説明

処理装置

【課題】簡易な構成で、スクレーパに被処理物との干渉に起因する過度の負荷が掛かることを抑制しながら、容器の内面に付着した被処理物を掻き取ることができる処理装置、および、その処理装置に装着されるスクレーパを提供すること。
【解決手段】
材料を混合処理する混合装置1に、タンク4内に貯留されている材料を攪拌する攪拌羽根5と、攪拌羽根5によって攪拌されている材料の移動により生じる力により移動されて、タンク4の内面34に付着した材料を掻き取るスクレーパ21を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物を処理する処理装置、および、その処理装置に装着されるスクレーパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体などの被処理物を攪拌、混合処理する処理装置が知られている。
【0003】
例えば、円筒状の混合槽と、混合槽の内面に若干の間隙を有するように回転可能に設けられる主攪拌羽根と、主攪拌羽根の後部において、弾性ばねを介して、混合槽の内面に当接状態で設けられる補助攪拌羽根とを備えるミキサーが提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
このミキサーでは、主攪拌羽根と、混合槽の内面との間に間隙を設けることにより、混合槽と主攪拌羽根との接触に起因する摩耗粉の発生を防止している。また、補助攪拌羽根を弾性的に混合槽の内面に接触させることにより、混合原料が混合槽の内面に付着、残存することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−101630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、上記した特許文献1に記載のミキサーでは、主攪拌羽根および補助攪拌羽根は、いずれも回転駆動部に取り付けられている。これにより、補助攪拌羽根は、主攪拌羽根とともに回転される。
【0007】
そのため、回転駆動部には、主攪拌羽根に加えて補助攪拌羽根をも回転させる分の負荷が掛かる。また、補助攪拌羽根には、混合原料との干渉により、主攪拌羽根と同等の負荷が掛かる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で、スクレーパに被処理物との干渉に起因する過度の負荷が掛かることを抑制しながら、容器の内面に付着した被処理物を掻き取ることができる処理装置、および、その処理装置に装着されるスクレーパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、処理装置であって、被処理物を貯留する容器と、前記容器内の被処理物を移動させながら処理する処理手段と、前記容器内に設けられ、前記処理手段によって処理されている被処理物の移動により生じる力により移動されて、前記容器の内面に付着した被処理物を掻き取るスクレーパとを備えることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、処理手段によって処理されている被処理物の移動により生じる力を利用して、スクレーパを移動させることができる。
【0011】
そのため、スクレーパを移動させるための駆動力を設ける必要がなく、簡易な構成で容器の内面に付着した被処理物を掻き取ることができる。
【0012】
また、スクレーパを被処理物の移動とともに移動させることができ、スクレーパに被処理物との干渉に起因する過度の負荷が掛かることを、抑制することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記処理手段は、回転軸線を中心として回転され、前記スクレーパは、前記処理手段と前記回転軸線を共有するように、回転されることを特徴としている。
【0014】
このような構成によれば、スクレーパと処理手段とを、互いに回転軸線を共有して回転させることができる。
【0015】
そのため、処理手段の回転によって容器内を周回するように移動される被処理物の移動により生じる力を、効率よく、スクレーパに伝達することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記スクレーパは、前記容器の内面に付着した被処理物を掻き取る掻き取り部材と、前記掻き取り部材を前記容器の内面に対向配置させるように規制する規制部材とを備えていることを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、スクレーパの掻き取り部材を容器の内面に確実に対向させることができ、容器の内面に付着した被処理物を効率よく掻き取ることができる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、被処理物を貯留する容器と、前記被処理物を移動させながら処理する処理手段とを備える処理装置において、前記容器内に配置されて、前記容器の内面に付着した被処理物を掻き取るスクレーパであって、前記容器の内面に付着した被処理物を掻き取る掻き取り部材と、前記掻き取り部材を前記容器の内面に対向配置させるように規制する規制部材とを備え、前記処理手段によって処理されている被処理物の移動により生じる力により移動されることを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、処理手段によって処理されている被処理物の移動により生じる力を利用して、スクレーパを移動させることができる。
【0020】
そのため、スクレーパを移動させるための駆動力を設ける必要がなく、簡易な構成で容器の内面に付着した被処理物を掻き取ることができる。
【0021】
また、スクレーパを被処理物の移動とともに移動させることができ、スクレーパに被処理物との干渉に起因する過度の負荷が掛かることを、抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、スクレーパを移動させるための駆動力を設ける必要がなく、簡易な構成で容器の内面に付着した被処理物を掻き取ることができる。
【0023】
また、スクレーパを被処理物の移動とともに移動させることができ、スクレーパに被処理物との干渉に起因する過度の負荷が掛かることを、抑制することができる。
【0024】
また、請求項2に記載の発明によれば、処理手段の回転によって容器内を周回するように移動される被処理物の移動により生じる力を、効率よく、スクレーパに伝達することができる。
【0025】
また、請求項3に記載の発明によれば、スクレーパの掻き取り部材を容器の内面に確実に対向させることができ、容器の内面に付着した被処理物を効率よく掻き取ることができる。
【0026】
また、請求項4に記載の発明によれば、スクレーパを移動させるための駆動力を設ける必要がなく、簡易な構成で容器の内面に付着した被処理物を掻き取ることができる。
【0027】
また、スクレーパを被処理物の移動とともに移動させることができ、スクレーパに被処理物との干渉に起因する過度の負荷が掛かることを、抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、混合装置を示す側断面図である。
【図2】図2は、図1に示すスクレーパの斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すスクレーパの掻き取り部材を拡大した要部拡大図である。
【図4】図4は、図3に示す掻き取り部材の側面図である。
【図5】図5は、図3に示す固定部材の側面図である。
【図6】図6は、スクレーパの変形例を説明する説明図であって、掻き取り部材が1つだけの場合を示す。
【図7】図7は、スクレーパの変形例を説明する説明図であって、フレームが平面視略十字形状に形成されている場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、混合装置を示す側断面図である。
【0030】
混合装置1(処理装置の一例)は、粉粒体などの材料(被処理物の一例)を混合するための垂直軸回転式混合装置(高速流動型混合機)であって、混合槽3を備えている。
【0031】
混合槽3は、上側が開放され、材料を貯留するためのタンク4(容器の一例)と、材料を攪拌(すなわち、材料を移動させながら処理)するための攪拌羽根5(処理手段の一例)とを備えている。なお、混合槽3の上端部には、上蓋2が開閉可能に設けられている。
【0032】
タンク4は、下端部が閉鎖された略円筒形状に形成され、上下方向に延びる側壁7(壁の一例)と、側壁7の下端部を閉鎖する底壁6とを一体的に備えている。また、タンク4の下端部には、混合した材料を排出するための排出部11が設けられている。また、タンク4内には、側壁7の内面34に付着した材料を掻き取るためのスクレーパ21(後述)が回転可能に設けられている。
【0033】
攪拌羽根5は、タンク4内に設けられ、回転軸8と、下羽根9と、上羽根10とを備えている。
【0034】
回転軸8は、タンク4の底壁6の中央部を上下方向に貫通する略円柱形状に形成され、モータ(図示せず)の駆動力が伝達されることによって、その中心軸線A(回転軸線の一例)を回転中心として回転される。
【0035】
下羽根9は、タンク4の底壁6の上側に間隔を隔てて配置され、回転軸8から、回転軸8の径方向外側に向かって延びる略平板形状(平面視略S字形状)に形成されている。なお、下羽根9の先端(回転軸8の径方向における外側端部)は、底壁6に沿うように、上側へ向かって湾曲形成されている。
【0036】
上羽根10は、下羽根9の上側に間隔を隔てて配置されており、回転軸8から、回転軸8の径方向外側に向かって延びる略平板形状(平面視略S字形状)に形成されている。
【0037】
図2は、図1に示すスクレーパの斜視図である。図3は、図1に示すスクレーパの掻き取り部材を拡大した要部拡大図である。図4は、図3に示す掻き取り部材の側面図である。図5は、図3に示す固定部材の側面図である。
【0038】
スクレーパ21は、図2および図3に示すように、フレーム22(規制部材の一例)と、複数(4つ)の掻き取り部材23と、固定部材24とを備えている。
【0039】
フレーム22は、金属などの高い剛性を有する材料から、上下方向に延び、タンク4の内径よりも小径な略円筒形状に形成されている。また、フレーム22は、各掻き取り部材23が取り付けられる複数(4つ)の取付部25と、各取付部25の上端部を連結する複数(2つ)のリング部26と、各取付部25の下端部を連結し、回転軸8に支持される被支持部27とを一体的に備えている。
【0040】
各取付部25は、所定の厚みを有し、上下方向に延びる側面視略矩形の平板形状に形成されている。また、各取付部25は、フレーム22の周方向において、互いに約90°の間隔を隔てて配置されている。また、各取付部25は、スクレーパ21の回転方向Rにおける上流側へ向かうに従って、フレーム22の径方向内側へ傾斜されている。なお、取付部25には、固定部材24のボルト32(後述)が挿通される挿通穴(図示せず)、固定部材24のボルト32(後述)と略同じピッチで、上下方向に互いに間隔を隔てて、複数、形成されている。
【0041】
各リング部26は、略円環形状に形成され、互いに上下方向に間隔を隔てて配置されている。上側のリング部26は、各取付部25の上面に固定されている。また、下側のリング部26は、上側のリング部26よりも小径に形成され、各取付部25の内側端縁に固定されている。
【0042】
被支持部27は、平面視略十字形の杆形状に形成され、当接部28と、複数(4つ)のアーム部29とを備えている。
【0043】
当接部28は、図2に示すように、フレーム22の径中心に配置され、上下方向に延びる略円柱形状に形成されている。当接部28の下端部は、下側へ向かう頂部を有する略円錐形状に形成されている。
【0044】
アーム部29は、当接部28の上端部と、取付部25の下端部とを連結するように、フレーム22の径方向に延びる略杆形状に形成されている。また、アーム部29は、フレーム22の径方向における内側半分が上側へ屈曲されている。
【0045】
掻き取り部材23は、図3および図4に示すように、ゴムなどの弾性を有する材料から、所定の厚みを有し、上下方向に延びる側面視略矩形の平板形状に形成されている。また、掻き取り部材23は、幅方向(厚み方向と上下方向との両方と直交する方向、以下、掻き取り部材23の説明において同じ。)の一端部が断面視略楔形状に形成されている。また、掻き取り部材23には、幅方向に長手の長穴31が、上下方向に互いに間隔を隔てて、複数、貫通形成されている。
【0046】
固定部材24は、図3および図5に示すように、金属などの高い剛性を有する材料から、所定の厚みを有し、上下方向に延びる側面視略矩形の平板形状に形成されている。また、掻き取り部材23には、その厚み方向一方面から厚み方向一方側へ延びるボルト32が、掻き取り部材23の各長穴31と略同じピッチで、上下方向に互いに間隔を隔てて、複数、固着されている。
【0047】
そして、掻き取り部材23は、図3に示すように、その幅方向一端部がフレーム22の取付部25や固定部材24よりもフレーム22の径方向外側へ突出するように、取付部25と固定部材24との間に挟持されている。
【0048】
また、固定部材24のボルト32の先端は、掻き取り部材23の長穴31、および、取付部25の挿通穴(図示せず)を通過して、取付部25に対して掻き取り部材23の反対側へ突出されている。固定部材24のボルト32の先端には、ナット33が螺合されている。
【0049】
これにより、掻き取り部材23は、フレーム22の取付部25に固定されている。
【0050】
そして、スクレーパ21は、図1に示すように、当接部28の下端部が回転軸8の上端部に当接されるように、攪拌羽根5の上に載置されている。
【0051】
このとき、掻き取り部材23は、タンク4の側壁7の内面34にわずかに間隔を隔てて対向配置されている。すなわち、フレーム22は、掻き取り部材23を、タンク4の側壁7の内面34に対向配置させるように規制している。
【0052】
次いで、混合装置1での材料の混合処理中におけるスクレーパ21の掻き取り動作を説明する。
【0053】
図1に示すように、タンク4内に材料が投入され、攪拌羽根5が回転方向Rに回転されると、タンク4内の材料は、回転軸8の中心軸線Aを中心として、回転方向Rに周回移動される。
【0054】
すると、周回移動される材料は、スクレーパ21に干渉する。つまり、材料が周回移動されることにより生じる力がスクレーパ21に伝達される。
【0055】
すると、スクレーパ21は、図2に示すように、回転方向Rに回転される。このとき、スクレーパ21は、回転軸8の中心軸線Aを中心として回転される。
【0056】
なお、スクレーパ21は、回転方向Rに回転されながら、タンク4の側壁7の内面34と掻き取り部材23との間隔の分、当接部28を支点として、わずかに、径方向に移動される。
【0057】
これにより、図3に示すように、掻き取り部材23は、タンク4の側壁7の内面34に当接される。
【0058】
そして、掻き取り部材23がタンク4の側壁7の内面34に当接されると、掻き取り部材23により、タンク4の側壁7の内面34に付着した材料が掻き取られる。
【0059】
この混合装置1およびスクレーパ21によれば、攪拌羽根5によって攪拌されている材料の移動により生じる力を利用して、スクレーパ21を移動させることができる。
【0060】
そのため、スクレーパ21を移動させるための駆動力を設ける必要がなく、簡易な構成でタンク4の内面34に付着した材料を掻き取ることができる。
【0061】
また、スクレーパ21を材料の移動とともに移動させることができ、スクレーパ21に材料との干渉に起因する過度の負荷が掛かることを、抑制することができる。
【0062】
また、この混合装置1によれば、図1および図2に示すように、スクレーパ21と攪拌羽根5とを、互いに中心軸線Aを共有して回転させることができる。
【0063】
そのため、攪拌羽根5の回転によってタンク4内を周回移動される材料の移動により生じる力を、効率よく、スクレーパ21に伝達することができる。
【0064】
また、この混合装置1によれば、図1および図3に示すように、スクレーパ21の掻き取り部材23をタンク4の内面34に確実に対向させることができ、タンク4の内面34に付着した材料を効率よく掻き取ることができる。
(変形例)
図6は、スクレーパの変形例を説明する説明図であって、掻き取り部材が1つだけの場合を示す。図7は、スクレーパの変形例を説明する説明図であって、フレームが平面視略十字形状に形成されている場合を示す。
【0065】
上記した実施形態では、掻き取り部材23を、互いに90°の間隔を隔てて4つ設けたが、掻き取り部材23の数は、特に限定されず、例えば、180°の間隔を隔てて2つ設けてもよく、また、1つだけ(図6参照)設けてもよい。
【0066】
また、上記した実施形態では、各取付部25の上端部を、リング部26により連結したが、各掻き取り部材23を径方向において位置決めできれば、フレーム22の形状は特に限定されず、例えば、各取付部25の上端部を、それらの下端部と同様に、平面視略十字形の杆形状の部材で連結することもできる(図7参照)。
【符号の説明】
【0067】
1 混合装置(処理装置の一例)
4 タンク(容器の一例)
5 攪拌羽根(処理手段の一例)
21 スクレーパ
22 フレーム(規制部材の一例)
23 掻き取り部材
34 内面
A 中心軸線(回転軸線の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を貯留する容器と、
前記容器内の被処理物を移動させながら処理する処理手段と、
前記容器内に設けられ、前記処理手段によって処理されている被処理物の移動により生じる力により移動されて、前記容器の内面に付着した被処理物を掻き取るスクレーパと
を備えることを特徴とする、処理装置。
【請求項2】
前記処理手段は、回転軸線を中心として回転され、
前記スクレーパは、前記処理手段と前記回転軸線を共有するように、回転されることを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記スクレーパは、
前記容器の内面に付着した被処理物を掻き取る掻き取り部材と、
前記掻き取り部材を前記容器の内面に対向配置させるように規制する規制部材とを備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項4】
被処理物を貯留する容器と、前記被処理物を移動させながら処理する処理手段とを備える処理装置において、前記容器内に配置されて、前記容器の内面に付着した被処理物を掻き取るスクレーパであって、
前記容器の内面に付着した被処理物を掻き取る掻き取り部材と、
前記掻き取り部材を前記容器の内面に対向配置させるように規制する規制部材と
を備え、
前記処理手段によって処理されている被処理物の移動により生じる力により移動されることを特徴とする、スクレーパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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