でヒト因子VIIポリペプチドをコードするDNA配列の上流に挿入されてもよい。リーダーペプチドの機能によって、発現したペプチドを小胞体からゴルジ装置まで導き、さらに培養液中に分泌するために(すなわち、細胞壁を横切るかまたは少なくとも酵母細胞の細胞膜周辺腔内の細胞膜を通過したヒト因子VIIポリペプチドの輸出)、分泌ベシクルまで導くことができる。リーダーペプチドは、酵母α因子リーダーであってもよい(例えばUS 4,546,082, US 4,870,008, EP 16 201, EP 123 294, EP 123 544 および EP 163 529に記載されたものの使用)。代わりに、リーダーペプチドは、天然に見出されないリーダーペプチド、合成リーダーペプチドであってもよい。合成リーダーペプチドは、例えばWO 89/02463 または WO 92/11378に記載されたように構築されてもよい。
【0172】
糸状菌の使用のために、一つのペプチドが、Aspergillus sp.アミラーゼまたはグルコアミラーゼをコードする遺伝子、Rhizomucor mieheiリパーゼまたはプロテアーゼまたはHumicola lanuginosaリパーゼをコードする遺伝子に由来してもよい。一つのペプチドは、好ましくはA. oryzae TAKAアミラーゼ、A. niger中性α-アミラーゼ、A. niger 酸安定性アミラーゼ、またはA. niger グルコアミラーゼに由来する。適切なシグナルペプチドは、例えばEP 238 023 および EP 215 594に開示される。
【0173】
昆虫細胞の使用のために、シグナルペプチドは、昆虫遺伝子(WO 90/05783を参照)、例えば鱗翅目Manduca sexta脂肪動態ホルモン前駆体シグナルペプチド(US 5,023,328を参照)に由来してもよい。
【0174】
ヒト因子VIIポリペプチド、プロモーターおよび任意的にはターミネーターおよび/または分泌シグナル配列をコードするDNA配列を結合し、かつ複製に必要な情報を含む適切なベクターに前記DNA配列を挿入するために使用された手順は、当業者に周知である(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York, 1989を参照)。
【0175】
哺乳類細胞にトランスフェクトし、かつ細胞中に導入されたDNA配列を発現させる方法は、例えばKaufman and Sharp, J. Mol. Biol. 159 (1982), 601-621; Southern and Berg, J. Mol. Appl. Genet. 1 (1982), 327-341; Loyter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79 (1982), 422 - 426; Wigler et al., Cell 14 (1978), 725; Corsaro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7 (1981), 603, Graham and van der Eb, Virology 52 (1973), 456; および Neumann et al., EMBO J. 1 (1982), 841-845に記載されている。
【0176】
適切なマーカーが、対象の遺伝子と同時に別のプラスミド上で細胞中に導入されるか、または同じプラスミド上に導入されてもよい。同じプラスミド上に導入された場合、選択可能なマーカーと対象の遺伝子は、異なるプロモーターの制御下であっても同じプロモーターの制御下(非シストロニックな遺伝子情報を形成する)であってもよい。このタイプの構築は、当業者に知られている(例えば、Levinson and Simonsen, U.S. Pat. No. 4,713,339)。また、「キャリアDNA」として知られた追加のDNAを、細胞内に導入される混合物に加えることは有利であろう。
【0177】
細胞がDNAを取り込んだ後、細胞は適切な増殖培地中で典型的には1〜2日で増殖し、対象の遺伝子を発現し始める。本明細書中で使用される用語「適切な増殖培地」とは、栄養素および細胞の増殖に必要な他の成分を含む培地を意味する(対象のヒト因子VIIポリペプチドの発現を促す)。培地には、一般的には炭素源、窒素源、主要なアミノ酸、主要な糖、ビタミン、塩、リン脂質、タンパク質および成長因子が含まれる。γ-カルボキシル化タンパク質の生成のために、培地には、ビタミンK、好ましくは約0.1 μg/ml〜約5 μg/mlの濃度のビタミンKが含まれる。適切な形態の選択可能なマーカーを発現する細胞の増殖を選択するために薬物の選択が行われる。増幅可能で選択可能なマーカーをトランスフェクトされた細胞について、クローン化された配列の増加したコピー数を選択するために薬物の濃度を増加し、発現のレベルを増加させてもよい。安定にトランスフェクトされた細胞のクローンは、対象のヒト因子VIIポリペプチドの発現についてスクリーニングされる。
【0178】
ヒト因子VIIポリペプチドをコードするDNA配列が導入される宿主細胞は、翻訳後修飾されたヒト因子VIIポリペプチドを生成することができる任意の細胞であってもよく、酵母、菌類およびより高度な真核細胞を含み得る。
【0179】
本発明で使用する哺乳類細胞株の例には、COS-1 (ATCC CRL 1650), 若年ハムスター腎臓(BHK) および 293 (ATCC CRL 1573; Graham et al., J. Gen. Virol. 36:59-72, 1977)細胞株がある。好ましいBHK細胞株は、tk-ts13 BHK 細胞株(Waechter and Baserga, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:1106-1110, 1982, 参照によって本明細書中に組み込まれる)であり、以後BHK 570 細胞として参照される。BHK 570細胞株は、ATCC 許可番号CRL 10314のもとでAmerican Type Culture Collection, 12301 Parklawn Dr., Rockville, Md. 20852に寄託されている。tk-ts13 BHK 細胞株はまた、許可番号CRL 1632のもとでATCCから利用可能である。さらに、多数の他の細胞株が本発明の範囲内で使用されてもよい。これらの細胞株には、Rat Hep I (ラット肝細胞腫; ATCC CRL 1600)、 Rat Hep II (ラット肝細胞腫; ATCC CRL 1548)、 TCMK (ATCC CCL 139)、 ヒト肺 (ATCC HB 8065)、 NCTC 1469 (ATCC CCL 9.1)、 CHO (ATCC CCL 61) および DUKX細胞 (Urlaub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220, 1980)が含まれる。
【0180】
適切な酵母細胞の例には、Saccharomyces spp.またはSchizosaccharomyces sppの細胞、特にSaccharomyces cerevisiae または Saccharomyces kluyveriの細胞株が含まれる。宿主細胞を異種性DNAで形質転換し、異種性ポリペプチドを生成する方法は、例えばUS 4,599,311, US 4,931,373, US 4,870,008, 5,037,743, および US 4,845,075中に記載されている(これらの全ては参照によって本明細書中に組み込まれる)。形質転換された細胞は、選択可能なマーカーによって決定された表現型によって選択される(一般的には薬剤耐性または特定の栄養素(例えばロイシン)の欠乏中で生育する能力)。酵母中で使用する好ましいベクターは、US 4,931,373中で開示されたPOT1ベクターである。ヒト因子VIIポリペプチドをコードするDNA配列は、上述したように、シグナル配列、任意的にはリーダー配列が先行してもよい。適切な酵母細胞の更なる例には、K. lactis, Hansenula のようなKluyveromyces、例えば H. polymorpha、または Pichia、例えば P. pastoris (Gleeson et al., J. Gen. Microbiol. 132, 1986, pp.3459-3465; US4,882,279を参照)の細胞株がある。
【0181】
他の真菌細胞の例には、糸状菌の細胞、例えばAspergillus spp., Neurospora spp., Fusarium spp. または Trichoderma spp.の細胞、特にA. oryzae, A. nidulans または A. niger.の細胞株がある。タンパク質の発現のためのAspergillus spp.の使用は、例えばEP 272 277, EP 238 023, EP 184 438中に記載されている。F. oxysporumの形質転換は、例えばMalardier et al., 1989, Gene 78: 147-156によって記載されたように行ってもよい。Trichoderma spp.の形質転換は、例えばEP 244 234中に記載されたように行ってもよい。
【0182】
糸状菌が宿主細胞として使用されるとき、本発明のDNA構築物で形質転換を行う際、好ましくはDNA構築物を宿主細胞の染色体中に組み込んで組み換え体宿主細胞を得てもよい。この組み込みは、DNA配列が細胞中でより安定に維持され易くなるという利点があると一般的には考えられる。DNA構築物の宿主染色体内への組み込みは、従来の方法に基づいて、例えば相同的または非相同的組換えによって行われてもよい。
【0183】
昆虫細胞の形質転換と異種ポリペプチドの生成は、US 4,745,051; US 4,879,236; US 5,155,037; 5,162,222; EP 397,485に記載されたように行われてもよい(これらの全ては参照によって本明細書中に組み込まれる)。宿主として使用された昆虫細胞株は、適切にはLepidoptera細胞株、例えばSpodoptera frugiperda細胞 または Trichoplusia ni 細胞であってもよい(US 5,077,214を参照)。培養条件は、適切には例えばWO 89/01029 または WO 89/01028、または上述した参照文献のうちのいずれかの文献に記載された条件であってもよい。
【0184】
上述した形質転換または形質移入された宿主細胞は、ヒト因子VIIポリペプチドの発現を可能にし、その発現後に得られたペプチドの全部または一部が培地から回収され得る条件下において適切な栄養培地中で培養される。細胞を培養するために使用された培地は、宿主細胞を生育するのに適した任意の従来の培地(例えば最小培地または適切な補助物質を含む複合培地)であってもよい。適切な培地は、商業的提供者から入手可能であり、あるいは公知の処方(例えば、American Type Culture Collectionのカタログ)に従って調製されてもよい。その後、細胞によって生成されたヒト因子VIIポリペプチドは、宿主細胞を遠心またはろ過によって培養液から分離し、上清またはろ液のタンパク質水性成分を塩、例えば硫酸アンモニウムによって沈殿させ、種々のクロマトグラフィーの手順、例えばイオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニィティークロマトグラフィー、またはこれらに類するクロマトグラフィー(対象のポリペプチドの種類に依存)によって精製することを含む、従来の手順によって培養液から回収されてもよい。
【0185】
組み換え体ヒト因子VIIポリペプチドの調製について、クローン化された野生型の因子VII DNA配列が使用される。この配列は、所望の因子VII変異体をコードするために修飾され得る。ヒト因子VIIについての完全なヌクレオチドとアミノ酸配列が知られている。米国特許番号4,784,950号を参照されたい(参照によって本明細書中に組み込まれる)。この中には組み換え体ヒト因子VIIのクローニングおよび発現が記載されている。ウシ因子VII配列は、Takeya et al., J. Biol. Chem, 263:14868-14872 (1988)(参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載されている。
【0186】
アミノ酸配列の変更は、種々の技術によって達成されてもよい。DNA配列の修飾は、部位特異的突然変異によってもたらされてもよい。部位特異的突然変異誘発についての技術は、当該技術分野において十分に知られており、例えばZoller and Smith (DNA 3:479-488, 1984)によって記載されている。従って、因子VIIのヌクレオチドおよびアミノ酸配列を使用し、一つには選択の変更を導入してもよい。
【0187】
本発明の範囲内で使用されるDNA配列は、適切な翻訳後修飾(例えばグルタミン酸残基のγカルボキシル化)と適切な宿主細胞からの分泌を行うために因子VIIタンパク質のアミノ末端にプレ-プロ ペプチドをコードするのが一般的であろう。プレ-プロ ペプチドは、因子VIIのペプチドまたは他のビタミンK依存型プラズマタンパク質、例えば因子IX、因子X、プロトロンビン、タンパク質Cまたはタンパク質Sであってもよい。当業者によって理解されるように、さらなる修飾が因子VIIのアミノ酸配列内に導入し得る。この修飾は凝血因子として機能するタンパク質の能力を著しく損なうことはない。例えば、触媒トライアッド内の因子VIIはまた、活性化切断部位で修飾され得、酵素前駆体因子VIIの活性化された二本鎖形態への転換を阻害する(一般的には米国特許第5,288,629号に記載。参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0188】
本発明の範囲内において、トランスジェニック動物技術は、ヒト因子VIIポリペプチドを生成するのに使用され得る。宿主メス哺乳類の乳腺内でタンパク質を生成するのが好ましい。対象のタンパク質の乳腺内での発現とこれに続く乳汁内への分泌は、他の供給源からタンパク質を分離する際に直面する多くの困難を克服する。乳は収集が容易で、大量に入手でき、かつ生化学的に十分に特徴づけられる。さらに、主要な乳タンパク質は、乳汁中に高濃度で存在する(典型的には約1〜15g/l)。商業的な観点から、大量の乳汁の収量を有する種を宿主として使用するのが明らかに好ましい。より小型の動物、例えばマウスおよびラットは使用し得るが(原理段階の証明では好ましい)、本発明の範囲内においてブタ、ヤギ、ヒツジおよびウシを含むがこれらに限定されない家畜哺乳類を使用するのが好ましい。ヒツジは、遺伝子導入の実績、乳の収量、ヒツジの乳汁を収集する装置の費用と入手し易さといった要素から特に好ましい。宿主の種の選択に影響を与える因子の比較についてWIPO公報WO 88/00239を参照されたい。一般的には搾乳用途で飼育されているある系統の宿主動物(例えばEast Friesland ヒツジ)を選択するか、あるいは遺伝子導入系統の飼育によって搾乳家畜を作り出すのが望ましい。いずれにしても、公知の動物で良好な健康状態のものは使用されるべきである。
【0189】
乳腺内で発現させるために、乳タンパク質遺伝子由来の転写プロモーターが使用される。乳タンパク質遺伝子には、カゼイン(米国特許番号5,304,489号を参照。参照によって本明細書中に組み込まれる。)、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、および乳清酸性タンパク質をコードする遺伝子が含まれる。β-ラクトグロブリン(BLG)プロモーターが好ましい。ヒツジのβ-ラクトグロブリン遺伝子の場合において、遺伝子の5’側方配列の少なくとも近位406bpの領域が一般的に使用され、約5kbpまでの5’側方配列の大きな部位が好ましいが、例えば約4.25kbp DNA断片は、5’側方プロモーターとβ-ラクトグロビン遺伝子の非コード部位を含んでいる。Whitelaw et al., Biochem J. 286: 31-39 (1992)を参照されたい。他の種由来のプロモーターDNAの類似の断片もまた適切である。
【0190】
また、β-ラクトグロブリン遺伝子の他の領域が、遺伝子のゲノム領域が発現され得るように構築物中に組み込まれてもよい。イントロンを欠く構築物は、このDNA配列を含むものと比較して発現が弱いことが当該技術において一般に認められている(Brinster et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 836-840 (1988); Palmiter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 478-482 (1991); Whitelaw et al., Transgenic Res. 1: 3-13 (1991); WO 89/01343; および WO 91/02318を参照。これらの文献の各々は参照によって本明細書中に組み込まれる)。この観点において、可能な場合、対象のタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子の天然イントロンの全てまたは一部を含むゲノム配列を使用することが一般的には好ましく、従って、β-ラクトグロブリン遺伝子由来の少なくとも幾つかのイントロンを含んでいることが好ましい。一つのこのような領域は、ヒツジのβ-ラクトグロブリン遺伝子の3’非コード領域からのイントロンのスプライシングとRNAのポリアデニル化を提供するDNA断片である。遺伝子の天然3’非コード配列が置換されたとき、このヒツジのβ-ラクトグロブリン断片は、対象のタンパク質またはポリペプチドの発現レベルを増強および安定化し得る。他の実施形態の範囲内において、ヒト因子VIIポリペプチドをコードする配列の開始ATG周辺の領域は、乳汁特異的タンパク質遺伝子からの対応配列で置換される。このような置換は、発現を増強する推定上の組織特異的開始環境を提供する。ヒト因子VIIポリペプチドの全プレ-プロ配列および5’非コード配列を、例えばBLG遺伝子の配列と置換してもよい。より小さな領域が置換されてもよい。
【0191】
トランスジェニック動物内におけるヒト因子VIIポリペプチドの発現について、ヒト因子VIIポリペプチドをコードするDNA断片は、発現単位を生成するその発現のために必要とされる追加のDNA断片と動作可能に連結される。このような追加の断片には、上述したプロモーターと、mRNAの転写およびポリアデニル化の終結を提供する配列とが含まれる。発現単位には、さらにヒト因子VIIポリペプチドをコードする断片と動作可能に連結された分泌シグナル配列をコードするDNA配列が含まれる。分泌シグナル配列は、ヒト因子VIIポリペプチドの天然分泌シグナル配列かまたは他のタンパク質、例えば乳タンパク質の分泌シグナル配列であってもよい。例えばvon Heinje, Nuc. Acids Res. 14: 4683-4690 (1986); および Meade et al., U.S. Pat. No. 4,873,316を参照されたい(参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0192】
トランスジェニック動物における使用のための発現単位の構築は、ヒト因子VIIポリペプチドをコードする配列を、追加のDNA断片を含むプラスミドまたはファージベクター内に挿入することによって行われ得る。発現単位は主に任意の配列のライゲーションによって構築され得る。特に、乳タンパク質をコードするDNA配列を含むベクターを提供し、乳タンパク質のコード配列をヒト因子VIIポリペプチドの配列で置換し、これによって乳タンパク質遺伝子の発現制御遺伝子を含む融合遺伝子を作製するのが好ましい。いずれにしても、プラスミドまたは他のベクター内の発現単位のクローニングは、ヒト因子VIIポリペプチドの増幅を容易にする。増幅は細菌宿主細胞(例えば大腸菌)内で行われるのが好ましい。ベクターには、典型的には複製起点と細菌宿主細胞内で選択可能な機能的マーカーが含まれる。
【0193】
その後、発現単位は、選択された宿主種の受精した卵(初期段階の胚を含む)に導入される。異種性DNAの導入は、マイクロインジェクション(例えば、U.S. Pat. No. 4,873,191)、レトロウイルス感染(Jaenisch, Science 240: 1468-1474 (1988))または胚性幹(ES)細胞を使用する部位特異的挿入(Bradley et al., Bio/Technology 10: 534-539 (1992))を含む幾つかの経路のうちの一つによって達成され得る。その後、卵は偽妊娠のメスの卵管または子宮に着床して発育する。これらの胚系統において導入されたDNAを保持する子は、自然なメンデル様式で該DNAをその子孫に受け渡すことができ、トランスジェニック集団を発展させることができる。
【0194】
トランスジェニック動物を作製するための一般的手順は、当業者に周知である。例えば、Hogan et al., Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1986; Simons et al., Bio/Technology 6: 179-183 (1988); Wall et al., Biol. Reprod. 32: 645-651 (1985); Buhler et al., Bio/Technology 8: 140-143 (1990); Ebert et al., Bio/Technology 9: 835-838 (1991); Krimpenfort et al., Bio/Technology 9: 844-847 (1991); Wall et al., J. Cell. Biochem. 49: 113-120 (1992); U.S. Pat. Nos. 4,873,191 および 4,873,316; WIPO公報 WO 88/00239, WO 90/05188, WO 92/11757; および GB 87/00458(参照によって本明細書中に組み込まれる)を参照されたい。外来DNA配列を哺乳類およびこれらの胚細胞に導入する技術は、マウスにおいて独自に開発された。例えば、Gordon et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 7380-7384 (1980); Gordon and Ruddle, Science 214: 1244-1246 (1981); Palmiter and Brinster, Cell 41: 343-345 (1985); および Brinster et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 4438-4442 (1985)を参照されたい。その後、これらの技術は使用のために家畜を含むより大型の動物に適用された(例えば、WIPO公報WO 88/00239, WO 90/05188, および WO 92/11757; および Simons et al., Bio/Technology 6: 179-183 (1988)を参照)。要約すると、トランスジェニックマウスまたは家畜の作製において今日までに使用された最も効果的な経路において、対象のDNAの数百の直鎖状分子が、確立された技術に基づいて受精卵の前核のうちの一つに注入される。トランスジェニック植物の作製において使用されてもよい。発現は全身性化しても特定の器官、例えば結節に導かれてもよい。Hiatt, Nature 344:469-479 (1990); Edelbaum et al., J. Interferon Res. 12:449-453 (1992); Sijmons et al., Bio/Technology 8:217-221 (1990); および European Patent Office Publication EP 255,378を参照されたい。
【0195】
本発明に基づいて作製された因子VIIは、アフィニィティ−クロマトグラフィーによって抗因子VII抗体カラム上で精製され得る。免疫吸着カラムは、高い特異性をもつモノクローナル抗体を含むことが好ましい。カルシウム依存型モノクローナル抗体の使用(Wakabayashi et al., J. Biol. Chem, 261:11097-11108, (1986) および Thim et al., Biochem. 27: 7785-7793, (1988)に記載。参照によって本明細書中に組み込まれる)は、特に好ましい。更なる精製は、従来の化学的精製手段、例えば高性能液体クロマトグラフィーによって達成され得る。クエン酸バリウム沈殿を含む他の精製方法が当業者において知られており、本明細書に記載された因子VIIの沈殿に適用され得る(一般的にはScopes, R., Protein Purification, Springer-Verlag, N.Y., 1982を参照)。実質的には少なくとも約90〜95%の均質性をもつ純粋な因子VIIが好ましく、薬学的使用のために、98〜99%以上の均質性が最も好ましい。いったん上述したように部分的または均質的に精製された後、因子VIIは治療学的に使用され得る。
【0196】
単鎖因子VIIの活性二鎖因子VIIaへの転換は、Hedner and Kisiel (1983, J. Clin. Invest. 71: 1836-1841)によって記載されたように因子XIIaを使用するか、またはトリプシン様特異性を有する他のプロテアーゼとともに使用することによって達成され得る。代わりに、因子VIIは、イオン交換クロマトグラフィーカラム、例えばmono Q.RTM. (Pharmacia Fire Chemicals)または類似するもの(Bjoern et al., 1986, Research Disclosures 269:564-565)を通過することによって自動的に活性化され得る。本発明の因子VII分子とその薬学的組成物は、血管内の凝血を伴う様々な状態を治療することができるので、ヒトに対する投与にとって特に有用である。
【0197】
本発明はまた、本発明による好ましい因子VIIaポリペプチドと因子VIIa誘導体を選択するための適切な試験法を提供する。これらの試験方法は単純な予備的インビトロ試験として行われ得る。
【0198】
従って、本明細書の例3は、本発明の因子VIIaポリペプチドの活性についての単純な試験(インビトロ加水分解試験法と表題)を開示する。これに基づいて、特定の対象である因子VIIaポリペプチドは、明細書中に定義された「インビトロ加水分解試験法」で試験したときに、変異体の活性と図1に示した天然のヒト因子VIIの活性との比率が約1.0以上になるポリペプチドである。
【0199】
ポリペプチドの活性はまた、生理学的基質、例えば因子Xを好適には100〜1000nMの濃度で使用して測定され得(インビトロ加水分解試験法)(例4を参照)、生成された因子Xaは、好適な色素産生基質(例えばS-2765)の添加後に測定される。さらに、活性化試験法は、生理学的温度で行ってもよい。
【0200】
トロンビンを生成する凝血因子VIIaポリペプチドの能力は、全ての関連凝血因子と生理学的濃度の阻害剤(血友病A状態を模倣するときの負の因子VIII)と活性化された血小板(p.543 in Monroe et al. (1997) Brit. J. Haematol. 99, 542-547。参照によって本明細書中に組み込まれる)とを含む試験法において測定され得る。
【0201】
本発明による凝血原因子VIIポリペプチドは、凝固因子の欠乏(例えば、血友病AおよびBまたは凝血因子XIもしくはVIIの欠乏)または凝固因子の阻害剤といった幾つかの原因が絡む出血性疾患を制御するために使用され得、これらは、患者の過剰な出血を、正常に機能する血液凝固カスケード(任意の凝血因子に対して凝固因子の欠乏または阻害剤がない)で制御するために使用され得る。出血は、不完全な血小板機能、血小板減少症またはフォン ウィルブラント病によって引き起こされ得る。出血はまた患者の体内において観察され得る。線維素溶解活性の増加が様々な刺激によって患者の体内に誘導される。
【0202】
手術や大きな外傷に付随した大きな組織損傷を経験する患者において、止血メカニズムは、迅速な止血の要求の前には問題にならず、正常な止血メカニズムをもってしても出血は広がってしまう。また、満足のいく止血を達成することは、出血が組織内、例えば脳、内耳領域および眼で起こるときに問題があり、出血が広がってしまった場合において(出血性胃炎および大量の子宮出血)、出血源を特定することが難しいときに問題がある。同じ問題が、様々な器官(肝臓、肺、腫瘍組織、胃腸管)から生検材料をとるプロセスにおいて起こり得る。腹腔鏡手術においても同様である。これらの状況は外科技術(縫合、クリップなど)によって止血を提供する困難性を共有する。急性かつ大量の出血が、抗凝血療法を受けている患者で起こり得る。不完全な止血がこの療法によって患者に誘導される。このような患者は、抗凝血作用が迅速に打ち消されなければならない場合において外科的処置を必要とするであろう。満足のいかない止血の場合における問題を引き起こす可能のある他の状況は、正常な止血メカニズムを有する患者が、血栓塞栓性疾患を防ぐために抗凝血療法を受けるときである。このような療法には、ヘパリン、プロテオグリカンの他の形態、ワルファリンまたはビタミンK-アンタゴニストの他の形態、およびアスピリンおよび他の血小板凝集阻害剤が含まれる。
【0203】
凝血カスケードの全身にわたる活性化は、広範性血管内凝血(DIC)を導きかねない。しかしながら、このような合併症は、組み換え体因子VIIaの大量投与で治療された患者では観察されない。因子VIIaと血管壁の損傷部位で露出したTFとの複合体の形成によって誘導された局在化止血プロセスが原因である。本発明による凝血原の因子VIIポリペプチドはまた、正常な止血メカニズムと関連した過剰な出血を制御するその活性化された形態において使用され得る。
【0204】
計画的処置と結び付いた治療では、本発明の凝血原因子VIIポリペプチドは、典型的には処置を行う24時間前以内に投与され、その後7日間以上にわたって投与される。凝血剤としての投与は、本明細書中に記載された様々な経路によってなし得る。
【0205】
因子VIIポリペプチドの投与量は、患者の状態の重症度に依存しながら、負荷量および維持量として70kgの患者に対して、約0.05 mg〜500 mg/日、好ましくは約1 mg〜200 mg/日、より好ましくは約10 mg〜約175 mg/日の範囲である。
【0206】
薬学的組成物は、第一に、予防的および/または治療学的処置のための非経口的投与を意図する。好ましくは、薬学的組成物は非経口的、すなわち静脈内、皮下、または筋肉内に投与されるか、または連続的または拍動性注入によって投与され得る。非経口的投与のための組成物は、薬学的に許容可能なキャリア、好ましくは水性キャリアと組み合わされた(好ましくはこれらのキャリアに溶解された)本発明の因子VIIポリペプチドを含む。多様な水性キャリア、例えば水、緩衝化された水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンおよびこれらに類するものが使用され得る。本発明の因子VIIポリペプチドはまた、障害の部位に送達またはターゲティングするためのリポソーム製剤に処方され得る。リポソーム製剤は、一般的には例えばU.S. 4,837,028, U.S. 4,501,728, および U.S. 4,975,282に記載されている。組成物は従来の周知の滅菌技術によって滅菌され得る。得られた水性溶液は、使用のためにパッケージングされるかまたは無菌的条件のもとでろ過されて凍結乾燥される。凍結乾燥された製剤は、投与する前に無菌水溶液と混ぜ合わせる。組成物には、おおよそ生理学的条件で必要とされる薬学的に許容可能な補助物質、例えばpH調整剤および緩衝剤、張度調整剤およびこれらに類する物質、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等が含まれ得る。
【0207】
これらの処方における因子VIIポリペプチドの濃度は幅広く変化し(すなわち、約0.5重量%以上、通常少なくとも約1重量%以上、または15〜20重量%)、該濃度は、選択された投与の特定の型に応じて、第一に液体容積、粘土等によって選択されるであろう。
【0208】
従って、静脈内注射のための典型的な薬学的組成物は、250mlの無菌Ringer溶液と10mgの因子VIIポリペプチドとを含むように調製され得る。非経口的に投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、当業者にとって周知または自明であり、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA (1990)に詳細に記載されている。
【0209】
本発明の因子VIIポリペプチドを含む組成物は、予防的および/または治療学的処置のために投与され得る。治療学的投与において、組成物は、上述したように疾病に既に罹患している患者に対して、疾病およびその合併症を治癒、緩和または部分的に阻止するのに十分な量で投与することができる。これを達成するのに十分な量は「治療学的有効量」として定義される。当業者によって理解され得るように、この目的のための有効な量は、疾病または障害の程度、および患者の体重および全身状態に依存するであろう。しかしながら、一般的には、有効な投与量は、一日当たり70kgの患者で因子VIIポリペプチドの約0.05mg〜約500mgの範囲にあり、因子VIIポリペプチドの一日当たり約1.0mg〜約200mgの投与量がより一般的に使用される。
【0210】
ここで留意しなければならないことは、本発明の物質は、一般的には深刻な疾病または障害状態、すなわち生命を脅かすかまたは潜在的に生命を脅かす状態でも使用され得るということである。このような場合において、外来物質の最小化およびヒト因子VIIポリペプチドの免疫原性の全身的喪失の観点から、これらの種々の因子VIIポリペプチドの実質的過剰量を投与することが可能であり、かつ治療する医師によって望ましいと思われる量であってもよい。
【0211】
予防的適用において、本発明の因子VIIポリペプチドを含む組成物は、感受性の高い患者または疾病状態もしくは傷害の危険性のある患者に投与され、患者自身の凝固能力を増強させる。このような量は、「予防的有効投与量」として定義される。予防的投与において、正確な量は、患者の健康状態および体重に依存するが、一般的な投与量は、70kgの患者で一日当たり約0.05mg〜約500mgの範囲にあり、より一般的には70kgの患者で一日当たり約1.0mg〜約200mgの範囲にある。
【0212】
組成物の単一または複合的投与は、投与のレベルおよびパターンが治療する医師によって選択されて行われ得る。毎日の維持レベルを必要とする通院の患者では、因子VIIポリペプチドは、例えば携帯型ポンプシステムを使用して連続的注入によって投与され得る。
【0213】
本発明の因子VIIポリペプチドの局所的送達、例えば局所的適用は、噴霧、灌流、二重バルーンカテーテル、ステント(血管グラフトまたはステント内に組み込まれた)、コーティングされたバルーンカテーテルに使用されたヒドロゲル、または他の良好に十分に確立された方法によって行われ得る。いずれにしても、薬学的組成物は、患者を効果的に治療するのに十分な因子VIIポリペプチドの量を提供するべきである。
【0214】
本発明の不活性化された因子VIIポリペプチドは、細胞表面組織因子と結合することができる。例えば、DEGR-因子VIIaは、野生型因子VIIaと比較して同等かまたはより高い親和性をもって細胞表面組織因子と結合する。しかしながら、DEGR-因子VIIaは酵素的活性をもたず、組織因子と結合して野生型因子VIIaの競合的アンタゴニストとして作用する。その結果、トロンビンの生成を誘導する凝固の外因性経路における以後の工程を阻害する。
【0215】
不活性化された因子VIIポリペプチドは、血管内凝固を伴う様々な状態を治療する、ヒトへの投与について特に有用である。例えば、深部静脈血栓症および肺性塞栓症は、従来の抗凝血剤で治療し得るが、高リスクの患者、例えば鬱血性心不全の手術を受ける患者において血栓塞栓性合併症の発症を防ぐために本明細書に記載された不活性化された因子VIIポリペプチドを使用してもよい。さらに、不活性化された因子VIIポリペプチドは、凝血の組織因子媒介誘導についてのアンタゴニストとして機能し、トロンビンの産生とフィブリンの後続的堆積を遮蔽する。不活性化された因子VIIポリペプチドは、組織因子の活動を阻害(例えば、血液凝固、血栓症または血小板堆積を阻害)するのに有用である。
【0216】
不活性化された因子VIIポリペプチドは、 内膜肥厚化、急性血管傷害起因の再狭窄、深部静脈血栓症、動脈血栓症、術後血栓症、冠状動脈バイパスグラフト(CABG)、経皮冠状動脈血管形成(PTCA)、脳卒中、癌、腫瘍転移、血管形成、虚血/再灌流、リウマチ関節炎、血栓溶解、血管形成後の動脈硬化症および再狭窄、急性および慢性の徴候、例えば炎症、敗血性チョーク(septic chock)、敗血症、低血圧、成人呼吸性困難症候群(ARDS)、散在性血管内凝固障害(DIC)、肺性塞栓症、血小板堆積、心筋梗塞の治療において特に有用である。また、血栓症の危険性があるアテローム硬化型血管をもつ哺乳類の予防的治療において特に有用である。急性血管傷害は、急速に起こる傷害である(すなわち、数日〜数ヶ月)。対照的に、慢性血管傷害(例えばアテローム性動脈硬化症)は生涯をかけて進行する。急性血管傷害は、しばしば血管再構成のような外科的手順(血管形成、動脈内膜切除、アテローム切除術、血管グラフトの据え付けまたはこれに類似する技術が使用される)で生じる。過形成がまた、例えばグラフトの据え付けまたは器官の移植に応じた遅延性の反応として起こり得る。不活性化された因子VIIポリペプチドはヘパリンよりも選択的であり、一般的には傷害の部位に露出した組織因子のみと結合する。不活性化された因子VIIポリペプチドは、他の凝血タンパク質を破壊しないので、深部静脈血栓症の阻止のために予防的に使用されたとき、ヘパリンと比較してより効果的でありかつ出血性合併症を引き起こしにくい。
【0217】
組織因子の結合を維持する不活性化された因子VIIポリペプチドは、トロンビンの産生と続くフィブリンの堆積を遮断することによって血管傷害の部位での血小板の蓄積を阻害する。
【0218】
トロンビンの生成を遮断するDEGR因子VIIの能力のために、急性血管傷害の部位での血小板の堆積を制限するために、組織因子結合活性を維持するが因子VIIa酵素活性を欠く不活性化された因子VIIポリペプチドが血管再狭窄を阻害するために使用され得る。
【0219】
不活性化された因子VIIポリペプチドを含む組成物は、薬学的組成物に処方されたときに、患者を治療する方法において特に有用である。該組成物は、凝血関連状態を治療するために、様々な疾病状態に罹患している個体に与えられる。組織因子と結合できるが凝固カスケードにおける他の因子の活性を触媒する能力が実質的に減少している不活性化された因子VIIポリペプチドは、他の抗凝血物質と比較したときに、より長い血漿半減期を有し、かつこれに対応してより長い抗凝血活性を有する。抗凝血物質で一般に治療される疾患は、例えば、深部静脈血栓症、肺性塞栓症、脳卒中、散在性血管内凝固(DIC)、グラム陰性内毒血症と関連した肺および腎臓内のフィブリン堆積、および心筋梗塞である。組成物は、機械的血管傷害(例えばバルーン血管形成術、動脈内膜切除、復元アテローム切除術、ステント設置、レーザー治療またはロータブレーション(rotablation)によって引き起こされる傷害)が起こる血管再狭窄を阻害するために使用され得る。あるいは、血管移植、ステント、バイパス移植または器官移植の次に起こる血管再狭窄を阻害するために使用され得る。従って、組成物は、血小板堆積および関連疾患を阻害するために使用され得る。従って、凝血、血管再狭窄または血小板堆積を阻害する方法は、例えば不活性化された因子VIIポリペプチド(Ser344, Asp242 および His193の触媒トライアッドにおける少なくとも一つのアミノ酸置換をもつ)を含む組成物を、凝血、血管再狭窄または血小板堆積を効果的に阻害するのに十分な量で患者に投与することを含む。前記方法はまた、個体における冠状動脈の急性閉塞(例えば急性心筋梗塞)の治療において使用を見出される。該方法は、不活性化された因子VIIポリペプチドを投与することを含み、組織プラスミノーゲン活性因子またはストレプトキナーゼと組み合わせた、DEGR-因子VIIおよびFFR-因子VIIを含み、tPAで誘導された血栓溶解を加速させることができる。不活性化された因子VIIポリペプチドは、血栓溶解物質(例えば組織プラスミノーゲン活性因子)の投与前、同時、または直後に与えられる。
【0220】
不活性化された因子VIIポリペプチドの組成物はまた、心臓性塞栓の防止および血栓性発作の治療において実質的有用性を有するであろう。出血性合併症を引き起こす可能性の低さとその選択性のために、因子VIIポリペプチドを発作患者に与えることができ、閉塞動脈血栓の拡大を防ぐことができる。投与された因子VIIポリペプチドの量は、各患者の発作の性質および重症度に依存しながら変わるが、一般的な投与量は以下に提示された量の範囲内にある。
【0221】
不活性化された因子VIIポリペプチドとその組成物はまた、虚血性再灌流と関係した有害な出来事を阻害するのに使用され得る。組織、器官または肢に対する幾つかの虚血は、血流の減少が原因であり、外傷、手術処置、または低下した血圧と関係している。幾つかの虚血と関係した合併症の一つは、動脈系における組織因子の上方制御である。組織因子の増加した発現は、第一に毛細血管床における凝血原反応を刺激すると考えられる。動脈床における虚血の発生と、血栓に沿った血小板の堆積は、組織に対する虚血の第二の発生を誘導する。その後、血栓の発生と血小板の存在は、多数の生物活性因子(凝血経路から生成されたもの、例えばトロンビンおよび因子X、ならびに活性化された血小板から放出された因子)の生成と放出を引き起こす。次に、これらの因子は、内在する内皮と平滑筋細胞によって追加の因子の生成を誘導する。または隣接する単核細胞、例えばTNF-αおよびIL-1によって追加の因子の生成を誘導する。次に、これらの因子は、単球および好中球の結合と関係した様々な付着分子の上方制御を誘導する内皮細胞を活性化することができる。単球および好中球の結合と移行、遊離酸素ラジカルの生成を含む、これらの細胞による生物活性化合物の放出は、内皮細胞の活性と損傷のレベルを悪化させる可能性がある。最終的には、発症の流れが抑制されない場合、これは全身性合併症を誘導し、多数の器官欠損を刺激する潜在力を誘導する。組織因子/因子VII結合に対する特異的阻害剤(例えばFFR-FVIIa)を投与して本発明による組織因子を遮断し、その結果、凝血の外来経路の開始を遮断することによって、発症の流れの開始を防ぎ、その結果、虚血/再灌流と関係した有害な発症を除去または最小化する。
【0222】
深部の静脈血栓症の防止のための不活性化された因子VIIポリペプチドの投与量は、70kgの患者に対し、50μg〜500 mg/日、より典型的には1 mg〜200 mg/日、およびより好ましくは10〜約175 mg/日である。そして、投与時期は、少なくとも手術の約6時間前に開始し、かつ患者が少なくとも通院可能になるまで続けるべきである。再狭窄の治療における不活性化された因子VIIポリペプチドの投与量は患者ごとに異なるが、一般的には上記に示した範囲内にあるであろう。
【0223】
不活性化された因子VIIポリペプチドを含む組成物は、典型的には本発明を実行する約24時間前以内に投与され、かつ投与後7日間以上継続する。投与は本明細書にさらに記載された様々な経路によってなし得る。不活性化された因子VIIポリペプチドを含む組成物はまた、吻合、外科的動脈内膜切除(典型的には頸動脈動脈内膜切除)、バイパス移植等の場所で、血管移植片の配置のために全身的または局所的に投与され得る(例えば、合成のまたは修飾された天然の動脈血管移植片をコーティングすることによって)。
【0224】
確立された深部静脈血栓症および/または肺性塞栓症の治療において、因子VIIポリペプチドの投与量は、70kgの患者に対して、50μg〜500 mg/日、より典型的には1 mg〜200 mg/日、より好ましくは10 mg〜約175 mg/日の範囲内にある。投与量は患者の体重および状態の重症度に依存する。不活性化された因子VIIポリペプチドの注入による出血性合併症のより低い可能性のために、不活性化された因子VIIポリペプチドは、血栓摘出術または塞栓切除術と組み合わせた手術中または手術後に、ヘパリンの投与と置換することができ、あるいはヘパリンの投与を少なくすることができる。
【0225】
急性菌血症、内毒血症またはDICの場合において、患者には、70kgの患者に対して、少なくとも約50μg〜500 mg/日、より典型的には1 mg〜200 mg/日、およびより好ましくは10 mg〜約175 mg/日の因子VIIポリペプチドの投与量が与えられる。その後の維持投与量は、70kgの患者に対して50μg〜500mg/日、典型的には1mg〜200mg/日の範囲内にある。
【0226】
好ましくは、因子VIIポリペプチドは、誘導された非抱合型(unconjugated)の因子VIIの半減期と比較して増強された半減期(t1/2)を有する。好ましくは、因子VIIポリペプチドの半減期は、未修飾の親因子VIIの半減期と比較して、少なくとも1.5倍〜2倍、より好ましくは約2倍〜3倍、さらにより好ましくは約5倍〜10倍、最適には約100倍、典型的には約6倍まで増強される。
【0227】
タンパク質に対してポリエチレングリコールを結合させる一般的方法は、1979年12月18日に発行された米国特許第4,179,337号に開示されている(タンパク質に対してポリエチレングリコールを結合させる方法は参照によって本明細書中に組み込まれる)。さらに、ポリエチレングリコールを結合させる他の方法が、1992年1月16日に発行された米国特許第5,122,614号に開示されている(タンパク質に対してポリエチレングリコールを結合させる方法は参照によって本明細書中に組み込まれる)。マレイミド-PEGは、システインPEG化のための最も有用な試薬かもしれないが、他の化学物質が特定のシステイン修飾のために利用可能である。
【0228】
本発明は、以下の例によってさらに例証されるが、保護の範囲を制限するものとして解釈されない。前述の説明と以下の例において開示された特徴は、別々およびその任意の組み合わせにおいて、その異なった形態において本発明を実現するものであってもよい。
【0229】

例1
FVII-(S43N), FVII-(K62E), FVII-(Q64E), FVII-(I69F), FVII-(K62E/I69A), FVII-(Q64E/I69A), FVII-(Q62E/Q64E/I69A), FVII-(K62E/I69F), FVII-(Q64E/I69F), FVII-(K62E/Q64E/I69F), FVII-(S43C), FVII-(I69C), FVII-(Q64C), FVII-(M306C), FVII-(R277C), FVII-(I69N/F71T), FVII-(F71N/L73T), FVII-(R277N), および FVII-(D309N/L311T)をコードするDNA構築物:
FVII-(S43N), FVII-(K62E), FVII-(Q64E), FVII-(I69F), FVII-(K62E/I69A), FVII-(Q64E/I69A), FVII-(Q62E/Q64E/I69A), FVII-(K62E/I69F), FVII-(Q64E/I69F), FVII-(K62E/Q64E/I69F), FVII-(S43C), FVII-(I69C), FVII-(Q64C), FVII-(M306C), FVII-(R277C), FVII-(I69N/F71T), FVII-(F71N/L73T), FVII-(R277N), および FVII-(D309N/L311T)をコードするDNA構築物は、ヒトFVIIを挿入するスーパーコイル化された二本鎖DNAベクターと、所望の変異を含む二つの合成プライマーとを使用する部位特異的突然変異誘発によって調製された。以下のプライマーが使用された:
FVII-(S43N)について:
5’- GGACGAAGCTGTTCTGGATTAACTACAGTGATGGGGACCAG-3’ (SEQ ID NO:2)
5’- CTGGTCCCCATCACTGTAGTTAATCCAGAACAGCTTCGTCC-3’(SEQ ID NO:3)
FVII-(K62E)について:
5’- GGGGGCTCCTGCGAGGACCAGCTCCAG-3’(SEQ ID NO:4)
5’- CTGGAGCTGGTCCTCGCAGGAGCCCCC-3’(SEQ ID NO:5)
FVII-(Q64E)について:
5’- GGGCTCCTGCAAGGACGAGCTCCAGTCCTATATCTGC-3’(SEQ ID NO:6)
5’- GCAGATATAGGACTGGAGCTCGTCCTTGCAGGAGCCC-3’(SEQ ID NO:7)
FVII-(I69F)について:
5’- CCAGCTCCAGTCCTATTTCTGCTTCTGCCTCCC-3’(SEQ ID NO:8)
5’- GGGAGGCAGAAGCAGAAATAGGACTGGAGCTGG-3’(SEQ ID NO:9)
FVII-(K62E/I69A)について:
5’- GGGGGCTCCTGCGAGGACCAGCTCCAGTCCTATGCCTGCTTCTGCCTC-3’(SEQ ID NO:10)
5’- GAGGCAGAAGCAGGCATAGGACTGGAGCTGGTCCTCGCAGGAGCCCCC-3’(SEQ ID NO:11)
FVII-(Q64E/I69A)について:
5’- GGGCTCCTGCAAGGACGAGCTCCAGTCCTATGCCTGCTTCTGCCTCC-3’(SEQ ID NO:12)
5’- GGAGGCAGAAGCAGGCATAGGACTGGAGCTCGTCCTTGCAGGAGCCC-3’(SEQ ID NO:13)
FVII-(K62E/Q64E/I69A)について:
5’- GGGGGCTCCTGCGAGGACGAGCTCCAGTCCTATGCCTGCTTCTGCCTCC-3’(SEQ ID NO:14)
5’- GGAGGCAGAAGCAGGCATAGGACTGGAGCTCGTCCTCGCAGGAGCCCCC-3’(SEQ ID NO:15)
FVII-(S43C)について:
5'-GGACGAAGCTGTTCTGGATTTGCTACAGTGATGGGGAC-3’(SEQ ID NO:16)
5'-GTCCCCATCACTGTAGCAAATCCAGAACAGCTTCGTCC-3’(SEQ ID NO:17)
FVII-(I69C)について:
5'-CCAGCTCCAGTCCTATTGCTGCTTCTGCCTCCCTG-3’(SEQ ID NO:18)
5'-CAGGGAGGCAGAAGCAGCAATAGGACTGGAGCTGG-3’(SEQ ID NO:19)
FVII-(Q64C)について:
5'-GGGCTCCTGCAAGGACTGCCTCCAGTCCTATATCTG-3’(SEQ ID NO:20)
5'-CAGATATAGGACTGGAGGCAGTCCTTGCAGGAGCCC-3’(SEQ ID NO:21)
FVII-(R277C)について:
5'-GGACGCTGGCCTTCGTGTGCTTCTCATTGGTCAGCG-3’(SEQ ID NO:22)
5'-CGCTGACCAATGAGAAGCACACGAAGGCCAGCGTCC-3’(SEQ ID NO:23)
FVII-(M306C)について:
5'-CAACGTGCCCCGGCTGTGCACCCAGGACTGCCTGC-3’(SEQ ID NO:24)
5'-GCAGGCAGTCCTGGGTGCACAGCCGGGGCACGTTG-3’(SEQ ID NO:25)
FVII-(I69N/F71T)について:
5'-CCAGCTCCAGTCCTATAACTGCACCTGCCTCCCTGCCTTCG-3’(SEQ ID NO:26)
5'-CGAAGGCAGGGAGGCAGGTGCAGTTATAGGACTGGAGCTGG-3’(SEQ ID NO:27)
FVII-(F71N/L73T)について:
5'-CCAGTCCTATATCTGCAACTGCACCCCTGCCTTCGAGGGCCG-3’(SEQ ID NO:28)
5'-CGGCCCTCGAAGGCAGGGGTGCAGTTGCAGATATAGGACTGG-3’(SEQ ID NO:29)
FVII-(R277N)について:
5'-GGACGCTGGCCTTCGTGAACTTCTCATTGGTCAGCGG-3’(SEQ ID NO:30)
5'-CCGCTGACCAATGAGAAGTTCACGAAGGCCAGCGTCC-3’(SEQ ID NO:31)
FVII-(D309N/L311T)について:
5'-CGGCTGATGACCCAGAACTGCACCCAGCAGTCACGGAAGG-3’(SEQ ID NO:32)
5'-CCTTCCGTGACTGCTGGGTGCAGTTCTGGGTCATCAGCCG-3’(SEQ ID NO:33)
ベクター挿入の反対の鎖に各々相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを、Pfu DNAポリメラーゼによって温度循環中に伸長させた。プライマーの組み込みでは、ねじれ型の切れ目を含む変異型プラスミドを作製した。温度循環に続いて、該作製物を、メチル化およびヘミメチル化されたDNAに特異的であるDpnlで処理し、親DNAの鋳型を消化して変異を含む合成されたDNAを選択した。
【0230】
特定のプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応を使用してDNA構築物を調製する手順は、当業者に良好に知られている(cf. PCR Protocols, 1990, Academic ress, San Diego, California, USA)。
【0231】
例2
FVII-(S43N), FVII-(K62E), FVII-(Q64E), FVII-(I69F), FVII-(K62E/I69A), FVII-(Q64E/I69A), FVII-(Q62E/Q64E/I69A), FVII-(K62E/I69F), FVII-(Q64E/I69F), FVII-(K62E/Q64E/I69F), FVII-(S43C), FVII-(I69C), FVII-(Q64C), FVII-(M306C), FVII-(R277C), FVII-(I69N/F71T), FVII-(F71N/L73T), FVII-(R277N), および FVII-(D309N/L311T)の調製。
【0232】
BHK細胞に、上述したように本質的にトランスフェクトし(Thim et al. (1988) Biochemistry 27, 7785-7793; Persson and Nielsen (1996) FEBS Lett. 385, 241-243)、様々なFVIIポリペプチドの発現を得た。因子VIIポリペプチドを以下のように精製した:
5 mM EDTAおよび10 mM Trisの添加後、8.0へのpHの調節後、および水を加えることによる10〜11mS/cmへの伝導率の調節後、条件を整えた培地をQ Sepharose Fast Flow (Pharmacia Biotech)の50mlカラム上に搭載した。タンパク質の溶出を、10mM Tris, 50mM NaCl, pH8.0から10mM Tris, 50mM NaCl, 25mM CaCl2, pH8.0までの勾配によって達成した。様々なFVIIポリペプチドを含む画分を貯留し、CNBrで活性化されたSepharose 4B (Pharmacia Biotech)に結合したモノクローナル抗体F1A2 (Novo Nordisk, Bagsvard, Denmark)を含む25mlカラムに加えた。
【0233】
カラムを、10mM CaCl2および100mM NaClを含む50mM Hepes, pH7.5で平衡化した。2M NaClを含む平衡バッファーで洗浄した後、結合物質をCaCl2の代わりに10mM EDTAを含む平衡バッファーで溶出した。使用または貯蔵の前に、EDTAを上回る過剰なCaCl2を加え、様々なFVIIポリペプチドをCa2+含有バッファーに移動した。各工程の収量は、因子VII ELISAの測定によって追従され、精製されたタンパク質をSDS-PAGEによって分析した。
【0234】
例3
インビトロ加水分解アッセイ
天然(野生型)因子VIIaおよび因子VIIa変異体を、これらの特定の活性を直接比較するために並行して試験した。試験をマイクロタイタープレートで行う(MaxiSorp, Nunc, Denmark)。色素生産性基質D-Ile-Pro-Arg-p-ニトロアニリド(S-2288, Chromogenix, Sweden)、最終濃度1mMを、0.1M NaCl、5mM CaCl2および1mg/mlウシ血清アルブミンを含む50mM Hepes, pH 7.4中の因子VIIa(最終濃度100nM)に加えた。405nmでの吸収度を、SpectraMax(登録商標) 340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)において継続的に測定する。20分のインキュベーション中に得られた吸光度を、酵素を含まないブランクウェルの吸光度を引いた後、変異体の活性と野生型因子VIIaの活性との間の比率を計算するために使用する。
比率=(A405 nm因子VIIa変異体)/(A405 nm因子VIIa野生型)。
【0235】
例4
インビトロタンパク質分解アッセイ
天然(野生型)因子VIIaおよび因子VIIa変異体を、これらの特定の活性を直接比較するために並行して試験した。試験をマイクロタイタープレートで行う(MaxiSorp, Nunc, Denmark)。0.1M NaCl、5mM CaCl2および1mg/mlウシ血清アルブミンを含む100μL 50mM Hepes, pH 7.4中の因子VIIa(10nM)および因子X(0.8μM)を15分間にわたってインキュベートする。その後、因子Xの切断を、0.1M NaCl, 20mM EDTAおよび1 mg/mlウシ血清アルブミンを含む50μL 50mM Hepes, pH7.4の添加によって停止させる。生成された因子Xaの量を、色素生産性基質Z-D-Arg-Gly-Arg-p-ニトロアニリド(S-2765、Chromogenix, Sweden)、最終濃度0.5mMの添加によって測定した。405nmでの吸光度を、SpectraMax(登録商標) 340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)において継続的に測定する。10分間にわたって得られた吸光度を、FVIIaを含まないブランクウェルの吸光度を引いた後、変異体のタンパク質分解活性と野生型因子VIIaのタンパク質分解活性との間の比率を計算するために使用する。
比率=(A405 nm因子VIIa変異体)/(A405 nm因子VIIa野生型)。
【0236】
例5
TF結合親和性アッセイ−バイオセンサーアッセイ:
FVIIポリペプチドを、FVIIポリペプチドの標準的溶液を不動化されたTFを有するチップを通過させることによって、Biacore機器で試験する。これは、150mM NaCl, 10mM CaCl2および0.0003%ポリソルベート20を含む10 mM hepes pH 7.4中のTFの異なる濃度によって追従される。Kdを統合されたBiacore評価ソフトウェアを使用するセンサグラムから計算する。
【図面の簡単な説明】
【0237】
【図1】γ-カルボキシル化Glu残基(γ)およびグリコシル化(*)を有する、正確に処理されたヒト凝血因子VII、アミノ酸1〜406の構造。アミノ酸残基152の矢印は、単鎖因子VIIを活性化された二本鎖因子VII(FVIIa)に転換させるための開裂部位を示す。
【図2a】天然(野生型)のヒト凝血因子VIIの完全なアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)。
【図2b】天然(野生型)のヒト凝血因子VIIの完全なアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)(図2aの続き)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドであって、以下のi)および/またはii)および/またはiii)から選択される因子VIIポリペプチド。
i)異なるアミノ酸が組織因子結合親和性を減少させる、SEQ ID NO: 1の位置のアミノ酸に対応するK18X1, R36X2, S43X3, K62X4, Q64X5, L65X6, I69X7, F71X8, L73X9, P74X10, E77X11, G78X12, R79X13, K85X14, Q88X15, N93X16, F275X17, R277X18, M306X19, T307X20, Q308X21, D309X22, または R379X23から選択された1以上のアミノ酸置換を含む因子VIIポリペプチド(式中、
X1 は、E, D, A, または F;
X2 は、E, D, K, A, F, または N;
X3 は、E, D, K, R, A, または F;
X4 は、D, A, または F;
X5 は、E, D, K, R, A, F, または N;
X6 は、E, D, K, R, A, または F;
X7 は、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X8 は、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, または W;
X9 は、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X10 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X11 は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X12 は、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X13 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X14 は、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, または Y;
X15 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X16 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X17 は、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X18 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X19 は、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X20 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, または Y;
X21 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X22 は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, または Y; および
X23 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y);
および/または
ii)SEQ ID NO: 1の K18, R36, K62, Q64, L65, I69, F71, L73, P74, E77, G78, R79, K85, Q88, N93, F275, R277, M306, Q308, D309, または R379から選択された位置のアミノ酸に対応する一以上のアミノ酸が、システインアミノ酸残基で置換され、前記システインアミノ酸残基が組織因子結合親和性を減少させ、かつ前記システインアミノ酸残基が任意的には化学基と結合し、前記化学基が因子VIIポリペプチドの分子量を増加させる因子VIIポリペプチド;
および/または
iii)SEQ ID NO: 1のR36, Q64, I69, F71, P74, E77, G78, Q88, N93, F275, M306, T307, または D309から選択された位置で始まるアミノ酸に対応するアミノ酸置換によって導入された一以上のNグリコシル化部位N-Xaa-S/Tを含む因子VIIポリペプチド(式中、Xaaは、Pを除く任意のアミノ酸であり、導入されたN-グリコシル化部位は、組織因子結合親和性を減少させる)。
【請求項2】
異なるアミノ酸が組織因子結合親和性を減少させる、SEQ ID NO: 1の位置のアミノ酸に対応するK18X1, R36X2, S43X3, K62X4, Q64X5, L65X6, I69X7, F71X8, L73X9, P74X10, E77X11, G78X12, R79X13, K85X14, Q88X15, N93X16, F275X17, R277X18, M306X19, T307X20, Q308X21, D309X22, または R379X23から選択された一以上のアミノ酸置換を含む、請求項1に記載の因子VIIポリペプチド(式中、
X1は、E, D, A, または F;
X2は、E, D, K, A, F, または N;
X3は、E, D, K, R, A, または F;
X4は、D, A, または F;
X5は、E, D, K, R, A, F, または N;
X6は、E, D, K, R, A, または F;
X7は、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X8は、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, または W;
X9は、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X10は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X11は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X12は、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X13は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X14は、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, または Y;
X15は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X16は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X17は、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X18は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X19は、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X20は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, または Y;
X21は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X22は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, または Y; および
X23は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y)。
【請求項3】
SEQ ID NO: 1のK18, R36, K62, Q64, L65, I69, F71, L73, P74, E77, G78, R79, K85, Q88, N93, F275, R277, M306, Q308, D309, または R379 から選択された位置のアミノ酸に対応する一以上のアミノ酸が、システインアミノ酸残基で置換され、前記システインアミノ酸残基が組織因子結合親和性を減少させ、かつ前記システインアミノ酸残基が任意的には化学基と結合し、前記化学基が前記因子VIIポリペプチドの分子量を増加させる、請求項1または2に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項4】
SEQ ID NO: 1のR36, Q64, I69, F71, P74, E77, G78, Q88, N93, F275, M306, T307, または D309 から選択された位置で始まるアミノ酸に対応するアミノ酸置換によって導入された一以上のNグリコシル化部位N-Xaa-S/Tを含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド(式中、Xaaは、Pを除く任意のアミノ酸であり、導入されたN-グリコシル化部位は、組織因子結合親和性を減少させる)。
【請求項5】
SEQ ID NO: 1の位置K18のアミノ酸に対応するアミノ酸が、E, D, A, およびFからなる群から選択されたアミノ酸で置換された、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項6】
SEQ ID NO: 1の位置R36のアミノ酸に対応するアミノ酸が、E, D, K, A, F, およびNからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項7】
SEQ ID NO: 1の位置S43のアミノ酸に対応するアミノ酸が、E, D, K, R, A, およびFからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項8】
SEQ ID NO: 1の位置K62のアミノ酸に対応するアミノ酸が、D, A, およびFからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項9】
SEQ ID NO: 1の位置Q64のアミノ酸に対応するアミノ酸が、E, D, K, R, A, F, およびNからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項10】
SEQ ID NO: 1の位置L65のアミノ酸に対応するアミノ酸が、E, D, K, R, A, およびFからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項11】
SEQ ID NO: 1の位置I69のアミノ酸に対応するアミノ酸が、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項12】
SEQ ID NO: 1の位置F71のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, および Wからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項13】
SEQ ID NO: 1の位置L73のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項14】
SEQ ID NO: 1の位置P74のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項15】
SEQ ID NO: 1の位置E77のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項16】
SEQ ID NO: 1の位置G78のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項17】
SEQ ID NO: 1の位置R79のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項18】
SEQ ID NO: 1の位置K85のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし17のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項19】
SEQ ID NO: 1の位置Q88のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし18のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項20】
SEQ ID NO: 1の位置N93のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし19のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項21】
SEQ ID NO: 1の位置F275のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし20のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項22】
SEQ ID NO: 1の位置R277のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし21のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項23】
SEQ ID NO: 1の位置M306のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし22のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項24】
SEQ ID NO: 1の位置T307のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし23のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項25】
SEQ ID NO: 1の位置Q308のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし24のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項26】
SEQ ID NO: 1の位置D309のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし25のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項27】
SEQ ID NO: 1の位置R379のアミノ酸に対応するアミノ酸が、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, および Yからなる群から選択されるアミノ酸で置換された、請求項1ないし26のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項28】
FVII-(S43N), FVII-(K62E), FVII-(Q64E), FVII-(I69F), FVII-(K62E/I69A), FVII-(Q64E/I69A), FVII-(Q62E/Q64E/I69A), FVII-(K62E/I69F), FVII-(Q64E/I69F), FVII-(K62E/Q64E/I69F), FVII-(S43C), FVII-(I69C), FVII-(Q64C), FVII-(M306C), FVII-(R277C), FVII-(I69N/F71T), FVII-(F71N/L73T), FVII-(R277N), および FVII-(D309N/L311T)からなる群から選択された、請求項1に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項29】
請求項1ないし27のいずれか1項に記載の因子VIIポリペプチドであって、L305V, L305V/M306D/D309S, L305I, L305T, F374P, V158T/M298Q, V158D/E296V/M298Q, K337A, M298Q, V158D/M298Q, L305V/K337A, V158D/E296V/M298Q/L305V, V158D/E296V/M298Q/K337A, V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A, K157A, E296V, E296V/M298Q, V158D/E296V, V158D/M298K, S336G, L305V/K337A, L305V/V158D, L305V/E296V, L305V/M298Q, L305V/V158T, L305V/K337A/V158T, L305V/K337A/M298Q, L305V/K337A/E296V, L305V/K337A/V158D, L305V/V158D/M298Q, L305V/V158D/E296V, L305V/V158T/M298Q, L305V/V158T/E296V, L305V/E296V/M298Q, L305V/V158D/E296V/M298Q, L305V/V158T/E296V/M298Q, L305V/V158T/K337A/M298Q, L305V/V158T/E296V/K337A, L305V/V158D/K337A/M298Q, L305V/V158D/E296V/K337A, L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A, L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A, S314E/K316H, S314E/K316Q, S314E/L305V, S314E/K337A, S314E/V158D, S314E/E296V, S314E/M298Q, S314E/V158T, K316H/L305V, K316H/K337A, K316H/V158D, K316H/E296V, K316H/M298Q, K316H/V158T, K316Q/L305V, K316Q/K337A, K316Q/V158D, K316Q/E296V, K316Q/M298Q, K316Q/V158T, S314E/L305V/K337A, S314E/L305V/V158D, S314E/L305V/E296V, S314E/L305V/M298Q, S314E/L305V/V158T, S314E/L305V/K337A/V158T, S314E/L305V/K337A/M298Q, S314E/L305V/K337A/E296V, S314E/L305V/K337A/V158D, S314E/L305V/V158D/M298Q, S314E/L305V/V158D/E296V, S314E/L305V/V158T/M298Q, S314E/L305V/V158T/E296V, S314E/L305V/E296V/M298Q, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q, S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q, S314E/L305V/V158T/E296V/K337A, S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q, S314E/L305V/V158D/E296V/K337A, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A, K316H/L305V/K337A, K316H/L305V/V158D, K316H/L305V/E296V, K316H/L305V/M298Q, K316H/L305V/V158T, K316H/L305V/K337A/V158T, K316H/L305V/K337A/M298Q, K316H/L305V/K337A/E296V, K316H/L305V/K337A/V158D, K316H/L305V/V158D/M298Q, K316H/L305V/V158D/E296V, K316H/L305V/V158T/M298Q, K316H/L305V/V158T/E296V, K316H/L305V/E296V/M298Q, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q, K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q, K316H/L305V/V158T/E296V/K337A, K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q, K316H/L305V/V158D/E296V/K337A , K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A, K316Q/L305V/K337A, K316Q/L305V/V158D, K316Q/L305V/E296V, K316Q/L305V/M298Q, K316Q/L305V/V158T, K316Q/L305V/K337A/V158T, K316Q/L305V/K337A/M298Q, K316Q/L305V/K337A/E296V, K316Q/L305V/K337A/V158D, K316Q/L305V/V158D/M298Q, K316Q/L305V/V158D/E296V, K316Q/L305V/V158T/M298Q, K316Q/L305V/V158T/E296V, K316Q/L305V/E296V/M298Q, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q, K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q, K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A, K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q, K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A , K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A, F374Y/K337A, F374Y/V158D, F374Y/E296V, F374Y/M298Q, F374Y/V158T, F374Y/S314E, F374Y/L305V, F374Y/L305V/K337A, F374Y/L305V/V158D, F374Y/L305V/E296V, F374Y/L305V/M298Q, F374Y/L305V/V158T, F374Y/L305V/S314E, F374Y/K337A/S314E, F374Y/K337A/V158T, F374Y/K337A/M298Q, F374Y/K337A/E296V, F374Y/K337A/V158D, F374Y/V158D/S314E, F374Y/V158D/M298Q, F374Y/V158D/E296V, F374Y/V158T/S314E, F374Y/V158T/M298Q, F374Y/V158T/E296V, F374Y/E296V/S314E, F374Y/S314E/M298Q, F374Y/E296V/M298Q, F374Y/L305V/K337A/V158D, F374Y/L305V/K337A/E296V, F374Y/L305V/K337A/M298Q, F374Y/L305V/K337A/V158T, F374Y/L305V/K337A/S314E, F374Y/L305V/V158D/E296V, F374Y/L305V/V158D/M298Q, F374Y/L305V/V158D/S314E, F374Y/L305V/E296V/M298Q, F374Y/L305V/E296V/V158T, F374Y/L305V/E296V/S314E, F374Y/L305V/M298Q/V158T, F374Y/L305V/M298Q/S314E, F374Y/L305V/V158T/S314E, F374Y/K337A/S314E/V158T, F374Y/K337A/S314E/M298Q, F374Y/K337A/S314E/E296V, F374Y/K337A/S314E/V158D, F374Y/K337A/V158T/M298Q, F374Y/K337A/V158T/E296V, F374Y/K337A/M298Q/E296V, F374Y/K337A/M298Q/V158D, F374Y/K337A/E296V/V158D, F374Y/V158D/S314E/M298Q, F374Y/V158D/S314E/E296V, F374Y/V158D/M298Q/E296V, F374Y/V158T/S314E/E296V, F374Y/V158T/S314E/M298Q, F374Y/V158T/M298Q/E296V, F374Y/E296V/S314E/M298Q, F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E, F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E, F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A, F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A, F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E, F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E, F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E, F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A, F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E, F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E, F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A, F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E, F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E, F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E, F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E, F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q, F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A, F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A, F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E, F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E, F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E, F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T, F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E, F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E, S52A, S60A; R152E, S344A, P11Q/K33E, T106N, K143N/N145T, V253N, R290N/A292T, G291N, R315N/V317T, および K143N/N145T/R315N/V317Tからなる群から選択されたアミノ酸置換基を含む因子VIIポリペプチド; または233Thrから240Asnまでのアミノ酸配列内に置換、付加または欠失を有する因子VIIポリペプチド; または304Argから329Cysまでのアミノ酸配列内に置換、付加または欠失を有する因子VIIポリペプチド。
【請求項30】
前記因子VIIポリペプチドの解離定数Kdが、5nMよりも高い( 例えば7 nMより高い、例えば10 nMより高い、例えば20 nMより高い、例えば30 nMより高い、例えば50 nMより高い、例えば100 nMより高い、例えば200 nMより高い、例えば300 nMより高い、例えば400 nMより高い、例えば500 nMより高い、例えば1μMより高い )、請求項1ないし29のいずれか1項に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項31】
組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドを含む組成物であって、以下のi)および/またはii)および/またはiii)から選択される因子VIIポリペプチドを含む組成物。
i)異なるアミノ酸が組織因子結合親和性を減少させる、SEQ ID NO: 1の位置のアミノ酸に対応するK18X1, R36X2, S43X3, K62X4, Q64X5, L65X6, I69X7, F71X8, L73X9, P74X10, E77X11, G78X12, R79X13, K85X14, Q88X15, N93X16, F275X17, R277X18, M306X19, T307X20, Q308X21, D309X22, または R379X23から選択された1以上のアミノ酸置換を含む因子VIIポリペプチド(式中、
X1 は、E, D, A, または F;
X2 は、E, D, K, A, F, または N;
X3 は、E, D, K, R, A, または F;
X4 は、D, A, または F;
X5 は、E, D, K, R, A, F, または N;
X6 は、E, D, K, R, A, または F;
X7 は、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X8 は、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, または W;
X9 は、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X10 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X11 は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X12 は、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X13 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X14 は、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, または Y;
X15 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X16 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X17 は、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X18 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X19 は、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X20 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, または Y;
X21 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X22 は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, または Y; および
X23 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y);
および/または
ii)SEQ ID NO: 1の K18, R36, K62, Q64, L65, I69, F71, L73, P74, E77, G78, R79, K85, Q88, N93, F275, R277, M306, Q308, D309, または R379から選択された位置のアミノ酸に対応する一以上のアミノ酸が、システインアミノ酸残基で置換され、前記システインアミノ酸残基が組織因子結合親和性を減少させ、かつ前記システインアミノ酸残基が任意的には化学基と結合し、前記化学基が因子VIIポリペプチドの分子量を増加させる因子VIIポリペプチド;
および/または
iii)SEQ ID NO: 1のR36, Q64, I69, F71, P74, E77, G78, Q88, N93, F275, M306, T307, または D309から選択された位置で始まるアミノ酸に対応するアミノ酸置換によって導入された一以上のNグリコシル化部位N-Xaa-S/Tを含む因子VIIポリペプチド(式中、Xaaは、Pを除く任意のアミノ酸であり、導入されたN-グリコシル化部位は、組織因子結合親和性を減少させる)。
【請求項32】
請求項1ないし30のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチドを含む組成物。
【請求項33】
組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドを含む薬学的組成物であって、以下のi)および/またはii)および/またはiii)から選択される因子VIIポリペプチドを含む薬学的組成物。
i)異なるアミノ酸が組織因子結合親和性を減少させる、SEQ ID NO: 1の位置のアミノ酸に対応するK18X1, R36X2, S43X3, K62X4, Q64X5, L65X6, I69X7, F71X8, L73X9, P74X10, E77X11, G78X12, R79X13, K85X14, Q88X15, N93X16, F275X17, R277X18, M306X19, T307X20, Q308X21, D309X22, または R379X23から選択された1以上のアミノ酸置換を含む因子VIIポリペプチド(式中、
X1 は、E, D, A, または F;
X2 は、E, D, K, A, F, または N;
X3 は、E, D, K, R, A, または F;
X4 は、D, A, または F;
X5 は、E, D, K, R, A, F, または N;
X6 は、E, D, K, R, A, または F;
X7 は、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X8 は、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, または W;
X9 は、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X10 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X11 は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X12 は、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X13 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X14 は、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, または Y;
X15 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X16 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X17 は、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X18 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X19 は、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X20 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, または Y;
X21 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X22 は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, または Y; および
X23 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y);
および/または
ii)SEQ ID NO: 1の K18, R36, K62, Q64, L65, I69, F71, L73, P74, E77, G78, R79, K85, Q88, N93, F275, R277, M306, Q308, D309, または R379から選択された位置のアミノ酸に対応する一以上のアミノ酸が、システインアミノ酸残基で置換され、前記システインアミノ酸残基が組織因子結合親和性を減少させ、かつ前記システインアミノ酸残基が任意的には化学基と結合し、前記化学基が因子VIIポリペプチドの分子量を増加させる因子VIIポリペプチド;
および/または
iii)SEQ ID NO: 1のR36, Q64, I69, F71, P74, E77, G78, Q88, N93, F275, M306, T307, または D309から選択された位置で始まるアミノ酸に対応するアミノ酸置換によって導入された一以上のNグリコシル化部位N-Xaa-S/Tを含む因子VIIポリペプチド(式中、Xaaは、Pを除く任意のアミノ酸であり、導入されたN-グリコシル化部位は、組織因子結合親和性を減少させる)。
【請求項34】
請求項1ないし30のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチドと、任意的に薬学的に許容可能なキャリアとを含む薬学的組成物。
【請求項35】
請求項1ないし30のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物。
【請求項36】
ベクターである請求項35に記載のポリヌクレオチド構築物。
【請求項37】
請求項35または36に記載のポリヌクレオチド構築物を含む真核生物宿主細胞。
【請求項38】
哺乳類起源である請求項37に記載の真核生物宿主細胞。
【請求項39】
前記細胞が、CHO細胞、BHK細胞およびHEK細胞からなる群から選択される請求項38に記載の真核生物宿主細胞。
【請求項40】
請求項1ないし30のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチドを生成する方法であって、前記方法が、前記ポリヌクレオチド構築物由来のタンパク質の合成を可能にする条件のもと、請求項37ないし39のいずれか一項に記載の真核生物宿主細胞を適切な増殖培地中で培養し、前記因子VIIポリペプチドを培養液から回収することを含む方法。
【請求項41】
組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す因子VIIポリペプチドであって、以下のi)および/またはii)および/またはiii)から選択される因子VIIポリペプチドの、出血性疾患の治療のためまたは正常な止血系の増強のための薬物の調製における使用。
i)異なるアミノ酸が組織因子結合親和性を減少させる、SEQ ID NO: 1の位置のアミノ酸に対応するK18X1, R36X2, S43X3, K62X4, Q64X5, L65X6, I69X7, F71X8, L73X9, P74X10, E77X11, G78X12, R79X13, K85X14, Q88X15, N93X16, F275X17, R277X18, M306X19, T307X20, Q308X21, D309X22, または R379X23から選択された1以上のアミノ酸置換を含む因子VIIポリペプチド(式中、
X1 は、E, D, A, または F;
X2 は、E, D, K, A, F, または N;
X3 は、E, D, K, R, A, または F;
X4 は、D, A, または F;
X5 は、E, D, K, R, A, F, または N;
X6 は、E, D, K, R, A, または F;
X7 は、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X8 は、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, または W;
X9 は、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X10 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X11 は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X12 は、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X13 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X14 は、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, または Y;
X15 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X16 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X17 は、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X18 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X19 は、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X20 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, または Y;
X21 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X22 は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, または Y; および
X23 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y);
および/または
ii)SEQ ID NO: 1の K18, R36, K62, Q64, L65, I69, F71, L73, P74, E77, G78, R79, K85, Q88, N93, F275, R277, M306, Q308, D309, または R379から選択された位置のアミノ酸に対応する一以上のアミノ酸が、システインアミノ酸残基で置換され、前記システインアミノ酸残基が組織因子結合親和性を減少させ、かつ前記システインアミノ酸残基が任意的には化学基と結合し、前記化学基が因子VIIポリペプチドの分子量を増加させる因子VIIポリペプチド;
および/または
iii)SEQ ID NO: 1のR36, Q64, I69, F71, P74, E77, G78, Q88, N93, F275, M306, T307, または D309から選択された位置で始まるアミノ酸に対応するアミノ酸置換によって導入された一以上のNグリコシル化部位N-Xaa-S/Tを含む因子VIIポリペプチド(式中、Xaaは、Pを除く任意のアミノ酸であり、導入されたN-グリコシル化部位は、組織因子結合親和性を減少させる)。
【請求項42】
請求項1ないし30のいずれか一項に記載の因子VIIポリペプチドの、出血性疾患の治療のためまたは正常な止血系の増強のための薬物の調製における使用。
【請求項43】
患者の出血または出血性疾患の治療または正常な止血系の増強のための方法において、前記方法が、組換え体の野生型ヒト因子VIIaよりも低い組織因子結合親和性を示し、かつ組換え体の野生型ヒト因子VIIaと比較して実質的に同等または増加した活性を示す治療的または予防的有効量の因子VIIポリペプチドであって、以下のi)および/またはii)および/またはiii)から選択される因子VIIポリペプチドを、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
i)異なるアミノ酸が組織因子結合親和性を減少させる、SEQ ID NO: 1の位置のアミノ酸に対応するK18X1, R36X2, S43X3, K62X4, Q64X5, L65X6, I69X7, F71X8, L73X9, P74X10, E77X11, G78X12, R79X13, K85X14, Q88X15, N93X16, F275X17, R277X18, M306X19, T307X20, Q308X21, D309X22, または R379X23から選択された1以上のアミノ酸置換を含む因子VIIポリペプチド(式中、
X1 は、E, D, A, または F;
X2 は、E, D, K, A, F, または N;
X3 は、E, D, K, R, A, または F;
X4 は、D, A, または F;
X5 は、E, D, K, R, A, F, または N;
X6 は、E, D, K, R, A, または F;
X7 は、C, D, E, F, G, H, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X8 は、A, G, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V, または W;
X9 は、A, D, E, F, G, H, I, K, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X10 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X11 は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X12 は、A, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X13 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X14 は、A, D, E, F, G, I, L, M, P, S, T, V, W, または Y;
X15 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X16 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X17 は、A, D, E, G, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X18 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y;
X19 は、A, E, F, G, H, I, K, L, P, Q, R, S, T, V, W, または Y;
X20 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W, または Y;
X21 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, または Y;
X22 は、A, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, V, W, または Y; および
X23 は、A, D, E, F, G, H, I, K, L, M, P, Q, S, T, V, W, または Y);
および/または
ii)SEQ ID NO: 1の K18, R36, K62, Q64, L65, I69, F71, L73, P74, E77, G78, R79, K85, Q88, N93, F275, R277, M306, Q308, D309, または R379から選択された位置のアミノ酸に対応する一以上のアミノ酸が、システインアミノ酸残基で置換され、前記システインアミノ酸残基が組織因子結合親和性を減少させ、かつ前記システインアミノ酸残基が任意的には化学基と結合し、前記化学基が因子VIIポリペプチドの分子量を増加させる因子VIIポリペプチド;
および/または
iii)SEQ ID NO: 1のR36, Q64, I69, F71, P74, E77, G78, Q88, N93, F275, M306, T307, または D309から選択された位置で始まるアミノ酸に対応するアミノ酸置換によって導入された一以上のNグリコシル化部位N-Xaa-S/Tを含む因子VIIポリペプチド(式中、Xaaは、Pを除く任意のアミノ酸であり、導入されたN-グリコシル化部位は、組織因子結合親和性を減少させる)。
【請求項44】
患者の出血または出血性疾患の治療ためかまたは正常な止血系の増強のための方法であって、前記方法が、請求項1ないし30のいずれか一項に記載の治療的または予防的有効量の因子VIIポリペプチドを、それを必要とする患者に投与することを含む方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【公開番号】特開2011−167193(P2011−167193A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−57881(P2011−57881)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【分割の表示】特願2006−525627(P2006−525627)の分割
【原出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(501497563)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】