説明

凝集沈殿剤及びそれを用いた水質浄化法

【課題】優れた水質浄化作用を有する安価な凝集沈殿剤及び簡易に短時間で水質浄化ができる水質浄化法を提供すること。
【解決手段】少なくとも、下記の成分(1)、成分(2)及び成分(3)を含有することを特徴とする凝集沈殿剤。
(1)ポリ塩化アルミニウム
(2)ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム
(3)水
であり、また、上記成分(1)、成分(2)及び成分(3)を混合することによって得られる高粘度水溶液又はゲル状物を更に水で希釈してなる上記の凝集沈殿剤、及び、上記の凝集沈殿剤を用いることを特徴とする水質浄化法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は凝集沈殿剤に関し、更に詳しくは、ポリ塩化アルミニウム(PAC)及び特定の無機塩を含有する凝集沈殿剤及びそれを用いた水質浄化法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の塩類を水中に投入すると、ある程度、その水質が浄化されることが知られている。しかし、これらは、藻や植物プランクトン程度しか存在していない比較的きれいな水の水質を浄化することはできるが、泥等を含むような池や湖の水質を浄化するには不十分であり適していない。
【0003】
一方で、汚泥処理水の回収方法として、ポリ塩化アルミニウム水溶液を用いて処理する技術が多く知られている。例えば、特許文献1には、アルミニウム系凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)と、pH調整剤としてアルカリ性物質を用いて行う技術が報告されている。また、特許文献2には、牡蠣等の貝殻を原料として、この原料に硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムを作用させた無機凝集剤が報告されている。また、特許文献3、特許文献4には、ポリ塩化アルミニウム又は硫酸アルミニウムを用いたアルミニウム塩系の無機凝集剤が報告されている。
【0004】
しかしながら、これらの技術は特殊な処理装置が必要であったり、汚染度が高い水質の浄化が不十分であったりするため、安価で簡易に水質浄化ができ、泥等の分散物が多く汚染度の高い池や湖の水質を浄化するには不十分であり、更なる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−043611号公報
【特許文献2】特開2005−177720号公報
【特許文献3】特開2007−038131号公報
【特許文献4】特開2009−279512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、優れた水質浄化作用を有する安価な凝集沈殿剤、及び、簡易に短時間で水質浄化ができる水質浄化法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、少なくとも、ホウ酸塩、特定無機塩及び水を含有することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、少なくとも、下記の成分(1)、成分(2)及び成分(3)を含有することを特徴とする凝集沈殿剤を提供するものである。
(1)ポリ塩化アルミニウム
(2)ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム
(3)水
【0009】
上記成分(1)、成分(2)及び成分(3)を混合することによって得られる高粘度水溶液又はゲル状物を更に水で希釈してなる上記の凝集沈殿剤を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、上記の凝集沈殿剤を用いることを特徴とする水質浄化法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、上記の凝集沈殿剤を投入した後、更に、下記成分(4)の水溶液を投入することを特徴とする水質浄化法を提供するものである。
(4)ナトリウム又はカルシウムの、塩化物、炭酸塩、炭酸水素塩又は水酸化物
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上記問題点と課題を解決し、優れた水質浄化作用を有する安価な凝集沈殿剤を提供することができる。本発明の凝集沈殿剤を用いると、生活排水を含んでいたり、藻、植物プランクトンを含んでいたりするような池、湖、川、沼等の水質を短時間で良好に浄化することができる。更に、工業廃水や工事排水を含んでいたり、重金属微粒子等の無機微粒子を含んでいたりするような汚泥槽等の水質でも短時間で良好に浄化することができる。また、水中の種々の微粒子を凝集させて、密度が高いフロックを形成させることができる。本発明によれば、簡易に短時間で環境に優しい水質浄化ができる水質浄化法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の具体的形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲内で任意に変形することができる。
【0014】
本発明の沈殿凝集剤は、少なくとも、下記の成分(1)、成分(2)及び成分(3)を含有することを特徴とする凝集沈殿剤。
(1)ポリ塩化アルミニウム
(2)ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム
(3)水
【0015】
本発明において、「ポリ塩化アルミニウム」とは、[Al(OH)Cl6−p(0<p<6、mは整数)で表わされる物質の含水物をいい、OHが橋かけしたアルミニウムの多核錯体を主成分とするものをいう。ポリ塩化アルミニウムは、水酸化アルミニウムを塩酸に溶解させ、加圧下又は要すれば溶解助剤を加え、これに重合促進剤として硫酸基を添加して反応させて得たものが好ましい。溶解助剤や重合促進剤は、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定はされない。また、上記式中、mは10以下が好ましい。
【0016】
ポリ塩化アルミニウムは「PAC」とも呼ばれている。本発明では、ポリ塩化アルミニウムを「PAC」と略記することがある。ポリ塩化アルミニウムは、「PAC」として市販されているものが好適に使用できる。粉末のポリ塩化アルミニウムに水を加えてポリ塩化アルミニウム水溶液として用いてもよいし、市販のPACを水で希釈して用いてもよい。
【0017】
本発明においては、PAC中のアルミニウム(Al)をAlに換算した濃度が10.0〜11.0質量%のもの(例えば、「JIS K1475」に記載のもの)が、入手が容易で安価なため特に好適に用いられる。これを更に水で希釈して使用してもよいが、工程が少なく簡便である点、成分(2)と混合したとき粘度の上昇が大きく高粘度水溶液又はゲル状物を生成させ易い点、一旦高粘度水溶液又はゲル状物を生成させるとそれを用いて調製した凝集沈殿剤の凝集力が高くなる等の点から、JIS K1475に記載のポリ塩化アルミニウム(PAC)又はこれと同程度の濃度のポリ塩化アルミニウム(PAC)を使用することが特に好ましい。
【0018】
<ホウ酸ナトリウム>
本発明におけるホウ酸ナトリウムは、任意の種類を用いることができ、そのホウ酸陰イオンの部分の実験式は、BO(式中、xは当該技術分野で製造可能な公知の化合物をもたらす有理数の値にわたり、xは整数に限らず分数でもよい。)によって表すことができる。具体的には、ホウ素を中心原子とする酸素酸の塩であり、オルトホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。
【0019】
更に、これらの中でも、安価に入手できる、水に対する溶解性がある程度高い、PACが液体の場合はPACに対する溶解性が更に高い、操作性が良い、本発明の凝集沈殿剤の水質浄化性が優れている、PACと共に架橋ポリマー化して凝集の核として密度の高いフロックを形成する能力に優れている、フロック密度が極めて高いためろ過性においても優れている、本発明の凝集沈殿剤として用いたときに弱アルカリ性で洗浄・消毒作用能力を発揮して有機汚濁物質や富栄養化固有の微生物着匂も消臭する、安全性に優れている、環境負荷が少ない、経済性等の点から、四ホウ酸ナトリウムであるホウ砂(Na又はNaO・2B)が特に好ましい。
【0020】
ホウ砂(四ホウ酸ナトリウム、Na又はNaO・2B)等のホウ酸ナトリウムは、20〜30℃程度の室温の水に対する溶解度は大きくはないが、上記したポリ塩化アルミニウム水溶液に溶解すると、室温に戻しても析出が抑えられることがあり(過飽和状態も含む)、室温の水に対する溶解度が上がることがある。
【0021】
<炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム>
本発明における「炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム」は、結晶水を含むものであってもよく、市販の任意のものが使用できる。炭酸ナトリウムが特に好ましい。これらも、安全性に優れている、pHの調整効果がある、環境負荷が少ない、経済性等の点から好ましい。
【0022】
<水>
本発明の沈殿凝集剤は成分(3)として「水」を含有する。本発明における「水」は、一般的に用いられる水であれば特に限定することはなく、純水、イオン交換水、軟水、蒸留水、水道水等が挙げられる。これらの中でも、経済性、簡便性等の点から、水道水、イオン交換水が好ましい。
【0023】
成分(3)の水は、本発明の凝集沈殿剤を液体に、更には低粘性液体にするために必須である。液体でないと、浄化する対象の水に投入した時に混和し難い場合があり、短時間に大きな範囲に凝集沈殿剤が行き渡らない場合がある。また、凝集沈殿剤を池等に投入した場合、撹拌する前に下に沈降してしまう場合がある。低粘性液体であれば、水面に噴霧することもできる。また、粘着効果によるフロック形成能力が高くなる。
【0024】
成分(3)の水には、ポリ塩化アルミニウム(PAC)中の水や、ポリ塩化アルミニウム水溶液中の水も含まれる。成分(3)の水は、凝集沈殿剤を調製する際に、成分(2)を溶解するために使用した水のみであってもよい。成分(3)の水は、成分(2)を溶解させておいて、ポリ塩化アルミニウム(PAC)と相溶させ易くするためにも用いられる。また、後述するように、上記成分(1)、成分(2)及び成分(3)を混合することによって得られる高粘度水溶液又はゲル状物を更に水で希釈する際にも用いられる。
【0025】
<含有割合>
成分(1)ポリ塩化アルミニウムは、PAC中のアルミニウム(Al)をAlに換算した濃度が10.0〜11.0質量%のもの(「JIS K1475」に記載のもの)として、凝集沈殿剤全体に対して5〜60質量%が好ましく、7〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%が特に好ましい。成分(1)が多過ぎると、相対的に成分(2)の量が少なくなるので、後述するような高粘度水溶液又はゲル状物が生成しない場合や、凝集効果が低下する場合がある。
【0026】
「成分(2)ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム」の凝集沈殿剤全体に対する濃度は、過飽和状態も含めて実質的に水溶液となれば特に限定はないが、0.2〜10質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましく、0.5〜2質量%が特に好ましい。成分(2)が多過ぎると、乾燥化する場合があり、少な過ぎると、凝集沈殿剤にとって重要な因子となる高粘度水溶液又はゲル状物の生成反応が起きない場合がある。なお、上記濃度には、成分(2)の有する結晶水の質量は含まれていない。
【0027】
成分(3)水の含有量は、特に限定はないが、凝集沈殿剤全体に対して、35〜95質量%が好ましく、45〜90質量%がより好ましく、55〜85質量%が特に好ましい。なお、上記「成分(3)水」は、本発明の凝集沈殿剤を構成する各成分に由来する結晶水や水溶液の形で含まれる水と、外から加えられる水があればそれとの総和である。また、後述する、ホウ砂とポリ塩化アルミニウム(PAC)を混合することによって得られる高粘度水溶液又はゲル状物を希釈する際に用いられる水も上記「成分(3)水」に含まれる。
【0028】
<特に好ましい組み合わせと凝集沈殿剤の調製方法>
本発明の凝集沈殿剤は、その水質浄化作用が良好である点で、少なくとも、成分(1)及び成分(2)を混合することにより得られる高粘度水溶液又はゲル状物(以下、これを「凝集沈殿剤ベース原料」と略記する場合がある)を水で希釈することにより得られるものであることが好ましい。
【0029】
少なくとも、成分(1)及び成分(2)を混合して凝集沈殿剤ベース原料が得られれば各成分の組み合わせ、含有量は特に限定することなく用いることができるが、凝集沈殿剤ベース原料を得易い点、一旦凝集沈殿剤ベース原料を生成させると、そこに水を加えて調製した凝集沈殿剤の凝集力が高くなる等の点、広いpH値に対応可能等の点から、成分(1)としては、JIS K1475に記載のPACが好ましく、成分(2)としては、ホウ砂又は炭酸ナトリウム又は「ホウ砂と炭酸ナトリウムの混合」が好ましい。
【0030】
本発明の特に好ましい態様である「成分(1)、成分(2)及び成分(3)を混合することによって得られる高粘度水溶液又はゲル状物を更に水で希釈してなる上記の凝集沈殿剤」について以下に記載する。高粘度水溶液又はゲル状物(凝集沈殿剤ベース原料)を更に水で希釈してなる上記の凝集沈殿剤は、低粘度のゲル状態をしていることが、凝集の効果が高い点から特に好ましい。
【0031】
成分(1)、成分(2)及び成分(3)を混合する方法は特に限定はなく、成分(1)と成分(2)を単に混合する方法(水はPAC中の水のみ)、加温したPACに成分(2)を溶解させる方法等が挙げられる。PAC中の水以外に外から加える水は、高粘度水溶液又はゲル状物(凝集沈殿剤ベース原料)を形成させるために少ないほど好ましい。成分(2)を一旦溶解させて水溶液を得る場合は、最小限の水であることが好ましい。このときのPACは、高粘度水溶液又はゲル状物(凝集沈殿剤ベース原料)を形成させるための適当量の水を含んでいる点で、「JIS K1475」に記載のものが好ましい。
【0032】
高粘度水溶液又はゲル状物は、少なくとも、成分(1)と成分(2)を、好ましくは1時間〜80時間、より好ましくは3時間〜50時間、特に好ましくは5時間〜30時間混合して得られる。初期段階で混合した後は、撹拌は行わなくてもよく、静置するだけでもよい。混合時間が短いときは、高粘度水溶液又はゲル状物を十分に形成できず、それを水で希釈した凝集沈殿剤は、凝集効果が低い場合がある。
【0033】
高粘度水溶液又はゲル状物が得られれば、混合条件は特に限定はないが、混合したときの粘度の上昇が大きいことから、少なくとも混合初期は高速で攪拌することが好ましい。ここで「高速で攪拌」とは、500gのビーカーであれば、直径約7mmの攪拌棒で約5回転/秒以上の回転速度で、全体を隈なく回転させる程度のことをいう。また、25kg用の攪拌容器であれば、縦40mm、横200mm程度の回転翼を用いて、約2回転/秒以上の回転速度で、全体を隈なく回転させる程度のことをいう。高速で攪拌することが好ましいが、必ずしも高速で攪拌する必要はなく、少なくとも各成分が均一に混合溶解されたものが得られるように攪拌すればよい。
【0034】
混合中又は静置中の温度は特に限定はないが、5〜60℃がより好ましく、10〜50℃がより好ましい。雰囲気温度(例えば、室温(10〜30℃))で混合することが、コスト的に有利であるために特に好ましい。温度が高過ぎると高粘度水溶液又はゲル状物が得られない場合がある。混合は、せん断攪拌翼をもつミキサーで行うことが特に好ましい。
【0035】
所定量の全量の成分(2)の粉末に対し、50〜60℃に加熱された「JIS K1475に記載のPACと同程度の水分を含んだPAC水溶液」を撹拌下に徐々に加えて行って、成分(2)を加熱されたPAC水溶液で希釈していく調製方法が、成分(2)の水への溶解性が悪い場合には溶解完了時間が少なくてすむので好ましい。
【0036】
<凝集沈殿剤ベース原料における各成分の含有割合>
成分(1)ポリ塩化アルミニウムは、PAC中のアルミニウム(Al)をAlに換算した濃度が10.0〜11.0質量%のもの(「JIS K1475」に記載のもの)として、凝集沈殿剤ベース原料全体に対して65〜90質量%が好ましく、70〜90質量%がより好ましく、80〜90質量%が特に好ましい。成分(1)が多過ぎると、相対的に成分(2)の量が少なくなるので、後述するような高粘度水溶液又はゲル状物が生成しない場合やそのため、凝集効果が低下する場合がある。
【0037】
「成分(2)ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム」の凝集沈殿剤ベース原料全体に対する相対濃度は、過飽和状態も含めて実質的にゲル状水溶液となれば特に限定はないが、6〜15質量%が好ましく、6.5〜12質量%がより好ましく、7〜10質量%が特に好ましい。成分(2)が多過ぎると、乾燥化する場合があり、少な過ぎると、凝集沈殿剤にとって重要な因子となるゲルの生成反応が起きない場合がある。なお、上記濃度には、成分(2)の有する結晶水の質量は含まれていない。
【0038】
成分(3)水の含有量は、特に限定はないが、希釈前の凝集沈殿剤ベース原料全体に対して5質量%以下が特に好ましい。なお、上記「成分(3)水」は、本発明の凝集沈殿剤を構成する各成分に由来する結晶水や水溶液の形で含まれる水と、外から加えられる水があればそれとの総和である。また、後述する、ホウ砂若しくは炭酸ナトリウムとポリ塩化アルミニウム(PAC)を混合することによって得られる高粘度ゲル状水溶液又を希釈する際に用いられる水は含まれない。
【0039】
高粘度水溶液又はゲル状物を形成させた後に更にそれを水で希釈してなる凝集沈殿剤は、懸濁微粒子を凝集させる性能に極めて優れている。そのため、上記したように、高粘度水溶液又はゲル状物を一旦形成させることが好ましい。また、「JIS K1475」に記載の濃度とは異なる濃度のポリ塩化アルミニウム(PAC)を用いるときは、その濃度に比例して成分(2)の濃度を決めることが好ましい。上記濃度は、結晶水を除いた時の質量%である。
【0040】
成分(2)の量がこれより少ない場合には、PACと混合したときに粘度上昇が不十分で高粘度水溶液又はゲル状物が得られない場合や、従って凝集効果が得られず、前記したような水質浄化性が十分に得られない場合がある。一方、成分(2)の含有量がこれより多い場合には、PACと混合したときに、硬い固体状になってしまい、高粘度水溶液又は適度なゲル状物にならず、これを水で希釈できない場合がある。また、池、汚泥槽等に投入したときに、溶解拡散性が悪く水質浄化性が不十分である場合がある。一旦、高粘度水溶液又はゲル状物が得られ、更にそれを水で希釈した際に低粘性ゲル状物が得られる混合比は、上記したように極めて限定的であるが、この配合比の時に前記本発明の効果が特に発揮される。
【0041】
本発明の凝集沈殿剤は、上記した少なくとも成分(1)と成分(2)を含有する高粘度水溶液又はゲル状物8〜70質量部を、水30〜92質量部で希釈してなるものであることが好ましい。より好ましくは、高粘度水溶液又はゲル状物10〜50質量部に対して水50〜90質量部で希釈してなるものであり、特に好ましくは、高粘度水溶液又はゲル状物12〜30質量部に対して水70〜88質量部で希釈してなるものである。上記範囲で希釈してなる低粘性ゲル状液体であることが特に好ましい。
【0042】
上記成分(1)、成分(2)及び成分(3)を混合することによって得られる高粘度水溶液又はゲル状物を更に水で希釈してなる上記した凝集沈殿剤の中には、水で希釈した直後は低粘度であっても、静置すると再度増粘するものがある。このような凝集沈殿剤は、特に凝集効果に優れている。このような凝集沈殿剤は、ある特定の化学構造と組成と形態を有していると考えられるが、本発明においては、化学構造、組成、形態でその凝集沈殿剤が特定できない。従って、「一定期間静置すると再度増粘する」という物性で特定せざるを得ない。
【0043】
すなわち、20℃で3日静置することによって高粘度水溶液又はゲル状物になるような化学構造と組成を有する凝集沈殿剤は凝集効果に優れている。言い換えれば、上記成分(1)、成分(2)及び成分(3)を混合することによって得られる高粘度水溶液又はゲル状物を更に水で希釈してなる凝集沈殿剤であって、20℃で3日静置することによって高粘度水溶液又はゲル状物になるような化学構造と組成を有する凝集沈殿剤が、凝集効果に優れている点で好ましい。
【0044】
高粘度水溶液又はゲル状物を形成させた後に更にそれを水で希釈してなる凝集沈殿剤、中でも、20℃で3日静置することによって高粘度水溶液又はゲル状物になるような化学構造と組成を有する凝集沈殿剤は、特に水質浄化性が良好である。成分比等が異なるため高粘度水溶液又はゲル状物ができず、従って、高粘度水溶液又はゲル状物の状態を経由することのない凝集沈殿剤は凝集効果に劣る。高粘度水溶液又はゲル状物を水で希釈して熟成後の低粘ゲル液体は、この状態の時に優れた凝集効果を発揮する。
【0045】
高粘度水溶液又はゲル状物の状態を経由した上記凝集沈殿剤は、池、湖、川、沼等や生活排水に極めて効果的であるが、無機質汚泥や粘土質や油脂分を含む化学物質汚濁水等に対しては、透明性や沈降速度を更に向上させるために、上記凝集沈殿剤に加えて、更に下記成分(4)を配合することが好ましい。すなわち、凝集沈殿剤ベース原料を水で希釈し、更に下記成分(4)を配合してなる凝集沈殿剤が、特に、工業廃水や工事排水を含んでいたり、重金属微粒子等の無機微粒子を含んでいたりするような汚泥槽等の水質でも短時間で良好に浄化することができる点で特に好ましい。
(4)ナトリウム又はカルシウムの、塩化物、炭酸塩、炭酸水素塩又は水酸化物
【0046】
中でも、成分(4)として、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム又は水酸化カルシウムが、安価である点、凝集効果の向上幅が大きい点、上記したように汚泥槽等の水質にも対応できる点等から好ましい。上記成分(4)が、塩化ナトリウムと水酸化カルシウムとの配合物であることが上記点からより好ましい。塩化ナトリウム水溶液に水酸化カルシウム(消石灰)を添加した水溶液が特に好ましい。
【0047】
後述するように、「成分(1)、成分(2)及び成分(3)を混合することによって得られる高粘度水溶液又はゲル状物を水で希釈した凝集沈殿剤(A)」と、「上記成分(4)の水溶液(B)」の2種の液体を用意し、(A)を投入した後に(B)を投入する水質浄化法が好ましい。こうすれば、(A)を、池、湖、川、沼等の水質浄化と、汚泥槽の水質浄化の両方に共通して使用することができるので便利である。凝集沈殿剤(A)は、低粘度のゲル状の液体であることが好ましい。
【0048】
成分(4)は、凝集沈殿剤全体に対して、0.3〜3質量%となるように配合することが好ましく、0.5〜2質量%となるように配合することが特に好ましい。「成分(4)の水溶液(B)」を別途用意する場合は、「成分(4)の水溶液(B)」の濃度は、浄化したい水に良好に混合され拡散されるような濃度であれば特に限定はない。
【0049】
汚泥槽、工業排水等に投入する前に、海水(通常は2.8質量%の塩化ナトリウム水溶液)を配合して凝集沈殿剤として使用することも好ましい。また、上記(A)を投入した後に、更に(B)として海水を投入する水質浄化法は、(B)が安価に大量に使用できるため特に好ましい。海水を用いるときの好ましい配合比は、海水濃度を換算して、上記範囲に入るように決めることが好ましい。
【0050】
成分(4)を配合、又は、更に後から投入した場合は、汚泥槽、工業排水等に投下してから凝集沈降までの時間が、成分(4)を用いない場合に比較して、1/4〜4/5に短縮される場合や、好適には1/3以下に短縮される場合もある。更に、効果を高めるためには、成分(4)の濃度や配合量を微調整する、成分(4)を複数組み合わせて投入することが好ましい場合もある。
【0051】
<水質浄化法>
本発明の水質浄化法は、上記の凝集沈殿剤を用いることを特徴とする。浄化する対象の水は特に限定されることなく、広く一般的な水質浄化に用いることができる。水質浄化には、眼で見える表面部分の水が無色透明になることも含まれる。本発明の水質浄化法は、主に藻等の植物プランクトン、泥等を含む、例えば、池、湖、川又は沼(本発明において、「池等」と略記することがある)の水質浄化に好適に用いられる。更には、工業廃水や工事排水を含む汚泥槽や、重金属粒子、泥等の無機微粒子を含む汚泥槽の水質浄化にも好適に用いられる。凝集させにくい汚泥槽の水質でも短時間で良好に浄化することができる。
【0052】
本発明の水質浄化法は、上記の凝集沈殿剤を用いればよく、その水への投下方法は特に限定はないが、本発明の上記凝集沈殿剤を、池等や汚水槽の水面にそのまま投入したり、水面に噴射遙動したりすることにより行う。浄化したい原水を容器に取水し、本発明の凝集沈殿剤を添加等した後に容器内で簡易攪拌して搖動させた後、池等に連続的に還流してもよい。
【0053】
本発明の凝集沈殿剤の使用量は、水質浄化したい原水100質量部に対して、本発明の凝集沈殿剤を0.01〜0.5質量部用いることが好ましく、0.05〜0.1質量部用いることがより好ましく、更に好ましくは0.07〜0.08質量部である。
【0054】
粘土質や化学物質を含む原水の場合は、前記の凝集沈殿剤を投入した後、更に、成分(4)「ナトリウム又はカルシウムの、塩化物、炭酸塩、炭酸水素塩又は水酸化物」の水溶液を投入することが好ましい。更には、上記成分(4)の水溶液が、塩化ナトリウムと水酸化カルシウムの水溶液であることが特に好ましい。かかる水溶液はペースト状であることも好ましい。
【0055】
別途投入する成分(4)の水溶液の濃度は、成分(4)として2種類以上用いる場合はそれらを合計して、1〜80質量%が好ましく、2〜60質量%が特に好ましい。上記成分(4)の水溶液が、塩化ナトリウムと水酸化カルシウムの水溶液である場合には、塩化ナトリウムは、0.5〜5質量%が好ましく、0.7〜3質量%が特に好ましく、水酸化カルシウムは15〜75質量%が好ましく、20〜60質量%が特に好ましい。ペースト状の「塩化ナトリウムと水酸化カルシウムの水溶液」を得るためには、海水等の2〜3質量%の塩化ナトリウム水溶液50質量部に対し、水酸化カルシウムを好ましくは30〜100質量部、特に好ましくは40〜70質量部加えて調製する。
【0056】
上記「成分(4)の水溶液」を投入する場合、「成分(4)の水溶液」の濃度が25質量%の場合であれば、水質浄化したい水100質量部に対して、「成分(4)の水溶液」を0.1〜1質量部用いることが好ましく、特に好ましくは0.5〜1質量部である。「成分(4)の水溶液」の濃度が25質量%でなければ、その濃度に換算して適量用いられる。
【0057】
本発明の凝集沈殿剤を用いると、投入後15秒以内〜8分以内で、水中の懸濁物が、凝集、フロック生成及び/又は沈降し、上澄みの透明度は通常水と同程度になる。
【0058】
本発明の水質浄化法は、凝集沈殿剤で沈降した藍藻類やエマルジョン接着剤や米とぎ汁を水面に浮上させ回収することもできる。凝集沈殿剤を投入し、凝集及び沈降した藍藻類等が処理水面に浮上する。凝集沈殿した藍藻類が原水の透明度の復活で光透過性が増すことで、光合成が活発となり酸素を放出して、溶存酸素の増大効果によって日中は水面上に浮上するので、それを容易に回収することができる。
【0059】
<作用・原理>
本発明の凝集沈殿剤を用いると、安価で簡易に短時間で良好に水質を浄化することができる。本発明の効果を奏する作用・原理は以下のように考えられる。ただし、以下の作用・原理の当てはまる範囲に本発明は限定される訳ではない。すなわち、成分(B)が導電性ポリ塩化アルミニウムと共に架橋ポリマー化してゲル体を生成する。また水で希釈しても同様に粘着性のあるゲル体を生成する。すなわち、一旦高粘度水溶液又はゲル状物ができた時点で、極めて凝集効果の高い複合物(適度な粘着性をもつ正の電荷を持つ微粒子であると考えられる)が水中で生成したと考えられる。この粘着性と正の電荷をもつ高密度の凝集沈殿剤は、負の電荷を持つ微細な粒子を電荷の+と−効果(静電気力)によって電気的に捕捉される。また、溶融状態の複合体となっているため、ポリマーや微細な金属酸化物や重金属類等の懸濁物物質と反応してゲル捕捉すると同時に凝集の核として密度の高いフロックを形成して沈降することにより、水中の懸濁物が除かれて水質が浄化されるものと考えられる。また、成分(B)とポリ塩化アルミニウム(PAC)を混合することによって得られる高粘度水溶液又はゲル状物を水で希釈してなる低粘ゲル状態の凝集沈殿剤おいては、一旦高粘度水溶液又はゲル状物ができた時点の反応と同様に、原水中においても反応があり、極めて凝集フロック生成効果の高い複合物が水中で生成し沈殿するものと考えられる。
【実施例】
【0060】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中に記載の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。また、結晶水を含むものの使用量は、結晶水を除いたものの使用量に換算してある。
【0061】
実施例1
ポリ塩化アルミニウムの水溶液として、JIS K1475で規定された「アルミニウム(Al)をAlに換算した濃度が11.0質量%のポリ塩化アルミニウム(PAC)」(王子製紙社製)93.5部とホウ砂7.5部を60℃で撹拌混合し、その後、25℃で約30分間、静置して高粘性透明ゲル状物aを得た。このゲル状物a15部に水85部を加え攪拌、熟成後、半透明化した低粘ゲル状の凝集沈殿剤Aを得た。
【0062】
上野不忍池の原水100部に対し、上記の凝集沈殿剤Aを0.05部用いて水面に投入した。投入攪拌後直ぐに、藍藻類等が凝集し、生成したフロックが次第に沈降した。深さ20cmの容器の底部までの沈降時間は2分以内であり、上澄みの透明度は、通常水とほぼ同レベルになった。また、処理後の水のpHは7でほぼ中性の領域であった。
【0063】
その後、自然光の環境に置くこと3時間程度で藍藻類表層に酸素泡が多く発生した。その藍藻類は次第に水面上に浮上してきた。動物プランクトンも成育していることも観察された。水面上に浮上したフロックは容易に回収が可能であった。
【0064】
実施例2
1Lのペットボトルに入れた「有機物を含む神奈川県内厨子の土壌50部及び水300部からなる懸濁水」350部に対し、上記の凝集沈殿剤Aを0.8部添加した。ペットボトルに蓋をして上下に5〜6回振ると、約1分後に上面7mm程度が透明になり、3分後には凝集(フロックを生成)しながら、凝集物が完全に沈降した。上澄みの透明度は、通常水とほぼ同レベルになった。また、処理後の水のpHは7でほぼ中性の領域であった。
【0065】
実施例3
実施例1において、「ホウ砂7.5部」に代えて、「炭酸ナトリウム6.5部」を使用した以外は、実施例1と同様にして白濁した凝集沈殿剤Bを得た。
【0066】
上野不忍池の水1000部に対し、上記の凝集沈殿剤Bを3部用いて水面に投入した。投入約1分後に、分散物が凝集し、生成したフロックが次第に沈降した。深さ20cmの容器の底部までの沈降時間は3分以内であり、上澄みの透明度は、通常水とほぼ同レベルになった。また、処理後の水のpHは7でほぼ中性の領域であった。
【0067】
実施例4
1Lのペットボトルに入れた「有機物を含む神奈川県内厨子の土壌50部及び水300部からなる懸濁水」350部に対し、上記の凝集沈殿剤Aを0.8部と3%濃度の塩化ナトリウム水溶液を0.35部からなる凝集沈殿剤を添加した。ペットボトルごと上下に5〜6回振ると、2分後には凝集しながらフロック等の凝集物が完全に沈降した。
【0068】
上澄みの透明度は、通常水とほぼ同レベルになった。また、処理後の水のpHは7でほぼ中性の領域であった。塩化ナトリウム水溶液を添加しない実施例2の凝集沈殿剤Aよりも早く凝集物が生成して沈降した。
【0069】
実施例5
重金属と泥を含有する工事排水の汚泥槽の水1000部に、上記の凝集沈殿剤Aを0.08部投入して撹拌した。上澄みの透明度は、通常水とほぼ同レベルになった。また、処理後の水のpHは7でほぼ中性の領域であった。
【0070】
実施例6
実施例5と同様にして、重金属と泥を含有する工事排水の汚泥槽の水1000部に、上記の凝集沈殿剤Aを0.1部投入して撹拌した。その後、2%濃度の塩化ナトリウム水溶液を3部投入した。上澄みの透明度は、通常水とほぼ同レベルになった。また、処理後の水のpHは7でほぼ中性の領域であった。塩化ナトリウム水溶液を投入しない実施例5の場合よりも早く凝集物が生成して沈降した。
【0071】
実施例7
実施例6において、2%の塩化ナトリウム水溶液3部に代えて、ペースト状の炭酸カルシウム高濃度水溶液2部を用いた以外は、実施例6と同様にしたところ、上澄みの透明度は、通常水とほぼ同レベルになった。また、処理後の水のpHは7.5の領域であった。炭酸カルシウム水溶液を投入しない実施例6の場合よりも早く凝集物が生成して沈降した。
【0072】
実施例8
2.8%海水75部と水酸化カルシウム(消石灰)25部とを混合して、室温で3日間熟成させてペースト状液(高濃度の水溶液)を得た。2%濃度の塩化ナトリウム水溶液を3部投入に代えて、このペースト状液を1部投入した以外は、実施例6と同様にしたところ、上澄みの透明度は、通常水とほぼ同レベルになった。また、処理後の水のpHは7でほぼ中性の領域であった。水酸化カルシウム水溶液を投入しない実施例6の場合よりも早く沈降して僅か2分以内で透明水を得た。
【0073】
比較例1
上記実施例1において、凝集沈殿剤Aを0.05部の代わりに不忍池原水1000部にホウ砂の結晶20部添加して攪拌したが何の変化もなく。溶解しない結晶が底に沈殿するだけであった。
【0074】
比較例2
上記実施例1において、凝集沈殿剤Aを0.05部の代わりに、20%炭酸ナトリウム(NaCo)水溶液3部を用いた以外は実施例1と同様にして上野不忍池の水を処理したが、まったく変化がなく、かえって水質の汚濁が増す結果となった。
【0075】
比較例3
上記実施例1において、凝集沈殿剤Aを0.05部の代わりに、実施例1で用いたものと同じ市販品のPACを、実施例1と同様にして上野不忍池の800部原水に対し16部を添加して連続的に攪拌処理したが、凝集効果が観察されなかった。
【0076】
比較例4
上記同様上野不忍池原水800部に対し硫酸バンド(硫酸アルミニウム)水溶液20部を用いて上野不忍池の水を処理したが、数日経過しても沈降せず凝集効果がないと考察された。
【0077】
比較例5
懸濁汚泥水800部に対し北海道阿寒産の貝化石5部を添加して攪拌したが、微粒子は捕捉せず、比重の重い大きな粒子は10分間程度で沈降するが(自然沈降と差異がない)微細な汚濁質は、5日間経過しても沈降せず濁り水のままであった。
【0078】
比較例6
北海道阿寒産の貝化石80gにポリ塩化アルミニウムの水溶液として、JIS K1475で規定された「アルミニウム(Al)をAlに換算した濃度が11.0質量%のポリ塩化アルミニウムの水溶液(PAC)」(王子製紙社製)20gを加えて、貝化石に担持させた。
【0079】
汚泥原水100部に対し前記処理剤を5部加え攪拌処理したが、比重の重い粒子は、約5〜7分程度で沈降したが、濁り水中の微粒子は3〜7日経過しても沈降せず透明水は得られなかった。
【0080】
本発明の凝集沈殿剤を用いた実施例1〜実施例8では、何れも速やかに処理水を透明にすることができたが、比較例1〜比較例6の凝集沈殿剤は長期間費やしても、分散物が完全には凝集せず、従って沈降せず水質の浄化が不十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の凝集沈殿剤は、迅速な水質浄化性に優れているので、池等の水質浄化、汚濁物質を含む工場廃水、工事排水、生活廃水の浄化処理等に広く利用されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、下記の成分(1)、成分(2)及び成分(3)を含有することを特徴とする凝集沈殿剤。
(1)ポリ塩化アルミニウム
(2)ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム
(3)水
【請求項2】
上記成分(2)がホウ砂である請求項1に記載の凝集沈殿剤。
【請求項3】
上記成分(2)が炭酸ナトリウムである請求項1又は請求項2に記載の凝集沈殿剤。
【請求項4】
上記成分(1)、成分(2)及び成分(3)を混合することによって得られる高粘度水溶液又はゲル状物を更に水で希釈してなる請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の凝集沈殿剤。
【請求項5】
上記成分(1)、成分(2)及び成分(3)を混合することによって得られる高粘度水溶液又はゲル状物を更に水で希釈してなる凝集沈殿剤であって、20℃で3日静置することによって高粘度水溶液又はゲル状物になるような化学構造と組成を有する請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の凝集沈殿剤。
【請求項6】
上記成分(1)、成分(2)及び成分(3)を混合することによって得られる高粘度水溶液又はゲル状物を更に水で希釈し、更に下記成分(4)を配合してなる請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の凝集沈殿剤。
(4)ナトリウム又はカルシウムの、塩化物、炭酸塩、炭酸水素塩又は水酸化物
【請求項7】
上記成分(4)が、塩化ナトリウムと水酸化カルシウムとの配合物である請求項6に記載の凝集沈殿剤。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の凝集沈殿剤を用いることを特徴とする水質浄化法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の凝集沈殿剤を投入した後、更に、下記成分(4)の水溶液を投入することを特徴とする水質浄化法。
(4)ナトリウム又はカルシウムの、塩化物、炭酸塩、炭酸水素塩又は水酸化物
【請求項10】
上記成分(4)の水溶液が、塩化ナトリウムと水酸化カルシウムの水溶液である請求項9記載の水質浄化法。

【公開番号】特開2012−11363(P2012−11363A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153345(P2010−153345)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(591095214)株式会社HI−VAN (11)
【出願人】(502186110)松原建設株式会社 (2)
【Fターム(参考)】