説明

凝集混和槽および汚泥脱水装置

【課題】汚泥と凝集剤を均等に混合(混和)した凝集剤混合汚泥を複数の汚泥脱水手段に均等に供給し得る凝集混和槽を提供する。
【解決手段】水平配設される槽本体31を備え、回転部材32aと、この回転部材32aの外周に突設された攪拌翼32bとからなる攪拌手段32が前記槽本体31の長手方向に沿って内設されると共に、汚泥と凝集剤とからなる凝集剤混合汚泥を汚泥脱水手段に供給する汚泥出口31bを備えた凝集混和槽30を、前記槽本体31の1側面の長手方向に複数の汚泥供給口36aが所定の間隔で列をなして設けられ、前記複数の汚泥供給口36aの列から外れた位置に複数の凝集剤供給口37aが所定の間隔で列をなして設けられると共に、前記汚泥出口31bが槽本体31の上部の長手方向に所定の間隔で列をなして設けられてなる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥に凝集剤を均等に混合し得ることを可能ならしめるようにした凝集混和槽および汚泥脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場等から発生する汚泥は、汚泥濃縮装置や汚泥脱水装置等によって濃縮あるいは脱水されて処理されている。通常、汚泥に高分子凝集剤(以下、凝集剤という)を添加して混合(混和)すると共に、凝集剤の混合(混和)により凝集したフロックを含む凝集剤混合汚泥を濃縮、脱水処理している。凝集剤混合汚泥を濃縮脱水する汚泥脱水機としては、例えば回転加圧脱水機やベルト式汚泥濃縮機等がある。
【0003】
前記回転加圧脱水機は、減速機付電動機により駆動される水平な駆動軸により内輪スペーサと共に回転され、ろ過面を有する一対の円盤状のろ過板を備えている。これら一対のろ過板と、これら一対のろ過板の外縁が摺接する外輪スペーサとの間には脱水処理室が形成されている。また、この脱水処理室に、機外に設けられた混和槽から凝集剤の添加・混合により調質された凝集剤混合汚泥を供給する汚泥供給部を備えると共に、この脱水処理室から脱水ケーキを排出する脱水ケーキ排出部を備えている。この従来例に係る回転加圧脱水機の前記汚泥供給部は、前記円盤状のろ過板の回転中心より上部側であって、かつ脱水処理室の外周部から脱水処理室内に汚泥を供給する位置に設けられている。また、前記脱水ケーキ排出部は、脱水処理室内の脱水ケーキを前記円盤状のろ過板の回転中心より下部側であって、かつ脱水処理室の外周部から排出する位置に設けられている(例えば、特許文献1,2、非特許文献1参照。)。
【0004】
そして、上記のような構成の回転加圧脱水手段が2台並設されてなる汚泥脱水処理装置が特許文献1に開示され、また上記のような構成の回転加圧脱水機が4台、6台並設されてなる汚泥脱水処理装置が非特許文献1に開示されている。なお、この従来例に係る複数台の回転加圧脱水手段の場合には、何れも1台の減速機付電動機により駆動されるように構成されている。
【特許文献1】特表2004−532733号公報
【特許文献2】特開2004−90048号公報
【非特許文献1】回転加圧脱水機、社団法人下水道新技術推進機構、2002年3月、p.12−35
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2および非特許文献1に記載された従来例に係る回転加圧脱水機は、コンパクトで、複数台の回転加圧脱水機を容易に並設することができるため、汚泥を大量に処理することがき、維持管理が容易であるという優れた機能を備えているため、近年多用されるようになってきている。しかしながら、凝集剤の添加・混合により調質された凝集剤混合汚泥を長い汚泥供給ラインを介して凝集混和槽から回転加圧脱水機に供給するように構成されているため、下記のような問題がある。
【0006】
即ち、汚泥供給ラインを介して凝集剤混合汚泥が移送されている間に、この汚泥供給ライン内でフロックが破壊される虞があり、脱水性能が悪化する場合がある。また、回転加圧脱水機に複数の脱水処理室が設けられている場合には、複数の脱水処理室それぞれの汚泥供給部に連通する汚泥供給ラインの流路抵抗を、実質的に同等に設定することが困難なため、複数の脱水処理室のそれぞれに等量ずつの汚泥を供給することができず、汚泥供給量が過多となり十分脱水できない脱水処理室や、汚泥過少となり内部汚泥が押し出されず固着するといった非常に不安定な運転になるという問題が生じる虞がある。
【0007】
さらに、原汚泥には、例えば固形物当り1%程度の凝集剤を添加する必要があるため汚泥脱水処理コストの低減が難しいのに加えて、汚泥脱水処理装置の設置に広いスペースを要するという問題もある。また、ベルト式汚泥濃縮機の場合も、従来は、凝集剤の添加・混合により調質された凝集剤混合汚泥を長い汚泥供給ラインを介して凝集混和槽から供給されるので、上記のように、汚泥供給ラインを介して凝集剤混合汚泥が移送されている間に、この汚泥供給ライン内でフロックが破壊される虞があり、脱水性能が悪化する問題や、凝集混和槽汚泥供給配管等を含めた汚泥処理設備の設置に広い設置スペースを要するという問題がある。
【0008】
従って、本発明の第1の目的は、汚泥と凝集剤を均等に混合(混和)した凝集剤混合汚泥を複数の汚泥脱水(濃縮)手段に均等に供給し得る凝集混和槽を提供することであり、また第2の目的は、凝集剤の添加量が少ない凝集汚泥でも安定的に運転して効果的に脱水処理することを可能ならしめるコンパクトな汚泥脱水処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者等は、発想を転換して鋭意研究を進めた結果、後述する点を知見して、本発明を具現するに至ったものである。
(1)縦型式の凝集混和槽では汚泥供給管が長くなるのに加えて、複数の回転加圧脱水手段や所定幅のベルトを有するベルト式汚泥濃縮機に汚泥を均等に供給することが困難であるため、水平配設される横長の凝集混和槽が好ましいが、高さ寸法の関係上、汚泥と凝集剤との攪拌時間が短く均等混合が困難である。
しかしながら、凝集混和槽の長手方向に沿って複数の凝集剤供給口と汚泥供給口を列状に設ければ、横長の凝集混和槽の長手方向にわたって汚泥と凝集剤が分散供給されるため、短時間の攪拌で均等混合することができる。
(2)横長の凝集混和槽の上側に複数の汚泥出口を設ければ、複数の汚泥出口のそれぞれから等量ずつの混合汚泥を流出させることができる。
(3)汚泥供給部の下側に開口する汚泥入口から汚泥を回転加圧脱水手段の脱水処理室の下部側に供給する構成にすれば、フロックが潰れ難くなるため高分子凝集剤の添加量を低減することができる。
(4)汚泥供給部の下側に開口する汚泥入口に凝集混和槽を直結すれば、汚泥脱水処理装置の複数の脱水処理室のそれぞれに等量ずつの汚泥を供給することができ、しかも汚泥脱水処理装置をコンパクトにすることができる。
(5)ろ過板を逆回転させても脱水処理室の汚泥を下側から上側に汚泥を移動させることができる。
(6)流動性が高い未脱水汚泥は脱水が進行して流動性が低下しなければ、脱水処理室の上側に移動しない。
【0010】
従って、上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る凝集混和槽が採用した手段は、水平配設される横長の槽本体と、この槽本体の長手方向に沿って内設される回転部材と、この回転部材の外周に突設された攪拌翼とからなる攪拌手段と、前記槽本体の1側面の長手方向にそれぞれ列をなして設けられ、前記槽本体の内部に汚泥を供給する複数の汚泥供給口および前記槽本体の内部に凝集剤を供給する複数の凝集剤供給口と、前記槽本体の上部に設けられ、汚泥と凝集剤とからなる凝集剤混合汚泥を汚泥脱水手段に供給する汚泥出口とを具備してなることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項2に係る凝集混和槽が採用した手段は、請求項1に記載の凝集混和槽において、前記汚泥供給口と前記凝集剤供給口とが設けられる前記槽本体の1側面は、前記攪拌手段の作動により生じる内壁に沿う汚泥の流れが下向きになる側であることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項3に係る凝集混和槽が採用した手段は、請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の凝集混和槽において、前記槽本体の1側面に、前記複数の汚泥供給口が内部側に開口する汚泥供給槽と、前記複数の凝集剤供給口が内部側に開口する凝集剤供給槽とが付設されてなることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項4に係る凝集混和槽が採用した手段は、請求項3に記載の凝集混和槽において、前記汚泥供給槽の内部に、前記攪拌手段の回転中心と平行な軸心を有する回転軸で回転され、前記汚泥供給槽の底部に滞留する汚泥を前記汚泥供給口の方向に移動させる汚泥掻出手段が設けられてなることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項5に係る汚泥脱水処理装置が採用した手段は、水平な駆動軸により回転され、少なくとも幅方向の一方側に、多数の水透過穴が設けられてなるろ過面を有する円盤状のろ過板を備えた脱水処理室内に凝集剤が添加・混合された凝集剤混合汚泥を供給する汚泥供給部が設けられると共に、脱水ケーキを排出する脱水ケーキ排出部が設けられた回転加圧脱水手段が配設されてなる汚泥脱水処理装置において、前記回転加圧脱水手段の脱水ケーキ排出部は前記脱水処理室内の脱水ケーキを前記円盤状のろ過板の回転中心より上部側であって、かつ脱水処理室の外周部から排出する位置に設けられ、前記汚泥供給部は前記脱水ケーキ排出部より下部側であって、かつ脱水処理室の外周部から脱水処理室内に汚泥を供給する位置に設けられると共に、前記汚泥供給部の下側に開口する汚泥入口に、前記請求項1乃至4のうちの何れか一つの項に記載の凝集混和槽の汚泥出口が直結されてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1乃至4に係る凝集混和槽では、水平配設される横長の凝集混和槽の槽本体の1側面の長手方向に複数の汚泥供給口および複数の凝集剤供給口がそれぞれ列をなして設けられている。従って、本発明の請求項1乃至4に係る凝集混和槽によれば、横長の凝集混和槽の長手方向にわたる複数箇所から汚泥と凝集剤とが分散供給され、そして分散供給された汚泥と凝集剤とが凝集混和槽の槽本体内において攪拌手段により均等に混合される。
【0016】
また、本発明の請求項1乃至4に係る凝集混和槽では、汚泥出口は槽本体の上部に設けられているから、複数の汚泥出口のそれぞれから等量ずつ、かつ汚泥と凝集剤とが均等に混合された凝集剤混合汚泥を流出させることができる。従って、本発明の請求項1乃至4に係る凝集混和槽によれば、複数の汚泥出口から複数の回転加圧脱水手段のそれぞれに等量ずつ、かつ汚泥と凝集剤とが均等に混合された凝集剤混合汚泥を供給することができるから、複数の回転加圧脱水手段のそれぞれに、最大限の汚泥脱水性能を発揮させることができる。
【0017】
本発明の請求項2に係る凝集混和槽では、前記汚泥供給口と前記凝集剤供給口とが設けられる前記槽本体の1側面は、前記攪拌手段の作動により生じる内壁に沿う汚泥の流れが下向きになる側である。従って、本発明の請求項2に係る凝集混和槽によれば、汚泥供給口と凝集剤供給口から槽本体内に供給された汚泥と凝集剤は、下向きに流れ、底部において下向きから上向きに反転すると共に他の側面側の内壁に沿って流れる間中を通じて攪拌されるから、凝集混和槽の高さが縦型の攪拌装置を備えた凝集混和槽に比較して低いが、汚泥と凝集剤とを効果的に間混合することができる。
【0018】
本発明の請求項3に係る凝集混和槽では、槽本体の長手方向に沿う側面に、複数の汚泥供給口が内部側に開口する汚泥供給槽と、複数の凝集剤供給口が内部側に開口する汚泥供給槽とが付設されている。従って、本発明の請求項3に係る凝集混和槽によれば、汚泥供給口と凝集剤供給口とが複数設けられているものの、それぞれ1本ずつの汚泥供給管と凝集剤供給管を汚泥供給槽と凝集剤供給槽とに連通させれば良いので、汚泥供給管と凝集剤供給管との供給管系統が従来例に係る凝集混和槽の供給管系統より複雑になるようなことがない。
【0019】
本発明の請求項4に係る凝集混和槽では、汚泥供給槽の内部に、前記攪拌手段の回転中心と平行な軸心を有する回転軸で回転され、汚泥供給槽の底部に滞留する汚泥を前記汚泥供給口の方向に移動させる汚泥掻出手段が設けられている。従って、本発明の請求項4に係る凝集混和槽によれば、汚泥供給槽の底部に滞留する汚泥は汚泥掻出手段で汚泥供給口の方向に移動されると共に槽本体内に供給されるため、汚泥供給槽の底部に滞留する汚泥により汚泥供給口が目詰まりするようなことがない。
【0020】
本発明の請求項5に係る汚泥脱水処理装置では、回転加圧脱水手段の脱水ケーキ排出部は前記脱水処理室内の脱水ケーキを前記円盤状のろ過板の回転中心より上部側であって、かつ脱水処理室の外周部から排出する位置に設けられ、前記汚泥供給部は前記脱水ケーキ排出部より下部側であって、かつ脱水処理室の外周部から脱水処理室内に汚泥を供給する位置に設けられると共に、前記汚泥供給部の下側に開口する汚泥入口に、前記請求項1乃至4のうちの何れか一つの項に記載の凝集混和槽の汚泥出口が直結されている。
【0021】
従って、本発明の請求項5に係る汚泥脱水処理装置によれば、未脱水汚泥は流動性が高いため脱水処理室の上部側に移動することがなく、脱水処理室の下部側で確実にろ過されて流動性が失われて始めて脱水処理室の上部側に移動する。そのため、従来例に係る回転加圧脱水機のように、脱水ケーキ排出部の排出口から低脱水率の脱水ケーキが排出されるようなことがなく、汚泥が安定的に脱水される。また、汚泥供給部の下側に開口する汚泥入口から汚泥を回転加圧脱水手段の脱水処理室の下部側に供給する構成で、フロックが潰れ難いため凝集剤の添加量を低減することができる。
【0022】
さらに、本発明の請求項5に係る汚泥脱水処理装置によれば、汚泥供給部の下側に開口する汚泥入口に凝集混和槽の汚泥出口が直結されていて、回転加圧脱水手段が複数並列設置されている場合、各回転加圧脱水手段の脱水処理室に等量ずつの汚泥を供給することができるので、安定運転することができる(処理汚泥量や脱水ケーキ含水率が安定する)のに加えて、長尺の汚泥供給ラインが不要であるから、汚泥脱水処理装置のコンパクト化が可能になり、従来例よりも狭い設置スペースに設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置を、添付図面を順次参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置の側面図、図2は本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置を脱水ケーキ排出側から見た背面図である。図3は本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置を構成する凝集混和槽の縦断面図、図4は本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置を構成する凝集混和槽の正面図、図5(a)は本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置を構成する凝集混和槽の横断面図、図5(b)は図5(a)のA部拡大図、図5(c)は図5(b)のB矢視図である。図6は本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置を構成する回転加圧脱水手段の概略構成を示す一部省略側面図、図7は図6のC−C線断面図、図8は本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置を構成する回転加圧脱水手段の外輪スペーサの側面図である。
【0024】
図1および図2に示す符号1は、本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置である。
この汚泥脱水処理装置1は、ベース2上に設置された架台3の上に設けられ、減速機付電動機4の垂直軸心周りの回転を水平軸心回りで、かつ左右に突出する駆動軸12を同一方向に回転させるギヤボックス5を備えている。また、前記駆動軸12で駆動される2台の回転加圧脱水手段10,10′と、前記ベース2上に設けられ、前記回転加圧脱水手段10,10′のそれぞれに、図示しない薬液供給タンクから供給される凝集剤(高分子凝集剤や無機凝集剤)を原汚泥に添加・混合して調質し、調質後の凝集剤混合汚泥を供給する凝集混和槽30を備えている。さらに、前記回転加圧脱水手段10,10′それぞれの脱水ケーキ排出口から排出される脱水ケーキを受取るホッパ6を備えている。以下、本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置1を構成する上記各構成機器のうち、凝集混和槽30と、回転加圧脱水手段10,10′との構成を説明する。
【0025】
先ず、凝集剤を原汚泥に添加・混合して調質した凝集剤混合汚泥を回転加圧脱水手段に供給する、本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置1を構成する凝集混和槽30の構成を、添付図面の図3、図4および図5を順次参照しながら説明する。即ち、本発明の実施の形態に係る凝集混和槽30は、ベース2上に水平配設されており、下部の1側面に後述する汚泥供給槽36と凝集剤供給槽37とが設けられると共に、上部の2個所に汚泥出口31bが設けられてなる密閉式の槽本体31を備えている。なお、本発明の実施の形態の場合には、上部の2個所に汚泥出口31bが設けられているが、回転加圧脱水手段の配設数に応じた数の汚泥出口31bが設けられるので、汚泥出口31bの数は2個所に限定されるものではない。
【0026】
この槽本体31の内部には、一端側がこの槽本体31の一端側から外方に水密可能に突出する駆動軸32cにより回転可能に支持され、他端側が従動軸32dにより回転可能に支持されてなる回転胴32aと、この回転胴32aの周方向に所定のピッチで植設されてなる平板状の攪拌翼32bとからなる、攪拌手段である攪拌装置32が設けられている。
前記駆動軸32cの槽本体31からの突出端には、従動Vベルトプーリ32eが嵌着されており、そしてこの従動Vベルトプーリ32eは電動機33の駆動軸に嵌着されてなる駆動Vベルトプーリ33aに掛装されてなるVベルト34により回転駆動されるように構成されている。また、前記槽本体31の上部の2個所設けられた汚泥出口31bのそれぞれには中継継ぎ手35が取付けられており、これら中継継ぎ手35のうちの一方が図2における右側の回転加圧脱水手段10の汚泥供給部の汚泥入口に接続され、他方が左側の回転加圧脱水手段10′の汚泥供給部の汚泥入口に接続されている。
【0027】
前記汚泥供給槽36は、前記槽本体31の1側面であって、この槽本体31の長手方向に沿って付設されている。そして、この汚泥供給槽36には、図示しない汚泥供給源からこの汚泥供給槽36の側部に連通する汚泥供給管31aを介して原汚泥(無機凝集剤混合汚泥でも良い)が供給されるように構成されている。また、前記凝集剤供給槽37は、前記汚泥供給槽36の上、かつ前記槽本体31の1側面であって、この槽本体31の長手方向に沿って付設されており、前記汚泥供給槽36と同長さに設定されている。この凝集剤供給槽37には、図示しない薬液供給タンクからこの凝集剤供給槽37の1側面に連通する薬液供給管31cを介して凝集剤(具体的には、高分子凝集剤等)が供給されるように構成されている。本発明の実施の形態に係る凝集混和槽30によれば、汚泥供給口36aと凝集剤供給口37aとが複数設けられているが、1本の汚泥供給管31aを汚泥供給槽36に、また1本の凝集剤供給管31cを凝集剤供給槽37に連通させれば良いので、汚泥供給管と凝集剤供給管との供給配管系統が従来例に係る凝集混和槽の供給配管系統より複雑になるようなことがない。
【0028】
前記汚泥供給槽36の内部と前記槽本体31の内部は、この槽本体31の長手方向に所定の間隔で列をなして設けられた複数の汚泥供給口36aを介して連通しており、図示しない汚泥供給源から汚泥供給管31aを介して供給された原汚泥が、汚泥供給槽36から複数の汚泥供給口36aを通して槽本体31の長手方向に分散供給されるように構成されている。また、前記凝集剤供給槽37の内部と前記槽本体31の内部は、この槽本体31の長手方向に所定の間隔で列をなして設けられた複数の凝集剤供給口37aを介して連通しており、図示しない薬液供給タンクから薬液供給管31cを介して供給された凝集剤が、凝集剤供給槽37から複数の凝集剤供給口37aを通して槽本体31の長手方向に分散供給されるように構成されている。
【0029】
また、前記汚泥供給槽36の内部には、前記攪拌装置32の回転中心と平行な軸心を有する回転軸で回転され、前記汚泥供給槽の底部に滞留する汚泥を前記汚泥供給口36aの方向に移動させる汚泥掻出手段である汚泥掻出翼36bが設けられている。この汚泥掻出翼36bの働きにより、汚泥供給槽36の底部に滞留する汚泥は汚泥供給口36aの方向に移動されると共に槽本体31内に供給されるため、汚泥供給槽36の底部に滞留する汚泥により汚泥供給口36aが目詰まりするようなことがない。なお、汚泥供給槽36内の汚泥の堆積を抑制するために、汚泥供給口36aの開口は汚泥供給槽36の底部に近い位置に設けるのが好ましい。なお、この実施の形態の場合には、汚泥供給口36aの上位位置に凝集剤供給口37aが設けられているが、これらの位置関係は逆であっても良く、また、汚泥供給槽36の内部に汚泥掻出翼36bを設けなくても良い。
【0030】
前記凝集剤供給口37aの槽本体31の開口位置は、前記汚泥供給口36aの槽本体31の開口位置の直上になるように設定されており、この形態では、汚泥供給口36aと凝集剤供給口37aは、槽本体31の長手方向のそれぞれ10個ずつ設けられている。これら汚泥供給口36aと凝集剤供給口37aとの配設位置は、図5(a)において示すように、攪拌装置32の反時計回り方向の回転方向を考慮して決定したものである。
【0031】
即ち、槽本体31内に供給された汚泥と凝集剤は、下向きに流れ、底部において下向きから上向きに反転すると共に他の側面側の内壁に沿って流れる間中を通じて攪拌することができるから、凝集混和槽3の高さが従来の縦型の攪拌装置を備えた凝集混和槽に比較して低いものの、汚泥と凝集剤とを効果的に間混合することができると考えたためである。
なお、これら供給口36a,37aの設置数は適宜に決定すれば良いため、これら供給口36a,37aの設置数に限定されるものではない。なお、汚泥と凝集剤とをより均等に混合させるために、槽本体31の内部、例えば内壁に、攪拌により生じる汚泥の流れを乱流にするための邪魔板等を設けることが好ましい。
【0032】
次に、本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置1を構成する回転加圧脱水手段10,10′を、添付図面の図6、図7および図8を順次参照しながら説明する。なお、2台の回転加圧脱水手段10,10′は、左右勝手反対の構成であって、これら回転加圧脱水手段10,10′の構成部品の構成は同等であるから、図2において右側に示す回転加圧脱水手段10を取上げて説明する。また、作用態様に係る説明においては、左側の回転加圧脱水手段10′の構成部品の符号は、右側の回転加圧脱水手段10の構成部品の符号と同一とする。
【0033】
図6に示す符10は、本発明の実施の形態に係る回転加圧脱水手段である。この回転加圧脱水手段10の基本的な構成は、従来例に係るものと同様である。即ち、この回転加圧脱水手段10は、図示しない減速機付電動機4、ギヤボックス5により、0.5〜1.3rpmの回転速度で回転される駆動軸12を備えている。この駆動軸12には、この駆動軸12の回転により沈みキー12aを介して回転される内輪スペーサ13が嵌着されると共に、この内輪スペーサ13を囲む外輪スペーサ14が配設されている。なお、前記内輪スペーサ13はボス部13aと同心に設けられており、このボス部13aを介して回転されるように構成されている。
【0034】
前記外輪スペーサ14には、この外輪スペーサ14の中心側に内輪スペーサ13の外周面が摺接する凹曲面を有する水平な仕切りスペーサ15が設けられており、この仕切りスペーサ15の下側には、横方向に開口する汚泥流入口20aが形成されている。また、この仕切りスペーサ15の上側に、横方向に開口する脱水ケーキ排出部19が設けられている。さらに、前記仕切りスペーサ15の側面には、横方向に長い溝と、この溝の底部に開口する複数の水流出口とから構成され、後述する第1,2ろ過板を洗浄する洗浄水を排出する洗浄水排出部15aが設けられている。
【0035】
前記内輪スペーサ13のボス部13aから突出する前記駆動軸12の先端側には、多数の水透過穴16aが設けられた円盤状の第1ろ過板16が設けられている。また、前記駆動軸12の基端側には、前記第1ろ過板16と同構成であって、多数の水透過穴17aが設けられた円盤状の第2ろ過板17が設けられている。ところで、本発明の実施の形態に係る回転加圧脱水手段の第1ろ過板16および第2ろ過板17には、直径0.5mmの水透過穴を有するパンチングメタルを用いた。しかしながら、これに限らず、回転加圧脱水手段においては、ろ過板の水透過穴への汚泥の目詰まり抑制等の観点から、ろ過板の水透過穴の直径を、0.3〜1.0mmの範囲に設定するのが好ましい。
【0036】
即ち、これら第1ろ過板16と第2ろ過板17は、駆動軸12にそれらの回中心に設けられた嵌合穴が嵌合されことにより取付けられている。これら第1ろ過板16と第2ろ過板17の嵌合穴側は、図示しない固着手段により、これら第1,2ろ過板16,17の相対する面が、図示しない機械的締結手段により、前記内輪スペーサ13の側面に密着する状態に固着されている。そして、これら第1,2ろ過板16,17の外周付近の相対する面は、前記外輪スペーサ14の内周部付近の面に摺接するように構成されている。
【0037】
前記内輪スペーサ13の外周面、前記外輪スペーサ14の内周面、前記第1ろ過板16、および前記第2ろ過板17との間には、前記汚泥流入口20aから前記脱水ケーキ排出部19側に向って順に、前記汚泥流入部20aから流入する汚泥をろ過するろ過ゾーン20bと、ろ過水が除去された汚泥を圧搾脱水する圧搾脱水ゾーン20cとに区分される脱水処理室20が形成されている。前記汚泥流入口20aには、下側に開口する汚泥入口18a、汚泥流路を介して前記汚泥入口部20aに汚泥を供給する汚泥供給部18が取付けられている。なお、前記脱水処理室20内であって、かつ第1ろ過板16と第2ろ過板17との相対する側の面のそれぞれに接触してなるものは、第1ろ過板16と第2ろ過板17の面のそれぞれに付着するケーキを掻取るスクレーパ20dである。
【0038】
前記第1ろ過板6の外側には第1カバー21が配設され、この第1カバー21はフランジ部が前記前記外輪スペーサ14の側面に固着されている。また、前記第2ろ過板16の外側には第2カバー22が配設され、この第2カバー22はフランジ部が前記前記外輪スペーサ14の側面に固着されている。これら第1カバー21、第2カバー22それぞれの下部には、下方に突出するドレン管23が設けられており、前記汚泥供給部18、汚泥入口部18aを経て脱水処理室20内に供給され、前記第1,2ろ過板16,17に設けられた多数の水透過穴16a,17aを介して、前記第1カバー21内、前記第2カバー22内に排出された汚泥中の水分は、前記ドレン管23から機外に排水されるように構成されている。
【0039】
また、前記汚泥供給部18は、前記脱水ケーキ排出部19の排出口19aから排出される脱水ケーキの下方への落下を妨げない形状に形成されている。具体的には、図3,5から良く理解されるように、汚泥供給部18の図における左方向への突出寸法は、この脱水ケーキ排出部19の図における左方向への突出寸法よりも小寸法になるように設定されている。そのため、脱水ケーキ排出部19から排出される脱水ケーキを搬送する脱水ケーキ搬送コンベアや脱水ケーキを受取るホッパ等の脱水ケーキ搬出・受取手段の一端を、脱水ケーキ排出部19の下側に配設することができ、汚泥供給部18が脱水ケーキ搬出・受取手段の配設に支障になるようなことがない。
【0040】
さらに、前記脱水ケーキ排出部19の排出口19aには、脱水処理室20の圧搾脱水ゾーン20b内の圧搾脱水汚泥に対して背圧を付与する、前記排出口19aの上側部分の幅寸法を狭める上部背圧板24aと、前記排出口19aの下側部分幅寸法を狭める下部背圧板24bとからなる背圧板24が設けられている。この背圧板24は、制御手段である図示しない空気ばねにより押圧されるように構成されている。
【0041】
以下、本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置1の作用態様を説明する。即ち、本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置1によれば、図示しない汚泥供給源の原汚泥が汚泥圧入ポンプにより最大100kPa(約1.0kgf/cm)に加圧されて汚泥供給管31aを介して汚泥供給槽36に供給される。この汚泥供給槽36に対する原汚泥の供給と並行して、図示しない薬液供給タンクから原汚泥と同圧力に加圧された凝集剤が凝集剤供給管31cを介して凝集剤供給槽37に供給される。前記汚泥供給槽36に供給された原汚泥は10個の汚泥供給口36aのそれぞれから、また凝集剤供給槽37に供給された凝集剤は10個の凝集剤供給口37aのそれぞれから凝集混和槽30の槽本体31内に並行して分散供給される。この凝集混和槽30内に分散供給された原汚泥と凝集剤は、攪拌装置32の緩やかに回転(例えば、回転数10〜250rpm)する攪拌翼32bにより緩やかに攪拌されるため、これら原汚泥と凝集剤が均等に混合されると共に、調質されて凝集(フロック化)する。
【0042】
より詳しくは、原汚泥と凝集剤は槽本体31の下方に向かって流れ、底部領域において反転すると共に、次第に上方に上昇する間中を通じて混合され続ける。そして、均等に混合されて凝集(フロック化)した凝集剤混合汚泥として、この槽本体31の上部の2個所に設けられている汚泥出口31b,31bのそれぞれから等量ずつ流出する。従って、本発明の実施の形態に係る凝集混和槽30によれば、回転加圧脱水手段10、10′のそれぞれに等量ずつであって、かつ汚泥と凝集剤とが均等に混合された凝集剤混合汚泥を供給することができるから、複数の回転加圧脱水手段10、10′のそれぞれに、最大限の汚泥脱水性能を発揮させることができる。
【0043】
そして、前記汚泥出口31b,31bのそれぞれから等量ずつ流出する凝集剤混合汚泥は、これら汚泥出口31b,31bのそれぞれの上端に接続された中継継ぎ手35を介して回転加圧脱水手段10,10′の汚泥供給部18の下側に開口する汚泥入口18aのそれぞれに流入すると共に緩やかに上昇し、そして汚泥流路、および汚泥流入口20aを介して、0.5〜1.3rpmのゆっくりした速度で回転されている脱水処理室20の下側のろ過ゾーン20bに連続供給され続ける。脱水処理室20の下側のろ過ゾーン20bに供給された凝集剤混合汚泥は、このろ過ゾーン20bでろ過されるため、徐々に流動性が失われる。
【0044】
前記ろ過ゾーン20bにおけるろ過により流動性が低下した汚泥は、多数の水透過穴が設けられた円盤状の第1ろ過板16、および第2ろ過板17の表面にケーキ層を徐々に形成しながら、これら第1ろ過板16、第2ろ過板17の回転により圧搾脱水ゾーン20c側に移動する。これら第1ろ過板16、第2ろ過板17の表面に形成されたケーキ層により固形物の捕捉が向上するために、ろ液は清浄になる。そして、前記圧搾脱水ゾーン20c中における汚泥は、脱水ケーキ排出部19の排出口19aに設けられた背圧板24の押圧力制御(空気ばねの圧力制御)により、背圧が最大600kPa(約6.0kgf/cm)の一定圧力(調整可能である)に保持され続ける。流動性を失った汚泥は、これら第1ろ過板16、第2ろ過板17によるせん断力と、背圧板24により発生する背圧によって圧搾脱水される。そして、圧搾脱水された低含水率になった脱水ケーキは、背圧板24を押し退けて脱水ケーキ排出部19から機外へ排出される。
【0045】
従って、本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置1によれば、未脱水汚泥は流動性が高いため脱水処理室20の上部側の圧搾脱水ゾーン20cに移動することがなく、脱水処理室20の下側のろ過ゾーン20bで確実にろ過されて流動性が失われて始めて脱水処理室20の上部側の圧搾脱水ゾーン20cに移動する。そのため、従来例に係る汚泥脱水処理装置のように、脱水ケーキ排出部19の排出口から低脱水率の脱水ケーキが排出されるようなことがなく、汚泥が安定的に脱水される。
【0046】
因みに、従来例に係る回転加圧脱水機では、多いときで6時間の間に未脱水汚泥が数回排出されたが、この汚泥脱水処理装置1の場合には、このような現象は見られなかった。
さらに、従来例の場合、運転条件の設定によっては、脱水ケーキ排出部から脱水ケーキ状で排出されている状態であっても常に脱水ケーキの下部から若干の水分が滴下していたが、この汚泥脱水処理装置1ではこのような水分の滴下は全く見られなかった。また、従来例に係る回転加圧脱水機では、2つの回転加圧脱水手段(脱水処理室)への配管抵抗差や脱水性の若干の差異による凝集剤混合汚泥の供給量の不均一が発生すると、この差異が除々に拡大し一方が脱水不良となり、当該脱水処理室側に多くの凝集剤混合汚泥が供給され未脱水汚泥が排出された場合が見られたが、この汚泥脱水処理装置1の場合には、このような現象は見られず、2つの回転加圧脱水手段の各脱水処理室に均一に汚泥供給がなされると共に、脱水ケーキの含水率も安定していた。
【0047】
また、凝集混和槽30から緩やかに汚泥が上昇し、この凝集混和槽30から短い移動距離で汚泥供給部18の下側に開口する汚泥入口18aから汚泥を回転加圧脱水手段10,10′の脱水処理室20の下部側のろ過ゾーン20bに供給する構成で、フロックが潰れ難いため高分子凝集剤の添加量を低減することができ、汚泥の処理コストの低減に大いに寄与することができる。さらに、汚泥供給部18の下側に開口する汚泥入口18aに凝集混和槽30が直結されているため、複数(本発明の実施の形態においては2)の回転加圧脱水手段10,10′のそれぞれに等量ずつの汚泥を供給することができるのに加えて、長尺の汚泥供給ラインが不要であるから、汚泥脱水処理装置1のコンパクト化が可能になり、従来よりも狭いスペースに設置することができる。
【0048】
ところで、回転加圧脱水手段の場合、一般に、脱水処理室の回転中心側を移動して排出口19aから排出される脱水ケーキの下側部分の含水率は、外周側を移動して排出口19aから排出される脱水ケーキの上側部分の含水率より低くなり、脱水ケーキの上下方向の含水率分布にばらつきが生じる。因みに、上下の幅寸法が同一の排出口から排出される脱水ケーキの下側部分の含水率が80.7%である場合、脱水ケーキの上側部分の含水率は86.7%であった。なお、排出口から排出される脱水ケーキの下側部分の含水率が、脱水ケーキの上側部分の含水率より低くなるのは仕切りスペーサ15のために、脱水処理室20の回転中心側を移動する汚泥に作用する抵抗が外周側を移動する汚泥に作用する抵抗よりも大きく、より圧搾脱水効果が上がるためであると理解することができる。
【0049】
ところが、本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置1では、上記のとおり、回転加圧脱水手段10,10′の脱水ケーキ排出部19それぞれの排出口19aに設けられてなる背圧板24は、前記排出口19aの上側部分の幅寸法を狭める上部背圧板24aと、前記排出口19aの下側部分幅寸法を狭める下部背圧板24bとからなり、これら上部背圧板24aと、下部背圧板24bのそれぞれを個別に制御する制御手段(空気ばね)が設けられている。従って、上部背圧板24aを下部背圧板24bよりも強い押圧力で押圧して、排出口19aの上下方向の上側部分の幅寸法を下側部分の幅寸法よりも小寸法に制御することにより、脱水処理室20の外周側を移動する汚泥の含水率を、回転中心側を移動する汚泥の含水率のように低くすることができるから、脱水ケーキの上下方向の含水率分布の均一化に大いに寄与することができる。
【0050】
なお、本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置1では、回転加圧脱水機に2個の回転加圧脱水手段(脱水処理室)が設けられている場合を例として説明したが、例えば回転加圧脱水機に回転加圧脱水手段(脱水処理室)が3以上設けられていても良い。また、脱水処理室の幅方向の両側に、多数の水透過穴が設けられてなるろ過面を有する円盤状のろ過板が配設されている場合を例として説明したが、脱水処理室の幅方向の何れか一方に、円盤状のろ過板が設けられていればそれなりの効果を得ることができる。また、ろ過板にパンチングメタルを用いた場合を説明したが、ウエッジワイヤースクリーン等、汚泥と水分が分離できる部材であれば利用可能である。従って、上記実施の形態に係る汚泥脱水処理装置は本発明の1具体例に過ぎず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内における設計変更等は自由自在であるから、汚泥脱水処理装置1の形態は、上記実施の形態に係る汚泥脱水処理装置1の形態に限定されるものではない。
【0051】
さらに、本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置では、上記のとおり、凝集混和槽を回転加圧脱水手段に適用した場合を例として説明した。しかしながら、この凝集混和槽を、例えばフレームに支持された一対のローラに跨って掛装されてなる透水性を有する、幅が数mの無端状のベルトで汚泥を搬送し、搬送中に脱水を行って汚泥を濃縮するベルト式汚泥濃縮機に対しても適用することができる。このようなベルト式汚泥濃縮機に対して凝集混和槽を適用する場合は、凝集混和槽の槽本体の上部を開放形式にすると共に、ベルト式汚泥濃縮機のフレームと一体的に構成し、凝集混和槽の槽本体の上部開口(槽本体の長手方向に設けられた開口)から汚泥をベルトの方向に略平行流動させるように供給するように構成すれば良い。本発明の凝集混和槽をベルト式汚泥濃縮機に適用すれば、凝集剤の添加量を低減できると共に、均質な凝集汚泥がベルトの幅方向に均等に供給されるので、ベルト全体で良好に汚泥を濃縮することができる。従って、本発明の技術的思想に係る凝集混和槽は、回転加圧脱水手段に対する適用に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置を脱水ケーキ排出側から見た背面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置を構成する凝集混和槽の縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置を構成する凝集混和槽の正面図である。
【図5】図5(a)は本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置を構成する凝集混和槽の横断面図、図5(b)は図5(a)のA部拡大図、図5(c)は図5(b)のB矢視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置を構成する回転加圧脱水手段の概略構成を示す一部省略側面図である。
【図7】図6のC−C線断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る汚泥脱水処理装置を構成する回転加圧脱水手段の外輪スペーサの側面図である。
【符号の説明】
【0053】
1…汚泥脱水処理装置,2…ベース,3…架台,4…減速機付電動機,5…ギヤボックス,6…ホッパ
10…回転加圧脱水手段,10′…回転加圧脱水手段
12…駆動軸,12a…沈みキー
13…内輪スペーサ,13a…ボス部
14…外輪スペーサ
15…仕切りスペーサ,15a…洗浄水排出部
16…第1ろ過板,16a…水透過穴
17…第2ろ過板,17a…水透過穴
18…汚泥供給部,18a…汚泥入口
19…脱水ケーキ排出部,19a…排出口
20…脱水処理室,20a…汚泥流入口,20b…ろ過ゾーン,20c…圧搾脱水ゾーン,20d…スクレーパ
21…第1カバー
22…第2カバー
23…ドレン管
24…背圧板,24a…上部背圧板,24b…下部背圧板
30…凝集混和槽
31…槽本体,31a…汚泥供給管,31b…汚泥出口,31c…薬液供給管
32…攪拌装置,32a…回転胴,32b…撹拌翼,32c…駆動軸、32d…従動軸,32e…従動Vベルトプーリ
33…電動機,33a…駆動Vベルトプーリ
34…Vベルト
35…中継継ぎ手
36…汚泥供給槽,36a…汚泥供給口,36b…汚泥掻出翼
37…凝集剤供給槽,37a…凝集剤供給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平配設される横長の槽本体と、この槽本体の長手方向に沿って内設される回転部材と、この回転部材の外周に突設された攪拌翼とからなる攪拌手段と、前記槽本体の1側面の長手方向にそれぞれ列をなして設けられ、前記槽本体の内部に汚泥を供給する複数の汚泥供給口および前記槽本体の内部に凝集剤を供給する複数の凝集剤供給口と、前記槽本体の上部に設けられ、汚泥と凝集剤とからなる凝集剤混合汚泥を汚泥脱水手段に供給する汚泥出口とを具備してなることを特徴とする凝集混和槽。
【請求項2】
前記汚泥供給口と前記凝集剤供給口とが設けられる前記槽本体の1側面は、前記攪拌手段の作動により生じる内壁に沿う汚泥の流れが下向きになる側であることを特徴とする請求項1に記載の凝集混和槽。
【請求項3】
前記槽本体の1側面に、前記複数の汚泥供給口が内部側に開口する汚泥供給槽と、前記複数の凝集剤供給口が内部側に開口する凝集剤供給槽とが付設されてなることを特徴とする請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の凝集混和槽。
【請求項4】
前記汚泥供給槽の内部に、前記攪拌手段の回転中心と平行な軸心を有する回転軸で回転され、前記汚泥供給槽の底部に滞留する汚泥を前記汚泥供給口の方向に移動させる汚泥掻出手段が設けられてなることを特徴とする請求項3に記載の凝集混和槽。
【請求項5】
水平な駆動軸により回転され、少なくとも幅方向の一方側に、多数の水透過穴が設けられてなるろ過面を有する円盤状のろ過板を備えた脱水処理室内に凝集剤が添加・混合された凝集剤混合汚泥を供給する汚泥供給部が設けられると共に、脱水ケーキを排出する脱水ケーキ排出部が設けられた回転加圧脱水手段が配設されてなる汚泥脱水処理装置において、前記回転加圧脱水手段の脱水ケーキ排出部は前記脱水処理室内の脱水ケーキを前記円盤状のろ過板の回転中心より上部側であって、かつ脱水処理室の外周部から排出する位置に設けられ、前記汚泥供給部は前記脱水ケーキ排出部より下部側であって、かつ脱水処理室の外周部から脱水処理室内に汚泥を供給する位置に設けられると共に、前記汚泥供給部の下側に開口する汚泥入口に、前記請求項1乃至4のうちの何れか一つの項に記載の凝集混和槽の汚泥出口が直結されてなることを特徴とする汚泥脱水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−221112(P2008−221112A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62071(P2007−62071)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】