説明

処理場

【課題】特に、平均的変性から高い粘性までを持つ流体媒体のために意図され、たとえば、医薬品および化粧品の製造のために意図される処理場が提供される。
【解決手段】そのような処理場には、媒体に接触する撹拌器、組付け構造体、熱交換エレメント、またはバッフルなどが配列された容器が含まれてもよい。媒体ロスを低減するとともに、そうような処理場を効率的に洗浄するために、流体媒体に接触する処理場の少なくとも領域または構成要素が、媒体避けコーティングを設けられている。それが特に適切であるのは、容器内に突出する一部を備えた少なくとも撹拌器が、そのような媒体避けコーティングから作られている時である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に平均的から高い粘性までの流体に意図されるが、低粘性の媒体の処理にも意図される処理場に関する。そのような処理場には、たとえば、媒体に接触する組込み構造体や熱交換エレメントなどだけでなく容器内の撹拌器が含まれる。
【背景技術】
【0002】
高粘性または顕著な降伏点の結果として、これらの媒体は、空になっている間に、容器の壁のような接触エリアに、バッフルまたは熱交換エレメントのような組込み構造体に、撹拌器のシャフトおよび撹拌器のブレードを備えた撹拌器に付着する傾向がある。そのような媒体の実例には、接着剤またはシーリング材(ホットメルト、シリコンラバーなど)、染料および塗料、乳液、石鹸、化粧水や歯磨き粉のような化粧品または医薬品、および、マスタード、ジャムや栄養油などの食料品が含まれる。空になっている間に処理場内で付着する残留物が製品ロスを発生させ、個々の装入物間の洗浄を複雑にする。これは時間浪費および大きいコストになる。特に、医薬品、化粧品、および食料品が伴われると、再現可能な純度に関する限りでは最高水準が要求されて処理場およびその構成要素が確実に洗浄されなければならないようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、このような面倒を克服するとともに、特に平均的から高い粘性までの流体のための、または、空になっている間に製品ロスの低減と再現可能な最高純度での確実な洗浄とを可能にする媒体のための処理場を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、特に平均的から高い粘性までの流体(媒体)のための処理場には、媒体に接触する組込み構造体や熱交換エレメントなどだけでなく容器内の撹拌器が含まれ、少なくとも流体媒体に接触する処理場の領域が媒体避けに構成されている。
【0005】
この媒体避けの特性は、撥油性、疎水性、ぬれ角現象、ロータス効果などに基づく性質を持つコーティングによって完全に実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明による処理場において流体媒体に接触する領域の少なくとも大部分に媒体が付着するのが防止されるので、処理場が空であるときに製品ロスが効率的に低減され、特に洗浄仕事がそれぞれの装入物間で迅速かつもっと効率的に実行可能である。こうして、そのような処理場は、純度を要求される高水準と純度の再現可能性とを満たす。従って、そのような処理場は、医薬品および化粧品と、食料品の準備とに対して特に適切である。より少ない残留物の結果として、汚水による損傷もまた減少される。媒体避けの特性は、特に、処理場の容器内の鉛直傾斜面上で実現され、空になっている間に媒体を押し返し重力に従ってそれを排出する。その結果、媒体は、容器内部の製品全体とともにほとんど全て放出される。これにより、洗浄仕事と洗浄の複雑さとが単純化される。その理由は、媒体に接触する処理場の表面および構成要素が既に実質的に前もって洗浄されているからである。
【0007】
好適には、流体媒質に接触する領域は、媒体の押し返し(反発性)をもたらす構造体を実現するために、表面にそれぞれ適切なコーティングを設けられている。代替物としては、光触媒作用などもまた適用可能である。また、粘性流体に接触する一部の表面は、微細構造とともに状況に応じて構成されてもよい。この媒体避けのコーティングは、撥油性、疎水性、ぬれ角現象、ロータス効果などに基づいて反発性を引き起こすかもしれない。
【0008】
金属上の反発性コーティングには、好適には、疎水性、油脂性、またはそれらを組合せた性質を備えたものが含まれる。
【0009】
実例に含まれるものは、ナノスケールのガラス粒子に基づくガラス状コーティング;噴霧され、または、プレートコーティングとしてまたはシランおよびバインダを備えたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の組合せとして設けられてもよいフッ素重合体コーティング;ベース上にコーティング材料のマトリックス的および化学的結合で腐蝕防止構成物質を備えた耐拡散性の有機/無機ナノ複合材料に基づく硬質クロムやベーキングエナメルを伴ったゾル−ゲルコーティング;または、フッ素化されたポリウレタンの分散を伴ったコーティングである。
【0010】
好適には、容器内に突出する一部分を持った少なくとも撹拌器は、そのような処理場において媒体避けされる。かかる撹拌器には、撹拌器のブレードまたは螺旋物が含まれてもよいし、または、溶解器のディスクまたはロータ・ステータ組立体が含まれてもよい。
【0011】
また、そのような処理場のさらなる適用分野には、媒体に接触し頻繁にスチールから作られる領域の表面上の汚染物質が触媒として作用する重合反応器もまた含まれる。その結果、これらの領域でポリマー連鎖が成長する傾向がある。低粘性の範囲内での適用の例には、製品が冷却面上の大部分で結晶化する晶析装置が含まれており、熱移動、収益、製品品質が悪くなる。
【0012】
要約すれば、本発明による処理場に関して、媒体に接触する領域の、特に、そのような処理場の容器内の領域の本質的に全てが、それぞれの媒体に反発して処理場をほとんど完全な空にすること、特に、何らかの顕著な媒体ロスなしに容器内をほとんど完全な空にすることを可能にする性質を有することが本質的である。同時に、洗浄の複雑さは、コストのみならず浪費時間に関する限り低減され、そのような処理場の効率的な洗浄を実現および達成して純度の再現性に関しての高水準を満足するようにしている。このことは、医薬品および化粧品を製造するときに特に重要な利点である。低減された洗浄時間の結果として、そのような処理場の休止時間を低減できるので、処理場をもっと効率的に作動および利用可能である。
【0013】
本発明は、好適な実施の形態を参照して上述されたけれども、それに限定されず、それぞれ適切な変更のみならず他の多くの適用もまた可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に平均的粘性および高い粘性の流体媒体用の処理場であって、
前記媒体に接触する組付け構造体や熱交換エレメントなどだけでなく容器内の撹拌器を備え、
前記流体媒体に接触する前記処理場の少なくとも領域または構成要素が、撥油性、疎水性、ぬれ角現象、またはロータス効果などに基づく特性を持った媒体避けコーティングを設けられていることを特徴とする処理場。
【請求項2】
金属上の前記媒体避けコーティングが、疎水性、油脂性、またはこれらの特性の組合せを有することを特徴とする請求項1記載の処理場。
【請求項3】
前記媒体避けコーティングが、ナノスケールのガラス粒子に基づくガラス状コーティング、(プレートコーティングに噴霧されたまたはプレートコーティングとして設けられた)フッ素重合体コーティング、または、シランおよびバインダを備えたPTFEの組合せであり、または、ベースへのコーティング材料のマトリックス的および化学的な結合において腐蝕防止構成物質を備えた耐拡散性の有機/無機ナノ複合材料に基づく硬質クロムまたはベーキングエナメルを伴ったゾル−ゲルコーティング、または、フッ素化されたポリウレタンの分散を伴ったコーティングであることを特徴とする請求項1または2記載の処理場。
【請求項4】
前記容器内に突出する一部を備えた少なくとも前記撹拌器が、前記媒体避けコーティングから作られていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の処理場。

【公開番号】特開2006−289363(P2006−289363A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111304(P2006−111304)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(595009408)エカト・リュール・ウント・ミッシュテヒニック・ゲー.エム.ベー.ハー (3)
【氏名又は名称原語表記】EKATO Ruhr− und Mischtechnik GmbH
【Fターム(参考)】