処理テープ、テープカートリッジおよびテープ処理装置
【課題】 生産効率を低下させることなく、テープコアに巻回したテープ本体を使い切ったことを容易に認識させ得る処理テープ等を提供することを課題とする。
【解決手段】 裏面に粘着剤層Tabを設けた記録テープTa、および粘着剤層Tabを介して記録テープTaに貼着された剥離テープTbから成るテープ本体Tと、テープ本体Tがロール状に巻回されたテープコア27と、を備え、繰り出されたテープ本体Tをその幅方向に切断してテープ片Trを得るための処理テープ26であって、テープ本体26のテープコア27への巻き始め端Teの近傍に、テープ本体Tへのカット処理によるテープエンド認識部Eを、形成した。
【解決手段】 裏面に粘着剤層Tabを設けた記録テープTa、および粘着剤層Tabを介して記録テープTaに貼着された剥離テープTbから成るテープ本体Tと、テープ本体Tがロール状に巻回されたテープコア27と、を備え、繰り出されたテープ本体Tをその幅方向に切断してテープ片Trを得るための処理テープ26であって、テープ本体26のテープコア27への巻き始め端Teの近傍に、テープ本体Tへのカット処理によるテープエンド認識部Eを、形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる剥離紙付きテープ(剥離テープ付きテープ本体)をテープコアにロール状に巻回した処理テープ、テープカートリッジおよびテープ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、墨字(文字や記号等のキャラクタ列)の印刷や点字の打刻が行われる処理テープとして、裏面に粘着剤層(粘着層)を設けた記録テープと、粘着剤層を介して、記録テープに貼着された剥離テープ(剥離紙)と、から構成されたテープ本体(テープ)を、テープコアにロール状に巻回したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この処理テープは、記録シートと剥離シートとを重ね合わせた原反シートをロール状に巻回しておいて、これをスライスして所定幅の原材テープを形成した後、この原材テープを繰り出しながらテープコアに巻き付けて、所定の長さで切断して形成される。
【0003】
そして、処理テープは、印刷手段や打刻手段を備えたテープ処理装置(テープ印字装置)に装着することで、墨字印刷や点字打刻に供される。そして、墨字や点字が形成されたテープ片は、剥離テープを記録テープから剥がし、記録テープを粘着剤層を介して被貼着物に貼着することによって、ラベルとして使用される。
【特許文献1】特開平8−58203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の処理テープでは、テープ本体の残量が少ない場合に墨字印刷や点字打刻を行うと、テープ本体の長さが足らないため、任意のテープ長または墨字列・点字列の長さにより定まるテープ長より短いラベル(未完成ラベル)が作製されることになる。この場合、ユーザは、処理テープがテープ処理装置に装着されているため、テープ本体を使い切ってしまったのか否か即座に判断することができない。また、作製されたラベルを見ても、墨字列が途中まで印刷されている(墨字列が途中で切れている)ような場合を除き、それが未完成ラベルか否か識別することが困難である。特に、点字が打刻されたラベルについては、多くのユーザ(晴眼者)は点字規則の知識に乏しいため、点字が途中までしか打刻されていない場合であっても、それが未完成ラベルであるか否か判断できず、その問題が顕著であった。
【0005】
この点、テープ本体を使い切ったことを容易に認識させるようにすべく、テープ本体のテープコアへの巻き始め端部を記録テープとは別色のインクで着色することが考えられる。しかしながら、巻き始め端部をインクで着色すると、巻き始め端部のすぐ外周に巻かれる部分にインクが移らないように、インクが乾くまで待つ必要があるため、処理テープの生産効率が低下してしまい、現実的ではない。
【0006】
本発明は、生産効率を低下させることなく、テープコアに巻回したテープ本体を使い切ったことを容易に認識させ得る処理テープ、テープカートリッジおよびテープ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の処理テープは、裏面に粘着剤層を設けた記録テープ、および粘着剤層を介して記録テープに貼着された剥離テープから成るテープ本体と、テープ本体がロール状に巻回されたテープコアと、を備え、繰り出されたテープ本体をその幅方向に切断してテープ片を得るための処理テープであって、テープ本体のテープコアへの巻き始め端の近傍に、テープ本体へのカット処理によるテープエンド認識部を、形成したことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、テープ本体の巻き始め端の近傍にテープエンド認識部を形成したことで、テープ本体の残量が少ない場合に作製されたテープ片の後端部には、このテープエンド認識部が含まれることになる。そして、テープエンド認識部を有するテープ片を見たユーザは、テープコアに巻回したテープ本体を使い切ったことを容易に認識することができる。また、この処理テープの生産工程においては、テープ本体をテープコアに巻回させる前に、巻き始め端の近傍にカット処理を行った後、即座に巻き付け作業を開始することができるため、生産効率を低下させることもない。
【0009】
この場合、テープエンド認識部は、テープ本体の一部を切り抜いた切抜き部であることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、テープ本体の一部が切り抜かれているため、テープエンド認識部の存在を、ユーザに確実に視認させることができる。
【0011】
この場合、切抜き部は、使い切ったことを表示するエンド表示文字の文字形に切り抜かれていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、エンド表示文字の文字形を見たユーザは、それがテープエンドを意味することを容易に理解することができる。なお、エンド表示文字は、例えば、「おわり」、「END」等である。
【0013】
また、この場合、テープエンド認識部は、テープ本体の両方の幅端および巻き始め端に至らないように形成したカット線であることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、切れ端(ゴミ)を発生させることなく、テープエンド認識部を形成することができる。したがって、ゴミが削減され環境問題に対応している。
【0015】
この場合、カット線は、テープ本体の長さ方向に凸となる形状に形成されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、カット線をアウトラインとした凸形部がテープ本体に形成される。一方、切断後のテープ片には、テープコアに巻回されていた時の巻き癖が残っている。そのため、テープ片の凸型部は、その巻き癖により、径方向外側に向かって、うろこ状に突出したようになる。したがって、テープエンド認識部(凸形部)の存在を、ユーザに確実に視認させることができる。
【0017】
この場合、カット線は、巻き始め端に向かって凸となる形状に形成されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、繰り出されるテープ本体が走行するテープ走行路において、突出した凸形部がテープガイド等と接触したとしても、凸形部を倒す方向に力が働くため、凸形部がテープガイド等に引っ掛かることがない。すなわち、凸形部がテープ走行性に影響を与えることがない。
【0019】
また、この場合、カット線は、剥離テープのみに形成したハーフカット線であって、ハーフカット線は、剥離テープを部分的に切り抜くための無端のアウトラインを構成していることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、剥離テープを記録テープから剥がすと、アウトラインに囲まれた切抜き対象は剥離テープから引き剥がされ記録テープに残ると共に、剥離テープにアウトラインによる切抜き部が生ずるため、この剥離テープや記録テープを見たユーザは、テープコアに巻回したテープ本体を使い切ったことを容易に認識することができる。さらに、記録テープにはカット線が形成されていないことから、テープ片の長さが多少短くてもかまわない場合には、その記録テープをラベルとして利用することができる。すなわち、そのテープ片がゴミとならないため、環境に配慮した処理テープを提供することができる。
なお、この場合、ハーフカット線は、使い切ったことを表示するエンド表示文字のアウトラインを構成していることが好ましい。
【0021】
本発明のテープカートリッジは、上記した処理テープと、処理テープを収容するカートリッジケースと、を備えたことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、上記の処理テープを収容するテープカートリッジをテープ処理装置に装着することで、テープ本体の残量が少ない場合にテープ本体が繰り出されたとしても、ユーザは、テープ本体を使い切ったことを容易に認識することができる。したがって、未完成ラベルであるか否か識別可能なラベルを提供することができる。
【0023】
この場合、テープ本体を繰り出す送り手段と、送り手段に対し、テープ本体の送り方向の下流側に位置して、繰り出されるテープ本体を切断する切断手段と、を備えたテープ処理装置に装着され、テープエンド認識部を、送り手段と切断手段との離間距離と同一距離を、巻き始め端よりテープ本体の繰り出し端側に存した基準箇所から、繰り出し端側の直近の位置に、形成したことが好ましい。
【0024】
テープ処理装置にセットされた処理テープは、テープコアへの巻き始め端が送り手段を通過すると、もはや先方へ送られることがない。このため、一巻きの処理テープにおいて、切断手段により最後に切断される箇所は、常に、送り手段と切断手段との離間距離を、巻き始め端よりテープ本体の繰り出し端側に存した基準箇所となる。すなわち、この基準箇所が、処理テープから得られる最終のテープ片の後端となり、基準箇所から巻き始め端側は、テープ片とはならない。この点、上記の構成によれば、テープエンド認識部は、一巻きの処理テープから得られる最終テープ片の後端部に位置することになる。すなわち、テープエンド認識部を基準箇所から繰り出し端側に形成したことで、テープエンド認識部は、基準箇所から巻き始め端側に含まれることがなく、確実に最終テープ片に含まれることとなり、ユーザに対し、テープエンド認識部を確実に視認させることができる。さらに、これを基準箇所の直近に形成したことで、無駄となるテープ本体を極力少なくすることができ、環境問題に対応している。
【0025】
本発明のテープ処理装置は、上記したテープカートリッジが着脱自在に装着されるカートリッジ装着部と、送り手段と、切断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、上記の処理テープを装着することで、テープ本体を使い切ったことを容易に認識することができる。このため、作製したテープ片が、未完成ラベルであるか否かを確実に識別することができる。
【0027】
この場合、送られてくる処理テープに対して墨字の印刷を行う印刷手段および/またはテープ片に対して点字打刻を行う打刻手段を、さらに備えたことが好ましい。
【0028】
この構成によれば、上記のテープ本体に墨字印刷および/点字打刻の為されたラベルを作製することができる。そして、テープエンド認識部により、テープ本体を使い切ったことを容易に認識することができるため、例えば墨字印刷領域を「前寄せ」に設定した場合や、テープ本体に点字打刻のみが行われた場合であっても、作製されたテープ片が未完成ラベルであるか否か識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して、本発明を適用した処理テープ、および処理テープを収容したテープカートリッジが着脱自在に装着されるラベル作製装置(テープ処理装置)について説明する。このラベル作製装置は、装着されたテープカートリッジから繰り出されるテープ本体に対して墨字印刷を行うと共に、手差し挿入されるテープ片に対して点字打刻を行う複合装置である。
【0030】
図1は、ラベル作製装置1の閉蓋状態の外観斜視図であり、図2は、ラベル作製装置1の開蓋状態の外観斜視図である。両図に示すように、ラベル作製装置1は、テープ本体Tに対して墨字印刷および点字打刻を行う装置本体2と、テープ本体TおよびインクリボンRを収容し、装置本体2に着脱自在に装着されるテープカートリッジCとを備えている。
【0031】
装置本体2は、装置ケース3により外殻が形成され、装置ケース3の前半部上面には、操作部101(図3参照)を構成するキーボード4が配設されている。装置ケース3の後半部上面の左部には、テープカートリッジCが装着されるカートリッジ装着部5が窪入形成され、カートリッジ装着部5には、装着されたテープカートリッジCから繰り出されるテープ本体Tに対して墨字印刷を行う印刷ヘッド21が配設されている。
【0032】
一方、装置ケース3の後半部上面の右部には、後述する印刷テープ排出口16から排出された印刷済みのテープ本体T(テープ片Tr、図11参照)を、前方から手差し挿入する打刻テープ挿入部6、および点字打刻されたテープ本体Tが後方に排出される打刻テープ排出部7がそれぞれ形成されている。さらに、打刻テープ挿入部6と打刻テープ排出部7との間には、テープ本体Tに点字打刻を行う打刻アッセンブリ40を装着するための打刻アッセンブリ装着部(図示省略)が窪入形成されている。この打刻アッセンブリ装着部は、外部から異物が侵入しないよう、その上面が打刻部カバー9で覆われている。なお、打刻部カバー9は、透光性の樹脂で構成され、点検蓋を兼ねている。
【0033】
また、カートリッジ装着部5には、これを開閉する開閉蓋11が設けられ、開閉蓋11の表側には、キーボード4からの入力結果等を表示する長方形のディスプレイ12が形成されていると共に、これを閉止した状態でテープカートリッジCの装着/非装着を視認するための覗き窓13が形成されている。
【0034】
また、装置ケース3の左側部には、カートリッジ装着部5と外部とを連通する印刷テープ排出口16が形成され、この印刷テープ排出口16には、テープカートリッジCから繰り出されたテープ本体Tを切断するためのカッタユニット35が臨んでいる。そして、カッタユニット35によりテープ本体Tの後端部が切断されることで、印刷テープ排出口16から墨字印刷後のテープ片Trが排出される。一方、装置ケース3の右側部には、電源供給のための電源供給口17と、図外のパーソナルコンピュータ等の外部装置と接続するための接続口18(インタフェース)が形成されている。また、装置ケース3内部には、図示しないが、装置本体2を統括制御する制御部107(図3参照)を構成する回路基板が搭載されている。
【0035】
カートリッジ装着部5には、発熱素子を有しヘッドカバーに覆われた印刷ヘッド21と、テープカートリッジCのテープ本体TおよびインクリボンRを送るためのプラテン駆動軸(図示省略)および巻取り駆動軸(図示省略)とが配設され、また、カートリッジ装着部5の裏側には、プラテン駆動軸および巻取り駆動軸を駆動する印刷送りモータ22やギヤ列等が内蔵されており、これらにより墨字印刷部102(図3参照)が構成されている。
【0036】
テープカートリッジCは、詳細は後述するが、上下2分割のカートリッジケース25内に、テープ本体Tをテープコア27に巻回した処理テープ26と、インクリボンRを巻回したリボン繰出しリール29および巻取りリール30と、プラテンローラ31とを収容して構成されている(図4参照)。そして、テープカートリッジCを上記のカートリッジ装着部5に装着すると、テープカートリッジCの貫通開口28に装置側から印刷ヘッド21が差し込まれると共に、プラテンローラ31および巻取りリール30にプラテン駆動軸および巻取り駆動軸がそれぞれ係合することで、印刷ヘッド21がテープ本体TおよびインクリボンRを挟み込んでプラテンローラ31に当接し、墨字印刷が可能になる。
【0037】
そして、プラテンローラ31を駆動してテープ本体Tを送りながら、上記のキーボード4等から入力された文字情報に対応して制御部107で作成された文字データに基づいて、印刷ヘッド21により墨字印刷(文字、記号等のキャラクタ列の印刷)を行う。墨字印刷後、テープ本体Tのみがテープ片TrとしてテープカートリッジCのテープ送出口32から外部に排出され、インクリボンRは内部(巻取りリール30)で巻き取られるようになっている。
【0038】
なお、テープ本体Tは、入力されたテープ長に基づいて設定されたカット長、または入力された文字情報から作成された墨字データ(墨字印刷領域の長さ)および点字データ(点字印刷領域の長さ)やこれら各領域のレイアウトに基づいて設定されたカット長だけ送られ、その後端部でカットされるようになっている(詳細は後述する)。
【0039】
テープカートリッジCに収容されているテープ本体Tには、テープ幅の異なる2種(12mm、24mm)のものが用意されている。詳細は後述するが、12mmのテープ幅は、点字1マスの高さに対応させたものであり、24mmのテープ幅は、上下2段に分割し、一方の段に墨字列、他方の段に点字列を表示させるものである。また、詳細は後述するが、テープ本体Tは、いわゆる剥離紙付きのテープであって、記録テープTaと、記録テープTaに貼付された剥離テープTbとから構成されている(図4参照)。
【0040】
なお、図示しないが、カートリッジケース25の裏面には、小さな複数の被検出孔が形成されており、カートリッジ装着部5の隅部に設けられたテープ識別センサ23(マイクロスイッチ、図3参照)によってこの複数の被検出孔が識別され、複数の被検出孔とテープ識別センサ23との組み合わせ(ビットパターン)に基づいて、テープ本体Tの装着および種別を識別する。
【0041】
カッタユニット35は、カートリッジ装着部5と印刷テープ排出口16との間(プラテン駆動軸の下流側)に配設されており、モータ駆動(フルカッタモータ38)により、テープ本体Tの記録テープTaおよび剥離テープTbの両方をはさみ形式で切断するフルカッタ36と、フルカッタ36に対してテープ送り方向下流側に設けられ、モータ駆動(ハーフカッタモータ39)により、テープ本体Tの記録テープTaのみをストッパ付きのはさみ形式で切断するハーフカッタ37とを備えている(図3参照)。そして、ユーザは、このハーフカット部分を手掛かりとして、剥離テープTbを容易に剥がすことができる。なお、フルカッタ36による切断位置と、上記のプラテン駆動軸(プラテンローラ31)との離間距離は、例えば9mmに設定されている。
【0042】
一方、打刻アッセンブリ40は、排出された上記のテープ片Trに対して、点字を構成する打刻凸部を打刻するものであって、上記の処理テープ挿入部6から手差しで挿入されたテープ片Trを処理テープ排出部7に向けて送るテープ送りユニット41と、送られていくテープ片Trに対し点字打刻を行う打刻ユニット42と、テープ送りユニット41および打刻ユニット42を支持するベースフレーム43とを備えている。
【0043】
図2では省略したが、テープ送りユニット41は、モータ駆動(打刻送りモータ46)のグリップローラで構成されている。また、打刻ユニット42は、3個のソレノイド47を駆動源として3本の打刻ピン48を選択的に跳ね上げ、テープ片Trにいわゆる6点点字の打刻凸部を形成する(図3参照)。
【0044】
次に、図3を参照し、ラベル作製装置1の制御系の構成について説明する。ラベル作製装置1は、キーボード4およびディスプレイ12を有し、ユーザによる文字情報の入力や各種情報の表示等のユーザインタフェースを司る操作部101と、テープカートリッジC、印刷ヘッド21および印刷送りモータ22を有し、テープ本体TおよびインクリボンRを送りながらテープ本体T上に入力された文字情報に基づく墨字データを印刷する墨字印刷部102と、フルカッタ36・ハーフカッタ37およびこれらをそれぞれ駆動するフルカッタモータ38・ハーフカッタモータ39を有し、印刷済みのテープ本体Tにフルカットおよびハーフカットを行う切断部103と、打刻送りモータ46、ソレノイド47および打刻ピン48を有し、テープ片Trを搬送しながらテープ片Trに文字情報に基づく点字データを点字打刻する点字打刻部104と、テープ識別センサ23等の各種センサを有し、各種検出を行う検出部105と、ディスプレイドライバ111、ヘッドドライバ112、印刷送りモータドライバ113、カッタモータドライバ114、打刻ドライバ115および打刻送りモータドライバ116を有し、各部を駆動する駆動部106と、各部と接続され、ラベル作製装置1全体を制御する制御部107とにより構成されている。
【0045】
制御部107は、CPU121、ROM122、RAM123および入出力制御装置124(IOC:Input Output Controller)を備え、互いに内部バス125により接続されている。そして、CPU121は、ROM122内の制御プログラムに従って、IOC124を介してラベル作製装置1内の各部から各種信号・データを入力する。また、入力した各種信号・データに基づいて、RAM123内の各種データを処理し、IOC124を介してラベル作製装置1内の各部に各種信号・データを出力することにより、墨字印刷処理や点字打刻処理の制御等を行う。
【0046】
本実施形態では、キーボード4等からのモード選択指示により、テープ本体Tに対し、墨字印刷および点字打刻を行う第1処理モードと、墨字印刷のみ行う第2処理モードと、点字打刻のみ行う第3処理モードのいずれかが選択される。もっとも、第3処理モードでは、手差し挿入のための短冊状のテープ本体Tを入手するために、まず、第1処理モードの墨字印刷の代わりの空印刷(何も印刷しないでテープ送りのみ)を行い、テープカット・排出を行った後、そのテープ本体Tに対し、点字打刻が行われる。
【0047】
続いて、ラベル作製装置1において、印刷・打刻実行前に行われる墨字印刷領域および点字打刻領域のレイアウト設定およびカット長の設定について簡単に説明する。このレイアウト設定では、テープ本体T上における墨字印刷領域と点字打刻領域との相対位置、テープ本体Tに対する各領域の割付、各領域の長さが設定されるほか、墨字印刷の文字サイズなど、一般的なテープ印刷装置やワープロ等と同様の設定が行われる。
【0048】
まず、テープ幅の検出結果が12mmの場合は、テープ幅が点字1マスの大きさ(テープ幅方向長さ)を打刻可能な最小の長さであるため、墨字印刷領域と点字打刻領域とが同一の段に配置されるレイアウト(墨字点字重記)となる。この墨字点字重記の場合、テープ長さ方向における墨字印刷領域および点字打刻領域の相対位置として、墨字前点字後、点字前墨字後および墨字点字重ねのいずれかのレイアウトが選択される。
【0049】
一方、テープ幅の検出結果が24mmの場合は、墨字印刷領域が上段,点字打刻領域が下段、または墨字印刷領域が下段,点字打刻領域が上段のいずれかのレイアウト(これらを、いずれも墨字点字並記という)が選択される。さらに、この墨字点字並記の場合、テープ長さ方向における墨字印刷領域および点字打刻領域の相対位置として、左揃え、中揃えおよび右揃えのいずれかのレイアウトが選択される。
【0050】
さらに、墨字点字重記および墨字点字並記のいずれの場合も、ユーザがテープ長を指定(定長指定)した場合は、テープ本体Tに対する墨字印刷領域および点字打刻領域の割付として、前寄せ(テープ本体Tの後方に余白)、中寄せ(テープ本体Tの前後に余白)および後寄せ(テープ本体Tの前方に余白)のいずれかのレイアウトが選択される。
【0051】
このようにしてレイアウト設定が行われると、続いて、作製するテープ片Trの長さとなるカット長の設定が行われる。このカット長設定では、まず、定長指定か否かを識別し、定長指定のときには、定長時カット長設定に移行し、定長指定でないときには、自動長時カット長設定に移行する。
【0052】
自動長時カット長設定では、墨字点字並記の場合は、墨字印刷領域・点字打刻領域のうち長いほうの長さ、墨字点字重記の場合であって、墨字点字重ねのときは、両領域のうち長いほうの長さ、墨字前点字後・点字前墨字後のときは、両領域の長さの合計値、にそれぞれ基づいて、カット長が算出・設定される。
【0053】
定長時カット長設定では、指定されたテープ長と、上記の自動長時カット長設定と同様にして算出されたカット長(仮カット長)とを比較し、仮カット長がテープ長以下であれば、テープ長がカット長として設定される。なお、仮カット長がテープ長より大きい(すなわち印刷損じ・打刻損じの可能性がある)ときには、墨字や点字が定長オーバーする旨のメッセージを表示する。
【0054】
以上のように、本実施形態のラベル作製装置1では、第1〜3処理モードのいずれかを選択すると共に、墨字印刷領域および点字打刻領域を様々なレイアウトに設定し、且つ指定されたテープ長に基づいて、または墨字印刷領域の長さおよび点字印刷領域の長さや各領域のレイアウトに基づいて、カット長を設定し、墨字印刷および点字打刻を行う。例えば、図11(a)に示すテープ片Trは、24mm幅のテープ本体Tに対し、「第1処理モード(点字下段)、定長指定無し、左揃え」と設定し、墨字印刷および点字打刻を行ったもの(以下、第1ラベルL1という)であり、同図(b)に示すテープ片Trは、12mm幅のテープ本体Tに対し、「第2処理モード、定長指定(100mm)、前寄せ」と設定し、墨字印刷のみを行ったもの(以下、第2ラベルL2という)である。なお、入力された文字情報は、いずれも「あずさ12ごう」である。
【0055】
次に、本発明に係る処理テープ26について詳細に説明する。図4に示すように、処理テープ26は、上述した墨字印刷処理や点字打刻処理の対象となるテープ本体Tと、記録テープTaを外側に、剥離テープTbを内側にして、テープ本体Tをロール状に巻回したテープコア27とから成っている。この処理テープ26は、上下2分割のカートリッジケース25内に繰り出し自在に収容されており、カートリッジケース25内に回転自在に収容された上記のリボン繰出しリール29、巻取りリール30、およびプラテンローラ31と共に、テープカートリッジCを構成している。また、カートリッジケース25の左側部には、上下方向に開口させたスリット状のテープ送出口32が形成されている。さらに、カートリッジケース25の内部には、処理テープ26から繰り出されたテープ本体Tを、テープガイド34、プラテンローラ31およびテープ送出口32を通過させて外部に排出するテープ走行路33が形成されており、同図においては、このテープ走行路33を、テープ本体Tを示す一点鎖線で示してある。
【0056】
テープ本体Tは、基材シートTabの裏面に粘着剤層Taaが設けられた記録テープTaと、粘着剤層Taaを介して、記録テープTaに貼着された剥離テープTbとが積層して構成されている。基材シートTabは、略50μm厚の樹脂シート(ポリエチレンテレフタレート等)で構成されており、墨字が印刷される表面は、熱転写によるインクの乗りを良好にするために加工されている。
【0057】
また、剥離テープTbは、テープ本体Tを使用時まで取り扱いやすくすると共に、上記粘着剤層Taaを埃等から保護するものであって、表面にシリコン処理が為された略80μm厚の樹脂シート(ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体等)で構成されている。そのため、粘着剤層Taaが剥離テープTbに及ぼす粘着力は、基材シートTabに及ぼす粘着力よりも極端に小さく(弱粘着)なっている。したがって、ユーザは、記録テープTaから剥離テープTbを容易に剥がすことができる。もっとも、粘着剤層Taaは、剥離テープTbに対し、墨字印刷時のテープ送り動作中、点字打刻時のテープ搬送中やテープ本体T(テープ片Tr)の保管中に、剥離テープTbが剥がれてしまわないだけの粘着力は有している。
【0058】
図5に示すように、本実施形態の処理テープ26は、次のようにして作製される。まず、幅広の記録テープTa(記録シート72)と幅広の剥離テープTb(剥離シート73)とを重ね合わせた原反シート71を、ロール状に巻回した幅広テープ74を形成する(同図(a))。続いて、これをスライスして所定幅の原材テープ75を形成する(同図(b))。
【0059】
続いて、テープカートリッジCに収容すべく、テープコア27にテープ本体Tを小巻にした処理テープ26を構成する。ここで、テープコア27への巻き付けに先立って、予め、テープコア27への巻き始め端Teの近傍に、後述する切断装置51により剥離テープTb側からテープ本体Tをカットし、テープエンド認識部E(詳細は後述する)を形成しておく。そして、原材テープ75からテープ本体Tを繰り出しながら、記録テープTaを外側にし、且つ剥離テープTbを内側にしてテープコア27に巻き付け、小巻の処理テープ26を構成する(同図(c))。
【0060】
最後に、テープ本体Tを所定の長さ(例えば8m)巻き付けた後、切断装置51(あるいは、これとは別に設けた直刃のカッタ等)により、その後端を切断(フルカット)する(同図(d))。このようにして、テープコア27への巻き始め端Teの近傍に、テープエンド認識部Eを有するテープ本体Tを、テープコア27に巻回した処理テープ26を作製することができる。すなわち、巻き始め端部をインクで着色する場合のように、インクが乾くまで待つ必要がないため、処理テープ26の生産効率を低下させることなく、テープ本体Tにテープエンド認識部Eを形成することができる。
【0061】
ここで、図6ないし図10を参照して、テープエンド認識部Eについて具体的に説明する。図6は、テープ本体Tの巻き始め端Teにおいて、テープ本体Tを円形に切り抜いたテープエンド認識部Eを示す。このテープエンド認識部Eによれば、テープ本体Tの一部が切り抜かれているため、テープエンド認識部Eの存在を、ユーザに確実に視認させることができる。この場合、上記の切断装置51としては、例えばパンチング装置を使用する。
【0062】
図7は、テープ本体Tを「おわり」(エンド表示文字)の形状に切り抜いたテープエンド認識部Eを示す。このテープエンド認識部Eによれば、これを見たユーザは、それがテープエンドを意味することを容易に理解することができる。この場合、切断装置51としては、例えばカッティングプロッタ装置を使用する。なお、エンド表示文字としては、「END」等であってもよい。
【0063】
図8は、テープ長さ方向に延在すると共に、テープ本体Tの巻き始め端Teに至らないように形成した3本のカット線Ecから成るテープエンド認識部Eを示す。3本のカット線Ecは、テープ幅方向に並んでおり、中間のカット線Ecは、上下のカット線Ecに対し、巻き始め端Te側に位置ずれしている。この場合、上記の切断装置51(例えば3個の直刃を有する押切りカッタ)により、切れ端(ゴミ)を発生させることなく、テープエンド認識部Eを形成することができる。したがって、ゴミが削減され、環境問題に対応している。
【0064】
図9は、テープ本体Tの巻き始め端Te側に凸となる形状に形成されると共に、テープ長さ方向に並んだ3本のカット線Ecから成るテープエンド認識部Eを示す。このテープエンド認識部Eによれば、各カット線Ecをアウトラインとした3個の凸形部Etがテープ本体Tに形成される。この場合、切断装置51としては、例えばカッティングプロッタ装置を使用する。
【0065】
一方、テープ片Trには、テープコア27に巻回されていた時の巻き癖が残っている。そのため、テープ片Trの凸形部Etは、その巻き癖により、径方向外側に向かって、うろこ状に突出したようになる(同図(b)参照)。したがって、テープエンド認識部E(凸形部Et)の存在を、ユーザに確実に視認させることができる。さらに、上記のテープ走行路において、突出した凸形部Etがテープガイド34やテープ送出口32等と接触したとしても、凸形部Etを倒す方向に力が働くため、凸形部Etがテープガイド34やテープ送出口32等に引っ掛かることがない。すなわち、凸形部Etがテープ走行性に影響を与えることがない。
【0066】
最後に、図10は、テープ本体Tのうち剥離テープTbのみを、「END」(エンド表示文字)の形状にアウトラインカットしたテープエンド認識部Eを示す。すなわち、テープエンド認識部Eは、ハーフカット可能(切込み深さ調整可能)なカッティングプロッタ装置により、剥離テープTbの切抜き対象Tbcとなる「END」のアウトラインを形成したものである。この場合、剥離テープTbを記録テープTaから剥がすと、アウトラインに囲まれた切抜き対象Tbcは剥離テープTbから引き剥がされて記録テープTaに残ると共に、剥離テープTbにアウトラインによる切抜き部「END」が生ずるため、この剥離テープTbや記録テープTaを見たユーザは、テープコア27に巻回したテープ本体Tを使い切ったことを容易に認識することができる。
【0067】
さらに、記録テープTaにはカット線が形成されていないことから、墨字や点字が全て印刷・打刻されており、且つテープ片Trの長さが多少短くてもかまわない場合には、その記録テープTrをラベルとして利用することができ、無駄とならない。すなわち、そのテープ片Trがゴミとならないため、環境に配慮した処理テープ26を提供することができる。この場合、記録テープTaの裏面に貼着した切抜き対象Tbcは、記録テープTaを被貼着物に貼着する際に妨げとなるものではない。
【0068】
なお、ラベル作製装置1にセットされた処理テープ26は、テープ本体Tの後端(テープコア27への巻き始め端Te)がプラテンローラ31を通過すると、もはや先方へ送られることがない(プラテンローラ31が空回りする)。このため、一巻きの処理テープ26において、フルカッタ36により最後に切断される箇所は、常に、プラテン駆動軸とフルカッタ36との離間距離と同一の基準距離dを、巻き始め端Teよりテープ本体Tの繰り出し端側に存した基準箇所Bとなる。すなわち、この基準箇所Bが、処理テープ26から得られる最終のテープ片Trの後端となり(図11および図12参照)、基準箇所Bから巻き始め端Te側は、テープ片Trとはならず、テープカートリッジC内に残存することとなる。
【0069】
したがって、上記のテープエンド認識部Eを、この基準箇所Bから、繰り出し端側の直近の位置に形成するようにする。これによれば、テープエンド認識部Eは、一巻きの処理テープ26から得られる最終テープ片Trの後端部に位置することになる。すなわち、テープエンド認識部Eを基準箇所Bから繰り出し端側に形成したことで、テープエンド認識部Eは、基準箇所Bから巻き始め端Te側に含まれることがなく、確実に最終テープ片Trに含まれることとなり、ユーザに対し、テープエンド認識部Eを確実に視認させることができる。さらに、これを基準箇所Bの直近に形成したことで、無駄となるテープ本体Tを極力少なくすることができ、環境問題に対応している。
【0070】
また、テープ本体Tを無駄なく使用するためには、テープエンド認識部Eのテープ長さ方向の寸法をなるべく短くすることが好ましいが、あまりにこれが短い(例えば5mm)場合には、基準箇所Bの直前になるまでテープエンド認識部Eが現れないため、最終のテープ片の長さが、極端に短く(例えば5mm)なることがある。極端に短いテープ片Trは、カッタ部分で詰まってしまい、印刷テープ排出口16から適切に排出されない(ジャミング)おそれがある。そのため、テープエンド認識部Eのテープ長さ方向の寸法は、2cm〜3cmが好ましく、これによれば、ジャミングを発生させることなく、無駄(ゴミ)となる部分を極力少なした、環境対応型の処理テープ26を提供することができる。例えば、図6に示したテープエンド認識部Eにあっては、2cm〜3cmの範囲に亘って、円形の切抜き部を複数個形成するようにする。
【0071】
図11は、このような処理テープ26を収容したテープカートリッジCを上記の装置本体2に装着し、作製された第1ラベルL1(同図(a)および(c))と第2ラベルL2(同図(b)および(d))とを示す図である。このうち、同図(a)および(b)は、それぞれテープ本体Tの残量が十分にある場合、同図(c)および(d)は、それぞれテープ本体の残量が少ない場合(最終のテープ片Tr)である。なお、図11のテープエンド認識部Eは、図6に示したものであるが、他の形態のテープエンド認識部Eであってもよい。
【0072】
また、図12は、上記の処理テープ26に代えて、テープコア27への巻き始め端Teに、テープエンド認識部Eのないテープ本体Tを巻回したものを収容したテープカートリッジCを上記の装置本体2に装着し、テープ本体Tの残量が少ない場合に作製された第1ラベルL1(同図(a))と第2ラベルL2(同図(b))とを示す図である。
【0073】
図12(a)に示すように、通常の剥離紙付きテープに対し、テープ本体Tの残量が少ない場合に第1ラベルL1を作製すると、テープ本体Tの長さが足らないため、墨字「あずさ12ごう」は全て印刷されるが、点字は全10マス(図11(a)参照)のうち8マス目で途切れた未完成ラベルとなる。ところが、多くのユーザ(晴眼者)は点字規則の知識に乏しいため、点字が途切れていることが判らず、それが未完成ラベルであるか否か識別することができない。
【0074】
一方、図11(c)に示すように、本実施形態の処理テープ26に対し、テープ本体Tの残量が少ない場合に第1ラベルL1を作製すると、第1ラベルL1の後端部には、テープエンド認識部Eが形成されているため、テープ本体Tを使い切ったことが一目瞭然である。したがって、その第1ラベルL1が未完成ラベルであると容易に識別することができる。
なお、図11(c)の第1ラベルL1は、同図(a)や図12(a)の第1ラベルL1との比較のため、これらと同様に点字が打刻されているが、実際には、墨字印刷の後、印刷テープ排出口16からテープ本体Tが排出された時点で、それが未完成ラベルであると判るため、無駄に点字打刻を行うことはない。
【0075】
また、第2ラベルL2についても、第1ラベルL1と同様のことがいえる。すなわち、図12(b)に示すように、通常の剥離紙付きテープに対し、テープ本体Tの残量が少ない場合に第2ラベルL2を作製すると、テープ本体Tの長さが足らないため、定長(100mm、図11(b)参照)より短いラベルとなっている。しかしながら、墨字「あずさ12ごう」の後方は長い余白となっているため、墨字が途中で切れている場合と異なり、一見しただけでは、それが未完成ラベルであるか否か識別することができない。
【0076】
一方、図11(d)に示すように、本実施形態の処理テープ26に対し、テープ本体Tの残量が少ない場合に第2ラベルL2を作製すると、第2ラベルL2の後端部には、テープエンド認識部Eが形成されているため、テープ本体Tを使い切ったことが一目瞭然である。したがって、その第2ラベルL2が、定長よりも短い未完成ラベルであると容易に識別することができる。
【0077】
以上のように、本実施形態の処理テープ26およびテープカートリッジCによれば、生産効率を低下させることなく、テープコア27に巻回したテープ本体Tを使い切ったことを容易に認識させ得ることができる。そして、本実施形態のラベル作製装置1によれば、作製したテープ片Trが、未完成ラベルであるか否かを確実に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】閉蓋状態のラベル作製装置の外観斜視図である。
【図2】開蓋状態のラベル作製装置の外観斜視図である。
【図3】ラベル作製装置の制御ブロック図である。
【図4】処理テープを収容したテープカートリッジの断面図である。
【図5】処理テープの製造工程を示す図である。
【図6】テープ本体の巻き始め端において、テープ本体を円形に切り抜いたテープエンド認識部を示す図である。
【図7】テープ本体をエンド表示文字の形状に切り抜いたテープエンド認識部を示す図である。
【図8】テープ長さ方向に延在するように形成した3本のカット線から成るテープエンド認識部を示す図である。
【図9】テープ本体の巻き始め端側に凸となる形状に形成された3本のカット線から成るテープエンド認識部を示す図である。
【図10】剥離テープのみを、エンド表示文字の形状にアウトラインカットしたテープエンド認識部を示す図である。
【図11】本発明に係る処理テープを用いて、ラベル作製装置により作成されたラベルを示す図である。
【図12】テープエンド認識部のないテープ本体を巻回した処理テープを用いて、ラベル作製装置により作成されたラベルを示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1…ラベル作製装置 2…装置本体 21…印刷ヘッド 25…カートリッジケース 26…処理テープ 27…テープコア 31…プラテンローラ 35…カッタユニット 40…打刻アッセンブリ B…基準箇所 C…テープカートリッジ d…基準距離 E…テープエンド認識部 Ec…カット線 T…テープ本体 Ta…記録テープ Taa…粘着剤層 Tb…剥離テープ Te…巻き始め端 Tr…テープ片
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる剥離紙付きテープ(剥離テープ付きテープ本体)をテープコアにロール状に巻回した処理テープ、テープカートリッジおよびテープ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、墨字(文字や記号等のキャラクタ列)の印刷や点字の打刻が行われる処理テープとして、裏面に粘着剤層(粘着層)を設けた記録テープと、粘着剤層を介して、記録テープに貼着された剥離テープ(剥離紙)と、から構成されたテープ本体(テープ)を、テープコアにロール状に巻回したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この処理テープは、記録シートと剥離シートとを重ね合わせた原反シートをロール状に巻回しておいて、これをスライスして所定幅の原材テープを形成した後、この原材テープを繰り出しながらテープコアに巻き付けて、所定の長さで切断して形成される。
【0003】
そして、処理テープは、印刷手段や打刻手段を備えたテープ処理装置(テープ印字装置)に装着することで、墨字印刷や点字打刻に供される。そして、墨字や点字が形成されたテープ片は、剥離テープを記録テープから剥がし、記録テープを粘着剤層を介して被貼着物に貼着することによって、ラベルとして使用される。
【特許文献1】特開平8−58203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の処理テープでは、テープ本体の残量が少ない場合に墨字印刷や点字打刻を行うと、テープ本体の長さが足らないため、任意のテープ長または墨字列・点字列の長さにより定まるテープ長より短いラベル(未完成ラベル)が作製されることになる。この場合、ユーザは、処理テープがテープ処理装置に装着されているため、テープ本体を使い切ってしまったのか否か即座に判断することができない。また、作製されたラベルを見ても、墨字列が途中まで印刷されている(墨字列が途中で切れている)ような場合を除き、それが未完成ラベルか否か識別することが困難である。特に、点字が打刻されたラベルについては、多くのユーザ(晴眼者)は点字規則の知識に乏しいため、点字が途中までしか打刻されていない場合であっても、それが未完成ラベルであるか否か判断できず、その問題が顕著であった。
【0005】
この点、テープ本体を使い切ったことを容易に認識させるようにすべく、テープ本体のテープコアへの巻き始め端部を記録テープとは別色のインクで着色することが考えられる。しかしながら、巻き始め端部をインクで着色すると、巻き始め端部のすぐ外周に巻かれる部分にインクが移らないように、インクが乾くまで待つ必要があるため、処理テープの生産効率が低下してしまい、現実的ではない。
【0006】
本発明は、生産効率を低下させることなく、テープコアに巻回したテープ本体を使い切ったことを容易に認識させ得る処理テープ、テープカートリッジおよびテープ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の処理テープは、裏面に粘着剤層を設けた記録テープ、および粘着剤層を介して記録テープに貼着された剥離テープから成るテープ本体と、テープ本体がロール状に巻回されたテープコアと、を備え、繰り出されたテープ本体をその幅方向に切断してテープ片を得るための処理テープであって、テープ本体のテープコアへの巻き始め端の近傍に、テープ本体へのカット処理によるテープエンド認識部を、形成したことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、テープ本体の巻き始め端の近傍にテープエンド認識部を形成したことで、テープ本体の残量が少ない場合に作製されたテープ片の後端部には、このテープエンド認識部が含まれることになる。そして、テープエンド認識部を有するテープ片を見たユーザは、テープコアに巻回したテープ本体を使い切ったことを容易に認識することができる。また、この処理テープの生産工程においては、テープ本体をテープコアに巻回させる前に、巻き始め端の近傍にカット処理を行った後、即座に巻き付け作業を開始することができるため、生産効率を低下させることもない。
【0009】
この場合、テープエンド認識部は、テープ本体の一部を切り抜いた切抜き部であることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、テープ本体の一部が切り抜かれているため、テープエンド認識部の存在を、ユーザに確実に視認させることができる。
【0011】
この場合、切抜き部は、使い切ったことを表示するエンド表示文字の文字形に切り抜かれていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、エンド表示文字の文字形を見たユーザは、それがテープエンドを意味することを容易に理解することができる。なお、エンド表示文字は、例えば、「おわり」、「END」等である。
【0013】
また、この場合、テープエンド認識部は、テープ本体の両方の幅端および巻き始め端に至らないように形成したカット線であることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、切れ端(ゴミ)を発生させることなく、テープエンド認識部を形成することができる。したがって、ゴミが削減され環境問題に対応している。
【0015】
この場合、カット線は、テープ本体の長さ方向に凸となる形状に形成されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、カット線をアウトラインとした凸形部がテープ本体に形成される。一方、切断後のテープ片には、テープコアに巻回されていた時の巻き癖が残っている。そのため、テープ片の凸型部は、その巻き癖により、径方向外側に向かって、うろこ状に突出したようになる。したがって、テープエンド認識部(凸形部)の存在を、ユーザに確実に視認させることができる。
【0017】
この場合、カット線は、巻き始め端に向かって凸となる形状に形成されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、繰り出されるテープ本体が走行するテープ走行路において、突出した凸形部がテープガイド等と接触したとしても、凸形部を倒す方向に力が働くため、凸形部がテープガイド等に引っ掛かることがない。すなわち、凸形部がテープ走行性に影響を与えることがない。
【0019】
また、この場合、カット線は、剥離テープのみに形成したハーフカット線であって、ハーフカット線は、剥離テープを部分的に切り抜くための無端のアウトラインを構成していることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、剥離テープを記録テープから剥がすと、アウトラインに囲まれた切抜き対象は剥離テープから引き剥がされ記録テープに残ると共に、剥離テープにアウトラインによる切抜き部が生ずるため、この剥離テープや記録テープを見たユーザは、テープコアに巻回したテープ本体を使い切ったことを容易に認識することができる。さらに、記録テープにはカット線が形成されていないことから、テープ片の長さが多少短くてもかまわない場合には、その記録テープをラベルとして利用することができる。すなわち、そのテープ片がゴミとならないため、環境に配慮した処理テープを提供することができる。
なお、この場合、ハーフカット線は、使い切ったことを表示するエンド表示文字のアウトラインを構成していることが好ましい。
【0021】
本発明のテープカートリッジは、上記した処理テープと、処理テープを収容するカートリッジケースと、を備えたことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、上記の処理テープを収容するテープカートリッジをテープ処理装置に装着することで、テープ本体の残量が少ない場合にテープ本体が繰り出されたとしても、ユーザは、テープ本体を使い切ったことを容易に認識することができる。したがって、未完成ラベルであるか否か識別可能なラベルを提供することができる。
【0023】
この場合、テープ本体を繰り出す送り手段と、送り手段に対し、テープ本体の送り方向の下流側に位置して、繰り出されるテープ本体を切断する切断手段と、を備えたテープ処理装置に装着され、テープエンド認識部を、送り手段と切断手段との離間距離と同一距離を、巻き始め端よりテープ本体の繰り出し端側に存した基準箇所から、繰り出し端側の直近の位置に、形成したことが好ましい。
【0024】
テープ処理装置にセットされた処理テープは、テープコアへの巻き始め端が送り手段を通過すると、もはや先方へ送られることがない。このため、一巻きの処理テープにおいて、切断手段により最後に切断される箇所は、常に、送り手段と切断手段との離間距離を、巻き始め端よりテープ本体の繰り出し端側に存した基準箇所となる。すなわち、この基準箇所が、処理テープから得られる最終のテープ片の後端となり、基準箇所から巻き始め端側は、テープ片とはならない。この点、上記の構成によれば、テープエンド認識部は、一巻きの処理テープから得られる最終テープ片の後端部に位置することになる。すなわち、テープエンド認識部を基準箇所から繰り出し端側に形成したことで、テープエンド認識部は、基準箇所から巻き始め端側に含まれることがなく、確実に最終テープ片に含まれることとなり、ユーザに対し、テープエンド認識部を確実に視認させることができる。さらに、これを基準箇所の直近に形成したことで、無駄となるテープ本体を極力少なくすることができ、環境問題に対応している。
【0025】
本発明のテープ処理装置は、上記したテープカートリッジが着脱自在に装着されるカートリッジ装着部と、送り手段と、切断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、上記の処理テープを装着することで、テープ本体を使い切ったことを容易に認識することができる。このため、作製したテープ片が、未完成ラベルであるか否かを確実に識別することができる。
【0027】
この場合、送られてくる処理テープに対して墨字の印刷を行う印刷手段および/またはテープ片に対して点字打刻を行う打刻手段を、さらに備えたことが好ましい。
【0028】
この構成によれば、上記のテープ本体に墨字印刷および/点字打刻の為されたラベルを作製することができる。そして、テープエンド認識部により、テープ本体を使い切ったことを容易に認識することができるため、例えば墨字印刷領域を「前寄せ」に設定した場合や、テープ本体に点字打刻のみが行われた場合であっても、作製されたテープ片が未完成ラベルであるか否か識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して、本発明を適用した処理テープ、および処理テープを収容したテープカートリッジが着脱自在に装着されるラベル作製装置(テープ処理装置)について説明する。このラベル作製装置は、装着されたテープカートリッジから繰り出されるテープ本体に対して墨字印刷を行うと共に、手差し挿入されるテープ片に対して点字打刻を行う複合装置である。
【0030】
図1は、ラベル作製装置1の閉蓋状態の外観斜視図であり、図2は、ラベル作製装置1の開蓋状態の外観斜視図である。両図に示すように、ラベル作製装置1は、テープ本体Tに対して墨字印刷および点字打刻を行う装置本体2と、テープ本体TおよびインクリボンRを収容し、装置本体2に着脱自在に装着されるテープカートリッジCとを備えている。
【0031】
装置本体2は、装置ケース3により外殻が形成され、装置ケース3の前半部上面には、操作部101(図3参照)を構成するキーボード4が配設されている。装置ケース3の後半部上面の左部には、テープカートリッジCが装着されるカートリッジ装着部5が窪入形成され、カートリッジ装着部5には、装着されたテープカートリッジCから繰り出されるテープ本体Tに対して墨字印刷を行う印刷ヘッド21が配設されている。
【0032】
一方、装置ケース3の後半部上面の右部には、後述する印刷テープ排出口16から排出された印刷済みのテープ本体T(テープ片Tr、図11参照)を、前方から手差し挿入する打刻テープ挿入部6、および点字打刻されたテープ本体Tが後方に排出される打刻テープ排出部7がそれぞれ形成されている。さらに、打刻テープ挿入部6と打刻テープ排出部7との間には、テープ本体Tに点字打刻を行う打刻アッセンブリ40を装着するための打刻アッセンブリ装着部(図示省略)が窪入形成されている。この打刻アッセンブリ装着部は、外部から異物が侵入しないよう、その上面が打刻部カバー9で覆われている。なお、打刻部カバー9は、透光性の樹脂で構成され、点検蓋を兼ねている。
【0033】
また、カートリッジ装着部5には、これを開閉する開閉蓋11が設けられ、開閉蓋11の表側には、キーボード4からの入力結果等を表示する長方形のディスプレイ12が形成されていると共に、これを閉止した状態でテープカートリッジCの装着/非装着を視認するための覗き窓13が形成されている。
【0034】
また、装置ケース3の左側部には、カートリッジ装着部5と外部とを連通する印刷テープ排出口16が形成され、この印刷テープ排出口16には、テープカートリッジCから繰り出されたテープ本体Tを切断するためのカッタユニット35が臨んでいる。そして、カッタユニット35によりテープ本体Tの後端部が切断されることで、印刷テープ排出口16から墨字印刷後のテープ片Trが排出される。一方、装置ケース3の右側部には、電源供給のための電源供給口17と、図外のパーソナルコンピュータ等の外部装置と接続するための接続口18(インタフェース)が形成されている。また、装置ケース3内部には、図示しないが、装置本体2を統括制御する制御部107(図3参照)を構成する回路基板が搭載されている。
【0035】
カートリッジ装着部5には、発熱素子を有しヘッドカバーに覆われた印刷ヘッド21と、テープカートリッジCのテープ本体TおよびインクリボンRを送るためのプラテン駆動軸(図示省略)および巻取り駆動軸(図示省略)とが配設され、また、カートリッジ装着部5の裏側には、プラテン駆動軸および巻取り駆動軸を駆動する印刷送りモータ22やギヤ列等が内蔵されており、これらにより墨字印刷部102(図3参照)が構成されている。
【0036】
テープカートリッジCは、詳細は後述するが、上下2分割のカートリッジケース25内に、テープ本体Tをテープコア27に巻回した処理テープ26と、インクリボンRを巻回したリボン繰出しリール29および巻取りリール30と、プラテンローラ31とを収容して構成されている(図4参照)。そして、テープカートリッジCを上記のカートリッジ装着部5に装着すると、テープカートリッジCの貫通開口28に装置側から印刷ヘッド21が差し込まれると共に、プラテンローラ31および巻取りリール30にプラテン駆動軸および巻取り駆動軸がそれぞれ係合することで、印刷ヘッド21がテープ本体TおよびインクリボンRを挟み込んでプラテンローラ31に当接し、墨字印刷が可能になる。
【0037】
そして、プラテンローラ31を駆動してテープ本体Tを送りながら、上記のキーボード4等から入力された文字情報に対応して制御部107で作成された文字データに基づいて、印刷ヘッド21により墨字印刷(文字、記号等のキャラクタ列の印刷)を行う。墨字印刷後、テープ本体Tのみがテープ片TrとしてテープカートリッジCのテープ送出口32から外部に排出され、インクリボンRは内部(巻取りリール30)で巻き取られるようになっている。
【0038】
なお、テープ本体Tは、入力されたテープ長に基づいて設定されたカット長、または入力された文字情報から作成された墨字データ(墨字印刷領域の長さ)および点字データ(点字印刷領域の長さ)やこれら各領域のレイアウトに基づいて設定されたカット長だけ送られ、その後端部でカットされるようになっている(詳細は後述する)。
【0039】
テープカートリッジCに収容されているテープ本体Tには、テープ幅の異なる2種(12mm、24mm)のものが用意されている。詳細は後述するが、12mmのテープ幅は、点字1マスの高さに対応させたものであり、24mmのテープ幅は、上下2段に分割し、一方の段に墨字列、他方の段に点字列を表示させるものである。また、詳細は後述するが、テープ本体Tは、いわゆる剥離紙付きのテープであって、記録テープTaと、記録テープTaに貼付された剥離テープTbとから構成されている(図4参照)。
【0040】
なお、図示しないが、カートリッジケース25の裏面には、小さな複数の被検出孔が形成されており、カートリッジ装着部5の隅部に設けられたテープ識別センサ23(マイクロスイッチ、図3参照)によってこの複数の被検出孔が識別され、複数の被検出孔とテープ識別センサ23との組み合わせ(ビットパターン)に基づいて、テープ本体Tの装着および種別を識別する。
【0041】
カッタユニット35は、カートリッジ装着部5と印刷テープ排出口16との間(プラテン駆動軸の下流側)に配設されており、モータ駆動(フルカッタモータ38)により、テープ本体Tの記録テープTaおよび剥離テープTbの両方をはさみ形式で切断するフルカッタ36と、フルカッタ36に対してテープ送り方向下流側に設けられ、モータ駆動(ハーフカッタモータ39)により、テープ本体Tの記録テープTaのみをストッパ付きのはさみ形式で切断するハーフカッタ37とを備えている(図3参照)。そして、ユーザは、このハーフカット部分を手掛かりとして、剥離テープTbを容易に剥がすことができる。なお、フルカッタ36による切断位置と、上記のプラテン駆動軸(プラテンローラ31)との離間距離は、例えば9mmに設定されている。
【0042】
一方、打刻アッセンブリ40は、排出された上記のテープ片Trに対して、点字を構成する打刻凸部を打刻するものであって、上記の処理テープ挿入部6から手差しで挿入されたテープ片Trを処理テープ排出部7に向けて送るテープ送りユニット41と、送られていくテープ片Trに対し点字打刻を行う打刻ユニット42と、テープ送りユニット41および打刻ユニット42を支持するベースフレーム43とを備えている。
【0043】
図2では省略したが、テープ送りユニット41は、モータ駆動(打刻送りモータ46)のグリップローラで構成されている。また、打刻ユニット42は、3個のソレノイド47を駆動源として3本の打刻ピン48を選択的に跳ね上げ、テープ片Trにいわゆる6点点字の打刻凸部を形成する(図3参照)。
【0044】
次に、図3を参照し、ラベル作製装置1の制御系の構成について説明する。ラベル作製装置1は、キーボード4およびディスプレイ12を有し、ユーザによる文字情報の入力や各種情報の表示等のユーザインタフェースを司る操作部101と、テープカートリッジC、印刷ヘッド21および印刷送りモータ22を有し、テープ本体TおよびインクリボンRを送りながらテープ本体T上に入力された文字情報に基づく墨字データを印刷する墨字印刷部102と、フルカッタ36・ハーフカッタ37およびこれらをそれぞれ駆動するフルカッタモータ38・ハーフカッタモータ39を有し、印刷済みのテープ本体Tにフルカットおよびハーフカットを行う切断部103と、打刻送りモータ46、ソレノイド47および打刻ピン48を有し、テープ片Trを搬送しながらテープ片Trに文字情報に基づく点字データを点字打刻する点字打刻部104と、テープ識別センサ23等の各種センサを有し、各種検出を行う検出部105と、ディスプレイドライバ111、ヘッドドライバ112、印刷送りモータドライバ113、カッタモータドライバ114、打刻ドライバ115および打刻送りモータドライバ116を有し、各部を駆動する駆動部106と、各部と接続され、ラベル作製装置1全体を制御する制御部107とにより構成されている。
【0045】
制御部107は、CPU121、ROM122、RAM123および入出力制御装置124(IOC:Input Output Controller)を備え、互いに内部バス125により接続されている。そして、CPU121は、ROM122内の制御プログラムに従って、IOC124を介してラベル作製装置1内の各部から各種信号・データを入力する。また、入力した各種信号・データに基づいて、RAM123内の各種データを処理し、IOC124を介してラベル作製装置1内の各部に各種信号・データを出力することにより、墨字印刷処理や点字打刻処理の制御等を行う。
【0046】
本実施形態では、キーボード4等からのモード選択指示により、テープ本体Tに対し、墨字印刷および点字打刻を行う第1処理モードと、墨字印刷のみ行う第2処理モードと、点字打刻のみ行う第3処理モードのいずれかが選択される。もっとも、第3処理モードでは、手差し挿入のための短冊状のテープ本体Tを入手するために、まず、第1処理モードの墨字印刷の代わりの空印刷(何も印刷しないでテープ送りのみ)を行い、テープカット・排出を行った後、そのテープ本体Tに対し、点字打刻が行われる。
【0047】
続いて、ラベル作製装置1において、印刷・打刻実行前に行われる墨字印刷領域および点字打刻領域のレイアウト設定およびカット長の設定について簡単に説明する。このレイアウト設定では、テープ本体T上における墨字印刷領域と点字打刻領域との相対位置、テープ本体Tに対する各領域の割付、各領域の長さが設定されるほか、墨字印刷の文字サイズなど、一般的なテープ印刷装置やワープロ等と同様の設定が行われる。
【0048】
まず、テープ幅の検出結果が12mmの場合は、テープ幅が点字1マスの大きさ(テープ幅方向長さ)を打刻可能な最小の長さであるため、墨字印刷領域と点字打刻領域とが同一の段に配置されるレイアウト(墨字点字重記)となる。この墨字点字重記の場合、テープ長さ方向における墨字印刷領域および点字打刻領域の相対位置として、墨字前点字後、点字前墨字後および墨字点字重ねのいずれかのレイアウトが選択される。
【0049】
一方、テープ幅の検出結果が24mmの場合は、墨字印刷領域が上段,点字打刻領域が下段、または墨字印刷領域が下段,点字打刻領域が上段のいずれかのレイアウト(これらを、いずれも墨字点字並記という)が選択される。さらに、この墨字点字並記の場合、テープ長さ方向における墨字印刷領域および点字打刻領域の相対位置として、左揃え、中揃えおよび右揃えのいずれかのレイアウトが選択される。
【0050】
さらに、墨字点字重記および墨字点字並記のいずれの場合も、ユーザがテープ長を指定(定長指定)した場合は、テープ本体Tに対する墨字印刷領域および点字打刻領域の割付として、前寄せ(テープ本体Tの後方に余白)、中寄せ(テープ本体Tの前後に余白)および後寄せ(テープ本体Tの前方に余白)のいずれかのレイアウトが選択される。
【0051】
このようにしてレイアウト設定が行われると、続いて、作製するテープ片Trの長さとなるカット長の設定が行われる。このカット長設定では、まず、定長指定か否かを識別し、定長指定のときには、定長時カット長設定に移行し、定長指定でないときには、自動長時カット長設定に移行する。
【0052】
自動長時カット長設定では、墨字点字並記の場合は、墨字印刷領域・点字打刻領域のうち長いほうの長さ、墨字点字重記の場合であって、墨字点字重ねのときは、両領域のうち長いほうの長さ、墨字前点字後・点字前墨字後のときは、両領域の長さの合計値、にそれぞれ基づいて、カット長が算出・設定される。
【0053】
定長時カット長設定では、指定されたテープ長と、上記の自動長時カット長設定と同様にして算出されたカット長(仮カット長)とを比較し、仮カット長がテープ長以下であれば、テープ長がカット長として設定される。なお、仮カット長がテープ長より大きい(すなわち印刷損じ・打刻損じの可能性がある)ときには、墨字や点字が定長オーバーする旨のメッセージを表示する。
【0054】
以上のように、本実施形態のラベル作製装置1では、第1〜3処理モードのいずれかを選択すると共に、墨字印刷領域および点字打刻領域を様々なレイアウトに設定し、且つ指定されたテープ長に基づいて、または墨字印刷領域の長さおよび点字印刷領域の長さや各領域のレイアウトに基づいて、カット長を設定し、墨字印刷および点字打刻を行う。例えば、図11(a)に示すテープ片Trは、24mm幅のテープ本体Tに対し、「第1処理モード(点字下段)、定長指定無し、左揃え」と設定し、墨字印刷および点字打刻を行ったもの(以下、第1ラベルL1という)であり、同図(b)に示すテープ片Trは、12mm幅のテープ本体Tに対し、「第2処理モード、定長指定(100mm)、前寄せ」と設定し、墨字印刷のみを行ったもの(以下、第2ラベルL2という)である。なお、入力された文字情報は、いずれも「あずさ12ごう」である。
【0055】
次に、本発明に係る処理テープ26について詳細に説明する。図4に示すように、処理テープ26は、上述した墨字印刷処理や点字打刻処理の対象となるテープ本体Tと、記録テープTaを外側に、剥離テープTbを内側にして、テープ本体Tをロール状に巻回したテープコア27とから成っている。この処理テープ26は、上下2分割のカートリッジケース25内に繰り出し自在に収容されており、カートリッジケース25内に回転自在に収容された上記のリボン繰出しリール29、巻取りリール30、およびプラテンローラ31と共に、テープカートリッジCを構成している。また、カートリッジケース25の左側部には、上下方向に開口させたスリット状のテープ送出口32が形成されている。さらに、カートリッジケース25の内部には、処理テープ26から繰り出されたテープ本体Tを、テープガイド34、プラテンローラ31およびテープ送出口32を通過させて外部に排出するテープ走行路33が形成されており、同図においては、このテープ走行路33を、テープ本体Tを示す一点鎖線で示してある。
【0056】
テープ本体Tは、基材シートTabの裏面に粘着剤層Taaが設けられた記録テープTaと、粘着剤層Taaを介して、記録テープTaに貼着された剥離テープTbとが積層して構成されている。基材シートTabは、略50μm厚の樹脂シート(ポリエチレンテレフタレート等)で構成されており、墨字が印刷される表面は、熱転写によるインクの乗りを良好にするために加工されている。
【0057】
また、剥離テープTbは、テープ本体Tを使用時まで取り扱いやすくすると共に、上記粘着剤層Taaを埃等から保護するものであって、表面にシリコン処理が為された略80μm厚の樹脂シート(ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体等)で構成されている。そのため、粘着剤層Taaが剥離テープTbに及ぼす粘着力は、基材シートTabに及ぼす粘着力よりも極端に小さく(弱粘着)なっている。したがって、ユーザは、記録テープTaから剥離テープTbを容易に剥がすことができる。もっとも、粘着剤層Taaは、剥離テープTbに対し、墨字印刷時のテープ送り動作中、点字打刻時のテープ搬送中やテープ本体T(テープ片Tr)の保管中に、剥離テープTbが剥がれてしまわないだけの粘着力は有している。
【0058】
図5に示すように、本実施形態の処理テープ26は、次のようにして作製される。まず、幅広の記録テープTa(記録シート72)と幅広の剥離テープTb(剥離シート73)とを重ね合わせた原反シート71を、ロール状に巻回した幅広テープ74を形成する(同図(a))。続いて、これをスライスして所定幅の原材テープ75を形成する(同図(b))。
【0059】
続いて、テープカートリッジCに収容すべく、テープコア27にテープ本体Tを小巻にした処理テープ26を構成する。ここで、テープコア27への巻き付けに先立って、予め、テープコア27への巻き始め端Teの近傍に、後述する切断装置51により剥離テープTb側からテープ本体Tをカットし、テープエンド認識部E(詳細は後述する)を形成しておく。そして、原材テープ75からテープ本体Tを繰り出しながら、記録テープTaを外側にし、且つ剥離テープTbを内側にしてテープコア27に巻き付け、小巻の処理テープ26を構成する(同図(c))。
【0060】
最後に、テープ本体Tを所定の長さ(例えば8m)巻き付けた後、切断装置51(あるいは、これとは別に設けた直刃のカッタ等)により、その後端を切断(フルカット)する(同図(d))。このようにして、テープコア27への巻き始め端Teの近傍に、テープエンド認識部Eを有するテープ本体Tを、テープコア27に巻回した処理テープ26を作製することができる。すなわち、巻き始め端部をインクで着色する場合のように、インクが乾くまで待つ必要がないため、処理テープ26の生産効率を低下させることなく、テープ本体Tにテープエンド認識部Eを形成することができる。
【0061】
ここで、図6ないし図10を参照して、テープエンド認識部Eについて具体的に説明する。図6は、テープ本体Tの巻き始め端Teにおいて、テープ本体Tを円形に切り抜いたテープエンド認識部Eを示す。このテープエンド認識部Eによれば、テープ本体Tの一部が切り抜かれているため、テープエンド認識部Eの存在を、ユーザに確実に視認させることができる。この場合、上記の切断装置51としては、例えばパンチング装置を使用する。
【0062】
図7は、テープ本体Tを「おわり」(エンド表示文字)の形状に切り抜いたテープエンド認識部Eを示す。このテープエンド認識部Eによれば、これを見たユーザは、それがテープエンドを意味することを容易に理解することができる。この場合、切断装置51としては、例えばカッティングプロッタ装置を使用する。なお、エンド表示文字としては、「END」等であってもよい。
【0063】
図8は、テープ長さ方向に延在すると共に、テープ本体Tの巻き始め端Teに至らないように形成した3本のカット線Ecから成るテープエンド認識部Eを示す。3本のカット線Ecは、テープ幅方向に並んでおり、中間のカット線Ecは、上下のカット線Ecに対し、巻き始め端Te側に位置ずれしている。この場合、上記の切断装置51(例えば3個の直刃を有する押切りカッタ)により、切れ端(ゴミ)を発生させることなく、テープエンド認識部Eを形成することができる。したがって、ゴミが削減され、環境問題に対応している。
【0064】
図9は、テープ本体Tの巻き始め端Te側に凸となる形状に形成されると共に、テープ長さ方向に並んだ3本のカット線Ecから成るテープエンド認識部Eを示す。このテープエンド認識部Eによれば、各カット線Ecをアウトラインとした3個の凸形部Etがテープ本体Tに形成される。この場合、切断装置51としては、例えばカッティングプロッタ装置を使用する。
【0065】
一方、テープ片Trには、テープコア27に巻回されていた時の巻き癖が残っている。そのため、テープ片Trの凸形部Etは、その巻き癖により、径方向外側に向かって、うろこ状に突出したようになる(同図(b)参照)。したがって、テープエンド認識部E(凸形部Et)の存在を、ユーザに確実に視認させることができる。さらに、上記のテープ走行路において、突出した凸形部Etがテープガイド34やテープ送出口32等と接触したとしても、凸形部Etを倒す方向に力が働くため、凸形部Etがテープガイド34やテープ送出口32等に引っ掛かることがない。すなわち、凸形部Etがテープ走行性に影響を与えることがない。
【0066】
最後に、図10は、テープ本体Tのうち剥離テープTbのみを、「END」(エンド表示文字)の形状にアウトラインカットしたテープエンド認識部Eを示す。すなわち、テープエンド認識部Eは、ハーフカット可能(切込み深さ調整可能)なカッティングプロッタ装置により、剥離テープTbの切抜き対象Tbcとなる「END」のアウトラインを形成したものである。この場合、剥離テープTbを記録テープTaから剥がすと、アウトラインに囲まれた切抜き対象Tbcは剥離テープTbから引き剥がされて記録テープTaに残ると共に、剥離テープTbにアウトラインによる切抜き部「END」が生ずるため、この剥離テープTbや記録テープTaを見たユーザは、テープコア27に巻回したテープ本体Tを使い切ったことを容易に認識することができる。
【0067】
さらに、記録テープTaにはカット線が形成されていないことから、墨字や点字が全て印刷・打刻されており、且つテープ片Trの長さが多少短くてもかまわない場合には、その記録テープTrをラベルとして利用することができ、無駄とならない。すなわち、そのテープ片Trがゴミとならないため、環境に配慮した処理テープ26を提供することができる。この場合、記録テープTaの裏面に貼着した切抜き対象Tbcは、記録テープTaを被貼着物に貼着する際に妨げとなるものではない。
【0068】
なお、ラベル作製装置1にセットされた処理テープ26は、テープ本体Tの後端(テープコア27への巻き始め端Te)がプラテンローラ31を通過すると、もはや先方へ送られることがない(プラテンローラ31が空回りする)。このため、一巻きの処理テープ26において、フルカッタ36により最後に切断される箇所は、常に、プラテン駆動軸とフルカッタ36との離間距離と同一の基準距離dを、巻き始め端Teよりテープ本体Tの繰り出し端側に存した基準箇所Bとなる。すなわち、この基準箇所Bが、処理テープ26から得られる最終のテープ片Trの後端となり(図11および図12参照)、基準箇所Bから巻き始め端Te側は、テープ片Trとはならず、テープカートリッジC内に残存することとなる。
【0069】
したがって、上記のテープエンド認識部Eを、この基準箇所Bから、繰り出し端側の直近の位置に形成するようにする。これによれば、テープエンド認識部Eは、一巻きの処理テープ26から得られる最終テープ片Trの後端部に位置することになる。すなわち、テープエンド認識部Eを基準箇所Bから繰り出し端側に形成したことで、テープエンド認識部Eは、基準箇所Bから巻き始め端Te側に含まれることがなく、確実に最終テープ片Trに含まれることとなり、ユーザに対し、テープエンド認識部Eを確実に視認させることができる。さらに、これを基準箇所Bの直近に形成したことで、無駄となるテープ本体Tを極力少なくすることができ、環境問題に対応している。
【0070】
また、テープ本体Tを無駄なく使用するためには、テープエンド認識部Eのテープ長さ方向の寸法をなるべく短くすることが好ましいが、あまりにこれが短い(例えば5mm)場合には、基準箇所Bの直前になるまでテープエンド認識部Eが現れないため、最終のテープ片の長さが、極端に短く(例えば5mm)なることがある。極端に短いテープ片Trは、カッタ部分で詰まってしまい、印刷テープ排出口16から適切に排出されない(ジャミング)おそれがある。そのため、テープエンド認識部Eのテープ長さ方向の寸法は、2cm〜3cmが好ましく、これによれば、ジャミングを発生させることなく、無駄(ゴミ)となる部分を極力少なした、環境対応型の処理テープ26を提供することができる。例えば、図6に示したテープエンド認識部Eにあっては、2cm〜3cmの範囲に亘って、円形の切抜き部を複数個形成するようにする。
【0071】
図11は、このような処理テープ26を収容したテープカートリッジCを上記の装置本体2に装着し、作製された第1ラベルL1(同図(a)および(c))と第2ラベルL2(同図(b)および(d))とを示す図である。このうち、同図(a)および(b)は、それぞれテープ本体Tの残量が十分にある場合、同図(c)および(d)は、それぞれテープ本体の残量が少ない場合(最終のテープ片Tr)である。なお、図11のテープエンド認識部Eは、図6に示したものであるが、他の形態のテープエンド認識部Eであってもよい。
【0072】
また、図12は、上記の処理テープ26に代えて、テープコア27への巻き始め端Teに、テープエンド認識部Eのないテープ本体Tを巻回したものを収容したテープカートリッジCを上記の装置本体2に装着し、テープ本体Tの残量が少ない場合に作製された第1ラベルL1(同図(a))と第2ラベルL2(同図(b))とを示す図である。
【0073】
図12(a)に示すように、通常の剥離紙付きテープに対し、テープ本体Tの残量が少ない場合に第1ラベルL1を作製すると、テープ本体Tの長さが足らないため、墨字「あずさ12ごう」は全て印刷されるが、点字は全10マス(図11(a)参照)のうち8マス目で途切れた未完成ラベルとなる。ところが、多くのユーザ(晴眼者)は点字規則の知識に乏しいため、点字が途切れていることが判らず、それが未完成ラベルであるか否か識別することができない。
【0074】
一方、図11(c)に示すように、本実施形態の処理テープ26に対し、テープ本体Tの残量が少ない場合に第1ラベルL1を作製すると、第1ラベルL1の後端部には、テープエンド認識部Eが形成されているため、テープ本体Tを使い切ったことが一目瞭然である。したがって、その第1ラベルL1が未完成ラベルであると容易に識別することができる。
なお、図11(c)の第1ラベルL1は、同図(a)や図12(a)の第1ラベルL1との比較のため、これらと同様に点字が打刻されているが、実際には、墨字印刷の後、印刷テープ排出口16からテープ本体Tが排出された時点で、それが未完成ラベルであると判るため、無駄に点字打刻を行うことはない。
【0075】
また、第2ラベルL2についても、第1ラベルL1と同様のことがいえる。すなわち、図12(b)に示すように、通常の剥離紙付きテープに対し、テープ本体Tの残量が少ない場合に第2ラベルL2を作製すると、テープ本体Tの長さが足らないため、定長(100mm、図11(b)参照)より短いラベルとなっている。しかしながら、墨字「あずさ12ごう」の後方は長い余白となっているため、墨字が途中で切れている場合と異なり、一見しただけでは、それが未完成ラベルであるか否か識別することができない。
【0076】
一方、図11(d)に示すように、本実施形態の処理テープ26に対し、テープ本体Tの残量が少ない場合に第2ラベルL2を作製すると、第2ラベルL2の後端部には、テープエンド認識部Eが形成されているため、テープ本体Tを使い切ったことが一目瞭然である。したがって、その第2ラベルL2が、定長よりも短い未完成ラベルであると容易に識別することができる。
【0077】
以上のように、本実施形態の処理テープ26およびテープカートリッジCによれば、生産効率を低下させることなく、テープコア27に巻回したテープ本体Tを使い切ったことを容易に認識させ得ることができる。そして、本実施形態のラベル作製装置1によれば、作製したテープ片Trが、未完成ラベルであるか否かを確実に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】閉蓋状態のラベル作製装置の外観斜視図である。
【図2】開蓋状態のラベル作製装置の外観斜視図である。
【図3】ラベル作製装置の制御ブロック図である。
【図4】処理テープを収容したテープカートリッジの断面図である。
【図5】処理テープの製造工程を示す図である。
【図6】テープ本体の巻き始め端において、テープ本体を円形に切り抜いたテープエンド認識部を示す図である。
【図7】テープ本体をエンド表示文字の形状に切り抜いたテープエンド認識部を示す図である。
【図8】テープ長さ方向に延在するように形成した3本のカット線から成るテープエンド認識部を示す図である。
【図9】テープ本体の巻き始め端側に凸となる形状に形成された3本のカット線から成るテープエンド認識部を示す図である。
【図10】剥離テープのみを、エンド表示文字の形状にアウトラインカットしたテープエンド認識部を示す図である。
【図11】本発明に係る処理テープを用いて、ラベル作製装置により作成されたラベルを示す図である。
【図12】テープエンド認識部のないテープ本体を巻回した処理テープを用いて、ラベル作製装置により作成されたラベルを示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1…ラベル作製装置 2…装置本体 21…印刷ヘッド 25…カートリッジケース 26…処理テープ 27…テープコア 31…プラテンローラ 35…カッタユニット 40…打刻アッセンブリ B…基準箇所 C…テープカートリッジ d…基準距離 E…テープエンド認識部 Ec…カット線 T…テープ本体 Ta…記録テープ Taa…粘着剤層 Tb…剥離テープ Te…巻き始め端 Tr…テープ片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に粘着剤層を設けた記録テープ、および前記粘着剤層を介して前記記録テープに貼着された剥離テープから成るテープ本体と、前記テープ本体がロール状に巻回されたテープコアと、を備え、繰り出された前記テープ本体をその幅方向に切断してテープ片を得るための処理テープであって、
前記テープ本体の前記テープコアへの巻き始め端の近傍に、前記テープ本体へのカット処理によるテープエンド認識部を、形成したことを特徴とする処理テープ。
【請求項2】
前記テープエンド認識部は、前記テープ本体の一部を切り抜いた切抜き部であることを特徴とする請求項1に記載の処理テープ。
【請求項3】
前記切抜き部は、使い切ったことを表示するエンド表示文字の文字形に切り抜かれていることを特徴とする請求項2に記載の処理テープ。
【請求項4】
前記テープエンド認識部は、前記テープ本体の両方の幅端および前記巻き始め端に至らないように形成したカット線であることを特徴とする請求項1に記載の処理テープ。
【請求項5】
前記カット線は、前記テープ本体の長さ方向に凸となる形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の処理テープ。
【請求項6】
前記カット線は、前記巻き始め端に向かって凸となる形状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の処理テープ。
【請求項7】
前記カット線は、前記剥離テープのみに形成したハーフカット線であって、
前記ハーフカット線は、前記剥離テープを部分的に切り抜くための無端のアウトラインを構成していることを特徴とする請求項4に記載の処理テープ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の処理テープと、
前記処理テープを収容するカートリッジケースと、
を備えたことを特徴とするテープカートリッジ。
【請求項9】
前記テープ本体を繰り出す送り手段と、前記送り手段に対し、前記テープ本体の送り方向の下流側に位置して、繰り出される前記テープ本体を切断する切断手段と、を備えたテープ処理装置に装着され、
前記テープエンド認識部を、前記送り手段と前記切断手段との離間距離と同一距離を、前記巻き始め端より前記テープ本体の繰り出し端側に存した基準箇所から、前記繰り出し端側の直近の位置に、形成したことを特徴とする請求項8に記載のテープカートリッジ。
【請求項10】
請求項9に記載のテープカートリッジが着脱自在に装着されるカートリッジ装着部と、
前記送り手段と、
前記切断手段と、
を備えたことを特徴とするテープ処理装置。
【請求項11】
送られてくる前記処理テープに対して墨字の印刷を行う印刷手段および/または前記テープ片に対して点字打刻を行う打刻手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項10に記載のテープ処理装置。
【請求項1】
裏面に粘着剤層を設けた記録テープ、および前記粘着剤層を介して前記記録テープに貼着された剥離テープから成るテープ本体と、前記テープ本体がロール状に巻回されたテープコアと、を備え、繰り出された前記テープ本体をその幅方向に切断してテープ片を得るための処理テープであって、
前記テープ本体の前記テープコアへの巻き始め端の近傍に、前記テープ本体へのカット処理によるテープエンド認識部を、形成したことを特徴とする処理テープ。
【請求項2】
前記テープエンド認識部は、前記テープ本体の一部を切り抜いた切抜き部であることを特徴とする請求項1に記載の処理テープ。
【請求項3】
前記切抜き部は、使い切ったことを表示するエンド表示文字の文字形に切り抜かれていることを特徴とする請求項2に記載の処理テープ。
【請求項4】
前記テープエンド認識部は、前記テープ本体の両方の幅端および前記巻き始め端に至らないように形成したカット線であることを特徴とする請求項1に記載の処理テープ。
【請求項5】
前記カット線は、前記テープ本体の長さ方向に凸となる形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の処理テープ。
【請求項6】
前記カット線は、前記巻き始め端に向かって凸となる形状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の処理テープ。
【請求項7】
前記カット線は、前記剥離テープのみに形成したハーフカット線であって、
前記ハーフカット線は、前記剥離テープを部分的に切り抜くための無端のアウトラインを構成していることを特徴とする請求項4に記載の処理テープ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の処理テープと、
前記処理テープを収容するカートリッジケースと、
を備えたことを特徴とするテープカートリッジ。
【請求項9】
前記テープ本体を繰り出す送り手段と、前記送り手段に対し、前記テープ本体の送り方向の下流側に位置して、繰り出される前記テープ本体を切断する切断手段と、を備えたテープ処理装置に装着され、
前記テープエンド認識部を、前記送り手段と前記切断手段との離間距離と同一距離を、前記巻き始め端より前記テープ本体の繰り出し端側に存した基準箇所から、前記繰り出し端側の直近の位置に、形成したことを特徴とする請求項8に記載のテープカートリッジ。
【請求項10】
請求項9に記載のテープカートリッジが着脱自在に装着されるカートリッジ装着部と、
前記送り手段と、
前記切断手段と、
を備えたことを特徴とするテープ処理装置。
【請求項11】
送られてくる前記処理テープに対して墨字の印刷を行う印刷手段および/または前記テープ片に対して点字打刻を行う打刻手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項10に記載のテープ処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−198839(P2006−198839A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−11815(P2005−11815)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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